とある転生覚者の物語~覚者は白竜を継ぐ気がない&戦徒は主を連れ還りたい 作:狗狼
※前半はモブ姦逆レ続き、後半はお仕置き&いちゃべた
「……モウ、殺セ……」
両腕を縛り上げられ身動きを取れない状態にされたうえで、若いオークに強要させられたのは青年への性的な奉仕だ。
青年の見掛けは細身で華奢だが、体質的に重量感のある筋肉が付かないというだけで、瞬発力や敏捷性には長けており、〈シーカー〉としては
孕み袋にすぎないひ弱な人間のメスと比べれば、〈覚者〉として鍛え上げられた戦士である青年の体力は底抜けといっても過言ではなかった。快楽は伴うが、いくら吐き出しても終わらない拷問のような時間。何度も何度も青年の中に精を吐き出させられた若いオークは、すでに息も絶え絶えとなっている。
「こいつをくれてやるよ。白竜印ガラエキスなんて高級品、オークの間じゃ出回らないだろ? これでお前もすぐに回復するだろうさ」
「ヤ、メロ……」
そんなオークの萎えた肉棒を体内に収めたまま、青年は自ら脱ぎ捨てた荷物の中から一本の小瓶を取り出した。結合部の周りには、肉の楔で
青年は殺せと懇願するオークを冷ややかな眼差しで見下ろしながら、蓋を咥え瓶を捻ってポーションを開封する。瓶からは熟成された酒にも似た薬の香りが漂う。その匂いだけで、薬効の高い薬なのだとオークにすら解る。
特別な手段でしか手に入らない高級品を少量、口に含んで呑み下した青年が愉快そうに笑う。
「ほら、お前にも分けてやる」
組み敷いたオークの顎を捉えて上へ向けた青年は、オークの牙の突き出た分厚い唇へと瓶の口を押し当てた。それを呑み干せばたちどころにスタミナは回復し、もう一度くたびれ果てるまで相手をさせられる。若いオークは含まされた薬を飲むそぶりを見せながら、青年に向けて口の中身をぶち撒けた。
「サッサト……殺セ」
オレンジ色の飛沫を浴びた青年は一瞬呆気に取られるも、肩を揺らしくつくつと声を上げて笑い出す。
「いいね、お前みたいな奴は嫌いじゃない。直々に呑ませてやろう」
顔に掛かった
青年は瓶の中身を煽ると両手でオークの頬を挟み、
わずかに開いた唇から舌を捻り込み、オークの鋭い牙を恐れることもなく、粘ついた舌に己の舌を寄り添わせるようにして口腔に薬を流し込んでやる。噛み付いてくるかと警戒もしたが、オークはもはや逆らおうとしなかった。青年は積極的に舌を絡めて相手を玩び、生臭い息を吐く鬼人と濃厚な口付けを交わす。
ああ、本当に本当に、自分は
薬を呑み干したオークの肉棒が、青年の体内でむくむくと大きさを増してくる。
「さぁ、もっと愉しもうぜ。夜は長いんだ」
青年は舌舐めずりをしながら、組み敷いた憐れな若いオークを見下ろす。その瞳は情慾に濡れ、爛々と輝いていた。
オークの剛直が硬さを取り戻し、中をみっしりと満たしてくると青年は尻にきゅうっと力を込める。
「ウォ……ォ、オア……ハ、グァ……アァ」
快楽に弱く、本能に支配されやすいオークの肉体は正直だ。緩急をつけて後孔を締め上げ、ゆっくりと律動を始めただけで、喜悦の声を上げびくびくと腰を震わせている。しかしスタミナは回復しても、自ら腰を突き上げてくるほどの体力は戻らないようだ。どうせ最後には殺すのだから、そこまで面倒を見てやる気はない。
すでに複数回オークの精を受け止め、体内はこれ以上ないくらい白濁に塗れている。にも拘らず、青年自身は精を放っておらず、適度な運動をしていると云わんばかりの涼しげな顔だ。
激しい性交にオークの裏筋は擦り切れ、愉悦とともに痛みを感じるくらいであるのに、青年の肉襞は緩むどころかますます締め上げが強まっている。
