『天気の子』の帆高たちが逃げ込んだ先は、TRKのストリップ劇場だった!

そのステージに魅せられた陽菜だったが、プロデューサーからは向いていないと断られ――

そして、人柱の宿命が迫る陽菜と、そこから救い出すために帆高は――

作中の日付が8月だったので、《pure!?》の時間軸に合わせてみました。こちらの話も併せてご覧いただければと→https://syosetu.org/novel/275179/5.html

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【注意!】
天気の子とオリジナルキャラをクロスオーバーさせております。
そういうのが嫌いな人はそっとブラウザを閉じてください。


ストリップ・アイドルの天気の子

 僕たちの逃避行は新宿駅で止められてしまった。止むことのない豪雨によって。

 陽菜さんの家に押しかけてきた警官――明日には児童相談所まで――僕たちを引き裂く大人たちから逃れるためにどこか遠くへ――だが、こんなところで電車から降ろされてしまい、僕たちは途方に暮れている。通りは行き交う人々で混雑しているが、僕たちはそこにあまり溶け込めていない。時間帯と街柄が、あまり健全とはいえないから。特に、センパイは小学生だし。

 何軒かホテルやカラオケボックスを巡ってみたけれど、やはり帰路を失って足止めを食っている人は多いようだ。どこも満室で――あまつさえ、受付の時点で家出を疑われる始末。いや、実際そうなのだけど。このままうろつくこと自体が危ういのでは――そう考え始めていた頃――

「……あ」

 治安の良くない新宿の中でもさらに治安の悪い地域――黒ずんだ空によく似合う赤黒いアーチ――ここにはもうお世話になりたくはなかったのだが――その下で陽菜さんが何かを思い出す。

「そうだ。あそこなら……けど……」

 何を考えているのか僕にはわからない。けれど。

「……行こう、陽菜さん」

 僕はその場で彼女の背中を押す。きっと、僕より確実で、まっとうなアテがあるのだろうから。

 

 と、思っていたけれど――

「え、えぇ……?」

 見た目はただの劇場のようだった。しかし、一階の入り口から二階のフロントへと階段を登っていくにつれ、何だか雰囲気がおかしいことに気づき始める。そして――出演者たちのパネルが目に入ったとき、僕はつい足を止めてしまった。

 そんな僕に、陽菜さんが毒づく。

「ナニ見惚れてんの」

「い、いや……そういうわけじゃなくて……」

 というか、平然としてるセンパイの方がむしろ尊敬に値するよ……。だって、壁に飾ってある写真――綺麗なお姉さんから僕らと同じくらいの年頃のコまで色とりどりだけど……何かおかしい。みんな揃って変な脱ぎ方してるというか……胸とかはポーズや、えーと……モフモフした大きな襟巻きみたいので隠してるんだけど……上半裸でスカートだけ穿いてるとか。どうにもアンバランスで――つい、そこに惹かれてしまうというか。

 口ごもる僕に、ハァと露骨なため息をついて陽菜さんはこの施設の説明を始める。

「いざ踊り娘さんたちと出会ってキョドられたら私の方が恥ずかしいから」

 とのことで。

 陽菜さんが初めて来たのは――例のスカウトマンのところに行き着く前のこと。仕事探しの一環として、ここにも立ち寄っていたらしい。

「ス、ストリップ……劇場……!?」

「……ハァ、やっぱ先に話しといて良かったわ」

 う、うん……先に聞いといて良かった。予備知識なしに、そのー……うっかりすごい人に出会っていたら、さすがに平常心を保てなかっただろうから。

 ともかく、お金のためにここで踊りたい、と陽菜さんは考えていたらしい。だが、面接の時点で不合格。理由はよくわからないものだったそうだけど。

 だからこそ、陽菜さんは再びここへ来た。

「支配人さん、すごく誠実そうな人だったの。誠実がゆえに、私を舞台に上げなかった、みたいなところが感じられて」

「うーん……」

 理由がわからないことには何ともだけど。それでも、頼み事をしてもいい、と思える相手なのだから、悪い人ではないようだ。

 

 しかし――

 

「“社長”はね、外回りで出たまま雨で戻れなくなっててね」

「けど、“オーナー”ならダメだー、とは言わないと思うよ」

「なら、電話で“Pはん”本人に訊いてみればええやろ」

「ところが、“コーチ”から携帯の電池が切れそうだと先程連絡があったのです!」

「“店長”の携帯は型が古いですからね……」

「まあ、“プロデューサー”のことだから、どうにかして連絡してくれるでしょー」

 皆口々に色んな名前で呼んでいるけれど……ともかく、ここの社長で、オーナーで、コーチで、店長で、プロデューサーなのが……陽菜さんが頼りにしている支配人のようだ。なお、PはんのPはプロデューサーのPで、他にもPクンやらPちんやら、みんな適当に呼んでいるようだ。……呼ばれる方が混乱しそう。

 パーティションの向こう側では陽菜さんが一生懸命状況を説明しているようだけど……僕はストリップ劇場の洗礼を受けて見事にダウン……。ど、どうしてここの女の人はみんな、あんな平然と裸でいられるのだろう……? おっきい人から控えめな人まで……下の毛も人によってあんなに違うとは思わなかった。それどころか、きれいに剃って、そのー……子供みたいにスッとしたところが丸見えになっている人まで。何というか……もう、一生分のヌードを見てしまった気がする。凪センパイは、一応小学生だから気にされてないのかもしれないけど……僕、男子高校生なのに。あの関西弁のコとか、絶対僕より歳下だったぞ。

「なんやシッケーな。ウチはこれでも大卒やで!」

 ……マジか。どうやら陽菜さんも同じ印象を持っていたらしく、失礼を詫びている。

 僕はストリップ劇場の仕組みについてよく知らないけれど、ここは『TRK事務所』――彼女たちは『TRK26』というアイドルユニット――ストリッパーの――らしい。曲が始まると、最初は普通のアイドルっぽく唄っているけど、そんな女のコがステージ上で踊りながら脱いでいく――それがここの売りらしい。なお、『26』というユニット名はあくまで目標であり、まだ揃っていない、とのこと。だからこそ、陽菜さんも応募したわけだが。

 一度は面接を受けた縁だと言って、陽菜さんはいまもメンバーたちに必死で説得しようとしている。人は多いけれど、趨勢を握っているのはおそらくふたりだ。ひとりは、この場では珍しく服を着ている女の人――スーツ姿だったし、『社長』と呼んでいたし、おそらく事務を担う中心人物なのだろう。彼女は反対派で、“大きなイベント”が近日控えているのだから、リスクは避けたい、とのこと。

 そしてもうひとりは、『オーナー』と呼んでいた――ここは裸の女の人だらけだったのに、真っ先にその人に目が行ってしまった。すごく綺麗だとか、特別可愛いだとか、そういうことではなく――なのに、ダントツで存在感があって、陽菜さんに肘でつつかれるまでつい見惚れてしまったほど。そのあと我に返って、ここには裸の女の人で溢れかえっていることに気づき――鼻血が止まらなくなって、パーティションで囲まれた応接スペースに搬送されることになったのだが。

「困ってる女のコを雨の中に放り出した……なんてオーナーが知ったら、絶対心配すると思う。だから、ちゃんと話がつくまではいてもらった方がいいんじゃないかな」

 彼女は僕たちの味方のようで、メンバーの中で求心力もある。きっと、ステージリーダーのような立場に違いない。だからこそ、事務リーダーも真摯に熟考してくれている。

 だが、ここに別の声が上がった。

「 紫希(しき)ー」

 それは、『プロデューサー』と呼んでいた人の声だと思う。どんな人だったかは……目のやり場に困りすぎて覚えていないけれど。呼ばれた紫希さんは――というか、紫希さんが呼ばれたことで、みんな何か納得したらしい。

「……そうね、ここは 姫方(ひめかた)さんに任せましょうか」

 どうやら、ここで三人目の有力者が現れたらしい。

「貴方たちには少々恥ずかしいことをしてもらうけど……泊めてほしかったら我慢しなさい」

 貴方たち……? まさか、陽菜さんに何かを!?

