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注意点
二次設定、独自設定、独自解釈等があります。
オリキャラ(名無し男)との絡みになります。
1.
「お、お待たせしました……」
「あ、いや、大丈夫、待ってないよ。……髪、結ってたの?」
「は、はい。普段はお風呂の後は結ったりしませんけど、いつも通りの装いの方が、平常心になれるかと思いまして……」
戸を開けて部屋に入って来た風呂上りの磨弓と言葉を交わしながら、自分は少し体を横にずらして隣を空けると、彼女はそこに腰掛ける。
磨弓の現在の出で立ちは、頭は結ったお団子に白いリボンと見慣れた装いで、服装は流石に挂甲姿ではなく、淡い黄色を下地に花柄が軽くあしらわれたシンプルな薄手のボタン留めのシャツに、膝下くらいまでの丈の白いハーフパンツと、寝巻き用の軽装だ。
「○○さんも、同じ、ですか?」
「ま、まあ、ね。やっぱり、いきなり何も、っていうのは……」
水を向けられた自分も磨弓と同じく、軽めの上下に身を包んでいた。特にこれと言った特徴もない、無地の軽い寝巻だ。
今日は磨弓がこちらの家へ来て、一泊していく日だった。畜生界という、普通の人間ではおよそ通えないところに住む磨弓との逢瀬は、専ら彼女の方がこちらへ来て、大抵は日帰り、まれに数日泊まっていくのが殆どである。時には彼女の付き添いであちらにお邪魔しては、袿姫さんやその恋人――自分の昔からの友人、所謂幼馴染の腐れ縁だが――と話をしたり、磨弓の日々の作業を微力ながら手伝ったりもするが、割合的には来てもらう方が多い。
そして、そんな逢瀬の一日も既に時刻は夜。風呂は先程言った通り磨弓は済ませたばかりで、自分はその前に終えている。そのうえ、現在自分達が居るこの部屋は寝室であり、ここは布団の上。
さて、そんな状況で寝巻に身を包んだ二人がこれからすることと言えば、何の捻りもなく考えれば就寝となるだろうが、今回はそうじゃない。
では、何をするか。それは、将棋や花札でも、晩酌でも、ましてや明日の予定を立てるなんてものでもない。
これから自分達が行うこと。それは、愛の営み、つまりセックスだ。それも、お互いに経験がない、初めて同士で。
「……」
「……」
一応、今日の晩に同衾するのは、既に二人ともが決め合ったことであり、お互いにそのつもりである。だから、誘い文句やそれらしい雰囲気を作るのはある程度省いて本題に入ってもいいと言えばいいのだろうが、二人して黙ったまま、何一つ動かない。いや、緊張で動けなかった。多分、それは磨弓も同じなのだろう。
「……あ、あのさ、磨弓は体調とか、大丈夫?」
そんな沈黙の中、少しでも自分が引っ張っろうと気合を入れてこちらから話を振ると、磨弓は少しだけ間を挟んで、ぎこちなく返事をした。
「……体調は、大丈夫、です。でも、体ではなくて、心の方は、心配な気持ちがあります。硬い、冷たい私に、本当に、出来るのかなって……」
瞳を少し伏せた磨弓の抱く、心配事。それが何に起因するものなのかは分かっている。彼女は見た目は普通の女の子にしか見えないし、触れてみてもその印象は変わらない。人並みに柔らかいし、温かい。
だが、元々は硬く冷たい、がらんどうの土人形なのだ。
「袿姫様を疑うつもりは一切ありません。でも、いざとなると、少し、不安です」
数日前、自ら言い出すのは恥ずかしいが背に腹は変えられぬ、はっきりとした答えが返って来るかは分からないが聞かずに致して何かあるよりはと思い、二人して真っ赤な顔で袿姫さんに、『自分達は交われるのか』を尋ねた。すると、まだだったのかと驚かれた後、極めてあっさりと、大丈夫だとお墨付きを頂いた。
なので恐らく、何一つ問題なく、つつがなく愛し合えるとは思う。磨弓は勿論、自分も袿姫さんのことはとても信頼しているし、磨弓にもかかわる大事な話でいい加減なでまかせを言うとは絶対に思えない。
しかし、やはり初めてな以上、磨弓が不安に思う気持ちもよく分かる。自分だって同じだから。
「……磨弓、その、もしも上手く出来なくたって、恋人として一緒に居られないなんてことはないんだから、あまり、気にしなくていいよ。ほら、別にセックスが全てじゃないし、あくまで、そう、スキンシップの一環を一緒に楽しもう、ってくらいに考えていいから」
少しでも磨弓の悩みを軽くしたくて、所々で考えつつではあるが自分の気持ちを伝え、彼女の頭を撫でる。湯浴みを終えたばかりとはいえ、よく拭かれて水気があまり残っていない艶やかな黄色の髪は、触っていて心地いい。
しばし磨弓はじっと撫でられていたが、こちらの手にそっと自らの手を添えると、ふわりと微笑んだ。
「お心遣い、ありがとうございます。○○さんの手、温かいです」
「磨弓の手も温かいよ。それに、柔らかい。俺はどう?」
「ええと、ごつごつしてて硬いです。あ、でも、埴輪兵士ほどではありませんけれど」
「なら、大丈夫じゃないかな。俺よりも磨弓の方がずっと、温かくて柔らかいんだから」
磨弓の生真面目な回答に少しだけ頬を緩ませながら、彼女の手にもう片方の手を重ねると、磨弓は小さく笑う。磨弓の顔にはまだ不安の色は幾らか残っているが、ある程度は取り除けたようだ。
「……磨弓、その、いい、かな?」
「……はい。でも、私は、殆ど知らないので……」
改めて彼女にそう問い掛けると同意が返って来るが、それとともに先の不安とはまた違う心配を口にした。
「申し訳ありません。何から何まで頼り切りで……」
「ううん、それは前から聞いてたし、気にしなくていいよ。大丈夫、俺が教えるから。……なんて、俺も初めてだけどね」
前半は出来るだけ真面目に、後半はあえて冗談っぽく言って軽口を叩くように言うと、磨弓は落ち込みかけていた顔を、少しだけ緩ませてくれた。
これからする行為について、殆ど知らないと磨弓は言ったが、基本的な知識はある。例えば、男性器と女性器を混えることが性交であり、精子と卵子が融合し子供が出来るとは知っているし、それは愛し合う者同士がすることだとも知っている。けれど、一口に性交だと言っても、具体的にどういう流れで交わりに至り、終えるのか、そこまでは知らないのだ。
だから、知識だけとはいえ、彼女の先を行く自分がきちんと引っ張ってあげなければならない。正直に言えば自分も不安ではあるが、頑張るしかないだろう。
「……じゃあ、まずは裸に……いや、一旦下着までになろうか。先に俺から脱ぐから、磨弓は待ってて」
「はい、分かりました」
服を脱ぐ、それも下着姿になるくらいは順番にやる必要はないのだろうが、心の準備をする時間を少しでも作るため、まずは自分だけが立ち上がり服を脱いでいく。
とはいえ、男の軽装なんて上下合わせても一瞬で脱ぎ終わり、下着一枚となった姿をあっさりと磨弓の前に晒す。彼女とは一緒に風呂に入った経験なんかも無いので、この半裸姿すら、ちゃんと見せるのは初めてだ。
脱いだ服は傍らに置いて、次は……、と声を掛けようと磨弓の方に目を向けると、彼女は真剣な眼差しでこちらの体をじーっと見ていた。その視線に思わず自分も黙って磨弓を見ていると、彼女もこちらの視線に気付いたのか、おずおずと口を開く。
「あ、あの、体に触ってみてもいいですか?」
「うん、いいよ」
そんな頼みに了承を返すと、磨弓も立ち上がってそっと手を伸ばし、こちらの胸や腰に触れていく。
「……胸板、やっぱり厚いですね。それに、腰回りもしっかりしてて、まさに男らしい、って感じです……」
「筋骨隆々には遠い中肉中背で、触って楽しい体でもないと思うけど、気になる?」
「はい。とても新鮮な感覚です。今まで一緒に居たのに、こうして見るのも触れ合うのも、初めてですから」
初めて見る男の体というものに興味津々なのか、磨弓は言いながらも手を止めずにぺたぺたと触り続ける。
まあ、霊長園には男性は一人、それも袿姫さんの恋人兼自分の友人だけなので、こんな姿は見たことも触れたこともないだろうし、新鮮に思うのも不思議はないかも知れない。
そうして一頻りこちらの体に触れると、磨弓は「あっ」と声を漏らした。
「ごめんなさい、つい長々と……。次は私の番ですよね」
「うん。だけど、急がなくてもいいからね」
磨弓はこくりと頷くと薄い黄色の上着に手を掛けて、上から一つずつボタンを外していく。ボタンが一つ外れる毎にシャツの拘束が徐々に緩んでいき、シャツの隙間から覗く素肌の面積が増えていくのが興奮を煽る。
急がなくてもとは言ったが、磨弓は最後まで一度も手を止めずに、シャツの全てのボタンを外し終わる。だが、そのままの流れでシャツを脱ぎ去りはせず、初めて手を一瞬止めて少しの間を空けてから、改めてシャツを、そしてハーフパンツも流れるように脱ぎ去った。
眼下に晒される、磨弓の健康的な色の素肌。戦いのエキスパートである兵長と言えど、見た目の可愛らしさにそぐわず肩は細く、全体的に筋肉質な感じは薄い。しかし、お腹や腕回り、太腿に余分な脂肪はなくきゅっと引き締まっており、華奢ながらも芯の強さを感じさせる。『武人』であると同時に『女の子』という言葉も似合う、美しさと可愛らしさを両立した、端正な体つきだった。
そんな磨弓の体躯は非常に目を見張るものがあったが、やはり、その中でも一際目が奪われるのは。
「……あ、あの、どうでしょうか。袿姫様が選んでくださったのですが、あまり、自分では良し悪しが分からなくて……」
若干赤らめた顔で、不安げにそう言う磨弓。自分が目を惹かれ、彼女が不安がるものはどちらも同じ、彼女の着用している下着だ。
その下着は上下どちらも白を基調にしたシンプルなデザインで、手の平に収まりの良さそうな程よい大きさの乳房を包むブラも、秘所を覆うショーツも、装飾は縁に小さなフリルと多少の花柄が添えられた程度の飾り過ぎないもの。
大袈裟に盛らずに最小限に抑えられたその意匠は、清廉で初々しい磨弓にぴったりだった。
「大丈夫、凄く可愛いよ」
「あ、ありがとうございますっ。そう言ってもらえて何よりですっ」
下着姿を見ての感想に対し、磨弓は律儀に頭をぺこりと下げてお礼を言うと、嬉しそうに顔を綻ばせる。自らの肌を見せるのを恥ずかしがるよりも、相手が喜んでくれるかを気にする仕草に、彼女の根底にある生真面目な奉仕精神が垣間見えて、自分もついつい頬を緩めてしまう。
何はともあれ、こうして互いに一先ず下着姿となる。ならば次は、残ったそれらに手を掛ける番だ。
「じゃあ、その……、次に脱ぐのは、下着、だけど……」
半裸姿とはいえ、言ってもここまでは大したものではない。暑い夏に川で遊んだり泳いだりすれば、自然と他人に見せる範囲だ。けれど、ここからはいよいよと思うと、つい言葉がたどたどしくなってしまう。
「はい。では、次は私から脱ぎますね。○○さんからばかりしてもらうのは申し訳ないので」
一方、磨弓は流暢にそう言うと背中に手を回す。かと思えばまたすぐに前に戻ってきて、肩のストラップに手を掛けると、右側、左側と順番に外して胸を包み隠していた白いブラを脱いでしまう。ああ、一度背中に回したのはホックを外していたんだ、と気付くよりも、ブラが脱げる方が僅かに早いくらい、一連の動きはスムーズだった。
「え、あっ……」
そんな所作に思わず声を出したのは見ているだけの自分であり、磨弓の方は落ち着いた様子でブラを軽く畳むと、脇にそっと置く。
驚くほどあっさりと目の前に現れた、形の良い手頃な大きさの二つの膨らみ。
直に見た経験は初めてなものの、今まで本や写真で見て来たどんな乳房よりも綺麗なそれは、非の付け所のない美しさだった。肌は滑らかな陶磁器のように一切の疵も染みもなく、ぷくんと膨らんだ乳首と乳輪は鮮やかな桃色を双丘の頂点に添え、その輪郭は見るからにふっくらと柔らかそうなラインを描いていた。
そんな魅力の詰まった双房に目が奪われて視線が離せないでいると、磨弓は手を止めずにショーツと腰の隙間に指を差し込み、一切の躊躇いなくそちらもするりと脱ぎ去る。そして、ショーツをブラの脇に置いて、改めてこちらを向いた。
「どうでしょうか。私の体は、お気に召して頂けそうですか?」
磨弓の質問に対し、自分は返事が出来なかった。というより、続けざまに晒される絶景に脳が追い付かず、声が出なかった。それともう一つ、少々予想外な点もあって、それに触れていいのか迷ってしまった部分もある。
それは、今し方露わになったショーツの下のことだ。そこは相変わらず美しい滑らかな肌をしていたが、それ以上に、何もない、というのが第一印象だった。
唯一あるものと言えば、たった一本の縦筋のみで、他には何もない。そう、一切の毛が生えていない、いわゆるパイパンだった。見る限りでは毛が生えていた形跡すら全くなく、今日のために剃ったわけでもなさそうだ。
「……やはり、ここが気になりますか? 私くらいの見目であれば、大抵は幾らか毛が生えているのでしょうが、私は元々生えておらず……。その、変、ですか……?」
そうして黙りこくっていると、磨弓は不安そうな顔と声で改めて尋ねてくる。こちらの視線から、どこを注視していたのか分かったのだろう。
「いや、そんなことないよ。その、見惚れちゃっただけだから、安心して」
「ほ、本当、ですか……?」