そして自分のためだけに快楽を追求している。オークは青年の中にすでに何度目になるか解らない精を放ちながら、自らの死を願っていた。
「はッ……ぁ、ンぁ……あ、ッ……ンぅ。んン゛ッ……!」
青年が自ら腰をグラインドさせるたび、ぱちゅんぱちゅんと湿った
だが、一方的な交わりから得られるものは肉体的な快楽のみだ。
己を解放する高みを目指しながらも、脳裏に浮かぶのは耳許で囁かれた美丈夫の甘やかに響く声と心を蕩けさせる言葉。身体中を優しく撫ぜ回す、指と唇の感触。それらを忘れたくて、浅ましくも人でない者にこの身を貫かせているというのに、悦を求めれば求めるほど、忘れたい記憶が呼び醒まされる。
後ろだけで絶頂を目指し腰を激しく振り続けながら、青年はふくらはぎに忍ばせてある
「ン゛ゥ゛っ!」
熱く硬い肉棒に自身の最奥を貫かせ、受け止めた法悦に大きく背を仰け反らせながらふたたび腰を上げる。逸物が抜け掛けるほど大きく伸びをし、両腕を振り上げ手の中で短剣をくるりと回し、刃が光を弾く。闇に煌めく細い鋼刃を目にしたオークは、ようやく解放されると口端に笑みを刻んだ。
青年は確りと得物を握り直すと、オークの喉許目掛けて研ぎ澄まされた刃を左右から振り下ろしながら、腰を深く引き落とした。巨大な肉の楔が最奥のS字結腸を突き上げる。まるで脳震盪を起こすような強い快楽のうねりが、青年の全身を走り抜ける。
喉笛を切り裂く感触が腕に伝わるのと、最後の精が放たれたのと、青年が絶頂に達しオークの腹の上へぺたりと座り込むのが同時だった。
「……あ゛あ゛ッ!!」
ぶしゅううううううと勢い良く吹き出すオークの血潮。温かな血液を全身に浴びながら、体内には熱い精液を浴びせ掛けられている。青年はうっとりとした表情で大きく息を吐いた。
「あ、は。……はっ、あぁ……はあッ、ぁ……」
結合部を見遣れば、足の間からオークの腹に漏れ出す液体にも血が混じっていた。すでにオークは精液を出し尽くし、最後には血混じりの液体を吐き出していたのだろう。
ゆらりと幽鬼のように立ち上がった青年の足の間から、白と薄桃色のマーブル模様を描いた液体がどろりと内腿を伝い落ちている。その一部はオークの死体の上にぼたぼたと滴り落ちた。脚絆を巻いたふくらはぎも汚液でどろどろだ。
青年はそのまま奥の水場へと足を運ぶ。膝丈の水溜まりに足を浸して膝を突き、掌を使って水を身体に掛けながら、血と精液を落としていった。
「ん……ぅ、ふ……」
最後には尻穴に自らの指を差し込んで、たっぷりと注ぎ込まれた精液を掻き出してゆく。粘液質の精がぼたりと音をたてて、水の中に落ちる。粘度の高い汚液は、水に溶けず水溜りの中でクラゲのように漂った。
臭いは落としきれないが、ある程度身体の汚れを落とすと、血に濡れた服も軽く水洗いする。夜気はまだ冷たいが、湿った服を着込んで肩鎧と胸当てを身に付けた。完全に臭いが落とせた訳ではないが、夜が明ける前には闇に紛れたい。人目に付く訳にはいかない。
最後に腰のポーチに入れている火薬を取り出し、嬲り殺しにしたオークの死体に仕掛ける。手慣れた仕種で短剣同士を打ち付けて火薬へと着火させ、憐れなオークを焼いた。そこへさらに油瓶を放り投げる。がしゃんと音を立て、割れた瓶から漏れた油が大きな火となる。
念には念を入れて死体の後始末をしてから、青年は井戸底をあとにした。
青年がオークを一夜の相手として利用するのは、そのまま殺してしまえるからだ。いくらなんでも、人間を相手に同じことは出来ない。賞金首のオークなど、どうせ見付かり次第殺されるのだ。火照る身体を鎮めるため、利用した処で誰も困りはしない。人間相手に秘密を明かし、その秘密を守り切るより、よっぽど楽だ。