「それなら僕が――ッ!」

 思わず飛び出してきてしまったが……うわ、やっぱすごい迫力。まさに、女子更衣室に入ってしまったかのような気不味さ。それ以上見ていられなくて僕はすぐさま下を向く。けれど――

「ちょうど良かったわ。貴方と、そこの少年」

 ……ん? 貴方たちって、僕と凪センパイのことだったのか?

 そして、どうやらそうだったらしい。

「ちんぽ見せて!」

 え?

 そういうことなら、陽菜さんにはムリだと思うけど。

 というか、いま、紫希さん……女の人が何の躊躇もせずに、ち……え?

 僕は声しか聞こえないけれど、事務の人が紫希さんを紹介しているようだ。

「彼女は 姫方(ひめかた) 紫希(しき)といって、ペニスを見れば持ち主の人柄がわかるの」

 うわ、今度はペニ……って……。さすがエッチな劇場だけに、そういう単語にまったく怯むことがないらしい。とはいえ……

「けど、僕、そのー……」

 とてもじゃないけど、見せられない状態になっていて……。

「んん~? もしかして、 勃起(た)ってないの? インポ?」

「いえいえいえいえっ!」

 紫希さんにからかわれて思わず否定してしまったけど……それって、いやらしいことになっていることを自白したも同然じゃないか!

 何だかもう、ここにいる女の人たちは僕が知っている常識とはあまりにもかけ離れていて……けど、混乱しているのは僕だけではなかったらしい。

「あれ? キミは見ないの?」

「見ませんっ!」

 紫希さんに煽られてるけど、陽菜さんは……良かった、見ないでくれるみたいだ。そして、真面目そうな事務の人も悪フザケを言っているのではないらしい。

「天野さんについて全幅の信頼は置けないけれど……一先ず、おつきの男子ふたりが信頼できるなら、男子たちの思いを信じましょう」

 これは……見せないといけないんだろうな……。いずれにせよ目は開けられないから、何も見えないまま、僕はカチャカチャとズボンを下げて……!

「おっ、顔に似合わず結構おっきいじゃん♪」

 う……紫希さんはいま、僕の股間を観察していることだろう……これは……恥ずかしすぎる……!

「んんー……へー……おっきい方は童貞かー」

「!?」

 待って。まさか凪センパイ……!? い、いやセンパイの方がモノは大きいという可能性も……って、僕が童貞じゃないんだから、もう消去法で……! ということは……僕の方が大きかったってことか。良かったー……って、背丈が大きい、ってことかも知れないけど。じゃなくて! センパイ、小学生でしょ!?

 陽菜さんが何も言わないってことは……知ってたか、勘づいてたか、それとも、言葉にしづらすぎる話題だからか。それに対してこの紫希って人は、本当に思ったことを口にしてしまうらしい。けれど……だとしても……!

「こっちのおっきいちんぽは参考になんないねー」

「!」

 そんな……。こんな恥ずかしいことさせられたのに……!

「だってこのちんぽ、そこの陽菜ってコにベタ惚れじゃん」

「!」

 え、え、いや、それは……ッ!? これに驚いたのは僕だけでなく……!

「しっ、紫希さんっ!? いきなり変なこと……!」

 陽菜さんだって、突然そんなことを言われてびっくりしてるし……! というか、もう、紫希さんはあまりにフリーダムすぎる!

「こっちのちんぽは陽菜ってコが大好きすぎて、何でも全肯定するだろうし。弟ちんぽの方も姉想いすぎるし。けど……どっちもい(・)い(・)ちんぽであることは保証するよ」

 何かもう……情報量が多すぎてついていけない……。ただ、一先ず……。

「そ、それでは、もうしまってよろしいでしょうか……?」

 こんなところで 露出(だ)し続けるのはさすがにツライ……!

「うん、いいよー。そのちんぽ、陽菜のおまんこにしか 挿入(はい)りたくないってゆってるし。一途だねー」

「帆高ッ!?」

「言ってないよッ!?」

 何で僕が怒られるの!?

「じゃあ、他の人でもいいってこと!?」

「そんなこと言ってないし!」

 目は開けられないけど……紫希さんの所為でもうグチャグチャだ! そして、本人にこの場を収めるつもりはない。

「け・ど~、こっちのちんぽはもらっていいよね~? この小ささで結構場数踏んでるし~……んふふ~❤」

「うわっ、ちょっ、待って! せめてズボンを――」

「ヤっちゃう? ヤっちゃう? じゃあ、あたしも~」

 こちらの声の主はわからない。けど、扉が開く音がして、凪センパイの叫び声が遠のいていって……話が終わったことを理解した。

「天野さん」

「は、はい……」

 僕はちらっと覗いてみるも――やっぱりまだ肌色だらけだったので、再び目蓋に力を込める。

「一応、おつきの男子ふたりは誠実そうだから…… 蒼泉(あおずみ)さんの案を採択します。あのコたちの信頼を裏切らないようにね」

「はいっ、ありがとうございます!」

 ふぅ~~……と僕は息をついた。これで、雨の中を右往左往することもないだろう。

 さて、これからどうしようか、と思えば――

「あ、そうだ陽菜ちゃん」

 この声はリーダーの蒼泉さんだ。

「私たち、これから本番なんだけど……観に来る?」

 普通のステージなら僕も観たいくらいだけど……ここはストリップ劇場なわけで……。

「え、えーと……」

 入るときは堂々としていた陽菜さんだけど、いざ観るかと言われるとさすがに怖気づくようだ。

 しかし。

「いやいや 歩(あゆむ)はん。陽菜はんも彼氏はんと一緒に過ごしたいやろ」

「彼氏じゃありませんっ!」

 ちんまりした大阪弁のコに勘違いされて、陽菜さんはすぐさま全力否定。

「是非っ、鑑賞させていただきますっ! 私にもお手伝いできることがあるかもしれませんしっ!」

「陽菜さんっ!?」

「ぬっ、脱がないわよ! ナニ想像してんのよエロ帆高っ! 変態っ! あんなにちんちん 勃起(お)っきくして!」

 何だか酷い言われようだ。けど、この状況じゃ仕方がないわけで――

「というか、見たのッ!?」

 見ないって言ってたのに!

