BBちゃんが軽率にメルトをいじめる短編です。
……最近、マスターが私を見る目がおかしい。
カルデアの廊下を歩きながら、サーヴァント・アルターエゴ──メルトリリスはそんな事を考えていた。
チラチラとこちらの方を見ているかと思えば、目が合ったとたんに顔を赤らめてそっぽを向く……それがここ最近ずっとだ。
いくら神霊の混ぜ身、そこらの十把一絡げと一線を画すハイ・サーヴァントといえど、そんなことが一週間も二週間も続けばさしもの彼女も辟易しようというもの。
メルトリリスというアルターエゴの気はそこまで長くはないのだ。
メルトの交友関係はそこまで広いわけではない。パッションリップはアテになりそうにないし、何かの間違いでBBに訊こうものなら「えー?w メルトってばそんな事もわからないんですかぁー?w」と馬鹿にされること請け合いだろう。そんな事態はなんとしても避けなくてはならない。
実力行使あるのみ、とマスタールームに単身殴り込みをかける。ウィーン、と自動でドアが開くと、椅子に座って本を読む黒髪の頭が視界に入った。
「マスター、ちょっといいかしら」
「えっ? ど、どうしたの?」
これだ。この顔を赤くしてどもりながら目を逸らすその仕草。
いい加減に我慢の限界を迎えていたメルトはつかつかと歩みより、ぐいっとその体を持ち上げる。感覚が希薄とはいえこの程度の大雑把な動きであれば造作もない。そして、目を白黒させる青少年の体を壁際に設けられたベッドに放り投げた。
ばいん、と力強いスプリングによって少年の体がバウンドする。すかさずそこにとびかかり、全身でその体を抑え込んだ。……うっかりこの異形の足で刺したが最後、メルトウイルスによって少なからずドロドロになってしまうので、そこだけは気を付けて。
「気付いていないとでも思っていたのかしら? だとしたら侮られたものだわ」
「え、ええと……」
「さあ、全部吐いてもらうわよ──私の事をチラチラチラチラ、何が目当てなの? ……悪い気はしないけど、いい加減鬱陶しいのよ」
「そ、その……」
「なによ、歯切れが悪いわね」
そこでメルトは気付く。この男、私の事を見ていない。より正確に言えば、肩越しに私の背後を見ている。
この期に及んでまだ目を合わせないつもりか、と苛立ちを募らせ、体を抑え込んだままその顔に手を伸ばして──
──ガィンッ!!
「い゛っ…………!?」
後頭部に走る衝撃。視界に火花が散り、視界が激しく明滅する。全身から力が抜けて、だらりと糸の切れたマリオネットのようにマスターの体にもたれかかる。
殴られた、と認識したころには時すでに遅し──そのまま満足に思考をまとめる事すらままならず、メルトの意識は暗闇に飲み込まれていった。
──
「……んぅ……」
視界が開ける。
気が付くと、メルトは見覚えのあるピンク色のケバケバしい空間にいた。忘れもしない、自身を産んだ上級AI──母親とは死んでも認めたくない──の固有空間。
その名も──
「BBぃ~~~っ、チャンネル~~~~~っ!!☆」
──BBスタジオ。
憎たらしい面構えの自称・小悪魔系サーヴァントの声が耳に入り、その姿が視界に映る。ふよん、とハイテンションな動きに合わせて胸部の駄肉が揺れるさまをまざまざと見せつけられ、ピキリとメルトの額に青筋が一本走った。
「本日はゲストとしてメルトリリスさんに来ていただきました~! ハイ拍手!」
「BB! 今度は何のつもりよ!?」
わーぱちぱちぱち、とふざけているとしか言いようのない御託をつらつらと並べ立てながらこちらをはやし立ててくる彼女へ向けて詰め寄ろうとして、異変に気付く。
……体が動かない。もうすこし詳細に言うなら、手足だけがまるで凍り付いたかのように動かない。何事かと自分の体に視線を回すと、ちょうどXの形に仕立て上げられた拘束台にガッチリと固定されていた。
「ち、ちょっと! 何よこれ!」
「はいはーい、すぐに済みますから待っててくださいねーメルトー」
感覚に乏しい手足になけなしの力を込め、ギシギシと拘束具の擦れる音を鳴らしながら抗議する。
しかしBBはどこ吹く風で、なにやら手元に表示したホログラムコンソールを片手でカタカタと操作していた。嫌な予感をひしひしと感じながら、誰かこのいけすかないし胡散臭い上級AIの他にアテになる奴がいないかと辺りを見回す。
果たして視界の端にちらりと入り込んだのは、見覚えのある黒髪。そちらに顔を向ければ、顔を赤くしながらこちらを見てもじもじしているマスターと目が合った。
「マスター! 良いところにいたわね、この拘束を解いて頂戴!」
「……あー、えっと……」
「何をぐずぐずしてるの! ほら早くしなさい!」
急かしたてるも、相変わらず優柔不断に何かを言いだそうとしては止めるばかり。
なんとも煮え切らないその態度に、にわかにイライラが加速していく。ギシギシと拘束具を鳴らしながら睨み付けると、少ししてから意を決したかのようにこちらに歩いてきた。
