高度に生体技術の発達した近未来、ある種ディストピアとも言えるこの世界では、社会全体の潤滑な営みのためなら極小数の犠牲を厭わない事が常識となっていた。

それは一部の国民に対して人畜として社会奉仕の義務を課すものであった。
原則として義務教育の修了した15歳から30歳という体力のある国民の中からAIによって無作為に選ばれるのである。

奉仕期間は本人の適正を見て1年から3年。その間、基本的人権は停止され、社会からのありとあらゆる要求に応えなければならない。

しかしながら任期終了後には人権が復帰する。そのため個人情報保護の観点から奉仕期間中は高度な生体医療、ナノマシンによって姿形、本人の意向次第では人格までも調整される。そして人権復帰後は保存しておいたデータから肉体及び人格等、記憶以外の全てを奉仕期間前の状態まで復元されるのである。

また選ばれた国民には慰労金が支給され、人畜として従事した者を功労者として国が老後まで面倒をみるシステムが構築されていた。



これはそんなありえた未来の、国民奉仕法によって翻弄される人々の物語である。