無望菜志先生の「NTR^2」を読んで思いつきました。
しかし、この作品はNTRと言うより、リョナと言った方が…。

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夕方の保健室にて

その日の夜、S市内にある高校で、警察の強制捜査があった。

その高校を拠点とする人身売買組織があったらしい。

強制捜査に当たった警察官は、武装してその高校に突(・)入(・)したということだった。

高校に人身売買組織が巣食っていたこと、日本の警察官が武装して高校に突入したこと。

いずれも取っても全く異例のことで、少なくとも数日間、どのメディアもこの話題で持ちきりだった。

 

新聞やテレビでは大きく取り上げられなかったが、SNS上の噂話で、こんな話もあった。

警察が突入したとき、校内で性的虐待…調(・)教(・)されていた女子生徒が救助されたらしい、と。

 

 

***********************

 

…あれから、何日か経った。

何日経ったのかまではわからない。

あれから私は時々…いや、頻繁に考える力を失う。

時々考える力が戻ってくる、と言った方が良いかもしれない。

何かを考えられても、何かを思い出せても…その何かは、考えたくないこと、思い出したくないことばかりだ。

 

私・三浦さゆりには、幼馴染みがいた。

その年の秋、私はその幼馴染み―――山辺海渡(かいと)に告白された。

こうして私たちは付き合うことになった。

 

幸せではあったけど、私たちが通っている高校は男女交際を校則で禁止していた。

だから私と海渡はこっそりと付き合っていた。

 

でも、私たちのことは、あの―――名前も出したくない―――教師のSに知られてしまった。

 

このとき私も海渡も、推薦入試が決まっていた。

Sは私に、私と海渡のことが取り沙汰されたら、推薦は取り消しになると言った。

悪くすれば卒業も危うい、退学ということもありうるとも言った。

 

…せめて海渡だけでも守らなくてはと思って、私は…。

「海渡は…山辺君は悪くありません!私が、私が彼を誘ったんです!処分するなら、私だけにしてください!」

「何でもしますから!」

 

Sは…私の肉体を要求してきた。

拒めなかった。

そして、一度だけでは済まなかった。

私と海渡が交際している証拠はSが握っていたから。

 

一度だけでは済まなかった、でも済まなかった。

Sには「顧客」がいた。

Sに初めてを奪われてから二週間、私はSに肉体を「改造」されてしまった。

それからさらにSの顧客たちから欲望の捌け口にされ、私の肉体はさらに「変化」してしまった。

(この間、私は常に複数人の相手をさせられた。)

 

一月か一月半ほど経って、Sはいったん私を「解放」した。

でも私はSの手の内にあるままだったし、何より、私は以前の私ではなくなっていた。

 

 

 

僕・山辺海渡には、幼馴染みがいる。

その年の秋、僕は幼馴染みのさゆりちゃん―――三浦さゆりに告白した。

さゆりちゃんは、僕の告白を受けてくれた。

 

さゆりちゃんは僕の幼馴染みで、本当に小さい頃から、いつも一緒にいた。

小さい頃から、僕が誰かと添い遂げるとしたら、その相手はさゆりちゃん以外にはあり得ないと思っていた。

 

僕たちが通う高校は、男女交際が禁止されていた。

だからさゆりちゃんとは、こっそり付き合わなければならなかった。

幸せで満ち足りた日が続いたけど、あるときから二ヶ月ほど、さゆりちゃんとの時間があまり取れなくなった。

 

委員会の手伝いを頼まれてる、ということだったけど。

この二ヶ月の間、僕はさゆりちゃんへの想いを募らせていた。

はっきり言ってしまえば、悶々としていた。

 

その二ヶ月が経って、僕は久しぶりに、本当に久しぶりにさゆりちゃんの傍に立てた。

…でも、二ヶ月ぶりに見たさゆりちゃんは、何だか様子がおかしかった。

 

その日の夕方、学校が終わる頃、僕は廊下でへたり込んでいるさゆりちゃんの姿を見た。

「ど、どうしたの、さゆりちゃん。」

僕が駆け寄って、声をかけると…。

 

…さゆりちゃんは、僕に抱きついて、強くキスをした。

 

「さ、さゆりちゃん!?」

「お…おねがい、海渡…私…私、もう我慢…できないっ…だから…だから…ッ!」

 

僕は戸惑ってしまった。

さゆりちゃんは、僕を求めていた…。

さゆりちゃんがこの後言葉を続けていたら、僕も見境をなくしていたかもしれない。

でも、そのとき…。

 

僕たちの前にS先生が姿を現した。

 

 

 

Sは、私と海渡を生徒指導室に連れ込んだ。

 

私は、体も心もすっかり造り変えられてしまっていた。

いったん解放はされたけど、セックスへの欲求は常に私の肉体を苛んでいた。

大きなオチンチンをオマンコの中に突き入れられたい。

お胎の中を大量の精液で一杯にしてもらいたい。

敏感になった体を、体中を撫で回され、舐め回されたい。

何回も何回も、頭の中が真っ白になるまで、脳が壊れてしまうまイかされたい。

 

こんな妄想が私の頭の中を渦巻いていた。

そんな時に、海渡が私に声をかけてきた…かけてくれた。

耐えられるわけがなかった。

私は海渡に抱きついて、キスして、そのままどこかで…。

まさにそうしようとしたとき、Sが私たちの前に姿を現したのだ。

 