「うん。磨弓、綺麗だよ」
本心からの台詞を改めてしっかりと伝えると、磨弓は顔を綻ばせて、はにかんだ可憐な笑顔を見せた。
「良かった……。先程、〇〇さんが黙ったままだったので、私の体は〇〇さんの好みにはそぐわなかったのかと……」
「あー……、それは、ごめん。磨弓が服を脱ぐのに全く躊躇いがないから、驚いちゃってさ……」
実際は面食らっていただけで不安がるようなことは無いと軽く笑って締めると、それを聞いた磨弓は自らの体の前に手を添えて、落ち着いた声色で話す。
「私の女としての体は、今は〇〇さんのためだけのものです。そして、この体を授けてくれたのは袿姫様です。だから、〇〇さんに体を見せるのには何の躊躇もありません。ですが、下着の際もそうでしたが人には好みがありますから、唯一の懸念は〇〇さんが満足して頂けるか、それだけなんです」
全幅の信頼を寄せる創造主から賜った体を、好意を寄せる相手に見せるのに臆しはしないと、磨弓は自信と確信に満ちた顔で言う。どうやら、自分よりも彼女の方がよっぽど肝が座っているようだ。これは自分も、怖気づいてはいられない。
「よし、じゃあ、次は俺が脱ぐ番だね」
一部分が大きく盛り上がった、自身の下着に手を掛ける。磨弓が下着姿だった時はまだ緊張のせいかここまでではなかったのに、磨弓と交わる期待と一矢纏わない姿、先の献身的で健気な言葉にすっかり興奮して、準備万端になっていた。我ながら現金だが、緊張で萎えているよりはずっといい。
下着の中で窮屈だと訴える陰茎を早く取り出すべく、ちまちまとは脱がずに、一息に膝まで一気に下ろす。下着に引っ掛かって弾みながら姿を現した屹立は、記憶にある中でも一番元気なのではと思うほどにそそり立っていた。
「……あれ、磨弓?」
改めて自身の肉棒を見下ろしてから、顔を上げて磨弓の方へ向き直ったその時、彼女の異変に気付く。
磨弓は口を丸く開けてわなわなと震わせ、黄色がかった大きな目もまん丸にして、勃起し切った怒張をじっと見つめていた――というよりも、目が離せないでいるようだった。
男の半裸すらちゃんと見るのが初めての彼女にとって、陰茎も初めてなのは想像がつく。とはいえ、それにしてもここまで驚くものだろうか、と内心こちらも驚いていると、磨弓は、はっと意識を戻す。
「あっ、あのっ、これが、その、男性器ですか?」
「そ、そうだけど」
あわあわと言う磨弓の問いを肯定すると、彼女は胸の前でぎゅっと拳を握り、声を張り上げた。
「お、大きすぎませんか!?」
驚愕しつつも、至って真剣な顔での再度の問い。それに対する答えはほぼ自覚しているが一応考えて、やはり自覚している通りに返す。
「……いや、こんなものじゃないかな」
厳密な数字までは分からないが、世間一般で言われる大きさと殆ど変わらないのは大体分かる。しかし、それを聞いた磨弓はぶんぶんと首を横に何度も振った。
「そ、そんなはずありません! だって、私が事前に調べたものでは、もっと小さかったはずです!」
「え? 調べた?」
「その、霊長園にあった本で、こっそり……」
目線を横に逸らし、照れた様子で磨弓は言うが、自分の知る限り霊長園にそういう類の本は無いし、もしそういう本で調べたなら、生で見てもあんなに驚かないだろう。
ならば、どういう本があって、どういう本に男の裸が載っていそうか。うむむと頭を巡らせる。
「……もしかして、その見た本って、人体図とか解剖図とかじゃ……」
確か、いつの時代のものか分からない、しかも医学なんかは関係ない、美術系の学術書――袿姫さんにそれらが必要だとは思えないが、人間がどういう風に技術継承をしているかなんかは、あの方は興味があるかも知れない――が何冊かあったはずと思い尋ねると、磨弓はこくこくと頷いた。
「少しだけしか、ありませんでしたけど……」
やはり、そうだったらしい。それなら、磨弓がとても驚いた理由も分からなくもない。そういった本では形は分かっても正確な大きさや平均がどのくらいかなんて詳細に書かないだろうし、完全に勃起した挿絵なんてあまり無いだろうから、少なくとも彼女が読んだ中には無かったのだろう。
「じゃあ、大きくなることは?」
「それは知ってましたが、まさかこれほどとは……。ですが、こんなに大きいのが本当に入るのですか……?」
「んー……、自分も経験がないから実地があるわけではないけど、大丈夫だと思うよ」
自身の下腹部から陰唇周りを撫でながら首を傾げていた磨弓だったが、それを聞くと彼女はまた胸の前で拳を握って、大きく頷いた。
「わ、分かりました! ○○さんを信じます! では、早速始めましょう!」
そして、意気込みとともに布団に腰を下ろすと、ころんと体を布団に転ばせる。
「磨弓、ちょっと待って」
張り切る彼女に水を差すようで悪いが、自分も磨弓に追従して一度布団に座り、彼女の手を引いて体を起こす。
「その前に、前戯をしようか」
「前戯、ですか……? それは一体?」
「えーっと、準備運動みたいなものかな。お互いに体に触ったりとか色々して、心と体を慣らすみたいな……」
非常にざっくりとではあるが簡潔に説明をして、改めて「どうかな?」と問い掛けると、彼女はこくりと頷いた。
「何事も準備は大切ですし、是非しましょう。それでは、私はどうすればいいでしょうか?」
磨弓に言われ、自分も改めて思案する。どういったことをするかは大体分かっているが、何からならいいだろうか、と。
「……じゃあ、磨弓はキス好きだったよね」
「はい」
「まずは、それからしようか」
「キスで前戯になるんですか?」
そんなことでいいのか、とでも言いたげな磨弓に短い返事と頷きを返して、彼女の唇に自らの唇を近付ける。磨弓も少しだけ顔を上げて受け入れる体勢を取ってくれたので、そのまま互いの唇をそっと触れ合わさせた。
磨弓の唇はぷるっと弾けるような感触をこちらの唇に伝え、続けて二回、三回と軽く啄むと、今度は彼女の方から長い口付けが返ってくる。
更に、磨弓は唇を割り開くと、こちらの唇を舌でおずおずとつつく。
やってみる?
はい、してみたいです。
言葉は無くとも行動だけで会話を交わし、こちらも口を軽く開いて舌を伸ばすと、磨弓はこちらの舌や唇を自身の唾液で濡らす程度に軽く舐め、唇の端から端までを丁寧に撫でていく。
一頻り磨弓がこちらの唇を撫でた後は、次はこちらから同じようにお返しして、彼女の唇を味わう。そうして互いの気分を高め合っていくと、また磨弓の方から率先して口内に舌が伸びてきたので、こちらからも彼女の口へと舌を滑らせて、それぞれ相手の口の中で舌を絡ませる。
「ちゅ、くちゅ、んっ、はあっ……」
柔らかくも弾力がある熱い粘膜が睦み合い、粘液の混ざり合う水音と、磨弓の悩ましい息遣いが重なる唇の隙間から漏れる。
単なる口付けはともかく、いわゆるディープキスを磨弓に教えたのも、し始めたのも比較的最近のこと。だが、今回彼女はこうして、自ら率先して舌を伸ばし、少しでも経験を積もうと頑張っていた。
元々、磨弓は教えられたことは早く上手になろうと、すぐに実践して経験を積もうとする傾向がある。そんな熱心な姿が可愛く、同時に褒めてあげたくなって、彼女の後頭部に手を回して髪をさらさらと撫でる。すると、磨弓は緊張によってか多少強張りが残っていた体の力が緩ませ、よりふわりと柔らかく舌を絡ませるようになっていく。
「ん、ふっ、ちゅぷっ、くちゅ、ん……」
そうしてしばし激しい口付けを続けていたが、このままではずっとやりかねないなと思い、こちらからそっと手と唇をゆっくりと離す。
「あっ……」
磨弓は不意に離れていく相手の存在にか、残念そうな声を漏らす。それが心苦しくも顔を離して磨弓を見やると、彼女は互いを結んでいた銀糸が切れ落ちた口を僅かに開かせたまま、こちらを熱っぽい目でじっと見ていた。
「磨弓、キスするのもうすっかり上手くなったね」
「ありがとうございます。でも、至らない部分もまだまだ多いので、もっと頑張りますね」
言いながら磨弓の頭をもう一度撫でると、磨弓は蕩けていた顔を張り切った微笑みに変える。一応、こういったものは基本的に自分が教える側ではあるが、自分もあくまで知識しかない以上スタート位置分のリードしかない。加えて、磨弓は元々物覚えがとてもいいうえに先のように経験を積もうと努力するのもあって、もうとっくに追い付かれているんだけどな、と心の内で苦笑する。
「で、気分はどう?」
「とても心地いいです。〇〇さんとのキスは、胸の奥が温かくなって、ドキドキするのにホッとして、それがとても好きです」
「そっか。前戯はこういうキスとか、気分を盛り上げることをするだけだから、あまり難しく考えないでいいからね」
「はい。……あの、それで、ですが……」
短い返事と小さな頷きを返した後、磨弓はこちらに視線を何度か送り、おずおずと話を切り出す。
「〇〇さんは先ほど、体に触ったり、って言いましたよね? それなら、次は私から〇〇さんに触ってもいいですか?」
「うん、勿論。気分を盛り上げるとは言ったけど、お互いの体に慣れるのも目的だから、どこでも気軽にどうぞ」
自分の体で良ければ、と笑いながらそう返す。半裸になった時もそうだったが、やはり男の体というものが気になるのだろうか。
「では、実は、ずっと気になっていたのですが……、その、――でも、いいですか?」
「……ごめん、もう一回、教えて」
言葉を何度も区切り、照れた様子で磨弓は言うが、肝心なところの声がとても小さくて聞き取れず、再度尋ねる。すると、彼女は一度横に視線を流した後、改めてこちらを向き直す。
「……おちんちんを、です」
その一言に、思わず生唾を飲んだ。いずれは磨弓にもそういうことをしてもらうつもりだったが、今この瞬間、彼女の方から言われるとは思っていなかった。
「……う、うん。いいよ。……じゃあ、それなら俺は立った方がやりやすいかな」
了承を返した後に一度だけ深呼吸をして、気合を入れて布団の上にぐっと立ち上がる。改めて磨弓の前に晒す陰茎は一切勃起が衰えておらず、緊張に高鳴る心臓の鼓動に合わせて、どくどくと脈打っていた。
「……これが、おちんちん……」
そんな肉棒の前に磨弓は膝立ちに構えて、顔を寄せるとまるで魅せられたかの如く呟き、右から見たり左から見たり、下から上から斜めからと、あらゆる角度から分身をじっくりと観察し始める。
「……改めて見ると、やっぱり大きいですね……。それに、血管も浮いていて、逞しい印象なのに、先端は何だか不思議な形です」
異性どころか、他人にこれ程まじまじと陰茎を見られるのは初めてで、ただ何もせずに立っているだけなのに、非常に落ち着かない気分になる。しかし、それはおくびにも出さずに磨弓のしたいままに任せる。
「あの、触ってみてもいいですか?」
「うん、いいよ」
そんなお願いにも快く了承すると、磨弓は恐る恐る手を伸ばす。
「……わっ、とても熱くて、思った以上に固いんですね。あ、でも、先端は結構柔らかいところも……」
磨弓は男根全体を少しずつ場所を変えながら、感触を確かめるかのように軽く握ったり摘まんだりしていく。自分のものよりも一回り小さくて滑らかな手が、陰茎を這っては柔く揉むだけでも気持ちよくて、屹立の脈動と体の震えが大きくなってまう。
「……あの、先程からずっとびくびくしているのですが、まだ続けても大丈夫ですか?」
「あっ、うん、大丈夫だから気にしないで。好きなだけ、自由に触っていいから」
こちらを見上げて尋ねた磨弓の顔と声は、明らかにもう少し続けたい、と語っていた。なのでそう返すと、嬉しそうに「ありがとうございます」と頷いてまた分身に視線を戻す。
「そういえば、こちらも忘れてはいけませんね」
そして、早速磨弓はまだ観察していない部分、陰嚢へと手を滑らせると、ふわりと掴む。
「っ、うっ……」
「ここは私でもきちんと知っていますよ。陰嚢及び精巣で、精子が生産され、溜まっているところですよね。安心して下さい、男性器の中でも、特に慎重に扱うべきところなのも分かっていますので」
自分でもあまり多くは触らない箇所に触れられて思わず息を漏らす一方、磨弓は自信ありげに頷くと陰嚢を手でそっと包み、持ち上げる。
「ここに、○○さんの遺伝子、子種が詰まっているんですね……」
磨弓はしみじみと、神妙な面持ちで陰嚢をよしよしと撫でる。手つき自体は非常に優しいが、だからこそくすぐったいと気持ちいいが同時に押し寄せてきて、ぞくぞくと背筋が震える。
こうして肉棒を上から下、鈴口から陰嚢までをしっかりと観察し、触り、学習した磨弓は一度視線を陰茎の先端へと戻すと、首を傾げこちらを見上げた。
「……あれ、先端から透明な液体が出ていますが、尿ではなさそうですし、これが精液ですか? いや、でも、精液は白いはずだったような……」
「これは、通称だけど我慢汁って言って、なんていうか、エッチな気分が高まると出てくる、って認識でいいかな」
「なるほど……。そういえば、精液を排出する射精に至るためには、基本的には性的興奮だけでなく、刺激も必要でしたね」
磨弓はこちらの説明と自前の知識を照らし合わせてまた知見を深めると、真剣な眼差しをこちらに向ける。
「あの、具体的にはどうすれば、射精を促すための刺激になりますか?」
