「くそっ何か突破口はないのか!?」
「無茶言わないでくださいよ菊さん。ただでさえ茅場先輩の作ったシステムな上に1万人の人質までいるんすから、そうそう手出しなんてできませんよ」
「だがもう3週間だ。既に1800人もの犠牲者が出ている」
「そんな事言われたって………おん?」
大企業のオフィスを思わせるビルのワンフロアを丸ごと使った大部屋の片隅で僕たちは議論とも呼べない無為な会話を交わしている。
本来数十人分のデスクを置けるほどの部屋には足の踏み場もないほどに大量の電子機器が並べられ、それらがまるでパズルのような配線で繋がっている。それらの機器が放つ熱によって、もうすぐ冬だと言うのにこの部屋だけは真夏のような熱気をはらんでいた。
「どうしたんだい、比嘉君?」
比嘉健──SAO事件首謀者たる茅場昌彦が所属した重村ラボのOBであり、茅場の後輩にあたる男だ。天才ぞろいの重村ラボの例にもれず、彼もまた茅場に並ぶ天才だった。彼の作ったシステムに極一部とはいえ、介入できるほどには。
「いや、さっきダメ元で試したプログラムが成功した見たいっす」
「なんだと!?それで、それはどんなプログラムなんだい!?」
「ええっと……ですね………」
難攻不落のSAOサーバに介入したという朗報に菊岡が歓びの声を上げる。対してその詳細を問われた比嘉は歯切れ悪く頬を掻いた。
「えー菊さんてModって知ってます?」
「いや、知らないが……」
「ゲームとかでよくある”拡張パック”みたいなもんす。モンハンでプレイヤーキャラをアニメっぽく改造するとかが有名ですね」
「…………それが、今回の件になんの関係が?」
「さっきボクが実行したのも、そのModの一種っす。その内容は……」
「内容は?」
「一部モンスターがエロい攻撃をするようになる、っす!!」
「……………………………………………………………………………………」
絶句。
菊岡誠二郎二等陸佐、空前絶後の絶句である。
「い、いや~どうせダメだろうし、なんでもいいかなぁと思ってやってみたら成功しちゃいまして………。あ、でもこういうふざけたやつだからこそ通ったのかも」
「比嘉君。それを実行したせいで同種のプログラムが今後プロテクトされているようだが」
SAOサーバを監視しているモニターに表示された『脅威対策済み』の表記に、菊岡の額に青筋が浮かぶ。
「あ、あれ~?」
「比嘉君。言い残すことはあるかな?」
ガチャリ。菊岡の手から聞こえた金属音は言うまでもなく拳銃の撃鉄が上がった音だろう。
「ボクはまだ役に立ちまっ……!」
バンッ!
*********
「そんな……!」
崖の上へと続く坂道を埋め尽くすほどのネペントの大群にミトは絶望の声を上げる。
ミトのHPは既に危険域に入っており、手持ちの回復薬もない。到底立ちはだかるモンスターをなぎ倒してアスナの元へたどりつくことなどできない。
奇跡的にミトがアスナの元へ駆けつけられたとしても、その前にアスナのHPが尽きるだろう。どうあがいても、ミトの親友を助けることはできない。
「えっ……?」
ミトがそこまで考えた時、モンスターたちの動きが止まった。
「なにこれ……?バグ……?」
時間が停止したように動かないモンスターの体にノイズが走るようなエフェクトが現れる。
ジ……ジ……音を立てる様は、ミトには、ゲームによくあるバグのように感じられた。
「きゃっ!」
1分ほど続いた静止状態は、ネペントの触手攻撃によって破られた。ベータ時代を含めても、経験のないパターンの攻撃にミトは僅かに反応が遅れる。その一瞬で無数の触手がミトの体に巻き付いていた。
「しまった……!」
触手を巻き付ける行動はネペントの締め付け攻撃の前触れだ。これを受けると堅い金属防具なら兎も角、ミトのような布、革製の防具は、徐々に耐久値を削られ、破壊されてしまう。
だが、防具破壊はミトの思わぬ形で起きた。
「ちょっ…なにするのよ!」
脚に巻き付いた触手がウネウネと蠢き、ミトのサイハイブーツを脱がし始めたのだ。
両手を広げるように高速され、腰にも触手が絡みついたミトでは、ネペントの蛮行に抗う術はない。ネペントたちは容易くミトの素足を白日の下に曝け出した。
「ほ、ホントになんなのよ!」
ブーツを脱がし終えた触手は今度は革の胸当てを脱がそうと殺到する。鳩尾の上までを護る防具を引き剥がそうと脇や肩、胸の下の隙間から触手が挿し込まれる。
触手が内部に侵入するのに手間取っているのは、年齢に比べて豊満はミトの乳房が防具の中に押し込まれているために、触手の入りこむスペースが少ないせいだろうか。
思う通りに進まない侵攻にしびれを切らしたのか、鋭く尖った触手が、ミトの胸部を護る防具を切り裂く。本来プレイヤーにダメージを与える筈の攻撃は、今はただ衣服を取り払うためだけに使われていた。
「いやっ、ホントに、やめて……っ!」
切り裂かれ防具が落下した途端、その内側から弾むように2つの果実がミトのインナーを押し上げる。
「………ッ」
すかさず触手たちが我先にとミトの乳房に殺到する。絞り取るように左右にそれぞれ巻き付き、強調された谷間には一際太い触手がこすりつけるように往復する。
『ゴパッ!』
「ふ、服が……溶けて……」
ミトの体中に巻き付いた触手からドロリとした粘液が分泌される。その粘液は触手を伝ってミトの服に滴り落ち、ジュワリと音を立てて衣服を溶かし始めた。
