タイトル通りの話。
同作をpixivにも投稿しています。

注意点
二次設定、独自設定、独自解釈等があります。
オリキャラ(名無し男)との絡みになります。

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R-18パートは2番のみです。1番と3番はR-18要素のないパートになっています。


潤美さんの母乳を搾ったり一緒に楽しむ話

1.

 三途の河に住んでいる、なんて初対面の人に言おうものなら、相当変な奴だと思われるか、幽霊や妖怪の類と思われるかのどちらかだろう。だが、住んでみると――ある程度立地を選ぶ必要はあるが――そこまで悪い所でもないし、死神に向こう側に誘われる、なんてこともない。休憩時間で暇だから一勝負どうだ、と将棋や囲碁に誘われたりはするけれど。

 現在、自分は人間の身でありながら、三途の河の傍らに立つ一軒家に住み、河で飼い慣らしている巨大魚を時折売りに行っては生計を立てている。それこそ、三途の河の流れのように、穏やかで静かな生活を満喫していた。

 もっとも、一人で暮らしているわけではない。恋人である、潤美と一緒にだ。そもそも、元々そんな生活を送っていたのは彼女であり、自分は後から転がり込んだだけなのだが。

 ともかく、今となってはかなりこの生活にも馴染み、今や巨大魚への毎日の餌やりも潤美と分担して行えるほどになっており、ちょうど今、それが終わったところだった。

 待ち合わせ場所の漁場の桟橋に戻ると、既にそこには一足先に餌やりを終えた潤美が腰掛けており、赤い尻尾が退屈そうにゆらゆらと揺れていた。

「潤美さん、お待たせしました。あっちの分の餌やり、終わりましたよ」

「いや、丁度こっちもさっき終わったところさ。お疲れさん」

 そんな彼女に後ろから声を掛けると、彼女は振り向いて軽く笑い、傍らに置いていた空の餌入れの籠を持って立ち上がる。勿論、石像の赤子もきちんと腕に抱えていた。

「では、この後は魚を売りに?」

「うーん、それでもいいんだが、まだ昼過ぎだからな……。出掛けるのは、家で休憩した後にしようか」

 潤美はちらりと天を仰いで高い日を覗くと、自宅のある方向へ一歩歩き出す。自分も歩調を合わせて隣を歩き、並んで彼女の家へ向かう。

「それなら、俺は先に荷車の準備をしておきますので、潤美さんは先に休んでいて下さい」

「ありがとう。でも、その前に……」

「分かってますよ。先に道具の片付けから、ですよね」

 次の作業の準備の前に、今の作業の片付けから。恋人兼先生に教わった作業の基本を再確認しつつ、潤美の籠をひょいと取って自らの籠に重ねる。

「そうそう……じゃなくてっ」

「す、すいません。違いましたか?」

「ああ、いや、すまん。その心構えは間違ってない。でも、私がさっき言いたかったのは……」

「はい」

 慌てた謝罪に潤美も謝罪を返し、二人して謝り合う。自分が彼女の言葉の続きを勝手に予測したせいで少々まごついてしまったが、改めて、先の言葉の続きを待つ。

「えーっと、だな、つまり……」

 しかし、何やら歯切れが悪く、言いにくそうにしていた。そんな潤美の様子に、もしやと心当たりが浮かんだので、もう一度彼女に先んじて問い掛けてみる。

「あの、もしかして、いつもの“あれ”ですか?」

 すると、隣を歩いていた潤美の足がぴたりと止まり、無言のままこくりと小さく頷く。黒と白、左右非対称の色をした髪の隙間からはほんのりと朱に染まった頬が覗き、普段の姉御肌で快活な雰囲気とは異なる、物静かな返事も合わせて彼女の照れを如実に語っていた。

「ごめんなさい。察しが悪かったですね」

「い、いや、そんなのは気にしなくていい。私も、はっきり言うのはどうにもまだ恥ずかしくてな……」

「いえいえ、仕方ありませんよ。では、さっさと家へ向かいましょうか」

 “あれ”をするならそれはそれで準備が必要なので、早めに戻った方がいいだろうと、止めていた歩みをまた揃って進めていく。

 ついさっき、潤美に言いにくいのも仕方ないと言ったが、それは気休めではなく本心からの言葉であり、未だに完全に慣れていないのは自分も同じだった。何せ、この後待っている行為について考えただけで、既に興奮がふつふつと湧き上がっているのだから。

 

 

 

2.

 家に着いて早々二人で籠や道具の片付けを簡単にだがささっと終え、潤美には先に居間に行ってもらい、自分はこれから使う道具の準備してから遅れて居間へ向かう。

「お待たせしました。そっちはどんな感じですか?」

「ああ、結構溜まってるかもしれん。けど、すぐに、って感じでもないな」

「了解です」

 居間には卓袱台の脇に布団が敷かれており、その上に緩く胡坐をかいた潤美が座って待っていた。布団の上には掛け布団も枕も何もなく、敷布団のみが敷かれているが、これは自分が準備をしている間に彼女が敷いたものだ。

 潤美にあることの様子を尋ねつつ、先程用意した道具を乗せた深めのお盆を、傍らの卓袱台の上に置いて、彼女の隣に自分も胡坐をかいて腰掛ける。半纏を脱いで、漁の際に好んで着用する水着に似た衣装のみを纏う潤美の後方で、緊張の表れなのか赤い尻尾が一定のリズムでぱた、ぱたと布団を叩いているのが可愛らしい。

「よし、始めるかー」

 潤美は軽い調子で言うとこちらの前に体を持ってきて、背中をもたれさせる。

 彼女の身長は自分より少し低いくらいと女性としては高めであり、お腹や足、腕回りは日々の漁師生活によってか、しっかりと引き締まっており、男の自分から見ても格好よくとても美しい。

 とはいえ、そうは言っても筋肉質な感じは薄く、体つきや肩幅は女性らしく丸みがあり、普段の雰囲気も合わせてさばさばとしながらも包容力も備えた、大人の女性というイメージを与える。

 目線を下げると、肩に届くくらいのウェーブした髪の側面辺りと頭頂部に、それぞれふわふわの獣耳と赤い一対の角、更に下にはさっきも和ませてくれたふりふりと揺れる赤い尻尾と、彼女の妖怪らしい一面が色々と目に入る。だが、やはり今この瞬間、一番気になってしまうのは。

「〇〇も待ち切れなさそうだな?」

 潤美はこちらの視線がどこに注がれているのか、顔を見ずとも気付いたらしく、軽く振り向いて悪戯っぽくにやにやと笑う。

 そんな風に笑われてしまうほど、注目していた場所。それは、彼女の上着を高く押し上げる、大きく盛り上がった乳房だった。

「実は、準備してる時からずっと、そわそわしてました」

「ふふっ、正直だな。なら、待たせるのも悪いな」

 正直な言葉に潤美は笑顔を浮かべ、胸の下から服に手を掛けると、ぐいっとたくし上げる。衣装を先に横に引っ張って隙間を作ってから服を上げても、巨大な乳房はそれに少し引っ掛かり、服を脱ぐと同時に柔乳はぶるんと大きく弾む。

 目の前に露わになる、巨乳と表現するには少々物足りないとすら思えるくらい、大きな胸。三途の河は霧が出ている日が多いとはいえ、外での作業で仄かに日に焼けて健康的な色をした腹部や足回りとは違い、焼けていない分少し白味の強い美しい双房。しかし、乳房の大きさに見合ったやや大き目の乳輪と、その中央でぷくんと突き出た乳首は濃いピンク色に彩られており、互いが互いを引き立たせている。

「それじゃあ、頼むぞ?」

「はい。任せて下さい」

 服を脱ぎ終えて、こちらに深く体を預けた潤美に頷きを返し、ここからは自分の仕事だと両手で彼女の双乳をそれぞれ下からそっと持ち上げた。

「っ、ん……」

 潤美は自身以外の手の感触に一瞬だけ声を漏らして体をぴくっと揺らす。

 持ち上げる手の平から伝わる、もはや『ずっしり』と表現出来るほどに重い、彼女の巨大な乳房。男の手でも優に持て余すほどの大きさに見合ったこの幸せな重みは、何度味わってもついつい魅了されてしまう。

