僕達は中学三年になった。
入学したての頃は途轍もなく大きな存在に見えた最上級生である。
正直自分が成長したという実感はなく、あの時大人にみえた三年生という存在は本当に自分と同じ存在だったのか疑問にすら思う。
何か変わったことといえば、強いて言うなら僕と葵が近くの共学の高校を目指して受験勉強を始めたということくらいだ。
とはいえ、目指している高校が難関校というわけではないため、勉強もせずダラダラとしていることも多い。
そしてこの日もそうやって中学生という人生で一度きりの時間を浪費していた所、ドカンと扉が壊れるんじゃないかというほどの勢いで扉があけ放たれた。
「柚斗! 事件だ!」
部屋に入ってきた葵はえらく興奮した様子で、ズカズカと部屋に入ってくる。
僕は驚きすぎて声も出ず固まってしまっているが、葵はお構いなしに次の言葉を張り上げる。
「彼女が出来た!」
「ふーん…………えっ?!」
僕が葵に精液を提供する生活は続いており、予定がなければほぼ毎日、忙しくても三日に一度は何とか時間を作って精液を渡している。
最初こそ葵は心理的な抵抗(飲み始めたら積極的になるが)はあったようだが、流石に毎日の事になれば食事として割り切ることが出来たようだ。
僕と葵は、男友達でありながら、彼女欲しいと二人でグダグダ愚痴り、フェラをしてもらう奇妙な関係になっていた。
ぱっとしない僕とは違って、葵は絶世の美少女のため男からの告白は残念ながら珍しい事ではない。
当然、恋愛対象が女である葵がOKすることは一度もないが、それをわかっていながら告白してくる男は後を絶たない。
葵が男に告白される事を心底嫌がっているのを知っているクラスメイトからの告白こそないものの、別のクラスや学年が違えば『そんな君を受け入れる!』という勘違いした奴がどうしても現れてしまう。
葵が魅力的だから仕方がないと言ってしまえばそれまでだが、その男子を好きだった女子からの逆恨みが発生することも珍しくないため、葵も僕も辟易としていた。しかも葵の体は日を追うごとに胸は大きく、腰が括れてしまうため状況は悪くなっていく一方だ。
だけど悪い事ばかりではない。
男からの告白があるたびに小学生の事を思い出すが、幸い今のクラスメイトは葵の性自認に対して理解があり、嫌がらせしようとする他クラスの女子に対して、私達の葵君を守れ! と女子が共通の目的意識を持って結束してくれている。
それは葵がクラスの女子にモテモテな状況とも取れるが、どちらかというと一種のアイドル状態で誰かと恋愛関係に発展するようには見えなかった。
そういう状況の中、葵とほぼ毎日一緒にいるため関係が進展するような相手がいるとは思わなかったが、僕の知らない間に上手くやっていたようだ。
彼女が出来た葵への精液の提供はどうなるのかという疑問が湧くが、何はともあれ今は友人として彼を祝うべきだろう。
「おめでとう。凄い……葵……さん……」
「おう、今日からお前は俺の舎弟な」
ハハァと僕は葵にひれ伏した。
男子にとって彼女がいる人間はそれだけでスクールカースト上位となる。
そのルールは古今東西変わらず、たとえ体が女でサキュバスである葵だとしてもそのルールは適用される。
葵は今、上位存在となったのだ。
「それで相手は?」
「
長い髪をおさげにして丸い眼鏡の引っ込み思案という見るからに文学女子という見た目の子で、背はクラスで一番小さく、それに比例して発育も成長段階という印象だ。
大人しい性格で大きな物音と怒鳴り声が嫌いらしく、男の怒鳴り声が聞こえると自分が怒られているわけでもないのに泣き出してしまう。
アニメや漫画が好きなようで、彼女のグループはそういう二次元が好きな子で構成されている。
これが僕の日比野さんについて知っている事の全てだ。
少なくとも悪い子ではないと思う。
「日比野さん? どんな出会いだったの?」
「それがさ~あんま話したことないんだけど昨日告白されちゃってさ。モジモジしてたのに告白する時は凄い大声な上、声が裏返ってて……なんかめっちゃ可愛かった」