そしてSは、私と海渡を生徒指導室に連れ込んだ。

 

Sは私と海渡に、男女交際は校則で禁止されている…と、白々しく話した。

「ま、待ってください、誘ったのは僕の方なんです。処分するなら、僕だけにしてください。」

「何でもしますから。」

…海渡はSにそう言った…言ってくれた。

 

Sは海渡の懇願を嘲笑して、私と海渡に「ゲーム」を持ちかけた。

 

 

 

 

僕はS先生に、自分は処分されても構わない、さゆりちゃんは処分しないで欲しい、何でもしますから…と言った。

すると、S先生は僕とさゆりちゃんに、それじゃあ「ゲーム」をしようかと言ってきた。

 

…生徒指導室に、何人もの男の人が入ってきた。

全然知らない人たちだった、みんな大柄で、力の強い人たちだった。

僕は体を押さえつけられて、ズボンを脱がされて、下半身を丸出しにされた。

さゆりちゃんは、S先生に促されて服を脱いで、裸になっていた。

 

S先生は言った。

これから、この男の人たちがさゆりちゃんの身体を撫で回したり、舐め回したりする。

その間、僕とさゆりちゃんが耐えきったら、僕とさゆりちゃんの交際については黙認してくれると言った。

「わ…わかりました。」

僕はそう言ったけれど、このときの僕は軽率だった。

この男の人たちがさゆりちゃんの身体を撫で回したり、舐め回したりする間、僕とさゆりちゃんが耐えるゲームと言ったけど。

僕とさゆりちゃんがいつまで耐えれば良いのか、S先生は言わなかった。

そもそも校則違反に対する処分をどうするかについて、ゲームで決めるなんてあり得ないことだ。

そしてそのゲームが…S先生の言うようなゲームだということも、あり得ないことだ。

 

そんなゲームの話に、僕もさゆりちゃんも、乗ってしまった。

 

「耐える」という言葉の意味についても、S先生は説明しなかった。

その意味は、すぐにわかった。

意味がわかったとき、僕はゲームに負けていたのだけれど。

 

男の人たちは、S先生の言葉通り、さゆりちゃんの身体を撫で回し、舐め回し続けた。

撫で回され、舐め回されているうちに…。

「あうっ!?あッ…やあッ…あッ…。」

「っあああ!」

「や、やだっ…あッ!らッ!」

「…こんなッ…あ!?やッ!ふああ!」

…さゆりちゃんは、崩れていった。

 

崩れていくさゆりちゃんを見て、僕は耐えられなかった。

僕は忽ち…勃起して…射精、してしまった。

 

もう負けていたのに、僕は負けを認められなかった。

ゲームは続いた。

僕は負け続けた。

「あ…ッ」

「ふあッ!

「あ、ぁあっ…。」

「ふッ、うぅッ…!」

「あが、やあッ…ぁあッ…ふああ…おぁあ…。」

崩され続けるさゆりちゃん。

僕はまた勃起して、射精していた。

 

 

 

 

私がこの男たち―――Sの顧客に撫で回され、舐め回されている間、私と海渡が耐えられたら、交際の件は黙認するとSは言った。

Sがそんな約束守るはずがないのに。

海渡は、もう何度も射精していた。

私も…もう耐えられない。

私は、もう負けてる…。

 

大きなオチンチンをオマンコの中に突き入れられたい。

お胎の中を大量の精液で一杯にしてもらいたい。

敏感になった体を、体中を撫で回され、舐め回されたい。

何回も何回も、頭の中が真っ白になるまで、脳が壊れてしまうまイかされたい。

 

負けを認めたら、そうしてもらえる。

大きなオチンチンをオマンコの中に突き入れてもらえる。

お胎の中を大量の精液で一杯にしてもらえる。

敏感になった体を、体中を撫で回して、舐め回してもらえる。

何回も何回も、頭の中が真っ白になるまで、脳が壊れてしまうまでイかせてもらえる。

 

…海渡のオチンチンは…そんなに大きくもないし、すぐにイッちゃう…。

海渡のオチンチンじゃ、私を満たしてはもらえない…海渡のオチンチンより、この人たちのオチンチンの方が…。

 

 

 

 

「私の…負けです…。」

さゆりちゃんは、僕の前でそう言った。

「だから…だから…っ」

「お願いしますッ!イかせてください!」

「おチンポでアクメさせてください!」

「お願い!!お願いだから…ッ!」

「イかせてよぉっ!」

この絶叫を合図に、この場に集まった男の人たちは一斉にさゆりちゃんの身体に群がった。

男の人たちは入れ替わり立ち替わり、さゆりちゃんを犯していった。

 