 重さでも乳肉の豊かさを噛み締めた後、五指を使って手の平の上でぷるぷると揺れる柔肉を、ゆっくりと揉み始める。

「もし出そうになったら、すぐに言って下さいね」

「ああ、分かってる分かってる」

 潤美は静かに頷くと息を吸って吐いてと深呼吸を繰り返し、揉まれるままに指を沈ませる自身の双丘へ視線を下げる。

 彼女に言った『出そうになったら』。それが何を指しているかと言えば、このとても豊かに実った果実に溜まった母乳だ。

 そう、これから行うのは母乳を搾る行為、所謂搾乳であり、予め用意したお盆にも母乳を入れるために使う、口が大き目の瓶とその蓋が二つずつ用意されている。

 潤美は――石像の赤子こそいるが――子供どころか妊娠すらしていないものの、母乳が出てしまう体質であり、一日二回前後、溜まった母乳を搾るのが日課だった。因みに、この日課は自分と出会うずっと前から行っており、作業終わりの時のように搾乳して欲しいと持ち掛けることへの照れはまだあるが、搾乳自体はとっくに慣れたものなので、いざ始まればその時の照れは殆ど無い。

 また、本当は搾乳用の道具も手動と電動の両方が一個ずつあるが、今回は自分の手搾りだ。潤美曰く、道具に比べ手作業なので時間はかかるが一番好きらしく、今日のように時間に余裕がある時は二人とものお楽しみだった。

 しかし、慣れた搾乳だからと言っていきなり母乳を搾ったりはしない。すぐに出てくる時もあるが、大抵は出始めるまで少し時間が必要であり、まずは今みたいに緩めのマッサージを行うのが恒例だ。もっとも、これは母乳を沢山出すためのものではなく、――結果的にはそうなるとも言えるが――彼女にリラックスしてもらい、排出自体を促すためのものだ。

 母乳を溜め込んでいるであろう双乳を、小動物を愛でるように優しく撫でては、左右から中央にむにゅりと寄せたり手の平で柔く揉んだりして、緩いマッサージを施していく。決して激しくはせず、乳首を弄ったりもしない、とても穏やかな愛撫だ。

「ふ、あっ……。ふふ、もう私よりも上手かもしれんな」

「いやいや、そう言ってくれるのは嬉しいですが、流石に自分の手の方が……」

「何言ってるんだ? 〇〇の手だからこそ、だぞ?」

 潤美は柔和な顔を浮かべ言うと、乳肉をほぐす腕にそっと手を添えて、ふわりと握る。それは決して制止のためではない、優しい手つきだった。

「そんなにおだてても、今日のおやつは俺の分まであげませんからね?」

「あらら、それは残念。で、今日は何の予定なんだ?」

「以前頂いた羊羹のもう半分です」

「ああ、あれは美味かったな。すっきりした甘さで、いくらでも食べられそうで……。後の楽しみが出来たよ」

 豊乳を揉みほぐしながらではあるが、冗談も交わして心身をともに緩め、自分の手の感触を潤美の肢体に馴染ませていく。

 そうしてしばし揉んでいると、彼女は腕に添えていた手の力をわずかに強め、小さな声で呟く。

「……ん、〇〇、そろそろ……」

「分かりました。では、こちらを……」

 潤美のその言葉を受け、一旦右手だけを柔乳から離して卓袱台の上に手を伸ばし、用意しておいた瓶を取って潤美に渡す。

 そして、改めて乳肉を持ち直し、今までとは違い乳首や乳輪辺りを重点的に指先でそっと撫でていく。すると、左胸のぷくんと膨らんだ突起から白い液体がじわりと滲み出てきた。

「あ、出てきましたね」

「ああ、まずはこっちからだな」

 潤美は瓶の口を左胸の乳頭の前に構えると、口調自体はいつも通りだが、まだ幾らかは残る気恥ずかしさからか語気は静かに、「いいぞ」と呟く。

「それでは……」

 その一言を合図に、自分も左胸を左手で持ち上げて支え、右手の親指と人差し指を乳輪のやや外側を摘まむように添えて、少しだけ力を込める。

「あっ、んぅっ……」

 瞬間、じわっと滲み出ていた母乳は飛沫になって、ぷしゅりと溢れ出す。

 搾られた母乳は、小さな粒がくっつき合い大きな水滴になってぽたぽたと落ちたり、水鉄砲の如く幾本の線が勢いよく飛び出て瓶の壁にぶつかったりと様々だが、そのどれもが最後には瓶の底へと流れ落ちて白い水たまりを作る。

 こうして母乳が出始めたところで、ようやく本格的な搾乳が始まる。指を押し込めば変わらぬ水勢で母乳は飛び出し続け、一旦押し込む指の力を緩めて再び入れ直せば、また勢いよく溢れ出す。

 そのまま二回、三回と搾乳を続け、時には圧する箇所を少し変えて満遍なく母乳を搾り、瓶底に溜まる白い水嵩を高くしていく。

「あっ……、ん、あぁ、ふぅっ……」

 乳肉から溜め込んだ母乳を搾り出す度に、潤美は色付いた悩ましい声を漏らす。それは溜まったものを排出する心地良さが主なのだろうが、官能に絆された部分も明らかに含んでいた。

 最初はある程度あった照れも徐々に薄まり、精神的に余裕が出て羞恥や緊張よりも快感へ意識が向き出したのだろう。次第に豊乳は汗ばみ、持ち上げる手の平にしっとりと吸い付くようになってくる。

 だが、この搾乳行為で悦びを得ているのは彼女だけではない。母乳のたっぷり詰まった豊乳を揉んでは搾乳し、それを彼女自身が心地良さそうにしてくれているのがとても嬉しく、夢中になって搾乳をし続ける。

「……あ、潤美さん、そろそろ一度反対に移した方がいいかもしれません」

「え? ……ああ、そうだな。ふふ、〇〇の手でされるのが気持ちよくて、気付かなかったよ」

 そうするうちにもう片方、右側の乳房からもいつの間にか母乳が溢れていた。それらが零れ落ちてしまう前に瓶と手を持ち替えて搾ると、待っていたと言わんばかりに大量に母乳が噴き出して瓶へと溜まっていく。

「んっ、はあっ……。やっぱり、道具よりも〇〇の手の方がいいな。時間がある時にしか出来ないのが残念だけど」

「ありがとうございます。俺も凄く気持ちいいですよ」

 お互いにこの搾乳を愉しみつつ、右胸から左胸、またもう片方と、母乳を一滴も無駄にしなように搾乳を続ける。

「因みにですけど、今回は多そうですか?」

「ああっ、結構、多いと思う……。ん、あっ、朝が、少な目だった、からぁぁっ……」

 こちらからの質問に潤美は喘ぎ混じりに答えながら、長く息を吐いて搾乳による快感を甘受する。彼女の言う通り、朝にも一度搾ったがその際は同じ瓶を半分程度で終わってしまっていた。しかし、今回は既に瓶の中は満タン寸前であり、母乳の勢いも衰える気配は欠片もない。

「確かに朝は少なかったですからね……。……潤美さん、もういっぱいになりましたので……」

「ん、ああ。もう、か」

 程なくして、潤美に渡していた瓶が母乳でいっぱいになってしまったのでそれを預かり、きちんと蓋をしてからお盆の中へと戻す。

「さて、一本分は終わりましたけど、調子はどうですか? まだ出そうなら、もう一本はここに空き瓶の用意がありますが」

 母乳の詰まった瓶を戻した流れで、もう片方の瓶を持ち上げて軽く揺らしながらそう尋ねると、彼女は逡巡した後、ふるふると首を横に振った。

「……いや、いらない」

「もう大丈夫ですか?」

 多いと本人も言っていたし、こちらから見てもまだ出し足りなさそうだったが、もう充分なのだろうか。そう思い確認してみると、潤美は振り向いて、頬を赤く染めた上目遣いでこちらを見る。

