※この作品はR-18です。

Dirty Works   作:空薬莢

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血の歴史は、負の歴史か?
答えは否だ。
生きる以上、血は流さなければならない。
それを負だという輩に、生きる資格は無い――




第Ⅳ弾倉~Оружие Показать~
プロローグ


 

「……親殺し?」

ノルシェが疑問符を浮かべ、問う。

「あぁ。……俺は自分の手で両親を殺した。不意打ちで……な」

俺の両親は《Медвдъ》だった。……正確には《Медвдъ》の血筋だった、だが。

《Медвдъ》は元々、エリアRos正規軍強化兵の総称であり、本質的には《Медвдъ》の交配によって産まれた《Медвдъ》としての能力を持つ人間は含まれないとはいえ、それは軍の基準。

世界の、社会の基準では、これらも《Медвдъ》に値する。

「……そう」

返答は短い。

いつも通りのノルシェか。

と、思った矢先――

「恋人になれない理由は、咎人である以外に無いの?」

新たな質問が紡がれる。

未練がましい質問。

諦める気は無さそうだ。

「…………そうだな」

ノルシェ自体に嫌な印象は無い。

好きか嫌いの二択なら、好きな方だろう。

「……なら、良かった」

そう言って、ノルシェは距離を詰めてくる。

「私は、構わない。……セルゲイが咎人でも、構わない」

諦めないという意思表示。

諦めたくない程、強い好意。

「…………戦友、友人以上になるつもりはない」

俺は拒絶する。

僅かであろうとも、同情されるのは御免だ。

「……なら、覚悟して」

ノルシェは立ち上がり、

「必ず……認めさせるから」

立ち去っていく。

遠くなるノルシェの背中を一瞥し、

「認めさせる、か。…………ノルシェらしいな」

俺は吐き捨てるように呟いた――

 

 

目の前に、何処にでもあるような、民家の一室が広がっている。

部屋に居座る者も、同い年ぐらいの夫婦と、自分。

だが、その部屋は異常だった。

夫婦は俺に大型リボルバーを向け、叫んでいたから。

――殺せ。

――俺を、私を殺せ。

叱責するように、

――――お前には、貴方には、それを成し得る力があるのだから。

縋るように、

――だから、殺せ。

赦しを乞う、罪人のように、

――――俺を、私を……殺せっ!

自暴自棄となった犯罪者のように。

気が付く。

これは、思い出す気が無かった記憶だ。

視界を染め上げる発砲炎(マズルフラッシュ)。

少し遅れ、飛び出す銃弾。

避ける。

これが失敗だったはず――

被弾。

左肩から派手な血飛沫が舞い、肉が抉れる。

激痛。でも、意識が持ってかれる程ではないし、腕も動く。

馴れた痛み。

ショートダッシュで男との距離を詰め、リボルバーの銃身を掴む。

直後、予期していたのであろうか、拳が迫るが――

それより早く、前蹴り。

直撃箇所は……股間だ。

痛みに悶絶し、緩んだ握力。

男の手から離れたリボルバーを握り、素早く構えて頭部に2連射。

あと一人。

ハンマーを起こしながら骸を掴み、女の方へ投擲。

撃つのを躊躇してくれれば御の字。

だが、答えは左膝と、右肘への被弾。

躊躇無く撃ちやがったか。

回復しづらい箇所を狙う。

正しい戦術。

流石と言った所だが……。

まだ、身体は動く。

男の骸も宙に浮いている。

コックしたリボルバーを女の頭があるであろう位置に向け、2連射。骸ごと撃ち抜く。

同時に飛来した銃弾により、更に右膝と腹筋が損壊。

ゆっくりと脚に力が入らなくなり、床に膝を着く。

目の前には血の池と、冷たい肉の塊。

肉塊には、小さな孔が穿たれ、辺り一面に漂う、火薬の焦げ臭い香りと死臭が部屋を彩る。

握力も失われ、リボルバーが床に転がり、

数拍おいて床に倒れ、血の池を広げた俺の視界は、暗転する。

「…………夢か」

再び視界が回復した時、俺を出迎えたのは、黄昏の空。

どうやら、屋上で座ったまま寝てしまったようだ。

(……やれやれ、だな)

夢というものは、記憶整理の副作用みたいなものらしいが、あんな記憶が再生される辺り、ノルシェの告白が原因か。

面倒事が起こらないといいがな……。

なんて、思いながら首を鳴らし、立ち上がって軽く身体を動かす。

……問題無し。

(朝の日課に行くか……)

俺は屋上を後にする――

 

 

 






以上、Ⅳ弾倉目~Оружие Показать~編プロローグでした。
今編は予定として、二人の視点で描きます。誰と誰かは、お察しの通りです。
因みに、章タイトルはロシア語。
多分、文法は間違っている可能性大。
早めに辞書買わないとな……。
まぁ、それはさておき。
作中で脳天に二発撃ち込んでいるのは、確実に殺す為。似たような事を言う、元軍人もいますね。『仕留める時は脳幹に向けて2発』だったかな?
誰の事か分かった人はそこそこいるはず。

では、今回はこの辺りで。
拝読ありがとうございました。

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