ハッピーバースデー!!
どうやら私はお酒にかなり強いらしい、ということを知ったのは私が二十歳になってから半年ほど経ったころだ。
アスナたちSAO生還者の女の子と呑みに行く機会があって、周りが酔いつぶれているのに私だけケロリとしている、なんてことがしばしばあった。ザルというわけではなく、私自身「酔ってるな~」という自覚はあるのだが、如何せんそこから先に進まない。呑めども呑めどもほろ酔い以上に酔わないと言うか………。
まぁそんな経験から、私は周りに比べてアルコールへの耐性がかなり高いらしい。ありがたいことにエギルさんのお墨付きだ。
「トリッシュさん、いつものやつ貰えますか?」
「ええ。すぐに用意するわ」
流暢な日本語でトリッシュさん────ダイシーカフェ夜の部を切り盛りするエギルさんの奥さん────が慣れた手つきでカクテルシェイカーを震わせる。かき混ぜられたカクテルを小さなグラスに移し、仕上げにチェリーを乗せて私の前に運んでくれる。
いつ見ても鮮やかとしか言いようのない手つきに、私は小さく拍手する。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
差し出されたグラスに口をつけカクテルを口に含む。控えめな甘さが広がり私はほっと息を吐いた。
もう一度グラスを傾け、カクテルを飲み込んだ後、添えられたチェリーを下の上で弄ぶ。ぶつりと歯を立てれば独特の酸味が弾ける。チェリーを飲み込んだあと残った酸味を再度カクテルで流し込む。
この一連の流れが、最近の私のお気に入りだった。
「~~♪」
軽く鼻歌を歌いながら、カウンターに備え付けられたメニュー表をめくる。今日はどれにしようか。先月来たときはいくつかのワインを飲み比べてみたのだったか。
月に一度の贅沢に心を躍らせながらメニュー表の文字に目を躍らせる。何度かページをめくっていると、先月まではなかった魚料理の項目に目が留まった。
ダイシ―カフェはアンドリュー、トリッシュ夫妻が切り盛りするお店だ。昼間は夫のエギルことアンドリューがカフェとして。夜は妻のトリッシュがバーとして、それぞれカウンターに立っている。といっても完全に独立していると言うわけではなく、メニューのほとんどは夫婦が共同作成したオリジナルだ。この魚料理もいつものように2人であーでもないこーでもないと言いながら作り上げたのだろう。
その様子を想像してくすりと笑いながら、私は新しい魚料理とそれに合うだろう白ワインを注文した。
『カラン』
私が料理とワインを待っていると扉を開く音がした。珍しい。週末なら兎も角、月曜日のこの時間からやってくる人が私以外にいるなんて。
扉に掛けられたベルを鳴らして現れた人影は────────
「ハル………?」
「ミトちゃん?なんでここに?」
SAOで私とコンビを組んでいた少年────今は青年だが────ハルだった。
*********
「んぅ」
瞼越しに感じた眩しさに私は目を覚ます。ぼんやりとした思考の中でいつの間に眠ってしまったのだろう、と考える。
確か今日はダイシ―カフェでいくらかのお酒を楽しんでいたはずだ。その後ハルの馬鹿と再会して………
「ッッ」
そうだった。いつものようにほろ酔い気分を楽しんでいたら、アイツと再会したんだった。
飛び起きようとして初めて、体に力が入らないことに気付いた。
「ああっ!まだ起きちゃダメだよ!アルコールだってちゃんと抜けてないんだから!」
ふらりとベッドに倒れ込んだ私にそんな声が掛けられる。男のくせにやや高い声音とみっともないあたふたとした言動。間違いない。コイツは──────
「ハル………」
「こっちだと亀梨晴輝、だけどね」
晴輝、だからハルか。私も人の事は言えないけれど随分と安直なネーミングだ。もう少し捻ればいいのに。晴れる日に輝くのだから
そんな益体もないことをぼんやりと考える。
「えっと、なにがあったか覚えてる……?」
「何も。貴方がダイシ―カフェに入ってきた処から先を覚えてない」
「うわぁ重傷だなぁ」
「いいから。さっさと教えなさい」
おおよそ見当はついているが、聞かずにはいられない。まさか私が酔いつぶれるだなんて。
「うん。あの後ボクと呑み比べをしようって話になってさ。最初は度数も控えめだったんだけど、最終的にテキーラをショットグラスで頼むようになって………」
「まんまと酔いつぶれたと」
「ええ、まぁ。その通りですハイ」
そこまで確認して、私はグルリと部屋の中を見渡す。壁際には私が寝かされているベッドがあり、その脇に簡素な机と椅子。十畳ほどある空間のほとんどはゲームや漫画を並べた棚で埋め尽くされている。というより、簡易的な書庫に無理矢理ベッドと机を詰め込んだようなレイアウトだ。
