そんな中、不意にインプラカブルから大講堂へ来るように伝えられ……。
この作品は、同名でpixivにも投稿しております。
青年――アズールレーンを担う指揮官は、秘書艦からの連絡を受けて大講堂へと向かっていた。
呼び出されるような事をした覚えは無かったが、わざわざ場所を指定してまで執務室とは異なる場所での話となれば何かしらの思惑があるのだろう。最近、各陣営の間で自身を介した外交が行われている状況を鑑みれば無下に断るとも出来ない。
そう考え、彼女――インプラカブルによってここ数日手付かずとなっていた書類の山を背にし、席を立った。
彼女を秘書艦に選んだのは深い考えもなく、単に人となりを知るべく傍へ置いてみただけだった。だが、その事を後悔するのに一日を終えるまでの時間を必要とはしなかった。
扇情的過ぎるのだ。
イラストリアス級である事を差し引いても整った肢体に主張する曲線。シスターという役職を背徳の口実にしているのではないかと思わせる露出に加え、優しい声音で繰り出される言葉の端々から零れ出る意味深な発言が理性を揺さぶってくる。
艦船達を束ねる立場として異性への耐性はそれなりにあると青年は自負していたが、二人きりでいる彼女との空間はウブだった頃の自分を無理矢理引きずり出されるようだった。現に、書類へ視線を落としながら心臓の鼓動と陰茎の脈動が連動しているかのような窮屈さに苛まれていた結果が、進まない作業の一因だった。
ようやく一人になったにも関わらず、そこへ狙い澄ましたかのような呼び出し。戻ってくるまでに発散してしまおうと思っていた劣情が軟化する間も奪われ、隠す為だけにクローゼットからコートを取り出し、腕にかけて体の前面を覆うという手段を取った。暖かくなってきた上、着ることもしない苦しい言い訳で母港を歩くのは、青年にとって醜態に他ならなかった。
春の陽気を浴びながら窮屈な前を押し潰して進む自分の姿を客観視し、惨めさを感じる青年の中にはどこか、普段よりも興奮が強く、治まる気配がない自覚があった。
異性からの誘いに浮かれるような若輩者ではないと否定しようにも、下着の中で擦れる刺激から逃げるのではなく、むしろ欲してしまうが故に立ち止まることが出来ずにいた。
直ぐ側を駆逐艦達が駆け抜けていくだけで身構えてしまうのに、向かう足は彼女へと進んでいく。
そして、清掃中と書かれた立て看板が入り口を塞ぐ、休講日の大講堂が気付けば目の前にあった。
彼女の待つ約束の場所はその奥であり――青年は、立て看板を迂回して重厚な扉を押し開いた。
日差しの差し込む廊下。清掃の行き届いた木目の床を軍靴の底が叩く音だけが講堂内に響く。
誰を呼び寄せても言い訳の出来ない体のまま、自分の存在を知らしめるような矛盾した錯覚に、青年は焦りを覚えるも姿勢を正したままでは突き出た膨らみがそれを許してはくれない。
――見つかったらどうなるのか。
――このままインプラカブルの前へ姿を見せても良いのだろうか。
――どうして危機感を覚えているのに鎮まってくれないのか。
青年の思考が取り留めのない不安だけを募らせていく最中、通り過ぎようとしていた一室の扉がけたたましい音を立てて勢い良く横へと滑り出した。
咄嗟に息を呑む。そうした所で気配を消せるはずもないのだが、刹那的な時間の中で青年が導き出せた対処はこれしか無かった。
強張った拍子に力の籠もった陰茎が容赦無く下着の内側へと擦り付けられる。今までに感じたことのない快感が、場違いだと分かっていても脳髄へと駆け上ってきて反射的に腰が引けてしまう。だがその御蔭で、寸での所で達してしまうことは免れた。
これでは変態だ。間違いなく。
どう見られているかはわからなかったが、引けた腰を震わせている男がその場に居れば、間違いなく疑われるだろう。
だが、掛けられた声は全く別の言葉を発していた。
「あら、指揮官。遅かったわね」
声の主の方を向いていた左の耳から入ってきたのは、つい最近聞き慣れた声だった。
青年は、恐る恐るそちらへと振り返り――
「ふふふ♡ どうしたの? 哀れな盗人が見つかったような格好をして」
そこには、普段のシスター服ではなくブラウスとタイトスカート――女教師然とした格好へ着替えたインプラカブルが笑みを浮かべながら立っていた。
◆◆◆◆◆
「もう、来ないから帰ろうかと思ったのよ?」
