レオン=S=ケネディは、夢を見ていた。
舞台は教会だ。
どうやら、自分は祭壇の前に仰向けで倒れているようだ。そして、ハラワタを食われている。
「次のアカデミー賞は、俺と君でいただきだな」
「レオン……がふっ……うまっ……」
レオンの腹を食い破っているのは、アシュリー=グラハムだった。ボブカットにした金髪が軽やかな美女────だが青ざめた顔には血管が膨れ上がり、目は血走っている。恐るべきウイルスに感染したことを物語る姿だ。
「あなたが悪いのよ。あなたが悪いの」
口の周りを真っ赤に染めるアシュリーは、思い出したようにレオンを責めた。
「私が欲しいものを、くれないから」
「なけるぜ」
痛みは遠く、死にゆく自分をビデオゲームの中に眺めているようだ。いつもと違う悪夢は、彼女に対する自責の念が生み出したのだと悟る。
いつの間にか持っていた拳銃を自分のこめかみに押し当て、レオンは引き金を引いた。
◆Chapter1-濡れた舌
Lady be licking it◆
ぱちりと目が開き、脳が覚醒する。ベッドサイドの時計は、午前4時を示していた。
悪夢から覚めたレオンの全身を、布団の温もりが包んでいる。しかし下半身に違和感があった。
ねっとりと、絡みつくような感触。
「……勘弁してくれ」
視線を下に移すと、掛け布団がこんもりと盛り上がっているのが見えた。
布団の中でもぞもぞと動く
「んふっ……ちゅっ、へろ~っ……♡」
「んぐ……君って女は」
生暖かい舌が上下するたびに、鈍い快感が腰骨の奥から湧いてくる。昨晩、何度も搾り取られたので、さすがにまだ出ない。それでも心地よいのは確かだった。
「んフ、レオン……起きたのね」
聞き慣れた声がする。ビターな中に甘さを織り交ぜながら、耳の奥へ滑り込んでくる声だ。三年も付き合った恋人の声が、悪夢の残滓を吹き飛ばしてくれるようである。
「あー、ああ、おはよう、アシュリー」
「おはよ、レオン」
布団をめくると、見慣れた顔がこちらを見ていた。アシュリー=グラハム、二十五歳。
前アメリカ大統領の娘にして、テラセイブ*1の若き理事。この寝室の主であり、レオンの恋人だ。
やや童顔ながら整った顔立ちに、薄青い瞳が輝いていた。高い鼻筋はすっと通って、その下の唇は瑞々しい果実のように潤っている。キスしたら気持ちいい、桃色の肉ひだ──
ちゅっ♡
それをくっつけて、アシュリーはペニスに吸い付いた。唾液で光る陰茎を細い指でシゴきながら、亀頭の先端で溢れる液の玉をついばみ、音を立てて何度も吸う。
「何やってるんだ?」
「んふ? 愛しのペニスに朝のご挨拶よ。見てわからないかしら?」
「見りゃ分かる。なんで朝の四時半からしゃぶってるんだって聞いてるんだ」
「んー、それはねえ?」
男の股間に顔を埋めたまま、アシュリーは悪戯っぽい表情で見上げてくる。自分の唇をぺろりと舐めて、
「だって、一ヶ月ぶりに会えたんだよ? デートして、セックスして、あなたのオチンチンで何度もイカされて……」
布団から抜け出て、一糸まとわぬ姿で馬乗りになるアシュリー。昨夜の情交を証明する数々のキスマークが、レオンの所有欲を満たしてくれる。
男好きのする、実に結構な女だ。盛りを迎えた体はむっちりとして、五年前より確実に肉付きがよくなった。立体的に膨らんだバストは、アメリカ合衆国大統領が配備したミサイルよりも破壊力がありそうだ。
「もう、私の中にあなたが足りないの。カラダ、治まらなくって……」
そんな女が、赤く染まった顔を笑みの形に歪めながら、しな垂れかかってきた。
(夢の中でもペニスを咥えてた……だから起きてすぐ、体が疼いちゃってさ……♡)