「そうそう、それでいいのよ。さぁ、さっさとこれを外してそこの上級AI気取りないけすかない女をぶちのめして……」
「ふふっ……それにしても、まだ気付かないんですね?」
「……なんですって?」
「それじゃあネタバラシたーいむ! やっちゃっていいですよ、セ・ン・パ・イ♡」
怪訝な表情を浮かべるメルトの視線の先で、パチンと指を鳴らしながらBBがそんなことを宣う。
マスターが覚悟を決めたような表情で彼女の目の前までやってきて──そのまま、貞淑に隠された彼女の股間に手を伸ばした。前貼りに手をかけられ、ゆっくりと力を込めて引っ張られる。
待って、とメルトが制止するよりも早く。
──ずるぅぅぅうううううううう~~~~~~……っっっ♡♡♡
「お゛っ……うおぉぉぉおおぉおぉおぉおぉぉお~~~~~~??????♡♡♡」
下腹部に染み渡る甘く蕩けるような感触と、たまらず口から零れる快楽の喘ぎ。
何事かと自らの股間に視線を向けてみれば、そこには普段自分が身に着けているものとは似ても似つかない淫靡なデザインのそれがマスターの手に握られている。
そして、その内側から伸びたずらりと玉の連なって出来た棒と陰茎を模した張型がねっとりと糸を引き、ほかほかと湯気を放っているのが見えた。見えてしまった。
「なっ……あっ……!?」
「メルトってば、今の今までそーんなえっちな物をお股に着けて生活してたんですよ? ちゃんと私とセンパイにしか認識できないように偽装はしてましたけどー、もしかしたら目敏い人たちには感づかれちゃってるかもしれませんね☆」
そんなBBの言葉も、今は耳に入らない。
淫らな物をさも当然のように装着して過ごしていたという事実。あまりにも受け入れがたい事実を前に、彼女の思考はフリーズしていた。しかし、そんなこと知ったことではないと言わんばかりにBBはつらつらと自身の仕掛けたイタズラのネタバラシを続ける。
「相応に体は気持ちよーくなってたんですけど、そこはBBちゃんがちょちょいのちょいで気付かないように感覚を遮断していたのでした♪ と言っても、メルトがそれを装着していたっていう事実に気が付くまでの期間限定、先送りだったんですけどね?」
ぞくり、と。
X字のポーズで拘束されたままのメルトの背筋に、冷たいものが走る。
今、この女は一体何といった? 『先送り』だって? って言う事は、まさか──。
「それじゃあつけ払いまで3秒前っ! さーん、にーぃ、いーち──」
(まずい、まずい! まずいまずいまず──)
「──ぜーろっ♪ そーれ、惨めにイキ狂っちゃうマゾ豚になーれっ♡」
──ずくん。
下腹部に走る衝撃に、かひゅっ、と喉から空気が漏れる。
腹の奥底で不気味に渦巻き始めた『それ』は、ゆっくりゆっくりと体を登っていく。えもいわれぬ恐怖に顔が引きつるが、気持ちとは裏腹にその体は咳化したかのように微動だにしなかった。
「ぁっ、……ィっ、やっ……」
「ほらほら、溺れるような快楽をじっくり味わいなさい? そーれ、イけっ♡イけっ♡イき死ねっ♡」
BBがそういうや否や、胸のあたりまで登り詰めていた何かが一斉にメルトの頭になだれ込んできた。
焦点が定まらずに震えていた瞳がぐりんっと裏返り、限界まで開かれた喉奥から咆哮が溢れ出る。
「ひっ、ヴ!? おっ! オ゛ォッ!?? グッ゛、い゛ッ、いぎぃぃゅぅぅうぁア゛ァァァアアアアアアアッッッ!?!?!?♡♡♡♡♡♡♡」
「あはぁ♡ 感覚は希薄なのに中身はこーんなに敏感さんなんですね? 何も知らずに振舞ってる間に、貴方の体はどれだけイキ狂ってたのやら」
バチバチと頭の中がスパークする。意志に反して体がビクビクガクガクと跳ねまわり、プシャァアアッ♡とイキ潮を撒き散らす。淫らで無様な姿を眺めながらBBは嘲るように笑うが、当のメルトにそれをとがめる余裕は全くなかった。
そして、目の前で繰り広げられる惨状にマスターが顔を真っ赤にして両手で顔を覆う。しかし、指の隙間から乱れ狂うメルトの姿をチラチラ目にし、ズボン後にでもわかる程に股間を隆起させていた。
つかつかとBBが歩みより、メルトの足元に捨て置かれたディルド前貼りを拾い上げる。尿道、まんこ、アナルの3穴を徹底的に虐め抜くようにデザインされたそれは、製作者の期待以上の成果を上げていた。愛液と腸液とその他でドロドロになったその淫具をおもむろに指で撫で、にちゃりと糸を引く粘液の感触に「おおっ」と声を洩らす。
しばらく前貼りを片手にメルトの磔刑アクメダンスを眺めて……BBに電流走る。彼女の背後に稲妻のエフェクトがほとばしり、カルデアの食堂に居たエジソンとテスラがガタッと席を立ってエレナに一喝された。
普段の美しきプリマドンナの姿はどこへやら、オットセイのように汚い喘ぎ声をあげてアクメの清算を重ねるメルトの股間に前貼りをあてがう。
「駄目ですよメルト~、脱いだものはちゃんと履かなくちゃ」
「ア゛っ……ィぎっ、やべッ、ァにを゛……!?♡♡♡」
「そー、れっ☆」
ずぶんっ!