「んー……、簡単に言うと、撫でたりこすったり、が一般的かな。但し、激しくしすぎると気持ちいいよりも痛いが強くなるから、ほどほどに。力加減としては、今までの磨弓の手つきでも結構いい感じだったよ」
「では、先程までのように撫でるのを繰り返していれば出るんですか?」
「出ると言えば出るけど、時間はかかるかもね。磨弓の手でそういうのをするのを手淫とか手コキって言うんだけど、オナ……、えーっと、男の自慰みたいに扱くのが一番手っ取り早くて簡単だと思う」
学んでいく気概に満ちた磨弓の様子から、自分も余計な照れや不明瞭な言い方はせずに真面目に答えると、彼女は少しだけ首を捻る。
「扱く、ですか……。どんな風にするのか、教えてくれますか?」
「うん。じゃあ、そのままそっと握って……、もう少し強く……、うん、そのくらい」
磨弓は言われた通りの力加減をしばし維持した後、僅かに力を込めたり緩めたりして、何度か軽く握り直す。それは、今の感覚を体に叩き込もうとしているかのようだった。
「それで、次は手を動かす。こんな感じで」
自分は空いていた右手を肉棒の横に構えて虚空を握り、分かりやすいように少し大袈裟に上下に動かす。磨弓はその手つきをこれまでと変わらぬ真剣な目つきでじっと見た後、こくりと頷く。
「分かりました。では、やってみますね」
「さっきのは分かりやすいようにちょっと大袈裟にしたから、実際は根本からカリ、このエラの張った、傘みたいな部分ね。大体、この辺りまででいいから」
磨弓は「はい」と続けて頷くと、早速手を上下に動かし始め、教えた通りのストロークで扱き始める。初めてかつ大事な弱い器官だという意識があるのだろう、動き自体は緩慢だが、まずは慣れてもらうべくこのまま続けてもらう。
とはいえ、そこまで気長に構えられるほどの余裕は正直あまり無かった。他人の手に触られる感覚にも慣れてきたからか、磨弓の手の感触だけでも相当心地よく、射精を促すための動きは先の興味に任せて触れていた時よりも、与えてくる快感の質が遥かに上回っている。
「磨弓、ちゃんと出来てるし、気持ちいいけど、もうちょっと早いともっといいかも」
「早く、ですね……」
彼女の手淫が慣れてきた辺りでそう進言すると、やはり幾らか遠慮があるのか僅かに逡巡したが、すぐに扱く速度を段階的に少しずつ上げていく。
「……っ、磨弓、今くらいで」
「このくらい、ですね」
磨弓は待ったを掛けたところで速度を上げるのをぴたりと止め、速さの調整で疎か気味になっていた扱く所作をしっかりと安定させて、改めて手コキに集中する。
自らの手では何度も経験のある、分身を扱く行為。だが、自分の手とは違う、一回り小さくて柔らかな手、それも恋人の手で扱かれて生まれる快感に、先端から我慢汁がだらだらと溢れて彼女の手を汚す。
それにも構わず磨弓は一切中断を挟まずに手淫を続け、手の中で震える陰茎や、時折小さく声を漏らすこちらの顔を交互に、大きな黄色い眼で覗く。それは、自らの行為がちゃんと相手を気持ちよく出来ているかを気にしつつも、快感に浮かされ悦んでいる時にどういう反応をするかを観察する、奉仕精神と興味の両方を孕んだ視線だった。
「く、うっ……、磨弓、そろそろ、出る、から……だから、えー……、目、いや、顔にはかからないようにだけでも、気を付けて……」
休みない奉仕にやがて限界が迫り、もう射精が近いと伝えるが、出す時はどうするかを全く考えていなかったことに今更気付く。とにかく顔だけでも逸らして欲しいと伝え、精液もとりあえず自分の手で受け止めるべく、右手を男根の前に持っていこうとする。
「分かりました。なら、こうすれば大丈夫ですか?」
しかし、それを聞いた磨弓が、顔を逸らし気味に持ち上げる方が僅かに早かった。こうすれば顔にはかからないし、視線を下げればどういう風に射精するのかも覗ける、何事にも興味津々の彼女には最良の方法だった。
そして、磨弓がそう言って差し出した場所は、今まで手コキを教えるのに集中していたのと、彼女が頑張っている合間に覗くのも悪い気がしてあまり見ないようにしていた、磨弓の乳房だった。
形の整った、見るからに柔らかそうな膨らみと、その頂点でぷくっと膨らんだ桃色の突起と輪っか。それらを改めて見てしまい、一気に興奮が高まってしまう。
「っ、うっ、くあぁっ!」
「ひゃっ!」
その昂ぶりに引きずられて暴発気味に絶頂を迎えてしまい、示された通り磨弓の乳房に向かって思い切り射精を始め、彼女はその勢いにか、驚きの声を上げる。
柔らかな手の中でびくびくと跳ね上がっては精液を排出する肉棒は、目の前の美しい乳肌を中心に、鎖骨やお腹へも白濁を無遠慮に撒き散らしていく。
「わっ、わ……、凄い……」
磨弓は初めて見る射精に驚きと感心の混じった声を漏らしながらも一身に受け入れ、やがて射精が治まると、大量の白濁を胸元やお腹に垂らしたまま、こちらを見上げる。
「これが射精、ですよね」
荒く乱れる息を整えながら、こくこくと頷く。磨弓の手淫で迎えた絶頂の余韻と、陰茎を見るのも初めてな磨弓の体に向かって、思い切り欲望の発露をぶちまけてしまったことへの背徳感に未だ興奮が止まず、言葉を発することが出来なかった。
「精液とは、あんなに勢いよく、それもこんなに沢山出るんですね……」
一方、息を切らす自分とは違い、初めて見た射精に興奮しながらも磨弓は滔々と言い、肉棒から手を離して自らの胸にかかった白濁を掬い取る。
「熱くて、ねばねばして、わ、糸まで引いてます。匂いは……、なんとも例えるのが難しい匂いですね……。正直、いい匂いとは言えませんが、単純に臭いというのも違うような……」
磨弓は手の平に掬った精液を、指でつついたり捏ねたりと興味に任せてにちゃにちゃと弄ったり、顔を近づけて匂いを嗅いだりして、思う存分知識欲を満たす。
「これが精子、赤ちゃんの素なんですね……。これを、ここに……」
そして、神妙な面持ちを浮かべ、もう片方の手で自らの下腹部を撫でる。その仕草はまるで、その時を夢想しているかのようだった。
「それで、この精液はどうすればいいのでしょうか?」
「……特にこれをするっていうのは無いから、そのまま、じっとしてて」
気分も呼吸も落ち着いてきたところで、ようやくきちんと返事をして、脇に用意していたタオルを取って磨弓の体を拭いていく。
「磨弓、こんなに汚しちゃってごめんね。実践させる前に、ちゃんと出した後のことも考えて置くべきだった」
「汚れたなんてそんな……。私は何も嫌ではありませんでしたよ。むしろ、質感や熱もしっかり理解出来てよかったです」
体や手を拭きつつの謝罪に磨弓は優しく微笑む。彼女の純真さを眩しく思いながら、余計なことは考えずに無心で一通りの精液を拭き終わると、磨弓はありがとうございます、と礼をしてからもう一度口を開く。
「一応確認したいのですが、〇〇さんが射精されたということは、気持ちよかった、で合っていますよね」
「うん。気持ちよかったし、初めてなのに上手に出来てたよ」
正直に伝えるのは少し照れ臭さがあるが、それ以上に磨弓を褒めてあげたくてそう伝えると、彼女の顔がぱあっと明るくなる。
「本当ですか? あの、先程は手でしましたけれど、他にはどういう方法があるんですか?」
更に、張り切った様子で別の奉仕方法を尋ねてくる磨弓。恐らく、今後のためにも知識を深めておきたいのだろうと思い、その質問の答えをきちんと考え、頭でもある程度整理してから返答する。
「かなり色々あるけど、例えば、舌で舐めたり、口に含んでさっきみたいに扱いたり、胸で挟んでこすったりとかが比較的一般的かな……。精液も、中には飲んじゃったりっていうのもあるけど、これはかなり上級者だから、そんなのもあるよ、くらいで……」
「なるほど、口や胸、ですか……」
こちらの説明を反芻しながら、磨弓は自身の口元を撫でたり体を見下ろした後、彼女はこちらに向き直って、目の前に延びる怒張をぺろりと舐めた。
「っ!?」
不意の刺激に思わず体をびくんと跳ね上げてしまうと、磨弓もびくっと口を離して、こちらの顔を見上げる。
「ご、ごめんなさい、急にしてしまって。その、胸は難しそうだったので、お口でと思ったのですが、してみてもいいですか?」
「……うん、勿論いいよ。無理せず、出来るところまででいいからね」
確かに驚きはしたが、彼女の積極的な気持ちは嬉しいし、何よりさせて欲しいと訴える目つきを見て、了承を返す。
「頑張りますね。それで、今回は〇〇さんの助けは借りず、私だけで考えてしてみたいのですが……」
「分かった。でも、もし何か聞きたくなったら、遠慮せずにね」
やる気に水を差したくはないと、すぐに快諾すると、磨弓は張り切った顔を見せて「はい!」と改めて頷く。
そして、屹立の前に再度顔を持って行くと、舌をそっと取り出して先端をぺろりと舐めた。
「っ……」
精液を排出したばかりの鈴口に、粘液を湛えた温かく柔らかい舌が触れ、またしても体がびくっと震えてしまうが、磨弓は体を引かずに舐め続ける。
ぴちゃ、ぴちゃ、と小さな水音を響かせて鈴口を小刻みに舐めては、時折上目遣いでこちらの様子を窺い、初めての口淫に耽る。何度か先端を舐めた後は顔を少し横にずらして、亀頭の側面から上面、もう片方の側面にカリ首と、じっくりじわじわと舌での侵略面積を増やしていく。
亀頭の表面を一通り舐めた後は、残った裏筋、カリ裏へも舌を這わせ、舌が届く範囲までであるが左右交互にしっかりと念入りに舐めると、一度舌を離して熱のこもった吐息を漏らす。
だが、すぐに次は肉幹の傍らへと顔を移して、肉茎へと舌を伸ばす。亀頭に比べて面積が広く、かつ鈴口やカリのような特徴となる箇所もないからか、肉幹全体を小刻みな動きで満遍なく舐めては、亀頭から根本までゆっくりと段階的に舌を下げていく。
やがて根本に辿り着くと、次は上へと舐め上げていく。但し、行きのように徐々に横軸を変えていくのではなく、舌を密着させたまま滑らせてカリ首まで舐め上げては、少し横にずらしてまた根本からと、細かくやり方を変えながらどうすれば分身がより震えるのかを学んでいく。
「……ん、はあっ……」
根本からの舐め上げも端から端まで終えると、磨弓は一旦顔を離し、こちらを見上げた。
「あの、〇〇さんはここまでで、気持ちよくなってくれていますか?」
「うん、凄く気持ちいいよ」
口調自体は落ち着いて言うが、実際にこの時点でかなりきつかった。何せ、自分もフェラされるのなんて初めてなうえ、磨弓の赤い小さな舌が自らの陰茎を熱心に舐め、合間合間に気持ちいいかどうかこちらの様子を可愛らしく確認してくるのだ。初めてで不慣れだからこそ丹念で丁寧で、上手に出来ているかを気にするいじらしい姿に、心打たれないわけがない。
けれど、心も体も満たされる幸福感が止めどなく溢れようと、男の意地で早すぎる射精は何とか耐えていた。この口奉仕が手淫の次だったのは、幸運だったかも知れない。もしもこれが本日一度目の奉仕であれば、間違いなく既に射精してしまっていただろうから。
「……そ、そうですか……」
一方、尋ねた磨弓本人は少しだけ表情を曇らせ、歯切れ悪く返事をする。先の言葉が嘘じゃないのは、これまでこちらの様子をつぶさに観察していた彼女には分かるだろうに、少々不本意そうだった。
「……では、続きを始めますね」
しかし、すぐにそんな表情を取り払うと磨弓は再び顔を陰茎に近付けて、口を開けると一切の躊躇なくぱくりと亀頭を咥えた。
「ぅっ……」
ふわりと柔らかな唇が亀頭に触れ、先端が生暖かい空間に包まれる。その感覚に体が慣れる前に、磨弓は少しずつ亀頭の呑み込んで不慣れな快感に痺れる場所を広げていき、やがてカリまでをしっかりと口内に収めると、それ以上呑み込むのを止めた。
ぷるんとした唇の柔らかさと、裏筋に触れるぬるついた舌の感触、彼女の口内の温かさが、亀頭から全身へ段々と広がっていく。このまま何もせずにいても、いずれ射精してしまうかも、なんて思っていると、磨弓は裏筋に当たっていた舌を動かして、そこを緩く撫で始める。
「ん、っ、ふっ……」
「う、あっ……」
敏感な箇所への舌愛撫と同時に、喉奥から溢れる生暖かい息が亀頭にかかり、思わず声が漏れてしまう。
磨弓は学んだばかりの知識を活かして、鈴口やカリ裏、裏筋を重点的に責めていく。既に弱点を知られた奉仕に陰茎はびくびくと震え、腰にもずしりとした重みの錯覚を伴うようになる。
「ひもひいいえふか?」
「っ、ぁっ……!」
不意に磨弓は何やらくぐもった声を漏らす。語調から察するに何かを尋ねようとしたらしいが、声を出そうと溢れた息が鈴口にふわりとかかり、舌も微動して亀頭が細かくこすられ、情けない声を上げてしまう。
彼女はそれに一瞬驚いた顔を見せたが、すぐに嬉しそうに目を細めると、こちらの脚に軽く手の平を添えて、顔ごと口を前へと動かして陰茎を呑み込んでいく。
「ん、んっ……」
血管の浮いた男根が鮮やかな唇を通して徐々に口内へ沈んでいき、肉幹の半分ほどまでを収めると、次は巻き戻すかの如く顔を引いて、カリ首が唇から抜き取られたところでまた呑み込む。
それをゆっくりと、二回、三回と繰り返し、三度目の引き上げで一旦動きを止めると、ちらりとこちらを見上げる。
きちんと出来ていますか?