「いや、ここからはお前に直接……」

 そして呟いた、直接、という言葉。それがどんな方法での搾乳を示しているのかは、今までの経験上、分かっている。

「それに、お前も出したいんじゃないか? だって……」

 潤美は更にそう続けると、こちらの股間に手を伸ばしてさわさわと軽く撫でる。

「もう、こんなに大きいもんな。お前は気を付けていたんだろうが、ちょくちょく背中や尻尾に当たってバレバレだったぞ」

 潤美の言う通り、彼女が撫でる股間は大きく盛り上がっており、内部に収めたものが今どんな状態かズボン越しでもはっきりと示していた。

 当然、自分でもそれは分かっていた。あんなに煽情的な、自分の手で搾られるのを悦ぶ搾乳姿を目の当たりにすれば、勃起してしまうに決まっている。とはいえ、それを押し当てるなどと失礼をしないように少し姿勢をずらしてみたり、ちょっと腰を引いてみたりはしていたものの、どうやら無駄な努力だったらしい。

「……それでは、その、お願いしてもいいですか?」

「勿論だ。最初から私もそのつもりだったから、遠慮するな」

 おずおずと尋ねる自分に対し、潤美は快活な笑顔で返事をする。手での搾乳は時間がないと出来ないのは効率の面もあるが、手でするとまずこんな風に二人とも気分が高揚してしまい、搾乳だけで終わらなくなってしまうのが、まとまった時間が必要な主な理由だった。寝具も何もない布団を予め敷いていたのも同じ理由だ。

「じゃあ、今日はどうする? 先に出すか、それともしながらか」

「……しながらで、いいですか?」

「よし、それなら、服を脱いだらここにおいで」

 潤美に股間を撫でられながらの二択に少し考えてから後者だと答えると、彼女は寄りかかっていた姿勢から体を起こして隣に移動し、脚を伸ばして座り直すと膝をぽんぽん叩く。

 これから始まる行為への期待に胸を膨らませつつ、言われた通りズボンを下着ごとさっさと脱ぎ去り、頭というよりは肩を預けるように膝枕してもらう。下から見上げる巨大な乳房の先端では、未だ搾られ切っていない母乳が何もせずとも白く滲んでいた。

「しかし、搾乳ももう何回もしてるのに、まだこんなに大きくなるとはなあ」

 潤美は右手を股間まで滑らせて勃起しきった肉棒をやわやわと触ると、呆れた口調で言う。

「当たり前ですよ。潤美さんのあんなにエロくて可愛い姿、何回したって興奮するに決まってます」

「決まってる、か。まあ、全く魅力がないと思われるよりは嬉しいかな」

 だが、一切包み隠さない言葉をぶつけると、彼女は興味なさげな言い方ながら喜びが隠し切れていない表情を見せる。

「それじゃ、次は口でしっかり搾ってくれよ?」

 潤美は左手でこちらの頭に近い方の柔乳を重たげに持ち上げて、こちらの口元に乳首を近付ける。既に母乳の滲んだ先端に迷わず吸い付くと、彼女はぴくっと体を震わせた。

「んっ……」

 同時に口内に淡く広がる、滲む程度に付着していた母乳の味。その甘味に煽られ、口内に含んだ乳首を周りの乳輪ごと吸い始めると、すぐさま手で搾った時と変わらず母乳が溢れ出して、舌に乗って脳へと味覚を伝えていく。

 潤美の母乳はさらさらでほんのりと甘く、いくらでも飲めそうなくらい飲みやすい。それは今日も変わりはなく、口内に広がる味わい慣れた甘味と風味に安心感すら覚え、もはや意識せずとも二回、三回と続けて母乳を吸ってしまう。

「んっ、はあぁっ……。どうだ、味は?」

「……相変わらず、とても美味しいですよ」

「そうかそうか。不味いと言われたらどうしようかと思ったよ」

 潤美からの質問に一旦口を離して答えると、彼女は嬉しそうに顔を綻ばせる。

 こうして授乳の形が出来上がると、潤美は乳肉を支えていた左手を離してこちらの後頭部に回し、膝だけでなく手でも頭を支えて、楽な姿勢にしてくれる。少し高さが上がったので咥えた豊乳が顔にたぷっと若干乗っかる体勢になってしまうが、これも心地良い重みだった。

「さて、私の方も、しっかり搾ってやらないとな」

 潤美は視線を男根へと移して張り切った顔を見せると、柔く触れていた右手で改めて怒張を優しく包み込んで掴み、少し緩めの速度で上下に扱き始める。控え目な手つきながら、確かな快感が下半身から生まれて全身を駆け巡り、ぞくりと背筋が震えた。

 そう、自分が期待に胸を躍らせていた行為とは、実際に母乳を携えての授乳手扱きだった。彼女の母乳にしろ手扱きにしろ、どちらか片方だけでも至高なのに、両方を一緒に堪能出来るとなれば好きにならないはずがない。

「あっ、んっ……。ふふっ、そんなに必死に吸って……。こうしてる時の〇〇は、いつも赤ん坊みたいにおっぱい大好きになってしまうな。なんて、おっぱいが大好きなのは普段と変わらないか」

 分身を扱く手を止めずにそう言って楽しげに笑う潤美の顔はとても穏やかで、見ているだけでも安心してしまうくらい母性的な温かさを纏っていた。

 何度授乳手扱きを経験しても、始まる前は毎回多少の気恥ずかしさがある。それは、潤美の与えてくれる母性に快感に母乳と、そんな様々なものに甘え切ってしまうのが分かっているからだ。

「おっぱい、好きなだけ飲んでいいからな。今は〇〇のためだけのものだし、私も〇〇に飲んでもらえるの好きだからな」

 だが、こんな言葉を慈母を思わせる笑顔を向けて言われ、陰茎を滑らかな指で扱かれ、後頭部に添えた手でも頭をよしよしと撫でられてしまえば、もう自分の中から羞恥の感情はどこかへ消えてしまう。そんな小さなことを気にしてこの甘い時間を拒否するなんて、馬鹿馬鹿しいにもほどがある。

 元々は搾乳の延長であるのも忘れ、巨大な果実に蓄えられた大量の母乳をもっと飲みたいという欲求に任せ、屹立から伝わる快感に身を捩っては母乳を吸って嚥下していく。

「あっ、んっ! はぁっ、んぅっ……」

 吸う勢いが増して一度に搾り出す量も増えると、それに比例して潤美の嬌声も大きくなるが、彼女は手淫奉仕を休めたりはせずに絶えず肉棒を扱き続けてくれる。

 潤美がしてくれている手扱きは、扱く速さや力加減を大きく変えたり亀頭を責めたりもしない、非常にシンプルな上下運動のみ。しかし、一切中断は挟まないし、動きを大きく変えない代わりに時折微妙に速さや力加減に変化を与えてくれている。

 だからこそ分身から伝わる快感は不意の急増も飽きの減退もなく、ゆっくりとだが確実に高まり大きくなっていく。それはさながら、射精を堪え切れなくなる時が訪れるまで見守り導くような、優しい手つきだった。

 次第に鈴口からは我慢汁がだらだらと溢れて扱く手にぬめりが加わり始め、下半身はびく、びくと意志に反して微動し、全身が強張る頻度が多くなってしまう。

「〇〇、そろそろイキそうなんだな? よし、それじゃあ、一ニの三でびゅーってしような。だから、もうちょっとだけ我慢しようなー」

 それらの反応からこちらの絶頂が近いと素早く察した潤美は、まるで子供に手ほどきするかのような口調と穏やかな微笑みを見せる。

 もしもこれが普段の会話であれば、笑いに照れを添えて「子供扱いしないで下さい」なんて言えたろうが、今の自分の口からそんな文句は出てこない。自分の返答は、乳房を咥えながら頷くのみで、それだけで返事を済ませてしまうほど、彼女の母乳に夢中なのだ。

「いくぞ? いーち……」

 そんな同意を受けて、潤美はこちらの瞳をじっと見ながら数字を口にしていく。その間も陰茎を擦る速さは変えておらず、言葉と行動で絶頂のタイミングをずらすような真似はしない。

