僕には親友がいる。
性別=女の男だ。
髪は非常に短く切った短髪、ベリーショートの髪を男物の整髪料で毎朝整えている。
服装は決まって男物で、体のラインが出るのを嫌ってなのかオーバーサイズのパーカーを着ていることが多い。
くりくりと大きくて意志の強そうな瞳の上には長いまつげが生えており、まるでつけまつ毛をつけているようだ。
どんなタイプかと言われれば、見ようによっては美人系だし、角度によっては可愛い系でもある。
そのどちらともとれる絶妙なラインの顔は、誰が見ても彼女の事を絶世の美少女と称すだろう。
その上、体も暴力的だ。
男装コスプレに使われるような、専用の下着で胸を抑え付けているにも拘らず、オーバーサイズのパーカーの胸元が大きく持ち上がり、お腹周りに空洞を作っている。
ちらりと見えるへその形は完璧で、ここだけを切り取った写真を男に見せれば、その性癖がない男でもおかずとして機能するに違いない。
へそから視線を横に移すとキュッとくびれたウエストと、見事な曲線を描く大きな臀部がジーンズをギチギチとはち切れんばかりに膨らませている。
男の欲望の具現化したかのような彼女……というと怒られるので彼と呼ぼうか。
彼はサキュバスだ。
サキュバスとは男の精液を栄養として生きる種族で、その性質上例外なく美しい見た目をしている。
外見で人と違う所と言えば、成長すれば角と羽が生えるという所だが、これは個体差があるらしく、角も羽も生えず人間と見わけがつかないサキュバスもいるらしい。
少なくとも彼にはまだ角も羽もまだ生えていない。
ちなみに男ならインキュバス、女ならサキュバスと呼ぶ。
サキュバスという事は、彼は彼女と呼ぶべきなのかもしれないが、彼は【体が女】で【心は男】としてこの世に生を受けた。
小さな頃からおままごとより男に混じってのヒーローごっこが好きだったし、子供特有の男対女の謎の対立ではいつも男側だった。
そんな彼が自分の性の違和感に気付いたのは、小学生の頃だ。
僕もよく覚えている。彼がよく遊んでいた男の子の一人に、休み時間の教室で公開告白をされたんだ。
教室中の男はその男の子を「うわ~お前葵の事すきだったのかよ!」と囃し立て、女の子が「えぇ~?! どうするの! どうするの?! 葵君」と大興奮だった。
告白してきた男の子は美少年な上にサッカーが得意で、クラスの女の子皆が口をそろえて好きだというほどのモテモテ男子だ。
普通なら小学生とはいえ、女の嫉妬で罵詈雑言が渦巻くところだが、相手は葵だ。
葵は当時から髪は短く、スカートなんて絶対はかないようなわんぱく小僧という性格だったが、流石サキュバスと言うべきか、既にびっくりするくらいの美少女だった。
この美少年と葵の仲は非常に良く、僕が彼らと遊ぶときは、覚えている限りいつも二人一緒だった。
そのため、この美少年と美少女の組み合わせは、クラスでは半ば公認カップルのようになっていて、男の子の事が好きな女子も、葵が相手なら仕方がないと認めていた。
だからこの時の告白は、周りからしたら出来レースのようなもので、初めて見る生の恋愛に全員が興奮を覚えていた。
だが葵の返事はあまりにも酷いものだった。
「はあ?! 意味わかんないし! キモ!」
小学生が負うにはあまりにも深い傷を負った男子は翌日から学校にこなくなってしまった。
それだけではない。
クラス中の女子が葵のことを無視し始めた。
恋愛についても、自身が持つ心の特殊性についてもまだわかっていなかった葵は、なぜそうなってしまったのか意味がわからなかったらしい。
女子とはそもそも遊ぶことが少なかった葵だが、無視してくる女子の中には、葵が好意を抱いている女子がいたため、日に日に葵は元気を無くしていった。
葵と告白してきた男子の仲良しグループも、中心人物であった男子が学校に来なくなったことにより、自然と遊ぶことが少なくなり、いつの間にか葵と遊ぶのは僕だけになっていた。
そんな学校生活が暫く続いたある日の事だ。僕の家で一緒にゲームをしていた葵が急にコントローラーの操作をやめた。
