洗脳悪堕ちヒロインを正気に戻す力を得た代償として永遠に洗脳悪堕ちヒロインを正気に戻し続ける事になった男の話 作: 霜月ナル(元Hpinch_like)
仕事が忙しくなったり、体調崩したり、手が止まってしまったりと色々ありましたが何とか完成しました。
楽しんで頂けたら幸いです。
ヒロインのデザインは下記で見られます。
https://www.pixiv.net/artworks/105479765
「――おりゃああああぁぁ!」
「きゃぁああぁぁぁ!?」
日が落ち、人気の無い空き地に男の声と少女の悲鳴が響く。妖艶な黒い衣装を身に纏う少女――『奴隷戦姫スレイヴ・フレア』は男、黒瀬レンの繰り出した攻撃によって吹き飛ばされた。彼女は立ち上がろうとするが、受けたダメージが大きく完全に立ち上がることが出来なかった。いつの間にか彼女の目の前に立つレンは大剣の切っ先を突きつける。
「チェックメイトだ。負けを認めるんだな」
「こ、この私が……こんな男に負けるなんて……」
彼女はこの世界の洗脳悪堕ちヒロインで、悪堕ちする前は『紅炎戦姫エレメンタル・フレア』と呼ばれていた少女だった。この世界にやってきたレンは、彼女が一般市民を襲おうとしているとこに割り込んで人気の無い場所へ誘導、戦いを挑んで勝利したのだった。
「さて、いつも通りに行くとするか……ん?ルシ、どうしたんだ?」
レンが洗脳悪堕ちヒロインを正気に戻す力を得るために契約した悪魔であるルシは、スレイヴ・ローズをジロジロと観察していた。彼女にしては珍しい行動だったのでレンも気になり、何を見ているのか聞いたのだ。ジロジロ見ていたルシは何かに気がつくと驚愕の表情を浮かべ、わなわなと震える。
そして次の瞬間、信じられないことを言い出した!
「――この娘、元は……男の子だよっ!?」
「………………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」
静かな空き地にレンの叫び声が響いたのだった……。
――数カ月前。
赤いパーカーを着た小柄な少年「火神アスカ」は当てもなく夕闇の街を歩き続けていた。彼は子供の頃から『何かが足りない』と喪失感を抱えており、勉強・スポーツ・芸術と様々な事に挑戦したがどれも彼の喪失感を埋めることは出来なかった。ある程度自由に行動できる中学生になってからは足りないナニかを探すように街を彷徨うようになった。夜の街はチンピラやチンピラがうろうろしており、少女のように小柄なアスカには一見すると危険だが、武術を修め、最年少で免許皆伝となったアスカには彼らは相手にならない。邪魔なチンピラを蹴散らしている内に、彼は一匹狼の少年として有名になっていった。
――それでも、喪失感が無くなることはなかった。
「一体何なんだ……!?オレはナニを探してるんだ!?」
人気の無い裏路地で一人苛立ち、壁を殴る。黒髪のショートヘアで童顔な少女のように可愛らしい見た目に反して、殴りつけた壁に罅を入れてしまうほどの怪力。これもまた、彼の悩みの種だった。少し力を入れただけで相手を大怪我させかねず、武術の修練でも相手を何度か意図せずに傷つけてしまった事もある。師匠である祖父からは、『戦乱の時代だったら英雄になれた』と言われる程だった。
「はぁ、今日はもう帰るか……ん?」
暗い路地裏の奥から何かが聞こえた。ぴちゃぴちゃ……と雨も降っていないのに水が滴るような音。
アスカは好奇心に突き動かされ、路地裏の奥へと近づいていく。――それが非日常の始まりだとも知らずに。
「――うっ!なんだこれ……?」
奥へと進んでいくと、足下に赤い水たまりが広がり、周囲の壁もペンキがぶちまけられたように赤く染まっていた。錆び付いたような匂いが充満し、顔を顰める。アスカも嗅いだことのある匂い。これは――
「血の臭い……?」
以前、アスカが邪魔するチンピラたちをブチのめしたときに嗅いだことのある匂い。彼の優れた嗅覚はそれを間違いなく血の匂いだと判断していた。それだけなら「ああ、またチンピラが喧嘩でもしたんだろう」で終わるだけなのだが、匂いの濃さが以上だった。普段は表情をあまり変えないアスカですら顔を顰めるほどの血の匂い。嫌な予感が彼の脳裏をよぎる。
――最悪なことに、その予感は的中してしまった。
「――ぐちゃ……ぐちゃ……」
「――っ!?」
異形の化け物が人らしきモノを食べていた。頭は顔が認識できないほど肉が無くなり、臓物が辺りに散らばっている。それを認識してしまった瞬間、アスカは胃の中のものを地面にぶちまけて蹲った。
いくら彼が実践慣れしているとはいえ、それはあくまで命を取らない喧嘩の範疇だ。肉片が飛び散るほどのグロテスクな光景には慣れているはずもない。
化け物がアスカに気づき、食事を止める。
その姿はファンタジーに出てくるような人食い鬼に似ており、本来灰色の体色が血で赤く染まっていた。目はギラつき、まだ食い足りないのか舌を舐めずり、獲物の棍棒を手に取る。
人食い鬼――仮称「ゴブリン」の殺気を感じ、アスカは意識を瞬時に戦闘モードへ切り替えた。その場から素早く後ろに下がると、ゴブリンの棍棒が頭を掠めた。
――あのまま蹲っていたら頭蓋骨を粉砕されていただろう。
アスカは頭をフル回転させ、次の行動を考える。見るからに人間では太刀打ちできない相手。逃げるのが一番良いが、背後を見せた瞬間に後頭部をぶん殴られるのが予想できた。路地は狭く、後ろ以外に逃げ場所も無い。
「くそっ!やるしかないのか!」
アスカは近くにあった鉄パイプを拾い構える。相手の持つ鉄の棍棒と比べると心許ないが無いよりマシだ。ニタリとゴブリンは笑うと、アスカへ飛びかかり棍棒を振るう。それをアスカは培った動体視力と勘で棍棒を弾く。
「ぐぅ……!?」
何とか攻撃を弾いたものの、腕がジーンと痺れる。人並み外れた身体能力と武術の才能を持つアスカでも、人外の怪力を完全に受け流すことは出来なかった。それでも何とか体勢を整え、鉄パイプをゴブリンへ向かって振るう。ゴブリンは避ける素振りを見せず、鉄パイプは灰色の体へ吸い込まれていく。
――しかし。
「なんだと!?」
鉄パイプはゴブリンの体にクリーンヒットしたがダメージを受けた素振りは全く無く、むしろ余裕の笑みを浮かべている。ゴブリンは鉄パイプでダメージを受けることなど無いと解っていたから避ける必要などなかったのだ。
信じられない光景に驚いたアスカの動きが止まる。それは致命的なミスだった。ゴブリンはその隙を見逃さない。
ゴブリンの棍棒がアスカの横っ腹を狙う。ハッとしたアスカは鉄パイプで棍棒を受け止めるが、先程弾いた時とは違い、怪力で振るわれた棍棒をもろに受け止めた所為で体ごと吹き飛ばれてしまった。
「あっ、がぁっ!?」
吹き飛ばされ地面を転がるアスカ。鉄パイプはへし折れ、同じように地面を転がりアスカの手から離れていく。
体に激痛が走り、呼吸が苦しくなる。藻掻くアスカの前にゴブリンが立ちはだかる。その顔にはニヤニヤと陰湿な笑みが浮かんでいる。すぐにトドメを刺さずにアスカが苦しむ様を見て楽しんでいるのだ。アスカはそれを感じ取り、悔しそうに歯を食いしばる。
「クソがっ……おれは、こんなところで……」
「ぎゃぎゃっ♪」
馬鹿にしたように笑うゴブリンに腹が立つ。こんなヤツに負けて死ぬのか?まだ、心の穴を埋めるものを見つけていないのに?