「見てないっ! 浮気アホちんちんなんて知らないッ!」

 ひ、陽菜さんの言葉遣いが一気にここの人たちに染まってきてるぞ……?

「浮気ー、ってやっぱつきあってんじゃん」

「でも、男の人は、女子の裸には反応しちゃうものだから……」

「知りませんっ! さあっ、行きましょうっ!」

 色んな人に突っ込まれたりフォローされたりしながら……どうやら、みんな部屋から出ていったらしい。シンと静かになって……僕はゆっくりと目を開ける。今度こそ、誰もいない。

「ふぅ~~~~~…………」

 緊張の糸が切れて、僕はその場で尻餅をついた。

 泊めてもらう立場である以上贅沢や我儘は言えない。けど……何かもう、外の嵐どころじゃなかったな。本当に、これまで僕が知っていた女性像が根底からボロボロに崩れてしまったような気がする。

 そして、冷静になってみると……僕は、陽菜さんにそこまでベタ惚れ……してるのか……? ここまで自覚してなかったけれど……うん、やっぱり僕は、陽菜さんと離れたくなくて、こんなことを……。うわ、うわ、ドキドキしてきた……! けど……僕が拳銃なんて発砲しちゃったから陽菜さんを巻き込んでしまったということでもあり……それは、本当に申し訳ない。

 ……陽菜さんは、紫希さんの言葉を信じてるのかな。いや、普通は信じるわけないけど……ただ、浮気、って言われて、ちょっと嬉しかった……なんて言ったら怒られるかな、やっぱり。

 

 この部屋は控室と聞いていたけれど、さっき僕が横になっていた応接間もあるし、隅の方にはウレタンマットの敷かれたレッスンスペースもある。さらには、普段は支配人さんが使用しているという簡易ベッドまで。さっき、事務の人――彼女は 高林(たかばやし) 霞(かすみ)と名乗った――が、そこで寝てていいと勧めてくれたけど……何だか申し訳なくて、僕はマットの方で借りたタオルケットに包まっていた。陽菜さんがどこで寝るのかはわからないけれど、女のコ同士だしうまくやっていることだろう。

 今日は雨の中を歩き回って本当に疲れてしまった。電気を消して、目を閉じればすぐに睡魔はやってくる。が、慣れない場所で緊張していたことは否めない。カチャリ、というドアノブが回された小さな音だけで、僕はすぐに目を覚ます。

「あ、起こしちゃった?」

 そう謝るのは――陽菜さんひとり。

「あれ? 凪センパイは?」

「凪なら……攫われたよ」

「え!?」

 僕がひどく驚いたものだから、陽菜さんも慌てて訂正する。

「あ、いや、物騒な意味じゃなくて……踊り娘さんたちに、カワイイカワイイ、って。近所に住んでるメンバーもいるみたいだから、そっちに」

「そうなんだ。けど、陽菜さんは……」

 センパイも無事なようで一安心である。けど、そういうことなら陽菜さんも一緒に泊めてもらえば良かったのでは。

 けれど。

「それは……断っちゃった」

 陽菜さんは僕が寝ているところから少し離れたマットの上に腰を下ろす。

「どうして?」

 僕は尋ねる。陽菜さんの顔は暗くて見えない。だから、どんな思いでその言葉を紡いだのかはわからないけれど。

「もう少し……帆高と一緒にいたかったから」

「え……?」

 それは、さっき紫希さんからあのようなことを言われたにも関わらず……!? 僕だって、陽菜さんの傍にいたい。けれど、こんな雰囲気じゃ……! つい、ゴロリと寝返り、彼女の方に背を向ける。

 僕も陽菜さんも何も言えないので、いよいよ変な空気になってきた。かといって……さっきの状況はあまりに奇妙すぎて話題にも挙げづらい。

 しばらく沈黙が続いた後……陽菜さんがポツリと呟く。

「……すごかった」

「何が?」

「歩さんたちの、ステージ」

 裸になって唄って踊る――それは、同性の目から見ても胸に来るものがあったのだろう。かといって、僕も観たい、とは言えないが。

「私ね……初めて見ちゃった」

「それは……うん、そうだろうけど」

 当然、僕と違って女の人の裸を、という意味ではない。

「じゃなくて……」

 セックス、と小さく口にした。

「え? ストリップ劇場って……」

 裸になって唄ったり踊ったりするところじゃ……?

「……うん、裸になって踊るところだけど……その後、『まな板ショー』っていって、ステージにお客さんを上げて……昭和の頃は普通にどこでもやってたそうなんだけど」

「そ、そうなんだ……」

 ストリップ劇場というところは、僕が想像していたより遥かに激しい場所だったらしい。

 再び、少し沈黙して。

「初めて見ちゃった。しかも、生で」

「そ、そっか……」

 もしかしたら、ネットで動画くらいなら……かもしれない。けど、生で、はさすがにないだろう。しかも、そういうことなら当然、踊り娘さんだけでなく……

「けど……帆高の方が、すごかったから」

「そ、そう……」

 これは、褒め言葉と受け取っていいのだろうか……?

「初めて見たのが、帆高ので良かった……。もちろん、凪のは家族だから別として」

「う、うん……」

 どうしよう……陽菜さんからこんな話題を振られるとは思っていなかった。急に話を変えることもできずに、僕は陽菜さんに振り回されている。

 すると。

「私ね、その……今日、雨の中を歩きながら心に決めてたことがあるんだけど……」

「うん」

 ようやく変な話から変わってくれたので、僕の気持ちも落ち着いた。

「……やっぱり、揺らいじゃったかも。だって、すごいもの、見ちゃったから」

「う、うん。そうだね」

 どうやら、初めて見るステージは陽菜さんの決意をひっくり返すほどの爆発力があったようだ。

「だから……みんなにはもう少しだけ迷惑かけちゃうけど……」

「うん、構わないよ」

「じゃなくて」

 陽菜さんは少し語気を強くしたが、すぐ穏やかに。

「帆高だけじゃなくて、みんなに」

 それが、どういうことかわからない。けれど、僕の気持ちは決まっていた。

「だったら、それを僕も背負うよ」

「どうやって?」

 それを言われると……そもそも、陽菜さんの言葉の真意がわからない。

 けれど。

 どんなことだって背負う覚悟を僕は見せる。

 時刻は――もう、午前〇時を回っているから。

「陽菜さん」

 僕は起き上がり、ポケットからそれを出す。迷いに迷い、恥ずかしくなるほどの時間をかけて選んだ、その小さな指輪の箱を。

「わぁ……ありがと」

 十八歳の誕生日、おめでとう――それは祝いの品というだけではなく――僕からの決意の証ともなった。僕はもう、何があっても陽菜さんを放すことはない。だからこそ、ここまで来たのであって。

 気に入ってもらえるか――何より、僕の想いが伝わるかの不安はあった。けれど……もしかしたら、先程の紫希さんによる支えもあったのかもしれない。指輪をつけた陽菜の笑顔にほのかな熱が感じられる――のは、僕が意識しすぎているからかもしれない。いずれにせよ、僕は頬が染まっているのが自分でもわかる。