「にーの……」

 潤美の示した数字まで、後一つ。ここまで母乳と手扱きでじっくりと育ててきた快楽の塊が、今か今かとその時を待ち構え、それに伴う多大な快感の予兆と絶えず全身に広がる甘い感覚で、頭がいっぱいになる。

「さんっ」

「っ! ふっ、ぅっ……!」

 潤美の宣言に合わせて、昇り詰めていた感覚を解放する。瞬間、陰茎の奥から先端に向けて精液が一気に駆け上がり、対外へと思い切り飛び出していく。

 尿道を駆け巡って止めどなく放出される、大量の白濁。しかし、それらは辺りに飛び散ったりしないどころか、自分の視界にすら入らない。何故なら、吐き出された精液は絶頂よりほんの少し早く亀頭に被せられた、緩く握った潤美の手の平の中へと勢いよくぶつけられているからだ。

「いっぱい出てるな。偉い偉い……」

 潤美から甘く優しい母乳を頂いておいて、一方こちらからは欲望に塗れた白濁液で彼女を汚してしまうのに罪悪感を覚えるが、当の本人はそれを気にする様子はない。それどころか、目を細めて頭を撫で、射精を労ってすらくれる。

 やがて、体の震えとともに放精も落ち着きを見せると、潤美は手の中を白く染める精子を零さないように、そっと手を持ち上げる。

「たっぷり出したなあ。ほら、こんなに……」

 潤美はその手をこちらの目の前で開き、出したての精液を見せつける。肉棒を扱き絶頂まで導いてくれた彼女の手中では、母乳と同じ白でもずっとどろどろでこってりとした白濁が、好き勝手に纏わり付いていた。

「……すみません、汚してしまって」

「気にするな。これも大事なお楽しみだからな」

 射精も終えて、授乳手扱きは一旦一区切りと乳房から口を離して、潤美に謝罪する。だが、彼女はそう言うと手を口元に寄せて、赤い舌で子種の詰まった白をぺろりと舐め取り始める。一回で殆どの精液を、続く二回三回目で細かな残滓も掬い取り、その全てを口内に収めると、潤美の喉がこくんと小さく動く。

「ん……。相変わらず、お前のミルクは粘っこくてぷるぷるで飲みにくいな。でも、濃厚さはそっちの圧勝だ。まあ、これがまたいいんだけどな」

 躊躇ない飲精を終えた潤美はにこりと笑うと、綺麗になった手で自らの乳房を片方ずつ軽く持ち上げて、んー、と軽く首を捻る。

「まだ結構残ってる感じだな……。よし、さっき言った、先に出す方もしようかと思うんだけど、〇〇はどうだ?」

 潤美はそう持ち掛けると、後頭部に回していた左手でこちらの頭をとんとん叩く。だが、自分は授乳手扱きの幸福感と飲精の淫靡さに未だに少々ぼんやりとしており、先の彼女の言葉をもう一度頭で反芻するが、真っ先に出たのは「はい」でも「いいえ」でもなく、「え」という一言だった。

「いいんですか?」

「ああ。まだ十分に出そうだしな、お互いに」

 潤美は射精を終えた直後にもかかわらず、まだ硬度を維持する陰茎をすりすりと撫でる。

「それに、〇〇はこっちも大好きだろ?」

「……はい。大好きですし、もう体がうずうずしてます」

 正直な返事に潤美はあははと一笑し、もう一度こちらの後頭部を優しく叩く。

「なら、期待に応えてやらないとな。その前に、一旦体を下ろすぞ」

 潤美は後頭部を支えていた手の位置を変えてこちらの肩を左腕一本で支えると、膝枕を抜き取って体をそっと下ろしてくれる。こういうところでしっかりと力強い一面が垣間見えるのは、流石妖怪と言ったところか。

「それじゃ、次は足と腰をちょっと上げて……」

 授乳手扱きの時と同じく潤美に促されるまま、次の体勢に移行する。正座の姿勢で座った彼女に対し、向かい合いつつも仰向けに寝そべり、先程まで頭を預けていた膝に、今度は広げた下半身を乗せる。

「潤美さん、重くないですか?」

「いいや、大丈夫さ。それじゃあ、〇〇はどうだ?」

 潤美は自身の乳房を持ち上げると、陰茎の両脇にたぷんと乗せる。彼女の規格外に大きな胸、加えて今は蓄えた母乳もあるからか、その双房はずっしりと重い。

「……相変わらず、質感が凄いです」

 恐らく言っても怒ったりはしないのだろうが、女性には禁句とされる『重い』は一応用いずに伝えると、潤美はぷっと吹き出して笑みを零す。

「なら、これからその質感をたっぷり味わわせてやるからな?」

 彼女の言葉に改めて、下半身の上で温かな重みを伝える柔乳を使い、それを愉しむ行為への期待にどくんと胸が高鳴る。そう、これから行うこととは、潤美の巨大な乳房でのパイズリだ。

「でも、その前に準備準備と」

 しかし、すぐにそれを始めるのではなく、潤美は腰に乗せた双乳の蕾を怒張に向けると、最初の搾乳で自分がしていたように豊乳を指先できゅっと圧する。

 それにより、母乳が勢いよく飛び出して目の前の肉棒にかかるが、構わず彼女は――授乳手扱きで吸っていなかった方を重点的に――乳房を搾って分身に白いシャワーを浴びせ、亀頭から肉幹、根本までも全体を白く染めていく。

「こんなもんか。……さて、早速始めるぞ?」

 潤美は左右から母乳塗れの陰茎を軽く見やり言うと、乳肉で肉棒をぎゅっと挟む。

「うぁっ……」

 瞬間、すべすべの乳肌が搾りたての母乳でつるんと滑りながら怒張を包み込む。四方を柔肉で満たされ、顔を出すのは亀頭の先端が少しだけとなった分身は、早くもその温かさと心地良さにびくびくと震えてしまう。

「おいおい、まだ軽く挟んだだけだぞ? 本番はこれからなんだから、なっ」

「っ!」

 潤美は少し呆れた口調で言うと、最後の一言に合わせて双乳をぎゅっと左右から圧する。それにより陰茎が谷間に埋もれるほどに潰されるが、たぷたぷの柔肉が押し合い纏わり付き、気持ちいい以外の感情が出ないくらい、幸せな圧迫感しか存在しなかった。

「ふふ、またそんな気持ちよさそうな顔しちゃって……。今日はゆったりと激しめとどっちがいいかなーって考えてたが、激しめにいくか。さて、今回はどのくらい持つかな?」

 潤美は先の授乳手扱きの際とは違う、嗜虐的な笑みを見せると、肉棒を乳房で強く圧して上下に激しく揺らし始める。

 それは先の宣言どおり手心など一切ない荒々しい動きであり、いきなりこんな風にされては自分のみならず彼女だって痛みを覚えるほどだろう。だが、谷間を白く色付かせるほどの母乳が強すぎる摩擦を緩和し、快感のみが体に刻み込まれる。

 そう、予め纏わせていた母乳はこのためであり、その用途はパイズリのための潤滑油という、非常に贅沢なものだ。

 更に、視覚にも非常に煽情的な光景が飛び込んでくる。左右から圧されて母乳が滴る巨大な乳房がたぷんたぷんと自分の体の上で揺れ弾み、その激しい動きによって谷間や乳頭に付いた母乳の飛沫が、潤美の胸元やこちらの腹にまで飛び散ってしまう。そのせいで滑らかさが不足すれば、すぐに潤美は自身の手の平に母乳を搾り、亀頭の上から惜しげもなく谷間に垂らして潤滑油を枯らせないようにする。

 屹立を持って行かれてしまいそうなくらい重量感のある母乳パイズリに、早くも腰が情けなくがくがくと揺れ、歯もいつの間にか食い縛ってしまうが、何とか射精は堪えて抑え込む。

「よしよし、とりあえずここまでは大丈夫か。まあ、このくらいは耐えてもらわないとな」

 乳奉仕が始まってからずっとにやにや笑いを崩さない潤美はそう言うと、一旦乳房で扱くのを止めてしまう。

「なら、これはどうだ?」

 だが、当然終わったわけではなく、次は分身を根本から先端まで全てを豊かな谷間で完全に包み込み、その一切を窺えなくする。そして、巨大な双乳越しに左右から陰茎を揉むかの如く動かして、二人の人肌でぬるく温められた母乳と柔らかな乳肉で肉棒をもみくちゃに捏ね始める。