この悪癖が露呈すれば、青年だけでなく〈覚者〉そのものの評判が地に落ちるだろう。だからこそ、この場所が人に広まる前に、利用出来るかを確認しておきたかった。都合良く、今日この日にオークどもが潜伏しているのを発見してしまうと、もう自身を止めることは出来なかった。
だが、肉慾だけでなく、殺しを終えてもまだ、足りない。以前ならここまではしなかった。体力の有りそうなオークに相手をさせ、へたばった辺りですんなり殺していた。
美丈夫とのまぐわいを知ったあとでは、体力の有り余っていそうな若い者を厳選しても、ただ巨根というだけのオークが相手では物足りなかった。それだけ美丈夫との身体の相性は良かったのだ。では何故、いまだにオークなどを相手にするのか。
青年はその理由を深く考えたくなかった。
出ていったときと同じく、庭からテラスを通って帰還する。
外はまだ薄暗いが、部屋の灯りが落ちているのを見て、美丈夫の姿を探すのはやめた。足音を立てぬよう気を付けて部屋に入ると、まずは金属製の肩鎧と胸当てを外しながら武具棚へ向かう。愛用の武器と鎧をひとまず棚に置き、そのまま湯殿に足を運んだ。
衝立の奥で服を脱ぎ、血汚れを確認する。返り血が酷ければ臭いは取れず、布類は捨てざるを得ない。処分する可能性を鑑みて、普段と違うものを選んだとはいえ、オークとの性交時に身に付けていたのは両手足のバンテージだけだ。こちらはいくつも替えがあるため、処分してしまって構わなかった。
結局、上衣と下衣含め、衣類は総て処分することにした。
下穿きのみで衣類の処分をしている処で、人の気配がした。誰だか確認するまでもない。
「起きていたのか。湯を使う間に、鎧の手入れを頼んでいいか?」
気配は動かず、常より低い声で求める答えとは違う言葉が返ってくる。
「〈覚者〉サマ……何故、あんなケダモノの臭いを纏い付かせて帰ってきなさるンです?」
「なんのことだ」
「オークの、臭いですよ……」
あくまでしらを切り通し、美丈夫の目の前で下穿きすら脱ぎ去って素裸で浴槽に向かう青年。普段は湯着を身に付ける習慣があるレスタニアの民だが、自室でまでそうとは限らない。
「確り
湯殿の入り口に立つ美丈夫の脇を通り抜けようとすれば、手を掴まれて後ろから抱き竦められた。肩口に顔を埋めた美丈夫が身体を震わせている。青年は肩に掛かる金糸を手に取り、口許に運ぶ。
「そうじゃねェ……。アンタからするのは若いオスの臭いだ」
「だから? だったらお前が上書きでもするか? いまなら、前戯なしでお前を受け入れられるぞ。それとも、他のやつに抱かれたあとじゃ嫌か?」
はらりと髪を離した青年は、裸身に巻き付く美丈夫の手に自分の手を重ねる。
「早く臭いを落としたい。嫌でないのなら湯浴みを手伝え、ルキウス」
「……御意」
なにか云いたそうに唇を震わせていた美丈夫だったが、すっと手を退き抑揚のない声で応じた。恭しげに青年の手を取り浴槽へと導く。
「どうぞ、〈覚者〉サマ」
浴槽の縁へ青年を座らせると桶に湯を入れ、手で髪へと湯を掛ける。暖かな湯に固まった血汚れが溶け出し、身体の表面を流れ落ちていった。
ある程度汚れを落としたあとで、香油入りのシャンプーを手に取った美丈夫は指の腹を使って確りと頭皮をマッサージしながら髪を洗ってゆく。丁寧な指遣いに、思わず笑みが零れた青年の、安堵の息が漏れる。
「あぁ……お前の手は心地好いな」
「有難きお言葉で。汚れを流しちまいますンで、目を閉じていてくだせえ、〈覚者〉サマ」
