外に出ると、食事の前にまず、買い物をした。
ももちゃんの荷物は、ショルダーバッグひとつで、着替えとか一切なかったからだ。
その代わり父親から、かなり多額の現金を預かっていた。300万位あった。
子供にこんな大金を…と思ったが、僕が口を出す事ではない。
まず…下着が、いくつか必要だな。
小学生とはいえ六年生だから、ももちゃんはブラジャーも着けていた。
それにしても…
女性用の下着売り場は、やっぱり男には恥ずかしい。
と言っても子供用だから、僕もそれほど抵抗感はないだろうと思っていた。父親が娘の下着を買いに来たように見えるだろうと…しかし、それは別の意味で甘かった。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん。どれがいいかなぁ」
ももちゃんは、次々と僕にパンツを見せて尋ねてくる。
「そんなの、僕にはわからないよ。自分で選んで」
「え~っ?お兄ちゃんが決めてよ。お兄ちゃんが好きなパンツ履きたいの!」
ももちゃんの声に、他の客が、チラチラとこちらを見てた。
まずい!誤解されるじゃないか。
早く済まさないと…
僕は急いで選んだ。
「じゃあ、これと…これと…」
「ふ~ん、お兄ちゃん、そういうのが好きなんだ…」
ももちゃんは、興味津々で見ていた。
いや、別に適当に決めてるだけだから、意味はないよ。
「こーゆーのは、どう?」
いつの間にか、ももちゃんは、大人向けのセクシーなTバックを持って来ていた。
「そんなのはダメ!早く返してきて」
それから、パジャマと、服を何着か買った。しかし、こんな調子だから、なかなか決まらない。
「ねえ、こっちとこっち、どっちが似合う?」
「う~ん、こっちかな」
「え~っ?こんなのがいいの?お兄ちゃんダサいよ!」
どうせ僕は、ファッションのセンスはないよ。
「ももちゃん、もう自分で選んでよ」
「ダメ!お兄ちゃんと一緒に決めるの!一緒に住むんだから」
しばらく女性と付き合いがなかったから、忘れていたが…
改めて思い知らされた。
女性にとって買い物は、何かを手に入れる手段ではなく目的そのものだ。買い物という行為自体を楽しむ種族だ。
おかげで思いの外、時間がかかった
やっと食事だ。
近所のファミレスに行った。
結構遅い時間だが、ももちゃんは疲れた様子もなく、元気にハンバーグを頬張っていた。
「お兄ちゃんと一緒に食べると、なんだか、すごくおいしい!」
すごく楽しそうだ。
大人向きのメニューで子供には多すぎるかと思ったが、キレイに平らげた。そんなにお腹減ってたのか?
それにしても、よく笑う子だ。
笑顔が、眩しいほどにキラキラしてる。
花に例えるなら、ひまわりだ。
一緒にいると疲れも忘れて、なんだか僕まで楽しい気持ちになる。
本当に可愛い。
こんな子が、ずっと一緒にいたら…僕の生活も、もっと楽しくなるだろうな…
いや、この子はあくまで、一時的に預かるだけだ。
親戚の子だぞ。何を考えてるんだ。
部屋に帰って、ふたりでテレビを見た。
お笑い番組だ。僕は普段、こういう番組はあまり見ない。
単純で芸もない芸人のネタに、ももちゃんは、本当に面白そうに笑いこけていた。
今日来たばかりなのに、自分の家のように、くつろいでる。
僕はテレビより、そんな彼女を見ている方が楽しかった。
「ももちゃん、もう遅いよ。そろそろ寝ようか」
「お兄ちゃん、明日もお仕事?」
「うん」
「そっか…じゃあ、しょうがないね」
寝るといっても、もちろん部屋には、シングルベッドひとつしかない。
ももちゃんにベッドを使わせて、僕はソファーで寝るしかない。
と言っても、二人掛けのソファーは狭く、寝にくい。
ももちゃんはソファーの横に来て、僕の手を引いた。
「お兄ちゃん、ベッドで寝ないの?ご主人様なのに」
「だからご主人様じゃないって。僕はここでいいよ」
「一緒に寝ようよ!」
「それはダメ」
いくら子供でも、一応女の子だ。マズイだろう。
「だって、せっかくお兄ちゃんいるのに、ひとりで寝るの寂しいよ…」
「大丈夫だよ。同じ部屋にいるんだから。ももちゃんは、ひとりじゃないよ。ね?」
「うん…」
なんとか納得させた。
ソファーに横になったが、全然寝付けない。
あんな小さい子が、僕のチンコを洗っていた…今でも信じられない…会ったばかりなのに。
どうして、あんなことを?
そう、ももちゃんの僕への接し方は、知らないオジサンに対するものじゃない。
本当は僕が…ももちゃんの父親?亮じゃなくて?まさか!
そんな覚えは全くない。
たしかに以前、カノジョがいたことはあったけど…
いやいや、それはない。バカなこと考えるのはやめよう。
明日も仕事だ。早く寝ないと…