僕は急に動かなくなった葵のキャラから目を離し、隣に座る葵の方をむく。するとさっきまでゲームで一喜一憂していた葵が口をギュッと結びコントローラーを握りしめた葵がいた。
「どうしたの?」
人生経験が少かった当時の僕でもわかるほどに葵は思いつめた様子で、何かしてしまったのかと不安になりながら尋ねた。
「……」
葵からの返事は無い。
だけど葵は小学生にしては艶のある唇を引き結んだり、尖らせたり、何かを伝えようとしていた。
僕は黙って葵の言葉を待った。その時のゲームのコミカルな環境音が場にそぐわず五月蠅く感じたのをよく覚えている。
「なあ……」
ぼそり。
ようやく葵が発した言葉は弱々しかった。
女子としてはやや低めの声な葵だが、この時の僕はその弱った声を聞いてやっぱり女の子なんだと思った記憶がある。
「あいつなんで俺に好きなんて言ってきたんだと思う?」
「え? それは……」
僕は言葉に詰まった。ここで葵は可愛いからとか言ってしまうと確実にげんこつが飛んでくる。
今までの経験からそう思った僕は、彼の悩みに返す言葉を見つけることができなかった。
幼心に友人を失ってしまって意気消沈する彼をなんとか元気づけたかったが、当時の僕は何も言うことができない。
「昨日……母ちゃんになんであいつが告白してきたのか聞いてみたんだ……」
「うん」
「母ちゃんが言ってたんだけど……俺って女……らしい」
「…………うん」
当時の僕は、彼が自分が女だと知らなかった事をここで初めて知った。
なぜ彼が可愛いと言われたら怒るのか。鈍感な僕はこの瞬間まで知らなかった。
そして中学生。
この時、葵と僕の関係を大きく変える出来事があったので話そうと思う。
僕は相変わらずクラスでは目立たない存在だったが、程々にうまくやっていた。
友達らしき人はいるし、勉強もスポーツも程ほどにできる。
対する葵はというと……
「おい! これ見ろよ! 乳でけぇ~」
休み時間になるや否や、葵がグラビア雑誌を僕の机に広げてきた。
「……流石に教室ではやめない?」
「はあ?! お前おっぱいみたくねぇの?!」
葵は今の発言の通り、思春期男子真っ盛りのようなわんぱくに成長していた。
グラビア雑誌のモデル以上に立派な胸をお持ちの葵だが、中学生になってから恋愛対象である女性への興味が留まることを知らず、こうやって積極的に猥談を仕掛けてくる。
男なら誰でも涎を垂らすサキュバスの体を持っているが、やはり自分の体ではおかずにはならないらしい。
僕も男なので、目の前に広げられたグラビア雑誌で女体について知識を深めたい。だが、授業が終わったばかりで、教室には女子がいるので今じゃないと思う。
女の体で顔がいい葵とは違って、僕は女子との関りが殆どないため、こういう普段からの振る舞いで好感度が乱高下してしまう。
絶賛彼女募集中の僕が負っていいリスクではない。
「ん? あ、お前昨日シコっただろ?」
「は?! シコってねぇし!」
「隠すなって! 俺には臭いでわかるんだよ!」
質が悪い。
お前シコった事ないだろというツッコミを入れてやりたいところだが、教室にいる女子の手前、僕は黙る事しかできない。
それをわかっているのか、ケタケタと愉快そうに笑う葵が、僕の背中をバンバン叩いてくる。
しかも図星な上、昨日のおかずが葵だったため、面倒臭さに拍車がかかる。
性別女の同級生にこんなストレートなセクハラを食らう中学生なんて、日本広しと言えども僕くらいなんじゃないだろうか。
幸いな事に、葵は僕の嫌そうな顔を見て満足したのか、視線を僕の方から外すと教室中に聞こえる様に声を張り上げた。
「おい! お前ら昼休みはバスケやるぞ! お前は強制参加な!」
「へいへい……」
自分では男子のつもりの葵は、こうやって昼休みになる度にクラス中の男子に声をかけ、バスケやら野球やらを始める。
僕はこの通りいつも強制参加だ。
葵は自分の心の事を親に打ち明け、中学校の制服は男子と同じ学生服での登校が許されている。とはいえ、男装していても顔立ちは女そのもので、とてもではないが男には見えない。