無言ながらそう聞かれているのは分かったので、磨弓の頭に手を伸ばして、優しく撫でる。
「磨弓、上手だよ」
自分のたった一言で磨弓は不安げだった表情を緩め、再び肉幹に唇を滑らせて顔ごと前後に動き、自分が最初に説明した通りに口腔で肉棒を扱き始める。いじらしいその姿にもっと撫でて褒めてあげたくなるが、やり過ぎては邪魔になるだけなのでぐっと堪え、彼女の奉仕に集中する。
手淫以上に緩やかな速度ではあるが、徐々に一連の動作は滑らかになっていく。彼女が屹立を往復する度に、裏筋が舌に擦れ、唇がカリを柔らかく撫で、ぬるついた感触が肉幹までもを包み込む。
また、初めてのフェラチオながら口腔での扱きの合間に裏筋や鈴口への舌愛撫も織り交ぜており、その積極的な奉仕は、今はまだ辿々しくもすぐに上達していくんだろうという確信と、気持ちよくなってもらおうとする健気さをともに感じさせた。
「……っ、磨弓、そろそろ射精しそうだから、口を離して……」
そんな熱心な口淫をもっと味わいたい一心でここまで堪えてきたものの、自分も初めて受ける快感に早くも限界が訪れ、磨弓にそう声を掛ける。
だが、彼女は口を離さず、奉仕の手も一切休めない。
「磨弓、そろそろ、離れ……」
もう一度声を掛けるが、相変わらず磨弓は少しも離れない。射精するギリギリまでしようとしてくれているのかもしれないが、これ以上は不味いと思い、それならこちらからと腰を引こうとする。
「っ!?」
しかし、その前に磨弓の両手がこちらの腰に回って来て、制されてしまう。磨弓の抑える力は強く、力が入りにくい状況もあって、男の自分でも振り払うのが難しいほどだった。もしこれが普段のじゃれ合いならば、流石兵長と褒めてあげたいくらいだ。
「……く、っ……!」
もう絶頂の影はすぐそこまで来ていて、今更封じ込めるなんてもはや不可能と言っていい。つまり、自分に残された選択肢は、たった一つしかなかった。
「まっ、磨弓、ごめんっ、もう、出るっ!」
「っ、んっ!」
これから自分がしてしまうことへのせめてもの謝罪を口にし、磨弓の口内で思い切り射精する。一方、彼女は絶頂直前に陰茎がぶるっと震えた瞬間と、射精によって噴出した精液が口内の壁を叩いた瞬間に小さく声を漏らしたが、口を離しはせずに咥え込んだままじっとしていた。
「く、うあっ……!」
一度射精が始まってしまえばその快感に抗いは出来ず、手淫から立て続けとは思えないほどの量の精液を、磨弓の口内へ無遠慮に吐き出していく。一方、それを受ける磨弓は自らの口の中で肉塊がびくびくと脈動し、それに合わせて放出される精液でいくら口内を蹂躙されようと、肉幹にぴったりと張り付いた唇を僅かも離さない。
「……っ、はぁっ……。磨弓、もう、終わった、けど……」
二度目なのに、手淫の時と殆ど変わらぬ量の吐精が止み、磨弓へ射精が終わったと伝えると、彼女はようやく腰の拘束を緩めて、ゆっくりと顔を引いていく。
結局、磨弓は最後まで腰を手に回したまま、唇と肉幹の隙間から白濁を溢れさせたりもせずに口内射精を全て受け入れた。また、カリ、亀頭と口を引き抜いている今も隙間を極力作らないようにしており、そのどこにも精液は付着しておらず、ぬめる唾液だけが輝いていた。
最後に亀頭の先端が唇からぷるんと溢れてもやはりそれは変わらなかったが、あれだけの白濁がどこにあるかなんてのは分かり切っている。案の定、彼女は少しも口を開けずに口元を指先で隠すと顎をもごもごと動かして、喉を小さくこくんこくんと数回跳ねさせた。
「ん、んっ、ぷはっ……。ふふっ、精液、全部飲んじゃいました」
一切躊躇いのない飲精を終えた磨弓は、こちらを見上げてにこりと笑う。
「口の中でびくびくしたと思ったら、○○さんの子種が勢いよく沢山出てきて……。相変わらず熱くて、どろどろで、少し飲みにくかったですけれど、あまり嫌な感じはしませんでしたし、飲んだ後は胸が熱くなって、それが何だか心地良くて……。○○さん、私、飲むの好きかも知れません……」
彼女は熱っぽくも穏やかな表情で言うと、最後にほうっと小さく息を吐く。それは、初めての口淫で飲精まで行った後とは思えないくらい、落ち着いた達成感に満ちていた。
「磨弓、その……、精液を飲んじゃったりも、とは言ったけど、しない人が殆どだろうし、無理せずに吐き出してくれても……」
「無理なんてしていませんよ。私自ら、〇〇さんの精液を飲んでみたくてしたことですので」
軽く首を横に振って、自ら望んだことだと言う磨弓。しかし、少しだけ顔を伏せると、「ああ、でも……」と語調を曇らせた。
「無理矢理になってしまって申し訳ありません。予め最初に、飲んでみたいと意志を伝えておくべきでした。そのせいで、私が好きでやったのに、○○さんに余計な気遣いを……」
「ああ、いやいや、そんなこと気にしないで。無理はしないで欲しいってだけだから。……そうだ、まだ言ってないことがあったね」
初めての口奉仕を巡って、お互いに謝罪と述懐をし合った後、まだきちんと伝えられていないことがあったと思い出し、磨弓の視線に合わせるために一旦腰掛け、彼女の頭をよしよしと撫でる。
「初めてなのに頑張ったね、上手だったよ。ありがとう」
磨弓は表情を緩めて「はい」と柔らかな声で返事をして小さく頷いた後、両の指を軽く組ませて、僅かに視線を外した。
「私、実は少し落ち込んでいたんです。お口でし始めたばかりの時、〇〇さんは気持ちよさそうにしてくれていたし、言葉でもそう言ってくれたのに射精まで導けなかったので、きっと何かが足りないんだって。だから、もっと積極的にしないとって思って」
彼女に言われ、そういえば磨弓が表情を曇らせる反応を見せたことがあったと思い出し、同時にその時の違和感の理由にも合点がいった。こちらとしては射精を抑えていただけだったのだが、彼女には物足りないように見えたのだろう。
「あー……、ごめん、磨弓、説明不足だった。あの時は、磨弓にしてもらうのが凄く気持ちよくてあっさり射精するのを我慢してたからそう見えただけで、気持ちいいのは本心だったんだけど……」
「我慢……ですか? 何故、精子を放出するための射精という行為を、我慢する必要があるんですか?」
磨弓は至って真面目な、不思議そうな顔で尋ねる。射精を生殖行為として考えた場合、彼女の言い分はもっともであり、その実直な物言いに思わず少し頬が緩んでしまう。
「うん、確かにね。でも、一応色々理由があるんだよ。ある程度我慢するともっと気持ちいいとか、磨弓にもっと長くしてもらいたいからすぐに終わらないように、とか」
「なるほど……。ですが、後者の方は、もし望まれるのであれば何度だって私は構いませんよ? それこそ、今からもう一度でも……」
磨弓はこちらの返答に納得しつつも、これまた奉仕精神に溢れた台詞とともに、目線を下げてこちらの股間に目を落とす。
「あれ、ちょっと小さくなっていますが……」
しかし、二度の射精を終えて、完全な勃起から半勃ち程度に静まった陰茎を見ると、上目遣いにまた不思議そうな顔で見上げた。
「言うタイミングが無くて今更になるけど、射精すると基本的にここは小さくなるんだよ。口でしてくれる前はそんなに変わってなかったのは、手でしてもらった時に、その、凄く興奮してて落ち着く暇が無かっただけで」
「そうでしたか。でも、この大きさでも私の方へ入れるには、まだ難しそうですが……。あ、なら、もっと射精すれば……」
「それが、それをしちゃうと磨弓とする時の分が無くなっちゃうんだよね。磨弓は陰嚢に精液を貯めて、っていうのも知ってたけど、その貯蔵量や生産量にも限界があるから、出し過ぎたら時間を空けないと駄目なんだ。だから、さっきみたいに我慢してでも、一回一回を大事にしたいなって」
非常に簡単かつ素人知識だが、勃起や射精について軽く説明すると、彼女は感心の声を漏らして深く頷く。
「……私が浅慮でした。奥が深いですね……」
「まあ、そこまで難しい話ではないんだけどね。そういうわけで、こっちはちょっと休憩もいるから、次は俺の番でいいかな?」
生真面目な反応を見せる磨弓の頭を軽く撫でながら、そう持ち掛ける。それを聞いた彼女は二回ぱちぱちと瞬きした後、次は自分がされる側になると気付いたらしく、少し頬を赤らめて一礼した。
「あ、はっ、はい! その、よろしくお願いします」
「こちらこそ。それじゃあ、磨弓はそこに寝てもらえるかな」
磨弓はすぐに頷きを返して、布団に体を横たわらせる。迷いない行動だったがやはり緊張しているのか手足がガチガチに強張っていたので、力を抜くようにだけ声掛けする。
一方自分も、緊張に震える手をぎゅっと握り締めて深呼吸した後、膝立ちになってから磨弓へ覆い被さるように体を倒す。
「まずは全体的に、してみるからね」
「は、はいっ」
威勢のいい返事をした磨弓の体に早速、ではなく、最初は右手を頬へ伸ばし、軽く数回撫でる。彼女だけでなく自分も含め、言葉だけでは簡単にほぐれない緊張から少しでも落ち着いてもらおうと思っての行為だったが、体を固くしていた磨弓は少し顔を綻ばせてくれ、その可愛らしい笑顔に自分も勇気を貰う。
そのまま手を下へと滑らせて、首から鎖骨、二つの膨らみを目指す。そして、目的地へ至る直前、手が思わず止まってしまうが、意を決して乳房へと手を伸ばし、触れる。
「っ……」
その瞬間、思わず息が漏れた。磨弓の乳房に触れたという事実と、それが驚くほどに柔らかったことに感動してしまったからだ。
指先で触れただけなのに乳肉はむにゅりとたわんで指先を受け止め、抜群の感触を手に返す。更に指を押し込めば、芯にある確かな弾力が押し返してきて、それもまた心地よい。
湧き上がる欲望に煽られ、次は手の平を広げて下から掬うように手を添えて揉めば、柔肉は五指に押された分を親指と人差し指の間に幾らか膨らませて逃がしながら、手の平にも吸い付く感触を返す。
その柔らかさに魅入られ、無意識のうちに二回、三回と続けて揉んでしまう。高級な布やつるつるの石など、触り心地がいいものをいつまでも撫でていたくなる、なんて経験は何度か憶えがあるが、この感触はそんな記憶のどれをも遥かに上回っていた。
そんな風についやわやわと揉みしだいていると、磨弓はおずおずと口を開く。
「あ、あの、袿姫様ほど大きくありませんが、私の胸でも、〇〇さんは楽しんで頂けていますか?」
「うん。勿論」
突然の質問だったが、答えは考えるまでもなかったので大きく頷き即答をすると、彼女は「良かった……」と呟いて顔を綻ばせる。
「もしかして、気にしてた?」
「……はい。袿姫様は気にしなくて大丈夫だと仰っていましたが、やはり袿姫様のように大きい方がいいのでは、と……」
胸の大きさを気にする、というのはよく聞く悩みだが、いつも袿姫さんと過ごしている分、特にそう思ってしまったのだろう。服を脱いだ際に、好みに合致するかは懸念があると言っていたが、このこともあったのかも知れない。
「大丈夫。磨弓の胸は、凄く綺麗で、柔らかくて、触れてるだけで気持ちいいくらい魅力的で、大好きだよ」
ここまで直球で並び立てるのは自分も少々恥ずかしいが、自信を持って欲しくてぱっと思い付く限りの誉め言葉で正直にそう伝えると、彼女は小さく笑う。
「ふふっ、ありがとうございます」
照れ笑いを浮かべる磨弓の反応からして、先程の賛辞が拙い語彙を総動員したものだと分かっているのだろう。それでも、彼女が笑顔になってくれたのなら、頭を振り絞った甲斐があった。
「それで、磨弓の方はどう? ここまでで、嫌な感じとかはしない?」
「いえ、不快感はありません。ですが、くすぐったいような、何だか不思議な感じはします」
「そっか。……じゃあ、その、もっと下もこれから触るけど、大丈夫?」
その問いに磨弓は逡巡した後、こくんと頷く。それを受け、名残惜しいが胸から手を離して、言った通り下へと滑らせ、鳩尾、お腹から下腹部までを撫でると、彼女は全身をぎゅっと縮こまらせて、瞳もぎゅっと瞑る。
恐らく、怖いのだろう。だけどそれは、大事な場所を触られる恐怖ではなく。
「磨弓、大丈夫。不安に思うことなんて、何もないから。だから、俺の手と、自分の中の感覚に集中して」
空いている左手で磨弓の頭と頬を撫でて、静かに助言する。
先程触れた乳房も性感帯とはいえ、これから触れる箇所でどんな感覚を得られるかに、後に控える交わりで快感に浸れるかが掛かっていると言っても過言ではない。そして、その重圧に一人磨弓は耐えている。
「ほら、袿姫さんも大丈夫って言ってたし、もし結果が振るわなくても、俺が超下手くそなだけだろうから。あ、でも、そうなっても、出来れば嫌いにならないで欲しいかな」
ほんの僅かでもそれを背負ってあげようと、磨弓の気持ちをほぐそうと冗談めかして笑うと、彼女は硬くなっていた顔を少し緩めてくれた。
「〇〇さんこそ、大丈夫ですよ。嫌いになんて、絶対になりませんから」
磨弓はこちらの左手、右手と順番に自らの右手を重ねた後、大きく息を吸って吐くと、重ねた右手を愛撫の阻害をしないように脇に避けて、もう一度こくんと頷いた。
自分も心内で深呼吸してから意を決し、下腹部に待機していた右手をもっと下に向かわせる。滑らかな肌を滑る右手は毛の一切生えていない恥丘も駆け抜けると、割れ目へと指先が触れた。
刹那、磨弓は反射的にか脚を僅かに閉じるが、指を受け入れるため、自ら閉じる前以上に脚を開かせる。こちらも今更引きはせず指を進めると、開いた脚に引っ張られてより左右に開いた秘部の少し膨れた部分に触れた後、一対の柔らかいひだに手が届く。
