弱き者、汝の名は女なり ~提督と将来を誓い合ったウォースパイトがチャラ男にNTRれるお話~ 作:蚕豆かいこ
チャラ男と出会うまでの導入部分はまったく同じです。より胸糞悪く仕上がっていますので苦手な方はご注意ください。
A面と導入部は同じです。スキップしたい方はここをクリック
夜半、灯りを抑えた寝室に、湿った肉と肉がぶつかる音と、女の渓流のせせらぎのような透き通った喘ぎ声が響く。
栄えある英国の戦艦娘ウォースパイトが、提督の上で情熱的に腰を振っていた。金髪碧眼の冴え冴えとした白人美女である。汗の流れる美貌には喜悦の色。煌めくシャンパンゴールドの髪が、律動のたびに黄昏の海原のように波打つ。
クイーン・エリザベス級戦艦のオフショルダーの制服は胸元を下ろされていて、乳房も露わに揺れている。その純白の双丘はGカップと豊満だが、それでいて重力に負けることもなく、張りがあって見事な曲線美を描く。いわば美しい形を維持できる限界の最適な大きさの美巨乳だった。ピンクの乳暈の中心に、勃起した果実が実っている。
「ん、あっ、admiral、どう、かしら、わたしのナカ、気持ちいい?」
「ああ、とても気持ちいいよ、油断するとすぐ、出そう……」
「いいのよ、我慢なんてしないで」
意地悪く笑ってみせたウォースパイトが、いっそう抽迭のストロークを大きくしたとき、ずるん、と提督の男根が抜けてしまった。「ごめんなさいね」と青い瞳に微笑を浮かべて、愛液をまとった、そしてコンドームを装着しているペニスを、たおやかな手で固定し、ふたたび迎え入れる。髪と同じく黄金の陰毛で薄く彩られたその下で、ぬち、と濡れそぼった鮮紅色のフリルに咥えこませる。浮かせていた尻を、今度は提督の股間に密着させて、太ももの力で上下に動く。
提督の手首を摑み、ウォースパイトが自身の乳房に誘導する。充血した乳首を提督が弄ぶ。中指と親指で挟んで、人差し指でこする。膣内と両の乳首からの刺激で高まる性感にウォースパイトが下唇を噛む。
暴発を懸命に押しとどめている提督が、想い人の動きに合わせて腰を使う。
すると、白く発光しているとさえ見えるその肢体が、彼女自身では制御できない痙攣に襲われ、美姫の顔が歪み、ぎゅっと目をつぶって、金の長いまつ毛が震え、ひときわ高い声をあげたあとは、薄めた苦痛とでも形容すべき快楽の絶頂に耐えるために歯を食いしばる。遅れて達した提督が想いを解き放つ。ラテックスの薄膜がすべて受け止めて、一滴もウォースパイトの子宮に届くことはない。
「とてもよかったよ」
提督が精液の溜まったコンドームを縛ってゴミ箱に捨て、ベッドにしどけなく横たわるウォースパイトのほほを撫でる。極上の磁器のような肌。女がくすぐったそうに笑う。
「わたしもよ、admiral. ――ねえ、My precious darling(わたしのかけがえのない人)」
「なんだい」
「あまりわたしを、その、cum, Ah...イカせるっていうの、しなくていいのよ。イクって結構つらいの」
「そうなのかい? それは申し訳ない、てっきり気持ちいいもんかと」
「軽くなら、ね。セックスはお互いの愛を確かめ合う行為であって、必ずしもイクのが目的なんじゃないんですから。わたしは、admiralと肌を合わせるだけで、幸せなのだし――」
まだ少し荒い息から、ウォースパイトが上気して笑みを投げかける。提督は、愛おしい、と思った。幾度となくウォースパイトと交わっても、提督は初めてこの英国艦娘と寝たときのように、いつも、幸福で胸を満たされる。
日英親善の一環として英海軍から派遣され、鎮守府に配属されたウォースパイトに提督が一目惚れしたのは、2年も前のことになる。その長身をさらに引き立てる凛とした佇まい。黄金の髪は彼女の高潔さを示すように光り輝き、前人未到の海を思わせるブルーの瞳には理知的な光が宿る。おだやかな笑みには七つの海を照らす太陽の温かさがあった。立ち居振る舞いには努力だけでは身につかない、高貴な血筋からくる余裕とでも形容すべきものがあるが、ときおり、その繚乱たる薔薇の庭園に一輪の百合がまぎれこんだかのように、少女のような茶目っ気が顔を覗かせるのが、なんとも悩ましかった。透明感がありながら若干の湿り気も含んだ声を聞くだけで鼓動が高鳴った。
ウォースパイトの任務のひとつに、近年多大な戦果を挙げている提督麾下艦隊の対深海棲艦戦術を吸収する旨があったから、自然、彼女は一日の少なくない時間を提督と過ごした。海軍将校たるもの、提督も英語はジョークも含めてひととおりは使えるが、ウォースパイトは赴任からこっち、寸暇を惜しんで日本語を猛勉強しているらしく、事実あっという間に日常会話をこなせる程度に習熟し、結果、とくに支障がないかぎりは両者は日本語でコミュニケーションを交わした。彼女の少しも驕らない勤勉ぶりに提督はますます好意を抱いた。
あとから提督は知ったが、ウォースパイトは当初、提督を特に異性とは見ていなかったらしい。だがやはり、女なのだ。慣れぬ異国の地で陰に日向に支援してくれる日々を送っていれば軍人として払うべき敬意以上に惹かれてしまうのが男女というものである。日本語の習得に余念がなかったのも、提督の母語で会話をしたいという女ごころからきていたのだった。