アスカの体の奥底から熱いナニかが沸き立つ。ソレは体を巡り、全身に広がっていく。あまりの熱さにアスカが苦しみ出す。
「あがっ!?……体が熱い!?」
アスカが苦しむ様を見たゴブリンはそれを怪我によるものだと勘違いし、嘲笑う。しかし、それは大きな間違いで失敗だった。所詮、知能の低い人食い鬼である彼にはそれがただの苦痛によるものではないと解るはずも無い。
ゴブリンがようやく事態に気がついたのは、アスカの体が光り輝いた時で何もかも遅すぎた。
光は瞬く間に暗い路地裏を明るく照らし、空を貫くように光の柱が立ち上る。
あまりの輝きに思わずゴブリンは腕で顔を隠す。そうでもしなければ、眼が焼かれてしまうほどの輝きだった。
やがて光が収束していくと、人影が薄らと見えてくる。それは先程までの少年とは違う、鎧を着た戦士のように見える。そして光が完全に収まった時、ついにその人影の姿が露わになる。
――アスカがいたはずの場所には戦姫の如き、橙色と白の神聖な鎧を着た女騎士が立っていた。
身長はアスカと同じ位で、胸はグラビアアイドルに負けない程の大きさ。
太陽のような橙色の美しい長髪を風になびかせ、同じ輝きの切れ長の眼でゴブリンを睨み付けている。
粗野なゴブリンですらあまりの美しさに思考を停止させるほど、彼女は美しかった。
「――ん?」
戦姫の表情が突如、ポカンとした間の抜けたものに変わる。
キョロキョロと自分の格好を観察したり、胸を手で揉んでみたりと
そして時止まったかのように彼女は動きを止める。
一瞬の静けさの後――
「お、女になってるぅぅぅぅぅ!?」
そう、彼女はアスカなのだ。
死にたくないという強い意志により、アスカの中に眠る力が覚醒し変身したのだが、何故か女性へと体が変わってしまっていたのだった。しかも本来、男がいきなり女性へと体が変化したらあるはずの無い器官の感覚で変調をきたす筈なのだが、一切それを感じていない。まるで元からこの体だったように全く違和感が無いのだ。
あまりの事態に普段は冷静なアスカも、危機的状況だというのに慌てふためく。
夢かと思い頬を抓るがしっかりと痛みを感じ、これが夢ではないと解ってしまう。
「何なんだよコレ……?って、今はそんな場合じゃ――」
「……ゴブッ?」
一瞬見つめ合うアスカとゴブリン。
呆けていたゴブリンは間を置いてハッとし、棍棒を構えた。どことなく先程より息が荒いように見える。
無理も無い。いきなり目の前に絶世の美少女が現れたのだ。性欲の強いゴブリンにとって美少女は格好の性処理道具であり、母体にもなる存在。
ゴブリンは目的を殺し食い散らかすのではなく、動けなくなるまで殴り犯すことに変更。すぐさまアスカへ襲いかかる。
「――うわっ!?」
アスカは思わず全力で回避。
――すると思った以上に素早く体が動き、一瞬でゴブリンの背後に移動してしまった。ゴブリンはアスカを見失って驚き、キョロキョロとしている。
今のうちに攻撃しようとアスカが思った瞬間、左腕の籠手に装着された宝石が輝き、瞬時に赤い剣が手に現れた。
アスカはそれに驚きながらも、素早くゴブリンへ近づき剣を振るった。
「はぁぁぁ!」
「ゴブブ!?」
ゴブリンは攻撃が当たる直前で気づき、棍棒で防御する。しかし、凄まじい力で体が吹き飛ばされてしまった。
華奢な少女の見た目からは考えられないほどの怪力。
元々アスカは常人以上の怪力の持ち主だったが、変身した事によりさらに強化され人外のゴブリンすらも吹き飛ばすことも可能になったのだ。アスカは吹き飛んだゴブリンをすかさず追撃。
アスカの気合いと連動するように剣から炎が溢れ出し、暗い路地裏を明るく照らす。不思議と周りの建物やゴミには炎は燃え移らない。
迎え撃つゴブリンは再度、棍棒で防御しようとするが灼熱の剣であっさりと溶かし斬られてそのまま体の上半身と下半身を両断された。
ゴブリンの亡骸は炎に包まれ、瞬く間に灰へと変わる。
「……やった、のか?」
鉄パイプが効かない化け物をあっさりと両断したことに驚き拍子抜けするアスカ。この剣と力ならゴブリンを倒せるという直感はあったが、ここまで簡単だとは思ってもいなかったのだ。
未だ炎を纏う剣を見つめる。
「この力はいったい……それになんで女の体になってるんだ?」
近くに捨ててあった姿見鏡に映る自分の姿。
まるでアニメやゲームに出てくる女騎士のようなコスチューム。そして、メリハリのある体とアスカの面影が残る可憐な顔。
全く違う体なのに違和感がない。
「なんか、この姿でいると不思議と落ち着くな……」
自然と剣を消し、自分の身体を両腕で抱きしめて深呼吸する。
今まで感じたことのない充実した気持ちに包まれていく。
「――まさか、これが俺の探し求めていたもの?……いや待てよ!?いくらなんでも女装癖は無いだろ!?」
一瞬、納得しかけるアスカだったが正気に戻り慌てて否定する。
女装どころか女性になってしまっているし、そもそもそんな自分にうっとりするとかナルシストか!とアスカは頭を抱えた。
ビルの路地裏で一人百面相して悶える女騎士というヘンテコな光景が繰り広げられる。
数十秒ほど経つと少し落ち着いてきたアスカは、周りの状況を見てまずいことに気がつく。
近くに酷く食い散らかされた死体。犯人であるゴブリンは先程消滅。
「このまま此処にいたら、俺が犯人になってしまうのでは……?」
慌ててアスカは路地裏から出ようとするが、出口側から人の声が聞こえてきた。どうやらこの辺りを根城にしているチンピラどものようだった。このまま彼らと遭遇してしまえば警察のお世話になってしまう。
キョロキョロと周りを見渡し、逃走経路を探すが見つからない。あわあわといつものクールさが消えて焦るアスカ。
「――そうだ!」
ハッとしたアスカは屈んで力を溜めると、思い切り飛び上がった。人知を超えた跳躍力で瞬時に5階建てのビルを飛び越えて、屋上へと着地する。
こっそりと路地裏の様子を窺うと、どうやらアスカには気づかずに死体を発見して大騒ぎしているようだった。ホッと胸を撫で下ろすアスカ。
この身体能力を生かせば誰にも見つからずに帰れると考えた彼は、隣のビルの屋上へどんどん飛び移り市街地から脱出。瞬く間に自宅である神社近くの茂みに到着した。
「なんとか見つからずに帰れたか……あとはどうやって元に戻るかだ」
このままでは家に入れない。
アスカはうーんと唸りながら元に戻る方法を考え込む。
「
目を閉じて、元の姿に切り替わるイメージを浮かべる。すると、アスカの体にノイズが走り一瞬で女騎士の姿から、元の少年の姿へと戻っていた。
元に戻った体を触り、豊満な胸がなくなり、股間にアレが戻った事を確認するとホッと安心する。
「はぁ~……元に戻れて良かった」
アスカは隠れていた茂みから出て、神社の敷地内にある自宅へ向かう。
彼の家は古くからこの『
「ただいまー」
「――アスカ!心配したのよ!」
アスカが帰宅して来て早々に母親が抱き着いてくる。
母親は何故か昔からアスカに対して過保護で、鬱陶しいくらいの心配性だ。特にアスカが放課後に街を練り歩き、喧嘩に巻き込まれ始めてからはそれが顕著だった。
アスカも思春期の少年なので、母親のそういったところに表向き面倒くさそうに接しているが、実は心の中ではありがたく思っている。
「さっきニュースで街の裏路地に酷い死体があったって言うから心配で……!」
「えぇ!?」
既にあの死体のことがニュースになっているのに驚くアスカ。
今までチンピラグループがいるぐらいで大きな事件の無かったこの街で起きたこの猟奇的な殺人事件は、ショッキングな出来事だったのと同時に人々の関心も惹いたのだろう。
アスカが茶の間のテレビを観るとそのニュースが流れていた。
『本日夕方、ビルの路地裏で猛獣に襲われたかのような人の死体が発見されました。近所には動物園もなくいったい何者がこんな事件を起こしたのか?警察からの発表が待たれます――』
テレビ局のヘリからの中継映像であの路地裏が映っている。
間違いなくさっきまでアスカがゴブリンと戦っていた場所だった。警察の車が何台も止まり、警官が現場調査をしている。野次馬も集まっていた。
「ほんとに気を付けてよ……あなたに何かあったら私……」
「大丈夫だよ……心配しすぎだって」
アスカは心配する母をあしらうようにして洗面所へと移動する。
ハンドソープで手を洗い、顔を軽く水で洗う。タオルで顔と手を拭き鏡に映る自分の顔を見つめる。
(何時もと変わらない自分の顔。あれは一体何だったんだ――!?)