「ここはエギルさんのお店の2階だよ。物置を緊急の休憩部屋としても使ってるんだって」
あちこち見回す私の行動に説明する晴輝。なるほど、私の様に無様に酔いつぶれる客用に設けられた部屋という事か。
机の上の時計を見れば今は深夜3時。こいつが店に来たのは9時頃だったはずだから、下手をすれば6時間近く私の面倒を見ていたのか、コイツは。
「…………なにもしてないでしょうね」
「し、してないよ!するわけないじゃないか、そんな事!」
カチン
照れくさくなって叩いた憎まれ口だったが、そんなに強く否定されると私も思うところがある。
これでも日々スキンケアには気を使っているのだ。SAO開始時、中学性の頃は控えめだった胸もアスナと比べても遜色ないほど立派に実り、つまりはスタイルにだって自身がある。
夜のバーで言い寄ってくる男を呑み比べで返り討ちにすることに密かな愉悦を感じていた私としては、晴輝の反応は些かならずプライドを傷つけるものだった。
「へぇ~するわけないんだ。じゃあこれはどういう事かしら?」
ようやく動く様になった体を起こし、ソコに手を伸ばす。
「へ!?ちょ、ミトちゃん!?」
洒落たジーンズの生地を持ち上げて主張するソレを包み込むように撫で上げる。それだけで晴輝の逸物は更に膨らんだ。
「ア八ッもうこんなに大きくなってる。説得力ないなぁ」
アルコールが回っているせいか、普段はしないような笑い声が漏れる。
「だ、だめだよミトちゃん!」
笑いながら男根をズボン越しにいじる私の肩を晴輝がぐっと押し返す。
「よ、嫁入り前の女の子がはしたない事しちゃいけません!」
お前は私の母親か。………いや、あのアバズレはこんな事言わないわね。
「ふぅ~ん。いいもん。コッチで確認するから」
言いながら私はロングスカートのファスナーを降ろし、隙間から手を差し込む。そのままタイツとショーツの内側に手を滑り込ませる。
「んっ」
ぐちゅりと音を立てるそこに指を這わせただけで自然と声が漏れてしまう。私は自身の痴態に恥じることも無く、そこに指を差し込んだ。
「ふっ、ん、あぁ」
ずぶずぶとヒダを掻き分けながら進んでいくと指先がソレに触れた。
「なぁんだ。ホントに手は出してなかったのね」
指先で捉えた処女膜の存在に安心とも落胆ともいえないため息を漏らす。本当に晴輝は私に魅力を感じていないのかと悔しくなって、そのまま指で膣内を掻きまわした。
「あ、はあ、んっ、これ……イイ………」
服を着たままファスナーの隙間から手を入れていると言う状況が、隠れて自慰しているかのような錯覚を与える。
加えて、真っ赤な顔であたふたしながら、私から目を反らせずにいる目の前の男の存在もあって、衆目の中でオナニーに耽っているような背徳感を感じてしまう。
「ああっ、ダメ……クリ、気持ちイイ………」
中指で膣壁を擦りながら親指で陰核を刺激する。内と外の両側からの刺激と背徳感によって、私はあっけなく絶頂した。
「ねぇ……ハル………」
頬を赤らめ、潤んだ瞳で見つめる私に、先の言葉を予感したのか晴輝がごクリと生唾を飲み込む。
「独りじゃ足りないの………。手伝って………?」
「だ、ダメだよ……。ボク達付き合ってもいないのに………」
「でもハルだって見てるだけは嫌でしょう?」
ベッドの上で膝立ちになりながら、脇に立つ晴輝にすり寄る。服の上から脇腹を撫でてやれば、思いがけず硬い筋肉の感触が返ってくる。
「ほら、こんなに勃ってる。苦しいんでしょう?」
その手を下へ降ろし、一度太ももを撫で上げてから怒張を指先でなぞる。
「や、やめてミトちゃん。ボクこれ以上は………」
「止めて欲しかったら私を本名で読んでみなさい」
「それは無茶ぶりすぎるよ!」
「今のは黙って私に抱かれろって意味よ」
言いつつ晴輝のジーンズと一緒に下着まで脱がせる。ボロンッと効果音が付きそうな程、勢いよく飛び出した逸物が私の眼前に曝け出された。
「顔は可愛いくせに、こっちは凶暴なんだ」
天を衝くように反り立つソレに私は口を這わせる。これでもかと唾液を垂らしながら裏筋を舐め上げ、亀頭を口に含む。
ジュボジュボと音を立てながら吸い上げれば、ビクビクと男根が震え始める。
「ぅあ……そこはっ」
そのタイミングで玉袋を持ち上げるように刺激してやれば晴輝は面白いように喘ぎ声を上げる。
もっと虐めたくなって私は晴輝をベッドに引き倒す。そのまま晴輝の足の方に顔を向けた馬乗りになり、再び彼のペニスと舐る。
やがて溢れ出した自分の唾液とは明らかに違う粘液を舐めとって嗤う。