とはいえウォースパイトは誇り高き容姿にたがわず自制心もまた人一倍強かった。形式上はウォースパイトは賓客であると同時に提督の部下でもあり、提督はといえば多数の艦娘を束ねる基地司令である。不適切な関係といわざるをえなかった。ゆえにウォースパイトは自らを厳しく律した。提督も彼女を憎からず思っていてもおくびにも出さなかった。煮え切らないまま歳月が過ぎていった。それが2年続いたのである。
きっかけは酒だった。欧州まで長躯遠征して地中海と北大西洋に跳梁する深海棲艦を撃滅する大規模作戦で、ウォースパイトら英国艦娘を含む欧州の艦娘たちは故郷を強力に支援した。作戦成功を祝って鎮守府では盛大な酒宴がひらかれた。さすがのウォースパイトも、このときばかりは思うところがあったようで、彼女らしくなく痛飲し、自力で歩けないほどに泥酔した。ふたりのことを常日頃からもどかしく思っていたほかの艦娘たちが、半分からかうつもりで、半分本気で、提督にウォースパイトの介抱を押しつけた。そういった艦娘のひとりなど、どこに隠し持っていたのかコンドームの箱を提督に持たせ、提督もまた彼女らとは気安い悪友のような関係だったので苦笑いで受け取ったのである。
引き受けたものの提督は、あくまでウォースパイトを戦艦寮の部屋にまで送るだけのつもりだった。
ドアを開けたところで、ウォースパイトに「おねがい、ベッドに寝かせて」と乞われた。ベッドに寝かせると、ブラジャーが苦しいから外してほしいといわれた。肩を大胆に出すクイーン・エリザベス級戦艦娘の制服をすこし下げ、胸を締め付ける下着を外した。次にシャワーを浴びたいといわれ、胸を見ないようにしながら脱衣室まで肩を貸した。閉じられた扉の向こうから湯がタイルを叩く音がした。これでひとまずは大丈夫かと思い、部屋を辞去しようとすると、浴室から激しい物音がした。まさか転倒したのか。あわてて駆けつけ、脱衣所から安否を問うと、扉が勢いよく開け放たれ、一糸まとわぬウォースパイトが提督の胸に飛び込んできた。彼女は泣いていた。
「今夜だけ、今夜だけでいいんです」
提督はウォースパイトを抱いた。悪友の艦娘から託された避妊具を二、三使い、腕のなかで安心しきった寝顔を見せるこの英戦艦娘を眺めながら、提督もこれは一夜の過ちだと自分に言い聞かせた。
男と女が一夜だけで終わるわけがないとふたりが思い知ったのはその数日後である。どちらからともなく酒に誘った。それがたまたま提督の私室だっただけだと双方とも自分に言い訳した。ほどほどに飲んだあと、体を重ねた。提督もウォースパイトもそれがごく自然の成り行きに思えた。気づけばふたりは避妊具越しとはいえ繋がっていたのだ。
以来、提督とウォースパイトは、余人の目を盗んでは逢瀬を重ねた。しかしふたりとも態度に出やすいことこの上ないので、鎮守府の艦娘たちのあいだでは半ば公然の秘密となっていた。
やがてケッコンカッコカリの制度が導入された。艦娘の能力をさらに高める装備品にすぎないが、指輪の形状をとっていたため、提督は、いの一番にウォースパイトに贈った。
白磁のほほを紅潮させながら、この美しい女もよろこんで受け取った。わざわざ左手の薬指にはめた指輪を眺め、ウォースパイトが無意識にか慈しむように撫でているのを、僚艦らが目にすることもしばしばだった。あれはいつか本物の指輪に代わるだろうと好意的なうわさも立った。
だれもが、周囲からしたら微笑ましくも、本人らは初々しいほどにいちいち胸を躍らせる、そういう毎日が送られると信じて疑っていなかったはずだ。
そんな、ある日。
ウォースパイトは、私服で街へひとり買い物に出ていた。もはや提督との仲は隠し通せる時期をとうに過ぎていると遅まきながら自覚し、同じ心境に至った提督は提案した。「来月、両親に会ってくれないか」持ちかけられたウォースパイトは、常の落ち着いた鷹揚さとは打って変わって年頃の女の子のように顔を火照らせた。提督の両親に挨拶。それがなにを意味しているのか答えはひとつだ。いずれはそうなるだろうと期待していたが、いざ目の前に転がり込んでくると、やはり口元の緩みは抑えられない。
「わかりました。楽しみにしているわね、admiral!」
「わたしも楽しみだよ。愛してる」
といういきさつがあって、きょうは提督の実家に着ていく服や靴なんかをざっと品定めに来ていたのである。提督の隣を歩く自分を想像し、彼の両親に紹介されるにふさわしい自分を夢想しながら、ウォースパイトは次々に店をめぐった。
柄にもなく浮かれていたのはまちがいない。日本の夏の暑さに辟易としながらも、提督との将来、その第一歩を夢見ながら服を選ぶ楽しさについ油断してしまった。私的な外出だったから、出撃中に頼っている洋上での日射を防ぐ装備もなかった。
日傘だけでは防げない、かっとした照り返しと地熱で、気分が悪くなり、ウォースパイトは目についた公園でベンチに腰を下ろした。そうしながら、まるで遊ぶのに夢中で周りが目に入らなくなったわらべのようだと、自分で自分がおかしかった。同時に、ウォースパイトは自分がここまで雀躍していたことに嬉しさも覚えていた。
