「あぁ、またこれか」
さすがに二度目という事で、慌てる事はなかった。
キョウの策略によって、別の世界に飛ばされた際には、驚きを隠せなかったが、それも二度目の経験となれば、落ち着いて、行動する事は出来た。
「他のメンバーと合流したいけど、うぅん」
周囲を見ると、尚文達の姿は見えない。
一番、近くにいたはずのシドの姿も見えない。
「以前のキョウとは違い、意図的な物ではなく、暴走した魔力で行われた転移。それに近いのかもしれない」
だからこそ、必ずしも、近くにいた人物と一緒にいるとは限らない。
それを理解すると同時に、これからどう行動するべきか。
悩んでいた時だった。
「ソラ様!?無事か!!」
「んっ、聞き覚えのある声が?」
俺が頭を悩ませていると、どこからか声が聞こえてきた。
周囲を見回すも、いないようだが。
「ソラ、何を無視しているんですか?」
「んぅ!?」
同時に、俺は思わず、下を見る。
そこに立っていたのは、デルタとゼータだ。
二人だというのは一目で分かった。
特徴的な犬の耳に、猫の耳。
獣人である二人である事は間違いないだろう。
ただし、それが子供であれば、驚くが。
「んっ、なぁ!?雌猫が小さくなっているです?!」「バカ犬もって、どうなっているんだ!?」
二人もまた、小さくなっている事に気づき、互いに自分の身体を確認する。
「あぁ、なるほど、これはラフタリアちゃんと同じ現象か」
ラフタリアちゃんもまた、他の世界に転移する際に、その身体を小さくなってしまった。
それは、彼女自身がレベルをリセットされた事による影響だと考えていた。
しかし、どうやらそれはデルタとゼータにも該当しているようだ。
「うぅ、なんだか以前よりも力が出ないです」
「これが、まさか噂に聞く、異世界という事なのか」
「そうなるな」
ゼータは、その事を事前に聞いていたので、ある程度は落ち着いていた。
反対にデルタは、その変化に対して、頭を抱えていた。
「なんだか、嫌なのです!なんで、デルタは弱くならないといけないのですか!」
「まぁ、そこは仕方ないと思うしかないよ、にしても」
ここは、どこの世界だ。
その疑問に思うよりも早く、後ろからモンスターが現れた。
「なっ、魔物っ」「警戒していたのにっ」
それを察知する事は、レベルが下がった二人には不可能だった。
モンスターの体格はかなり大きいが、そのまま俺達を奇襲する。
すぐに、俺は手持ちにある鍵から守護者を呼び出そうとした時だった。
「はいっ、そこの人、退いて退いてぇ!」
「んっ?」
聞き覚えのある声。
同時にモンスターは、瞬く間に斬り刻まれる。
それは、本当に一瞬であり、俺達を助けた人物は、そのまま降り立つ。
「危なかったねぇ、それにしても、君達、一体ここで何をやっているの?」
そう、その人物は俺達の方に振り返る。
小柄な体格に、手には包丁らしき物を。
正面には赤ん坊を背負っており、抱っこ紐を抱えている。
和服を思わせる衣装を身に纏っているその少女に、俺は見覚えがあった。
「えっ絆!?」
「んっ、あぁ、ソラ!」
互いに俺達が名前を呼び合うと共に、笑みを浮かべる。
「んっ、ソラ、知り合いですか?」
その最中で、デルタは俺に対して質問する。
「あぁ、そうだな、二人共、紹介するよ。こいつは風山絆だ」
「こいつって言い方はどういう事だよぉ」
「いやぁ、悪い悪い、それでこの子はリクだ」
そう、俺はリクを紹介した。
「はぁ、それで風山さんでしたっけ、その子は弟ですか?」
「違うよ、俺とソラの子供だよ」
「そうですか、風山さんとソラ様の子供ですか」
リクの事を聞くと、ゼータは納得する事一瞬
同時に目を見開きながら、再度聞き直す。
「えっ、子供?」
「おぉ、という事は、そのチビがソラが言っていたお嫁さんなのですね!」
「誰がチビだ、君だって、そんなに変わりないだろ」
ゼータは、なぜか硬直。デルタは納得するように言うと、そのチビ発言が気に入らなかったのか、絆は思わず言い返す。
「ばっ馬鹿犬は知っていたのか」
ゼータはなぜかデルタに、そんな事を問いかける。
「何を今更、とっくの昔にソラから聞いたですよ」
「・・・」
ゼータは、まるでこの世の終わりのような顔をしているようだが、一体。