二人で居るには広すぎる空間の中、青年は講義室の一席へ腰掛ける形で机を挟んだ向かいに立つインプラカブルから見下されている状態だった。
前を隠していたコートどころか軍服の上も、今や彼女の手によって離れた席へと運ばれ、身に着けているのはワイシャツと白いスラックスだけになっていた。座っている場所と彼女の姿を鑑みれば、さしずめ生徒役だろうか。
二人きりの教師と生徒。
日はまだ高いが休講日なのも相まってマンツーマンの補習を思わせる光景。
不出来な生徒ならば萎縮して然るべき状況の筈なのに、机の陰で未だに膨らんだままの陰茎が青年の罪悪感を駆り立てた。これではまるで罰を褒美と勘違いしている軟派な男だと認識されてしまう。
「まぁ、遅刻は大目に見ましょうか。折角用意した服も無駄にならなさそうだし、ね? ふふふ♡」
そんな気を知ってか知らずか彼女が微笑んで優しく叱りつけてくるのに合わせ、衣装を見せつけるかのように乳房の下で腕を組む姿から青年は目を逸らさずにはいられなかった。が、その一瞬ですら網膜へ焼き付くには充分過ぎた。
明らかに必要以上のボタンが外されたブラウスから覗く肌色の膨らみが締め付けから解放されて尚互いの居場所を取り合うように押し合い、それを包んでいなければならない筈のブラジャーが見当たらない。加えて元より薄い生地だからか、左右の二点を主張する突起の周りだけ内側から透けている色が違っていた。
白い上半身に合わせた黒の下半身は肌を見せてこそいないが括れから大きく膨らんでいく腰と太腿のラインをくっきりと浮かび上がらせ、タイトスカートに刻まれた横皺が悲鳴のようにも見えた。
サイズ違いを無理矢理着ているのではないかと疑いたくなる気持ちに同調した怒張がジンジンと疼き、その存在自体が劣情を催す塊だと訴えてきて煩い。そのせいで、立ち上がることすらままならなかった。
「指揮官……いいえ、生徒君? 怒られてる自覚はあるのかしら。大目に見ると言っても遅刻は遅刻。しっかり目を見ないと、態度が悪いわ?」
彼女が隣へと歩いてきて、体の傍でしゃがみ込んでくる。自分の視線を上げさせるのではなくわざわざ映り込みに来た姿は、膝へ乳房が乗るという暴力的な姿だった。重力の縛りを失った双球がブラウスの合わせ目を容赦無く広げている光景と共に見上げてくる彼女の瞳。それが、視覚に意識を奪われていた青年が口を開くよりも早く、横へと向いた。
――正確には、青年自身の足と、机の境で膨らんだスラックスの前を。
「生徒君。怒られてるのにコレは何かしらね、ふふふ♡」
無造作に伸びてきた彼女の白い手が陰茎の輪郭を確かめるように股間の上で細い指を踊らせ、撫で回してくる。今までの不可抗力で生まれた刺激とは全く異なる、他者によって明確な意志を持った動きに思わず陰茎を跳ねさせてしまうが、止まらない。
ジッパーを避けて両側から摘み上げるような手付きで繊細なものを扱うように傾いていたその身を上へと向き直された。反面、仰向けに寝転んだ猫の腹部を撫でるような気軽さで劣情の塊へ触れ、仮にも聖職者の姿で振る舞っている存在が扱いてくるというあまりにも倒錯的な行為に青年は声も出せない。
「もう、気持ち良くて上の空かしら? オチンチンの方がとっても素直よ、ねぇ?」
彼女の口から、淫語が零れ出る。言葉選びは優しいが、それだけでも破壊力は充分だった。
扱く動きの中で人差し指がジッパーの上へと添えられ、爪でカリカリと段差を弾いてくる。そんな青年自身は試したことのない動きの意図は、直ぐ様刺激となって襲いかかってきた。裏筋の圧迫感を介して振動を伝わせてくるという異なる刺激を足されただけで、飢えた陰茎の主導権は瞬く間に青年の意思から離れて彼女に握られてしまう。
「嫌がらないのね。ふふふ♡ 私からこうされたかった?」
止めなければ。この行為が母港内の風紀を乱しかねないとわかっていても、この快楽を失いたくない一心で愛撫を享受してしまう。決して強くはない刺激の筈なのに、時折指先が陰茎を噛んでくる事によって反射的に強張った瞬間だけ、快感が跳ね上がるのだ。同じ責めだとしても、たったの一手で全く異なる刺激に変わるのは、単調な自慰しか経験したことのない青年にとって未知の領域だった。
それだけ、彼女が陰茎への知識が豊富であるという背景にまで青年は意識が回らない。たった一本の手腕だけで完全に翻弄されてしまっていた。