――わたしは、こんなにもadmiralを愛しているのね。
むろん自覚はしていたが、それ以上に提督の存在はウォースパイトを浮かれさせるようだ。きっと、これを、幸せというのだろう。
しばらく木陰に入っていれば体調も回復しよう。そうして涼んでいたとき、
「おねーさん、ひとり? うわすっげえ美人。その髪ホンモノ? だよねその色カラーじゃ出せないよね。ガイコクの人?」
声をかけてきた人物があった。ウォースパイトは重い頭をそちらにめぐらせた。
ひとりの男が外股で近づいてきていた。がっしりとした体格に、ツーブロックの髪型。整えてあるらしい口髭と顎髭。服装は一見するとラフだが着こなしにセンスが感じられる。だが筋肉質な腕には悪趣味なタトゥーが見え隠れする。耳のピアス。ウォースパイトの苦手なタイプだ。
「え? もしかして、艦娘の、あれ、なんだっけ、そう、ウォースパイト? じゃね? 動画で見たわ! そうでしょそうでしょ?」
男が屈んでウォースパイトの顔を無遠慮に覗き込む。さらにはスマホで検索した画像と見比べる。異様に近い距離感と配慮のなさにウォースパイトがたじろぐのも気に留めるふうはない。動画で見たというのは軍の広報用の宣伝映像だろう。イギリス海軍と日本海軍との緊密な関係をアピールするためにウォースパイトの日本赴任時には動画共有サービスの広告枠でしつこいくらいに彼女の広告動画が再生された。
「うっわー顔ちっちぇー。動画で見るよりもカワイーじゃん。ひとり? でもちょっと具合悪そーだけど。どっかもっと涼しいところで休憩いたほうがよくない? 俺いいとこ知ってるよ。いこいこ。はーい」
男がぐい、とウォースパイトの右手首を摑んだ。ぞわっとウォースパイトの背中が粟立った。初対面なのにこうも気安くパーソナルエリアを侵害してくる人間がいることが信じられなかった。とりわけ女性に対するリスペクトがみじんも感じられない。生理的嫌悪感から思わず手が出そうになったが、深海棲艦ならともかく、さすがに民間人相手に暴力沙汰はまずい、いまの自分の立場を考えろと、ウォースパイトの理性が働いた。王立海軍の名に傷をつけるわけにもいかない。こういうときこそウィットを利かせてこその英国淑女であろう。
それに、と提督の顔が脳裏に浮かぶ。いまは大事な時期だ。あくまでも優雅に、穏便に済まさなくては――
「いえ、ありがとう、大丈夫です。ここで休んでいたらよくなると思いますから」
さりげなく左手を動かして、視線をそちらに誘導する。薬指の指輪が目に入るだろう。
「は? いやいや外はだめだって。ちゃんと体冷やさないと。心配なんだって、日本にわざわざ来てくれたスパ子ちゃんが」
「……スパ子って」
「いいっしょ、もう俺たち知り合いなんだし、あだ名でもさ。それより早く行こ。な? 行こ。行こ。ぎゃはは」
なにがおかしいのかわからない。
「馴れ馴れしく呼ばないで。わたしに構わないでください。大声出しますよ」
「わーったって。ほら行こう。行こう。な? ほーらほら立って。ささ、ほら行くよ」
男はウォースパイトの腋の下に手を差し入れて立ち上がらせようとした。さすがのウォースパイトも唖然としたのち、一気に頭に血が昇った。
「ちょっと、やめてください!」
普段から深海棲艦と戦っているはずなのに、ウォースパイトは男に恐怖していた。人間の姿をして、人間の言葉が通じるのに、話が通じない、それがなんとも不快で、いっそ深海棲艦よりも理解不能だった。
「んだよシラけるなあ、空気読めよ心配してやってんのに、あーあ俺傷ついたー」
「結構です! 失礼――」
憤然と立ち上がって、男に背を向けて歩き出したそのとき、ウォースパイトは世界が揺れたと思った。海上では絶えず波の動揺にも姿勢を保持できる艦娘だが、このときの揺れには、おもわず足がもつれそうになった。視界も暗くなったように感じた。
「ほらほら、熱中症なんじゃない? ことしは特に猛暑だからさ。どっか涼しいとこで休んでったほうがいいって」
「休む、って」
「そ、休むだけ。だからスパ子ちゃんはなんも悪くないんだよ~」
頭がぼーっとしていた。ひとりで歩くのも難しかった。まさか、左手薬指に指輪をして、おまけに意識が混濁している女性を本気でナンパする男がこの世に存在するなど、社会の上澄みだけで生きてきたウォースパイトにとっては想像の外だった。
だから、
「んっ!? ちょっ、うぷっ……!」
連れ込まれたラブホテルの部屋に入るなり、むりやり抱き寄せて性急にキスをされたときは、理解が追いつかなかった。
ウォースパイトの唇を吸引していた男が、顔を離す。虫唾が走るにやけ面。
「おら、舌出せよ舌」
ふたたび、唇を吸ってくる。煙草と缶コーヒーの臭いを濃縮したようなドブの口臭が流れ込んでくる。顔を逸らす。
「いやっ、やめて……!」
「えー、じゃあ」
ウォースパイトの両肩を摑んだまま、男は英国艦娘の白いうなじに舌を這わせた。恐ろしいほどの嫌悪感でウォースパイトの背筋にびっしりと鳥肌が立った。ついで男がうなじを吸う。
「チューしてくれないと、ここにキスマークつけちゃうけど、いい?」
「やめ、やめて」