一瞬、鏡に映る顔がさっきまで戦姫へ変身していた時と同じ顔に見えた。見間違いかと眼を擦ってもう一度鏡を見るが、其処に映るのは何時もの自分。
アスカは気が滅入って、幻でも見たのだろうと思い洗面所を後にする。
「はぁ……犯人のゴブリンはもう倒したわけだし、二度とあんな事にならないだろ……」
アスカはもうあんな出来事は二度とないだろうと楽観的に考えていた。
実際、普通はそう思うだろう。あんな化け物に遭遇し、戦姫のような姿に変身するなど本当は有り得ないのだから。
――翌日、あんな事件があったからか街はざわついていたがいつも通りの一日だった。
学校へ登校し授業を受け、弁当を食べ、また授業を受けてあっという間に放課後に。
「まぁ~、これが普通だよな……」
いつも通りの日常に何故か物足りなさを感じながら、帰路につくアスカ。
流石に母親から今日はまっすぐ帰ってくるように、と厳命されたので夜まで街を練り歩く事なく帰る。
学校でも教師達はまっすぐ帰る様に生徒に伝えていた。なので通学路を歩いている生徒も、いつもより多い。
アスカは歩きながらスマホのメッセージアプリを起動させ、母親に帰宅中メッセージを送信。
すぐに既読が付き、スマホを持ってメッセージを待つ母親を想像し呆れて溜め息をついていると、少し先から悲鳴が響いた。
遅れて学生達がこちらへ逃げる様に走ってくる。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!化け物だぁぁ!?」
「はぁ?何言って――って、まさか……?」
アスカは昨日の事件を思い出して、ハッとする。
またあの時のゴブリンの様なモンスターが現れたのだ。しかも街の中で堂々と。
昨日は路地裏だったので大きな騒ぎにならなかったが、今回は違う。被害に遭う人数も増える。
「でも警察なら……いや、鉄パイプで思い切り頭を殴って効かなかった奴らだぞ?」
警察の持つ拳銃は火力の低いリボルバーだし、そもそも撃つと色々面倒な事が多い。
逃げ惑う人々を尻目に、どうするか悩むアスカ。
他人がどうなろうと知ったことではないが、何もしなかった所為で同じ学校に通う学生が死ぬのは目覚めが悪い。
「でも、あの姿で人前に出るのは……あ~くそっ!」
逃げ惑う人々を尻目に、アスカは近くの建物の影に隠れる。
普段クールな男を装っているが、根はお人好しの彼には人々が殺されるのを黙ってみていられなかった。
深呼吸して目を閉じ、意識を集中させて昨日返信した戦姫の姿をイメージする。
「――
――数分前まで平和だった街の交差点は阿鼻叫喚に包まれていた。
車が電柱に衝突し燃え上がり、ゴブリンがあらゆる物を棍棒で破壊し、人々に襲いかかっている。
「ひぃぃ!?こ、来ないでぇぇぇぇぇっ!」
逃げ遅れた女子高生にゴブリン達がジリジリと近づいてくる。
ゴブリンはニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべており、中には既に股間のモノを勃起させている者もいる。
それをみた少女は顔を青ざめて、この後訪れる最悪な未来を理解してしまった。逃げようと体を動かそうとするが、腰が抜けてしまいまともに立ち上がることすら出来ない。
そしてついに、彼女のすぐ目の前までゴブリン達が接近してしまい汚い手を近づけてくる。
引きつった悲鳴を上げて、目を閉じて身構える。
「――え?」
しかし、想像していた事態が中々起きない。少女は薄らと目を開け、ゴブリン達の様子を伺う。
彼らはまるで時が止まったかのように動きを止めていた。
――次の瞬間、ピシャッ!とゴブリンの体から血飛沫が舞う。そして、遅れて体が両断され炎に包まれていく。
少女が炎の向こうに視線を向けると、橙色の美しきロングヘアーをたなびかせる女神のような戦姫が剣を構えていた。
「め、女神様……?」
「――女神様ぁぁ!?い、いやオレ、私は女神なんかじゃ……って気絶してる」
助けられた少女は緊張の糸が切れたのか、ふらっと気絶してしまった。
アスカは倒れた少女を御姫様抱っこすると軽く飛び上がり、近くの建物の屋上に降り立つ。
少女を屋上に寝かせると、アスカはまだゴブリンが残る交差点へと戻る。
どうやらアスカの登場でゴブリン達の注意が彼女に集中したため、市民は全員逃げられたようだった。
あとは彼らを倒すだけだ。
「さて、残りを片付けるか」
そう呟くと、アスカは剣を構える。
剣から炎が噴き出し、彼女から凄まじい闘気が立ち上る。それに怖じ気づいたゴブリン達は後ずさりしてしまうが、彼らに逃走するという選択肢はない。
敵前逃亡者はもれなく死の罰が与えられるからだ。
一匹のゴブリンがチラリとアスカの後方を見る。視線の先にはこそこそと彼女の背後に近づいているゴブリンがいた。
そして間合いに入ると一気に飛び上がり、アスカの脳天めがけて棍棒を振り下ろす。
「――いや、それ気づいてるから」
体を捻って棍棒を躱し、その勢いのまま剣を一閃。ゴブリンの体が両断され、一瞬で灰へと変わる。
不意打ちが失敗に終わり、自棄になったゴブリン達は一斉にアスカへと襲いかかる。常人ならばそれでも通用しただろうが、達人の域に達した武人である彼女には通用するはずもなく。
四方八方から襲いかかる攻撃を流れるように躱し、剣で敵を切り裂いていく。
その動きは美しい剣舞のようだった。剣を振る度に煌めく炎が吹き荒れて、舞を彩る。
敵であるゴブリン達でさえ、その舞に見惚れてしまっていた。そして、気づかぬうちにその命を刈り取られていく。
――数十匹いたであろうゴブリン達は、変身したアスカの手によってものの数分で全滅した。
「ふぅ……これで全部か?」
敵を殲滅し、静寂に包まれた交差点でホッと一息つくアスカ。
まだ力に振り回されるところはあったが、そこまで体力を消耗している様子はなかった。
辺りを見回すと幸いな事に死人は出ていなかった。……車や建物などの器物損壊は酷い物だったが。
アスカが安堵していると、遠くからパトカーのサイレンが聞こえてくる。
「警察が到着する前に、早くここを離れないと……!?こんな姿でどう説明するってんだ!」
慌ててアスカは飛び上がり、ビルの屋上を飛び移って現場を離れた。
駆けつけた警察が見たのは、荒れ果てた交差点と橙色のロングヘアーをなびかせる戦姫の後ろ姿だけだった……。
アスカは敢えて遠回りして、いつもの帰り道の反対側へ移動し、人目の無い場所で元の姿に戻ってから帰宅した。
すると、これまた昨日と同じように母親が飛び込んできた。
「大丈夫だった!?怪我は無い!?通学路に化け物が出たってニュースで!」
「……あ、あぁうん、大丈夫。たまたま今日は違う道で帰ったから……」
またニュースになるのが早いな、と思いながら用意していた嘘を話すアスカ。
そのまま洗面所で手洗いをした後、冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを飲みながら、テレビで流れるニュースを眺める。
『正義のヒロインは実在した!?怪物から人々を救った美しき戦姫の正体は!?』
「――ぶふぅぅぅ!?」
ニュースキャスターから発せられた言葉に思わず水を噴き出すアスカ。
さらにテレビでは変身したアスカがゴブリンと戦う映像が流れている。映像は荒く、どうやら交差点に設置された監視カメラで撮影された物のようだった。
荒い映像でもアスカの美しさは伝わるレベルでキャスターや解説者も見蕩れている。
次いで、アスカが助けた女子高生へのインタビューが流れる。
『はい!あの、私があのケダモノに襲われそうなところを颯爽と助けてくれて、凄く強くて……まるで女神様のようなお人でした!』
「だ、だから女神様じゃないって……」
『SNS上では既に「紅炎戦姫エレメンタル・フレア」という呼び名まで付けられているようです』
「はぁぁあ!?いくらなんでも早すぎだろ!?というかどっから来たその名前!」
『彼女は怪物から人類を救うために遣わされた救世主なのか?続報が待たれます』
自分の知らないところでどんどん設定が追加されている。アスカは発達したネット社会の怖さを味わっていた。
あの時、逃げずに人々を助ける選択をしたのは後悔していない。
しかし、こうもネタにされると正直良い気はしない。ショッキングな映像や言葉で視聴者を暗い気持ちにさせない配慮なのかもしれないが……。
「はぁ~……」
「――大丈夫アスカ?もしかして怪我してるんじゃ……」
「違うよ。何か、ちょっと疲れちゃってさ……」
ソファーの背もたれに全身を預けるように寄りかかる。
『まぁ、またすぐにアイツらが現れるなんて事ないだろ』と楽観的に考えながら、目を閉じるアスカ。
――当然、その考えはすぐに甘かったことを思い知らされることとなる。
翌日以降、街にゴブリンやオーク、触手などの魔物が出現し、暴れる事件が多発するようになったのだ。
その度にアスカが事件現場へ駆けつけ、魔物を蹴散らす。一度衆目の目にさらされる状態で人助けした以上、二度目以降も助けなければ色々面倒なことになる。
幸いなのは登校中に事件が起きないことと、現れる魔物がそこまで強くないこと。
夕方から夜にかけて敵が現れるのは何かしら制約の所為なのか、それとも彼らの戦略なのか。
疑問は尽きなかったが、アスカにとっては好都合なので途中で深く考えるのはやめた。
しばらくザコ狩りが続いた後、ついに人語を喋る上位の魔物が現れた。
オークジェネラルのアンガス、ゴブリンキャプテンのクライド、テンタクル・コアのゴードン、そしてサキュバスのアンジェラ。
彼らはこの世界を支配しようとしている魔王直属の部下、四天王だ。
四天王を名乗るだけあって、その力は強大でアスカの力を以てしても完全に倒す事は出来ず、退却させることしか出来なかった。
しかし、戦闘を重ねる度にアスカの力は増し、扱い方を身につけていったことで四天王を超える戦闘力を手にし始めていた。
彼らを倒し、魔王をも討伐する未来も遠くない――はずだった。
――授業を終え、アスカが学校から出ようと靴箱に手を入れると、靴以外のモノが入っていることに気がつく。
それは手紙だった。
一瞬、ラブレターか?と思ったアスカだったが、同級生にチンピラと同等の認識をされている彼には友達はいないし、近づいてくる生徒もいない。
