まあ「少女Hシリーズ」の続編みたいなものです。
彼女の名は兎愛。アニメが好きな小学6年生の少女だ。
彼女は彼女なりにクラスの友人とともに楽しい学校生活を過ごしていた。しかしクラスの実権は柄の悪い男子達によって握られており、男女間の関係性は冷戦下ともいえる状態で小さなトラブルが絶えず、あるクラスメイトと親から「いじめが起きていないのが不思議なくらい」と評されたほどだ。幸いにも兎愛はそれらのトラブルとは無縁の日々を送っているのだが。
そんなある冬の日のこと。
(トイレ… 行きたい…)
兎愛は帰りの会の席上で、一人尿意に震えていた。
進む帰りの会。これが終わればトイレに行けると兎愛が思った矢先、担任の光永先生が口を開いた。
「そこで皆さんに残念なお知らせがあります。このクラスの誰かが、持ち込みを禁止されているスマートフォンを持ってきていることが分かりました。5時間目の音楽の時間、教室で着信音が鳴っているのが聞こえてきました。さあ、誰ですか?」
どうやら学校にスマートフォンを持ってきていたようだ。学校のスマートフォンや携帯電話の持ち込みは固く禁止されているため、光永は怒っていた。
「スマートフォンを持ち込んだ人は誰ですか?正直に名乗り出なさい。」
光永による犯人探しが始まった。しかし、犯人はなかなか名乗り出ることはない。
犯人が名乗り出ない中、兎愛の膀胱にはどんどんとおしっこが注がれていく。
(早く… 誰か名乗り出てよぉ…)
高まる尿意。しかしお世辞にも「トイレに行きたい」ことを申し出ていい空気ではない。
兎愛は一人、尿意を耐え続けた。
しかし時間は5分・10分・20分と過ぎて行く。犯人はなかなか名乗り出ない。
そんな兎愛の尿意は、もう限界値に達していた。
(もう我慢できない…)
そう思った兎愛は、恥を忍んで一人手を挙げる。
光永「どうしました北条さん?何か心当たりがあるんですか?」
兎愛「そうじゃなくて… あの… トイレ… トイレに… 行かせてください…」
光永「分かりました。と言いたいところですが、今はあなたではないと思いたいしトイレには行かせてあげたいと思っていますが、これはクラス全体の責任です。申し訳ないですが、名乗り出るまで我慢して下さい。」
兎愛「… はい…」
兎愛の願いは、理不尽にも光永の手…というよりクラスの責任によって砕かれてしまった。自分がトイレに行きたいことは分かってくれたことが不幸中の幸いではあったが。
光永「北条さんがトイレに行きたがってるんですよ。早く名乗り出て下さい!」
兎愛はもうトイレを我慢できないことがクラス中に拡散される。それでも学校にスマホを持ち込んだ犯人は名乗り出ることもなく、時間は過ぎて行く。
(ジュジュ… ジュジュ…)
(出ちゃう… 出ちゃう…)
次第に兎愛の膀胱は限界に近づき、おしっこがパンツに滲み出始めてしまった。そのおしっこをシミは次第に、パンツの上の黒いタイツにも広がり始めていた。
そもそも、学校に禁止されているスマートフォンを持ってくるようなことをする奴が、何の接点もないクラスメイトのトイレのためであろうと「自分がスマートフォンを学校に持ち込みました」と素直に名乗り出るなんて、よくよく考えればまずあり得ないことなのである。
時間とともにチビったおしっこのシミがデニム地のショートパンツの表面にまで滲み出てきてしまっている兎愛。そんな兎愛の膀胱が限界を迎えるのが先か、学校にスマートフォンを持ち込んだ犯人が自首するのが先か。その答えはもうとっくに出ていたのである。
兎愛が光永にトイレを申し出てから約30分が経ち、犯人が名乗り出ることもないままついにその時は訪れた。
(出ちゃう… 出ちゃう… 出ちゃう…!)
(ジュジュ… ジュジュ… ジュジュジュ… ジュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ…!!)