「我慢汁垂れてる。さっさと素直になればいいのに。ボ・ウ・ヤ」
口の端についた晴輝の先走りを舐めながら嗤った瞬間──────
「ここまで煽っておいてやっぱりダメなんて言わないよね?」
────────天地がひっくり帰った。
「へっ………んんっ!?」
驚く私の唇を容赦なく晴輝の唇が塞ぐ。塞がれたのも束の間、和て入ってきた晴輝の舌が私の口内を蹂躙する。歯列をなぞり唾液をからめとる動きになすすべもなく翻弄されていると、プチプチとボタンを外す音が聞こえた。
服を脱がされている、と分かって抵抗するも抜けきらないアルコールがそれを許さない。そもそも、普段なら恥ずかしくてできないような行為に至ったのも全ては酒のせいなのだ。
金輪際お酒なんか飲むものか。固く誓う私の抵抗むなしく、シャツはボタンを外され、ブラを付けただけの胸から原までが白日の下に晒される。
自分でファスナーを降ろしたスカートは晴輝によってホックを外され、今は頼りなく膝下に引っかかっているだけだ。
いつの間にかタイツの股下部分が破かれ、後はショーツを少しずらせば、男の欲望を受け入れる体制が整ってしまう。
「やるなら、やりなさいよ」
もうどうにでもなれ、という自棄が半分。処女をささげる相手がコイツなら、それはそれで悪くないという期待が半分。
ぬちゅり。卑猥な音とともに秘裂にあてがわれた逸物はしかし、私の中に割って入らない。入口の所をぐりぐりと刺激するにとどまる感触私の熱は際限なく上がっていく。
「なに、してるのよ」
「ミトちゃんがいじわるばっかりするから、仕返し」
「そんな子供みたいな…………あんっ」
ブラジャー越しにもわかるほど勃起した乳首をつねられ、私は嬌声を上げる。
「ほら、コレ、どうしてほしいの?」
似合わない悪い笑みを浮かべて問う晴輝に正直に答えるのが癪で、私は彼の腰に手を回した。
「宛がってくれてありがと。別に男からじゃないと挿入できないなんてことはないのよ」
ぐちゅり。腰を浮かすようにして晴輝の怒張を飲み込んでやれば、この上なくイヤらしい水音が部屋に響く。
「案外、痛くないのね」
それはアルコールのせいか、はたまた私が淫乱なだけか。快楽に犯された頭で晴輝を見ると、今にも泣き出しそうな顔で何かに耐えている。
「ごめんミトちゃん………。もう、イキそう…………」
「ぷっ、あは、あはははははははは!」
プルプルと震える彼の顔が可笑しくて思わず笑ってしまった。
「可愛いけどまだダ~メ」
再び天地逆転。騎乗位の体勢になった私は、晴輝のペニスの根本を押さえつけながら、ゆっくりと腰を動かす。今にも破裂しそうな精液は物理的に締め上げられるせいで行き場を失い、今にも暴発しそうだ。
「んっはっああっ、これヤバい……!ハルでオナニーしてるみたい……!」
前後左右そして上下、されるがままの晴輝の逸物にこすりつけるように腰を振るのはどうしようもなく気持ちイイ行為だった。なによりペニスを締めあげる右手を緩めれば、即、ナカ出しというスリルがたまらない。
「ほら、イキたいって言いなさいよ。そうすれば私の中で、種付け射精させてあげるっ!」
なんということを口走るのか。酔いが冷めたら死にたくなるであろうことを叫びながら、私はさらに激しく律動する。
「も。もう…ダメ……。ミトちゃん、イカせて……!」
「深澄………深澄って呼んでくれなきゃヤダ」
「ッッ!愛してる!だから俺の子を孕め、深澄!!」
初めて聞くような激しい口調と共に晴輝は腰を突き上げる。初めて自ら動いた逸物が私の奥底を穿ち、同時に凄まじい勢いの精液が迸った。
「あっ、はああああああんッッッ!!!」
ビュクビュクと吐き出される精液の勢いに私はガクガクと体を震わせる。あまりの激しさに、膣内から陰茎が抜け落ちる。腰を落としたことでクリトリスが割れた腹筋にこすれ、私は晴輝の腹の上で再度絶頂した。
*********
「もう、お嫁にいけない」
「大変申し訳ございませんでした」
頭から毛布をかぶって丸くなる私の前で晴輝が床に頭をこすりつけている。
「そこで『俺がもらってやるよ』くらい言えないのかしら」
「えっと、まだお互いよく知らないし、まずお友達から………というのは………?」
「あんなことしておいて?」
「うぅ誘ったのはミトちゃんじゃないかぁ」
「深澄」
「ああハイ深澄ちゃん」
キャラネームじゃなく本名で呼べと言う私の講義に晴輝は首をかしげる。
「そういえば深澄ちゃんの苗字はなんて言うの?」
「……………亀梨にしてくれるなら教えてあげる」
「へ?それってどういう………?」
この天然鈍感サイコ野郎め。
「それくらい察しろ。バカ」
fin.