自分の状況を考えて、ちょっと心にダメージを負いながらも手紙を開く。手紙を読んでいく内にアスカの表情が険しくなっていく。
「――なんだとっ!?」
手紙を読み終えたアスカは、慌てて学校から飛び出した。そして、すぐ近くの木陰ですぐに変身し、目的地へ向かっていく。
手紙にはこう書かれていた。
『人質を捕えた。生きて返してもらいたいなら、すぐに街外れの廃工場まで来なさい。――アンジェラより』
――強化された身体能力であっという間に目的地である廃工場に到着したアスカ。誰もいないはずの工場の大きな扉が開いており、どうやら手紙の内容が悪戯ということはなさそうだった。
剣を手に出現させ、いつでも戦闘に入れるように警戒する。開いている扉から工場の中にゆっくりと入ると、すぐにサキュバスのアンジェラが待ち構えているのに気がついた。
アンジェラは黒くてテカテカしたハイレグレオタードを着用し、ピンク色のウェーブヘアと瞳、腰から生えている翼と絵に描いたようなサキュバスだ。
男と女どちらでもイケるタイプで、いつもアスカを手に入れようと誘惑してくる。
「アンジェラ!人質は無事なのか!?」
「うふふ……来て早々、人質の心配?私ともっとオハナシしましょうよ♡」
「黙れ!さっさと答えろ!」
「もう、せっかちなんだから~。ほら、あそこにいるわ」
「エレメンタル・フレア!た、助けてくれ~!」
アンジェラが指さす方に視線を向けると、そこには男子高校生数名が囚われているのが見える。
アスカは家族ではない事にホッとしつつ、捕えられている男子達に見覚えがあるように感じた。記憶の中を検索して数秒後、ハッと思い出す。
「こいつら、前にぶっ飛ばしたチンピラグループじゃないか」
以前、街をふらつくアスカに絡んできて喧嘩を売られ、かすり傷1つ負わず返り討ちにしたチンピラグループだった。
正直、この男子達を助ける義理は無いのだが……。
(こんな奴らでも死んだら気分が悪いしなぁ……)
はぁ……と溜め息をつきながら剣を構えるアスカ。
それを見たアンジェラは手を翳し、ゴブリンやオークを召喚する。サキュバスは直接戦闘力が高くないため、ゴブリン達から戦力を借用していた。
「さぁ、君たち。フレアちゃんを倒しなさい!」
「ゴブゴブ!」
「ブオー!」
ゴブリンとオークの混成部隊がアスカへ襲いかかる。
どうやら、アンジェラの補助魔法によって能力をブーストされているようで、通常の個体より動きが速く、力も強い。
しかし戦姫としての経験を積んだアスカにとって、その程度は些細な違いでしかない。
自身も魔力で体を強化し、オークの怪力で振るわれた棍棒を防ぎ、弾き返す。
思わぬ衝撃で体勢を崩したオークの胸を返す刀で突き刺し、一瞬で息の根を止める。さらに流れるように剣を振り、ゴブリンの攻撃も弾き、隙だらけの体を両断。
必要最小限の動きで敵を倒し、長時間の戦闘を可能にするのがアスカの習得した武術の特徴だ。そのため人体の何処を攻撃すれば致命の一撃を与えられるかをアスカはよく知っている。
幸い、オークやゴブリンの体はほぼ人間と変わらない作りをしており、アスカの知識が通用する。
逆に困るのは触手などの人外な形状をしている魔物だ。どこに弱点があるのかがわかりづらい。
今回、アンジェラが召喚したのは人型タイプだけだった。なので、戦闘は最後までアスカが圧倒し、すぐに敵は全滅した。
「あーあ、フレアちゃん強すぎ~!また他の四天王に、手駒を消耗するなって怒られちゃう!」
「……つーか、人質使って脅迫とかしないのか?」
「………………あ」
思わずずっこけそうになるアスカ。
一体何のために人質を取ったのか。ただ呼び出しのために利用しただけで、それ以外に何もしないアンジェラの思考が解らなくなる。
「ふんだ!今度は絶対にフレアちゃんを私のモノにするんだから~!」
負け惜しみを叫びながら消えていくアンジェラ。
なんだかトドメを刺す気にもなれずに、アスカはそれを見送った。
「何だったんだ、ホント……って、あいつらを解放してやらないと」
アスカは人質になっていたチンピラ達の拘束を外していく。
拘束に使われていたのは変哲も無い普通の鎖で、アスカが剣を振るうとあっさりと切断できた。
解放されたチンピラたちは立ち上がるとアスカに近づいてくる。
「ホントありがとうございます!もう、死ぬかと思いました!」
「あー、別に良いよ。死なれたら目覚めが悪かっただけだから」
「いえいえ、謙遜なさらずに……可愛いアスカ、ちゃん!」
「――あがっ!?」
突如、アスカの腹部に凄まじい衝撃が走り、目を白黒させる。
強化されている彼女の肉体に大きなダメージを与える程強いパンチ。常人であるはずの彼らにはありえない力だった。
「おえぇぇぇぇぇぇっ!?」
あまりの衝撃で、胃の中のモノを全て吐き出してしまうアスカ。朦朧とする意識の中、チンピラの顔を見上げると、その目は黒く染まりヒトを辞めたことがはっきりと解った。
なんとか体を動かそうとするが意識を保てず、アスカは地面へ倒れて気絶してしまう。
チンピラ達はそれを見ると、ニタリと気持ちの悪い笑みを浮かべるのだった……。
――完全に日が落ち、暗闇に包まれた廃工場。
その中の一室だけ明かりがついており、そこには手足を鎖で繋がれ気絶したアスカの姿があった。どうやらあの後に、ここへ運ばれ拘束されたようだ。
「おら、そろそろ起きろ!」
「――う、うぅん……ここは?って、お前らは!」
目覚めたアスカが見たのは、明らかに普通ではないチンピラグループの姿だった。
目は黒く染まり、筋肉が有り得ないほどに隆起し血管が浮き出ている。肌色も灰色になり、明らかに人を辞めていた。
「どういうことだ!?お前ら、まさか魔族に魂を売ったのか!」
「その通りだ!あのエロいねーちゃんにお前を魔族にしてやるから、こっちにこないかって誘われたのさ」
「なんてバカなことを……」
「――この街のチンピラどもを牛耳ってた俺らが、お前に負けてからは最底辺に落ちた!お前へ復讐できるなら悪魔にだって魂を売るさ!」
彼らの自分勝手な言い分を聞いて呆れるアスカ。目覚めが悪いから助けるとか考えていた自分が馬鹿らしくなる。
こいつらはもう人ではない。容赦をする必要がかけらも存在しない。
そう考えたアスカは鎖を無理矢理壊そうと力を入れるが……。
「――?上手く力が入らない?」
「わりぃけど、お前が寝てる間に一服盛らしてもらったぜ?なんでも、アンジェラ様が言うには強力な媚薬らしい」
「媚薬だって!?――あ」
途端にアスカの体が熱くなり、息も荒くなり始めた。薬の効果が出始めたのだ。
息をして胸が動く度に、乳首がコスチュームに擦れて甘い快楽が広がる。
男の時には感じたことの無い感覚にアスカは混乱する。
「くそっ……お前ら、オレは男だぞ!?」
「体は女だろ?それにお前が俺たちに犯されて、絶望する様を見たいんだよ!」
「やめっ、来るなぁ!?」
藻掻くアスカだが、それで拘束が解けるはずもなく。
近づいてきた男達に鎧の胸部分を外され、黒のぴっちりとしたレオタードも破かれる。
元男とは思えぬほどに豊満な胸が露わになり、媚薬の影響で既に乳首が勃起していた。
アスカは恥ずかしさで顔を赤らめ、逸らす。
「へへへ……良いおっぱいじゃねぇか。お前、自分の胸触ったのか?」
「は、はぁ!?触るわけないだろ!」
「おいおい、女体化したら真っ先にするべき事だろ。オレが代わりに揉んでやるよ」
「触るなぁ!――あひぃっ!?」
ゴツゴツとした大きな手がアスカの胸を触る。それだけでアスカはビクンッ!と震わせてしまう。
マシュマロのように柔らかい胸がムニュムニュと揉みしだかれ、その度にアスカの息が荒くなり、しっとりと汗をかいていく。
「あのクソガキがこんなに可愛い女になるなんてなぁ……」
「あんっ……やめっ、ろよぉ……体が、変な感じにぃ」
「それが女の快楽だよ。お前、女の才能があるのかもなぁ?」
「なに、言って――んひぃ!?」
勃起した乳首を抓まれ、嬌声を上げるアスカ。男の時には感じたことの無い、痺れるような快感に混乱する。
秘所から愛液が溢れ始め、レオタードの股間部がじわぁと濡れていく。
それに気づいたチンピラは片手を胸から放し、レオタード越しに秘所を刺激する。チンピラが手を動かす度に、ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てる。
「あっ……ひぅぅぅ……」
「可愛い声だすじゃねぇか……ああ、もう我慢できねぇ!」
「――ひぃ!?」
悶えるアスカを見て興奮した男はズボンを脱ぎ、固く勃起したチンポを見せつける。
通常の成人男性よりも一回り大きく、凶悪なソレを見たアスカは小さな悲鳴を上げてしまった。
その可愛らしい反応を見ながら、チンピラはレオタードをずらして露出した秘所にチンポを当てる。
「なんだよそれ……まさか、それ入れる気じゃ……?」
「入れるに決まってんだろぉっとぉ!」
「やめっ――いぎぃぃぃ!?」
男は一気にチンポを突き刺した。処女膜があっさりと破られ、子宮口をこじ開ける。
媚薬の所為か、処女膜が破られた痛みは全く感じず、凄まじい快楽がアスカの体を駆け巡る。
あまりの快楽に、アスカは口をパクパクと開けて体を震わせる。チンポを入れられただけで、彼女は絶頂してしまった。子宮が震え、チンピラのチンポを締め付ける。
「おいおい、入れただけでイっちまったのかよ!」
「ちがう……イってにゃんか……おほぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
否定の言葉を口にするアスカだったが、男が腰を思い切り突き出して、子宮の底にチンポがぶつかると情けない悲鳴を上げてしまった。
絶頂の波が止まらずにイキ続けるアスカ。
(にゃ、にゃんだこりぇ……イクのとまらにゃいぃぃぃ!?オレ、おとこなのにぃぃぃぃ!?)
一度射精すれば終わる男の絶頂と違って、女性は絶頂が何度も続く事がある。俗に言う『マルチプルオーガズム』というモノだ。
男性でも不可能ではないが……当然、アスカには経験が無い。
ただチンポを入れただけでコレならば、男の腰が動き出したらどうなってしまうのか?