美丈夫の言葉には、どこか余所余所しさが残ったままに感じる。汚れを含んだ泡を軽く切ると、美丈夫は新しい湯を汲んだ桶で青年の髪を
「もう、目を開けても大丈夫ですぜ」
髪を洗い、新しいリネンで顔の水気を拭うと、美丈夫は云った。続けて髪の水気を切ってゆく。青年は碧翠の両眼で、美丈夫が献身的に奉仕する姿を
自身の傍らに誰かがいるのは心地好く、安心出来るのだと知ってしまった。この当たり前となってしまった日常を失うことに、自分は耐えられるのだろうか。
そんなことを考えている間に、美丈夫は石鹸を泡立てている。髪を洗い流したこともあり、湯殿に充満する湯気で青年の膚は程よくふやけている。美丈夫は手にした垢すり布で、青年の身体を丁寧に洗ってゆく。右腕から肩、首筋から背を通って左腕。脇、胸、腹と丁寧に、丁寧に。
上半身が終われば次は下半身だ。腰周りを軽く擦ると、美丈夫は濡れるのも構わず
全身を洗い終えた美丈夫は新たな湯を汲み、青年の身体を覆う真っ白な泡を濯いでいった。暖かな湯が表皮の汚れを洗い流してゆく感触が心地好い。浴室中に香る香油の匂いに包まれリラックスしてくる。
普段であれば軽口を叩き、すぐに睦言へ持ち込もうとする美丈夫。しかしいまは余計なことはなにも口にせず、ただひたすら云われるままに身を尽くしている。その姿はどこにでもいる普通の〈戦徒〉のようだった。自発的な意志や感情は持たず、〈戦徒〉として契約を交わした主に付き従い、献身的に働く忠実なる従者。それが〈戦徒〉のあるべき姿だ。
「……ルキウス」
自分の喚び出した〈戦徒〉はよく喋り、よく笑う。そしてよく拗ねる。そんな、規格外の感情豊かな〈戦徒〉のはずだ。それが自分はどこにでもいる〈戦徒〉と同じなのだと云わんばかりに、青年の言葉に従うだけという姿勢を見せている。
そんな姿を見たかった訳ではない。自分でけしかけておいて勝手な云い分だとも解っている。
月はもう地平に沈み、太陽が昇り始めていた。すでに美丈夫が満月に囚われることのない時間のはずだ。
「どうしなすったンで、〈覚者〉サマ?」
「確かめなくていいのか?」
青年は浴槽の縁に右足を乗せると膝を立て、高踏的な笑みを浮かべながら、足の間の薄暗がりを美丈夫の眼前に晒し、挑発する。
それに対して美丈夫は、眉ひとつ動かさなかった。
濯ぎ直した垢すり布を手にして、青年の真正面に恭しげに膝を突く美丈夫。青年は美丈夫の変わらぬ態度に、言葉を失った。内心の狼狽を知られぬよう、美丈夫の首に腕を投げ掛け、俯きがちに顔を隠すようにして自分の身体を支える。
「失礼しますぜ、〈覚者〉サマ」
美丈夫は青年の尻に布を宛てがい、右の掌を上に向けて人差し指を後孔の襞に触れさせる。青年が口にした通り、後孔は特に解す必要もなくつぷりと指先を呑み込んでゆく。すでに柔らかく解れていた襞は、わざわざ寛げなくとも美丈夫の指二本を根本まですっぽりと咥え込んだ。
「ん……ふ、ぁ……ぅ」
美丈夫は中を傷つけないよう丁寧に腸壁をなぞり、残滓を指の腹で掻き出してゆく。わずかに残っていたオークの精液が指を伝い、柔らかな布の上にとろりと落ちてくる。なるべく青年の性感を煽らないよう、丁寧に触れた積もりだ。しかし激しい性交で敏感になりすぎた青年には、どんな触感も悦を呼び起こした。押し殺したような微かな喘ぎを漏らした青年は、艶めいた己の声を訊かせようと、美丈夫の頭を抱え込む。その耳朶に熱のこもった息を吐き掛ける。
「は……ぁ、っ……ぁ」