「じゃ、こっち向いて?」
逡巡、葛藤。躊躇。男は待たない。首筋に唇を密着させる。
たまらず正面を向く。男がにたあっと笑う。
「はい、合意~」
男が唇を奪う。ウォースパイトの口唇をベロベロ舐める。
「ぐぅ、ううう……!」
「口閉じんなよ、ベロチューしろベロチュー」
首を振って拒絶の意思を伝えるが、男は、
「そんなに嫌ならキスマークつけよっか」
また、脅す。未だ天井がぐるぐる回っていて、頭もチカチカしている。ひとりでは立っていられない。ウォースパイトはわずか残った思考で、下手に抵抗すべきでない、と判断し、恐怖でがちがち歯が鳴っているのを、なんとか開く。
待ってましたとばかりに男の舌が流れ込んでくる。大きななめくじが口に入ってきたような不快感。そのドブ臭い唾液でぬめったなめくじが、ウォースパイトの口内を跳ねまわり暴れまわる。
「ううっ、おぇ……やめ……」
「ほら、スパ子ちゃんも舌絡ませろよ、俺の口んなか舐め回せ」
熱中症とは別に、膝が笑う。
深海棲艦相手なら、どんなに強大だろうが武者震いこそすれ恐れなどしなかった。昂然とこうべを上げて戦えた。だが、人間が、艦娘に対して性暴力を振るうのがウォースパイトにはまるで理解できず、恐怖で頭が真っ白になり、思考停止に陥ってしまう。じつのところウォースパイトはまだこれが現実だと信じられないでいるのだ。現実にこんなことをする人間が本当にいようとは思えないし、思いたくもない。あまつさえ自分の身にふりかかるとは――。
怖くて体が動かない。だが従わないとなにをされるかわかったものではない。――こうして性的暴行にさらされた女は従順に振る舞ってしまう。
ウォースパイトはいわれたとおりにしようと、泣きながら舌先を少し出した。
「もっと出せホラ。俺の歯舐めろよ」
涙で滲んだ視界には、男の口。歯並び。ヤニで黄ばんでいる。小便で煮しめたかのようだ。ウォースパイトは目尻から透明な涙を流して懇願する。
「やめて……やめてください。許してください……」
「だーめ。スパ子ちゃんからキスしろ」
「おねがいします……I have a fiancé, so please forgive me(わたしには婚約者がいるの、だから許して)」
「ふぃあんせ? 知らねえよ。チッ、あんま調子コクなよオイ」
「ぎゃっ……」
ばちん! と男が出し抜けにウォースパイトの頬を張った。ほとんどフックに近い平手打ちに脳が揺れる。
「キスしろっていってんの。わかる? おまえのほうからキスしてこいってんだよ。もっぱつ殴らんねーとわかんねーか?」
ウォースパイトは泣きじゃくり、ときおりしゃくりあげるしかない。
「やめてください……やめて……くだ……」
「ごめんなー。でもスパ子ちゃんが言うこと聞いてくれないからこうするしかなかったんだよー? これ終わったら帰れるからねー、もうちょっとがんばってみよー」
「ほ……ほんとうに、帰してくれますか……?」
「ほんとほんと。日本人うそつかない」
うって変わって男は優しい笑顔でウォースパイトの頭をなでた。容赦なく殴ったのと、今と、どちらがこの男の本性なのかわからない。暴力的な面をもういちど引き出させないために、自分の身を守るために、早く鎮守府の提督のもとに帰るために、――ウォースパイトは、自ら、男と震える唇を重ねた。
「舌入れろ舌」
ここで従えば、さらに男が図に乗ることは目に見えていた。だがウォースパイトはできるかぎり穏便にすませたかった。知らない男とふたりでラブホテルに入ったということさえ明るみに出したくなかった。震えが止まらない。だが勇をふり絞って大人しく舌を男の口内へ差しこむ。これで終わりにできると願いながら。
「俺の舌と歯もぜんぶ舐め回して」
ヤニで黄ばんだ歯をためらいながら舐め、
「なんか愛情感じねーなー? それでキスのつもり? 俺のこと彼氏だと思やいいじゃん」
馬鹿をいわないで、と閉じた瞼から涙がにじむ。提督はこんな無理やりにしたりしない。
「また俺怒らせたい? 殴られたい?」
「いや……やめて……」
ウォースパイトは新たな涙を流してかぶりを振った。
「じゃあどうすりゃいいんだ?」
栄光のクイーン・エリザベス級戦艦娘は、二度、三度、しゃくりあげて、男とねっとりとディープキスした。生臭い唾液で満たされた男の口内を舐める。
「俺の舌吸ってよ、フェラみたいに。舌フェラ」
男がベロを突き出す。ウォースパイトはなにも考えないようにしてその舌を口に含む。頭を前後させる。
じゅっぽ、じゅっぽ、じゅっぽ……夢中で男の舌をしゃぶる。男を満足させられたら帰れるという一縷の希望しか今のウォースパイトがすがるものはない。
男は、英国艦娘に舌フェラされながらズボンのベルトを外し、パンツごとずりおろした。
「おっし、屈め。屈めってんだよ」
突然、両肩をぐっと下へ押さえつけられる。また怒らせてしまったのだろうかと動悸が激しくなる。
膝立ちになったウォースパイトの目の前にあったのは、男のむきだしの下半身だった。
「ひっ……」
ウォースパイトの美貌がひきつる。暗黒の剛毛からぬらぬらと屹立する赤黒い肉砲と、その下にぶら下がっている、縮れ毛に覆われた皺々の陰嚢。太ももにも捻じれた毛が乱立していて汚らしい。
