ある日、眠りから覚めると見慣れない天井が視界に入る。目覚めてしばらくするとスピーカーのようなものから声が聞こえる。
アンダーソン「君が今いるのはニケと指揮官がS○Xしないと出れない部屋だ。私が他の連中の目を避けてまで作らせた特別仕様だ。では、5分後に会議があるからまた時間がある時に。」
周りを見渡すと、薄暗い打ちっぱなしのコンクリートに囲まれた部屋に1つの大きなベッドと、その上に横たわっているラピがいた。俺は、理解が追いつくはずも無くパニックになった。
指揮官「おい!待てよ!どういうことなんだよ?!」
スピーカーの方に問いかけるも返事が来ることは無かった。
指揮官「(どうすればいいんだ...?副司令官の言っていることが事実であれば俺はニケと...いや、そんなこと考えている場合ではない。出る方法を探らなければな。)」
一生懸命脱出手段を探したが、見つからなかった。
指揮官「(冗談だと言ってくれ...)」
後ろから物音がした。
ラピ「...?指揮官?さっきまで私は宿所に居たはずですが...?」
指揮官「あ...ラピ...これはそn」
ラピ「緊急事態ですか!?指揮官!何が起こったのか教えてください!」
指揮官「落ち着け。まず、今は緊急事態では無い(緊急事態ではあるが)。何から話すべきかな...」
嘘で誤魔化そうなどと考えもしたが、ラピを騙せる自信もなく、嘘偽りなく副司令官からのメッセージなど一連の出来事をラピに話した。
ラピ「は、はぁ?副司令官がそんな事を?実際に、その...『S○X』をしないと出れないのでしょうか...?」
指揮官「いや、そう確定したとは言えない。一応出る方法を模索したが、まだ分からない。」
ラピ「そうですか。まだ出られるのかもしれないのですね...」
指揮官「ああ、そうだ。ところでラピは『S○X』...について知ってるのか?」
ラピ「ええ、まぁ...かなり前にアークのデータベースで参照した記録が残っています。その...詳しいことは記載されていませんでしたが、理解はしているつもりです。」
指揮官「ま、まぁそんな話より脱出だな。ここにずっといる訳にも行かないしな。」
ラピ「え、えぇそうですね...」
俺とラピは部屋中をくまなく探索し、脱出の手がかりを探した。少しも立たないうちに、ベットの下からプリントを見つけた。これは、脱出の手がかりだと思って急いでラピに伝えた。
指揮官「なにか見つけたぞ!」
ラピ「!」
指揮官「プリントだ、今読みあげるぞ」
指揮官「『調子はどうだ、君たち。進展はあるかね?ベットの下にあるこれを読んでいるということは、部屋の探索でもしているのだろうが、意味は無い。初めに言ったと思うが、この部屋は特別仕様だ。出口などを探しても無駄だ。私も暇では無いので早くデータを回収したい。この部屋から出ずに諦めると言うなら君の分隊、カウンターズは解体だ。君も更正館送りになるだろう。では健闘を祈るよ。』」
決していい知らせでも、脱出の手がかりでもなかった。脱出の手がかりだと思って期待していたのが悪い方向に転んだ。内容を理解したら、どうすればいいかまた混乱した。
気まずい空気が流れた。
ラピ「....するしか....ないんでしょうか...?」
指揮官「いや、それはラピに悪い...でも...」
ラピ「...私の事など、気にしないで結構です。カウンターズの解体と指揮官の更正館送りに比べたら造作もありません。」
そう言ったラピはベッドで、自身の服を脱ぎ始めた。俺は"止めなきゃ"と言う使命感に駆られた。
指揮官「ラピ...まっ...(いや、彼女はカウンターズや俺の為に覚悟を決めたんだ...俺も覚悟を決めなきゃ、彼女が報われない...)」
俺の使命感はラピの気持ちを考えたら、揺らいだ。ラピが仲間のために、俺のために行動してるのにそれを俺が止めていいのかと考え直した。
指揮官「...俺のせいでこんなことに巻き込んでしまった。」
ラピ「いいえ。指揮官のせいではありません。副司令官のせいです。だから、指揮官は罪悪感を感じる必要はありません。」
でも、やはり人は人でありニケはニケであると彼女が1番教えてくれた。副司令官の思い通りになっていいのか?それなら解体されてでも彼女と自分プライドを守るべきなのでは?という思いが勝った。
指揮官「ラピ、服を脱ぐのを辞めてくれ。」