「オ゛うっ!!♡」
メルトの体が殊更に力強く跳ねる。
それを確認したBBは力任せに差し込んだディルド前貼りをぐりぐりと動かし、穴という穴をこじ開け、この前貼りなしでは排泄我慢もままならないようなゆるあなに仕立て上げていく。
そして、一通り三穴を虐め抜いた後で。
「さて、それじゃあ仕上げです☆」
──ずぼっじゅぶんちゅぽっどちゅどちゅどちゅっっ♡♡♡♡
「イ゛! い゛ッ!? あっぇ! やめっ、らめっ!? や゛っ! やぁ゛っ……~~~~~~~~~~~~~~!?!?!?!?!?!♡♡♡」
狂気の拘束三穴ピストンに、自らの喉を裂き潰さんばかりの咆哮が放たれる。
さらに、右手でまえばりをどちゅどちゅと激しく抜き差ししながら、左手でタクトを構えるBB。中身が差し込まれては引き抜かれることによってモコモコと不気味に蠕動する下腹部に先端をあてがい、躊躇なく感覚過敏化の魔術を乱打した。
筆舌に尽くし難い、嬌声とも断末魔ともつかない高周波がスタジオを満たし、それに当てられたマスターが人知れず目を回してひっくり返る。しかしそんなことはBBの知ったことではなく、メルトに至っては全く持ってそれどころではない。
「これでっ、トドメ、ですっ! 月までふっとべ、《C.C.C./Cursed Cocking Civilization》~!」
──カースド・コッキング・シヴィリゼイション。分類、対反抗的雌豚宝具。
かつてムーンセルを掌握したBBによる、世界を犯す攻撃をそっくりそのまま一人の女を一匹の雌に貶めるためだけに持ち出されたもの……とかそういう高尚っぽい設定とかは別に一切なく、ただ単に淫具をフル活用して調教するだけの性的攻撃。なんなら宝具ですらない。
しかし、感覚鋭敏化魔術を何十発も打ち込まれたメルトに大してはこの上ない威力を発揮した。
ひとしきり虐め抜いて満足し、ぬぽっ、と前貼りを引き抜く。
そこで、BBはあることに気付いた。
「……あっ、これ前後ろ逆でした! おしっこの穴とお尻のが同じサイズに鳴っちゃいましたねー、BBちゃんうっかり☆」
「はっ……あァ゛ッ……ヴぎゅッ……ぇ……」
そんな風に陽気に宣うBBをよそに、さんざんに暴れ狂って汁という汁を撒き散らしていたその矮躯から力が抜け、がくりと項垂れる。じょろろろろ……と微かに尿の混ざったほのかに黄色いイキ潮を垂れ流し、すっかりガバガバになった3穴がひくひくと力なく震えた。
ざらりと青の長髪がメルトの顔にかかり、その表情を覆い隠す。かと思えば、その状態のままに彼女の体が黄金の粒子となって解けていく。
あとに残されたのは、体液でドロドロになったX字の板と拘束ベルトだけだった。
「……あれ、もしかして本当に逝っちゃいました? ふぅん、サーヴァントってデスアクメでも退去しちゃうんですね。これにはBBちゃんもびっくりです」
特に驚いた様子もなくそう呟くと、BBは手元のコンソールにあれこれと入力していく。あっという間にカルデアのログが改竄され、メルトの退去はデスアクメによるものではなく霊基維持システムの不具合だったということに仕立て上げられた。
後日、メルトリリスはマスターの手によって再召喚されたが、今日に至るまで彼女は何も覚えていないように振舞っている。しかし、彼とBBだけがそれを認識できていた──彼女の股間を貞淑に覆う、以前のそれよりもより淫らで凶悪なデザインになった白銀の淫具を。
「さあマスター、今日は空いてる? 当然空いてるわよね。この私のために時間を使ってもらうんだもの。さあ、付いてきなさい」
何も知らないままに自らの体を虐め抜く淫蕩のプリマドンナを尻目に、BBは手元のタブレットに目を落とす。
その画面には、全身を岩自我ら根に拘束され、バランスボールと見まがうほどに膨れ上がった双丘から魔力リソースを搾り取られて快楽に蕩けたうめきをこぼすミルクサーバーが映し出されていた。
「……ふふっ♡」
──上級AIの爛れた生活は終わらない。