わけても、凶器のように突きつけられた巨大な男性器は醜悪極まりなかった。提督とのはまったく違う。提督のペニスは、とても愛おしくてたまらない。だが、眼前にある陰茎は、発情した軟体動物のようにただただ汚らわしく、立ち昇ってくる臭気も肺が蝕まれるように不快で、その漲りからは、こちらのことをひとりの女性としてではなくただの肉としか考えていない男の悪意が伝わってくる。禍々しいという言葉が形を得たかのようだった。
興奮して息の荒い男がウォースパイトの後頭部を摑んで、自身のまたぐらに艦娘の顔をうずめさせる。彫刻のように白く美しい容貌と煌めく金髪が、男の毛むくじゃらの股間に密着させられる。
「やめっ、やめてくだ……」
「口開けろ」
「やめてください、ひ、ひどいことしないで」
「はあ? お前頭おかしいんじゃねえのか? 男と女がラブホ入ったらやることはひとつだろうが! バカか! ああ? お前はバカかって訊いてんだよ! 答えろ! 人に質問されたら答えろ!」
顔を真っ赤にして男が猿のように叫ぶ。部屋にがんがん響く怒鳴り声にウォースパイトは萎縮してしまう。砲声や深海棲艦の雄叫びを浴びるのは日常のはずなのに、人間の怒声は、相手がなまじ自分と同じ生き物という意識があるから、単なる騒音ではなく心に直接くる。
「いいからしゃぶれ。わかったか? あ?」
前髪を摑まれ、頬をぺちぺちと軽く叩かれる。先ほど思いきり殴られた記憶がなまなましく甦る。すすり泣く。なんとか、頷く。その動作で摑まれている髪が頭皮を引っ張ってさらに痛む。
男が手を離す。ウォースパイトは全身が熱病のようにがたがた震えている。体が動かない。
舌打ちの音が降ってくる。
まずい。暴力を振るわれる。
ウォースパイトは、夢なら覚めてと願いながら、意を決して、男の凶悪な肉器官をおそるおそる口に収めた。とたん、
「うっ……」
小便の臭い、汗の蒸れた臭い、恥垢の饐えた発酵臭、男の体臭――それらが渾然一体となって、しかも濃縮された耐えがたい生臭さがウォースパイトの口から鼻へと抜けていった。吐き気。
「歯立てるなよ、殺すぞ」
なるべく鼻呼吸をせず、口呼吸で嗅覚をごまかしながら、口腔粘膜に触れさせないように極太ペニスをフェラする。それでも生理的嫌悪感は拭えない。
「もっと根元まで吸え。気持ちよくねんだよヘタクソ」
だが男の長大な二十センチ砲はとうてい付け根まで呑み込める代物ではない。喉まで届くだろう。ウォースパイトはせいぜい半ばまでしか咥えられない。
「しゃーねーな」
男はウォースパイトの頭部を両手でつかみ、己自身を咥えさせている状態で、腹筋に彼女の鼻梁がぶつかる勢いで押しつけた。
「ぐうぅ、ごぇ、おえっ」
咽頭反射でえずくウォースパイト。男の太ももを叩いて抵抗するが、男は構わず英艦娘の頭部をオナホのように暴力的に前後させた。亀頭が
食道を塞がれ、気道まで圧迫される。鼻水が出る。息ができない。窒息。半分白目を剝いたウォースパイトの、朦朧とする脳裡に、死、の言葉が浮かんだとき、
「よーし、これくらいでいいだろ」
男が、抜いた。ずるるるっ、と
「かはっ、おえ、ひゅ――――、ひゅ――、はあっ、はあっ」
床に手をついて、酸素を貪る。よだれと、鼻水と、涙が垂れるが、とても気にしていられる余裕などなかった。酸欠だった脳に酸素が行き渡って頭痛が走る。
「じゃ、ベッドいけ。仰向け」
男が気怠そうにベッドを指さす。ウォースパイトはまだ死の淵から戻ってきたばかりでへたりこんだまま動けない。
「おねがい、ちんじゅふにかえして。かえりたいのぉ……!」
気品あふれる淑女たるウォースパイトが、子供のように泣きじゃくる。圧倒的な恐怖で退行してしまっている。
「泣いてんじゃねえよ! てめえら女はどいつもこいつも泣けば許してもらえると思ってやがる。世の中そんな甘くねえんだよ。いけっていってんだよ! 同じこと何回言わせんだクソ女!」
ウォースパイトの長い金髪を摑んで持ち上げ、むりやり立たせる。泣き喚く女をベッドに突き飛ばす。スプリングの弾力で仰向けに倒れたウォースパイトの肢体が跳ねる。
「足開けおら。開け、ひーらーけー! あ? ひぃーらぁーけぇー! 開けっていってんだああああ!」
けもののように激昂する男に恐れをなし、ウォースパイトの太ももを閉じる力が弱まる。
「素直に言うこと聞きゃあ楽しませてやるからな」
人が変わったように猫なで声になった男の指が女の花芯に触れる。そこでようやく自分がなにをされようとしているのか英戦艦娘が気づく。
「ちょ、ちょっと、やめてください、なに、してるんですか」
「まんこがしゃべってんじゃねえよ」
「やめっ、い゛っ――!?」
男の、芋虫のように太くてしかも岩みたいにごつごつした指。それがいきなり二本、ためらいなくウォースパイトの膣に入れられる。
「ほらもう濡れてんじゃん。オンナだねー」
「ちが、違う、違います!」
「ほんと女って下の口は正直だよなー。女は子宮でモノ考えてろって」
「違う! 感じてなんか」