 少しして――陽菜さんの顔が緊張して強張った。

「お願いがあるの。聞いてくれる?」

「……なに?」

 改まって言われると、こちらも緊張する。けれど、陽菜さんのためならどんな協力だって惜しまないつもりだ。

「少し横になっててくれる? それで……私がいいよ、って言うまで、目を瞑って、じっとしてて欲しいの」

「よくわからないけど……うん」

 僕からの返事をもって――部屋から声が消えた。ただ、外の大雨の音だけが静かに、そして力強く響いてくる。

 そして、僕はマットの上に仰向けになると、僕は――

 

 ――僕は、陽菜さんとの約束を守り通した。

 決して目を開けることなく、自分から指一本動かすことなく。

 だけど。

 

「……こんなこと、しなきゃ良かった……」

 僕の胸で、陽菜さんが泣く。

「これでおしまいにするつもりだったのに……最後の思い出のつもりだったのに……!」

 何を……? 僕たちの間に、終わりにしていいことなんて何もないはずだ。

 けれど、それを尋ねる必要はない。

「でも……こんなに幸せになっちゃったら……終われないよ……」

 だから、何を終わらせようとしていたか、僕が知る必要なんてないのだろう。

 こんな僕にできるのは、陽菜さんをそっと抱きしめることだけ。

 何を終わらせようとしていたのか、僕は知らない。けれど――何ひとつ終わらせるつもりはない。僕たちに何も足させず、何も引かせず――何があっても、僕たちは一緒にすべてを背負っていくのだから。

 

 あの後――僕たちはいつの間にか眠っていたらしい。昨晩の陽菜さんの様子を思うと、どんな言葉をかければ良いのか――そんな心配をよそに――

「あっ、帆高起きた?」

 どうやら、陽菜さんの方が先に起きていたらしい。いまは何時だろうか。まだ雨は降り続いているようで、窓の外は暗い。陽の光が入ってこないとなかなか目も覚めないものだな。

 だから――何だか今日の陽菜さんは可愛いな……などと、僕はぼんやりしている。

「それじゃあ……見ててねっ」

 違和感の正体は服にあったようだ。いまどき珍しいセーラー服――陽菜さんはいつも可愛いけれど、学生服を着ていたところは見たことがない。

「ふふふふ~ん♪ だから~♪ ふふふふ~ん♪」

 陽菜さんは鼻歌を唄いながら、床の上でステップを踏んでいる。それで何となくわかってきた。あれはきっとステージ用なのだろう。ここは劇場なのだし、そういう衣装があっても不思議はない。

 陽菜さんはクイクイと腰を振りながら――ストン。

 ――え?

 唐突にスカートが床に落ちた。白いパンツが丸出しになっているのに――陽菜さんには焦る様子がない。これに僕は、まだ寝起きで夢心地なのと――昨(・)晩(・)から続く夢心地――その綺麗な両足につい釘付けになっている。

 そして今度は、上着の方まで。両腕を交差させて、まるで振り付けのように――けど、裾はしっかりと握られていて――顎の下をすいっとくぐって頭の上を抜けていった。

 陽菜さんの下着姿――胸は見た目通りに控えめで、ブラも真っ白で可愛らしい。見慣れぬセーラー服も可愛かったけど、下着で踊る陽菜さんもまた可愛い。すっきりした体型だからか、どことなく健康的にも見える。

 けれど、ここからさらに――くいっ。

「…………」

 陽菜さんはブラに下から親指をかけると、ひょいと持ち上げてしまう。覆っていたなだらかな丘を撫でるように。そこから現れたのはピンクの山頂と、そこに芽吹いた小さな蕾――膨らみに見合った控えめな色合いで――僕にはそこから目が離せない。陽菜さんのダンスに夢中になり、いつの間にか身を起こして見入っている。

「ふふふふ~ん♪ ふふふふ~ん♪」

 唄って踊りながら――陽菜さんはブラを最後まで上げきってしまった。パンツ一枚で――陽菜さんの胸が左右に揺れる。口ずさむメロディも明るく、僕の気持ちも明るくなってくるようだ。

 ぴょんぴょんぴょん、と跳ね――後ろを向くと綺麗な背中が現れた。丸いお尻を包むパンツも可愛らしい。けれど、それを陽菜さんは自ら下ろしていく。するりとお尻の割れ目が僕の目に飛び込んできた。こちらも胸と同じくすっきりしていて、健康的ながらも可愛らしい。そしてそのまま足首まで下着を通して――ここから、彼女の服は何も見えない。うなじから背中、お尻から踵まで――すべてが肌色の陽菜さん――そんな彼女がぴょんと飛び上がる。こちらに身体を向けるために。

 陽菜さんのすべてが――可愛い胸から――女のコの股の間まで――こちらの毛もやはり控えめで、ふわっとしたものが割れ目の上を薄っすらと覆っている。心なしかくびれた腰も可愛いし――僕はどこを見ていいのかわからず、目を泳がせずにはいられない。

 そうこうしているうちに、僕は陽菜さんと目が合った。恥ずかしそうに頬を染めながら――それでも嬉しそうに微笑んで。

「ふんふんふ~ん♪ ふふふふふ~ん♪」

 裸で唄って踊る陽菜さん――こんなの、可愛くないわけがない。この劇場では、きっとこのようなショーが行われているのだろう。こんなところを魅せられたら――僕だって、おかしくなってしまったかもしれない。

 陽菜さんはキビキビと腕を振り――ビシリとポーズを決めた。どうやら、これで楽曲ひとつ終わったらしい。これは、拍手とかした方がいいのか……? あまりの可愛さに僕は……もう、何も言えない……。

 申し訳ないことに、僕は無反応になっている。けれども、陽菜さんは上機嫌だ。

「前に、ここの支配人さんに、私には向いてないって言われたのが気になっててねー」

 どうやら負けず嫌いらしい。

「私にだってできる、ってめっちゃ気合い入れて練習しちゃった」

 一晩でここまで踊れるようになったのなら、向いていないことなどないだろう。

「それに……ちゃんと興奮してくれてるし」

 陽菜さんの視線を浴びて、僕はようやく気がついた。

「……っ!!」

 そ、そういえば、僕はあのまま寝落ちしてしまったんだっけ……! 思わず隠してしまったけれど……陽菜さんの姿を改めて見上げて、僕はその手を床に下ろした。そんな僕を、陽菜さんは満足そうに眺めている。

「実際のステージではこの後『まな板ショー』もあるんだけど……?」

 その微笑みは僕の胸をドキリと打つ。陽菜さんのふたつの膨らみが僕に向けて無防備に近づいてくるから。それを僕は受け取るべく両腕を伸ばすも――

「……あ、そろそろリハだっけ」

 陽菜さんは取り上げるように背筋を伸ばす。そんな雰囲気でもなくなったようなので、僕は少しズッコケつつも……どこかホッとしていた。

 が、女のコが屈むことなく立ったまま、座っている僕に近づくということは――

「ほら、ここはみんなが着替えたりするから……ってどこ見てるの」

 そう言われて、僕は我に返る。だ、だって、女のコのアソコがこんな近くにあって……この距離ともなると、毛の向こう側の割れ目までしっかり覗き込めてしまうから、つい凝視してしまった……! けれど、陽菜さんの手は腰に。 視感(み)られることに抵抗がない……かと思えば、やっぱり顔は赤く染まっているので、恥ずかしいことは恥ずかしいようだ。それでも、その表情にはどこか自信も感じる。さっきも言っていたとおり……陽菜さんはここでやっていきたいんだな。それができる、という証明。今日も、リハに参加するような雰囲気だし。昨晩観たものは、そうさせるだけのステージだったのだろう。