男の学生服を着ているが、大きくなり過ぎた胸が第二ボタンを押し上げ、細すぎるウエストが学生服と葵のお腹の間に大きな空間を作ってしまっている。
これでも胸は押さえつけているらしいからサキュバスの体とは恐ろしい。
勿論体だけでなく、成長した葵は相変わらずの美少女で、男として見られるために髪を短く切りそろえているが、彼のキレイな顔立ちを際立たせるだけに留まり、むしろ女性的な魅力を上げている。
恐れ多くも、そんな葵の親友としての地位を確立していた僕は、精通を迎えて以来オナニーのおかずに困る事はなかった。
話の流れでわかると思うが、おかずというのは葵の事である。
葵の胸に手が当たった時の事、一緒に自宅でゲームしていた時にシャツの隙間から見えた胸元、彼といるとラッキースケベばかりで、葵と遊んだ後はオナニーをするのが僕の日課になるほどだ。
まあ、そんなサキュバスと毎日行動していれば欲求は溜まる一方で、発散することで理性を保つためにオナニーしているという理由もあるが。
心は男だが体はサキュバスである彼は、精液の匂いに途轍もなく敏感で、毎日オナニーしたことを白日の下にされている。
オナニーの話とか思春期の学生からすれば当たり前の話題だが、おかずにした本人に図星を突かれるのは流石にキツイものがある。
だからといって僕はオナニーを辞める訳にはいかないのが、僕の目下の悩みである。
オナニーしている事をバレるのは、もう諦めているのでいいとしよう。だけどおかずにしているのが葵だという事だけはバレるわけにはいかない。
葵は自分が女として見られるのを心底嫌っている。
可愛いとか綺麗とか、女性に対する言葉を使うようなことがあれば、中学生になった今でも変わらずグーパンチするのが彼だ。
そんな彼をおかずにしているなんて知られたら、僕と葵は多分友達ではいられなくなる。
そのため僕は葵にオナニーをしていることはバレながらも、使っていないおかずを毎日でっち上げ、葵に報告する羽目になっている。
心が男のサキュバス、葵。
彼とは危ういながらも楽しく学生生活を過ごしている。
夏休みの事だ。
葵が体調を崩した。
夏休みでも毎日遊んでいたため、彼の様子は毎日のように目にしていたが、たしかに日に日に葵の元気が無くなっていたのを感じていた。
僕が大丈夫か? と声をかけても葵は大丈夫としか答えないため様子を見ていたのだが、ついに限界を迎えたようだ。
僕はあえなくなった代わりに、親に買ってもらったばかりのスマートフォンで葵に体調を聞いた。
『体調は?』
『大丈夫』
『あのゲーム進んだ?』
『やる元気もない』
『大丈夫ちゃうやん』
『ちゃうねん。大丈夫ではあるねん』
数日はそんな似非関西弁ごっこができるくらいの体調だったようが、ここ数日は既読すらつかない。
流石に心配になってきた僕は、そろそろ家に様子を見に行こうかと考えていたところ、葵の母親から連絡があった。
何でもすぐに家に来てほしいとのことだった。
まだ葵の体調が悪いと聞いた僕は、葵の生存を確認出来て安堵しながらも、同時にいいのか? と困惑しながら葵の家へ向かうことにする。
自転車で20分ほどの距離を太陽の光に皮膚を焼かれながら到着した僕は、葵の母に迎え入れられ、そのまま葵の部屋に通された。
今回の話には関係ないので詳しくは話さないが、葵の母も当然サキュバスであり、とてもエロい雰囲気漂う綺麗な女性である。
葵はベッドの上で頭まで布団で覆った団子になっており、扉を開けたにもかかわらず顔を出さない。
「葵? 来たぞ~」
「葵……もう逃げるんじゃないよ」
僕の後ろで葵の母親はそう言いいながら扉を閉めた。
その声色はいつも優しいイメージのある葵の母とは思えない程冷えていて、僕は驚きつつ部屋の床へと腰かける。
「……わかってるよ」
すると布団の塊の中から既にいない母親への返事があった。
もぞもぞと葵が布団から顔を出す。
体調がまだ悪いというのは本当なんだろう。
心なしかやつれているように見えるし、布団から顔を出すという簡単な動作でさえきつそうだ。
「なんか葵のお母さんから用があるって聞いたんだけど?」
「……」