中の汚液をひとしきり掻き出したあと、美丈夫は一点をゆるゆると撫でくりまわした。いままでとは違い、明確に官能を呼び醒す指の動きに、青年の身体がびくんと大きく震える。緩く勃ち上がり掛け、透明な先走りを滲ませる陰茎。それとは別に、触れられてもいない乳首が硬く凝り出す。
「〈覚者〉サマのイイトコロはちゃあんと、知っとります。ココ、でしょう?」
「ん、あッ……!」
壁越しにそっと触れているだけでも解る、ぷっくりと膨らんだ弾力のある器官。そこに触れると青年は、一際大きな声を上げて顔を仰け反らせた。そしてその途端、美丈夫の態度が変わる。顔を上げた美丈夫が、口端を吊り上げて皮肉げな笑みを浮かべ、言葉で青年をなぶる。
「自分でもよォくご存知でしょう? ココに好きなだけ、オークどものデカマラを擦り付けて、たっぷりと愉しンできなさったってワケですな……」
「あぁッ……ふあ。……ンぅ……あ゛ぁ!」
「汚ェチンポは旨かったですかい?」
こりこりとした弾力を持つ器官の裏側を撫でながら、青年の耳たぶを甘噛みした美丈夫が意地悪く云う。
「なァ、〈覚者〉サマ……知ってますかい? 勃たなくても、アンタの精を搾り取れるって。ココをね、こうしてやると、出ちまうンですよ」
「な、に……?」
緩やかに与えられていた悦楽は、圧迫感へと一転する。美丈夫は前立腺の奥にある一点へと指先を滑らせ、腸壁越しにぐいと強く押して精嚢へ刺激を与えたのだ。刺激になにかが身体の奥から、尿道へと押し出されてくる感覚がする。
美丈夫のもう一方の手は、中途半端な硬さで先走りの蜜を滴らせる青年の陰茎を上に向け、優しく包み持っていた。
「ほら、見てくださいよ。アンタのミルクだ。こうやって搾ってやったら、全然気持ち良くなんてならねェンですよ。知ってましたかい?」
すぐに美丈夫の言葉通り、その手の中の陰茎の先からとろとろと白濁が零れ出す。それを目の当たりにした青年は、漏れ出る精を止めようと股間に力を入れるが、当然効果などない。それは与えられる刺激に応じて肉体が示す、ただの反応だ。
「や、なんで……嫌だ、やめろ……ルキウスっ!」
「ああ、勿体ねェな」
あふれ出る精液が、己の指や青年の腹を白く染めてゆくのを見て、美丈夫は呟く。そのまま青年の股間に顔を寄せると、白濁に塗れた青年の膚を舐め、精を啜った。じゅるじゅると卑猥な音を立てるのは、青年に訊かせるためだ。青年の意志に拘らず、快楽を伴わずとも、搾精することは可能なのだと知らしめるために。その事実にすっかり萎えしぼんでしまった肉茎を口に含んで、先端からあふれ出る精液を啜る。その間も体内に収めた指では精嚢を刺激し、青年の精を搾り続けていた。
「や、だ……ぃや、だ!」
美丈夫の頭を自身の股間から引き剥がそうと、豊かに波打つ金の髪を掴む手が震えている。身体の中に太い指を差し込まれたうえに、逸物を口に咥え込まれている。
自身の意思に反して漏れ出る精。射精したくとも、
矛盾する己に青年は混乱していた。そんな状態で、手指に力を込めたりなど出来ない。急な力を加えた拍子に、内臓が傷付き男性自身を噛まれる可能性がある。
本能的な恐怖に青年は身を竦ませ、頭の天辺からつま先まで、全身の筋肉を張り詰めさせている。美丈夫の頭の横に見える太腿は、痙攣するようにふるふると震えている。
青年は肩で息をつき、掠れた声で懇願した。
「お願い、だ……ルキ、ウス……」
微かな声を耳にしたあと、ぽたりと音がして美丈夫の髪に小さな水滴が落ちる。見上げれば声を震わせながら哀願する青年の瞳は見開かれ、ぽろりぽろりと涙があふれ出している。涙を止めようとして唇を噛み締め、全身を震わせている青年の姿が美丈夫の視界に飛び込む。泣き声を上げないのは、かろうじて残された薄皮一枚の矜持が、そうさせているのだろう。