「沈黙はとても雄弁ね♡ それじゃあ、言葉じゃなくて行動で示してもらうことにして……先生で勃起した悪いオチンチンを、生徒君自身が出して?♡」
彼女の手が離れ、痛いほどに張り詰めた陰茎の切なさに理性がチリチリと音を立てて焦げていくのを青年は感じた。ただでさえ数日間も悶々とさせられていた状態から大講堂までの移動でおかしくなっていた体は、縋り付くように彼女の許しを求めていた。
今、この瞬間だけは青年の中で指揮官という存在は消えた。
今、この瞬間だけは彼女の前で罰を受ける生徒の一人なのだ。
笑みを絶やさない彼女の前で、青年は立ち上がる。体の向きを変え、焦る手付きで苦戦しながらベルトを外してスラックスを床へと落とし、染みの浮かんだ下着を彼女の眼前へと晒した。笑みが、深くなったような気がするだけでじわりと染みが広がってしまうのを感じる。
腰のゴムを引っ張り、陰茎をが引っかからないようにしてみれば生まれた隙間から姿を覗かせた自身の怒張が見せる初めての姿に思わず息を呑んだ。血管が浮かび上がり、包皮から露出したカリが傘を広げて生殖の本能を剥き出しにした固く熱い剛直。彼女によって引き出された雄々しいソレを、突き出すようにして差し出した。
「まぁ……イケナイ子ね。良からぬ想いをどれだけ詰め込んだらこんなオチンチンになるのかしら♡」
彼女の言う通りだった。明るい講堂内でその綺麗な顔に怒張のシルエットを刻む恥知らずな陰茎は今にも弾けんばかりに筋を浮かばせてビクンビクンとしゃくり上げて悪びれた様子もない。それどころか、先端から溢れ出した先走りが糸を引きながら彼女の乳房を穢す悪童ぶりだった。
だが、彼女の両の手を合わせた十の指は淀みなく陰茎へと巻き付いてヒヤリとした感覚と柔らかさを伝えてくる。不浄と神々しさの入り混じった罪深い光景は、一瞬たりとも同じ姿を留めようとはせず、指と手首を巧みに操って愛おしげに形を馴染ませていくようにすら見えてしまう。
左手が指の輪で根本を支え、右手が幹をなぞってはカリ首の薄い粘膜を捻り、親指で尿道を圧迫して先走りを絞られる。青年は自分の動きと比べ物にならない扱いぶりに、太腿を掴んで体が折れぬよう必死に堪えた。
こんな刺激を耐えるのは無理だ。決して激しくはないにも関わらず下腹部に重い疼きが芽生えるのを青年は感じていた。
「駄目ですよ、これはお仕置き……いいって言うまでは勝手に出すことも許しません♡」
根本を一度だけ強く締め上げられた。痛みと快感の綯い交ぜになった刺激に青年は思わず呻き、そして頷く。もし今中断して帰ろうものなら、これを上回る快感を得られる機会は二度と無いと本能的に察していた。
「良い子ね、生徒君。必ず射精させてあげるから……ね?」
突然、先走りで濡れた指同士を絡め合わせた彼女が今まで触れてこなかった亀頭を包んだ瞬間、青年は叫んだ。ドアノブのように捻られた全方位からの摩擦が快楽の域を超えた暴力となって感覚を塗り潰す。腰を引こうとも突き出そうとも彼女の手は全く離れず、動きも止まらない鋭敏な部位だけを狙った責めに、思わず手を伸ばし――
「それは、イケナイことよ?」
淡々とした、だが絶対的な制止が彼女の口から発せられる。
まるで、本当に叱られている最中の生徒のように青年は肩を震わせ、動きを止めた。代わりに歯を食いしばり、彼女が満足するのを待った。あれだけ快感を与える手管があるにも関わらず、それがわからない訳はないのだ。
青年は、インプラカブルを盲信し、亀頭への責め苦を耐えた。
「そう、良い子♡ 楽しみは大事だものね」
十秒だっただろうか。一分だっただろうか。
嵐を乗り越えた後の晴れ間のように、手の平が離れた先は暖かく優しい感触が待っていた。じわりと染み込むような、湯舟へ浸した時によく似た心地良さだ。
「ん……♡」
青年は、いつの間にか瞑っていた目を開いた途端、飛び込んできた光景に驚いた。
彼女が、その口で陰茎の先端を飲み込んでいたのだ。視線だけを上へ向け、排泄器官を兼任している男性器を躊躇いもせずに、だ。
無意識に強張らせていた腰周りの力みがその落差につられて勝手に弛緩してしまう。意識の外で力を失った体は、追従しきれずに座っていた椅子の上へと落ちていく。完全な腰砕けに恥ずかしがる青年だったが、陰茎から口を離した彼女の笑い声が聞こえてくるだけで許された気がした。