それに気がついたアスカの顔が青ざめる。
その瞬間、男が容赦の無いピストン運動を始めた。
「んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?やめっ、奥突き上げるのやめりょぉぉぉぉ~!」
「おお……こいつぁ名器だ」
男はアスカの悲鳴を無視して、激しく腰を動かす。
パァン!パァン!と肌と肌がぶつかり合う音とアスカの悲鳴が部屋に響く。チンポがズリュズリュ!と引かれ、また最奥を突かれる度にビクビクと彼女の体が震える。
あまりの快楽で頭が真っ白になり、なにも考えられなくなる。どうにかしてこの危機を脱しないといけないのに、抵抗が出来ない。
「流石にうるせぇなぁ……おい、お前!コイツの口使っていいぞ!」
「やったぜ!」
「はぇ?――んぼぉぉ!?」
後ろで待機していた男の仲間が、勃起していたチンポをアスカの口に突っ込んだ。咽奥を突かれ、嘔吐いて呼吸が苦しくなる。
何より、男のモノを口に咥えるということ自体、吐き気を催す。
しかし、媚薬の効果によってソレすら快感に変わってしまう。
「おごぉっ!んぐぅ、おっ、んんん~!?」
黒光りするチンピラ魔族チンポが口内と子宮を蹂躙する。男におかされて気持ち悪い筈なのに、気持ち良い。
今の自分は女なのだと刻み込まれていく。
絶頂を繰り返し、股間から潮を噴き出すその姿は、まさに性処理用肉便器だった。
『――しっ――して!――ちゃ――ダメ!』
(何か……聞こえる……気がする、けど……)
遠くから、アスカに向かって叫ぶ声が聞こえる。しかし、今の彼女にそれを聞き取る余裕はなく。
凄まじい快楽による連続絶頂、そして口内凌辱による呼吸困難でまともな思考を保つ事が出来ない。あっという間に叫び声は聞こえなくなってしまった。
そして、男達の動きが激しくなっていく。アスカの事など微塵も考えない自己本位の蹂躙セックス。
あまりの激しさにアスカの眼が白目を剥き、ビクンビクンと体が痙攣する。
「うぉぉぉぉぉ!中に出すぞ!」
「俺のザーメン呑み込めぇぇぇ!」
「――おぼぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
男達が叫ぶと、腰を一気に突き出してチンポを奥へと突き刺す。次の瞬間、凄い勢いでザーメンが放出された。
瞬く間に、アスカの口内と子宮はザーメンで埋め尽くされていく。
あまりの量に口内へ出されたザーメンは鼻へ逆流し、子宮が妊娠したように膨らんだ。
1分間も男達はたっぷりと射精した後、チンポをアスカの口内と子宮から引き抜いた。
「あ……あ……おぉぉぉぉ……」
「ひゃひゃひゃ!こりゃ無様だなぁ、おい!」
口から呑み込みきれなかったザーメンが吐き出され、秘所からもザーメンが漏れ出ている。クールな戦姫の面影は何処にも無い。
彼女のプライドは完全に破壊されてしまった。
紅炎戦姫エレメンタル・フレアこと、火神アスカは完全に敗北した……。
――だが、これで終りでは無い。
「おい、まだまだ終わらねぇぞ?魔族になってから精力がすげぇ上がったからよ」
「それに、他の奴らもお前を犯したいってよぉ!」
「――あ……ひっ、
後ろに控えていた数十人ものチンピラ達が彼女を囲うように集まってくる。
アスカはまるで無力な少女のように震え、恐怖してしまう。
そんな姿を見た男達は嗜虐心をそそられ、気持ち悪い笑みを浮かべる。
「来ないで、来ないでぇぇぇぇぇっ!――んごぉぉぉ!?」
「うおっ、口マンコ気持ち良い~!」
「じゃあ俺、マンコな~!」
「ちっ、しゃあねぇ……アナル使うか」
「我慢できねぇから、そのスベスベな手袋付けた手で扱かせてもらうかな」
「おごぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
男達によって全身を犯され、くぐもった絶叫を上げるアスカ。
子宮とアナルの薄い肉壁越しに2本のチンポが擦れ合い、頭を掴まれて咽奥を犯され、両手にチンポ握らされて無理矢理扱かされる。
(
蹂躙され、思考がごちゃ混ぜになり何もわからなくなってきているアスカ。脳裏に聞いたことのある甘い声が響く。
『アスカちゃんは女の子……だよ~』
(そう……だったっけ……?そう、かも……)
『――ダ――!――って!』
何か聞こえた気がしたが、アスカは甘い声を受け入れ始めてしまう。自分は男の子ではなく、以前から女の子だったように思えてくる。
そんな心境をよそに、彼女を犯す男達の動きが激しくなり、チンポがビクビクと震え始めた。
次いで雄叫びをあげると、一斉に射精した。
「――んぼぼぼぼぼぼぼっ!?」
再び口内と子宮に大量のザーメンが注がれ、今度は直腸にも流し込まれる。両手で扱かされていた2本のチンポからもザーメンが噴き出してアスカの体を白く汚していく。
ビクンビクンと体を震わせるアスカだったが、間髪入れずにまた別のチンピラ達が彼女を犯し始める。
精力が強化されているため、例え彼らが一周しても凌辱は終わらない。入れ替わり立ち替わり、アスカを犯していく。
――数時間後、ようやくチンピラ達が満足し部屋を出て行く。
「あへぇ……」
部屋には全身ザーメン塗れでアヘ顔を晒すアスカだけが残されていた。
腹が詰め込まれたザーメンで妊娠したように膨らみ、アナルや口、鼻からザーメンが漏れ出ている。
鼻が曲がりそうなほどの汚臭が充満している部屋へアンジェラが入ってくる。
部屋の臭いを吸い込み、恍惚とした表情を浮かべ舌なめずりアスカへと近づいていく。
「うふふ……良い感じねぇ~。さて、最後はワ・タ・シ♪」
そう言うと、自身の股間へ手を当てる。――すると、立派なフタナリチンポが股間に生えてきた。
アスカを早く犯したいと、ビクビク震えている。
「ようやく1つになれるねぇ……ふんっ!」
「おひょっ!?」
フタナリチンポを一気に子宮へ突き刺す。衝撃で絶頂したアスカは間抜けな声を出してしまう。
同時に彼女の股間部に怪しい模様が浮かび始める。アンジェラが腰を突き出し、アスカが絶頂する度にそれは色濃くなり、光を帯びていく。
「淫紋の着床も順調、順調♪ああ!気持ち良いよ、アスカちゃん!」
「おほっ、あひぃっ、おほぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
淫紋の着床が進んでいく程に快楽が強くなり、目の前の少女が愛おしくなっていく。
――この淫紋の効果は快楽の増幅だけではなく、アンジェラにとって都合の良いようにアスカを洗脳する効果も持っている。
というか、そっちの方がメインの効果なのだ。
アスカを手に入れる為、アンジェラが作り出した特製の淫紋。これをうまく着床させるためには対象の心を弱らせる必要があった。
だから、魔族化させたチンピラ達に犯させた。
――やがて、アンジェラの腰の動きが早まっていき、限界が近づく。
「はぁはぁ、イクよアスカちゃん!私の想い受けとってぇぇ!」
「――あひゃぁぁぁぁぁあぁぁあっ!?」
アンジェラのフタナリチンポからザーメンが放出され、子宮の中を埋め尽くす。
同時に淫紋が強く輝き、アスカのコスチュームが黒く染まっていく……。目から光が失われ、淫らな表情を浮かべる。
「奴隷戦姫スレイヴ・フレア……アンジェラ様の忠実なる奴隷へと生まれ変わりました」
「これからヨロシクね、
――こうして、人々から紅炎戦姫エレメンタル・フレアと呼ばれた正義のヒロインは悪に堕ちたのだった……。
「――って感じだったみたい。この娘の記憶を読んだ感じ」
「えぇ……ホントに男だったのか」
時は進み、スレイヴ・フレアを倒したレンとルシは彼女を人目のない廃ビルへと連行し拘束。暴れたり叫んだりと五月蠅かったので、今はルシの魔術で眠らせている。
そして、彼女の記憶を読んで、何があったのかを確認したのだ。
「うーん……いくら体が女性になってるとはいえ、元男とヤルのは……」
「でも、ヤラないと助けられないし……大丈夫、僕はBLモノもイケるから!」
「そういう問題じゃないんだよなぁ……」
ルシに呆れながらどうするか頭を悩ませるレン。
洗脳を解除するためには、子宮にレンのザーメンを出す必要があり、尚且つ性交によって対象と心を通わせる必要もある。
「お前が言わなきゃ、気づかないで終わったんだけどな」
「……面白そうだったから、つい」
テヘっ!と悪びれもなく言うルシの頭を引っ叩く。
コントのような遣り取りをしている内に、スレイヴ・フレアの目が覚める。
「うぅん、私……ハッ!?あ、あなた達!コレを外しなさい!」
手足に装着された拘束用の鎖をガチャガチャと引っ張るスレイヴ・フレア。ルシ特製の鎖には弱体化の魔術が刻まれているため、無理矢理壊すことは出来ない。
悔しそうに二人を睨み付けるフレア。
「もう、腹括りなよ。この娘、今は自分を女の子だと思い込んでるから実質女の子だよ」
「……………………………………はぁぁぁ、わかった」
何だかんだ、レンには彼女を見捨てることは出来ないのだった。意を決して、レンはフレアに近づいていく。
一見冷静に見えるレンだが、内心では『この子は女の子、この子は女の子……』と心の中で自己暗示をかけ続けている。
「何をする気なの……!?まさか、私を辱めるつもり!アナタのような男に私は――んむぅ!?」
レンは有無を言わさずに優しく唇を奪う。
優しく独りよがりにならないよう、相手を想いながら舌を絡める。彼女が受けた、非道な男達による凌辱を忘れさせるように。
一方的な愛情ではない、本来の愛を確かめ合うような性交。不思議と気持ち良くなり、フレアの目がとろんとし始める。
「あむ……んちゅ……」
(なに、これ……暖かい……)
少しずつ体と心が温まる。
チンピラ達やアンジェラの時のような、激しい快感とは違う感覚。凌辱しか知らない少女に本当のセックスを教えるように、レンは優しく愛撫する。
フレアの鎧の隙間に手を入れて、黒いレオタード越しに胸を揉むと、ピクンと甘い快感が体を駆け巡る。思わず、ほぅ……と甘い吐息を漏らしてしまうフレア。
手を出してきたら撥ね除けようと考えていたのにすっかり忘れて、甘い快感に身を任せてしまう。
「んふぅ……あ……」
胸を揉んでいた手が離れて、名残惜しそうにするフレア。
しかし、その手が濡れ始めた秘所をくちゅくちゅと刺激すると、すぐに切ない喘ぎ声を漏らし始める。
フレンチキスと秘所の愛撫で少しずつ性感が高まっていく。抵抗しなければならないのに、何故か振りほどくことも舌を噛むことも出来ない。
――いや、しようと思えない。
今まで感じたことのないこの心地よさを手放したくないと思ってしまう。
「あんっ……んぅ……んんっ……!」
(私の御主人様はアンジェラ様なのにぃ……これ、気持ち良すぎるよぉ!)