美丈夫はいまのいままで、この魂が涙する姿を、目にしたことなどなかった。いまこの場で牙を折るのは至極簡単だろう。そうすれば青年は美丈夫に従順な飼い犬と成り下がる。だが、今生の死を迎えるまで、青年の意志が美丈夫を愉しませることはなくなる。安全な
青年のモノから口を離した美丈夫は呆れたように溜息を吐き、体内から抜き去った手指を湯桶で洗い清めた。金の髪に絡まる指を外す間、青年の抵抗は一切なく、美丈夫にされるがままだった。
「狡いですぜ、〈覚者〉サマ。コレじゃあ、オレがアンタを虐めてるみたいじゃねェですか」
先にけしかけてきたのは青年のほうだというのに、そんな姿を見せられては折れない訳にいかない。青年はまさか自分が追い詰められることになるとは、露ほども思っていなかったのだろう。
美丈夫は濡れた下腹部を丁寧に拭うと、声を出さずに
「〈覚者〉サマ、立てますかい?」
美丈夫の言葉に青年は虚ろな反応しか示さない。快感を伴わず、無理やり精を搾り取られたことで虚無感に襲われ、茫然自失となっている。手を取って立たせようとすれば、美丈夫に合わせてゆっくりと身体を動かすが、体重は美丈夫に預けっぱなしだ。
濡れた身体を拭うための清潔なリネンを取ろうとすると、青年が邪魔になる。致し方なしにその身体を抱え、再び浴槽の縁へと腰掛けさせた。背凭れがなくとも、なんとかひとりで状態を保っていてくれそうだ。
「このままじゃあ、お風邪を召しますンで」
青年に背を向けた途端、右袖を引かれた。違和感に振り返れば、軽く腰を浮かせた青年が美丈夫の袖を掴んでいる姿が目に入る。
「ぁ……」
咄嗟に出てしまったのだろう小さな声とともに、袖が解放される。青年は自分の行動に困惑して、
「大丈夫、置いて行きゃあしませんから」
優しく声を掛けるが、バランスを崩した青年の姿が後ろに倒れる。
「危ねェ!」
後ろは広い浴槽とはいえ、呆けた状態で倒れて後頭部を打てば危険だ。美丈夫は咄嗟に青年へと抱きつき、その後頭部に腕を廻した。ざぶりとふたり分の湯が零れる。
美丈夫のサンダルは脱げているが、それ以外の衣類は身につけたまま濡れるのも構わず、浴槽に飛び込んでいた。
「大丈夫ですか? お気を付けくだせえ、〈覚者〉サマ」
ゆっくりと上体を起こし、青年に怪我がないか確認する美丈夫。青年の頭を抱えた腕には浴槽の縁に打ち付けた打撲の痕が付き、赤くなっていた。
青年は手を伸ばし、すぐに青痣になるだろうその痕に口付ける。泣かせたのは自分だが、どうすれば青年を落ち着かせることが出来るだろうか。そう考えていたのは一瞬で、目縁に名残はあるものの涙はもう止まっていた。
「痣なんざすぐに消えますよ。〈覚者〉サマ、ご一緒してもよろしいですかね?」
しばし美丈夫を見上げていた青年が、こくりと頷く。
美丈夫は一旦湯から上がるとずぶ濡れの部屋着を脱ぎ、軽く水気を絞って脱衣籠に放り込んだ。それから大きめのリネンを一枚手に取り、脱衣場と浴場の間仕切りに掛ける。
青年は浴槽の縁で両腕を重ね、その上に頭を横にして美丈夫をぼんやりと眺めていた。
重量感のある筋肉の付いた上背、緩やかな稜線を描く僧帽筋、六つに割れた腹直筋、どれも青年の身には付かないものだ。美丈夫が動くたび、見事な体躯の表面で、鍛え上げられた筋肉が躍動している。
「さてと、そいじゃ失礼いたしますよ」
美丈夫は青年と同じく素裸で浴槽に入る。奥のキメラを模した吐水口のある壁際に腰を下ろし、大きく息を吐く。
「こちらに来なさりますかい、〈覚者〉サマ?」