本当にウォースパイトは感じてなどいなかった。愛する提督以外に感じるはずもない。濡れているのは女としての防衛本能だ。哺乳動物のメスが暴力を受けるときは強姦されるときだから、せめてダメージを小さくするべく女は恐怖を感じると膣分泌液を分泌する。だが、この男にとっては愛液が出るということはOKサインなのだ。
「じゃ、いっくよー」
男が挿入した二指を高速で出し入れする。ウォースパイトの内臓が内側から引っかかれる。
「痛い、痛い痛い痛い! やめて、本当に痛い!」
「そのうち気持ちよくなるって」
「痛い痛い! いっ――あ゛あ゛あ゛……痛いぃいいい!」
あまりの激痛に号泣するも、男のガシマンはいっこうに止まる気配を見せない。恐怖が限界値を超える。腺が緩む。
「あああ……嫌ああああ……」
ウォースパイトは失禁してしまった。尿が小さな放物線を描いて、なおも高速指マンを続ける男の腕を濡らし、シーツをぐっしょりと汚した。
「おーおー、派手に潮吹きアクメきめやがって、お高い顔してとんで変態じゃねえか、そんな気持ちよかったか、そんなら……」
ただの失禁を潮吹きと勘違いした男が、本腰を入れて、爪も切っていない指の動きをさらに加速させる。ウォースパイトの繊細な粘膜が無残に傷つけられていく。
「嫌っ、いだいいだいいだい、いだぁぁぁい! I-I'm begging you, please stop(お、お願いですからやめてください)!」
そしてまた望まぬ放尿をさせられる。男は出会ったばかりの最高級白人艦娘を自身の手で連続アクメさせたと喜ぶ。
男が指を抜いたあとも、大火傷したようなヒリヒリとした疼痛がウォースパイトの陰部を責め苛む。提督なら壊れ物を扱うように優しくしてくれるのに、この男は提督と本当に同じ生物なのだろうか。こんな身勝手で放埓な人間がこの世に存在するのか――恐怖と混乱で、自身が解剖台に乗せられたカエルのような無様な格好をしていることもわからない。
「じゃ、お待ちかねの生ちんぽ入れてやるからな」
ウォースパイトの耳にその言葉は届かなかった。だから、いきなり股間に灼けた鉄棒でも突っ込まれたのかと思った。
「ぎっ……!?」
めりめり、という音さえ伝わってきそうな剛直の侵入。ただ指でかき回されただけで全くほぐれていない膣肉を矛先が切り刻みながら奥へと突き刺さる。ウォースパイトの隘路が極太ペニスでむごたらしく拡げられる。その激痛を、不快感と拒否反応がさらに上回る。
「嫌あ゛あ゛あ゛! 抜いてぇえ゛え゛え゛! やめてください! やめてください!」
「うるせえまんこだなぁ、おら、大人しく喘いでろ」
一番奥の行き止まりに突き当たる。だが男の長槍はまだ半分ほども余っている。
男がいったん腰を引く。子宮口と亀頭のあいだに隙間ができる。だがそれは慈悲ではない。むしろ、相手を殴るときに拳を引くような、情けも容赦もない予備動作。
ウォースパイトの引き締まった腰をがっちりホールドした男は、力任せに破城槌を子宮へ叩きつけた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛! がっ……!」
死んだ、と思った。おなかのなかで内臓が潰されて破裂した気がした。
普通に挿入すれば半ばまでしかウォースパイトに埋まらない巨塊が、根元まで突き入れられていた。潰された子宮頚部と子宮が押し上げられ、卵管で繋がっている卵巣まで引っ張られて、凄まじい痛みを生む。他の臓器も押しのけられてその全てが悲鳴をあげる。
「ああ……ああああ」
正常位でレイプされるウォースパイトは、戦場での負傷とはまったく異なる痛みと、提督以外のペニスで強姦される強烈な恐ろしさと情けなさで泣き叫ぶしかない。
男はウォースパイトの苦痛も絶叫も一切気にかけることなく凌辱のピストンを続けた。勃起器官が子宮に打ち込まれるたび、ウォースパイトは心に亀裂が入るのがわかった。
不快感、恐怖、おぞましさ――犯されているウォースパイトの胃が蠕動する。胃袋から食道、口までが一直線となる。ウォースパイトの白い頬が膨らむ。ついに決壊する。
「う、――お゛ぉお゛え゛ええええ……」
ウォースパイトの可憐な唇から吐瀉物が溢れた。半端に消化された昼食のサンドイッチが、黄土色の胃液とともに嘔吐される。気道にまで入って鼻からも胃液が噴き出す。敏感な鼻腔が胃酸に焼かれる。
仰向けなので混沌が逆流してきて咳き込む。そのたびにまた未消化物が口から出てくる。ウォースパイトの絶世の美貌が、ゲロに汚される。
「吐くほど気持ちいーか、ははっ」
男は手加減どころかますます激しく
「おー、きたきた。出るぞ。出すからな」
出す。なにを。決まっている。死の宣告だった。
「や゛め゛、やべへ……ゴバッ……ら゛め゛……!」
胃液の泡を吐きながらの懇願は、しかし聞き入れられるはずもなかった。
「お、おおお、おおおおお!……はっ……あぁ……」
男がひときわ大きな息を漏らして、歯を食いしばって耐える顔となる。その腰が細かく痙攣する。あれだけ激しかったピストンも止まる。その意味することはひとつ。
「うおー、めっちゃ出た……! こりゃ絶対受精したなあ。まあ彼氏に責任とってもらえよ。わかりゃしねえって」
男が凌辱器官を引き抜く。赤い粘液がまとわりついている。処女ではないウォースパイトの粘膜が出血するほどの強淫だったことを物語る。