「おォ!とけるッ!オマンコォ!」

「あはは!イグッ!イギッ!?」

「おおぉ、おォー!?あっ!あああ!?」

「ああ!おあっ!?」

「オマンコ!イグ!イグ!」

「あああぁー!?」

「出して!出して!オマンコ!ザーメンでいっぱいにぃーぃぃぃ!」

さゆりちゃんは大事なところを、入れ替わり立ち替わりに貫かれて、何度も何度も絶頂を迎えていた。

その間中、僕はさゆりちゃんに何か言葉を掛けていた。

掛けていたはずだけど、何を言っていたのか思い出せない。

僕の言葉に、さゆりちゃんはこう返してきた。

「ごめんんんんん!海渡おぉぉぉ!」

「私ッ!もう!このオチンチンのことしか考えられないいいいいイイイイ!」

「ダメなの!海渡のオチンチンじゃ、もうダメなのおおオオオオオ!」

「海渡は、海渡は何も悪くないのにイイいいぃ!」

「イキたいの!この大きなオチンチンでイきたいのおぉぉぉぉ!」

「ごめんなさああああぁぁぁい!」

…僕はもう、何も言えなかった。

この後のことで覚えていることと言えば…。

虚脱感、無力感と…それでも勃起して、射精してしまう自分。

 

そして。

射精する僕を見て、嬉しそうに息を切らせて喘ぐさゆりちゃんの姿…。

 

そうしていると、レイドジャケットを着た何人かの人が、生徒指導室に踏み込んできた。

そこで、僕の記憶はいったん途切れた。

 

 

 

 

Sの顧客たちは、屈服した私を入れ替わり立ち替わり犯していった。

海渡のオチンチンとは比べものにならないくらい大きなオチンチンが、私のオマンコを貫き抉った。

貫き抉られては絶頂し、中で射精されては絶頂した。

絶頂する度に、私は獣のような叫び声を上げた。

「んほおぉぉぉ!ほおっ!ほおおぉ!」

私は、もうダメになってしまった。

もう私のオマンコは、海渡のオチンチンじゃ満足出来ない。

普通のオチンチンじゃ、満足出来ない。

ごめん、海渡。

「ごめんんんんん!海渡おぉぉぉ!」

「私ッ!もう!このオチンチンのことしか考えられないいいいいイイイイ!」

「ダメなの!海渡のオチンチンじゃ、もうダメなのおおオオオオオ!」

「海渡は、海渡は何も悪くないのにイイいいぃ!」

「イキたいの!この大きなオチンチンでイきたいのおぉぉぉぉ!」

「ごめんなさああああぁぁぁい!」

 

…ああ、でも…。

海渡は、Sの顧客たちに犯されている私を見て勃起してくれていた。

中に出されて絶頂する私を見て射精してくれていた。

私は、こんなになってしまったのに。

もう、ダメになってしまったのに。

こんな私を見て、海渡が興奮してくれているのが、嬉しい…。

 

海渡が射精しているのを見ながら、私はまた絶頂した。

 

そのとき、Sの顧客とは違う人たちが、この部屋に入ってきたのが見えた。

そこで、私の記憶はいったん途切れた。

 

 

 

 

あのとき、僕とさゆりちゃんがいた生徒指導室に踏み込んできたのはお巡りさんたちだった。

僕は翌日にそのことを知った。

よくわからないけど、あのお巡りさんたちはS先生を逮捕しに来た…らしい。

翌日からしばらく、学校とその周辺は大変な騒ぎになっていたらしい。

どんな騒ぎになっていたのか?

僕とさゆりちゃんはしばらく家から外に出なかったから、詳しくはわからない。

あの夜、僕とさゆりちゃんが「警察に救出された」ということだけは聞いた。

いや、聞いてわかったことと言えば、それだけだったと言った方が良いかもしれない。

とにかくこの時、僕は…僕の頭は何を聞いても理解することを拒んでいた。

僕はそんな状態だったけれど、心のどこかでは、このままではいけない、と思っていたのかもしれない。

あれから何日経ったのかはわからないけど、僕はさゆりちゃんと学校に行ってみることにした。

 

 

 

あれから何日経ったのかはわからない。

それでもこの日、私の頭に考える力が戻っていた。

それにもかかわらず、この日私は学校に向かった。

何となく、私は今学校に行くべきではないとも思っていたのに。

考える力が戻っていた、と言ったけれど、その力は十分ではなかったのかもしれない。

考える力は十分ではなかったけれど、私の傍に海渡がいるのは、理解できていた。

 

学校には行ったけれど、この日学校で何があったかは思い出せない。

学校に辿り着いたあと、私の考える力は失われたのかもしれない。

ふと気が付いたとき、時間は夕方になっていて、私は校門に向かっていた。

私の傍には、海渡がいた…いてくれた。

 

「ダメなの!海渡のオチンチンじゃ、もうダメなのおおオオオオオ!」

…どうして今、私に考える力があるのか。

どうして今、あのとき生徒指導室で自分が言った言葉を思い出せてしまうのか。

海渡が心配そうな眼差しを私に向けていたことはわかっていた。

けれど私は、海渡の方に目を向けることができなかった。

 

 

 

夕方、僕はさゆりちゃんと家路に就こうとしていた。

学校にいたさゆりちゃんは終始上の空で、誰に話しかけられてもまともに反応しなかった。

僕が話しかけてもそうだった。

「ダメなの!海渡のオチンチンじゃ、もうダメなのおおオオオオオ!」

…生徒指導室で、さゆりちゃんに言われてしまったことを思い出してしまう。

やっぱりもう、僕じゃダメなんだろうか。

どんな形であっても、僕はさゆりちゃんの傍にいることはできないんだろうか。

 

「やあお二人さん、ちょっと話聞かせてもらっていいかな?」

僕たちの前に、男の人が立ち塞がった。

あまり感じの良くない人だった。

誰だろう?僕たちに何の用だろう?