「っ……」
「確り温まりましょうや」
美丈夫は青年を抱き竦め足の間に収めると、その薄い腹の上に両手を乗せて腕を組んだ。これでは美丈夫の腕を振り解けなければ、逃げられない。美丈夫は青年の肩口に唇を這わせ、濡れた膚を舌でなぞる。
「お疲れでしょう、〈覚者〉サマ」
美丈夫のいう通り、青年の体力は限界に近かった。夜を通して暗躍し睡眠不足なうえ、美丈夫の手による強制射精や、感情の起伏による疲労が蓄積している。触れあった膚から伝わる体温、適温に調整された湯のどちらも心地好く、そのまま意識を手放しそうになるくらいだ。それでも、浮力を受けた湯の中で身体を動かすことは、そう難しくはない。
青年はくるりと身を反転させ、美丈夫の胸の上に延し掛かる。自然、美丈夫は背を後ろに倒さざるを得ない。浴槽の縁に両肘を乗せ身体を支える美丈夫。青年は両手を美丈夫の肩に掛け、湯から半身を乗り出す。物欲しげな目付きで美丈夫を見下ろすと、唇を差し出して動きを止めた。
流石にそこまでされれば、なにを求めているかは解る。
「いまキスなんぞしたら……アンタの味がしますよ?」
後頭部に手を回し、顔を引き寄せながら冗談めかして云うも、素直に顔を寄せてくる。香油入りの石鹸で丁寧に洗い清めた肢体からはもう薄汚れたオークの臭いもしない。
致し方なしと小さく肩を竦め、引き寄せた青年の顎に手を滑らせる。そのまま口付けると今度は青年のほうから二度、三度と美丈夫の唇を甘噛みしてきた。
「ん……ぁ、ふッ、ぁ……ンァ」
唇を緩く開けば、青年から積極的に舌を潜り込ませてくる。ほっそりとした舌は行き場のない情慾に濡れて熱を持ち、欲望に忠実に美丈夫の舌へと絡み付いてきた。
口の中にはまだ青年の放った白濁の残滓が残っている。それを味蕾に擦り付けるように、青年の舌と絡め合わせる。誰より人膚を恋しがっているくせに、愛情を持って触れようとすれば逃げる青年が、挑み掛かるように己を求めてくる。
「ふ、ッ……ン、む……は」
「はぁ、ッあ……んんッ」
ひとつの生き物であるように互いを求めて激しく絡み合う舌。青年は美丈夫の首に両腕を回し下肢を押し付けるが、正常な反応を示さない逸物は柔らかなままだ。逸る吐息や上気する頬だけでは、その先を求める言葉を青年から云い出せない。それでもこの男との触れ合いが、ただ快楽を求めるだけの関係よりもよほど満たされるのだと知ってしまった。美丈夫は〈戦徒〉だ。ただひとこと命令を口にすれば、絶対に従うと解ってはいる。しかし青年が求めるものはただの傀儡ではない。
存分に求め合い、互いの情慾へ火を点ける長い長い口付け。しかし体力的に限界の近い青年には、その先へと進むことは不可能だということも互いに解っている。名残惜しげに舌を解放し、顔を離した美丈夫が青年の顔を凝視める。
「……アンタはオレを、どうしたいンですかい? 優しくすりゃあ、逃げる。従順でいりゃあ、煽る。盾突けば、泣く……ときた。オレはこう見えて、この世のダレよりも嫉妬深いンですぜ、知っとりますか〈覚者〉サマ?」
オマエは憶えちゃいねェだろうが、それこそ世界をひとつ滅ぼすくらいにな? 伝えることが禁忌となる言葉は呑み込んで、腕の中に青年を収めたまま美丈夫が肩を竦める。とはいえ、喩えなにがあろうとも手放す気はない。
「あんまりオレを困らせねェでくださいよ」
もう満月は終わったのだから、この〈戦徒〉は主の意に染まぬことはしないのだ。ついさっきまで、青年はそう思っていた。だが、そうではないのだと思い知らされた。美丈夫は自らの意思を持っているのだから当たり前だ。だから、いつかきっと自らの意思で離れてゆく。