兎愛はとうとう、犯人探しが行われている教室の自席で一人「おもらし」をしてしまった。
(ビチャビチャビチャビチャビチャビチャ…)
兎愛の座る椅子から零れ落ちるおしっこの水音が教室中に響き渡る。この瞬間、全てのクラスメイトの視線が兎愛の方を向いた。
(嗚咽する兎愛)
「あの、せ、先生…」
おもらしをしてしまい、席で一人嗚咽する兎愛。そんな兎愛と仲の良いクラスメイトの一人であるとともに保健委員の
「はい。なんですか
「ほ、北条さんが…」
「分かりました。その前にちょっと失礼します。」
光永はそう言って、兎愛と
「はい。2人のランドセルにスマホはありませんでした。
「分かりました。兎愛、立てる?」
「(泣きながら)うん…」
「誰かはまだ分からないけどあなたがスマホを持ち込んだことを正直に名乗り出なかったから、北条さんはトイレを我慢することができなかったんですよ!」
と、光永は怒った。
しかしその光永の言葉が兎愛の耳に届いたかどうかは分からない。その言葉は、兎愛の泣き声によってかき消されていたからだ。
保健室に着いた2人。
(保健室のドアが開く音)
六角「あら。
六角「あらあらそれは大変。我慢できなかったの?」
(嗚咽しながら首を縦に振る兎愛)
六角「そういうことだったのね。北条さん入っていいよ。光永先生には私からも話しておくから。」
兎愛「(泣きながら)はい…」
兎愛は泣きながら保健室に入り、着替えた。履いていたパンツも黒いタイツも青いデニム地のショートパンツも、すっかりぐしょぐしょだ。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁー!」
着替えが済んだ後も、兎愛は保健室で一人泣き崩れた。
「北条さん。お母さんから電話よ。」
「はい…」
六角は兎愛がおもらしをしてしまったことを電話で兎愛の母親に伝えた。
「兎愛。余計なことは聞かないわ。今日は一人で帰れる?必要ならお母さんが迎えに行くけど。」
「いい… 一人で帰れる…」
「そう。でも気持ちが落ち着くまで保健室にいていいからね。今日の塾はお休みにしておくから。」
「うん… ありがとうお母さん…」
泣き疲れた兎愛。兎愛はしばらく保健室のベッドで休んだ。兎愛が家に帰る頃には、時刻はもう最終下校時刻の4時半を過ぎていた。
家に帰った兎愛。
「ただいま…」
「おかえり。兎愛。」
家では兎愛の母が、兎愛を温かく迎えた。
その夜、光永から兎愛の両親の元に謝罪の電話が来た。それとともに光永は「これからは違反物の持ち込みがあった時は最初に荷物検査を行う」ということを、兎愛の両親に約束したのだった。
数か月前の修学旅行でおねしょをしてしまった兎愛。その時は同じ部屋の女子たちが上手く連携してくれたおかげで、男子はおろか別の部屋の女子の耳に入ることはなかった。しかしその時とは違って、今回は自分がおしっこを漏らしてしまったことが男子にまで見られてしまったのだから、兎愛はその恥ずかしさ故に心に深い傷を負ってしまった。早い話トラウマになったのだ。
その心の傷の深さが影響して、兎愛は不登校に陥ってしまった。
~2日後~
兎愛の弟・蒼太朗「姉ちゃんに何かあったら、俺が守ってあげるからさ… 行ってきます。」
兎愛「ありがとう。蒼太朗…」
見かねた兎愛の両親。2人の中である懸念が出てきた。
それは、今後兎愛が今回の教室でのおもらしを理由に、クラスの柄の悪い男子からいじめられたりからかわれてしまうということだ。
幸い兎愛たちが住む学区にはもう一つ小学校がある。そこで2人はある重大な決断を下した。
それは、「兎愛をそのもう一つの学校に転校させる」ということだ。
兎愛の父親「それでいいか?兎愛。」
兎愛「… うん…」
その数日後、年明けとともに兎愛が転校することが正式に決まった。その兎愛は2学期の終業式の日も、学校に姿を見せることはなかった。
元々親の仕事の都合で各地を転々とする生活を送っていた兎愛。そんな兎愛は中学校進学を機に、家族とともにまた別の街へと引っ越していった。
その兎愛がどこへ行ったのか知る者は、もう