 

「あの…どちら様ですか?僕たちは今から家に帰る所なんですが。」

「ああ失礼失礼、俺は…こういう者さ。」

男の人は僕に名刺を差し出した。

この人は雑誌の記者…らしかった。

聞いたことも見たこともないような雑誌の名前ではあったけれど。

 

「…僕たちに何の用なんですか?」

「君たちはあの日の晩学校にいて、警察に救助されたんだろう?あの日学校の…生徒指導室だっけか?そこで何があったのかなぁ?ちょっと俺に、聞かせてほしいんだけどねぇ。」

 

あの日、生徒指導室で何があったか僕たちに、話せ?

さゆりちゃんにも話せってことか?

そんなこと、させられるわけがない。

 

「…お話しすることはありません。家に帰らせてください。」

「つれないこと言わないでほしいなぁ。みんな知りたがってるんだよぉ?みんなのためだと思ってさぁ、ちょっと協力してくれよぉ。」

「やめてください…本当に。」

男の人が、続けて何か言おうとしたとき、男の人の後ろに忽然と現れた人がいた。

臙脂色のジャケットを着て、また臙脂色のベレー帽を被った、銀色の髪、褐色の肌をした…とにかく大きな女の人が、そこにいた。

「そうです、やめてください。」

その女の人は、男の人に対してそう言った。

 

「な、何だ?あんたは!」

「見ての通り、ここの警備員です。ここの生徒に対する取材などは、お断りしているはずですが。」

そういえば、学校が警備員を増員したという話も聞いたような気もした。

 

男の人と警備員さんのやりとりは続いた。

「んなこたぁ関係ねぇ!国民には知る権利ってヤツがあるんだよ、この国には報道の自由ってヤツがあるんだよ。」

「それならこのお二人には平穏に日々を過ごす権利があり、学校には…失礼ながら不躾な大人から生徒を守る務めがあり、私にはその務めに協力する義務があります。」

「けっ!知った風な口ききやがって!」

「あなたの権利・自由と、こちらの権利や義務が対立するというのであれば、まずは訴訟を考えられては如何ですか。」

「…テメエ…!」

「そんな暇は無いと仰るのなら、私を力づくで排除するしかありませんが。」

「煽ってるつもりか?」

「いいえ…私の方も、あなたに手を上げるつもりはありません。ですが人(・)間(・)の(・)あ(・)な(・)た(・)が(・)、私(・)を(・)力(・)づ(・)く(・)で(・)排(・)除(・)す(・)る(・)こ(・)と(・)な(・)ど(・)出(・)来(・)ま(・)す(・)か(・)?」

「……ッ!」

男の人は、それ以上何も言わずにこの場を立ち去った。

警備員さんは…艦娘の武蔵さんだった。

 

「ヒ…い、ぐ…ッ…ッ…。」

さゆりちゃんの声がした。

それで僕がさゆりちゃんの方を向くと、さゆりちゃんはその場に崩れ落ちてしまった。

「さ、さゆりちゃんっ!?」

 

「…医務室に運びましょう。」

武蔵さんはそう言うと、無線で誰かに連絡を取った。

「山城、校門で急病人が出た。私は一度校門を離れる。済まないが持ち場を代わってくれ。」

武蔵さんは軽々とさゆりちゃんを担いで、保健室に向かっていった。

僕も、武蔵さんに付いて行った。

 

 

 

気づいたら、夕方になっていた。

私は校門に近づいていた。

傍には海渡がいてくれた。

…学校は終わったらしい。

傍に海渡はいてくれたけど、私は海渡の方を向くことができなかった。

あんな姿を晒した上、あんなことまで言い放った私。

…もう海渡の…じゃ、満たされないであろう私の肉体。

どうして海渡は、こんな私に付いていてくれるのだろう。

考える力は(ある程度)戻っても、私にはわからない。

それでも私は…海渡の傍から逃げ出せなかった。

 

歩いていたら、私と海渡は男に呼び止められた。

感じの良くない男。

どことなく、Sの顧客と似通ったところがあるような…。

…そう思ったところで、私の考える力が弱まっていくのを感じた。

 

「君たちはあの日の晩学校にいて、警察に救助されたんだろう?あの日学校の…生徒指導室だっけか?そこで何があったのかなぁ?ちょっと俺に、聞かせてほしいんだけどねぇ。」

 

…あの日、生徒指導室で何があったか?

…考える力が弱まっていくのを感じながら、私はあの日のことを、思い出してしまっていた。

…私の肉体を撫で回す手、舐め回す舌。

…私の…オマンコに突き入れられる大きすぎるぐらい大きなオチンチン。

…その大きなオチンチンでオマンコを抉られる感覚…快感…。

…抉られた果てに達する絶頂…。

…オマンコの中に精液を打ち撒けられる感覚…。

…子宮が破裂するんじゃないかってほど中に出されて、また達してしまう絶頂…。

絶頂、絶頂、絶頂…脳が壊れてしまいそうな絶頂、どうして完全に壊れてしまわなかったのか。

壊れてしまっていた方が良かったかもしれないのに。

…それから…。

…私を見て、勃起して、射精し続けていた海渡のオチンチン。

そこまで思い出したところで、私は喉の奥から声を漏らし、意識を失った。

 

 