「あ、うん。僕はロビーにいた方がいいよね」

 僕はパンツを穿き直しつつ立ち上がる。それでも、陽菜さんは自分の衣装を着直すつもりはないようだ。

「ま、帆高が大丈夫そうならここにいてもいいけど? みんなからこんな感じで……いじられてもいいならね」

 陽菜さんはニヤニヤ笑いながら、その手をおもむろに僕の……アソコに!? 慌てて飛び退いたことで、陽菜さんは返答として受け取ったらしい。

「だからほら、行きなさい」

「……はい」

 い、いまのは……冗談だよな……? 陽菜さんはすっかりここに馴染んでいる。けど、僕はもう少し時間がかかるかもしれない。

 

 さて、この街はよほど周囲に迷惑をかけたり――特に、街の外に悪さをする人以外は基本的に他者の行動に対して見て見ぬ振りをするのが通例になっているようだ。僕は以前にやらかしてしまっているけれど、これ以上何かをやらかすことがなければ積極的に捜査の手が回ってくることはないらしい。雨がずっと降り続いていることもあり、積極的に外出しようとは思わないけれど。いまはさすがに逃げてきたばかりなので不安定だが、少し落ち着いたら買い出しとかにも出れるようになりそうだ。

 劇場……というか、TRK26というグループに参加しているのは現在のところ十七人。事務の人かと思っていたお姉さんの霞さんもいざとなったらステージに上がるというのだから驚きだ。支配人さんは未だに帰ってこない。だからこそ陽菜さんは、責任者が帰ってくる前にスキルを磨き、本番を前提としたリハにも参加している。陽菜さん自身はいつでも舞台に立てるよう準備は万端だけど、僕としては……陽菜さんの可愛いところを他の男たちに開かすことにちょっと抵抗があるような……。一応、支配人さんが返ってくるまで出演は保留となっているものの、自分が十八人目になるんだと陽菜さんは張り切っている。

 

 しかし――その願いは叶わないことを思い知らされた。

 

「ありがとうございます。アタシに、チャンスを与えてくれて」

 

 霞さんが初日に漏らしていた『大きなイベント』――それは、唐突にやってきた。ホームページ上で『驚天動地のスペシャルゲストがまさかの乱入!?』と告知されていたのは知っていたけれど――霞さんが一部のメンバーを除いて秘密にしてきたのも頷ける。

 マジで本物? ――肘でつつく陽菜さんは目で僕にそう問いかけている。これに対して僕は――何も言えない。何も言わさない百戦錬磨の圧力――それこそ、本物の証のように感じられる。

 昨年末、事務所を跨いだ熱愛報道によって引退に追い込まれ、テレビではその名を出すことさえ禁忌とされている元トップアイドル・ 古竹(ふるたけ) 未兎(みと)――彼女が僕たちの目の前に立っている。今日のステージは特別だと聞いて、他のメンバーも全員この控室に集まってきていた。ただし、スペシャルゲストに粗相がないよう、みんな着衣で。……いや、紫希さんや 蘭(らん)ちゃんは相変わらず全裸だけど。

 告知上ではスペシャル“ゲスト”とあったが、霞さんの話によると正式にメンバーとして加わるようだ。さすがに、それを押しのけて陽菜さんが十八人目となることは難しいだろう。それでも、十九人目を目指す意思は変わっていないに違いない。

 けど……もしかしてここって、僕が思っていた以上にものすごい事務所なのだろうか。まさか、あの古竹未兎がステージに立つなんて。しかも、ここ、ストリップ劇場なんだけど。と、いうことは……そういうこと、なんだよなぁ……? 観てみたいけれど……うぅ……何だか悪い予感もするし……!

 

 僕の悪い予感は、まったく予想外のところで発生した。

「急遽順番を入れ替えて! 古竹さんはすぐに準備を!」

 本番中、妙なオッサンが関係者エリアにやってきたと思えば霞さんと少々会話を交わし――僕と陽菜さんはたまたま廊下で見かけただけなので、何があったかはわからない。けれど、その雰囲気から、トラブルが起きたことだけは伝わってきた。

 霞さんは舞台袖と通話を繋いで慌ただしく指示を飛ばしているけれど……直接言った方が早い、と 宮條(みやじょう) 桃(もも)ちゃんがやってきた。可愛らしいツインテールで背は低いけど、そのー……胸が……どうやらメンバー中でも最大級らしく、数値としては、何と三桁。その特徴的な体型から、さすがに僕の記憶にも鮮明に残っている。なお、紫希さんと並んで凪センパイと遊んでいる筆頭でもあり、その縁でセンパイは紫希さんのマンションでお世話になっている、とのこと。センパイのアソコを両側から挟んでいる生オッパイの写真が送られてきたけど……いや、紫希さんも相当に大きいとはいえ、桃ちゃんのソレは……まさに規格外と言わざるをえない。

 ボインボインと大きな胸を揺らしながら小走りで到着した桃ちゃんだけど、その表情はやはり必死だ。

「霞さんー、 糸織(しおりん)がいきなりは無理だってー。 春奈(るなるん)たちの出番、もう終わりだし」

 桃ちゃんはメンバーを愛称で呼ぶのでわかりにくいけれど……ともかく、そこに差し込むことはさすがに難しいようだ。しかし、霞さんも当然タイムテーブルは把握している。だからこそ。

「……私が出て時間を稼ぎます」

 か、霞さん自ら!? これは……ちょっとカッコイイかも……!? 事務員だと思われていた霞さんがどんなステージを魅せてくれるのか……あ、いや、僕が観ていいものかはわからないけれど。

 しかし。

「そう言うだろうから止めてきてくれって。Pクンもいないし、霞さんまで 出演(で)ちゃったら、誰が裏で統率すんねんー、ってしおりんがゆってる」

 そうか……普段は支配人さんがしていた役割を霞さんが担っていたらしい。そうなると――

「陽菜さん……?」

 僕と一緒に様子を見ていた陽菜さんが、小走りで渦中へと入ってゆき――

「だったら……私が……!」

 え……?

 これは予想外だったようで、霞さんたちも驚いている……というより、キョトンとしている。だから、陽菜さんはこちらへ振り返り援護射撃を求めてきた。

「かっ、歌詞は覚えてないけど……踊りなら……ねっ、帆高!」

「そのー……うん、すごかった……!」

 思わず背中を押すようなことを言ってしまったが……良かったのか……?