当然どんな関係性があるのかと思ったのだが、特に引き出せるようなエピソードはないようだ。
たしかに引っ込み思案な女の子が勇気を振り絞って告白してくるというのは、中々いいものなのは認めるけど、たしか葵の好きな人は別の人だったはずだ。
「確かに可愛い子ではあるけど……藪本さんは?」
「俺……気付いたんだ……俺の好みのタイプは俺が好きな子なんだって……」
「クソ野郎じゃん……」
「どうとでも言いたまえ」
藪本さんとは学年一可愛いと言われているクラスのマドンナだ。
以前から葵は藪本さんの事を好きだと言っていた。僕は葵にそのことを何度か相談されていたため知っていたのだが、初めて彼女が出来るチャンスの前にその恋心は消え去ってしまったようだ。
なんとも俗物的な奴である。
まあ本気の恋ではなかったんだろうけど、恋愛ってもっと純粋な物のような気がして、僕は少し葵に対して嫌悪感を抱いた。
そんな僕の様子に気付くこともなく、葵は予想外の一言を発する。
「そんでさ! 一緒にボクシングやろうぜ!!」
「……えっ?! ボクシング? 話変わりすぎて意味わからないんだけど……」
葵が唐突に言い出した。
葵が格闘技を見るのが好きなのは知っていたが、なんでこのタイミングで言い出したんだろうか。
確か今、葵に彼女が出来たって話をしてたはずだ。
あまりの話の繋がらさに、僕は記憶喪失を起こしてしまったんじゃないかという疑いを持ったほどだ。
困惑する僕に、葵がニヤリと笑い理由を答えた。
「やっぱりさ~男たるもの女を守ってなんぼでしょ!」
「ああ~なるほど」
元々格闘技好きだっただけに、今回の彼女が出来たことが後押しになったようだ。
女の体の葵が、物理的に強くなるには何かしらの努力は必要だろうし、良い事だと思う。
だけど僕は葵と違って喧嘩をしたことがないし、人を殴るとこを想像しただけで嫌な気分になる。
そのため、こう言い出した葵が許してくれるとは思えないので半分諦めつつ、僕は一応断ることにした。
「僕はやらないよ……」
「何でだよ! お前ひ弱だし丁度いいじゃんか!」
グサリと僕の思春期な心に言葉の刃が刺さるが、確かに葵の言う通りだ。僕の体はびっくりするくらい細く非力だ。
具体的に言うと女の子の体の葵に、未だに腕相撲で負けるくらいだ。
葵に付き合わされて運動をしているため、多少動けるようになったが、筋力的には空しさを感じることが多い。
「痛いの嫌だし……」
「そんなの慣れるって!」
「人殴るのも嫌だし……」
「そんなんでお前に彼女出来た時どうすんだよ! 不良から守れんのか?!」
「彼女が出来たら考えるよ」
そして思った通り、葵は食い下がってきた。
多分、葵の言っていることは正しいんだと思う。
男が強くなければいけないというのは前時代的な考え方と言えるが、やっぱり男は体を鍛えていて得することはあっても損するようなことはない。
不良に絡まれるみたいな極端な事はないにしても、気弱な僕にはメリットがあるんだろう。
それでも嫌なものは嫌だ。
「ごめん……やっぱり僕には無理だよ……」
「母ちゃんが柚斗と一緒じゃないと絶対やらせないって言ってんだよ! 頼む! 俺を男にしてくれ!」
「葵のお母さんが?」
「そう! 俺一人で行かせるのは心配だって聞かないんだよ……」
「う~ん……あぁ……」
「なんだよその納得したような返事は……それとも一緒にやってくれるって返事か?」
葵の母の心配していることがわかる気がした。
きっと男だらけの場所に葵のようなエロいサキュバスが一人で混じれば、男の欲望の枷を外してしまう事を危惧しているんだ。
サキュバスである葵の汗の香りはとても甘く、男を惑わせる催淫効果がある。
そのため、葵は中学に入ってから体育の時は女子の授業に混じっており、終わった後は必ず汗拭きシートや制汗剤を使用している。
もしそれを怠れば、葵のフェロモンにやられてクラスの男子はもれなく収まらないテントを隠すために、机に突っ伏すという現象がおきる。
葵の汗が催淫効果を持ち始めたばかりの頃は、自他ともに原因が分からず、体育の後の授業は男子がまともに受けられなくなってしまっていた。