それよりも。
信じたくない一心で、ウォースパイトはなんとか上体を起こす。ヴァギナを確認する。
無残にも形状を変えられてしまった女陰から、おりものでも愛液でもない、白い汚濁の液体がかたまりとなってどろりと流れ出てきた。
「ぎいいいいいいっっっ!」
青い瞳を限界まで見開いたウォースパイトは、自分の金髪をぶちぶちと引き抜きながら、今まで出したこともない悲鳴をあげた。食いしばりすぎた奥歯が砕けた。
提督以外の男に、膣内射精された。汚された。穢された。提督だけの体が。提督だけに許すつもりだったことが、まったく別の、名も知らない男に。提督になんて言い訳を。妊娠。アフターピルはどこで買えるか。――思考がぐちゃぐちゃにかき乱される。
はやく、はやく出してしまわねば。ウォースパイトはうつ伏せの体勢になって、口の周りが吐瀉物まみれなのも気にせず、指で膣からおぞましい刻印をかき出そうと必死になった。
その姿は、男からすれば、白人美女が後ろを向いて、尻をこちらに向けて、まんこをいじりながら誘っているように見えた。その、真っ白な量感のある臀部の中心に咲く、藤壺のように
「えっ」
予期しない感触にウォースパイトの瞳孔が収縮する。肛門に、弾力のある肉があてがわれている。まさか。
「うそ、やめ、だめ、やめて! や――」
「せっかく俺がだしてやったのにさ、そんなムゲにするとかひどくない? はいお仕置き」
男がパンを割るように双臀をひらき、アナルをごん太ペニスでこじ開ける。拒もうとする括約筋の抵抗も虚しく、ウォースパイトが引き裂かれる。
「ぎぃや゛あ゛あああ!」
絶叫の奔流が喉から迸った。からだを尻から左右に真っ二つにされたかのようだった。猛り棒が下部直腸や上部直腸はいうにおよばず、屈曲する直腸S上部に行き当たり、なおも押し込まれる。奥へ引き込まれる腸に、肛門周辺の皮までが引きずり込まれる。
言語に絶する激痛。叫びすぎて、ウォースパイトの眼球の毛細血管が切れ、白目部分に血が滲む。
男は片手で腰を摑み、英国艦娘の尻に幾度も下半身を叩きつけた。抜かれるときには腸管がめくれて脱出してしまいそうになる。
「さっすがイギリスの戦艦、こっちも具合いいじゃん」
高貴なる戦艦娘ウォースパイトが、アナルを強姦されていた。膣だけでなく肛門まで犯される、死にも勝る屈辱と痛苦の拷問に、ただウォースパイトはシーツをぎゅっと摑み、滂沱と涙を流して喚きつつ耐えるしかない。
射精されたら、きっと終わる。肛門凌辱されるうち、いつしかウォースパイトは、はやく射精してほしいと願いさえするようになっていた。体内に男のしるしが流れ込む汚辱より、一刻も早くこの場から去りたい欲求が遥かに強かった。
やがて男が震える。長い吐息。腰も止まった。いままさにウォースパイトの腸内に射精しているのだろう。
女は下唇を噛みしめて辱めの締めくくりが終わるのをただ待った。
消化器官の末端から抜かれる。終わった。終わったのだ。これでやっと解放される。安堵するとまた涙が溢れてくる。
「う……ああぁ……うぁあああぁあああ」
ベッドに突っ伏したまま号泣するウォースパイトの背後で、男がスマホを構える。カシャリ、カシャリとシャッター音がする。
「どうせなら動画も撮っとくか。オイいつまで泣いてんだ。アナルから精子出せ。ひり出せ。俺の精子ケツから産むとこ見せろボケ」
ひぐっ、ぐすっと泣くウォースパイトが、大人しく腰を突き上げる。大便を排泄するときのようにいきむ。
ぶりゅ、ぶりりっ、ぴちゅっ……間抜けな放屁の音とともに、男の原液が腸液と混じって飛び出す。汚らわしい異物である精液を排出しているはずなのに、ウォースパイトは自身の尊厳や人格までが排泄されているような気がした。こんな惨めな姿を記録されている……。
「おし、いい
「もう……帰してください……このことはだれにも言いませんから……」
哀願に、男が笑顔のまま怒りを滲ませる。
「は? なにそのおまえが主導権持ってるみたいな言い方。おまえどっちが上かわかってねえの? 言っとくけど俺が撮ったのいまのアナル精液排泄だけじゃないからね? アナルファックから俺撮ってたからね?」
男がスマホの画面を見せつける。再生された動画のなかでは、男のいうとおり、男に肛門を犯されているウォースパイトが見下ろされている。尻肉に突き刺さった極太が何度も打ち込まれている。さらにはウォースパイトの横顔まで映す。痛みに耐えるのにせいいっぱいで顔まで撮られているなど気づけなかった。
「これ、ネットにあげたらどうなんの?」
「やめ……やめてくださ……」
「どっちが上かわかった? どっちが上?」
「あな、あなた、です……」
「だよねー。この動画バラなかれたくなかったら、もっかいしよっか。それとも、帰りたい?」
「かえり、帰りたいです」
「じゃあ、そのお願い聞いてやる代わりに、なにかしてもらわねーとなー?」
ウォースパイトは過呼吸に近くなっている。これ以上なにをさせるつもりなのか。
「じゃあ、俺の言ったとおり繰り返して。それで許してやる」
それにウォースパイトはかえって肩透かしを食らった思いだった。そんなことで?