「くっ、あぁっ……!」

「こっちで飲むのも好きだもんな。特に、こうやって溺れるみたいにして飲むのが」

 蒸れた熱さの中心で浴びせられる、扱く動きとはまた異なる摩擦による多大な快感に、怒張が溶けてしまう錯覚すら覚える。それに怖気づくように分身がびくびくと大きく震えるが、柔乳にしっかりと包まれて、その震えすらもこちらからは見えはしない。

「お、そろそろきついか。じゃあ、もう出しちゃおうな」

 しかし、直に触れ合っている潤美にはその脈動は伝わる。但し、射精が近い証として。

 彼女はこれまでの挑発的な笑顔とは違い、授乳手扱きをしていた時に近い、優しい微笑みを浮かべると、深い渓谷から亀頭の先端だけをはみ出させて、ふうっと息を吹いた。

 その刹那、熱のこもった乳肉の檻から解放された鈴口に、実際の温度以上に冷たく感じる空気が流れ、くすぐったさと開放感に張り詰めていた力が僅かに緩んでしまう。

 それは、ギリギリをせめぎ合っていた射精するかしまいかの均衡を崩すには、あまりにも十分な一押しだった。

「う、ああぁっ!」

 息がかかるのと殆ど同時に射精してしまい、乳房から僅かに顔を出した先端から精液が噴出し、谷間に白濁の水溜まりを作っていく。

「凄い凄い、まだこんなに出るんだな」

 潤美は徐々に嵩と濃さを増していくそれを嬉しそうな瞳で見ていたが、射精が収まると締めに肉棒を強く挟んで乳房を持ち上げ、尿道に残ったものまでしっかりと搾り取って男根を解放する。

 ずるんと谷間から引き抜かれた母乳の残滓を付着させた分身が怠惰に揺れる傍ら、潤美は搾りたての精液と自身から搾った潤滑油の混合液を浮かせた谷間に舌を伸ばし、それらも迷いなく舐め取っていく。

「ん、ちゅっ、ぷはっ……。うん、私のと混ざったからか、ちょっと甘かったな」

 二度目の飲精を当たり前のように終えて感想まで残すと、射精後特有の疲れに荒い息を吐くこちらを見やる。

「相変わらずこのやり方だとあっという間だな」

「……すみません、いつもあっさりとイカされてるって自覚はあるんですが、なかなか耐えられなくて……」

「あははっ、気にするな。それだけ気持ちいいなら、私も嬉しい」

 呼吸を整えつつの返事に潤美は快活に笑う。だが、射精を終えたばかりの肉棒に目をやると、うーんと唸る。

「それにしても、どんどん〇〇の精力、増してないか? まだこんなに固いままだし……」

「そうなんですよね。やっぱり、潤美さんの母乳が栄養満点だから、とかですかね」

「それ、実際どうなんだろうな? 今度、機会があれば調べてもらうのも面白いかもな」

「いいですね、自分もちょっと興味あります。あ、でも、ここが元気な一番の理由は、潤美さんがとっても魅力的だからですよ」

「お、いつからそんなに口説き上手になったんだ?」

 潤美は未だ萎えを見せない陰茎を指先でつつきながら、けらけらと笑う。そんな軽い談笑を交わした後、次はこちらから質問する。

「それで、潤美さんの方はどうですか?」

「んー……、後もうちょっと、かな」

 再度自身の巨大な双丘の下にそれぞれ手の平を添えた潤美は、たぷたぷと揺らして首を軽く捻り答える。手での搾乳に授乳にパイズリの潤滑油と色々搾ってきたが、今回の分は終わりが見えてきたらしい。

「それ、なら、最後は潤美さんも楽しみましょう?」

 最初の一息で脚を潤美の膝からどけて、次の一息で体を起こして緩く胡坐をかいた後、自身の膝をぽんと叩いて彼女に最後の締めを提案する。

「……ああ、それならお言葉に甘えさせてもらおうかな」

 潤美は逡巡した後こくんと頷くと膝立ちになり、自らのハーフパンツに手を掛けて下着ごとするりと下ろす。

 躊躇なく露わになった彼女の秘部は既にじっとりと濡れそぼっており、下ろされたシンプルなデザインの下着のクロッチにも、白く粘ついた愛液がべったりと付着しているのが見て取れた。

「潤美さんも、結構濡れてますね」

「手で搾り終わった辺りではまあそれなり、ってくらいだったんだけど、その後二回も〇〇の精液を味わったら、もうこんな具合さ」

 潤美はハーフパンツと下着を脚から脱ぎ去ると、向かい合わせに構えて膝立ちになる。

 座る自分に対し彼女は膝立ち、それも至近距離なので、母乳をとろりと溢れさせた巨大な乳房が視界の殆どを埋め尽くす。絶景であると同時に、思わずむしゃぶりつきたくなるくらい蠱惑的な光景だが、今はぐっと堪える。

「どうしましょう、もう少し濡らしておきますか?」

「いや、すぐにでも大丈夫だ。というより、私としてはそうしたいな」

「分かりました。それでは、早速しましょうか」

 自分は左手を自身の後ろについて支えにし、右手は潤美の背中に邪魔にならない程度に回して緩いながらも抱き留める。彼女も右手をこちらの肩から首に回し、互いを支え合う体勢を作る。

「じゃあ、入れるぞ?」

 潤美は空いた左手で自らの秘部を開くと、腰を下ろして分身の先端に膣口を宛がい、脚と腰で位置を調整しつつ体をゆっくりと下げていく、

「ん、はぁ、あぁんっ……」

 分泌液を程よく溢れさせた柔らかな膣道は屹立を抵抗なく呑み込んでいき、スムーズに最奥まで辿り着かせると、潤美は小さく体を震わせて、こちらに肩に回した右手にぎゅっと力がこもる。

「んっ……。あ、悪いっ、痛くなかったか!?」

 すると、潤美は慌てた様子でこちらの顔を覗く。彼女の赤い瞳には不安の色が強く出ていて、表情も房事の真っ最中だとは思えないくらい真剣だった。

「大丈夫ですよ。気にしないで下さい」

「そ、そうか、良かった……」

 そんな潤美の背中をぽんぽんと叩きながら答えると、彼女はほっと胸を撫で下ろす。

「潤美さん、前から言っていますが、そんなに気にしなくても……」

「……私も、気にし過ぎだと分かってるんだけど……。いやー、難しいな」

 潤美は口調自体は明るく、しかし明らかに空元気だと分かる、乾いた苦笑いを見せる。

 不意とはいえ、ちょっと強く抱き着いてしまったくらいで大袈裟な、と思われそうだが、彼女がこれほど慌てるのには理由があった。

 お互いに経験が今よりももっと浅かった頃、似た状況で潤美に急に強く抱き締められた際、体に走った痛みに自分は少し呻いてしまったのだ。彼女には悪気は当然無かったし、普段は加減も出来る、痛み自体もすぐに消えて跡なんかは何一つ残らなかったと、こちらとしては何も問題は無かったが、それを引き起こした本人かつ妖怪である彼女には少々堪えていた。あの時の、彼女の落ち込んだ顔は今でもよく憶えている。

 それ以来、潤美からこちらに手を繋いだり抱き付いたりする際に、時折辿々しくなってしまう時があるのだ。本人もちょっと気を付けるだけで大丈夫だと分かっているし、我ながらうじうじし過ぎだと自嘲する時もあるが、こういうものはそう簡単に割り切れないのは自分にも分かる。

 しかし、自分も二度と潤美にあんな顔はさせないと、多少だが鍛えたし――それがどれだけ効果があるかは正直分からないが――、いつまでもこのままはあまり良くないかなと以前から思っていた。潤美にはもっと気軽に、自分に触れて欲しい。