自分の知識を総動員し、先程触れたのが陰核を覆う皮の部分で、今触れたのが小陰唇であると判断し、まずは小陰唇を緩く撫でてみる。
「あっ……」
小さなひだは僅かだがしっとりと濡れており、それの水気と確かな熱が指先に伝わり、そこに触れると磨弓は小さく声を上げて、体をぴくんと震わせた。
その声が、震えが何故なのかは聞かなかった。逐次確認するのがプレッシャーになると思ったし、もっと彼女のここに触れてみたい、というのもあったからだ。
小陰唇をすりすりと緩く撫でた後、指を奥へとそっと沈ませる。すると、熱とぬめりが一段と増し、もっと奥へと入りそうな、小さな穴があった。
これが磨弓の膣へと入っていく穴なんだと、見ずとも分かった。軽く入り口を撫でてみるとそこは柔らかく、ひく、ひくと緩慢に脈動を繰り返していた。
確かに、磨弓がここに陰茎が入るのかと不安がった理由も分かる。指が精々なのではと思うほどに小さい。けれど、自分に尻込みする感覚はあまり無く、それ以上にこの穴へ挿入することへの興味と、愛しい人と交わることへの期待が大きくて、既に心臓がどくどくと高鳴っていく。
しかし、今はそれよりもまず、磨弓を気持ちよくさせてあげなければならない。なので、膣穴から一旦指を離し、先送りにしていた陰核へと向かわせる。
自分の知る限り、お互いに特別な知識や技術や開発がなくとも、無理矢理したりさえしなければ、気持ちよくなってくれるであろう場所。つまり、一番快感を得てくれる可能性が高い場所だ。
そこへ再度触れ、皮の上から軽く圧してみる。
「んっ……、あ……」
磨弓はまたも、小さいが確かな反応を返す。それからも弱い力で圧迫し、押さえたまま軽く揺すってみたりすると、その度にぴくんと体を跳ねさせる。
こうして粗方の性感帯に軽く触れてみたところで、クリトリスからも指を離し、指に残る仄かな水気に多少の希望を抱きながら、彼女に尋ねる。
「磨弓、とりあえずここまでで、どんな感じだった?」
「は、はい! 気持ちいいです!」
「……磨弓、大丈夫だから、正直に、教えて」
快活な返事をした磨弓だったが、それが真の反応でないのは明らかだった。怒ってはいないが、本当のところを教えて欲しいと磨弓の頭を左手で撫でながら優しく諭すと、彼女は顔を伏せてしまう。
「……ご、ごめんなさい。本当は、よく分かりませんでした」
消沈した声色で磨弓は言う。だが、すぐに顔を上げると、黄色い瞳でじっとこちらを見る。その瞳は潤んで揺らめいているが、真っ直ぐだった。
「でも、体がむずむずして、じっとしていられなくて、だけど、それが嫌ではなくて……。だから、もっと、触って欲しい、です。分かるように、なりたいです」
「……ありがとう、正直に教えてくれて」
もう一度、磨弓の頭をよしよしと撫でる。彼女の先の言葉に嘘はないと、確信を持ってそう思った。そして、自分もこれからの行為に、確信に近い感情が湧き上がる。
もしかしたら、上手くいくかもしれない、と。
「磨弓、さっき教えてくれた感覚は、気持ちいい、っていう感覚で大体合ってると思うよ」
「ほ、本当ですか?」
「うん。でも、それが本当にそうなのか、磨弓もセックスが楽しめるくらい、気持ちいい、を感じられるのかは正直分からない」
合っていると言った瞬間、ぱっと磨弓は表情を輝かせたが、続く言葉に喜びも束の間、少し落ち込んでしまう。
そんな彼女の手を取って、笑い掛ける。
「だから、もう一回最初から触るから、もっと触って欲しいって思った場所を教えて欲しい。二人で一緒に、それを確かめようか」
すると、磨弓は表情を明るく変えて綻ばせ、頷く。
「じゃあ、また上から触れていくよ」
磨弓の手を掴んでいた右手でまた彼女の頬を撫でた後、鎖骨、首元、胸、お腹と、先の愛撫で触れたところをおさらい程度に手を滑らせていく。
「胸とかお腹は、撫でてもらうの、好きな感じがします」
「胸なら、こことかはどう?」
先は乳房の感触に夢中であまり触れずに終えてしまった、先端の突起に手を伸ばす。ぷくんと突き出た、美しい桃色の乳首を人差し指の腹でつんとつつき、柔く圧したまま軽く弄ってみる。
「あっ、ん、はいっ、乳首、むずむずします。少し、くすぐったい感じも、しますけれど」
磨弓は自身の体を巡る感覚をしっかり伝えようと言葉を探りながら答え、自分もどうすれば気持ちいいかを考えつつ、肉粒を柔く愛撫する。興奮なのか生理現象なのかはまだ判別がつかないが乳頭が徐々に固さを伴い始めたので、指先で柔く摘んで痛くしないように注意しつつ捻ってみると、磨弓は体をびくりと跳ねさせた。
「んっ、今、ぞくってしました。さっきより、もっと、むずむず、します」
「うん、分かった。じゃあ、胸はこのくらいにして、次はお腹だけど……」
自分の中で、愛撫の選択肢に乳房をしっかりと追加して、磨弓がもう一つ挙げた好きと言った場所、腹部へと手を移す、が。
「ごめん、ちょっとお腹は俺もどう触れるのがいいか思いつかないから、こんな感じで……」
最初に撫でた時よりも大袈裟に、へその辺りから下腹部に掛けてを手の平全体で緩く、大きな動きで撫でる。
性感帯というくくりではあまり聞かない場所なので、とりあえず優しく撫でてみるが、磨弓は心地良さそうな顔を見せた。
「これも、好きです。お腹の奥が温かくなった気がして、大事にされているみたいで、安心します」
磨弓の所感を聞く限り、これはどちらかと言うと性的な快感よりも充足感から来る気持ちよさに近いかもしれない。
とはいえ、心地いいなら緊張をほぐす時なんかには良さそうなので、これもしっかりと記憶しておこう。
「じゃあ、次はまた下に触れるけど……」
「あ、そこは、最後に触れた場所が一番よかったです。この辺りとか、こちらもよかったですが、ここが一番でした」
お腹から手を下へと向かわせる前に、磨弓は率先して触れて欲しい場所を教えてくれた。彼女が先に挙げた二つは小陰唇周りと膣穴だったが、やはり最たるは最後に挙げたクリトリスらしい。
「分かった。なら、ここを重点的にするよ」
言いながら、秘芽を包皮の上から弱く圧して、指を少し揺する。
「んっ、お、お願いしますっ」
クリトリスは快楽を感じやすい分、非常に敏感な箇所なので力加減には特に気をつけて指先で撫でさすっては、時折とんとんと軽く叩く。
「んっ、あ、っ……」
磨弓の中で大きくなりつつある快楽の芽を育てるべく、大事に陰核を愛で続けていると、弄る指先に熱を伴った滴が触れる。もしやと思い、膣穴へ少し指を持って行くと、とろりとした液体が奥から溢れて、その周りをしっとりと濡らし始めていた。
それを指先で掬い取って、それらをクリトリスに塗り付けてさすっては、また蜜を拾い、陰核を弄る。その一連の動きを一工程に肉芽を刺激し続け、時折膣穴も緩く撫でさする。
「磨弓、どう? こんな風にするの?」
「○○さんの指がぬるぬるして、んっ、こすれて、さっきよりも、もっと体がびくびくってしますっ」
磨弓は落ち着きなく腰をがくがくと跳ねさせて揺らし、湿った吐息を漏らす頻度も多くなる。
もはやほぼ確信に近い思いを抱きながら愛撫をし続けていると、喘ぎの合間に彼女はこちらに呼び掛けてくる。
「○○さん、私、変、変なんです。体が熱くて、ぞくぞくして、それが、収まってくれません。でも、触るの、止めて欲しくなくて、奥が、熱くて、弾けてしまいそうなんですっ……」
磨弓は潤んだ瞳で縋るような視線をこちらに向けては、右手で布団をぎゅっと固く握って、何かを耐える仕草をする。
これは、恐らく。
「大丈夫、それは無理に押さえなくていいし、もう駄目って思ったら、その感覚に任せていい」
きっと、磨弓は絶頂が近い。だから、出来る限り自身の感覚に集中してもらうため、余計なことは言わず我慢しなくていいとだけ伝えて、彼女の頭に添えていた左手を固く握られた拳にそっと重ねる。
「もし不安なら、握り締めてもいいから」
重ねた左手で磨弓の握り拳をそっと握ると、彼女は自ら布団から手を離してこちらの左手と絡ませて、少しだけ顔を緩めた。
「はっ、ん、あっ、ひぁっ……」
休みなく陰唇を撫でる手に合わせて、磨弓は絶え間なく喘ぎ声を漏らす。そして、指先がクリトリスをとんと圧した瞬間、彼女は今までで一番大きな声を上げ、全身をびくんと跳ねさせた。
「あっ、ああぁっっ!」
磨弓は右手をぎゅっと握り締め、こちらの左手も痛いくらいに締め付けられる。だが、程なくして右手のみならず全身をだらんと弛緩させると、荒く途切れ途切れに息を吐く。
最初はよく分からないと言っていた、快感を感じられるか分からない体だけどそれを知りたいと言った彼女は、今、確かに絶頂を迎えた。
繋ぎ合った手は離さないまま、磨弓から貰った快感をきちんと返せたこと、初心ながら絶頂まで導けたことに喜びと達成感を得つつ、絶頂を迎えて水気を増やした秘部から手を離して蜜を拭き取ってから、彼女の頭をよしよしと撫でる。涙目で荒い息を繰り返していた磨弓だったが、こちらをぼんやりとした瞳で見ると、静かに口を開いた。
「〇〇さん、私、私……、あのっ、えっと、その……」
「磨弓、見てる限りだけど、凄く気持ちよさそうにしてたよ。自分ではどうだった?」
言葉が上手く出てこないみたいだったので、そこからはこちらが引き取って改めて尋ねると、彼女は小さく、だがしっかりと頷いた。
「私も、分かりました。体が火照り、更にと求めてしまう感覚が、気持ちいい。そして、最後のとても大きな熱と開放感が、性的絶頂なんですね」
絶頂の余韻に浸りながら穏やかに言う磨弓を、そっと撫でてやる。今は、その知ったばかりの感覚に思う存分満たされていて欲しかった。
「……ああ、そうそう、因みにだけど……」
それが落ち着くまでの間、自分は磨弓に簡単にまた色々と説明する。女性の場合は連続で絶頂しても大丈夫だとか、口語では絶頂ではなくイクと言うことが多い、等々。
そんなざっくりとした説明を終えて、次はどうしようかと考える。一応、もう本番には入れるものの、まだ続けたい気持ちもあった。
「じゃあ、磨弓も気持ちいいが分かったところで、もう一回、どうかな。磨弓も二回してくれたし、俺も、もう一回」
なので、そう提案すると、彼女はこくこくと頷く。
「はい、ぜひお願いします。私も、復習しておきたいです」
快感の復習がしたいという、なんとも磨弓らしい生真面目な同意を得たところで、再び彼女の体に手を伸ばす。しかし、その手は磨弓の体に触れずに顔の脇につかせると、彼女は不思議そうな顔でこちらを見た。
「しないのですか?」
「ううん、するよ。ただ、俺も磨弓に倣おうかなと思って」
これだけでは何のことか分からなかったらしく磨弓は少しだけ首を傾げるが、そんな彼女の顔に自身の顔を寄せる。そして、唇同士を触れさせると、磨弓は逡巡の後、そっと目を閉じて口付けを受け入れてくれる。
唇を重ねるだけのシンプルなキスをしばし堪能し、舌を入れてのディープキスには移らずにそっと唇を離すと、磨弓は少し恥ずかしそうに頬を染めた。
「もしかして、私はこれから○○さんのお口で愛されてしまうのでしょうか?」
「うん、正解。手以上に上手く出来るとはあんまり思わないけど、練習しないとね。これからのためにも」
少し前の自らの行いを思い出し、照れた様子で尋ねる磨弓の頭をご名答と軽く撫でた後、顔を彼女の胸元まで下げて、まずは鎖骨辺りに何度か口付けを落とす。
「ひゃっ、く、ふふっ」
この辺りはくすぐったいのか、磨弓は色っぽさは殆どない喘ぎを漏らす。
だが、そこから顔を下げて胸の先端、乳首近くまで口元を持っていくと彼女は息を呑み、緊張に体を強張らせる。けれど、それは少し前まで有った重圧によるものではない。既に『気持ちいい』がどういう感覚のものか理解し、それを感じた場所にまた触れられると分かっているからこその緊張で、磨弓自身の瞳には期待の輝きが色濃く表れていた。
そんな期待感を背負い、まずは軽めに、つんと立った乳首に口付けし、そのままちゅっ、ちゅっとキスをする。
「あっ、ん、あぅっ……」
唇が肉粒に触れる度に、磨弓は小さな嬌声をあげて、ぴくっと体を跳ねさせる。手で弄った時にも好意的な反応を返していたが、どうやらそれは口を使った愛撫でも変わらないらしい。
もっとも、この口愛撫で高揚しているのは当然自分も同じで、もっと彼女の乳房を堪能したいという欲求が湧き上がり、キスをした流れに乗って乳首をぱくりと咥え込む。
それに合わせて右手も乳丘へと伸ばし、柔肉をふにふにと揉んでは舌で先端をつついて舐め、乳房の持つ柔らかさと乳首の固さ両方を手と口で味わう。
相変わらず触り心地抜群の乳肉に手も夢中になりながら、興奮でこりこりに固くなった乳頭を舌で転がすと、磨弓は一際大きく体を震わせた。
「あぁっ、んっ、そこっ、さっきよりも、いいっ、気持ちいいですっ……」
「じゃあ、こういうのは、どう?」
咥えていた方の乳房から一度口を離してもう片方の柔乳へと移り、先程まで咥えていた唾液塗れになった乳首を、指先で弄ってやる。
「んっ、これっ、も、いいですっ。乳首がぬるぬるして、指も、舌も、気持ちいいっ……!」
粘液を纏った肉粒の上を滑らせるように指で愛撫し、もう片方の乳首もまた舌を這わせては舌先でつつき、弄る。両方をそれぞれ別の手法で責めて、口で行う利点も磨弓の体へ教え込む。
「あ、んっ……」