敵なのに、主人であるアンジェラとのセックスよりも感じてしまい、心が満たされていく感覚に困惑する。
秘所から愛液が止めどなく溢れ、レオタードを湿らしていきグチュグチュと卑猥な音を立てており、フレアがレンの性技に感じているのは明白だった。
レンは勃起しているクリトリスを優しく指で抓み、コリッと刺激する。
「んひぃっ!?」
緩い愛撫に慣れたところからの、急な少し強めの刺激に過敏な反応を示してしまう。レンは度重なる悪堕ちヒロインとのセックスによって、媚薬などを使わずとも性感を上げる事が出来るまでに成長していた。
そんな彼のテクニックに翻弄されるフレア。段々と息が荒くなり、快感が増幅されていく。
「はっ――はっ――イクッ……御主人様じゃないのにぃぃぃ」
息を荒げながらも、悔しそうな言葉を吐くフレアだが、その表情はだらしないアヘ顔になっている。
レンは追い討ちをかけるように空いている手を再度、胸へと動かして彼女の乳首をコリコリと刺激する。すると、切ない快感がフレアの体を巡りピクピクと痙攣し始めた。
――絶頂が近いのだ。
それを見計らって、乳首とクリトリスを強めに摘まみ上げる。
「――んひゃぁあぁあぁぁぁ!?イクッ、イッちゃうぅぅぅ!?」
背筋をピンと伸ばして、ビクビクと体を震わせる。どれだけ大きい絶頂だったのかが良く解るほどに股間から潮が噴き出し、だらしなく舌を垂らして白目を剥く。
「はぁー……はぁー……」
未だ絶頂の余韻で息が整わず、呆けたように虚空を見つめる。
そんな彼女をよそに、レンはレオタードをずらして秘所を露わにする。愛液が溢れ、絶頂で潮を噴いた秘所はむわぁと淫臭を放つ。
そして、彼もズボンを下ろして股間に鎮座するモノを露出させる。
「な、なななななな……なんだよソレぇ!?」
あまりの驚きで、しゃべり方が無意識に男だった時のものになってしまう。
無理もない。
レンのチンポは常人のモノを遙かに超える長さと太さを持つ、ご立派なチンポだったからだ。黒光りし、ビクビクと動くソレはまさに巨根と呼ぶに相応しい代物だった。
「ま、まて!?そんなの入るわけ――おほぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
レンはフレアに懇願をスルーして、秘所へ巨根をゆっくりと突き刺していく。少し入っただけで絶頂してしまい、目を見開く。
今まで彼女に挿入されたチンポなど比べものにならない。格が違う。
数多の悪堕ちヒロインを負かしてきたレンのチンポは、もはや悪堕ちヒロイン特攻チンポとも言えるほどに成長している。
巨根はゆっくりと奥へ進んでいき、ついに全てがフレアの子宮の中に入ると、彼女の腹部にくっきりとその形が浮き上がっていた。
「はっ、入っちゃったぁ……ち、ちょ動かすのは待って――んほぉぉ!?」
レンがゆっくりと腰を引くと、それだけでまた絶頂。巨根が子宮内のあらゆるGスポットを刺激し、有り得ないほどの快感が駆け巡る。
そしてまた中へとゆっくり挿れていく……。
「んひょぉぉぉぉぉぉぉ!?にゃにこれぇぇ!イクのとまらにゃいぃぃぃぃ!?」
少しずつ出し入れの速度を上げていくレン。
パンッ!パンッ!とリズミカルにチンポを出し入れする度に、フレアの体がビクンビクンと震えて潮を噴き出す。
もはや彼女は常時絶頂を迎え続けて、言葉にならない嬌声を上げることしか出来ない。
「おっおっおっ……んほぉっ!?んひぃぃぃ!?あひゃぁぁぁぁぁあぁぁあ!?」
彼女が絶頂し、潮を噴き出す度に鎧の色が少しずつ白に戻り、淫紋も薄くなっていく。
それを確認したレンはラストスパートをかける。
あまりの激しさと快楽にフレアは白目を剥いて体を震わせる
「んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?はげししゅぎりゅぅぅぅぅ!?
「いくぞぉ!――出るっ!」
「――おほぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
レンが腰を強く突き出した瞬間、凄まじく大量のザーメンが放出された。あっという間に子宮内を埋め尽くし、どんどん子宮を膨らませていく。
そして全てのザーメンを出し切った瞬間、フレアの体が光り輝く。
光は瞬く間に彼女を包み、数秒後に散っていった。
後には元の紅炎戦姫エレメンタル・フレアへと戻ったアスカの姿があったのだった。
「ふぅ、これでなんとか――」
『アスカが元に戻って、よかったぁ~!』
「――え?」
『え?』
レンがホッと一息ついた瞬間、頭上から声が響き、顔を上げる。
――そこには半透明の状態で浮かぶ、アスカによく似た少女がいた。
「ゆ、幽霊だぁぁあぁぁぁ!?」
――数分後。
落ち着いたレンは、気絶から目覚めて変身を解いたアスカと共に幽霊少女の話を聞いていた。
「えぇと、つまり……君はオレの双子の妹で、死産だった」
『そう、アスカは無意識に覚醒した能力で、死んだ私の魂を取り込んだの』
「女の子に変身するのは君の影響だったってわけか」
アスカの能力とは『死んだ者の魂を取り込む力』だ。
驚くことに赤子の時点で、一時的ではあるがその能力に覚醒し死んだ双子の魂を取り込んだのだ。
取り込んだ魂は彼の中で生き続け、能力を使いこなせるようになれば体ごと入れ替わることさえ可能だという。
もちろん、全ての魂を無条件に取り込む事は不可能でアスカと相性の良い魂でなければ不可能。
その点で言えば、双子の魂は相性抜群だ。
今まで何の問題も無かったのはその為だろう。
そして、アスカが今までずっと探していたモノは彼女だった。
「じゃあ、君の名前は――」
『まだ無いんだ。アスカが付けてくれる?』
「そうだな……オレの双子の妹ならアスナなんてどうかな?」
『――アスナ。うん、私はアスナ!ありがとう、お兄ちゃん!』
「――うっ!」
満面の笑みでお兄ちゃんと呼ばれたアスカは胸を押さえる。
弟か妹が欲しかった彼には、とてもこう……グッとくるものがあるのだ。
そんな彼を不思議そうに見つめるアスナ、という微笑ましい光景を見守りながら話し合うレンとルシ。
「しかし、こんな事があるもんなんだなぁ……」
「いや、滅多にないよ!死人の魂を取り込んで力にするだけじゃなくて、肉体ごと入れ替わることすら出来るなんて……擬似的な死者蘇生みたいなもんだよ!?」
「ルシが驚く程って、そうとう凄いんだな」
相性関係があるとはいえ、擬似的な死者蘇生を可能とする力に興味を示すルシ。
アスカにどれだけ魂を取り込むキャパシティがあるのか?
能力を使い為せるようになれば一時邸な分離が可能なのか?