私が目を開くと、見たことのある顔が視界に入った。

…テレビか…動画サイトで見た…艦娘の、武蔵だ。

その武蔵さんが、私の顔を覗き込んでいた。

「気が付かれたようです。」

武蔵さんがそう言うと、今度は海渡が私の視界に入ってきた。

「…さゆりちゃん、その…大丈夫?」

海渡はそう聞いてくれたけど、私の口は動かなかった。

私は、保健室のベッドの上に寝かされていた。

 

私が海渡の言葉に答えないでいると、海渡は―――少し悲しそうな表情(かお)をして、私の傍から離れた。

それから、武蔵さんが海渡とやりとりを始めた。

「特に深く考えず医務室…保健室に運び込んでしまいましたが、病院に連れて行った方が良かったでしょうか。」

「…いえ…あの後、妊娠とかの検査のために、病院には行ったんです。…お医者さんは、体より心の傷の方が深刻だって仰ってました。」

「…あの後?…妊娠?」

「あ!…いえ、その…これは…。」

海渡は口を滑らせてしまったみたいだった。

 

「一体何が…いや、失礼しました。」

武蔵さんは話を打ち切ろうとしたけど…私は…。

「…いえ、聞いてください。」

「さゆりちゃん!?」

海渡は止めようとしたけど、私は武蔵さんに話すことにした。

あの時から、あの晩まで、私に、私と海渡に何があったのかを。

 

校則違反であるにもかかわらず、海渡と恋人同士になったこと。

そのことをSに知られて、脅されたこと。

Sの言いなりになって、言われるままに肉体を差し出したこと。

私には海渡がいるのに、何人もの男に弄ばれたこと。

そしてセックス無しではいられない肉体に造り変えられてしまったこと。

 

海渡の前で、大勢の男たちに犯されたこと。

海渡の前で、何度も何度も絶頂してしまったこと。

海渡のオチンチンじゃ、満足できないと思ってしまったこと。

…そして、そう思ってしまったことを、海渡に言ってしまったこと…。

 

海渡の前で、海渡以外の男に犯されて、それで気が狂いそうなくらい悦んでしまって。

その挙句に、海渡に向かって、あなたじゃもうダメなのと言い放ってしまって…。

 

こうして話をしている間にも、私は何度か軽く絶頂してしまった。

海渡を裏切って、他の男のオチンチンに悦んで。

今もこうして海渡の前で、他の男のオチンチンのことを思い出して絶頂して。

私は…最低で最悪だ。

私みたいな女は、この世の全ての人から侮蔑され、軽蔑されるのが相応しいんだ。

だから…まずは、この武蔵さんに軽蔑されよう。

私はそう思って、武蔵さんにこれまでのことを話した。

 

 

「…私は最低な女です…。私には、海渡がいるのに…海渡じゃない男のオチンチンに、あ…あんなに悦んじゃって…。それに、もう私の肉体は…お…オチンチン無しじゃ、セックス無しじゃ、いられない肉体に…。い、今だって…あの夜のことを思い出しただけで…う…うっ!」

僕はさゆりちゃんの話を止められなかった。

さゆりちゃんは、ここまで話したところでまた上り詰めてしまった。

上り詰めて、荒くなった息を整えるさゆりちゃんは、本当に辛そうだった。

…僕は…何もできなかった。

 

武蔵さんはさゆりちゃんの話を聞き終えると、腕時計を確認した。

「…お二人とも、よろしければ、もう少しここでお待ちいただけますか。」

そう言って武蔵さんは、保健室から出て行ってしまった。

 

…武蔵さんは、もう少しここでお待ちいただけますかと言っていたけど、なかなか戻ってこなかった。

さゆりちゃんは嗚咽し続けていた。

 

武蔵さんはなかなか戻ってこない。

それで、さゆりちゃんを落ち着かせてから帰ろうかと思い始めた頃に…武蔵さんが戻ってきた。

 

「待たせた…と言うか、待っていてくれたのか。」

武蔵さんは、警備会社の制服から私服に着替えていた。

黒と灰色を基調にした、カジュアルな格好だった。

武蔵さんは、出る前に座っていた丸椅子にもう一度腰を掛けた。

「話は聞かせてもらったが…何故話そうと思ったのだ?あまり他人に話すような話とも思えなかったが…。」

「………。」

 

武蔵さんはさゆりちゃんに尋ねたけど、さゆりちゃんは答えなかった。

武蔵さんは構わず話を続けた。

(そう言えば、武蔵さんは制服を着ていたときと喋り方が変わっていた。)

 

「まあ、こうして話し難いはずの話をしてくれたというのも、何かの縁というものだろう。」

「返礼と言っては何だが、貴女の話について私の思うところを語らせてもらおうか。」

「セックス無しではいられない肉体になった自分は最低だ。海渡君がいるのに、他の男とのセックスに夢中になった自分は最低だ…ということだったが。」

「貴女は私に喧嘩を売っているのか。」

 

 

 

「貴女は私に喧嘩を売っているのか。」

私の話を聞いた武蔵さんは、私に向かってそう言った。

…どういうことなの?私は、私自身のことを最低だと言っただけなのに。

 

「…わ、私…別に、武蔵さんに喧嘩を売ってなんか…。」

「貴女は、セックス無しではいられない肉体になった自分は最低だ、と言ったな。」

 