葵はクラスの男子が自分に欲情していることを嫌がったものの、自分の体質が起こしたことだし、それも仕方がないと一定の理解を見せ、汗を拭きとることでそれが防げるという事で現在の形に落ち着いた。
葵は運動部に入りたかったのを我慢することになったし、汗にはかなり気を付けて生活しているはずで、葵が自分の体質を忘れているなんてことはありえない。
それでもやってみたいと言いだすという事は、軽い口調とは裏腹によほどボクシングをやってみたいんだろう。
本来好奇心旺盛で活発のはずの葵は、これまで色んなことを諦めてきた。
そういう背景を知っている僕は、葵がやりたい事にできるだけ協力したいと密かに思っているため、葵のお願いを断ることが苦手だ。
葵に頼まれたわけではなく、僕が勝手にそう思っているだけだけど、こういう時は本当にズルいやつだと思ってしまう。
「わかったよ……そう言う事なら一緒にやるよ」
「本当か! 流石心の友!!」
「ただし僕の母さんがいいって言ったらだから!」
「おばさ~ん! 柚斗と一緒にボクシングジム通っていい?!」
扉を隔てた向こうのリビングにいる僕の母に、葵が大声で扉も明けずに許可を求めた。
『い~いわよ~』
「おっしゃ! 決まり!」
多分リビングのソファーでだらしなく横になりながら返事をしたんだろう。
お金がいるだろうし、父に相談せずにあっさり決めていいんだろうか。
こうして僕達はボクシングを習う事になり、葵には彼女が出来た。
善は急げとその日の内に駅前のボクシングジムに見学に行きそのまま入会、さらにその足で葵の家に行くことになった。
「彼女が出来たのに大丈夫?」
「うっ! …………浮気じゃ……ないし……」
ボクシングの体験で体を動かしたためお腹が減ったらしく、精液を提供して欲しいとのことで葵の部屋にお邪魔した。
葵の体の維持に必要な行為のため、日常となっていた精液提供だが、葵が彼女を作ってしまった今、非常にややこしい問題が発生していた。
「葵は日比野さんが他の男にフェラしてても浮気だと思わないの?」
「完全に浮気……だけど……」
「日比野さんには説明した?」
「付き合ってすぐ他の男の精液飲んでるとか言えるわけないだろ……」
男からすれば彼女が他の男のペニスを咥えるのはどう考えても浮気だ。
だけど葵の体はサキュバスの女で、日比野さんも女。
日比野さんにとって、レズカップルのパートナーが男と浮気していたという感覚なのか、彼氏が男も行けるバイだったという感覚なのか、どっちなんだろう。
葵が生きていく以上、必要な行為であるため仕方のない事だが、理解してくれるかどうかは結局日比野さん次第だ。
「やっぱり日比野さんからは栄養補給みたいなの出来ないの? インキュバスの男の人は女の人から栄養補給してるみたいだけど」
「なんか体の構造が違うらしくて無理だって……」
そういうわけで一番丸く収まる日比野さんに精液提供(出るわけないが)してもらうのは不可能。
「でも俺……まだ餓死したくないし……」
葵のその言葉に同意するようにクゥーと可愛らしい音が葵のお腹から鳴った。
よほど精液が飲みたいのだろう。葵は苦悩しながらも僕のズボンの中で膨らむペニスに目が釘付けだ。
どう考えても現状解決策は見いだせないし、そろそろ僕も我慢の限界が近づいている。
葵はボクシングジムで汗を流してからシャワーを浴びていない。
そんな葵から漂う甘い香りが葵の部屋に充満している。
男を狂わす葵の香りに包まれた僕は、特殊な耐性を持っているわけでもないため、今すぐ葵に襲い掛かり滅茶苦茶にしたい衝動に駆られている。
今葵に襲い掛かっていないのは、葵が口で抜いてくれるとわかっているのと、親友の信頼を裏切りたくないという意志による我慢の結果にすぎない。
「じゃあ……仕方ないよね……」
日比野さんごめん。
僕は日比野さんへの罪悪感からこれは浮気じゃないのかという話を葵に問いかけた。
でもサキュバスが女性から精気を貰えないことは知っていたし、サキュバスにとっての精液の代わりになるものは存在しないことも調べは付いている。