疑問は尽きないが、しばらくすればまたこの世界とはおさらばだ。
「はぁぁぁ……契約の代償がなければ、アスカ君を是非研究させて欲しかったんだけど……」
「なんか、解剖とかされそうで怖いっす……あ!そういえば」
「ん?どうしたんだ?」
何かを思いだしたアスカは、レンへともじもじしながら近づいてくる。
そして何かを言おうとするのだが、恥ずかしそうに目を逸らしてしまう。
レンが首を傾げていると、決心したようにアスカが声を上げる。
「あ、あの!レンさんのこと、アニキって呼んでもいいですか!」
「――え?あ、あぁうん。別に構わないけど」
「ありがとうございます!アニキ!」
とてもうれしそうな笑みを浮かべて、レンの手を握るアスカ。
それを横で見ていた女性陣は……。
「あれ、もしかして……」
『レンさんに惚れたって事ですか……?アッー!って、コトですかぁ!?』
何やら不穏な会話をしていたが、レンとアスカの耳には届かなかった。
と、そんな会話をしていると――
「あれぇ~?なんで洗脳が解けてるのぉ~!?」
突如、廃ビルに響いた声。
四人がそちらを向くと、そこにはアスカを洗脳したサキュバスのアンジェラと、魔族となったチンピラ達がいつの間にかいたのだった。
恐らく、アスカが自分の元に戻らなかったので探しに来たのだろう。
「――アニキ、オレに――オレ達にやらせてください」
「……ああ、わかった」
そう言うと、アスカは瞬時に変身する。
今までと姿は変わらないが、纏う力は倍増していた。
これは能力を自覚し、アスナの助力を得ることが出来るようになり、肉体の力を100%引き出せるようになったからだ。
その凄まじい力を感じたアンジェラは目を見開き、後ずさってしまう。
反対に、チンピラ達はへらへらと笑いながら近づいていく。
「ははは!おいおい、一度はオレ達の奴隷になったお前が勝てるとでも――あぎょ?」
舐めた態度を取るチンピラの頭部半分が、一瞬で斬り飛ばされた。
遅れて血が噴水のように噴き出し、膝を付いて床に倒れる。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「悪いけど、元人間だからって情けは掛けない。というかお前らみたいなクズ、許すはずがないだろ」
炎がアスカの足下から噴き出し、廃ビルを明るく照らす。
恐怖に駆られたチンピラ達が一斉に、アスカへ襲いかかる。
コンクリートを容易く砕く拳をヒラリと躱し、剣を一閃して首を断つ。
さらに背後をとったチンピラが殴りかかろうとするも、目視せずに発射された炎弾を喰らい燃え上がる。
――もはや戦いにすらなっていない。これはただの蹂躙だ。
結局、3分もしない内にあれだけいたチンピラ達は全て消え去ってしまった。
「――あとはお前だけだ、アンジェラ」
「ひぃぃぃぃぃぃ!?」
鋭い眼光で睨まれたアンジェラは腰が抜けてしまう。
逃げなければならないのに、体がまともに動かない。
「い、いや……死にたくない……アスカ許してぇ!」
「――洗脳されて、魂を蹂躙されることがどれだけ苦痛なことか。お前には解らないだろうな」
「そ、それは……だって、アスカが欲しかったんだもん!」
「……お前が四天王辞めて、人類側に付くなんてことがあれば友達になれたかもな。もう遅いけど」
「そんな――ぎゃぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!?」
アンジェラを火柱が呑み込んでいき、断末魔の叫びが響き渡る。
数十秒かけて燃やし尽くした跡には、塵一つ残らなかった……。
「……単純な戦闘力ならレンより上かもね」
「ああ、万全の状態で戦わなくて良かった……」
アスカの圧倒的な戦闘力を目の当たりにして、あの状態の彼と戦わなくて良かったとホッとしていると世界強制移動の魔法陣が足下に現れた。
「え!?なんですかそれ!別の四天王の仕業ですか!?」
「あーいや、実は……」
自分たちの事情を掻い摘まんで説明する。
幼馴染みの恋人を助けるために、ルシと契約したこと。
契約の代償に、異世界を渡ってアスカのような悪堕ちヒロインを正気に戻し続けなければならないこと。
「そっか……アニキともっと話したかったんですけど……」
「悪りぃな……妹さんのこと大事にするんだぞ」
「――はい!」
そして魔法陣が強く輝き、レンとルシの姿が消えてしまった。
名残惜しそうに、その場にから動かないアスカ。
「はぁぁぁ……もうアニキとは会えないのかな?」
『生きてればきっと会えるよ!今回だって奇跡みたいなものだし』
「――そうだな、アスナありがとう」
『あ、そういえば……お母さんにどう説明するの?1週間くらい家に帰ってなかったんでしょ?』
「………………………………あ」
――とある世界にて
「はぁ……あれからもう1年経つのかぁ~。レンさん元気にしてるのかな?」
「きっと今も姫子みたいに洗脳されちゃった娘を助けてるんでしょうねぇ」
以前、レンによって助けられた星宮母娘は彼のことに思いを馳せていた。
あれから姫子は一念発起し、そらや彼女が体験した戦いを元にライトノベルを執筆。電子書籍で自費出版したところ、思わぬ反響がありスマッシュヒット!あれよあれよとコミカライズや映像化の話が進み、本の売り上げや著作権料で生活できるほどになってしまった。そのお陰でそらのパート等のアルバイトが減り、二人の時間を増やすことが出来たのだ。根暗だった姫子もこれで自信がつき、少し明るくなった。
「――ここで戦ったんだよね」
「ええ、今でも覚えてるわ。あの時のレンさん格好よかったわぁ……」
二人は休日の買い物帰りにアスタロトと悪堕ちした姫子と戦った場所にやってきた。レンと出会った場所でもある此処は、あの後爆発事故やテロ事件などの疑いでしばらく封鎖され、近くを通る度に姫子は不要な捜査を行う警察の人に申し訳ない気持ちなってしまった。
しかし、数週間後には封鎖も解かれ、修復工事が進んで何も無かったかのように元通りになった。
「もう一度、レンさんに会いたいなぁ……」
「そうね、もう一度あのオチンポ様を味わいたいわぁ」
「お、お母さん!?もう、ほんっとにそればっか――って、なにぃ!?」
突如二人の目の前が明るく輝き、衝撃波が奔る!すわ敵襲かと思った二人は素早く、セーラーガール・ステラとセーラーレディ・カエルムへと変身した。光が少しずつ止んでいき、景色が晴れていく。ステラ達はステッキを構えて戦闘態勢を取るが……
「――ん。くんくん……うーん、レンくんがいたっぽい匂いはするけど大分前っぽいなぁ」
「……誰?っていうか、今『レンくん』って」
「あ、一般人に見られちゃった!?」
光の中から現れたのは、レンを追って世界を渡る旅に出た『魔法騎士セイントミーア』だった!あれから彼女は幾つもの世界を渡ったがまだまだレンには追いつけていなかった。途中、彼が助けたと思わしき少女達を見かける事もあったが、わざわざライバルを増やすような事を独占欲の強い彼女がするわけもなく。レンがいないと解れば、見つかる前にすぐ世界を移動していたのだ。
カエルムは彼女を見て、ピン!と来た。
「あ!もしかして、貴女がレンさんの言っていた『心に決めた恋人』でしょう!?」
「え、レンくんそんなこと言ってたんですか~!もう~――って、それを知っているということは……?それにその姿は、まさか!?」
一瞬惚気てしまうミーアだったが、ようやく二人の姿が一般人ではないことに気がついた。慌てて世界をまた移動しようとするが、ステラとカエルムが素早く彼女の体にしがみつく!
「ちょ、放してください!?」
「嫌だ~!せっかくレンさんに再会するための手がかりが向こうからやってきたんだから!」
「そうよ!一体私がどれだけ苦しい禁欲生活を送ったことか!」
「は、はぁ!?レンくんは私だけのモノなんだから!殺さないだけありがたく思ってよ!」
ドタバタと三人はしばらくの間、取っ組み合いを続けた……
「はぁ、はぁ……とにかく一旦落ち着きましょう?」
「そうだね、お母さん……」
「レンくん、今度会ったらオハナシが必要かもね……」
流石に疲れた三人は一旦落ち着いて話しをすることにした。正直セイントミーアは二人のことなど無視してさっさと次の世界に移動してレンを追いたかったのだが。とはいえ、この二人から逃げるのは容易ではなさそうだと彼女は感じていた。
「とにかく!レンくんは私だけのモノだから二人には会わせないし、連れて行きもしません!」
「な、それは理不尽じゃありませんか!?」
「恋人は私だけってレンくんも言ってたんだし、貴女たちはただの……そう、治療対象の患者さんだよ!」
「はぁ!?レンさんは優しく愛を込めて、セックスしてくれましたけど!」
「思い込みって怖いねぇ~!初心な君がそう錯覚しただけ!」
「違いますぅ~!大体、レンさんのご立派なオチンポを一人で鎮められるんですかぁ!?」
「――う゛。そ、それは……」
「あのオチンポ様、姫子と私を相手にしてもまだまだ元気だったものねぇ」
しみじみと語るカエルム。あの時、連続で二人を相手したレンだったが、雄々しいオチンポはまだまだ元気にそそり立っていた。しかも、あれからさらに洗脳悪堕ちヒロインを相手にして成長を続けているだろうことは明白。当初はどっちがレンを手に入れるか喧嘩していたこともあったステラとカエルムだったが、『一人ではあのオチンポを受け止めきれない』と行き着き、結局二人一緒にレンのモノになろうという結論になった。
「わ、私についてくるって事は、今までの生活を捨てるって事だよ!?」
「あー、友達は一人もいないし、版権管理は全部会社の人たちに任せてるからなぁ。別に問題ないね」
「私も親族とは縁が切れてますし、職場も日雇いだから大して困らないですね」
「え、思ったより重い話が……なんか、すみません――って、なんで謝ってるんですか私!?」
ステラ達が話す内容の節々に闇を感じ、つい謝ってしまうセイントミーアだったがハッと正気に戻る。彼女は剣を手に持ち、切っ先を二人に向けた。セイントミーアの瞳から光が消え失せて剣呑な雰囲気を放つ。
「殺りたくはなかったけど、もう実力行使で黙らせるしかないみたいね……悪いけどレンくんに近づこうとする泥棒猫には消えてもらう」
「……ふ~ん、レンさんが助けた人に剣向けちゃうんだ~。レンさんが知ったら悲しむだろうな~」
「レンくんが知ることはないよ。私の心の奥底に仕舞っとくから」
「古今東西、恋人に暗い秘密を隠し通せた事例は無い。いつか絶対に破綻するよ~?」
「うるさい」
「あ、言い返せないんだ~!あ~あ、こんな人が恋人なんてレンさんカワイソ~!」
「――うるさい!」
ステラのメスガキ口撃に堪え兼ねたセイントミーアは剣を振るい、襲いかかる。ステラはステッキの先に光剣を素早く生成すると攻撃を受け止めた。セイントミーアが剣を押し込むように力を入れると、ステラが少しずつ押され始める。ステラはこのままでは押し切られると感じ、光弾を生成しセイントミーアへと放つ。光弾を避けるためにセイントミーアが後退すると、カエルムが彼女の背後に回り、光剣を振る。
「――ちっ!?」
セイントミーアは屈んで回避しながらも体を回転させ、足払いを繰り出す。カエルムがソレをジャンプして避けるように誘導すると、さらに体を捻り横薙ぎに剣を振った!流石のカエルムも空中では避けきれずに光剣でセイントミーアの剣を防ぐが、凄まじい衝撃が走り、コンクリート壁に叩きつけられる。
「お母さん!――こんのぉ!」
ステラはセイントミーアへと突撃し、光剣を振いながら光弾を同時に複数発射。しかし同じようにセイントミーアは光弾を作り出し、あっさりと相殺。ステラを迎撃し、吹き飛ばしてしまう。吹き飛ばされたステラは地面を転がり、体のあちこちを強打。いくつかの骨に罅が入ってしまっていた。
「あ……ぐぅ……!?」
(つ、強い……!?あの時のレンさんと同じくらいかも)
「これまでだよ。安心して?君のお母さんもすぐに同じところへ逝かせてあげるから」
ステラを冷たい瞳で見下ろすセイントミーア。突きつけられている剣からは本気の殺気が伝わってくる。嘘でも冗談でもなく、彼女はステラとカエルムを殺す気なのだ。そして遂にステラの首を狩るように剣を振りかぶった。
(――ここまでなの?)