「ふふふ♡ 折角食べてあげたのに逃げちゃうなんて……」
陰茎が引き抜けた拍子に跳ねた唾液の跡を頬へ刻んだまま語るその口元に、快感が思い越されるのと同時に昏い喜びが芽生えそうになる。アレだけ気持ちのいい口の中を、自分の意志で使うことが出来たなら……そう思わずにはいられないのに、自分で陰茎を扱くという発想すら、今の青年には無かった。
そう、待っていれば与えられる。お仕置きであり、その先のご褒美。ソレを信じて疑うことが出来ない。
彼女が再び指を絡めてくるだけで、達しそうだった陰茎は唾液の潤滑も相まって一足飛びに準備を終えていく。
睾丸がせり上がり、弾込めが完了する。今か今かと待ち望んだ放つ瞬間のために力を溜めて――
「良いわよ、出して……♡」
不意に、最後のきっかけを求めていた陰茎から彼女の指がするりと滑り抜けた。
じわり、と根本から広がる快感は、確かに射精の時と似ていた。
だが、駆け抜けていくあの強烈な瞬間も、勢い良く放たれる白濁も、どこにもない。切ない快感を訴えるように暴れた怒張の虚しい脈動に合わせ、鈴口の先端だけが白く濡れていた。
「あら、手が滑っちゃった♡」
全身がゾクゾクと震える中、そんな彼女の言葉が聞こえてきた。
そこで青年は気付かされる。これはまだ、お仕置きの最中なのだと。
たらりと尿道を伝って椅子へと雫を垂らすに留まってしまった陰茎は、未だそそり立ったままで、射精し損ねた分を強請るようにその身を揺らしていた。
「ふふふ♡ 射精への道筋を失った迷えるオチンチンを導いてあげる……♡」
彼女が再び指を絡めてきた瞬間、先程までの興奮を保っていたかのような強い快感によって思わず腰をくねらせてしまう。仮にも絶頂に近い状態だったから敏感になっているのか、自身の体のはずなのに青年には理解が追い付かなかった。
ただ、わかっているのはすぐに得られなかった瞬間を取り戻せるという、浅ましい期待だけ。親指と人差指の輪がカリを行き来するだけで甘い痺れが襲ってくる、が――
「あら、ヌルヌルしてて動かしにくいわ♡」
あれだけ狙った箇所だけを小刻みに責め続けていた指があからさまな動きで離れていってしまう。
再び襲ってくる、体の奥でくすぶった快感がもどかしい。
確かに気持ちは良いが、これを射精だと認識ができない。
これでは射精ではなく漏精だ。
ピュク、と僅かに噴き出た精液の量も先程よりは多かったが、出涸らし程度だった。
残った全てを掻き出したい。そんな欲求が自然と陰茎を――
「だーめ♡ まだ二回じゃない♪」
両腕を掴まれる。いくら女性の姿をしているとはいえ彼女は兵器だ。人間の膂力では勝てるはずがない。
そして、今度は腕が使えなくなった代わりに彼女の口が近付いてくる。
やめろ、イカせてくれ、と青年は叫ぶ。だが、懇願は陰茎を飲み込まれるまでの僅かな間しか続かなかった。
青年は立場を忘れ、床を踏みしめて腰を持ち上げ、彼女の口を犯した。鋭敏になった感覚はまともな抽挿を行えるほどの突き上げを行えず、小刻みに振るばかりで惨めなものだった。
それですら、彼女が頭を持ち上げるだけで届かなくなってしまう。
青年は、自らの腹部へと勃起の治まらない陰茎を叩きつけんばかりに腰を振り乱し、生徒としても、指揮官としても惨めな様を晒していたが、彼女の態度に失望の色はない。
「まだ三回……♡ このやり方はね、射精しようって、キュウって動く部分の気持ちよさだけを切り取ったものだから……生徒君が空っぽになっても続けられるのよ?」
――この状態が、ずっと?
――もどかしい快感だけを繰り返されたら壊れてしまう。
頭の中が白く染まる中、視界の中の彼女は既に次の準備を始めようとしていた。舌を伸ばし、溢れ出た白い雫を掬い取るように何度も、何度も先端の割れ目だけを執拗に責め立ててくる。
本来ならば射精まで繋がることのない愛撫も、直前から再開される身としては逃れようのない絶頂だった。
青年は、懇願する。今度は絶頂の為ではなく、制止の為。
下腹部の奥が悶え狂いそうになる快楽を覚えてしまっては、戻れない気がしたのだ。
「良いのよ、壊れても。私はあなたの全てを受け入れるから……♡」
インプラカブルが陰茎へと口付けをした瞬間、青年の搾り出された白濁が彼女の唇を穢した。