吐息がかかるほど顔を近づけて、アシュリーは耳元で囁く。肌と吐息から、言葉から、熱情を伝えようとしている。
(おちんぽペロペロしたいよ~♡ って私の子宮が訴えてくんの……でもレオン、全然起きないからぁ……)
それで寝ている男のアレを愛撫していたわけだ。
なるほど、あんな悪夢を見るわけだとレオンは納得した。
「俺も君の夢を見たよ。君に食べられる夢だ」
「やだ、素敵」
曖昧に伝えると、アシュリーがうっとりした顔で舌を出す。どうやら上手く誤解してくれたようだ。そのままレオンの頬を、顎からこめかみまで舐め上げてきた。
「んはぁん……はぁ……ふぅうンっ……」
くすぐったさと心地よさが入り混じった感覚。なめくじが這うような速度で、ゆっくりと、舌が這いずる。沸騰したような吐息が、頬に吹きかかる。
アシュリーはそのまま、耳の裏まで舌を這わせた。レオンの胸板に豊満な乳房が押し付けられ、形を変える。谷間にはホクロが二つあった。
れろぉ……
ぴちゃぴちゃ……
ちゅっちゅっちゅっちゅっ……
舌のザラつきを感じるたびに、肌が粟立つような快感が走る。思わず身悶えすると、それを押さえつけるように体重を乗せてきた。柔らかな唇が耳たぶに触れ、くちゅり、という水音が鼓膜に響く。舌がゆっくり耳の穴に侵入し、内部を舐めまわしていく。
「んはっ……レロっ……じゅるるるっ♡」
耳たぶを甘噛みされ、吸い付かれると背筋が震えた。舌が穴の奥へ侵入し、耳垢を舐め取っていくのが分かる。唾液にまみれたそれが耳の中で蠢くたびに、ゾクッとした快感が走った。
ちゅっ、ぢゅっちゅっ、ぢゅぅっ……。
まるで性器を挿入されているかのような水音に、レオンも段々その気になってきた。
「俺のプリンセスはセックスが好きすぎるな?」
軽口を叩きながら、尾てい骨から尻にかけてをなで回す。ふっくらとした肉の丘は、触れるだけでレオンの心を幸福で満たしてくれた。
「んっ、あっ、ああんっ、訂正っ、訂正を要求しますっ」
指が蜘蛛のように這うたび、アシュリーの口からは声が漏れる。やがて愛撫が両脚の間にまで及ぶと、甲高い声が耳の奥まで「あんっ♡」と響いた。
「何を訂正するって?」
「私が好きなのはレオンとのセックスっ♡ 私のナイトがしてくれる気持ちいいことなのっ♡」
アシュリーは、炭火のように熱く火照った体をくねらせながら、レオンの下半身へ手を滑らせる。
「うっ……!」
思わず声が出た。既に硬くなっていたものを撫でられたからだ。彼女の手が、指が、竿全体を優しくなぞっていく。
「それにぃ。あなただって、私に食べられるシチュエーション、本当は好きなんでしょ?」
くすくす笑いに、レオンは憮然とした。
「別に……嫌いじゃないが」
「んっふふ~♪」
以前のレオンは、命がけの任務で性欲が枯れてしまったように感じていた。だが初めてアシュリーと体を重ねた時、枯れかけた草木に水が行き渡るような感覚を味わったものだ。今や任務中でも、ふとしたときに自分は彼女を想っている。
「舐めて欲しいでしょ♡ 舐めてあげるからね♡」
アシュリーは、からかうような声と共に舌先を伸ばし、レオンの唇からあご、首筋へと這わせていく。鎖骨から乳首、
ちょんと舌が触れたレオンの銃身は、はち切れんばかりの姿で揺れた。
「ふふ、もうパンパンで苦しそぉ……♡」
大きく開かれた股間に顔をうずめた、四つん這いのアシュリー。ほつれた金の髪を指で掻き上げる姿には気品すらある。しかし女の視線は濡れていた。目の前で我慢汁を垂らす亀頭にも負けないほど、情欲を滴らせている。
「んふ……まずは味見しないとね」
