※この作品はR-18です。

性同一性障害ドスケベボディサキュバス   作:タナん

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日比野 律

 私、日々野 律には恋人がいる。

 

 朝日葵ちゃん……と言ったら怒られるので葵君と呼んでいる。

 

 葵君は生まれて初めて出来た恋人で、中身は男の子だけど見た目はとっても可愛い女の子だ。

 

 おっぱいは大きいし、キリッとした目と長いまつげ、大きすぎず小さすぎないみずみずしい唇、まるで漫画の世界から飛び出してきたかのような女の子だ。

 

 ようするに顔がとても良くて推せる。

 

 そんな彼はサキュバスらしい。

 

 サキュバスは男の精を栄養に生きる種族だ。

 

 サキュバスはその性質上、女しかいない種族でその時代に合わせた美しい姿で人間と交配して子孫を残す。

 

 亜種として男のインキュバスという種族もいるが、葵君は紛れもなく女で、サキュバスだ。

 

 だけど彼は自分を男の子だと言う。

 

 男子の制服を着ているが、顔や体つきはどうみても女の子で、とてもいい匂いがする。

 

 こんな綺麗な子が男の子のはずがない。

 

 私は男の人が怖い。

 

 大きいし、声がうるさいし、臭いし、乱暴者。

 

 男の先生が怒鳴っている声を聞くと、私が怒られている訳でもないのに心臓がキュッとなる。

 

 女は女に生まれたというだけで男に狙われ、電車に乗れば痴漢に怯えなければいけない。

 

 それはとても理不尽で、そんな理不尽を押し付ける男という生き物とは一生分かり合える気がしない。

 

 身近な男と言えばお父さんだけど、お父さんも例外じゃない。

 

 お父さんは表向きは役所で働いている真面目そうな男だが、家ではギャンブルで借金を作ってくるようなどうしようもない男だ。

 

 そのせいで私の幼い頃は家に怖い人がよく来ていたし、お母さんとしょっちゅう言い争いをしていた。

 

 今は反省してギャンブルをやめて落ち着いたようだけど、私はこのお父さんが大嫌いだ。

 

 

 だけど私はアニメや漫画のイケメンが好きだ。

 

 女の子に対して優しいし、怒鳴らないし、絶対いい匂いがする。

 

 他にも彼等は友人を裏切らず、家族を大事にする。現実の男と比べるのも烏滸がましいとさえ思っている。

 

 そんな私だからきっと恋人なんて一生出来ないだろうと思っていた。

 

 だから葵君との出会いは本当に奇跡だ。

 

 

 

 中学一年の時、初めて葵君を見た時は、こんな可愛い子がなんで男子の制服を着てるんだろうと思った。

 

 当然なんでそんな格好してるんだろう? とか、女の子に見えるだけで本当に男の子なのかな? とかいう疑問は浮かんだけど、特別何か恋愛感情のようなものを思うことはなかった。

 

 一年生の間はクラスメイトとして軽く話す機会はあったけど、その時は葵君を意識することはなくて、私が彼を意識し始めたのは二年生になってからだった。

 

 といっても凄い特別な事があったわけじゃない。

 

 葵君が男子と一緒にしていたサッカーから帰ってきた時、廊下ですれ違った。

 

 その時、葵君は他の男子同様汗をかいていたけど、鼻をくすぐった汗の香りが臭くなかった。

 

 たったそれだけだ。この時を境に私の恋愛対象のカテゴリーに葵君が入ったんだと思う。

 

 それから葵君にほんの少しだけ目を向けることになった。

 

 友達と話す時に机の上で胡坐をかく葵君。

 

 自分も体は女の子なのに、女子が机を運ぶときに自分が代わりに持ってあげる葵君。

 

 少しだけ目を向けると葵君の仕草は男の子だと気付いた。

 

 そう気付いてからはもっと目を向けるようになった。

 

 女子の目線を気にして髪をいじる葵君。

 

 制服を着崩してみたけど男子の目線を感じて結局きっちり制服を着る葵君。

 

 親友の柚斗君にどうみても胸があたっているのにそれを全く気にせず、チョークスリーパーをかける葵君。

 

 葵君はちゃんと男の子なんだと思った。

 

 葵君には柚斗君という親友がいる。

 

 彼には葵君も気を許しているのか、明らかに他の男子より距離が近い。

 

 最初は付き合っているのかなと思っていたけど、葵君の心は男の子で柚斗君は恋愛対象じゃないらしい。

 

 でもあれだけ可愛い葵君に対して邪な気持ちが湧かないはずがない。

 

 葵君が男とセックスする。

 

 想像するとゾッとした。

 

 ありえない。

 

 葵君が汚い男とそんな事になるはずがない。

 

 そして気付いたら私は葵君に告白しており、彼女になることが出来た。

 

 現実の男は不細工で汚いから、私が好きになるのはアニメのキャラだけだと思っていた私には、そもそも恋愛対象としてみれるような男の子がクラスにいなかった。

 

 そこにたった一人だけ恋をしてもいいと思えるような綺麗な人が現れた。

 

 好きになるのは当然だったのかもしれない。

 

 そんな人と出会えるなんて本当に幸せだと思っていた。

 

 この時までは。

 

 同じ布団に入ってベッドの上で葵君の柔らかい肌を楽しんでいると、とても言いづらそうにして葵君が口を開いた。

 

「俺……律に言わなきゃいけないことがあるんだ……」

 

 何を改まって? と思う。

 

 既にお互いの事を知らない事なんてないくらい深い仲になっている。

 

 ベッドの上の葵君は普段男ぶっているくせに、私が攻めれば攻める程、可愛らしく鳴いて最後には動けなくなっちゃう知っているくらいだ。

 

「俺がサキュバスなのは知ってると思うんだけど……」

 

 だから私は葵君が凄い緊張していたけど、どんな話が来ても受け止める自信があった。

 

「俺……男の……精液……飲んでるんだ……」

 

 初めて私は葵君が汚く見えた。

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