「私はセックスが好きだ。私は求められれば誰にでも…男にも女にも、艦娘にも股を開く。」

「誰かにイかされて精気を胎に受けるときの、あの頭の中が真っ白になる快感。」

「艦娘をイかせて精気を吸い出されるときの、あの全身に広がる甘美な快感。」

「どちらも私にとっては、生き物でいられることの喜び、生きる喜びそのものだ。」

「貴女は、セックス無しではいられない肉体となった自分は最低だと言ったが。」

「それはセックスを、生きる喜びそのものとして必要としている私が最低だということなのか。」

 

「ち…違う、違います!」

「そうか。では、どう違うと言うのだ?」

「そ…それは…。」

 

説明できない。

最低なのは私だけであって、武蔵さんじゃない。

考える力が足りない…言い訳が浮かばない…。

 

「貴女は、海渡君がいるのに他の男とのセックスに夢中になった自分は最低だ、とも言ったな。」

「…私は誰にでも股を開く艦娘(おんな)だが、恋人も、夫もいるぞ?」

 

…?

恋人と夫がいるって、どういうことなの?

そういう人がいるのに、誰とでも寝るって、どういうことなの?

私は、武蔵さんを問い詰めた。

「恋人も、夫もいるってどういうことですか。」

「いや、それより、そういう人がいるのに誰とでも寝るって、どういうことなんですか。」

「武蔵さんは、自分がその人たちを裏切っているとは、思わないんですか。」

 

「思わんね。」

武蔵さんは、私の問い詰めを一刀の下に切って捨てた。

 

「セックスは誰かと繋がるための営みだ。」

「絆を断ち切る行為じゃない。」

「少なくとも私が知る限り、確かな絆というものはセックス一つで途切れることはない。」

「現に私は、誰とセックスしていようと、夫や恋人たちのことを忘れたことはないし、忘れることもない。」

 

武蔵さんはそう言ったけど…言葉だけなら、何とでも言える…。

「…こ…言葉だけなら…何とでも…言えますよ、ね…。」

 

「…言葉だけと言うが、貴女だって…。」

「?」

 

「自分には海渡がいるのに、と言う言い方をしたではないか。」

「…そ…それが…どうしたって言うんですか…。」

「この言い方は、誰に犯されようと、どれだけ陵辱されようと、貴女の心にはいつも海渡君がいたということを示しているではないか。」

「……!!」

 

「誰に犯されても、どれだけ陵辱されても、貴女は海渡君を想い続けていたということではないか。」

「貴女は海渡君がいるのに、他の男とのセックスに夢中になった自分は最低だと言ったが。」

「他の男とのセックスに狂いながらも、海渡君のことを忘れず、想い続けた貴女は、本当に最低だと言えるのか?」

 

…そうだ…私、こんなになっても…まだ…海渡を…。

……でも……。

 

「でも…私…私の、肉体は…。」

「海渡のオチンチンじゃ…普通のオチンチンじゃ、満たされない…。」

「…こんな肉体じゃ、今は海渡のことを想えていても、いつかは…。」

 

 

 

…武蔵さんは、さゆりちゃんがまだ僕のことを想ってくれていることを証明した。

でもさゆりちゃんは、自分の体が、僕では満たされないかもしれないことに苦しんでいた。

体が満たされないことで、自分の気持ちが僕から離れてしまうかもしれないことを恐れていた。

 

武蔵さんは少し考えこんでから、口を開いた。

「少し猥談をさせてくれないか。」

 

そう言うと、武蔵さんは急に猥談を始めた。

武蔵さんが提督さんとセックスしてから宿舎に帰ると、姉妹艦の大和さんに力づくで犯された…という話だった。

力づくで、と言うことだったけど…。

「私の膣は姉さんの指を締め付けて放さなかった…実際、私は姉さんを放したくなかったしな。」

「姉さんが私に、あなたは私のお嫁さんなの、あなたは私の子を産むの…と囁く度に、それだけで私は達してしまったよ。」

(艦娘は艦娘同士で、姉妹艦同士ででも番(つがい)になることはあるし、人間の女性とも、艦娘とも子供を作ることが出来ると言うことだった。)

(さっき武蔵さんは自分には夫がいると言っていたけど、その夫というのは提督さんのことではなく、大和さんのことだった。)

…こう話す武蔵さんの表情は、目に見えて恍惚としていた。

 

武蔵さんは本当に夫が…大和さんのことが好きだということが伝わった。

それ以上に、武蔵さんは本当にセックスが好きなんだということも伝わった。

 

武蔵さんの話を聞いていると―――今はそれどころじゃないはずなのに―――僕は、勃起してしまっていた。

 

「ん…んんっ!」

さゆりちゃんがベッドの上で呻いた。

…これで何度目だろうか。

 

さゆりちゃんの呻きを聞いて、武蔵さんはさゆりちゃんの傍に寄った。

「…また、達したようだな。」

「………。」

 

「貴女は、もう普通の男根では満たされない…と言っていたが。」

「貴女はさっき私に話をしたときも達していたし、今私の話を聞いただけでも達したな。」

「貴女の肉体は、話だけでも、思い出すだけでも達してしまう肉体なのだ。」

 

さゆりちゃんは、ベッドの上で身を縮めてしまった。

「だがそれは、貴女を満たすのに普通でない…ご立派な男根など必要ないということにはならないか。」

「貴女に必要なものは、貴女の昂ぶりが鎮まるまで、貴女の傍にいてくれる相手なのではないか。」

 