 ならば、荒療治になるかも知れないが、今がいい機会かも知れない。

「……潤美さん。ちょっと強く抱き締めますよ」

「……え、あ、ああ」

 彼女に声掛けをしてから、背に回した手を腰まで伸ばしてぎゅっと引き寄せ、片手ではあるが少し強めに潤美を抱き締める。

 そうしてしばし掻き抱いた後、手の力を緩めて、彼女の顔を真正面に見やる。

「潤美さん、痛くないですか?」

「いや、大丈夫、だけど……」

「じゃあ、潤美さんも俺と同じようにしてみて下さい」

 すると、彼女は一瞬瞳を揺らして、伏し目がちにこちらを見る。何をさせたいか、それをさせて何を言いたいのか、潤美にはもうこちらの意図は分かっているらしい。

 だけど、そこで「やっぱりいいです」なんて引かず、彼女の赤い瞳を見て頷くと、彼女はおどおどと、こちらに抱き着く力を強くした。

 体を締め付ける拘束の強さが増す。これは力を込めないと振りほどけないだろう。だが、痛くはない。

「もっと強くてもいいですよ」

 少しだけ間を挟み、潤美の腕の力が強くなる。でも、変わらず痛みはない。

「もっと」

 今回は殆ど間を挟まず、力がまた強くなる。恐らく今まで受けた抱擁で一番強く、身動きが全くと言っていいほど取れない。だが、逆に言えばそれだけだ。抱き締められていない肘から先なんかは普通に動かせるし、むしろ密着感が非常に心地いいとすら思える。

「潤美さんの方は、まだまだ力を込めることって出来ますよね。でも、不意に出てしまう力に限れば、大体この辺りくらいまでじゃないですか?」

 そう尋ねると、潤美は少しの間を開けて、こくりと小さく頷く。

「なら、潤美さん、大丈夫ですよ。ちょっとしたことでは、もうあんなことは起こりませんから。だから、気にしないで下さい」

 彼女を抱いていた腕だけを動かして手を少し上げて、頭をよしよしと撫でる。これくらいなら出来るぐらい余裕だと示してやると、潤美は顔をこちらの胸元に預けて、静かに呟く。

「〇〇……」

「何ですか?」

「……その、力だけじゃなくて、図体とか、重いんじゃないかとか、そっちは大丈夫か? こ、この際だから、聞いておきたくて……」

 頬を真っ赤に染めて、恋人の好みを気に掛けるいじらしい質問を潤美は尋ねる。確かに彼女は自身も認めるように、身長もあるし日々の漁作業で筋肉も多少はついているので、出るとこは出た、肉感的で非常にグラマラスな体型も含めてどちらかと言われれば重い方かも知れない。

 だが、だからと言って自分はそれを気にしたことなんて一度も無かった。それに、潤美もあまり言及した憶えは無かったが、多少なりとも思うことはあったらしい。そんな思いを今更ながら知り、潤美に抱く愛おしさが限りなく膨らんでいく。

「俺は潤美さんの体、大好きですよ。身長高くて格好いいと思ってますし、スタイル抜群ですし、角や耳なんかも、綺麗で可愛くて、全部ひっくるめて凄く魅力的です。……それに、石像の赤ちゃんよりもずっと軽いしで、問題なんて何一つないですよ」

 前半は真面目に、後半はあえて冗談めかした口調で言うと、潤美はしばしの沈黙の後、くすくすと笑い出す。

「そうか、あの子よりも軽いか。なら安心だな」

 一頻り潤美は笑った後、こちらの肩から背中へ両手を回して改めて抱き着く。それは、とても優しい抱擁だった。

「……ありがとな」

 そして、耳元に口を寄せると、潤美は一言だけ静かに囁いて顔を離す。その顔には、もう不安そうな様子はない。

「それじゃ、私をしっかりと支えて、男らしいとこ見せてくれよ。これ、気持ちよくて夢中になっちゃうと思うから」

「はい、任せて下さい」

 いつもどおりの調子の言葉にこちらも流れを引っ張らずに返すと、彼女は体勢を整え直してから、ずっと挿入したままだった腰を動かし始める。

「あっ、ん、んっ……」

 まずは緩慢に、出し入れすると言うよりは軽く跳ねる程度に腰を揺らす。動き始めらしい大人しめの腰使いながら、ぬるついた膣壁との摩擦はしっかりと甘い快感を生み出し、潤美もそれに見合った静かな喘ぎを漏らす。

 一方、彼女の乳房からは揺れの振動のせいか既に軽く母乳が溢れ出しており、ゆさゆさと跳ねる乳房に沿って、乱れた白い道筋を作り垂れ落ちていく。非常に少量とはいえ、下に敷いた布団に飲まれてしまうのは勿体ないが、まだこちらからは何もせずに我慢する。

「あぁっ、んっ、はぁっ……。○○、そろそろいいぞ」

「はい。それでは……」

 やがて潤美の動きが安定し始めたところで許可が下り、それに待ってましたと早々、搾乳を再び開始する。

「ん、あっ、はぁんっ、あぁぁ……」

 まずは双房に沿って伝い落ちていた母乳を勿体ないと両方とも舐め取り、後に回した方の乳粒へそのまま吸い付く。授乳をしていた時のようにちゅうちゅうと吸っては、手は使えない都合上頭だけを動かして、左右の果実からまだまだ枯れ切らないほんのりと甘い母乳を交互に頂いていく。

 再開された授乳に膣内の締め付けが増す一方、本人ももっと密着した膣肉の、自らの気持ちいい箇所に陰茎を擦り付けるように絶え間なく動かす。

「あっ、んっ、○○、もっと搾って、もっと飲んでくれっ……」

 高まる官能に煽られてか、潤美から口だけでの搾乳では物足りないと、もっととおねだりが飛んでくる。

「分かりました。なら、俺にしっかり捕まって下さいね」

 正直、それはこちらも望むところであり、もっと飲みたくて仕方なかったくらいだった。

 なのですぐに返事をすると、彼女は言われた通りこちらの首と肩に預けた手の力を強め、ぎゅっと抱き付いて身を寄せる。予め不安を取り除いたお蔭か、潤美に臆する様子はなかった。

 そうして彼女だけでもある程度体を支えられるように構えてもらってから、自分は潤美の背中に回していた右手を一度離し、その手で豊乳を下から掴んで手でも搾りながら母乳を吸い出していく。

「はあぁっ! あっ、はぁっんっ、もっと、もっと吸ってくれっ……!」

 手と口両方を使う搾乳に潤美は喘ぎを大きくして更に搾るよう促し、望みどおりに口内に溢れる母乳を飲み下しては吸い続ける。

「ぁっ、ひあぁっ! あんっ、あぁっ……!」

 だが、次第に潤美の腰の動きが鈍くなっていってしまう。どうやら、激しい搾乳で生まれる快感の大きさに、腰に力が入らなくなってしまったらしい。

 とはいえ、口だけの搾乳の時よりも膣口の締め付けや最奥のひだの吸い付きもより強く、より絡むようになっているので殆ど気にならない。むしろ、もっと乳房での法悦を味わわせて腰砕けにさせてやりたいと、ちょっと悪戯心が湧き上がり、乳首を執拗に責めてやる。

「ああぁっ! ひあっ、んっ、それっ、だめぇっ!」

 かちかちに尖った蕾を舌先で舐めては捏ね、飴玉でも舐めるように転がす。更に、唇で何度も繰り返し食み、吸盤で引っ張るのを真似て強く吸い上げる。

 先の授乳手扱きの際は一応名目上は搾乳優先だったので控えていたが、もうその必要はないだろうと始めた乳首責めに、潤美は上半身を仰け反らせるほどに感じ入る。

 それをもう片方の肉粒にも遠慮なく行い、口をちゅぽんと抜き取ると、母乳と唾液でべとべとになった乳頭が痙攣してひくつき、乳房も快感に打ち震える肢体に会わせてぷるぷると揺れていた。

「潤美さんの乳首、やっぱり敏感ですね。可愛いです」

 そんな蕾を見やり言うと、潤美は息を切らせつつこちらの後頭部に手を回して撫でる。

「お前が、敏感に、したんだぞ。それに、敏感なのは、こうしてる時だけだから……」

 以前、潤美が恥ずかしそうに教えてくれたが、手での搾乳では乳首自体はそこまで弄らないし、授乳手扱きのような時も赤ん坊に乳をあげていると思えば耐えられるが、こうして男女の交わりとして乳首を責められると、途端に今までの行為で過敏にされた感度が顔を出すらしい。