その上でこの議論を葵に持ちかけたのは、少しでも日比野さんへの罪悪感を和らげる醜い自己満足のためだ。
そして次の提案も自己満足の一つにすぎない。
「じゃあ……せめて口じゃなくて手でしたらどう?」
「え……やだよ……」
一応、フェラより手コキの方が生々しくなくていいかと思っての提案だった。
だけど葵は心底嫌そうな顔でそれを拒否した。
散々文句を言いながらもフェラをしてくれたのに、今更手でするのが嫌な意味が分からない。
でもたしかによく思い出してみれば、葵が能動的に僕のペニスに手を触れることは今までなかった。
「なんで?」
「汚いし……」
「口に咥えてるのに?」
「それは! ……あれ? え? そうか……確かに……」
どうやら葵にとってペニスは、口で咥えるのはよくて手で触れるのは汚いという認識だったらしい。
「なんか……精液飲むときは口でするのが違和感ないっていうか……そうするもんだっていつの間にか思いこんでた」
この歪んだ認識はサキュバスの本能によるものなのかもしれない。
サキュバスにとって精液を摂取するのは生きるのに必要な当たり前の行為だ。
いくら男という性自認を持った葵でも、無意識のうちにその本能に引っ張られていたんだろう。
「そういや最初はお前に自分で出してもらってたんだよな」
二人そろってじゃあどうする? と迷う事数十秒、葵が答えに気付いてしまった。
精液を補給するだけなら葵が直接何かをする必要はないということを。
この事実に僕は気付いていたが、自分の性欲を優先して黙っていた。
「そういえばそうだね……じゃあ僕が自分でして出せばいいかな?」
あくまでさも今言われて気がついたという風を装う。
気付かれてしまった以上、自分の欲望を抑えて葵に提案するしかない。
「そうしてくれ……浮気はしたくない」
「わかった」
ガッカリする気持ちを表に出さないように気を付けながら、僕は葵のお願いを受け入れる。
葵に部屋を退出してもらい、台所から持ってきたガラス製のコップに自慰で精液を出した。
オカズは葵の汗の残り香と、ベッドの香りだ。我ながら気持ち悪い事をしている。
射精を終えた僕は、部屋の外の廊下で座り込んでいた葵を部屋に呼び戻す。
「出したか?」
「これ」
「ありがとな」
精液が入ったコップを葵に手渡すと、葵はお礼を言ってくれた。
葵の部屋で自慰をして、精液を入れたコップを葵に手渡してお礼を言われる。
その一連のやり取りにグツグツと葵に対する性欲がまた燃え上がるが、こらえてコップを観察する葵の反応を待つ。
「こうしてちゃんと見てみると気持ち悪いな……」
「進んで触りたいものではないよね」
「やっぱ出した本人でもそう思うのか?」
「自分のおしっこ触りたいと思う?」
「そういう感覚なのか……」
葵はコップに出された精液を気持ち悪いと言いながらも、迷うことなくコップを呷った。
葵のほっそりとした喉からコクコクと大きな音がする。
漫画のようなコップからこぼれそうな量が注がれているわけでもないため、一息で全て精液を飲み込んだ葵は、ほぅっと一息つく。
その反応に
数秒の沈黙の後に、葵はコップを机に置く。ただコップを置いただけなのに、酷く性的に聞こえた。
「味が……全然違う……」
「味が?」
「美味いは美味いんだけど……なんか違う……」
葵が僕の精液の味に不満を言った。こんな事は初めてだった。
葵によると僕の体調で味が変わるらしく、元気な時ほど美味しいとは聞いていた。
だけど今日の僕の体調は悪くないし、特に原因に思い当たることがない。
いつも僕の精液を飲んだ後はゾクッとするような妖艶な笑みを浮かべる葵だが、今回は眉を顰めており、なんだかもどかしそうだ。
しかも精液を数日我慢して飢餓状態になってしまっている時特有の呼吸の荒さが出ている。
そんなに味が違ったんだろうか。
「多分……口でしたほうが……美味い……気がする」
「え?」
「全然違う。なんだこれ……」
「そんな事で味が変わるの?」
「わからないけど……多分……そうだと思う」
射精の仕方で味がそこまで変わるなんてことがあるんだろうか?
