「ほら、見えて来たでしょ、あの山よ!」
空を飛んでいると、来てほしい場所が見えて来た。お姉ちゃんが指を差してそこを伝えて来た。
「山?」
「そうよ」
そのお姉ちゃん(そう呼ぶ事にした)に言われてトゲキッスから下りてその山の地を踏んだ。
「ここはテンガン山、シンオウ地方の始まりとされている場所なの」
お姉ちゃんはシンオウ地方の始まりについてを少年に話した。カンナギタウンの昔話である神様と鼎となる存在がいて、そこから様々な神様が作られていった。テンガン山はその場所であると少年に話した。
「そこから様々なポケモンや人が生まれていった。そう考えると楽しくなってこない?」
「うん、難しいけど、そうかもね」
「でしょう、あたしのご先祖様もそのシンオウ地方の神様から生まれていったと考えると、伝説のポケモンも身近に感じられてきそうでよくないかしら?」
「それは、うん、面白いかもね」
「ふふ、君ってば物分かりがいいわね・・・」
シロナが少年の頭を優しく撫でてあやして来た。
「あら、誰かいる?」
「お姉ちゃん?」
「静かに・・・!」
お姉ちゃんが声を出さないように言うと、その場所に近付いた。
「ロケット団・・・!」
少年は彼等がロケット団であるとすぐに気付いた。ボスのサカキが目の前にいる。
「サカキ様、こんな何もない山に足を運んでいいのですか?」
ラムダが不服そうな顔をしてサカキに何もない場所だと言った。
「ふ、何もないように見えても、伝説のポケモンとなる足掛かりは掴めるはずだ。このシンオウ地方は伝説のポケモンにまつわる物が実に多い。ここにもその手掛かりがあるはずだ・・・」
「ちょっといいかしら?」
そのお姉ちゃんはサカキ達の前に堂々と現れた。
「お姉ちゃん!」
「大丈夫よ、さて、貴方達、ここで何をしているの?」
そのお姉ちゃんは腕を組んでサカキ達を睨んでいた。
「お前、俺達ロケット団の動きを見てたな・・・!」
「落ち着け」
サカキはラムダ達を制してそのお姉ちゃんの前に立った。
「こんな所に子供がいるとは・・・このシンオウ地方の歴史に興味があるのかな?」
「ええそうよ、この子にそれを教えてあげようと思って・・・」
「ほう・・・」
サカキが目を鋭くさせて少年を見ていた。神殿で出会って顔を覚えているのか、不敵な笑みを浮かべていた。
「子供ながらに伝説のポケモンに興味があるのか。それは感心だな。だが、これは大人の世界の話だ。大人の世界に子供が口を挟まない事だ!」
「あら、そう内緒にしていると、余計に知りたくなるのも子供の性よ?」
サカキ相手に動じる事無くお姉ちゃんは前に出た。
「ほう、私を相手にしても動じないとは、流石と言うべきだな」
「褒めてくれるのは嬉しいわ。見れば貴方達、シンオウ地方の伝説について知りたそうね。何を目的にしているの?」
「ほう、いい質問をするではないか。そうだな、伝説のポケモンを使って、金儲けを、新たなビジネスを掴むのだよ」
「ふうん、伝説のポケモンでよからぬ事をするのね。流石はロケット団、欲の皮の突っ張った連中ね」
「ふふ、ポケモンを使ってのビジネスを考えるのが、我々のやり方なのだよ。それで喜んでくれる者達もいる。君達子供には分からないがね」
「ええ、分かりたくもないし、分かろうとも思わないわ」
「君ほどの人間なら我々の考えを理解してくれると思っていたが、残念だよ」
サカキが指を鳴らすとしたっぱ達が一斉に現れた。
「ふふ、これほどの数を相手にどう立ち向かうのかね?」
「あら、正々堂々と挑まないのね・・・」
「こちらも相手をしてやれるほど暇ではないのでね」
「へへ、こちらは大勢だ。お前一人、一捻りだぜ!」
ラムダ達が襲い掛かろうとしていた。
「お姉ちゃん!」
「大丈夫よ、君はここで待ってて」
そのお姉ちゃんは優しい笑みを浮かべると、ボールからギラティナを繰り出して来た。
「げ、こいつは・・・!」
「ロケット団、集団でいるからと強くなったと思わない事ね」
お姉ちゃんの指示でギラティナはシャドーダイブをしてラムダ達を蹴散らしてしまった。
「うわああ、こいつ、強い・・・!」
「ほう、やぶれたせかいにいるとされている伝説のポケモン、ギラティナを従わせているのか・・・」
したっぱ達がやられてもサカキは余裕の構えを見せていた。
「そうよ、あ、でもあたし、普通のミニスカートのお姉ちゃんだから?」
「ふ、シンオウ地方は面白い、君のような油断のならないトレーナーがいるのだからな。いいだろう!」
サカキが指を鳴らしてミュウツーを呼び出して来た。
「私自らが、大人の怖さを教えてあげようじゃないか!」
「ええ、存分に頼むわね。それが出来るのなら・・・!」
お姉ちゃんの指示でギラティナがシャドーボールをミュウツーに飛ばして来た。
「甘いな!」
ミュウツーはテレポートをしてかわすとギラティナの背後に廻ってシャドーボールを飛ばして攻撃した。
「流石はロケット団のボス、一筋縄ではいかないわね!」
ギラティナがシャドーダイブで攻撃に出たが、ミュウツーはかわしてサイコキネシスで攻撃した。
「!」
その時の余波で何かにひびが入ったような感覚を少年は感じていた。
「ドラゴンダイブよ!」
ギラティナがドラゴンダイブでミュウツーを攻撃した。
「え、何?!」
するとその衝撃で柱が折れてお姉ちゃんの方に落ちて来た。
「嘘?!きゃああああああ!!!」
お姉ちゃんにぶつかる寸前で少年が足早に出てお姉ちゃんを押して柱から守った。
「お姉ちゃん・・・?」
「え、ええ、大丈夫よ・・・ありがとう、守ってくれたのね」
少年に助けられてお姉ちゃんは嬉しそうに微笑んでいた。
「ほう、勝負中のアクシデントからトレーナーを守るとは、美しいではないか」
「貴方、仕切り直しよ!」
「いや、もう十分だ。戻れ!」
サカキが指を鳴らすとミュウツーはボールに戻っていった。
「どう言う事なの!」
「君達の絆の美しさに興が醒めてね。今回の所はここまでにしておこう」
「逃げると言うの?」
「ふ、どんな時も引き際が大事だからな。今回はテンガン山を見れた。そして君のような面白いトレーナーがこのシンオウ地方にいる、それだけでも良しとしておこう。ではさらばだ」
サカキは指を鳴らすとその姿を消してしまった。
「サカキ様、テンガン山はいかがでしたか?」
山から戻って隠れ家でアポロがサカキを出迎えた。
「ああ、見事な山だった。伝説のポケモンが降り立ったとされる場所、その謎を必ず突き止めて、伝説のポケモンを我が物としてみせよう・・・!」
そう言ってサカキは不敵な笑みを浮かべていた。
「シンオウチャンピオン、シロナ・・・まさか奴とまみえるとはな・・・」
そう言ってサカキはボスの間へと戻っていった。