 しかし、こちらとしてはそれは興奮材料でしかない。母性の象徴とも言える母乳を止めどなく滴らせる大きく勃起した乳首を責める度、膣はわなないて陰茎にしゃぶりつき、それらから生まれる快感に喘ぐ潤美はこれ以上ないほどに淫らだ。

「でも、してくれってこっちから言い出したのに悪いな、あまり動けていなくて。私ばっかり、気持ちよくなってるだろう?」

「いえいえ、俺もとても気持ちいいですよ。ゆっくりでも、もっとしっかり俺に抱き付いてもいいから、自分が気持ちいいように動いて下さい」

 真っ赤に紅潮した顔で声を震わせて謝る潤美の頭を撫でると、彼女は小さく笑う。

「なら、遠慮なく甘えるぞ?」

「はい。遠慮なく存分にどうぞ」

 そんな返しに、潤美はこちらの背中を二回軽く叩いた後、先程までよりも抱き着く力を強めて、腰を更に落として分身を膣内に深く呑み込ませて膣奥に亀頭を押し当てる。そして、腰を左右にひねったり、前後に軽く揺すり始める。

「は、あぁっ……! やっぱり、これ、気持ちいいっ……。○○の固いので、子宮を突かれながら、カリに奥をぐちゃぐちゃにされるの、凄く好きなんだ……!」

 潤美が腰を少し動かすだけで男根が粘液に満ちた柔肉壺を捏ね、肉幹に浮く血管の起伏ですら快楽を得ているのではというほどに淫靡な水音を溢れさせる。その度に彼女は艶やかな吐息を漏らして汗ばんだ肢体を震わせるが、こちらも快感に腰が微動し、怒張が脈打つ。

「これだと、○○のがびくびくしてるのも、はっきり分かるな……」

「俺も、潤美さんの中の感触がずっと気持ちいいですよ。ね? 潤美さんが気持ちよくなってくれれば、俺ももっと気持ちいいんです」

「そうみたいだな。なら、もっと気持ちよくさせてもらうぞ? ○○の、逞しいがっちがちのこいつで、な」

 潤美は膣内に深く突き刺さった陰茎を、最奥部で撫でるように腰をくいっと捻り示すと、慣れた腰付きでまた快楽を貪っていく。

 たとえ気分を乗せる世辞だとしても、愛する人にお前のものが気持ちいいと言って貰えるのはとても嬉しい。だが、それで得る快感が大きいのは、潤美のとろとろに柔らかい膣肉が熱心に絡みついてきてくれるからこそだと、彼女自身が魅力的だからこそだと、本人に自覚はあるのだろうか。

 とはいえ、潤美の体も大好きだとは言葉ではとうに伝えた。ならば、次は言葉ではなく、行動で潤美の肢体を愛して伝えると決め、母乳と膣内の両方を味わう傍ら、搾乳の合間に頭や髪を撫でたり、そこから少し手を横にずらして別のところも撫でていく。

「あっ、そこ、はぁっ……」

 まずはしっかりした質感を誇る、意外に手触りの滑らかな赤い一対の角を指先で優しく撫でる。先端から根本までを片方ずつ順番に撫でさすり、根本付近の髪の毛も一緒に梳いてやる。

 その次は左右に分かれた髪色と同じ、人とは見目の異なるふわふわの耳へ手を持って行く。柔らかく、温かく、覆う体毛の感触も気持ちいいそれに触れると軽くぴくっと跳ねるが、手の平で包み込んで大事に柔く揉むと、潤美は長く息を吐く。

 勿論耳も片方ずつ交互に愛撫して、また角の方にと手を戻そうとすると、角と同じく赤い尻尾がこっちもして欲しいと言いたげに耳の傍に寄ってきていた。彼女の尻尾は耳元に先端が届くかどうかくらいの長さなのでこちらから手を伸ばして、角にしたように根本から先端までを丹念に撫で、毛の集まった先端を手櫛でさらさらと整える。

「んっ、あぁっ……」

「潤美さん、くすぐったくないですか?」

「いや、大丈夫だから、もっと……」

 普段は滅多に見せない、甘えた瞳を向けて言う潤美に求められるまま、彼女が妖怪であると強く示す部分をそれぞれ愛していく。

 こうした行為で妖怪を御したなんて思わないし、妖怪自体を軽んじているわけでもない。愛しい人のそう言った部分も愛しているんだと、少しでも伝わって欲しい。それだけだった。

「潤美さんの人とは違う耳も、角も、尻尾も全部、凄く好きな触り心地で気持ちいいです。本当に、大好きですよ」

「ああっ、んっ、私も、○○の、私に触れてくれる手が、はぁっ、好き、大好きだっ……」

 それを一身に受ける潤美は、搾乳や膣内から得る快感に身を捩りながらもこくこくと頷く。

 手では彼女の豊乳を搾る合間に髪や耳などの感触も楽しみ、口では甘い母乳を吸っては燕下し、陰茎ではうねる膣肉にしゃぶられ食まれる感覚を味わってと、潤美の全てを贅沢に堪能し尽くす。

 いつまでも、この温かさと甘さに、幸せに浸っていたい。けれど、その終わりはやがて訪れてしまう。

「○○っ、私、もうすぐイクっ、イクからっ、ぎゅってしてくれっ……!」

「分かりました。潤美さんのタイミングでイッて下さい。俺も、もうっ……」

 絶頂が迫った潤美にせがまれ、希望どおりに彼女の体を迷わず強く抱き締める。この返事とこの行為によって、今の幸せな時間はもう終わってしまうだろう。だけど、これから何度も同じくらい、いやそれ以上の幸せが待っているのだから、愛する人が求めてくれるのだから、それらを行うのに迷いなんか何一つ無かった。

 潤美を抱き締めた瞬間、断続的に分身を食んでいた膣肉が狭く窄まって肉幹から亀頭まで、陰茎全てをぴったりと食い締めてわななき震える。

 それは、ここまでゆっくりと着実に二人が高めてきた性感をともに最高潮に押し上げるには、充分な快感だった。

「イッ、イクっ……! あっ、イッ、んっ、はぁっ……!」

「っ! く、うっ……!」

 最初に潤美が、それに僅かに遅れて、自分も絶頂を迎える。

 互いの体にしがみ付くように抱き締め合っての絶頂は、大きく声を張り上げる強烈なものではなく、体中にゆっくりと染み込むような深い快感だった。

 射精も三度目となれば放出する勢いはそれほどだが、いつまでも昂ぶりから降ろしてくれない快楽のせいかなかなか吐精は途切れず、長く精液を吐き出し続ける。

 それを最奥で受け入れる潤美もびく、びくと体が跳ねてしまうのがなかなか治まらないらしく、膣内の蠢きもいつも以上に長く脈動し、自分も搾られるままに我ながら三回目とは思えない量を彼女の子宮に注いでいた。

 絶頂による大きな快感と余韻、なかなか終わりの見えない膣内射精に二人とも体を小さく震わせていたが、射精が落ち着いてくるとようやく腰の律動も治まりを見せ始める。

「はぁ、はぁっ……。ふふっ、凄く出したな。手や胸でもあんなに出したのに、まだこんなに貯め込んでたのか?」

「俺も、正直驚いてます。でも、流石にもう限界です」

 片手をこちらの背中から離して下腹部を撫でる潤美にそう返すと、彼女は「私もだ」と表情を緩めた。

「じゃあ、この後は里に行く時間までゆっくりしましょうか」

「ああ。でも、まずは軽く風呂に入らないとな」

「ですね。……あ、潤美さん、母乳はどうですか?」

 二人の間にはすっかり事後の空気が流れていたが、そもそもの目的を思い出し、潤美に尋ねる。

 彼女もちょっと忘れていたのか、言われてから自らの乳房を持って何度かたぷたぷと持ち上げた後、指先だけで軽く搾る。乳首やその周りからは僅かにとろっと母乳が溢れるが、それ以上は続かなかった。