にわかには信じがたいことだけど、言葉とは違って葵は確信を持っているようにみえる。
「じゃあ口で?」
「浮気は駄目だ」
予期せぬ幸運にまた葵にしてもらえると期待に胸が膨らむが、すぐに葵がフェラは駄目だという。
「けど手なら……いいかな?」
僕の期待をあげて落とされズンッと胸が重くなってしまったが、どうやらガッカリする必要はなかったようだ。
「……葵の手……熱い……」
「黙っとけ」
ベッドに腰かけた僕の前で座る葵にペニスが握られた。
葵の手は小さくて暖かい。
触られているだけでじんわりとした温かさがペニスに広がっていく。
僕の体温とは違う葵の高めの体温が、自分でしているのではなく、葵の女の子らしい小さな手に触れられていると強調してくる。
葵にペニスを握られることでぷくりと我慢汁が溢れてきた。
葵は一度ペニスを手放し、その透明な粘液を恐る恐る人差し指で掬うと、興味深そうに親指と人差し指ニチャニチャと弄んで指の間に糸の橋をつくった。
僕の我慢汁を弄ぶ葵の姿に、また我慢汁が溢れてくる。
葵もそれに気付き、人差し指でツンと亀頭をつついて我慢汁のドームを潰す。そしてそのまま人差し指を亀頭の周りをくるりと一周させた。
パンパンになった亀頭が葵によって我慢汁を引き延ばされ、葵の人差し指の滑りが良くなった。
ぐちゅりっ……ぐちゅりっ……
滑りが良くなった亀頭の上をぐるぐると指でなぞられると、張りつめた皮膚から快楽が弾けそうになる。
指を這わせるだけで足先まで痙攣させる僕の様子に、葵は面白いものを見たように笑った。妖しい笑みではなく、冗談を聞いた時のような快活な笑いだったけど、僕の亀頭をいじる指の動きは止まらない。
葵の人差し指で粘液を引き伸ばされ、光沢を帯びた亀頭を葵は人差し指と親指でつまんできた。
亀頭特有の弾力が面白いのか、葵の指がグニグニと持て遊んでくる。
亀頭の上を人差し指の腹がズルリと滑り、親指が裏筋を撫でて段差を潰す。
プチプチを潰したり、グミみたいな弾力のあるものをこねたりするような手慰みを葵が僕のペニスでやっている。
「変な感触だな……」
葵はいつも口で味わってくれるのに、手で触れるのは慣れていない。
まだ本格的に握られていないのに、葵が僕のペニスに興味深々なのが伝わってくるようで酷く興奮する。
葵の催淫効果のある唾液は使われていないのに十分気持ちいいが、もし今葵の唾液がペニスに垂らされれば、それだけで射精してしまうと思う。
人差し指と親指でこねくり回されただけで射精しそうになったのを感じたのか、葵の指がぱっと離れる。
葵の指が離れてからもビクビクと震えるペニスは、射精が近かったことを意味し、所謂寸止め状態だ。
お預けを食らい、ガッカリした気持ちになる。
でも目の前には葵の綺麗な顔と唇がある。
このみずみずしい唇に、僕の方からペニスを押し付けてもいいんじゃないか。
さっきはああいう話になったが、いつもやっていることだし、口でしなかったからと言って浮気にならないわけじゃない。
葵を使う口実なんていくらでも思いつく。
だけど僕はそれをしない。
と、考えているうちに葵の手が僕のペニスを突如握った。
竿を包み込むように握られて葵の手から体温が伝わってくる。
射精寸前のガチガチになったペニスより、なお暖かい葵の手が心地いい。
暖かくて柔らかいものの中で射精したくなるのは男の本能で、サキュバスである葵の体温は、男が射精するのに一番気持ちいい体温になっているのかもしれない。
ただ、心地よいと感じたのはそれまでで、一気に葵の手が激しく上下され、僕のペニスに強制的に射精をさせる快楽を与えてきた。
最初は潤滑材となるような物が竿にはついておらず、皮で芯を扱くようにして上下していた。
だけど直ぐに次々溢れる我慢汁が葵の手の中で引き伸ばされ、ずるずると滑るようになる。
ペニスの皮ごと扱かれるのと、表面を滑る動きが葵の手の握り具合で変わり、どちらの快楽が襲ってくるのか全く分からない。
葵がペニスの前に口を寄せてを大きく口を開ける。
ニチニチと音を立てて動く葵の手がどんどん激しくなり、射精が近くなればなるほど敏感になるペニスへの刺激が強くなる。
葵の手が激しく動くため、首元から見えるシャツの中で窮屈そうに押し込まれた胸が、腕の動き合わせて形を変えるのが見えた。
たった一度だけ触らせてくれた葵のおっぱいの感触を思い出して想像する。
汗ばんだ葵の甘い香りの体に、今すぐ顔を埋めて深呼吸したくなるが、あくまで視覚だけで葵を楽しむ。