 霞さんは少し考えて……けれど、やはり時間がなかったらしい。

「楽曲は……天野さん、何ができる?」

「『脱がせて! セーラー服』ならっ」

 どうやら、これが昨日陽菜さんの踊っていた曲の名前らしい。それを聞いて、霞さんはすぐさま段取りを再構成する。

「 沖道(おきみち)さんたちの曲が終わったら 緞帳(どんちょう)を下ろして Schooling High!!(スクハイ) は幕裏でコーラス。天野さんには最初から盆に立ってもらうけど、できるわね?」

「は……はいっ!」

 それはつまり……正規メンバーの生歌をバックに陽菜さんが踊る……ってこと!? 会場の、男性客たちの前で……!

「わおー、Schooling High!! feat. あまひーじゃん!」

 天野陽菜だからあまひー――桃ちゃんからはすでにニックネームで呼ばれる仲になっているようだ。

「歌の方はあたしたちに任せてねっ。行こう、あまひー♪」

「う……うんっ!」

 陽菜さんは桃ちゃんに手を引かれて走っていく。これからあのセーラー服に着替えて……そして脱ぐのだろう。控室ではあんなに輝いていたのに……本番に向かってゆく陽菜さんの横顔は、ちょっと苦しそうに見えた。

 それが終われば、あの古竹未兎のステージもある。だけど……僕には、それらを観る気にはなれそうもない。

 

 古竹未兎の電撃ストリッパーデビュー――あの日は問題が立て続いたこともあり、まな板ショーは行われなかった。けれど、今後は避けられないだろう。陽菜さんに、その覚悟はできている。けれど、僕は――いや、僕が覚悟することなんて何もないはずなのだけど。なのに――この気持ちは何なんだろうな……。

 あの騒ぎから一晩明けて――まだ雨は降り止まない。が、支配人さんも移動手段の目処が立ったようで、明日には戻ってこれるらしい。陽菜さんが加入できるか――何より、僕たちをこのままここに置いてもらえるのか――様々な不安を抱えながら、僕はロビーでぼんやりしている。売店に飾られている写真はどれもおっぱいが丸見えで……未だに目のやり場が落ち着かない。さすがに、女の人たちの裸にも慣れてはきたけれど、ジロジロ見ていいものでもなさそうだから。

 陽菜さんは明日に向けて控室のマットスペースで練習を続けている。応援したい気持ち半分、もう半分はよくわからない。

 ひとり冷たいクッションベンチに座り、僕は自分の胸中に問い続けている。僕は――陽菜さんにどうなってほしいのか。僕は陽菜さんと、どうしたいのか。

 そこに――

「おいっ、帆高はん、ちょいと 来(き)ぃ!」

 ロビーに飛び込んできたのは……関西弁で小さな大卒生―― 丘薙(おかなぎ) 糸織(しおり)さんだ。胸は陽菜さんよりも薄く、いまだに歳上だというのが信じられない。むしろ、その乳首だけが膨らんでいるのが不思議なくらいだ。けれども、下の毛はちゃんと生えており――本人曰く、ここを剃ってしまうと本気で違法ロリと間違われかねない、と軽い調子で笑い飛ばしていた。普段からそんなノリの人なのだけど……今日は何やら切迫している。あまり裸でうろつくことのない彼女が裸のままここまで走ってきたのだから――僕はすぐさま席を立った。僕が呼び出される理由なんてそう多くもない。

 

 通されたのはやはり控室。糸織さんの様子からいまはレッスン中で、みんな裸だろうということは予想できていた。だから、というわけではない。僕が女の人たちの裸に怯まなかったのは――

「ほ……帆高……どうしよう……」

 陽菜さんの裸は、すでに一度間近で見ている。けれど、それは様変わりしていた。

「す……透けてる……?」

 左の胸から脇腹にかけて、そこに温かな色がない。少し緑がかった――まるで、実験室の水槽のよう。向こう側にいる別の人のおっぱいが見えてしまっているほどだ。

「あんさんのカノジョ、どーなっとんねん!」

 改めてそう言われるとドキっとしてしまうのだが……陽菜さんが否定する様子もないし、何より、そんな状況でもないので黙っておく。

「どうしたの、急に……!」

「急にじゃないの……」

 陽菜さんは、大事なことを告白する。

「実は……ずっと……」

「え、そんなはずは……」

「ずっとなの!」

 と、陽菜さんは力強く断言する。

「初めて帆高の前で踊った日……透けてた身体が元に戻ってて……それで……人柱から開放されたんだ、って思ってたのに……」

「つまり、陽菜さまが初めて気づいたのはそのとき、ということですね」

 そう解釈するのは 檜(ひのき)しとれさん。初日に支配人さんのことを『店長』と呼んでいた人だ。メイド喫茶出身とのことで、裸になってもヘッドドレスだけは外さず、誰に対しても『さま』を付けたですます調で話す。いまもまさにその姿だ。

「人柱っちゅーんがナンのこっちゃ知らんけど――」

 と、糸織さんは複雑な事情をバッサリ切り捨てた上で。

「その前の日は“そう”だったん?」

“そう”とは――透けた身体のことを指すのだろう。

「は、はい……」

 僕が初めて陽菜さんの身体を見たのはそのときだ。陽菜さんは不調なのをずっと隠していたらしい。けれど、その日を堺に開放された――僕の前でストリップを披露してくれたのは、その喜びもあったのだろう。

 この状況を踏まえると。

「何か心当たりはありませんか? 初めて帆高さまの前で踊った前日、普(・)段(・)し(・)な(・)い(・)よ(・)う(・)な(・)こ(・)と(・)をされたとか」

「!」

 ソしかない、といえるほどの思い当たるフシが僕らにはあった。けど……さすがに自分からは言いづらい。いや、恥ずかしがってる場合じゃないのはわかるけど……!

 しかし、ここで紫希さんが声を上げる。

「あー、そーいえばー」

 彼女は初日に僕たちの“品定め”をしてくれた人だ。もともと言葉選びに気を使わない性格だけに、僕は反射的にギクリと身を固める。が、紫希さんはそんなことを気にしない。

「紫希覚えてるー。ちっこい方のちんぽと遊びに行くとき、陽菜、あっちのちんぽと控(・)室(・)で(・)ふ(・)た(・)り(・)き(・)り(・)に(・)さ(・)せ(・)て(・)欲(・)し(・)い(・)って」

 それを聞いて、僕も陽菜さんも赤くなる。

「……そかそか。何をシたかはあえて聞くまい」

 と糸織さんはぼかしてくれているのに。

「セックスじゃないの?」

 と、紫希さんは堂々と補足してしまう。

「まー、それが一番怪しいわな。よし、帆高はん、一発キメーや」

 と、人差し指と中指の間からグニグニと親指を出す――ナニカのハンドサイン。状況も状況だけに、ナンのことかはナンとなくわかる。紫希さんがいきなり踏み込んでしまったので、あえて茶化しているのが糸織さんなりの気遣いなのだろう。

「ほんじゃー、若いもん同士もっかいふたりきりにさせたろかー。ほれ、皆の衆ー」

 深刻な状況だったはずなのに、紫希さんと糸織さんのおかげで幾分かは軽くなった。しかし、これはこれで雰囲気が煮え切らない。

 みんなのいなくなった控室で。

「え、えーと……」

 僕は陽菜さんを直視できず、つい目線を落としてしまう。すると――陽菜さんは僕の頬を両手で掴んで――

「ッ!!」

 強引な口づけ。さらに唇の間から舌までねじ込まれて――

「ん、ん、ん……」

 これが……キス……? 口と口を重ねるだけでなく舌まで絡め合うなんて――けど、これが……胸の奥まで抉られるようにゾクゾクする。息もできずに、僕たちは顔を離して――そして――