「します。それ、します、だから、帰して……」
「よーし、じゃあ床に土下座しろ。土下座」
ウォースパイトは膣と肛門が激しく痛むのもこらえて、ベッドから下り、男に平伏した。
「頭、床につけろよ」
後頭部を踏みつけられる。額が床に擦りつけられる。全裸土下座。恥辱。だが……これで解放されるなら……。
足をウォースパイトの頭からどけた男がスマホを構える。
「じゃーいくぞ。“このたびは”」
「こ……このたびは」
「“わたしのクソザコマンコを犯していただいて”」
「……ッ」
「あ? 聞こえなかった?」
「……わたしの、ク、クソザコ、マンコを、犯していただいて……うう……あああ……こんなの、惨めすぎるわ……」
「いちいち泣いてんじゃねーよ。はい続き。“本当に”」
「あぁ……う……。本当に……」
「“ありがとうございました”」
「ありがとう、ございましたっ……」
「“これからも”」
「うっ……あぁあ……これ、からも」
「あなたのチンコキ性奴隷として」
「チン、コキ……性奴隷、として」
「“あなたの呼び出しにいつでも応じると誓います”」
「……えっ。話がちが……」
「いーからいーから。言うだけだから。言ったら終わり! ほんとに終わり。ほら言え。俺の呼び出しにいつでも応じると誓いますって。言うだけならいいだろ?」
「……あなたの、呼び出しに、いつでも、応じると、誓います」
「じゃあ通しで言ってみよっか。“このたびは”」
「この、たびは、わたしの、……クソザコマンコを、犯して、いただいて、本当にありがとうございました。……」
「あ? 忘れちゃった? “これからもあなたのチンコキ奴隷として”」
「これからも、あなたの……チンコキ、性、奴隷として……」
「“あなたの呼び出しに”」
「あなたの呼び出しに、いつでも応じると、誓います……」
「詰まったからもっぺん最初から。“このたびは”」
「……このたびは、……」
頭が真っ白になっていて続きが出てこない。
「んだよ今度は頭忘れたのかよ。動画バラまいてやろーか?」
「ごっ、ごめんなさい、違うんです。言います、言います……」
「当たり前だろーが。早く言え」
「はいっ」
ウォースパイトは、自分は演技をしているのだ、と自らに言い聞かせた。これは演技。お芝居。本心ではなくただ言わされているだけ。だから大丈夫――。床に額をこすりつける。
「このたびは、ぐすっ、わたしを犯していただいて、本当にありがとうございました」
「わたしのクソザコマンコを、だろーが」
「このたびはわたしの、クソザコ、マ、マンコを犯していただいて、本当にありがとうございました」
「噛むんじゃねーよ。やり直し」
「このたびは、わたしのクソザコマンコを犯していただいて、本当にありがとうございました。これからも、あなたの性奴隷として、いつでもあなたの呼び出しに応じると誓います……」
「もっとハキハキと。最初から」
「このたびは、わたしのクソザコマンコを犯していただいて、本当にありがとうございました! これからも、あなたのチンコキ性奴隷として、いつでもあなたの呼び出しに応じると誓います!」
その台詞を、ウォースパイトは身ぐるみ剥がされた全裸で、黄金の長い髪に床を舐めさせる惨めな平伏姿で宣言した。
「そっかー、そこまでお願いされちゃしょうがねーなー。動画もあるし、これからも俺専用の無料デリヘルお姫さマンコとしてよろしくなー、スパ子ちゃん♥」
麻痺していた思考で、男の言葉を反芻する。理解できたとたん心拍が跳ね上がる。土下座のまま顔だけを上げる。
「……え? どうして……約束は……」
「は? だからきょうは帰っていいよ。きょうは、だけど。ぎゃははは」
チンポを丸出しにしたままスマホを操作しながら男が哄笑する。男からしたらせっかく手に入れた最高の白人ブロンド美女生肉オナホをみすみす手放す理由などない。
「この全裸土下座でちんぽ乞いしてる動画、有料で上げたらめっちゃ稼げんだろなー。まあ、スパ子ちゃんが嫌って言うなら、考えてあげてもいーよ♥」
ウォースパイトの耳元で、書類の山が崩れるようなばさっという音がした。ラブホテルの部屋に書類束などない。音は、ウォースパイトの顔から血の気が引く音だった。
動画があるかぎり、ウォースパイトはこの男に逆らえない。これからも男はこの美しい戦艦娘を呼び出しては好き放題に犯して奉仕させるだろう。そしてそのたびに脅しの材料となる動画は増えていくのだ。
ほんの数時間前まで、ウォースパイトは提督との輝ける未来を夢想していた。
だが、自身の暗澹たる未来を想像してしまったウォースパイトの海色の瞳は、太陽を失った冬の嵐のように、絶望の暗闇に沈んでいった。