ディストピアにおける家畜の日常 作:家畜選抜AI
そして俺が学校に復帰してからひと月が過ぎ去った。
そんな俺だが、現在面倒な事になっていた。
なんというか……襲われそうだという予感がビンビンしているのだ。
規律を学ぶためという名目の掃除の時間では、同じ担当場所の男子が俺の後ろを付いて回る様になっていた。
俺が膝を付き雑巾がけをしていると、すぐ後ろで同じ様に掃除を始め、俺のケツをガン見している雰囲気がある。怖くて後ろ振り向けないが……。
他にも、休み時間等で席に座っていると、俺の肩に手を回してきたりする奴も出てきた。
腕を回すぐらいまでならまぁいいのだが、その手のひら、指先が、俺の胸の裾野に触れているのは流石に危機感を覚える。
それからイタズラに扮してお腹や腰をつついてくるのも止めて欲しい。
これはヤバイと和馬に相談してみたところ「自分の姿を客観視してみろ」などと言われてしまった。
一応は言われた通りに想像力を働かせてみる――
――女なのに男の趣味が理解できて話にも付いてこれる。男同士の様な気楽な距離感で男のアレソレについても寛容。ついでに可愛くてスタイルも良い。
(これ男だったら絶対勘違いするやつー!?)
今更ながら自分の迂闊さが恨めしい。
和馬も早目に教えてくれればよかったのに……。
まさか自分がエロゲのヒロインみたいなムーヴをかましていたとは……。
この場合、主人公はクラスの男子全員である。
(ヤバイよヤバイよ!?)
最近は和馬以外の男子連中は皆露骨だし、女子も小暮以外はなんだか怖い。
(どうすりゃいいんだよ……ッ!?)
そんな時、ある一報が国から届いたのだ。
俺への税金投入の妥当性について。
俺がこの学校に投入されて一ヶ月も経とうとしているのに使用された形跡が無い(俺に付けられているチョーカーから勝手に俺のバイタルデータを送信しているらしい)。コレは税金を投じた意味があるのだろうか?とかなんとか……。
俺を女の子に変えるにあたって税金が投入されているのだ。その必要性を示せなければ色々と面倒な事になるみたいだ。例えば他の現場に転向もあるとか……。
(もし公衆肉便器なんぞになったら最悪だぞ……!?)
だから俺は自身の必要性を示さなくてはいけない。具体的には性処理係として……。
「頼む拓海! 俺の事を選んでくれ!」
「いーや俺だ!」
「私らなら女の子の事、いっぱい教えてあげられるよー?」
一応は授業時間だというのに、俺の周りにはクラスの皆が集まっていた。
先程LHRで、担任が俺の置かれている状況について皆に説明したのだ。そしてその事を聞いたクラスの連中は沸き立った。
俺とヤれるのがそんなに嬉しいのか、皆自分を売り込もうとしている。
(この熱量、恐いんだが……)
控えめに言って恐怖を覚える。熱された群衆というのは一種の暴力だ。
だがこのカオスな状況を担任がなんとか収めてくれた。
「まぁそういう事になってしまったのが、一応はあれやそれやについて調査しておこうと思ってな?」
そして調査表とやらを俺以外の全員に配り、俺といたす意志の有無やら同意のサインやらを集めていた。
一応は初めてということも鑑みて、相手を決める権利は俺にくれるらしいが……。
結果……クラスの全員が俺との行為に同意、もとい希望したらしい。
ずっと俺の一番近くにいてくれた幼馴染の和馬や、言い合いしつつもいつも俺を気遣ってくれた小暮までも。
今回も小暮は、俺の事を慮って立候補してくれたのだろう。そんな小暮を選ぶのは罪悪感が……。
俺が選ぶという事もあり、ある意味クラスの全員と好きにヤれる権利を手にした様なものだ。エロ漫画とかでありそうな状況である。
(俺が男で相手が女っていう前提ならなッ!!)
しかしそう上手くはいかないもので、現在俺は女で尚且つヤられる方の立場である。
(実際、男の頃の俺がそんな権利貰ったところで、色々考えてしまって行使でにないだろうけどな……)
そんな感じでできれば使いたくはないのだが、俺の置かれてい状況がそれを許してはくれない。
当たり前だが男子なんぞとはヤりたくない。かといってウェルカム言ってる女子達もそれはそれでヤバイ気がする。
(なら消去法でアイツしかいねぇじゃねーかよ……)
「本当に俺でいいのか……?」
「……お前以外いねーだろーが」
俺に選ばれた事で戸惑いの表情を浮かべる和馬。
「普通に小暮辺りに頼むのかと思ってたぞ?」
「機に乗じて知り合いの女子に迫るのは男として流石にどうなんだ……?」
「まぁ確かにな」
「「…………」」
微妙な沈黙だ。選んだ自分が感じるのもなんだが気まず過ぎる……。
「……もしかして俺の事が好きだったり?」
「なっ!? んなわけねぇだろうがっ!! お前を選んだのは単純に一緒にいて楽で、後々面倒な事にならなさそうだったからだしーーッ!? 勘違いすんなよなッ!?」
「まぁそりゃそうか……」
(何言ってやがんだコイツはッ!? 単純にお前以外に安牌な相手が居なかったからって解るはずだろうが!?)
そんなこんなで俺は、幼馴染である和馬に初めてを捧げる事になったのだった……。