「………。」

さゆりちゃんは、身を縮めたまま武蔵さんの話に聞き入っていたようだった。

 

武蔵さんはここで僕の方を見て、続けた。

「丁度ここに、貴女の昂ぶりが鎮まるまで、貴女の中に入りたいと願っている男根があるぞ。」

「む…武蔵さん!?な、何を…言い出すんですか!?」

 

「何を驚いている?好色・淫乱な私が、お前の勃起を見逃すはずがなかろう。」

「さゆりさんには十分な快楽が必要だ。お前もそのままでは辛かろう。」

「それともお前は、さゆりさんの中に入りたくないのか?」

「なら、場所を移して私としようか?」

 

僕が、武蔵さんと?

ありえない!僕は…僕には…!

「だ、ダメです!僕は…僕には…!」

 

「ダメ!」

…僕とほぼ同時に、さゆりちゃんがベッドから身を起こして叫んだ。

「ダメ!そんなのダメッ…!海渡は…海渡は…私の…私の…!」

 

 

 

保健室に、私と海渡だけが取り残された。

 

「話は決まったようだな。」

武蔵さんはそう言って、保健室を出て行ってしまったのだ。

武蔵さんは保健室を出る前に、ベッド傍のチェストに箱を置いていった。

…コンドームの箱だった。

 

私の前には、海渡がいた。

海渡は、確かにオチンチンを勃起させていた。

明らかに、私と二人きりになって戸惑ってもいた。

 

私は…私も…確かに海渡が欲しい。

私は、海渡を誘うことにした。

「来て…海渡。」

 

 

 

「来て…海渡。」

ベッドの上で、さゆりちゃんは服を脱ぎながら、僕に言った。

さゆりちゃんは、話の中で自分は汚された、汚れてしまったと言っていた。

でもベッドの上で裸になったさゆりちゃんは…すごく、綺麗だった…。

汚れてなんかいなかった。

僕も、覚束ない手つきで服を脱いで裸になった。

チェストに置かれたコンドームの箱を取ろうとしたとき、さゆりちゃんが僕の手を制した。

「つけなくて良いよ。」

 

 

「つけなくて良いよ。」

私はゴムをつけようとしていた海渡を止めた。

あいつらは…Sと、Sの顧客たちはゴムなんかつけなかった。

あいつらにさせたことを海渡にはさせないなんて、筋が通らないと思った。

「でも…。」

海渡は…まだ私に気を遣っていた。

今の私に、気遣いなんかいらないのに。

私は海渡を促すために、こう言った。

「できちゃったら責任を取る、ぐらいの覚悟…見せてほしい…今回だけで、いいから。」

 

 

「できちゃったら責任を取る、ぐらいの覚悟…見せてほしい…今回だけで、いいから。」

…さゆりちゃんと、誰かと結ばれるということは、本来そういうことなんだ。

僕はその覚悟を示さなければならないんだ。

僕は覚悟を決めて、ベッドの上に乗った。

 

 

私はそのまま、海渡を私の中に迎え入れた。

朝から何度もイっていた私は、すんなり海渡を受け容れることが出来た。

海渡は、そのまま…多分私を気遣って…ゆっくり腰を動かし始めた。

SやSの顧客たちに犯されていたときのような、気が狂いそうな快感は無かったけど…。

…放したくない、そう思った。

そして私の肉体は、私の思いに応えてくれた。

 

 

さゆりちゃんはすんなり僕を受け容れてくれた。

あんまり激しく動いちゃいけない…と、どこかで聞いたことがあったから、僕はとりあえず、ゆっくり腰を動かした。

さゆりちゃんは…僕をしっかり捉えようとしてくれていた。

気のせいかもしれなかったけど、僕にはそれが嬉しかった。

 

 

海渡は私の中ですぐに出してしまった。

…けど、力が全然衰えていないことは感じ取れた。

私の中を、中の感触を…悦んでくれてる?

次に海渡が腰を動かし始めたとき、今度は私の方がイってしまった。

 

 

さゆりちゃんの中が気持ち良すぎて、僕はちょっと動いただけで…出してしまった。

…でも、さゆりちゃんはこんな僕を、まだしっかり捉えてくれていた。

さゆりちゃんの気持ちに応えなくちゃ行けない。

僕の体は、よくわかっていた。

 

 

海渡は何度も私の中で出したし、私も何度もイった。

海渡は、何度も私をイかせてくれた。

何度も何度も、そう、粘り強く私をイかせて、私の肉体を…鎮めてくれた。

私にはわかった。

気が狂いそうになるほど気持ちが良かったとしても、Sと、Sの顧客が私にしたことはセックスなんかじゃなかったんだ、と。

あいつらが私にしたことは、ただの拷問に過ぎなかったんだ、と。

セックスっていうのは、今海渡が私にしてくれていることなんだ、と。

そして何度目かの絶頂の後…私は心地好く意識を失った。

 

 

…目を覚まして服を着ても、さゆりちゃんは夢うつつといった様子だった。

夢うつつではあったけれど、こんなに穏やかなさゆりちゃんを、僕は久しぶりに見た。

僕はさゆりちゃんを伴って、保健室を出た。

保健室の外には…武蔵さんが居た。

「もう良いのか、意外と早かったな。」

「武蔵さん?ずっとここにいたんですか?」

「…ここに近づく人間を、適当に言いくるめて追い返していたのでな。」

「え?」

「いや、なんでもない。」

 