そうして、磨弓の双乳を十二分に味わったところで、体を少しだけ起こして、荒く息を吐く彼女と言葉なく見合った後、また磨弓の体へ視線を落としてある場所へと向かう。
「あっ、そこ、は……」
先の順番に則れば次はお腹になるが、今回は飛ばさせてもらう。そして、そこを飛ばすとなれば後一か所しかなく、磨弓も次がどこかは分かっているのだろう。今回は脚を閉じる素振りすら見せず――その代わり、一拍間を置いて――、迎え入れるようにそっと脚を広げてくれた。
自分も高まる緊張と興奮に、改めて一息呼吸を整えてから、磨弓の陰唇へと体を向かわせる。
「っ……」
服を脱いでいた時には一本の筋があるのみだったそこは、今は左右に大きく開かれた鼠径部に引かれ、僅かに綻び、その内側までもが覗いていた。
まだ指一本分の横幅すら見えていないが、思わず息を飲んでしまう。磨弓の秘部の、あまりの美しさに。
そもそも、女性器というものを生で見ること自体が始めてだったが、直接見た経験がなくとも、そこがどんな形をしてどんな色合いなのかは、ちょっとした話や本から知識を得ていた。
だが、磨弓のそこは、今まで自分が見聞きしてきたどれよりも、遥かに美しいと言い切れる。
既知のことではあったが、至近距離で見ても陰唇の周りには産毛が僅かにしか生えておらず、きめ細かなつるつるの肌が、先の絶頂や続く愛撫で溢れ出した淫靡な蜜に濡れ、ぬらぬらと輝いていた。その蜜は今この瞬間にも、鮮やかな朱色に染まった二枚の花びらの奥から、とろりと滲み出ている。
そこがどうなっているのか、もっと見たい。その思いに駆られ、両の手を伸ばして柔らかな大陰唇に手を添えて、左右に割り開く。
「あっ……」
磨弓の小さな声とともに、くちゅっ……、と水気を含んだ音を立てながら陰唇は無抵抗に開いて、秘部の全てを曝け出す。もはや尿道口も、膣穴も、その奥の蠢きまでもが丸見えだ。
愛液をとろり、とろりと吐き出す膣口はひくひくと蠢めき、鼻腔をくすぐる牝の匂いも一段と増す。膣穴の奥では牡を誘うようにひだが伸縮を繰り返し、膣壁同士が糸を引いて愛液の粘度の濃さを見せつけ、ここに入れたらどれだけ気持ちいいのだろうかと、それしか考えられなくなる。
高まる興奮に荒い息が漏れ、その息が秘所の上部で僅かに顔を覗かせる陰核にかかると、陰唇全体のみならず、お尻の穴までもがきゅっと窄まった。
「磨弓のここ、凄く、綺麗だ」
「ほ、本当ですか? 一応、自分でも鏡で確認したのですが、何分、他と比べることなんて出来ず……。でも、○○さんがそう言って下さるなら、良かったです」
もはや芸術と呼べる造形美に魅せられての台詞に、彼女は吐息の感触に体をぴくんと跳ねさせつつも、顔を赤らめて嬉しそうに笑う。
「それじゃ、するよ?」
「はい。お願いします」
磨弓の方を見上げ、彼女がこくりと頷いたのをしっかりと見届けた後、手始めに陰核へとキスをした。
「あぁっ! んっ、あっ……」
唇が秘芽に触れた瞬間、磨弓は腰を跳ね上げて甲高い嬌声を漏らすが、二回目、三回目の口付けは身を捩らせる程度に堪え、敏感なクリトリスへのキスを受け入れる。
続けて小陰唇から膣前庭、膣口にもキスを繰り返し、これから本格的に責めていく場所を暗に伝えた後、次は舌を取り出して、まずは一対の小さな花弁に舌を這わせる。
「あっ、ひぁっ……」
溢れる愛液に濡れ光っていた肉びらに舌が触れると、陰核へキスをした時には僅かに感じた程度だった、磨弓の蜜の味が口内に広がる。
苦いような甘酸っぱいような不思議な味は更なる興奮と行為を促し、性器にべったりと纏わり付いた愛液を舐めとっては体内に嚥下し、その代わりにこちらからは自分の唾液を塗り込むかの如く丁寧に舌を這わす。
「はあっ、○○さんの舌、気持ちいいですっ。もっと、舐めてっ、あっ、あぁんっ……」
磨弓の可愛らしいおねだりを聞きながら、舌愛撫を外側から内側へ、肉びらから膣前庭と徐々に中央へ寄せていき、膣穴へも伸ばせていく。
膣穴の入り口へ舌が辿り着いた瞬間、奥から湧き出したばかりの蜜が舌に絡みつき、一段と濃さが増した味と香りが体と心をかあっと熱くなる。その熱に股間がぞくりと疼くと同時にもっと貪りたいという欲望も燃え上がらせ、躊躇も遠慮もないまま、膣穴に唇を密着させて思い切り蜜を吸い上げる。
「やっ、ひあぁっ!」
じゅっ、じゅぷ、と音を立てるほどに淫汁を啜っては嚥下する度に、体中が熱く燃えて体温が上昇し、その炎が思考までもを焼いて、もう磨弓の陰唇へ奉仕することしか考えられなくなる。
膣穴へ吸盤のようなキスをしてはクリトリスを舌でつつき、左右に引っ張られてひくつく花弁も、余すところなく舌を這わせる。膣穴の奥の蠢きから、分泌されたばかりの蜜がとろりと零れれば、敷いた布団に飲まれる前にすぐに舌で攫い頂く。
それを何度も何度も繰り返すうちに、次第に磨弓の腰はぶるぶると震え、秘部を開かせている両手が抑えている脚が、時折かくんと跳ねるようになる。
「〇〇さん、私っ、えっと、イキそう、ですっ……!」
「じゃあ、今度はそれ、出来るだけ我慢してみて。その代わり、もう我慢出来ないって思ったら、無理せずイッていいからね」
「は、はいっ。頑張って、みますっ……!」
磨弓は震える声で返事をして、横に投げ出していた手でぎゅっと布団を掴む。
我慢してと提案したのは、『我慢するともっと気持ちいい』を彼女にも体験してもらうためだ。とはいえ、磨弓は忍耐力も人一倍あるので、こちらも手を緩めれば本当に我慢し切れてしまうかも知れない。
なので、自分もこれまで以上に彼女に気持ちよくなってもらうため、再びクリトリスへ責めの矛先を向けて、舌先で敏感な豆を舐める。指では膣穴の入り口を優しく撫でたり掻いたりして快感を与えつつもほぐし、この後に控える行為の準備を少しでも行っておく。
「んっ、くぅんっ、あぁ、はあぁっ……!」
磨弓は掴んでいた布団に深い皺が出来るほどに握り締めて、学んだばかりの性感を必死に堪える。引っ切り無しに腰は跳ねて脚も揺れているが、それでも一切の手加減はせずに口と手で奉仕し続け、今日二度目の絶頂までの道筋を作ってやる。
「〇〇さんっ、私っ、イクっ、イッちゃいますっ……!」
磨弓の振り絞った声を聞き、それならばと最後の一押しに、陰核を舐めていた舌の動きを少しだけ早くしてやる。
「イッ――、あっ! ああぁぁっ!」
口々に迫る絶頂を訴えていた磨弓は一瞬言葉を詰まらせると、絶叫しながら腰から下をびくびくと大きく震わせ、尿道からぷしゅっ、と小さく潮を吹かせた。男の射精にも似た熱い滾りはこちらの口元に掛かるが、全く気にならないどころか勲章に近い心地すら覚える。
再度絶頂まで導けた喜びを抱きつつ、秘部から顔を離して彼女の様子を見やる。磨弓は落ち着かない絶頂の余韻に腰をかくかくと痙攣させて荒い息を繰り返し、体や顔はほんのりと汗ばんで、瞳は虚ろに天を仰いでいた。
そんな緩み切った様子を覗き込まれていたのに磨弓は気付くと、慌てて体を起こす。だが、そのまま前のめりに倒れそうになったので、その体を支えた。
「ご、ごめんなさい……」
「大丈夫? まだ寝転んでてもいいけど……」
磨弓は地の体力がとてもあるうえにその回復速度もとても早く、疲れた様子を見せること自体そうそうないが、単純な疲労とは質の違う疲れと初めての感覚と体験とくれば、やはり幾らか疲弊はするみたいだ。
「いえ、大丈夫です……。あ、〇〇さん、顔、汚れてます……」
それでも、磨弓は愛液やら潮やらが付いたままのこちらの顔を見るなり、傍らに用意したタオルを気だるげに掴んでこちらの顔を拭こうとする。その気持ちはとても嬉しいが手を煩わせるのもと思い、お礼を言ってそれを受け取り、自身の手で顔を拭く。
「磨弓は気分が落ち着くまで、楽にしてていいよ」
「お気遣い、ありがとうございます……」
「気にしない気にしない。我慢するの、頑張ったね。で、どうだった?」
「はい。○○さんが言っていたように、ある程度我慢した方が、最後の気持ちいいがもっと大きくなりました」
磨弓は先の感覚を思い出しているのか、感慨に浸った声色で話す。
「ですが、〇〇さんのお口も手も凄く気持ちよくて、それに、とても優しく、熱心に愛してくれたからこそ、こんなに気持ちよくなれたんだと思います」
そう続けると、磨弓はこちらの手を握ってにこりと笑う。未だ彼女の中に残る快感の余韻に頬を朱に染めて、穏やかな顔を浮かべる磨弓は可愛らしくも美しい。
「ありがとう。でも、我慢もほどほどにね。し過ぎるのも良くないから」
褒めてくれたお礼と念のための忠告に、磨弓は短く返事をして頷く。見る限りでは、もう心身ともに平静に戻っていた。
それを受けて、「さて」と一言呟く。
「この辺りで前戯も終わりにしようか。磨弓もかなりほぐれただろうし、俺も、ね」
そう言うと彼女は視線を下げてこちらの股間を見ると、小さく感嘆の声を上げる。自分のことだから見ずとも分かるが、磨弓の快感に喘ぐ姿にすっかり分身は硬度を取り戻し、びくびくと脈打っていた。
「ということは、いよいよ、ですね……」
「まだ、怖さはある?」
始める前や最中にも、所々で臆する気持ちを見せていた磨弓だったが、この問い掛けには迷いなく首を横に振る。
「いえ、少しも怖くありません。私でも、気持ちよくなれるんだと○○さんが教えてくれましたし、私の中を暖かな感情でいっぱいに満たしてくれたので」
「……そっか」
磨弓の健気な笑顔が堪らなくなって、彼女の華奢な体を抱き締めると、磨弓の方からも手が背中に回ってきて、ぎゅっと抱き締め返される。
そうしてしばし抱き締め合った後、体をどちらからともなく離す。
「もう、体も大丈夫そう?」
「はい」
「……しようか」
「……はい」
お互いに短く会話を交わしてから、磨弓をそっと押し倒すと、彼女はそれを無抵抗に受け入れて布団に体を横たえる。
「する時の体勢というか姿勢というか、そういうのを体位って言うんだけど、向かい合って、でいいかな?」
「はい。それでは、私はどうすればいいですか?」
「えーっと、まずは……」
少し頭を捻った後、「脚を開いて」「ちょっと腰を浮かせてみて」等、大まかに指示を出しては、お互いに試行錯誤し、二人ともがしっくりと来る正常位の体勢に構える。最終的には、磨弓には脚を開いて寝転んでもらい、自分はその前に膝立ちで座る形に落ち着いた。
そして、左手は彼女の腰に、右手はがちがちに勃起した陰茎に添えて、未だに指がギリギリなのでは思える、小さな膣穴へ触れ合わせる。粘液を溢れさせる柔らかな膣口は亀頭にちゅっと吸い付いてきて、これだけでも磨弓の熱が十分に伝わり、思わず生唾を呑み込んだ。
「ここからが所謂本番、ってやつだけど、そんなに難しく考えなくていいからね。俺のを磨弓の膣に入れて、出し入れするように動いたりして、二人とも気持ちよくなろう、ってだけだから」
「……はい。〇〇さんのタイミングで、入れて下さい」
「……よし。磨弓、入れるよ」
非常に簡単にではあるが説明をしてから改めて大きく深呼吸をして、腰をゆっくりと押し込む。膣穴の入り口は異物の侵入を拒むように狭いが、そこは押し当てられるままに口を大きく広げて、肉棒を徐々に受け入れていく。二度目の絶頂を迎えたばかりでどろどろに濡れていたお蔭もあってか、想像よりはスムーズな挿入だった。
分身が入っていくそばから膣肉が絶え間なく締め付けてきて、そこから伝わってくる快感は想像以上に大きい。まだ亀頭が全て入った程度なのに、この時点で磨弓の膣内の暖かさと、纏わりついてくる粘膜の感触が、今までに味わった経験のない快楽を叩き込んできていた。
とはいえ、やはり狭い膣道を無理矢理割り開いて進む感覚も強い。又聞きの知識しかないが、女性の初めては痛いと感じることが多いと聞くし、磨弓は痛覚自体は普通の人間よりも鈍くなっているらしいとはいえ、度が過ぎれば――危険信号の役目として――不快感はある。
「っ……、まだ途中だけど、磨弓は大丈夫? 痛いとか、気分悪いとか、ない?」
それが心配になって彼女に尋ねると、どこかぼんやりと中空を眺めて小さくも荒い息を吐いていた磨弓は、こちらを見てふるふると首を横に振った。
「い、いえ、大丈夫です。そういうのは、全くありませんので」
「本当? 何だか、ぼやーっとしてたけど」
「あ、いえ、これはその……。〇〇さんと交わる実感と、お腹が広がるような感覚と、おちんちんが膣を撫でている感覚がごちゃ混ぜで、ちょっと、頭がふわふわしてて……」
どうやら、未知の体験や経験の薄い感覚に心身の処理が追い付いていなかったらしい。何はともあれ、痛みやそれに準ずるものは無いみたいなので、一先ず不快感と無縁なのは非常に嬉しい。
「分かった。それじゃあ、このまま最後まで入れるけれど、何かあったらすぐに言ってね」
そう言うと磨弓は小さな返事と頷きを返す。そして自分も、もう滑って抜けたりはしないだろうからと怒張から右手を離し、そちらも彼女の腰に回して改めてしっかりと体を構える。
自分も愛しい人との交わりと未知の快感に気を高揚させながら、だが、焦らずに今までのペースを維持しつつ、男根を押し込み膣道を開墾していく。
すると、肉幹を半分ほど進ませたところで、少し膣内の様子が変わる。大切なところを守り侵入を拒むきつさがあったのに、蜜壺が陰茎の形姿に適応し始めたのか、徐々に膣壁が絡み付くようになっていく。