僕の前で揺れる葵の髪は相変わらず女らしくない短さだが、葵のせいで僕は女性の短髪が好きになってしまっているため、どう見ても葵は魅力的にしか見えない。
葵のペニスを扱く手の動きが変わる。
竿と亀頭を上下に擦るだけだった手の動きが、一度亀頭を掌で包み込むようにするまで手を持ち上げ、グチュリと亀頭を人撫でしてから竿の方へと動かす。
亀頭を撫でまわすような動きが加わったかと思えば、人差し指と親指で作った輪でカリ首だけを攻めるような動きに切り替わる。
敏感な場所だが、射精へと繋がりづらい場所への刺激のため、中々射精することが出来ず処理できる快楽の要領をあっさり超えてしまう。僕はビクビクと腰を震わせて必死に逃げようとするが、葵の指は僕のペニスを離してくれず、より強い刺激を与える事で抵抗を封じてしまう。
「葵! それッ! やめっ!」
僕は葵に早く終わらせるよう懇願するが、やめる様子はない。
グチュグチュグチュグチュッ
葵の手コキはフェラとはまた違う、より直接的で暴力的な強い刺激だった。
亀頭から与えられる快楽で破裂寸前まで膨れ上がったペニスの感度は空気の流れでさえ気持ちよくなってしまう程だ。
葵はただ精液を出せばいいだけなのに、こうやって僕をより興奮させ、ペニスを虐めてくる。
サキュバスはこうやって手間をかけ、精液を熟成させればさせるほど、精液はどこまでも美味しくなり、体を満足させる栄養を宿すらしい。
僕は本で読んだためその事を知っていたが、葵は本能でそのことを知っているんだろう。
グチュリ♡
葵がついに僕の竿を勢いよく扱いた。
噴き出すような射精が始まる。
ペニスの先には葵の口があり、ピンク色の舌と綺麗に生え揃った歯が見える。
小さく、とても精液を搾り取るための物とは思えない綺麗な口内に、ペニスが脈動するごとに容赦なく精液が満ちていく。
直接喉に入って咽ないようにするためなのか、精液を貯めて一気に飲み込むためなのか、舌が口の中で持ち上がり、精液の受け皿になっている。
グチュグチュグチュグチュッ♡
射精している間も葵の手の動きは止まることなく、精液が次から次へと吐き出される。
イっている途中でも与え続けられる快楽が辛く、体をよじって快楽を逃がそうとするが、葵のペニスを扱く手と逆の手が僕の玉袋を掴んできたため逃げることが出来ない。
葵に握られている事で尿道が少し狭くなっているのか、精液の流れがいつもよりはっきりとわかる。尿道を押し広げる快感がいつも以上に気持ちいい。
ドプっドプっと葵の開けられた口に溜まっていくが、その精液の量に僕は驚いた。
葵にしてもらう時は、明らかに自分でする時より精液の量が多いのは感覚的にわかってはいたが、全て出した傍から飲み込まれてしまう。
そのため、いつも自慰をして出す精液の量は知っているが、直接葵の口の中に出す時の量は知らなかった。
初めてしてもらったフェラとはまた違う、強い刺激を伴う手コキの気持ちよさに僕は放心する。
葵はそんな僕の様子を知ってか知らずか、射精を終えたペニスを根元からグッと握りながら押し上げて尿道に残った精液を絞り出してくる。
鈴口から絞り出された精液を、葵は大量の精液が溜まった口を開けたまま受け止めようとするが、精液が零れ落ちる事はなく、葵がペニスをフルフルと振るわせるがペニスから零れない。
焦れたのか、葵は精液が溜まった口の中から舌を突き出し、ぺろりと僕の鈴口を舐めとる。
その動きで、口の中一杯に溜まった僕の精液が葵の口からあふれ出しそうになるが、葵は慌てて口を閉じて精飲に移る。
ゆっくりと味わう様に、ゴクリ、ゴクリと数回に分けて精液を飲み込んでいく。
時折口の中で舌で弄んでいるのか、グチュっと下品な音が葵の膨らんだ頬から鳴る。
そして最後の一口を飲み込んだ葵は、精液の味に満足しているように見えた。
僕達は高校生になった。
日比野さんは女子高に進学したため、僕達とは違う高校にいってしまったが、葵と日比野さんは交際関係は未だ続いている。
彼女が出来るのと同時に始めたボクシングも、葵は真剣に取り組んでいて、将来はプロボクサーになりたいと言い出すほどののめり込みようだ。
体も心も成長し、人との関りも変わっていく。
それでも精液を提供する僕達の関係は今も続いている。
話の展開を3ルートほど考えていてどれにするか迷っていました。
悩んだ結果、4話から5話くらいで終わらせようとしていたのが、もっと長くなりそうです。
また、この話に賛否あると思いますが暖かく見守っていただけると幸いです。