「……シよう」

 じっと僕の目を見て、陽菜さんはそう言った。

「……うん」

 僕はこれに頷くことしかできない。

「あの日と同じことするから……けど、今度は私のこと、ちゃんと見てて」

「う、うん……」

 ということは、僕はマットの上で寝ておいた方がいいのかな。記憶を頼りに、僕はできる限り再現するように横になる。

 すると、陽菜さんは僕の足の間に入ってきて――あのとき、足に触れた陽菜さんの肌の滑らかさをいまも覚えている。あのときは目を閉じていたから確信を持てなかったけれど……いまならわかる。あの夜も、陽菜さんはこの姿だったのだと。

 そして、僕はズボンに手をかけられる。ホックを外して腰を緩め、つま先の方へと引き下げられていくが――

「……ふふ、完全再現とはいかないね」

「ご、ごめん……」

 あの日は、変なことを考えないようにしていたけれど……いまは陽菜さんの裸が目の前にあるし、何より、シようと本人から言われているし――それを期待して、パンツの内側から激しく自己主張してしまっている。

「これなら 勃起(た)たせてあげる必要はないけど……一応、ね」

 下着を剥くと、張り詰めたところが勢いよく飛び出してきた。外気に触れて、それだけでも冷たい。そんな僕のアソコに陽菜さんは――ちゅっと軽くキスをする。さっきまで僕の口と絡み合っていたその場所で。だから、こちらにも同じように、チロリと舌で舐めあげるとそのまま、大きく口を開けて――

「んん……っ」

 僕のアソコが、陽菜さんの唇の中に――その内側でも舌でチロチロとくすぐられているけれど、陽菜さんの中に男のアレが飲み込まれていく様は物凄いいやらしさだ。それだけでドキドキしてしまう。その歓びが舌先を通じて伝わったようで、陽菜さんも楽しそうな瞳を返してくれる。

 唇で塗り込んでいくかのように、上へ、下へ――陽菜さんの口で滑らかにされた僕の 陰茎(カラダ)に蛍光灯の光がテラテラと映り込んでいるようだ。そしてもう一度、僕から見えるように先の方を――小さな穴の縁をペロ、ペロ、と軽くなぞり、最後にもう一度優しいキスを。

 そして、準備は整った。

「じゃあ……やるね」

 僕から口を離した陽菜さんは身をもたげる。その胸が、そして、腰を上げるとアソコもすべて僕の上に掲げられることとなった。陽菜さんの女のコのすべてが、僕の上に。そして―― 勃起(た)ち上がったままの男子に指を添え、女のコの割れ目の中に――

 ちゅる、と滑らかな肌に絡め取られる。まるで口の中のような……もっと柔らかいような……女のコの中でヌルヌルと先の方を愛でられた後――チュルン――硬い骨盤の中に開いた穴――力強くも柔らかい――それまで感じていた女のコの重さが消え、優しく、温かく、陽菜さんの 腟内(ナカ)へと、僕は 誘(いざな)われていく――!

「んっ、ふぅ……❤」

 陽菜さんの熱い吐息がここまで届いてくるようだ。それほどまでに、僕らは近づいている。お互いの大事なところを、それこそ、しっかりとつなぎ合わせるほどに。

 そしていま、僕たちはひとつになった。それを僕ははっきりと目のあたりにしている。僕の大事なところが、陽菜さんの大事なところに。これ以上ないほど深く。

 けれども、それはあくまで抱擁に過ぎなかった。

「じゃあ……始めるね」

 言うと、陽菜さんは少しずつ腰を上げていく。顕になるのは僕の 性器(カラダ)。確かに、陽菜さんの 腟内(ナカ)に収められていたもの。それを――再び――

「うぅんっ」

「くぅっ」

 その衝撃に、僕たちは揃って声を上げる。あの晩だって、ここまでじゃなかったはずなのに。

「……帆高、興奮してる?」

「えっ、それは……」

 陽菜さんはどこかからかうように。

「だよね。私のこと、ガン見してるし」

「ご、ごめん……」

 陽菜さんを辱めていたことに気づいて、僕は慌てて壁を向く。けれど。

「 視姦(み)ていーよ」

 嬉しそうに陽菜さんは呟いた。

「それで帆高のちんちんが 勃起(カタ)くなるなら……私も気持ちいいし」

 陽菜さんがそう言ってくれるのなら……僕だってずっと眺めていたい。陽菜さんの……可愛いところを。一生懸命腰を上げて……けれど抜けないように慎重に。胸を上下に揺らす度に、右の蕾も一緒に揺れる。

「んっ、んっ、あんっ、あぁんっ❤」

 男の身体に対して、女のコの身体はとても小さい。そんなところへ、 挿入(はい)ったり、抜いたり――それを平然と行っているのだから――いや、平然ではないか。

「帆高の……すっ、すごい……っ!  膣奥(オク)の…… 膣奥(オク)……まで……っ!」

 僕のソコが、陽菜さんの 腟内(ナカ)を埋め尽くしていると思うと、とても嬉しい気持ちになってくる。陽菜さんのすべてを 性感(カン)じ、陽菜さんも僕に 性感(カン)じているのだから。僕が陽菜さんを切り開いてくように、陽菜さんも僕を締め付ける。それは、僕たちをさらなる高みへと引き上げるために。

「ひ……陽菜さん……僕……っ」

 こんなに強く抱きしめられたら……もう……っ!

「私も…… 絶頂(イキ)そ……❤」

 陽菜さんはむしろ嬉しそうに。トントントンと腰の動きもリズミカルになってきた。僕を強く求めてくれているようにも感じられる。

 その期待に、僕の身体の方が勝手に応えようとしてしまっているようだ。

「陽菜さん……僕……もう…… 射精(イク)……っ!」

「私も……だから…… 受精(キ)て…… 受精(キ)てぇ……っ❤」

 

 ビュクッ、ビュクッ、ビュクル……ッ!!

「はっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ❤❤❤」

 

 陽菜さんのお腹が震えている。ビクビクと僕を最後まで 搾精(しぼ)り取るように。陽菜さんの 腟内(カラダ)が悦んでいるようで僕も嬉しくなり……なかなか脈動が収まらない。

 だが――僕はここで異変に気がついた。陽菜さんに乗ってもらっていたのも良かったのだろう。透き通ってしまった陽菜さんの身体――それはまだ、透き通ったまま……だけど――

「……ん?」

 何だか、透き通った中に――

「……何だろ? この辺、濁(・)っ(・)て(・)る(・)ような……?」

 下からモヤのようなものが吹き上がっている。それで、陽菜さんも上から覗き込んできた。

「精液じゃないの?」

 とんでもないことをさらっと……!?