屹立するモノを愛おしそうに眺めながら、アシュリーは舌を出した。唾液で濡れているのを見せつけるように、男根の先端だけをチロチロと舐め始める。
熱い鼻息も敏感な部分をくすぐり、ぞわぞわとした快感をレオンの背筋に走らせた。
「ぴちゃっ……ちゅっ……れろっ……」
アシュリーは、上目遣いにこちらを見つめてきた。わざと湿った音を立てて舌を這い回らせ、
「ご~し、ご~し……♪ おっきくなぁれ♪」
指で作った輪っかでカリ首を上下にこすられ、レオンは、痺れるような快感をぐっとこらえた。
「あは、たまたまもぷりっぷりだよ?」
「くっ……ふぅ……この小悪魔め……」
「んふふ、ぴくんってしたね……ちゅっ……」
思わず出た情けない声を聞き逃さず、アシュリーはますます楽しそうな顔になった。鈴口をちゅっちゅっと吸いながら、陰嚢をやわやわと揉む。
「昨夜たくさん出したのに、まだ出し足りないのね……ちゅっ……ふふっ、レオンったら」
アシュリーの顔が沈む。
「ほんとタフなんだから……れろ~♡」
温かい舌が、唾液と一緒に睾丸の表面を這いだした。縫い目のところを下から上へ、竿の根元へ。肉の茎をカタツムリのように昇り、亀頭にまで到達する。
「んふっ……んふっ……」
アシュリーは息を整えてから、丹念に唾液を塗り込め始めた。たっぷりの唾液でコーティングされた舌を、ペニス全体にぬるり、ぬるりと、丁寧かつ執拗に。熱の入ったベロフェラで、レオンの股間全体を溶けそうな気持ちよさに包んでいく。
「どう……? 気持ちいー……?」
「まあ……まあまあだ」
「ふふ、強がってみせるんだ?」
笑えば見える白い歯に、レオンはぞくりとさせられた。腰がズクズクと疼いて、高まってきた射精感を歯を食いしばって耐える。
「くっ……! お、おいアシュリー……っ!」
「ん~? どうしたの? ほら、へろ~ん……」
アシュリーはクスクス笑いをしながら、なおも亀頭を舌でなぶる。
レオンは完全に遊ばれていた。この女、と思いながらも、自分の官能をよく知った恋人の手管に抗えない。
「レオン=S=ケネディさんは、可愛いカノジョにお願い事があるのかな? はぁ……すごい匂い……我慢汁……濃くてしょっぱくて……癖になっちゃう、ちゅう……♡」
先走りの汁があふれるのを見計らい、尿道口に唇が押し当てられた。そのまま強く吸い上げられ、竿がびくびくと震える。
「れるっ、へろ、へろへろっ」
舌の動きが速くなる。吸いながら、一気に追い詰めてきた。
「んふー♪」
女が鼻息を漏らす。熱い息を吹きかけてくる。
その感触に、夢の光景が重なった。アシュリーの牙が、自分のものへ深々と突き刺さる妄想。
「あ、アシュリー……やばいっ……っ」
レオンの快感が一気に増す。腰の奥が痺れ、熱いカタマリが出口を求めてせり上がってきた。
「いいよ、レオン……射精キメちゃって……♡ 一滴残らず搾り取ってあげる……」
「ぐぅうううう……ッ!!」
「ほら、出してよぉ……出せってば……出せぇ~……♡」
猫を撫でるような声、じゅるじゅるというイヤらしい音。
亀頭を舌でねぶり回し、雁首を執拗に責める。陰嚢の裏まで、指を使って丁寧に撫でていた。精子が作られ、送り出されるのを待っている。優しく、激しくマッサージしてくれるレオンの恋人、アシュリー。
レオンはもう、快感を受け止めきれない。シーツを掴む手に力がこもり、足先がぴんと伸びる。腰が浮き上がり、病人のように震えてしまう。
「あ、アシュリー……くそっ、やめろ……イクぞ……イっちまう……ああ……ッ!」
「ふぁい……いいひょ……らひてぇ……?」
にたあと、アシュリーが笑う。かぷんと先端を咥え込んで、直後、勢いよく吸いたてる。