ラピ「でも...このまま行動せずに居ては何も進展は無いですよ...?」
指揮官「別にまだ時間はある。俺だってすぐ死ぬことはない。ゆっくり考え直さないか?」
ラピ「ええ、そうですね...」
ラピは半分ぐらい脱いだ服を着なおした。正直少し後悔した。少しの間とは言えラピの半裸を見た。とんでもなく気まずい空気が流れている。この場の空気を打開する方法も見つからず、ずっと部屋を探索してるフリをしてた。ラピは無言でベットの端に座りながら俺の事を見ていた。
時計も窓もない部屋だから時間も分からない。何分経っただろうか。いや何時間か経ったのかもしれない。眠くなってきた。ストレスや疲れによるものも大きいだろう。そう思い始めてる頃、ラピが沈黙を破る。
ラピ「指揮官。」
指揮官「あ、ああ...?」
ラピ「疲れてませんか?」
指揮官「ま、まぁ少し疲れたかな...?」
ラピ「ベットに来て休みませんか?」
指揮官「そ、そうだな。」
言われるがまま、ベットに行きラピとは反対側に座った。その後、ラピはベットで横になり話し始めた。
ラピ「指揮官。睡眠を取りませんか?」
指揮官「いや、俺はそんな眠くないぞ...?」
ラピ「いいんです。指揮官も横になってください。」
指揮官「??...ま、まあ休憩もしないとな。」
実際疲れていたが、探索してるふりでもしてないと気まずくて死にそうだ。だが本心には嘘はつけなかった。横になったら身体から力が一気に抜けた。また、ラピが話し始めた。
ラピ「本当は出れないんですよね?」
指揮官「!?いや...?まだ方法はあるk」
ラピ「そんな嘘をつかなくてもいいですよ。私だってもう気づいてます。」
指揮官「そ、そうだよな...ごめん...」
ラピ「いいんです。私の事を想ってくれるだけで嬉しいです。」
彼女は少し微笑んだ。ラピが笑うのは初めて見るのかもしれない。可愛かった。そう思ったのも束の間、睡魔がさらに襲いかかってくる。
ラピ「寝ていいですよ。指揮官。」
指揮官「ああ...」
ラピ「好きですよ...指揮官...」
指揮官「...俺も好きだ...ラピ...」
睡魔に襲われて適当な返事をしていた。意識が遠のいていくのを感じた。
ラピ「起きたら.........しましょうね...?」
ラピに腕を抱きしめられたのを感じたところで寝てしまった。
起きると見慣れた天井だった。前哨基地の指揮官室の天井だ。少し考えたが何が何だか分からなかった。メッセージが来ていることに気づいた。副司令官からだ。
アンダーソン『起き次第、副司令官室へ来るんだ。』
アンダーソン『言うまでもないが口外無用だ。』
ハッとした。あの部屋で寝たことで、諦めたと取られてしまったんじゃないかと。そして、これから俺の更正館行きとカウンターズの解体を通知されるんじゃないかと
思った。急いで副司令官室へ向かうと共に言い訳を考えた。
指揮官「(ああ!やっちまったよ!結局俺はラピを裏切る形になってしまったじゃないか...彼女の誠意と決意を無駄にしてしまった...副司令官になんて言えば...いや?俺が悪いのか...?元と言えば副司令官が───)」
色々考えているうちに副司令官室に着いた。副司令官室に入ると副司令官がすぐに話し出した。
アンダーソン「実験した価値はあったと言えるだろう。」
指揮官「その、S○Xはしなくて良かったのですか...?」
アンダーソン「ああ、その話だが元から1日で解放するつもりだったよ。勿論してくれても構わなかったのだがね。君らの隊"カウンターズ"の解体などするつもりは無い。」
指揮官「???」
アンダーソン「私はデータを取るのもそうだが、ニケと仲良くしてる君がどういう選択をするのかが知りたかったのだよ。」
指揮官「(よかった...?のか?)」
アンダーソン「ラピについてだが、君より先に説明しておいた。直に前哨基地に帰らせよう。詫びではないが今月は休んでいい。5分後にまた会議があるから帰りたまえ。」
指揮官「は、はい。」
安心した。だが、呆気なくてなんだかしっくり来なかった。とりあえず帰ってラピを待つことにした。
指揮官「(うーん...俺達が無事なだけで良いのかな...?オチがないというかなぁ...いや...オチを求めてどうするんだ?解体にならなくて喜ぶべきだな)」
心配事を整理しながら帰ると、あっという間に見慣れた前哨基地に着いた。宿所に寄るといつものメンバーがいた。