シンと静り帰る部屋。時計のコチコチという音だけが支配した部屋の空気がひどく重たい。
「体調は大丈夫?」
「最悪……」
返事がないのでとりあえず体調を聞いてみると、帰ってきた答えは見ての通りだ。
本題に触れなければ返事を返してくれるらしい。
とはいえ声を出すのも辛そうだし、雑談をするのもはばかられる。
またコチコチと無言の時間が過ぎる。
ここまでくると、もしかしたら僕自身が何か気付いて行動を起こさなければいけないのか? と考え始め、何か見落としていないかと部屋をキョロキョロと見渡す。
壁には葵が推しているアイドルのポスター、机の上には読みかけの王道少年漫画、床にはゲームのコントローラーが置きっぱなし、いつも通りのいい香りがする以外は女らしさが皆無の部屋だ。
葵が布団から頭だけ出しているベッドも変わった様子はない。
しばらく成果のない観察を続けていると、僕が居心地が悪そうにしているのが伝わったのか、葵の方から口を開いた。
「なんで来たんだよ……」
「なんでって……用があるって聞いて……」
「……くそっ……」
何で来たのか? 答え、くそっ。
理不尽な悪態のつき方だが、その会話でやっと要件を話す気になったのか、葵はベッドから体を起こしてこちらへと向き直ってきた。
布団が捲れてあらわになった葵の服装は、黒いTシャツにハーフパンツというラフなものだった。
色気がない格好だと言いたいところだが、今日はブラも何もつけていないらしく、胸がドーンとなっている上にポッチが浮かんでいる。
いつもはラフな格好をしていても必ず胸は押さえつけて僕の前に現れるので、その光景に釘付けになってしまう。
もうすでに葵の部屋に入ってから30分は経っている。
やっと要件が聞けるとホッとしたのも束の間、葵の服装に度肝を抜かれ、続く言葉も僕をギョッとさせるものだった。
「俺ってさ……サキュバスだろ?」
それは暗黙の了解で触れる事のない話題だった。
葵にとって、女扱いされることでさえタブーなのに、サキュバスだと知って寄ってくる男は嫌悪の対象だ。
だから僕達はテレビを見ていてサキュバスについてのニュースが流れるとチャンネルを変えるし、そういうキャラが出てくる漫画は読んでも話題にしないようにしていた。
そんな葵と僕の関係性で、改まって葵の体……サキュバスについて話す事がある。
ありえない妄想が僕の頭をよぎる。
「体が成長するとさ……普通の食事だけじゃ栄養が足りなくなるらしい……」
「うん……」
僕の心臓が高鳴った。
まさか……そんな……
中学生ともなればサキュバスという種族がどういう種族なのかくらい知っている。
僕の場合は親友の種族ということもあり、どんな種族なんだろ? という興味で家のPCで調べた結果、とても刺激の強い検索結果となってしまい焦ったものだ。
あの自分を男と言って憚らない葵が、あんな男の精液を欲するような種族とはとても思えなかったが、成長するにつれて女性的になる葵の体を見て今では納得していた。
そういう男の精液を求めるという種族。そんな葵が成長し、栄養の話をしてくる。
これでそっちの方へ思い当たらない程、僕は鈍感じゃない。
「……」
葵の次の一言が出てこない。
それがまた僕の予感が正しいという確信が深まっていく。
「精液……」
「え?」
「……くれ」
「は?」
「精液くれ」
「…………わかった」
予想が現実になり僕は焦るが、聞き返すようなことはしなかった。
「うわ……これがちんこ? 変な形……」
僕は下半身をさらけ出した状態で葵のベッドに腰をかけ、逆に葵は床に胡坐をかいて座っている。
葵は自称男にも関わらず、ペニスを初めて見たらしい。
布団に籠っていた葵のゾクゾクするような甘い香りにあてられ、ペニスがギチギチと音が鳴っていると錯覚するほど張りつめていく。
「大きくなったぞ?! なんだそれ!」
「まあ……準備完了したんだよ」
「へぇ……」
「じゃあ……出してくれ」
「出してって……自分でやるの?」
「当たり前だろ……って! 俺にやらせる気か?!」
「そ……そうだよね」
僕は少しがっかりしながらペニスを握った。