限界の近付くなかで、青年が問い掛ける。
「お前は、何者だ? ……ルキウス」
それはどんな意味で問うているのか、逆に訊き返したくなる言葉だった。
「アンタの……いや、アンタだけのパートナーですぜ」
しばし悩み、こめかみに口付けながら答えれば、青年は片目を瞑り
「そうだ、俺の〈戦徒〉だ。もし俺が〈覚者〉でなかったら……いまここに、お前はいない。そして俺は、お前がいなくなったときのことを……考えてしまう」
そこで美丈夫はあることに気が付いた。白竜を継ぐ者が決まれば、他の〈覚者〉の力がどうなるのか。総て白竜に還元されるのか、あるいはその後継者のものとなるのか。現在、一介の〈戦徒〉でしかない美丈夫には、そこまで見通せない。
しかしレスタニアに存在するポーンの民全員が、後継者となったただひとりの〈覚者〉に仕えさせられる可能性もある訳だ。それも白竜の狙いのひとつでもあるのだろうと悟り、美丈夫は苛立ちを憶えた。
青年の瞳はほぼ閉じ掛けており、腕で支えていた身体は完全に美丈夫の胸に凭れ掛かっている。
「俺、が〈覚者〉で、なくなったら……お前は俺の元を……去るんだろ、う?」
「喩えアンタが〈覚者〉でなくなっても、アンタの傍にいますよ」
青年の体力は限界ぎりぎりで、言葉はすでに
「……ほんと、う……に?」
美丈夫は青年に肩を貸し脇の下に腕を入れると、華奢な肢体を抱えて立ち上がる。
これは己のモノなのだ。白竜などという異世界の神に渡す積もりなどさらさらない。だからわざわざ連れ戻すために自らがこうしてやってきたのだ。この青年であるから、ふたたび己の主となることを赦したのであって、それ以外の〈覚者〉に仕えることなど、考えられない。
「いまはオレの言葉だけを信じて、ゆっくりとお眠りくだせえ。〈覚者〉サマ」
「ん……」
青年はすでに眠りの淵に
「ひとりで立てますかい?」
顔を覗き込みながら訊いたのも、単なる確認であり青年からの返事はない。その身体は美丈夫が支えているから、かろうじて立っていられるといった状態だ。
美丈夫は籐の衝立に向けて手を伸ばし、先ほど掛けた清潔なリネンを取った。柔らかなリネンを青年の肩にふんわりと被せてやり、ことさら丁寧に身体の水気を拭う。自身も大まかに身体の水気を拭き取ったあと、リネンに包んだ青年の身体を確りと両腕で抱き上げる。己は裸身のまま、腕の中で健やかな寝息を立てる青年を寝室まで運ぶと、広いベッドに横たえ上掛けを掛けてやる。
とはいえいくら不老の〈覚者〉であっても、濡れた髪をそのままにしておいては、風邪を引くかも知れない。美丈夫はさらに新しいリネンを何枚か手にして寝室に戻り、ベッドに腰掛けると自身の膝に青年の頭を載せて丁寧に髪を拭ってやった。持ってきたリネンを使い切る頃にはあらかた水気も切れ、そのまま寝かせておいても問題ない程度には髪を乾かすことが出来た。
美丈夫は濡れたリネンを片付けると部屋着を羽織り、処分する衣類を纏めて階下にある
それだけ済ませてようやく青年の隣に潜り込むと、寝起きの反応を想像しながら愛しい〈覚者〉の身体を抱き寄せて眠りに就いた。
好き勝手にやりたい放題振る舞う〈覚者〉に対する〈戦徒〉からのお仕置き回でした。
さて『ドラゴンズドグマ』だと総てのポーンの民は主人公である〈覚者〉に全員が付き従う訳ですが、実はDDONはシーズン3.2くらいまでしか遊んでいないので正確なオチを知りません。まあその辺は捏造設定全開となることでしょう。
次回は少し時系列を飛ばしたシーンにするか、起き抜けの様子を書くか、悩み中です。