チャイムが鳴ってお昼休みが始まった。僕が弁当を取り出すと友人が集まってくる。
その中に葵はいない。
あれから葵は昼休みが始まると一人で何処かに消えるようになった。
会話すらなくなり、電車でばったり会っても、僕達の間に言葉はうまれない。
だけど数日に1回、葵から連絡が入る。
『今日』
たったそれだけのメッセージだ。対して僕は、
『わかった』
とだけ送る。
履歴をさかのぼれば似たようなメッセージが続いている。
葵のいない詰まらない時間を、貼り付けた笑顔で乗り越えると、放課後になる。
僕は空き教室にて膝まづいた葵から口淫を受けていた。
秒でイかされた僕は壁に背を付いたままズルズルと地面へとへたり込む。
すると葵が僕のペニスを咥えたまま膝を折って動きに追従してくる。
一度の射精では葵の腹は満たされないようで、もう一度勃起させようとイったばかりで敏感なペニスに刺激が加えられる。
勃起するまでの間、ペニスに与えられる強い刺激を紛らわすため葵の頭に手を乗せると、短いけど柔らかな髪が心地良かった。
この時が唯一、僕が葵に話しかけられる時間だ。
「僕試合があるんだ」
ぐちゅっじゅぽっ
僕の言葉に反応しないまま葵のフェラが続く。
反応はないが、聞き耳を立ててくれていると信じて言葉を続ける。
僕の言葉はいつも一方通行、だけど何かが届いて欲しい、そして繋がりが消したくないという思いで葵に話しかける。
「応援来ない?」
「……」
「出る……」
僕の言葉を聞いた葵は一度ペニスから口を離すと、裏筋を舌で左右にチロチロと舐め始めた。
葵のぬらぬらと光る舌に目を奪われていると、僕の表情を確認するためなのか、上目遣いになった葵と目があった。
たまたまだと思うけど、葵がすることのない男に媚びる様な仕草にドキッとする。
口から離されたため、再びイキそうなところでやや刺激が少なくなったが、それにより射精寸前の気持ちいい時間が伸びる。
とはいえ舌で刺激を与え続けられているため、伸びた時間は数秒間に過ぎない。
いよいよ限界というところで、葵がカプリと小さな口で僕のペニスを再び頬張った。
一度外気に晒されることで、葵の口内に包み込まれる瞬間の暖かい感触が再びペニスを襲うと、二度目の射精が始まる。
葵は精液の脈動を二回分口の中にためてからゴクリと喉を鳴らす。
それを三度ほど繰り替えして、葵は僕の精液を飲み干した。
葵はポケットティッシュで口を拭うと、下半身丸出しの僕をほっておいて扉の方へと歩き出した。
射精の余韻に浸った僕には、その後姿にかける言葉が思いつかない。
いつも通りだ。
ガララと教室のドアを開け、足を廊下に踏み出した葵が立ち止まった。
「……考えとくわ」
「突然呼び出して何の用ですか?」
「急にごめんね日比野さん」
僕は日比野さんを公園に呼び出していた。
辺りはもう暗く、公園の周りの住居の窓から光が漏れている。
彼女の連絡先を僕は知らなかったが、SNSのアカウントは知っており、DMを使って連絡をとった。
それほど接点のなかった元クラスメイトで、元恋人の友人からの連絡に警戒感を覚えているのか、声音に拒絶の色が混じっている。
それでもこうして来てくれたのは、葵の事で思う事があるからだろうか。
葵からなぜ別れたのかは聞けていない。
僕の目から見て、二人は上手くいっているように見えていた。
葵との関係が崩れる前の最後に会った日には、葵から休みはデートすると聞いていたし、ノロケ話がめんどくさかった。
「葵と別れたって聞いてさ……どうしたのかなって」
「そんなの自分が一番わかってるんじゃないですか?」
日比野さんは吐き捨てる様に言った。
少しでも自分の仇が傷つきますように。きっと日比野さんはそう言っている。
「葵の体質……僕達の関係のこと……聞いたんだね」
仕方がない。
僕だって彼女の立場に立てば怒る。
「どんな気分でした? 人の彼女を寝取った気分は? 嬉しいですか? 私を笑いものにするのは」
僕の言葉に日比野さんはカッと目を見開き、そうまくし立てた。
まだ会って一分もたっていないのに、日比野さんの逆鱗に触れてしまった僕は言葉に詰まる。
「そんなつもりは……」
何か言わないと。
そう思って咄嗟に出た言葉は自分を守るような言葉で、日比野さんの声をより荒くさせる。
「つもりはない? やってるんだから同じでしょ!」
「葵に……必要な事だったから……」
「じゃあ自分の彼女が他の男とセックスしててもなんとも思わないわけ?」
「それは……」
「男は良いよね。相手が誰でもいいんだから……どうせあんたもラッキーとか思ってたんでしょ」
その言葉に目の前が真っ赤になる程、僕は怒りを覚えた。
お前に何がわかる。
どんな思いで今までやってきたと思っているんだ。
自分と関係を持っている女が、同性とはいえ恋人を作ってきた気分は?
自分が相手にされていないと知った気分は?
男友達とセックスする気分は?
親友をどう思っているのかわからなくなる気分は?
そんな思いが叫びとなった。
「じゃあ日比野さんは葵に死ねって言いたいのかよ!」
だけど僕の怒りは叫んだ一瞬で萎えてしまった。
「だって隠してたじゃん!」
日比野さんが泣いていた。
「死んでほしいと思ってないよ……でも隠してたじゃん。私が告白した時……もう……そういう関係だったんでしょ」
「それは……」
叫んだことですっきりした頭に日比野さんの言葉がスッと入ってくる。
「馬鹿で、能天気に、そんな深く考えず私の告白受けたって事でしょ」
グスグスと日比野さんの涙が大きくなる。
そんな日比野さんに僕は違うとは言えない。
「せめて最初に言ってほしかった……」
「……そうだね……ごめん」
「葵君は……体が女の子だから……真剣に考えてくれてると思ってた」
『俺の好みのタイプは俺が好きな子なんだって……』
僕は思い出した。葵がそう言っていたのを。
今まで好きだった人を忘れて、目の前の女の子を取った葵を。
これは……もうどうしょうもない。
全てをわかった上で、日比野さんは受け入れられなかったんだ。
別れてから少し時間があってこのことについて考えることはあったはずだ。
その場だけの感情じゃない。
「葵君……どうしてる?」
「葵は……寂しそう……かな」
僕はそれ以上何も言えなくなった。
日比野さんと葵がする時は日比野さんが攻め