アニス「あ、指揮官様だ!昨日はラピも居なかったし何かあったの?」
ネオン「もしかして、指揮官もスパイですか...!?私と同じじゃないですか!」
指揮官「い、いやその...特殊な作戦だよ。内容は言えない。」
アニス「えぇ~?なにそれ?私たちは使えないってことぉ〜?」
ネオン「アニス。指揮官は自分がスパイをしていることをさらけ出す訳はありません!さすが指揮官です!」
指揮官「あ、ああ...」
適当に言い訳をして宿所でラピを待つことにした。ラピが来るのが待ち遠しいと思うと同時に気まずくなってしまうんじゃないかとも心配した。するとラピの声が聞こえてくる。
ラピ「ただいま戻りました。」
ラピはまだ俺の事に気づいてない様子だったあ。ラピが俺の事に気づくと駆け寄ってきた。
ラピ「指揮官!?大丈夫でしたか...?!」
そう言ってラピは俺の手を引いて握る。
指揮官「お、おう...特に何も無かったよ。今月は休んで良いらしいしな。」
指揮官「あー...その手を...他のも見てるし...」
そう小声で言うとラピはハッとした顔で急いで手を振り払った。ラピの顔を覗くと、見たことないほど赤くなっていた。
ラピ「いえっ..その、すみません。指揮官。」
指揮官「いいんだ。とりあえず無事でよかった。さっきも言ったが今月いっぱいは休めるから休んでくれ。」
これ以上言うことが思いつかずさっさと宿所を出て指揮官室へ逃げるように移動した。すると、カウンターズのグループからメッセージが来た。
アニス『さっきのなんだったんですか〜?二人きりの作戦でいい事でもあったの〜?』
ラピ『いいえ。』
ネオン『もしかして...スパイの合図...!』
ラピ『違います。』
アニス『怪しいなぁ〜...?なにか隠してない...?指揮官様も怪しい...』
指揮官『いや...特殊な作戦だと言っただろう?内容は言えないんだ。』
ラピ『そうでしゅ。指揮官を困らせないでください。』
アニス『そうでしゅ。』
ネオン『そうでしゅ。』
指揮官『そうでしゅ。』
ラピ『そうです。』
なんだかんだ疑いの目は回避できたと思いたい。このまま問い詰められたらボロを出してしまう未来しか見えない。今度は、ラピから個人メッセージがきた。
ラピ『今から指揮官室に向かっても大丈夫ですか?話がしたいです。』
指揮官『話ならメッセージでも大丈夫だぞ?』
ラピ『いいえ。直接話したいです。』
指揮官『わかった。』
私は指揮官室ソファーでラピが来るのを待つことにした。会話のイメージをしたが何も上手くイメージできない。そもそもラピがどんな話をするのかが思いつかない。ドアが軋む音が聞こえた。
ラピ「失礼します。」
指揮官「ラピ。他の奴は着いてきてないか?」
ラピ「ええ。着いて来てません。」
指揮官「話は...?」
ラピ「指揮官と一緒に居たいです。こんな感情になったのは初めてなので、どう表現すればいいか分かりません。」
次第にラピの顔は赤くなっていく。俺は予想外の話に驚いた。
指揮官「そ、そうだな...困ったな...一緒に居るだけなら...うーん...」
何とか答えをひねり出そうとしている俺の横にラピは座った。
指揮官「...!?」
ラピは俺の手を握りしめた。
ラピ「こうしていると、安心できる気がします。」
指揮官「ちょっ...(止めるのも悪いか...)」
ラピ「もう少し...このままでいさせてください。」
指揮官「ああ。」
気の緩んだラピの顔を見て安心した。彼女を幸せにできるなら悪くないと思った。俺はラピのことを抱きしめたあと、唇にキスした。
ラピ「!?」
指揮官「ご、ごめん...嫌だったか...?」
ラピ「いえ...嫌ではありません。」
指揮官「そうか...よかった。」
ラピ「それでは、そろそろ失礼します。ありがとうございました。指揮官。」
指揮官「ああ。」
彼女はソファーから立ち上がりドアを開ける直前、
ラピが「またお願いしますね。し・き・か・ん」
と言った。少し経って、正気になったのか足早に外へ出ていった。俺も少し正気になってさっきキスしたことを少し後悔したが、今はそうでも無い。
その後、アニスとネオンには部屋の出来事は筒抜けだったことが判明した。しばらく、ラピと俺は恥ずかしい思いをすることになった。
面白かったら嬉しいです。感想も教えて。