目の前に座る葵とは、僕が少し腰を前にずらしたら葵の口にペニスが入る程の距離で、かすかに鼻息を感じた。
「グロ……」
葵は初めて見るペニスをそう言いながらも穴が空くほど見つめてくる。
僕のペニスの目の前に座る葵は自称男だが、黙っていればタダのエロい美少女だ。
ベッドに座る僕からは床に座る葵を上から覗くかたちになる。するとはち切れんばかりに盛り上がった黒いTシャツの胸元から、深い谷間が見えてしまう。
更には少し汗ばんでいるようで、谷間が艶かしく光っていて股間にグッとくる。
いつもは想像や必死に記憶を掘り起こして見ていた葵の体が、今オナニーする時に目の前にある。
擦るとペニスは明らかにいつもより硬くて感度が増していた。
「そんな強く擦って大丈夫なのか?」
「うぅ……出る!」
「ほら! ここに!」
オナニーを始めた僕の限界はすぐに訪れた。
いつもより遥かに早い、早すぎる射精だった。
葵は僕のペニスの前に両手の平を掲げてお皿を作ったが、精液がどれだけ飛び出すのか知らないようで、受ける場所があまりにも下過ぎる。
そのため、勢いよく飛び出した精液が葵の手の平の上を超え、直接その顔に掛かってしまった。
「うぉ?! ちょ! 汚なっ! つーか熱っ!!」
端正な葵の顔が精液で汚れていく。
汚いと言いながらも、葵は精液を避けずにそのまま顔で受け止めていく。
「まだ出んのか?!」
4度の脈動で僕の射精は終わった。
おでこや鼻、頬や唇に掛かった精液は、プルプルと葵の身動きに合わせて震えている。こんなに濃いのは初めてだ。
「うへぇ……コレが……精液……」
口では嫌がる素振りを見せているが、葵の喉がゴクリと鳴った。
葵は顔に張り付いた精液を指で拭うと、暫くニチャニチャと指で弄びはじめる。
葵は自分の指と指の間で糸を引く精液を見て、うわっと顔を顰めるが拭ったりするようなことはない。
次に葵は指を鼻に近づけ、精液の臭いをクンクンと鼻を鳴らして確かめる。
「別に臭くはないな……」
男の僕からしたら酷い臭いだが、始めて臭いを嗅いで臭くないと言う葵は、やはりサキュバスなんだろう。
癖になるのか、警戒しているのか、何度も臭いを確認した葵は、「よしっ」気合の言葉を発すると恐る恐る自分の舌へと指を近づけ始めた。
男ではありえない艶のある綺麗な唇の中から、赤くて……可愛らしい舌が出てきた。
舌は小刻みに震えていて葵の顔に緊張が走っている。
そして葵が……僕の親友が……自分を男だといいはるあの葵が……僕の精液を……舐めた。
「っっッ?!!」
葵の体が大きく跳ね上がった。
目を大きく見開いた葵は信じられないという表情で自分の指についた精液を見る。
「なんで……こんな……」
そう呟いた葵は、確かめる様に手の平に溜まった精液に舌をもう一度差し込む。
「美味い……」
それから葵は堰を切ったように一心不乱に精液を舐め始めた。
手の平に溜まった精液がなくなれば、次は人差し指を、次に中指を。指と指の間も全て余すことなく舐めつくした葵は、まだ足りないと顔や体に飛び散った精液を手で拭って集める。
その再び集めた精液も直ぐに舐め終わるが、パクッと自分の指を根元まで咥え、ゆっくりと味わう様に口から引き抜いていく。
小指から始まり、最後に親指をおしゃぶりのようにして終わる。
僕の精液をあんなに大事そうに……美味しそうに食べてくれた。
今まで男の顔しか見せた事のない葵が、女の顔をしている。
あの葵が、僕の親友が……
「も……もっと! もっと出してくれ!」
再び大きくなり始めていた僕のペニスを葵が突然掴んだ。
すると尿道に残っていた精液が押し出され、鈴口から溢れ出してくる。それを見た葵は零れ落ちると思ったのだろうか。慌てた様子で僕のペニスをパクリと咥えてしまった。
「うぁああ……葵……それは……」
初めてのペニスと女性との接触は快楽神経がむき出しになっているのかと錯覚するほどの衝撃だった。
亀頭が断続的に快楽が襲ってくる。葵の口内に収められたペニスに何が起こっているかわからない。これはもしかして中で舐められているのか?