「もう大丈夫だな。ほら、最後にどうだ?」

 潤美はそれを指で掬ってもう片方の乳首に塗ると、そちらの乳房を持ち上げて、こちらの口元へ向ける。差し出された蕾に軽くキスをしてから吸い上げると、塗った分ともう片方に残っていた分の母乳の味が少しだけ口内に広がるが、すぐにふわりと消えるとこちら側からももう出てこなかった。

「お粗末さま……は、ちょっと違うかな?」

「少なくとも、粗末、は絶対に違いますね。ご馳走様でした、がぴったりです」

 すっかり普段の日常生活の調子で言い合い、二人して一笑する。

 さて、そろそろ抜こうか。そう思い腰を引こうとすると、背中に回された潤美の手に止められてしまう。

「○○、その、本当の最後に、キスしてくれないか……?」

 甘えた声と瞳で潤美にお願いされ、すぐにキスを返す。断る選択肢なんてあるわけがなかった。

「んっ、ん、ちゅっ……」

 冷めない興奮に煽られた口付けは自然と舌を絡ませるものへと変わり、互いの唾液を攪拌する音が小さくだが絶えず鳴り続ける。そして、どちらからともなくそっと顔を離すと、彼女は照れた笑顔を見せる。

「……なんというか、本当に甘いな……」

「母乳の味、残ってましたか?」

「ああ、いや、それは少しだけだったんだけど……」

 潤美は頬を軽く掻く。なんとなくだが、彼女が甘いと形容したものが分かって、潤美をもう一度強く抱き締める。

「甘いのは苦手ですか?」

 潤美の耳元でそう囁いてから、彼女を真正面に見直すと、潤美は小さく笑う。

「いや、これならいくらでもいけるくらいだ」

 潤美は呟くように言うと、次はあちらからキスをされ、すぐに舌を絡ませてくる。こちらからもそれを返しては潤美の頭をかいぐりし、お互いに満足するまで――我ながら、こう形容するのは少し恥ずかしいが――この甘ったるい空気に浸っていた。

 

 

 

3.

 ぼんやりと薄暗い部屋の中に、一つの人影が見えた。人影と言ってもそいつはどうやら人間ではないみたいで、頭には角が生えているし、跳ねた髪かと思えば耳のようだし、お尻辺りから伸びているのはどうも尻尾らしい。

 そいつは一人、座って何かをしている。竹か籐らしい、何かのひごを持った手が、淀みなく動いている。かなり慣れた手つきだし、自分も見慣れた手つきだった。

 それを見て私は、籠を編んでいるんだなと思った。ひごを使って個人が編むものなんてある程度限られているとはいえ、不思議と絶対にそうだという確信があった。

 すると、もう一つ人影が現れた。そいつは一人目よりも背も体格も少し大きく、一人目のような特徴もない。こっちはどうやら至って普通の人間らしい。

 そいつは一人目の傍らに並んで座ると、同じように籠を編み始めた。だが、手際は悪く、手の動きはぎこちない。

 でも、だからといって、下手くそだとか、不器用だとかは思わなかった。何故か、始めたばかりは仕方ない、これから上手くなっていくさ、と見守るような心地だった。

 それに、二人目の手つきの方が、何故か一人目の方よりも見慣れている気がした。厳密に言えば、こうして脇から見ているのがしっくりくるとでもいうべき、これまた不思議な感覚。

 そこに居る二人は、とても楽しそうにその作業をしていた。相変わらず視界は霧がかかったかの如く薄雲が晴れないし、声や音も碌に聞こえないけれど、二人が楽しげに談笑しているのは分かった。編み方の手解きをしては、二人して笑っている。

 ああ、そうか、あれは……。

 

 真っ先に目に飛び込んできたのは、木製の荷車の囲い部分だった。耳に飛び込んできたのは、それなりに整備された道を行く車輪が奏でるガラガラという音だった。

 私はまだ覚め切っていない頭に手をやりながら、体を起こす。私が乗っている荷車の上には中身の入った買い物籠と、それとは別の空の籠が重ねて隅に避けられており、幾らか魚の――慣れないと結構鼻にくる――匂いが残っていた。

 辺りを見回す。場所は人里と三途の河の中間辺りらしく、進行方向から察するに帰り道のようだ。

 その時、ぱさり、と布が落ちる音がした。半纏が落ちたか、と思いそちらを見れば、自分のではないもう一枚の半纏があった。どうやらそれは、私の背中にかかっていたらしい。

「あ、起こしてしまいましたか?」

 荷車の進行方向から〇〇の声が聞こえそちらを振り向くと、彼はこちらに背を向けて荷車を引っ張っていた。

 ああ、そうか。人里で早々に魚が完売して、その帰り道だったんだ。どうやら、いつの間にか眠ってしまっていたようだ。

「さっき車輪が石を踏んで、揺れちゃいましたから」

「いや、勝手に起きただけだ。気にするな」

 私は返事をしつつ、傍らに落ちた半纏を拾い上げる。

「それより、半纏借りてたみたいで悪かったね」

「いえいえ。かなり暖かくなってきましたけど、まだ外で寝るには少し寒いですから。でも、今はちょっと熱いくらいなので、そちらに置いておいて下さい」

「ん、分かった」

 持ち上げた〇〇の半纏を軽く畳み、持ち主の顔を見る。斜め後ろから見る彼の頬には、少し汗が浮いていて、〇〇の首にかかったタオルでそれを拭いてやると、彼は朗らかに笑う。

「ありがとうございます」

「今し方まで寝てた私が言うのもなんだが、今からでも変わるか?」

「いえ、平気ですよ。なんなら、家まで交代せずにいけるくらいです」

 〇〇は片手を離してぐっと握り拳を作り、笑う。実際、最近は荷物の殆ど無い帰り道なら、彼一人でもある程度余裕を持って家に帰れるくらいに体力がついてきていた。

「そうか。じゃあ、頑張ってもらおうかな。但し、無理は絶対にするなよ?」

 だから、ここは任せると言うと、〇〇は任せられることが嬉しいのか、笑顔で「はい」と元気に頷いた。

 そんな少し子供っぽい笑顔に自然と頬を緩むのを感じながら、私は彼と背中合わせになるように荷車の囲いに背を預ける。その時、ふと片隅の籠が目に入って、それの一つを手に取った。

 それは〇〇が先日作った籠だったが、私が作った籠の出来に多少劣るくらいで、彼の作った物の中ではかなり出来のいい物だ。作り始めの頃は魚を乗せて客前に出すのも躊躇われるくらい不格好で、餌やり用や魚を保管する氷入れにしか使えないくらいだったが、今では私が作った物と同じく、籠が必要な客に一緒に売る程度には出来がいい。

「籠、作るの上手くなったな」

 それを眺めつつぽつりと呟くと、〇〇は照れ隠しか、頬をぽりぽりと掻く。

「まだまだ未熟ですけどね。でも、先生がとても教え上手ですから、どんどん上手くなりますよ」

「惜しいなあ。もし里を出る前にそれを言ってくれれば、晩飯のおかずが一品増えたのに」

「あらら、残念ですね」

 誉め言葉には冗談で返して、二人で笑い合う。この帰り道くらい、穏やかで暖かな、二人だけの空気。それがとても心地よかった。

「何だか、潤美さん元気……というか、楽しそうですね」

「そう見えるか?」

「はい。声色的に、ですが」

 そう言われて、声にまで出ていたのか、と自分に驚き、声だけで分かるんだな、と〇〇に対しても驚いてしまう。

 でもその驚きは、不思議と笑みが零れてしまうものだった。

「……まあな。人間と一緒に生きるなんて最初はどうなるかと思ったが、今の生活も幸せだなーって思ってな」

「そうですか。俺も、幸せですよ」

「そうか。うん……、本当に、幸せだ」

 私は背中を預けていた前方部分の囲いに肘をついて頬杖し、荷車を引く〇〇の意外に大きな背中をぼんやりと眺める。そして、家にある食材と今日買ったものを思い出しながら、一品くらいおかずを増やしてあげられないかな、なんて考えていた。


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