「あ、そうだ、武蔵さん…これを。」

僕は武蔵さんがチェストの上に置いたコンドームの箱を武蔵さんに手渡した。

「…何だ、結局使わなかったのか。」

「はい…使いませんでしたし…これ、お返しします。」

「要らん。艦娘のセックスに避妊など無意味だ。」

「え…そ、そうなんですか…でも…。」

「いいから、それはお前が持っておけ。これからもさゆりさんと繋がり続けるつもりなら、それは必要だろう。」

…僕は武蔵さんに一礼すると、さゆりちゃんと一緒にその場を離れ、校舎を出て、家路に就いた。

 

 

 

それから私と海渡は、交際を再開した。

男女交際禁止の校則はどうしたのか?

結論から言うと、有耶無耶のうちに有名無実化した。

Sが関わっていた人身売買組織の事件は、結構広く報道された。

広く報道される中で、男女交際禁止の校則で脅されていた被害者女子…私のことだ…も居たことも、広く知られた。

それで、この事件を知ったフランスの政治家が、どういうわけかこの校則のことに言及した。

「犯罪や犯罪者を作り出すルールや規則は、現実に存在する。この男女交際を禁止する校則は、まさにそう言うルール・規則だ。」

本当にただこれだけの発言だったのだけど、この発言も広く知られて、うちの学校は酷く非難を受けることになった。

男女交際禁止の校則に対して非難が殺到したことで、この校則は有耶無耶のうちに有名無実化した。

私と海渡の交際は、こうして黙認されることになった。

私と海渡は、以来毎日のように会って…セックスもするようになった。

不思議なことに、海渡とセックスし続けているうちに、私の心身を苛んでいた強い性欲は、だんだんと鎮まっていった。

あいつらに植え付けられたセックスへの欲求は、薬物中毒みたいなものだったのだろう。

海渡とのセックスは、私の肉体から「クスリ」を抜いていってくれたようだ。

 

 

保健室でさゆりちゃんと結ばれた日の翌日から、僕とさゆりちゃんは、本格的に学校へ復帰するようになった。

校門や校内で、武蔵さんに会うこともあったけど、武蔵さんが僕たちに対して何か反応することは無かった。

あの時僕とさゆりちゃんが、武蔵さんと話をしたのは夢か何かだったのかと思うような対応だった。

でも、あの時の話が夢ではなかったと言うことは、僕と腕を組むさゆりちゃんの存在が証明していた。

強制捜査の騒ぎが落ち着いてきたころ、武蔵さんの姿も見なくなった。

それから、僕もさゆりちゃんも、武蔵さんには会っていない。

 

本格的に学校に復帰して僕は、僕とさゆりちゃんが警察から協力を求められていたことを知った。

S先生が関わっていたという、人身売買組織の件についてだ。

具体的には、証言してほしいことがある、ということだったのだけど…。

僕はともかく、さゆりちゃんに証言をさせるのはどうかと思った。

 

でもさゆりちゃんは、警察の要請に進んで応じた。

「私はあいつらに犯されまくった。」

「武蔵さんは、セックスって言うのは誰かと繋がるための営みだって言ってた。」

「このままじゃ、私はあいつらと繋がりを持ったままってことになる。」

「あいつらとの繋がりを断つためには…やっぱり、警察に協力するのが一番だと思う。」

…さゆりちゃんの決意を受けて、僕も警察の要請に応じることにした。

 

具体的にどう役に立ったのかはわからないけれど、僕とさゆりちゃんの証言は、警察の捜査を大いに助けたらしい。

ただ、あの日の晩、S先生が警察の手を逃れて、どこかに逃亡したということも知った。

 

 

…それから何年か経って、僕とさゆりちゃんは一年浪人してから大学に進学し、就職し、セックスの時にコンドームもつけなくなった。

この頃、僕とさゆりは、娘を…はるかを授かっていた。

子供はできたけど、僕とさゆりは相変わらず―――はるかの目を盗むようにして、ではあるけど―――セックスはしている。

あの時武蔵さんに会わなければ、僕とさゆりの人生は、こう巧くは行っていなかったと思う。

 

あるときふとネットのニュースを見てみると、アメリカで人身売買組織の摘発があったというニュースがあった。

警察と組織の間で、激しい銃撃戦があったとも出ていた。

その銃撃戦の中で、組織にいた日本人の幹部が…

…全(・)身(・)に(・)二(・)百(・)発(・)以(・)上(・)の(・)弾(・)丸(・)を(・)受(・)け(・)て(・)、病(・)院(・)に(・)搬(・)送(・)さ(・)れ(・)、そこで死(・)に(・)た(・)く(・)な(・)い(・)、助(・)け(・)て(・)と(・)言(・)い(・)な(・)が(・)ら(・)絶(・)命(・)し(・)た(・)…ということだった。

 

その、日本人の幹部というのは…S先生だった。

僕とさゆりの悪夢は、時を経て、僕たちとはまるで無関係の所で終焉を迎えたのだ。

 

僕は今、このことをさゆりに伝えるかどうか、思案している。


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