しかも葵は尿道に残った精液を抜き取るために吸い出そうとしているのか、ペニスがどんどん葵の方へ引き込まれていく。
舐められれば舐められるほど、ペニスが腫れあがり感度が増していく。
サキュバスの唾液は催淫効果があるらしいが、もしかしてこれがそれなのか?
葵にペニスを食べられてからまだ10秒ほどであるが、もう僕は限界だった。
「葵! 出る! 出るから!」
葵は僕の言葉に返事をしてくれず、代わりにペニスを口の中でねぶる速度をあげてくる。
鈴口が、カリ、裏筋が、竿が、ペニスがサキュバスの唾液にまみれ、快楽がペニスだけでなく全身を這いまわる。
皮膚の感度が上がっているのか、お腹を撫でる葵の獣のように酷く荒い鼻息だけでも達してしまいそうだ。
まずい。気持ちよすぎる。
こんなの初めてだ。
つらいつらいつらい。
気持ちよすぎて辛い。
「ッ♡♡♡♡」
そんな状態での射精がついに始まった。
どくっ……
尿道を通る精液の塊が大きすぎる。葵のすこし捲れた唇の下のペニスが精液を放つたびに明らかに膨らんでいる。
どくっ……どくっ……
全て葵の口内に注がれているため、どんな精液か見ることが出来ないが、この精液は今まで射精してきた中で一番濃いのがわかってしまう。
どくっ……どくっ……
射精が激しく、飲み込むのが間に合わないのか、やけに大きいゴクリと喉を鳴らす音が聞こえるにも関わらず、葵の頬が膨れ上がっていく。
どくっ……どくっ……。
本能でより深い所で射精しようと腰が前に出てしまうが、そうすると葵の喉を擦る感触が射精中に感じるには気持ちよすぎて腰が引けてしまう……のだが。
ぼちゅっ!
「ああぁぁ……」
「んんぅっ!」
僕のペニスが葵に突き刺さった。
葵は精液を逃がしたくないのか、僕のお尻の方へ手を回し、グッと抱き寄せてたようだ。
快楽地獄である葵の口内に逃げ場はない。
頭が真っ白になる。
ふわふわと体が空に浮いていて、僕が感じることが出来る外の感覚はペニスからの情報のみ。
気持ちいいな。
幸せだ。
ああ……
……
…………
……………………
…………………………………………
すんすんという音がする。
ひっくひっくという声も聞こえる。
泣いてるのかな?
女の子だ。
女の子が泣いている。
どうしたんだろう。
重たいけど頑張って目を開ける。
なにしてるんだろう。
ぽろぽろと涙を流しながらぺろぺろと棒を女の子が舐めている。
泣く程棒が不味いんだろうか。
「くそっ……くそっ……」
不味いのならやめればいいのに。
そう思ったけど女の子が棒を舐めると僕は気持ちよかった。
だから僕は放っておくことにした。
「……うめぇよぉ……」
どうやらこの娘は棒が好きらしい。