眼を瞑るステラ。……しかし、いつまで経っても首が斬られた痛みを感じない。恐る恐る、眼を開くとそこには――
「あ、アンタは……!?」
「久しぶりねぇ、クソザコの私」
アスタロトによって洗脳された時に現れた人格、『セーラーガール・アビス』の姿があった!
「ここはアンタの精神世界。現実ではまだ0.1ミリ秒も経っていないわ」
「なんでアンタが……レンさんは洗脳術式を破壊したって!?」
「ワタシはアンタの心の奥底に元々いた、魔王の力が意識を持った存在みたいなもの。洗脳術式とは直接関係が無いからね」
「……それで、私の別人格さんはナニが言いたいのかしら?今、絶体絶命の危機なんですけど」
「あら、もっとわめくかと思ったんだけど……まぁ、いいか。単刀直入に言うわ。私が力を貸してあげるから、レン様とセックスする時に私も混ぜなさい」
「はぁ!?論外なんですけど!大体アンタの御主人様は――」
アビスの提案を即座に拒否するステラ。彼女に肉体を一度でも受け渡せば悪の道に走り、人々に迷惑をかけるのは明白。そんな存在に肉体を明け渡すなどあってはならなかった。
「勘違いしないで。今の御主人様はレン様よ――あの暖かい愛情の籠もったぶっといオチンポ様……アスタロトなんてどうでも良くなる程気持ちよかったわぁ」
「アビスがお母さんみたいなこと言ってる……やっぱり血筋なのかなぁ」
アビスはレンとの洗脳解除セックスであっさりと主を鞍替えしていた。しかし、洗脳解除の余波でステラに体の主導権を取り返されてしまい、心の奥底で機をうかがっていたのだ。
「とにかく。永久に体の主導権を渡せって言ってるわけじゃないんだから良いでしょ。大体、この状況でアナタに選択肢あると思う?」
「う゛……それは、そうなんだけどさぁ~。――もう!わかったわよ!」
「契約成立ってことで♪」
手を握るステラとアビス。
次の瞬間、現実世界のステラから凄まじい魔力が衝撃波として発せられた。
「んなっ!?」
「この力は、まさか――!?」
土煙が晴れ、露わになったステラの瞳は黄色と紫色のオッドアイへと変わっており、コスチュームにも所々、紫の文様が浮き出ていた。
カエルムはすぐに、この力が魔王の魔力だということに気がついた。まさか、また乗っ取られたのでは!?と焦るが、その心配は杞憂。
「……行くよ、アビス!魔力回しなさい!」
『人使いが荒いわねぇ……そら!さっさとその女をぶっ飛ばしちゃいなさい!』
ステラの周りに魔力刃が何本も生成されていく。
細かい魔力の運用をアビスが行い、直接戦闘をステラが担当することで各々の得意分野を活かす。
生成された魔力刃を素早く、セイントミーアへと飛ばしていく。
「くっ!邪魔くさい!――は!?」
「でりゃぁぁぁぁ!」
飛ばされてきた魔力刃を破壊することに意識を取られてしまい、ステラの接近を許してしまった。
振るわれた光剣を辛うじて避けるが、完全には避けられず、腕に切り傷が刻まれる。
さらに、また新たに生成された魔力刃が飛んできた。ステラとアビスの息の合ったコンビネーションによって、徐々に追い詰められていく。
――これなら勝てる!そうステラ達が思った瞬間。
「――ああぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁ!」
「な、なに!?」
セイントミーアが叫び声を上げると、先程のステラのように力の波動によって衝撃波がはしった。
次の一撃で決めるために、全ての魔力を解放したのだ。
それを感じ取ったステラは自身も魔力を最大限に練り上げる。
「ふきとべぇぇぇぇ!」
「アンタなんかに負けられるかぁぁぁぁぁ!」
人知を超える力がぶつかり合い、目が眩むような光と風が暴れ回り、周辺を破壊していく。見守っていてカエルムはあまりの光と衝撃に顔を腕で庇う。
「一体どうなって……!?」
光と風が収まり、少しずつ舞い上がった土煙が晴れていく……。
カエルムが目を凝らしてみると――
「はぁ……はぁ……まだ立ってるなんて、執念深い泥棒猫ね……」
「それは……こっちの、セリフよ……」
二人ともコスチュームがボロボロになり、胸や臀部が見えてしまっていた。
しかし、二人はそんなことを気にせず、肩で息をしながらも未だにらみ合っている。あまりの剣幕にカエルムも口を挟むことが出来ない。
衝撃で武器も吹き飛んだのか手には何も持っていない。それに、先程の攻撃で魔力を使い果たしたために魔法も使えなくなっていた。
二人は数十秒かけて息を整えると、同時に殴りかかる。
「いい加減、死んで!こんのクソメスガキが!」
「五月蠅い、このヤンデレめんどくさ女!」
さっきまでの洗練された戦いではなく、原始的な殴り合いが始まった。
もしこの場にレンがいたら、『女って、こわひ……』と恐れるほどに、鬼気迫る女の戦い。
顔だろうと容赦なく殴り、血を吐き、意識が飛びそうになりながらも踏ん張る。
もはや息も絶え絶えの状態で、視界も霞んで限界が近くなっていく。
「これで、終りだぁぁぁ!」
「させるかぁぁぁ!」
双方の最後の力を込めた、渾身の一撃が放たれる。
それぞれの拳がクロスするように相手の顔へ吸い込まれていき――
「おぶへっ!?」
「あびゃっ!?」
綺麗なダブルノックダウン。
そして限界を迎えた二人は、ふらぁと同時に倒れてしまった……。
カエルムは慌てて二人に近づいて、脈を確かめる。
「――はぁ……なんとか生きてる」
ホッと一息、胸を撫で下ろすが、周囲の状況を見て唖然とする。
地面には大きな陥没が幾つもでき、瓦礫が散らばっている。まるで戦争でも起きたような有様だった。……あながち間違いではないのだが。
「え?私だけで二人を運ばなきゃならないのぉぉぉ!?」
――数時間後。星宮家宅にて。
「あいたたたたた……こ、腰が……」
「お母さん、大丈夫?もう、若くないんだから無理しちゃダメだよ」
「誰の所為で、こうなったと……というか私はまだ若いわよっ!――あいたっ!?」
あの現場から二人を運び出そうと担いだカエルムは、無事に誰にも見つからずに自宅へ辿り着いたのだが、家に入って二人を床に降ろした瞬間、ぎっくり腰を発症してしまったのだった。
変身が解除され、その場に蹲り動けなくなって悶えているうちにセイントミーアとステラが目覚め、とりあえず一時休戦をして、カエルムをベッドに運んだ。
「――はぁ。で、どうするんですか?まだ私たちを殺す気で?」
「……邪魔者を排除したいのは変わらないけど、毎回魔力使い果たすまで戦ったらレンくんに追いつけなくなるから。……ほんっとーに、しょうがないけど連れてってあげるよ」
凄い渋々と話すミア。
ステラ達との戦いで異世界へ移動する為の魔力まで使い果たしてしまい、魔力が全回復するまで移動できなくなってしまったのだ。
このまま和解せずに世界移動をしようとすれば、また邪魔をされて魔力を使い果たすまで戦うことになるだろう。それでは、どんどん世界を移動するレンに追いつくのが難しくなってしまう。
なので、納得はしていないが二人を一緒に連れて行くことに決めた。
「ミアさんの魔力が回復するまでに、引き継ぎとか終わらせなきゃな~。とりあえずシナリオ原案とか続編に使えるネタ全部アニメ製作会社へ渡して、ライセンス料だけ振り込まれるようにしておこうか……」
「私と同じ歳でちっちゃいのに、凄い社会人っぽい……」
「ちっちゃいは余計です!」
――こうして、ミアのレンを追いかける旅に仲間が出来た。
果たして、無事にミア達はレンと再会できるのか?また新たな元悪堕ちヒロインが仲間に加わるのか?
それはまだ、先の話である。
アスカの能力は私がめっちゃ好きなとあるゲームが元ネタです。
果たしてこれが通じる人がいるのだろうか……。
そして、この「洗脳悪堕ちヒロインカウンセラー・黒瀬レン」シリーズですが、予定ではこの後一話挟んだ後、最終章の中編を書いて完結します。
ネタ的にいくらでも書けるっちゃ書けるのですが、終りが見えなくなるので一旦完結させます。
その後、後日談や描かれなかった悪堕ちヒロインの話を番外編として書くつもりです。
感想お待ちしております!