「え、え……? こことソコって繋がってるの!?」

「わかんないわよ! そもそも、普通の人は透けてないんだから!」

 変なテンションになってしまって、僕たちは裸のままアレやコレやと話し合う。つながったものをつなげたままで。すると、そのうち――

「ねぇ、下の方から透けてる部分減ってきてるように見えない?」

「見える。絶対小さくなってる」

 あやふやになっていたおへそが、いまはしっかりとくぼんで見えているのだから間違いない。

「そっかー……」

 こうしておそらく、夜が明けるまでにすっかり元に戻っていたのだろう。

「どう見ても精液が埋めていってるってことだろうから……」

 あんまり女のコにその単語を連呼しないでほしいんだけど。

「それじゃ、いっぱい 膣内射精(ナカだし)してもらわなきゃね♪」

「え……それって……」

 まな板ショーで、色んな人から……?

「何? もう 射精(で)ないの?」

  腟内(ナカ)をぎゅっと締められて――僕のことなのだと気づいてホッとする。けれど……!

「それじゃー、一気に治しちゃおうっ!」

「えっ!?」

 陽菜さんは再び腰を弾ませる。僕のソコはまだ 勃起(カタ)いままだけど――!

「い、いや、ちょっと待って!」

「待たないっ! だって、帆高のちんちん、こんなに 勃起(カタ)くて……イイんだもんっ❤」

 いや、僕だってイイけど……でも……!  射精(イッ)たばかりで陽菜さんの 腟(女のコ)に愛されたら二度目だって我慢できるはずもなく……けど――

「んっ……ん……あれ……?」

 今度の量が明らかに少なかったのに気づいて、精子にも限りがあることを知ってもらえたようだ。

「なるほどー、精のつく食べ物ってそういう意味だったのねー」

 陽菜さんは妙に納得していたけれど……僕は僕で、これから頑張らなくてはならないことだろう。

 

 さて、翌日に劇場の支配人さんは帰ってきた。どうやら支配人ではなく――何やら複雑な立場にあるようだったけど、ここでは支配人ってことで統一させてもらう。

 陽菜さんは、改めてメンバーに入れてもらうよう頼むことはしなかった。どうして断られたのかわかった、と言って。それが何かはわからないが……僕は、心底安心していた。

 だから、陽菜さんが頼んだのは別のこと。

「私……帆高に 腟内射精(ナカだし)してもらわないと、消滅してしまうんです!」

 突拍子もない話だが、それを見せるためにあえて今日はまだシていない。そして、陽菜さんは支配人さんの目の前で致そうとしたのだが――致すことなく、透けた身体をもって信じてくれた。

 ちなみに、メンバーの女のコたちは信じながらも実物を見たがっていたので――思い出作りというべきか、一度限りのまな板ショー――相手については客席の中を抽選しているように見えるが、一般の人たちに混ざって座っていた僕が当たることは予め決まっていた。ファンにも色々いるので、このような作為的なことは行っているらしい。

 と、いうことで……僕はステージ上で裸になって、同じく裸の陽菜さんと――水槽にぶち撒けられたように精液が広がっていく様は、ある種のイリュージョンとして観客たちの目に映ったようだ。僕はとっても恥ずかしかったけど……この数日間で、陽菜さんは色々と吹っ切れたらしい。もしくは、新たな扉が開いた、とも。

 

 そして――

 

 あれから四年――僕たちはいまも離れず共にいる。

「みなさーん、こんにちはー、あまひーでーす♪」

 裸のまま、カメラに向かって手を振る陽菜さん。いまから思うと……スカウトマンからの仕事を受けたのも、まんざらお金目的だけではなかったのかもしれない。

「今日はぁ……乳首ローターに耐えながらぁ……ダーリンのおちんぽでズボズボしてもらっちゃいまーす❤」

 ストリッパーデビューはしなかったものの、陽菜さんの身体が危機的状況にあることは支配人さんにも理解してもらえた。そこで――近所に劇場のメンバーで借り切ってるマンションがあったので、その一室に住まわせてもらうことになったのである。

 あれから一生懸命、毎日、毎朝毎晩――とにかく、暇さえあれば、それこそ、僕の 性器(カラダ)が 勃起(た)つ限り、僕と陽菜さんは身体をつなげ合った。最初は申し訳ない気もしたし、陽菜さんも人柱から開放されるため我慢して――と思っていたのだけれど――それは、エッチな仲間たちの影響かもしれない。

「これから乳首ローター貼り付けるけどぉ……舐めてぇ……あまひーの乳首をちゅーちゅーぺろぺろしてぇ……♪」

 両腕を上げておねだりする陽菜さんは……カメラの前だけの姿ではない。僕を 勃起(た)たせるため、と誘惑するような言動が増えていき……いまでは四六時中こんな調子だ。

「ダーリン……あまひー、みんなにあまひーのおまんこ 視姦(み)てもらいたいなぁ……❤ あまひーのおまんこ、指でくぱぁ……って開いてあげてよぉ……♪」

 僕に対してシてくれていたことを、いまはカメラに向けて催促している。それも、自分ではなく、僕にシてもらう形で。

 ひとつの部屋で暮らしつつ、外に出ることも難しい――さらには、僕が追われる身であるため、迂闊にバイトなどしようもない。それで、仕方なく――いや、陽菜さんから強く推されたのだが、そのー……エッチしてるところを撮影して、それで稼ごう、と。

 メンバーの中にAV出演経験者がいるのは予想できたけど、まさかメーカーの社長の親族までいようとは。おかげですんなりと……僕たちはこうして生活ができている。

 拳銃の件も……現物が回収されたということでそれ以上の騒ぎにならず、事実上捜査は打ち切られているらしい。そして、この歳になれば、もう子供じゃない。児童相談所の類からも開放された。なお、凪センパイは色んなお姉さんのところを転々としているらしい。

 結局、あれから雨は続き、街の多くが水に沈んでしまった。けれど、僕たちはこうして生きている。セックスを絶やすことは滅多にないので正確なところはわからないけれど……去年、だったっけ。寒空の下の野外プレイに誘われて、後で体調を崩したときは、一週間ほどお休みすることとなった。けれど、そのときに陽菜さんの身体が透けることはなかったので――きっと、もう大丈夫なのだと思う。

「それじゃーダーリン、そろそろあまひーのおまんこに、おちんぽ……イーン♪」

 当然、隠れている間は名前も毎回変えてたし顔も隠していた。けれど、もう大丈夫になってからは……むしろ、陽菜さんは嬉々として顔を映し、桃ちゃんにもらったニックネームでアダルト動画配信者として日々楽しくやっている。けど、さすがに僕は恥ずかしいし、劇場の仕事も手伝ってるし、何より顔を見たがる需要もないし……ということで、マスクをかぶらせてもらっているけど。

「あぁ……見てくださぁ~い、あまひーの愛液ヌルヌルおまんこにぃ……ダーリンのビンビンおちんぽがぁ……ずぼっ、ずぼっ、ずぼぉ……❤」

 あとで、劇場の支配人さんから聞いたのだけど……陽菜さんを輝かせられるのは、ただひとりだけ――だから、劇場で立たせることはできない、と。アイドルは、みんなの光でなくてはならないから。

 僕はいま、陽菜さんが輝いているのを確かに感じている。それはつまり――その“ただひとり”に僕がなれたのだとしたら、それはとても幸せなことだと思う。

 


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