巻き付いた触手が少しずつ移動を始める。触手のどけられた場所からは白い肌が露出し、テラテラと光を反射する粘液も相まって、この上なく卑猥な光景を生み出している。
「いや……このままじゃ……」
裸にされる。そんなミトの予感を裏切るように触手は溶解液の分泌を止めた。その代わりに分泌され始めた粘液に触れた瞬間、ミトの体に電流が走る。
「ッ!……なに、これ………!?」
仮想の心臓が早鐘を打ち、血液が全身を駆け巡る感覚に身を震わせる。触手が肌の上を撫でる度、しびれるような快感がミトを襲う。
「こ、こんなの……私、知らな………あんっ」
媚薬のような粘液を纏った触手が、ミトの股座を撫でた瞬間、一際大きな快感がミトに嬌声を上げさせる。
「あ、あ、あっ………んっ!」
そこが弱点だと理解したのか、細く尖った触手の先端がショーツごしにミトの秘裂を引っ掻くように愛撫する。そのたびに媚毒が浸透し、ミトを更なる快感へと押し上げていく。
さらにもう一本の触手が陰核の周りを円を書くように動き回る。直接触れられていないにも関わらず襲い来る悦楽にミトはもどかしさを感じてしまう。
「ち、ちが……私は、期待なんて……」
触手がクリトリスの周りをいじるたびに、早くソコに触れてほしいという欲求がミトを苛んでいく。その間にも、胸や腰まで媚毒付きの触手で揉みほぐされ、まるで全身が性感帯になったかのような錯覚にとらわれる。
「だ、だめ………あちこち敏感になって…………んはあっ!」
秘裂をなぞっていた触手が押し付けるようにぐりぐりと秘部を刺激する。その振動が奥にまで伝播し、子宮が揺れるという未知の快感がミトを狂わせていく。
「待って、ホントに、だ、だめっ、もう、い、イっちゃう……………んんっああっ!!」
堪えきれず、ミトは絶頂する。だが、触手は止まらない。
「うそ、止めてそこは……!?」
ショーツの隙間から忍び込んだ触手によって秘部を護る砦が破壊される。白日の下に晒されたミトの花弁に、男性器のようなグロテスクな触手があてがわれた。
「い、いやっ、私、まだ処………ああっ!!」
ミトの抵抗むなしく、剛直が花弁に割って入る。僅かに散った赤いエフェクトは、処女膜が破れたことを示しているのか。
痛覚のない世界での処女喪失は想像以上にあっけなく、ミトに快感だけを持たらした。
「んんっ、あっ、んっ、はあぁっ!」
触手は処女を失って茫然とするミトに構わず、ピストンを開始する。波打つようにうねり、回転しながら出し入れされる触手はいとも容易くミトを絶頂へと導いていく。
「はあぁんっっ!!」
触手のヒダがソコを擦り上げた途端、ミトは一際大きな喘ぎ声を放つ。ウネウネと動く触手がミトのGスポットをとらえたのだ。
「や、そこっ、ダメェッ!!」
ミトの嘆願など聞く耳も持たず、ネペントはミトを蹂躙しつづける。
「も、だめっ、イッくぅ……………ふぇ?」
ミトが絶頂に達しようとしたその瞬間、触手がピタリと動きを止めた。それどころか挿入された触手自体が一回り小さくなり、ミトに対して一切の快感を与えないようにしているかのようだった。
「ま、まさか……こいつら…………私を焦らせるつもり……?」
ミトの言葉に、正解、と嘲笑うかのように触手が愛撫を再会する。そして、ミトが果てる間際に再び動きを止める。
「こ、んな………も、許して……んああっ!!」
言うべき台詞はそうじゃないだろう?
そういうかのように触手はミトを煽りたてる。ミト自身も薄々、何を言えばこの地獄が終わるのか理解している。しかし、それを口に出すことを彼女のプライドと羞恥が許さない。
「はぁっ、はぁっ………だ、れか助け………アスナっ」
ここにはいない親友へ助けを求める。だがその声にアスナが応えることはない。彼女自身、ミトが凌辱される前には死にかけていたのだから。
「……………ッ!!」
そこまで考えて、ミトは我に返った。
そうだ。私はこんなところで油を売っている暇などない。幸いアスナのHPはまだ残っている。
私は、アスナを絶対死なせない────────!!!
「イかせて」
羞恥を振り切って叫ぶ。
「さっさと私をイかせないっ!このエロ触手!!」
ゲギャッとネペント達は嗤うと、今までで最も激しくミトの体を犯しつくす。挿入されたままの触手は太さと硬さを増し、ゴリゴリと膣壁を擦り上げる。艶やかなミトの唇にはこれまた太い触手があてがわれ、フェラの様に口内につきこまれた。
体を撫でる触手も激しく蠢き、胸や尻を揉みしだき、腰、脇を撫で擦る。
ビンビンに勃ち上がった乳首には、花のような形をした触手が吸いつき、母乳を求めるかのように何度も何度も乳首を食む。
「んんんんっっ!!ごっ!ああああっっ!!!」
ビクビクビクッッ!!激しい絶頂の嵐にミトの腰が弓なりに何度もしなる。
最後に一際大きく弧を描いたあと、動きを止めたミトに満足したのか、無数のネペント達は空気に解けるように消えていった。
「はあっ、はあっ、はあっ………あ、すな」
息も絶え絶えに親友の名を口にする。それだけで体に力が戻るのを感じながら、ミトは鎌を突いてヨロヨロと立ち上がった。
「今………助けに………」
アスナの元へ、ミトは坂を上っていく。
崖の上で、彼女が目にしたものとは──────────────────。