疼いた彼女はたまらずオナニーを始めてしまいます。
「それじゃまた明日ねー、バイバーイ」
ピッ。子機の通話オフボタンを押す。
また彼が誘ってくれた。明日は彼とショッピングだ。ちょうど新規にオープンしたブティックがあるからそこに一緒に行かないかって。
「楽しみだなー、明日」
両手で机に頬杖をつく。さすが、って思う。ちゃんと流行を抑えてる。さっきもちょうど行きたいなって思ってたところに彼からの電話。もちろん二つ返事でOKだ。
「そうだ、近くにこの間行っておいしかったカフェもあるし、そこでお茶するのもいいよねー、うんうん」
新しいお店に一人で行ってもおそらくそれほど面白くなかったと思う。彼と一緒だからこそ楽しいのだ。
風呂上がりということもあって体はポカポカだ。でも電話を切ってからの体の火照りはお風呂のせいだけではなかった。
「あっ」
不意に下腹部にじんわりとするものを感じる。
「だめ、明日はデートだしそろそろ寝ないといけないんだから」
でももう遅い。一度始まってしまった局部の疼きはそう簡単には収まらない。特に彼のことを考えて始まってしまったときには。
(少しだけだから)
そう思って脚を少しだけ開き右手を局部に持っていく。パジャマの上から小陰唇の中心を意識して、下からそっとなぞり上げる。
「んっ」
全身に心地よい痺れが広がる。もう一度、今度は少し指を深めに入れて
「はうっ、ん」
徐々に脚を開きながら指に込める力を強めていく。
「だめ、もうやめなきゃ……んっ!」
しかし言葉とは裏腹に疼きは強くなって、局部はさらに強い刺激を求めてくる。デスクチェアの背もたれに上半身の体重を乗せ、ぼんやりと中空を見つめる。そして何もない空間に彼の姿を思い浮かべながら脚を目一杯まで広げる。左手をパジャマの中に潜り込ませ右胸に置き、静かに揉み始める。
(これは彼の手。彼が優しく揉んでくれてる)
彼ならどう揉んでくれるだろうか……。そうだ、後ろからがいい。後ろから抱きしめるように伸びた彼の大きな手が私の胸をそっと包み込み、ゆっくりと揉み始める。
「はぁ、はぁ……」
吐息が押し出されるように出る。切ない気持ちで一杯になる。もしこの手が本当に彼のものだったら、私は一体どうなってしまうのだろう。きっと幸せな気持ちで一杯になって、何も考えられなくなってしまうのだろう。そしてすっかり力の抜けた私は夢うつつのまま彼の腕の中に収まり続けるのだ。
もうすっかり自分の手が彼の手だと思い込み、動かすことができる。右手も下着の中に忍び込ませると膣口まで溢れてきた愛液を指に纏わせ、クリトリスの下部にそっと置く。
(これは彼の指。割れ目から彼の指が上がってきて、そっと私のクリトリスをなぞり上げるの――)
「ふあっ!」
鋭い快感が一気に背筋を駆け上がる。弾かれたように上半身が仰け反り、チェアの背もたれがギシッ、と大きな音を立てる。
(どうしよう、すごく気持ちいいよお)
思っていた以上の快感に困惑する。彼の手だと思っただけでいつものオナニーとまるで違うのだ。
しかし自分の体はすぐにもう一度快感を得ようと、今度は連続して擦り上げていく。
「んあっ! あっ! あっ!」
クリトリスに指が触れるたび、体が強く反応し、たまらず声が押し出される。
(だめ、もう止められない……)
快感が体を支配し始め、自分で自分の体を制御できない。指に力を込め上下、左右、そして円を描くようになぞると、より強い刺激が断続的に全身に広がっていく。
「んっ! くっ! はあっ!」
やがてせり上がってくるものを感じ始める。
「はあっ! はあっ! もうだめ……もう……」
自然に顎が上がり天井を見上げる。背筋がピンと張り、下腹部にぐっと力が入る。
「はあっ! イッちゃう! もうイッちゃうよお!」
抗うことのできない快感の波が一気に押し寄せ、弾ける。
「んはあっ! あああーーーっ!」
全身がガクガクと痙攣する。痙攣で体が跳ねる度にギシッ、ギシッ、とチェアが軋む音を立てる。胸やクリトリスを愛撫していた手は硬直し、体中に広がる快感の波を無防備に受け続ける。
息が苦しい、何も見えない、何も考えられない。ただ無意識に感じる圧倒的な快感と多幸感があるだけだ。
「ふうっ、ふうっ…………ふうぅ」
一時の激しい波は過ぎ去り、心地よい穏やかな倦怠の時間が流れ始める。ぼんやりとした頭のまま、再び彼のことを思い浮かべる。
(好き。大好き)
胸の奥にじんわりとしたものが生まれ、何度もため息が出る。
しばらく余韻に浸っていたが、ふと時計を見るといつもの寝る時間を過ぎていた。
「はうぅ、もう寝なくちゃ」
のそのそとチェアから立ち上がるとすっかり濡れてしまった下着を履き替えベッドに潜り込む。すごく落ち着いている。きっと彼のお蔭だろう。これならすぐに眠れるはずだ。そして目を開けたら今度は妄想の彼ではなく実際の彼に会えるのだ。私は彼に「おやすみなさい、また明日ね」と言って目を閉じた。