それに煽られ、突き上げてやりたい欲望が湧き上がるが、無理矢理するな焦って雑にするなと自制心を保ち、膣内をみちみちとゆっくり掻き分けていく。遅々としているが確実に奥を目指す挿入に、やがて互いの結合部がぴたりと触れ合い、それと殆ど同時に屹立も行き止まりに辿り着いた。
「っ……、磨弓、入ったよ、全部」
彼女の一番奥まで自らを埋没させたことへの達成感に高まる興奮を、深呼吸して何とか抑え声を掛けると、磨弓は幾らか色味の増した頬を緩ませる。
「私にも分かりますよ、〇〇さんのでいっぱいになってるのが」
自身の体を満たすものに触れるように、自らの下腹部に手を添えるとそっと撫でる磨弓。
しかし、そんな落ち着いた表情も束の間、「あ」と呟くと、こちらの顔を上目遣いに覗く。
「あの、それで、○○さんの方はどうですか? 私で、気持ちよくなってくれていますか?」
自らの体は気持ちいいかと言う直球ど真ん中の質問に、一瞬思考が固まる。正直に言うと今の時点でかなり気持ちいいが、自分だけ楽しんでいるのもどうなんだろうか、と。
「……あまり、ですか……?」
そうして黙っていると、磨弓は不安そうな声でこちらの沈黙の意図を推し量ろうとしたので、それを慌てて否定する。
「ああ、いや、めちゃくちゃ気持ちいいよ。でも、その、自分ばかり楽しんで、磨弓に悪いかなって……」
「そんなことありません。とても嬉しいです……! それなら、○○さんっ! どんどん動いて、私で気持ちよくなって頂きたいですっ!」
ちょっと後ろめたくも正直に先の考えを告白するが、彼女はそんなのは露も気にしないと笑顔を更に大きくして、早く動いて欲しいと急かす。
「でも、磨弓ももう少しくらい慣れてからの方が……」
「いえ、もし〇〇さんさえいいのであれば、して頂きたいです。今までもそうでしたが、〇〇さんが私を思ってしてくれている、そう思うと凄く暖かな気持ちになれるんです」
そして、下腹部を撫でていた手をこちらの右手に添えて、ぎゅっと握る。
「だから、お願いします。また私に、〇〇さんを沢山感じさせて下さい。私を、沢山感じて下さい」
そう言って柔和な笑みを浮かべた磨弓の笑顔に自分も決心し、頷きを返してから彼女の引き締まった太腿に手を添える。
磨弓本人はまだ感覚に慣れていないと言うが、体自体は一足早く異物の感覚に慣れ始めているのはなんとなく分かっている。ならば、前戯で快楽が何かを知った時みたいに、丁寧にしていけば必ずそれは実るはずだ。
磨弓はああ言ってくれたけれど、やっぱり自分だけでなく、磨弓も。その思いを胸に、勢いあまって肉棒が抜け落ちないように注意しながら、腰をゆっくりと引いて動かしていく。
動かずにいた間も健気に屹立に絡んでいた膣肉は、それが動き出した瞬間、それ以上抜けてしまうのを引き留めるかの如く肉ひだをしがみ付かせる。
自分も、その感覚に名残惜しみつつも陰茎を引き抜いていくと、膣内から抜かれた肉幹にはべったりと愛液がこびり付き、膣穴からも溢れ出してしまう。だが、また肉棒を押し込めば、既に膣肉は新たな蜜でとろとろに濡れほぐれていて、摩擦をほどよく軽減してくれる。
最初よりもスムーズに再度奥まで貫いて、また腰を引いては突き上げてと、初めてでぎこちなくもそれらしいピストン運動をしばし繰り返していると、次第に彼女に変化が現れ始める。
「あ、あっ、んっ、はぁっ……」
これまで、喘ぎというよりは荒い呼吸に近い声を漏らしていた磨弓から、官能を思わせる色付いた声が溢れ、違和感に薄ぼんやりとしていた表情も、艶やかさが出始めていく。
「磨弓、もしかして、入ってる感覚に慣れてきた?」
「かも、知れません。違和感ももう殆どありませんし、おちんちんが私の中に出たり入ったりする度に、手や口でして頂くのとはまた違う気持ちよさが、段々出てきました」
口調こそまだ落ち着いてはいるが、磨弓には快感の兆しが明らかに覗いていた。それに、もう既に性的な快感がどんなものか理解している本人が言うのであれば、恐らく間違っていないだろう。
「それじゃあ、改めて。磨弓、ここからは一緒に気持ちよくなろうね」
「……はい! 一緒に、ですね」
互いの性器同士の睦み合いによる快楽も覚え始めたところで、改めて磨弓にそう声掛けすると、本人もその実感が沸いたのか、嬉しそうに笑い、噛み締めるように言う。
自分もここまで彼女が先んじて与えてくれた分を少しでも返せるようにと、より気持ちに熱が入る。とはいえ、することはこれまでと何も変わらない。力まず、荒っぽくせず、技巧を凝らしてやろうなんて見栄も張らない。ただ、しっかりと丁寧に突き上げ続ける。
すると、一突きごとに今までの分を取り返すように膣内は更に絡み、締め付け、ぐじゅぐじゅと蜜を溢れさせていく。
「あっ、はぁんっ、〇〇さんっ、私、前戯も好きでしたけど、性交自体も、とても好きですっ。〇〇さんのおちんちんが奥まで入ってくるのも、中を擦りながら引き抜かれるのも、どっちも気持ちよくて、もっと、もっとして欲しいですっ」
磨弓は前戯の時のように、何をどうされるのが気持ちいいのかを、それに、この営みも好きだと赤裸々に教えてくれる。
やはり、彼女の体は一度快感を理解すると、それらをしっかりと受け止め、法悦に昇華出来るみたいだ。それを証明するかの如く、一突きどころか少し動かしている間にも媚肉は分身に馴染んでいき、きつく締め付けながらも抽送が楽になっていく。
自分も、段々とピストン運動の加減がなんとなくだが分かってきて、速度は遅いものの今までよりも多少大き目のストロークで、屹立の根本までしっかりと挿入して最奥までを繰り返し貫く。
「はあっ、んっ、ああぁっ……。やっぱり、この、奥をこつこつってされるの、凄く好きですっ。お腹が、むずむずして、それが、気持ちいいですっ……!」
磨弓は前戯の際に心地良さそうにしていた場所、自らの下腹部に右手を添えたので、自分もそこへ右手を持って行き、彼女の手の下に潜り込ませる。
「この辺り?」
そして、その場所を、もっと言えば――自分の中にある知識と相違が無ければ、恐らく――子宮がある場所を、優しく撫でてやる。
「そう、ですっ、そこが、きゅうってして、気持ちいいが、ずっと溢れてて……。〇〇さんが、そうやって撫でてくれるのも、凄く気持ちいいですっ……!」
声を切らせて、途切れ途切れに訴える磨弓の声を聞きながら、子宮を撫で続け、腰は一切止めずに最奥を叩き続ける。
子宮やその付近で快楽を得るのは、時間を掛けてするものと何かで見聞きした覚えがある。けれど、乳首や陰核とはまた違うであろう快感の味を完全に覚えた彼女の体は、そこで得る快楽もこちらに伝え、返そうと膣内を蠢かせる。
亀頭からカリ、肉幹に至るまでを柔らかい粒々のブラシでぞりぞりとこすり、蜜をたっぷり纏ったひだも熱烈な口付けを浴びせてきて、早く動くのを急かす。更に、膣穴の入り口が肉幹をぎゅうと強く締め付けてくるのに、出し入れを全く阻害しないように絶えず潤滑油が溢れ、甘い刺激だけを供給してくれる。
「んっ、あぁっ、はあぁっ! いいっ、気持ちいいっ……!」
それらに加え、可愛らしい声と蕩けた顔で喘ぎ、左手で布団を掴んで快楽のうねりに耐える磨弓の姿に煽られ、腰を一切止めることが出来ない。
逢瀬をともに楽しむ時の、可愛らしい笑顔。埴輪兵士と演習を行っている時の、凛々しい隊長としての顔。袿姫さんにからかわれている時の、恥ずかしがったり照れたりする顔。そのどれもとは違う、肉欲に乱れる磨弓の顔と、そうさせているのが自分だという事実。そして、表情を見られていると気付いた彼女が僅かに頬を羞恥に染めつつも浮かべた、照れとはにかみの混ざった微笑みが、愛しい人と、磨弓と交わっているんだと強く思わせ、それが嬉しくてたまらなかった。
「磨弓っ……、もう、そろそろ、イクっ……!」
「私も、もうすぐ、ですからっ……、いつでも、射精して下さいっ……!」
迫る絶頂の影を無理に抑え込みはせずに限界が目前だと伝えると、磨弓は言葉を切らせながらも健気に言う。それに頷きと振り絞った短い返事をして、最高の絶頂を迎えるべくラストスパートを掛ける。まだまだ不慣れなので抜け落ちてしまったりしないよう、大きくはない動きながら腰を前後に動かし続け、最奥へ、彼女の子宮へと注ぐことだけを考えてその時を目指す。
「くぅっ……! 磨弓、出すよっ!」
「はい! 〇〇さんの精子、私に下さいっ……!」
磨弓はお腹の上で重なり合っていたこちらの手をぎゅっと握る。彼女ももう限界なのだろう、必死に握り締められた手は痛いくらいに強い。だけどその分、磨弓の温かな体温と、小さな手の柔らかさをはっきりと感じられた。
「ぐっ、ああぁっ!」
亀頭が最奥に触れた瞬間、自分の中の欲望が爆ぜ、全身が今まで味わったことがないほどの快楽に包まれて絶頂に達する。体の震えに合わせて肉棒も激しく脈動し、目の前の子宮へ向けて鈴口から精液が勢いよく飛び出していく。
「あっ、中でっ、びくびくって、んっ、わ、私もっ、イクっ! あっ、ああぁぁっ!」
磨弓はその膣内射精が呼び水となったのか、こちらに僅かに遅れて、大きな嬌声を張り上げて全身をがくがくと震わせる。まだ片手にも届かない回数しか見ていないとはいえ、彼女も絶頂を迎えたのは明白だった。
それに伴い膣内は強く収縮して分身を容赦なく膣肉で締め付け、射精の最中にもかかわらず、更なる排出を促す。
「っ、く、うぁっ……!」
多少は間を開けたとはいえ、三度目の射精となれば勢いも量も前の二回に比べれば遥かに劣る。しかし、そのはずなのに精液を吐き出す実感は殆ど変わっておらず、磨弓の子宮内に注ぐために精子を急ピッチで生産しては送り込んでいると錯覚するほどに、射精が長く続く。
「あっ、まだ、出てます……。凄い、いっぱい……」
磨弓も衰えを見せない射精の勢いに感嘆の声を漏らすが、最後に数滴を吐き出した後はそれっきりいくら絞られてももう続かなかった。それに少し遅れて、子種を搾り切ったと理解しているように柔肉壺の蠢きも落ち着きを見せ始め、残るのは荒く息を吐く二人の男女のみとなる。
「磨弓、ごめん……。ちょっと、抜くまで、時間掛かりそう……」
「いえ、大丈夫です。私も、少し疲れてしまいましたから、〇〇さんが落ち着くまで、そうしていて下さい」
荒い呼吸を整えつつの台詞に、自分ほどではないが幾らか呼吸を乱れさせた磨弓は、首をふるふると横に振って微笑む。
「ありがとう。……それと、もう一つ。色々、頼りないところも、あったと思うけど、ずっと俺を信じてくれて、ありがとう」
初めてで下手くそだっただろうに、磨弓は文句も言わずに自分に身を任せ、時には自発的に行動し、こうして二人一緒に交わることが出来た。そのことへ改めてお礼を言って、腰を掴んでいた左手を離して彼女の方へと伸ばし、力が殆ど入らない手で頭を軽く撫でる。
すると、磨弓は一瞬固まった後、ぶわっと涙を溢れさせた。
「えっ!? ま、磨弓、ど、どうかした?」
突然の涙に慌てふためいていると、磨弓はぽろぽろと涙を流したまま、布団を握り締めていた左手で涙を拭う。
「お、お礼を言わなければならないのは私の方ですっ! ○○さんがずっと私を優しく導いてくれたお陰ですから。私、今、とても嬉しいんです! 作られた体でも、ちゃんと交われたのが、嬉しくて、嬉しくて……」
妙なことをしたないし言ってしまったかと思ったが、どうやら感極まっていただけらしく、その点はほっとする。性交直前に不安はないと言っていたが、やはりギリギリまであったのだろう。
「俺も、嬉しいよ」
磨弓の涙を自分も頭を撫でていた手で拭った後、頬をよしよしと撫でる。そのまま彼女の涙が止まるまで撫でていたが、鼻をすんすん言わせながらも泣き止んでくれたので、そっと手を離す。
「……それじゃ、磨弓、抜くよ」
その頃には自分も体力がある程度戻っていたので、腰をゆっくりと引いて、狭い膣に柔く締められてまだそれなりの硬度を維持していた分身を引き抜く。膣内に収めていたもの、ひいては栓の役割をしていたものが無くなった膣穴からは、二人の性液が混じり合った濃い白濁がとろりと溢れ出す。
「あ、せっかく、頂いたのに……」
磨弓は自らの肌を伝うその感触に気付いたのか、残念そうにぽつりと呟くと目を伏せて、短い時間だがそれらを収めていた下腹部へと視線を向ける。
「せめて、もう少しくらい、受け止めていてあげたかったのに……」
磨弓は繋いでいた右手をするりとほどいて、軽く撫でさする。磨弓との交わりで、自分の子種が役割を果たすことがあるのか、それは、予め袿姫さんから教えられて知っていた。
それでも、と。今日、二人で性交をすると決めた際、彼女は笑って言ってくれた。例え私の体ではそれが実現せずとも、それでも、子供ができる場所で貴方の精を受け取りたいと。そして、実際に彼女は受け入れてくれた。
「磨弓」
「あっ、ご、ごめんなさい。しんみりしてしまって……」
慌てて顔を上げた磨弓に対して、首を静かに横に振ってから、覆い被さってぎゅっと抱き着く。
彼女がどんな思いで受け取ってくれたか。それは、分かっているつもりだから。
「ありがとう、受け入れてくれて」
「……いえ、こちらこそ、ありがとうございます。とても、温かかったです」
磨弓の方からも抱擁が返って来る。埴輪兵長である彼女にとって、男である自分と遜色ないほどの力は出せるはずだが、今受けている磨弓からの抱擁は、見た目相応の、一人の女の子の力だった。
そのまま、二人の気が済むまで、一緒に抱き締めあっていた。
2.
