『お兄ちゃんじゃないとヤダ』
目が覚めた。
外はもう明るいが、まだ朝の5時だ。
隣のももちゃんは、まだ寝ている。天使のような純真無垢な顔…
見れば見るほど、幼い子供だ。
ゆうべの事が、夢だったように思える。
いや、誤魔化しはやめよう。あれは現実だ。小学生の少女に、僕は卑猥な事をした。犯罪だ。
昨日は、手で弄るだけにとどまったが…このままだと…僕は…取り返しのつかない事をしてしまう。
もう終わりにしよう。
大橋亮に、何とかして連絡を取って…
そういえば昨日、ももちゃんが電話してた。そうだ!ケータイだ。
ももちゃんのショルダーバッグは、ソファーの横にあった。
亮の番号を調べて、会社に行ってから電話しよう。
ももちゃんを裏切るような罪悪感を感じながら、バッグを開いた。
中には…現金の入った封筒…ハンカチ…厚手のノート…日記帳か?…あとは…それだけだ…ケータイがない。
女の子のバッグは、もっと色々入ってると思ったが…いや、それよりケータイは?
日記帳を見れば、何かわかるか?
それに手を伸ばした時…
「う~ん…」
ももちゃんが、寝返りを打った。
ヤバい!起きるかも。
僕は慌てて中身をバッグに戻した。
会社に向かう車の中で、僕は考えていた。
ももちゃんは、ケータイを持っていない…
僕の部屋には電話はない。僕のケータイだけだ。
それなら、昨日話していたのは、独り言か?それとも…
『イマジナリーフレンド』というのが、あるらしい。孤独な子供が空想の友達を作って、ひとりで会話する現象だ。
普通はもっと小さい幼児に起こることらしいが…
ももちゃんはそんなに、寂しい子供なのか?
友達もいない…親から充分な愛情も受けられない…?
そもそも亮は、娘に300万も持たせる程、経済的余裕があるのに、ケータイを買い与えないのか?
僕が親なら心配で、絶対持たせる。
だって知らない家に、娘ひとりで行かせるんだぞ。いつも連絡取れるようにするのが普通だろ?
連絡を取る気がない。
迎えに行くつもりも、呼び戻すつもりもない?まさか…
亮の手紙…『君にしか頼めないんだ。娘の事、よろしく頼む』…
何を頼むんだ?
『お父さんの家は?仕事は?』『話しちゃダメって、お父さんに言われてる』
亮は、娘を捨てる気か?
ももちゃんは、それを知ってるのか?
でもそんな事、本人には聞けない…
これは、警察にでも行くべき事件かもしれない…
いや…
それならそれで、別に構わない。
その時僕が感じた素直な気持ちは、娘を捨てる亮に対する憤りでも、ももちゃんを憐れむ気持ちでもなく…
彼女とずっと一緒にいられるかもしれない、喜びだった。
もう、自分に嘘つくのは、やめよう。
気付いたんだ。
僕は…ももちゃんが好きだ。
出会ってからまだ3日目だが…あの子が可愛くて仕方ない。
明るくて、無邪気で、真っ直ぐで、一緒にいると幸せな気持ちになる。
エッチな事もしたから、好きになったのか?いや、それだけじゃない。
可愛い外見と、純粋な美しい内面。両方に心惹かれたんだ。
子供ではない、ひとりの女性として。
あの子が欲しい。誰にも渡したくない。
まだ12歳?関係ない!
ロリコン?変態?何とでも言え!
ももちゃんが大好きだ!
亮が、あの子を要らないと言うなら、僕が面倒見る。
僕が愛する。僕が…ももちゃんを抱く。
会社に着くと上司に、しばらく休ませて欲しいと言った。
実家の親が倒れて、看病したいと。もちろん嘘だ。
上司は渋ったが、強引に押し通した。
僕は、午前中に帰った。
部屋に戻ると、ももちゃんは洗濯物を干していた。
まるで新妻みたいに…
僕を見て驚いていた。
「あれっ?お兄ちゃん、お仕事は?」
「しばらく休むよ。ももちゃんと一緒にいたいから」
突然の言葉に、彼女はしばらく固まっていた。
「えっ?ホント?ホントにいてくれるの?」
「うん」
ももちゃんは、僕に抱きついた。
「うれしい…お兄ちゃん、大好き!」
「僕も大好きだよ」
小さな頭を撫でた。
彼女は僕を見上げて…目を閉じた。
少しだけ開いた、可愛いピンクの唇…
僕は体を屈めて、そっとキスをした。
「ももちゃん…昨日、セックスしたいって言ったね」
「うん、言ったよ」
「僕でもいいの?」
「お兄ちゃんじゃないとヤダ」
「ありがとう。僕も、ももちゃんとしたい」
「して…」
「でも、ここじゃないよ」
「え?どこで?」
「明日から旅行に行こう。どこか綺麗な所で、ももちゃんと、初めてをするんだ」
ももちゃんの目から涙が落ちた。
「どうしたの?」
「うれしいの…だって…お兄ちゃん…わたしのために…」
それ以上は言葉が出ず、ももちゃんはただ、涙を流して…
僕は、そんな彼女を優しく抱き寄せた。
近所の公園から、蝉の鳴き声が聞こえていた。