「袿姫様、ただいま戻りました」
「お邪魔します」
「お帰り、磨弓。〇〇もいらっしゃい。好きなところに座ってて」
霊長園に備えられた工房に入ると、袿姫さんはいつも通り作業台の前に座って何かを作っており、こちらを一瞥した彼女は真ん中の大きな机を指差して、また製作作業に戻る。
二人で一夜をともにした次の日、磨弓と自分は霊長園へ戻っていた。正確には、霊長園に戻るのは磨弓だけで、自分はこの後また地上へと帰る。ここに滞在している友人のように、いつかは自分も霊長園暮らしになるかも知れないが、今のところはまだ未定だ。
そういえば、その友人とは今日は一度も会わずに工房に着いた。てっきりここに居るのかと思っていたが姿が無かったので、恐らく別の部屋で家事なり作業なりしているのだろう。霊長園は結構広いので、珍しいことではない。
「……お待たせ。それじゃ、色々と聞かせてもらおうかしら」
二人で大机の前の椅子に座ってしばし待っていると、作業にひと段落付いたのか、袿姫さんもこちらに来て自分達の正面に座り、にこりと微笑む。
「は、はい。……ですが、その、やはり少し、恥ずかしいです……」
「大丈夫よ、磨弓。そんなに恥ずかしがらなくていいわ。何も根掘り葉掘り聞こうなんて思ってないから。ちゃんと出来たかなーって知りたいだけ」
袿姫さんの言う、色々と聞かせてもらう。それは勿論、先日の二人の愛の営みを指している。その内容を、磨弓の主である袿姫さんと直接話し合うのはそれはそれは恥ずかしいが、磨弓という存在の生まれと在り方を考えれば、創造主が聞きたいと仰るのなら答えねばならないだろう。袿姫さんは大丈夫だと言っていたが、万が一磨弓の体に何かあってからでは遅い。
それに何より、一線を越えることはとっくに話しているし、袿姫さんの普段の磨弓への接し方を考えれば、決して辱めようとか茶化そうなどとは思っていないはずだ。
「でも、確かに貴方達からは言いにくいかしら。なら、私から聞きましょうか。そうねえ……」
そうして、袿姫さんの質問タイムが始まった。『ちゃんと出来た?』『異常は無かった?』『優しくしてもらえた?』くらいは、二人ともそれなりに落ち着いて返せたが、『気持ちよかった?』『どれくらいした?』はなかなかに羞恥心が煽られた。
しかし、そんな質問にもきちんと答えていくと、一頻り質問を終えた袿姫さんは「ふむ」と口元を撫でて、磨弓を真正面に見やり指を組む。
「じゃあ、後三つだけ。磨弓、〇〇のこと、好き?」
袿姫さんはにこにこと笑いながら、磨弓に問い掛ける。今までとは毛色が違う質問に、二人とも少し面食らう。
「はい。愛しています」
だが、殆ど間を開けずに磨弓はそう答える。
「あ、で、ですがっ、袿姫様へ抱いている忠義と親愛と、〇〇さんへ抱いている恋慕と親愛はそれぞれ別のものであり、どちらが上や下などはなく……」
「分かってるわ。それ、貴方達が恋人になる前にも聞いたわよ」
率直な言葉も束の間、すぐに磨弓はあたふたと弁明し、袿姫さんはくすくすと笑う。慌てる磨弓とそれをあしらう袿姫さんという、霊長園で過ごしていると時折見るとても和む光景に自然と頬が緩む。
「さて、残り二つ。〇〇、いい?」
次に袿姫さんはこちらを向くと、口を開く。何を聞かれるかは、なんとなく分かっていた。
「貴方はどう?」
「勿論です。磨弓を愛していますよ」
自分も磨弓に負けじと即答する。袿姫さんはこちらの瞳をじっと見たまま、目を離さない。微笑みながらこちらを見る紫色の瞳は、自分の更に奥、内面までもを見るかのよう。そんな視線から目を逸らさずにいると、袿姫さんは組んでいた指をほどいて、小さく頷いた。
「……うん。それなら、そんな愛し合う貴方達に、私からプレゼントがあるわ」
袿姫さんは椅子から立ち上がると、作業台の傍らにある、小さな製作品が並ぶ棚へと向かう。土器や皿や埴輪等々、色々な物が並ぶ中、袿姫さんは一番端っこに置かれていた錠のついた箱を持って、こちらに戻って来る。
そして、エプロンのポケットから鍵を取り出すと、その箱の錠を外し、中に収めていた物を取り出して机に置いた。
「まず、磨弓にはこれ」
「は、はいっ」
袿姫さんが箱の中から取り出した物。それは、手の平大の鏡がはめ込まれた卓上鏡だった。見た目自体は至ってどこにでもありそうな鏡だが、これは普通の鏡ではないと、普通の人間である自分でも分かる。もしも、これと似たような鏡をずらりと並べてごちゃ混ぜにしても、はっきりとこれを選び取れる自信があった。
「それは〇〇の家に置かせてもらってね。これからお泊りも増えるかもだから、その鏡できちんと身嗜みも気を付けること。それに、悪い虫も寄り付かなくなるわ。人里くらいなら夜に出歩ても大丈夫なくらい、色んな虫が」
「ありがとうございます」
磨弓は座りながらでこそあるが、深く頭を下げて、恭しくお礼を言う。自分も、置くのは自宅だとはいえ磨弓へのプレゼントなので出しゃばりはしないが、深く礼をする。袿姫さんの言った後半の内容からして、恐らく、妖怪なんかの魔除けに近い役割も持っているのだろう。
「で、貴方には……」
袿姫さんは次にこちらを向くが、またすぐに磨弓の方に向き直ると、手招きをした。
磨弓は自分が呼ばれると思っていなかったのか、少しの間を開けて、慌てて袿姫さんの傍へ向かう。
「〇〇、これが最後の質問よ。貴方は、磨弓との子供、欲しい?」
「え?」
「え?」
隣に来た磨弓に合わせて袿姫さんも立ち上がると、そう言ってにこりと笑う。それに対し、自分達は揃って困惑の声を漏らすが、袿姫さんは表情を変えない。
「……そ、そうですね。もしも、出来るとしたら、すぐに、とは軽々に言えませんが、いつかは、欲しいです、ね、はい」
そんな袿姫さんの様子から至って真面目な質問なんだろうと思い、唐突だったので語句を切りながらになってしまったが、そう答えると、袿姫さんは手を合わせて喜んだ。
「そう。なら良かったわ」
そして、袿姫さんは隣に立つ磨弓のお腹を、軽く撫でる。
「はい、これで磨弓は貴方の子を孕める体になったわよ」
「……え?」
「……え?」
続く袿姫さんの言葉に、またもや自分達は困惑の声を漏らす。だって、それは。
「ど、どういうことですか? 前に、磨弓とは子供は出来ないって」
「あれは、今のままでは、ってこと。まあ、わざと言わなかったんだけど。ちょっと貴方達を試したくてね。でも、合格よ。人間が、人ならざる者と生きていくのはとても大変だと思うけれど、貴方達なら大丈夫だと思うわ」
袿姫さんは目を細めると、未だ困惑顔を浮かべた磨弓の後ろに回り、背後から磨弓をぎゅっと抱き締める。
「元々、磨弓の体は赤ちゃんだって作れるようになってるわ。でも、今までは作れないようにしていただけ。んー……、そうね、その箱、鍵がかかってたでしょ?」
袿姫さんは、机の上に置いてある、先程磨弓に渡した鏡を入れていた箱を指差す。
「鍵がかかった箱があったとして、もしも鍵を開ければ中に物を入れたり出来るけど、鍵が締まったままだと置物と大差無いでしょ。それと同じ。もう貴方達は実体験で知ってるかもだけど、磨弓には子宮もあって、子供だって孕めるわ。でも、今まではその鍵を掛けてたから、そこにあるだけだった。でも、さっきそれを開けたから、もし今の磨弓としちゃったら、一発で出来ちゃうかも」
言いながら袿姫さんはまた磨弓の下腹部をすりすり撫でる。服の上からでは分かりにくいが、恐らくあそこは、磨弓が撫でられるのが好きだと言っていた場所と、ほぼ一致するはずだ。
「でも、正直に言うと、それならって今すぐ励まれちゃうと、ちょっと困るのよねー。おめでたは勿論祝福してあげたいけれど、畜生界がある程度落ち着くまでは、今ぐらいのお休みならまだしも、産休まではあげられないから。でも、〇〇もすぐにってわけじゃないなら……」
袿姫さんは再度、磨弓の下腹部を撫でる。先の話を聞いた後だからか、これがその開け閉めを操作する手つきだと直感的に分かった。
「はい、その鍵はまた閉めたわ。その時が来たらまた開けてあげるから、今は二人で存分に気兼ねなく仲良く、ね?」
袿姫さんは優しく微笑み、磨弓を抱き締めていた手を離して、ぽんと背中を押す。押された磨弓は戸惑いながらもこちらに戻って来ると、自分と見合い、苦笑いした。
「……〇〇さん、私、〇〇さんとの赤ちゃん、出来るかもしれません……」
「うん、そうみたいだね……」
二人とも、喜びよりも驚きが先に来ていて、苦笑しか出てこない。一方、机の向こうで袿姫さんは相変わらずにこにこしている。やっぱりこの方は神様だ。色々と規格外過ぎて、凄いとかそういう次元の話じゃない。
「……でも、嬉しいです。あの、その時は、また教えて……」
そこまで言い掛けて、磨弓は「いえ」と首を横に振った。
「違いますね。一緒に、学んでいきましょうね」
「……うん、一緒に、ね」
磨弓の言葉に大きく頷いて、ようやく沸いてきた実感に我慢できず立ち上がり、磨弓を思いきり抱擁する。袿姫さんの黄色い声や、用事を終えたのか工房の扉を開けた友人の入室を伝える声が聞こえたが、今は無視をして、磨弓を抱き締め続ける。磨弓の方からも抱擁が返ってきて、まるで一対の生き物になった気分だった。
胸の中の磨弓の体は相変わらず、温かくて、柔らかかった。