その吸引力に、全身の筋肉が硬直してしまった。
「ああっ……ああ、あああぁぁっ!!」
視界が真っ白になる。意識が一瞬途切れ、全身から力が抜けていった。股間から何かが噴き出す感覚があり、同時に液体を飲み下す音が聞こえてくる。
「むっぐ……んぐ、んく……」
瞬く間に口内を満たしていく精液を、アシュリーは喉を鳴らしながら飲み干していく。鍛えぬいた肉体がしこたま体液を放つ様を、楽しんですらいるようだ。
「んふ、ぷはっ、れろ、ちゅる、んちゅうぅ~♡」
まるでストローでジュースを飲むように、ペニスから放たれる精を吸っていく。すするたびに小さな唇が形を変え、亀頭に密着して音を立てる。愛情たっぷりの搾精フェラチオで、自分の男から最後の一滴までも絞り尽くそうとしていた。
やがてすべて飲み干し終えると、アシュリーはうっとりして満足げな息を吐いた。
「んふゥーッ……♡」
亀頭を口に含み直し、舌先をうごめかせ、もっとよこせと舐め回す。なおかつ激しい口技と裏腹の優しい手つきで、竿をしごいて陰嚢の残り汁まで絞り出そうとしてくれる。
「じゅるるるっ……ぷはぁ……ああ……おいしかった……ごちそうさま、レオン」
最後の一滴まで吐き出させた後、アシュリーはようやく口を離す。唇から覗く舌は、唾液と白濁液で糸を引いていた。
「ふぅ、ふぅぅぅ……まったく君は……盛りのついた犬みたいだな」
「あら失礼ね。私が犬なら、あなたは発情期の猿よ? 何回シても物足りないみたいにすぐ勃起させてさ♪」
「勘弁してくれ」
胸板に頬ずりしてくる恋人の頭を優しく撫でながら、レオンはため息をついた。抱きしめたまま寝返りを打つ。
徐々にまぶたが重くなるのは、もう若くないという証拠だろうか。かつては夜を徹して戦い続けても、睡魔に屈した事はなかった。いかに大統領直属エージェントといえども、三十路となればそんなものなのだろうか。
「ふふ、二度寝しちゃう前にシャワー浴びましょ? 一緒に入る?」
「もちろんだ」
あの忌まわしい村で巡り合って五年、男と女になって三年。レオンは三十二歳、アシュリーは二十五歳。二人の間には揺るぎのない信頼と、分かちがたい性の絆がある。
(とは言え、そろそろ潮時なんだろうな)
二人は紛れもない恋人同士だ。少なくとも、この時はそうだった。
◆Chapter2-楽園の熱病
Febrile love in Paradise◆
「海って大好き! 見てみてレオーン♪」
サマーシーズン到来。南国の日差しは強く、海からの風は涼しい。白い砂浜は目に眩しく、寄せては返す波の音が耳に心地良い。
そんなビーチで、アシュリーが踊るようにステップを踏む。水を得た魚のように活き活きとして、白いサマードレスを翻しながらくるりとターンしてみせた。
「そんなにはしゃいでると転ぶぞ」
「あはは、だって楽しいんだもん♪」
やれやれと肩をすくめるレオンも、サングラスにアロハ姿だ。引き締まった身体にハリウッドスター顔負けの顔立ちも相まって、ビーチ中の女性から熱い視線を注がれている。だが本人はどこ吹く風で、陽光に輝く恋人だけを見つめていた。
「レオンも少しは羽目を外すべきだわ、せっかくのバカンスなのよ?」
「そのつもりだ」
そう、これは貴重なバケーションであり、「レオンの目的」を果たすまたとない機会だった。
アメリカにとって二人は重要人物であり、プライベートの時間などそうそう確保できるものではない。だが、今回ばかりは特別なのだ。何しろ調整役は、
『レオン。娘はもう二十五歳だ。いつまでも独り身でいられると、不安で夜も眠れない』
恋人の父親は、有権者受けする渋く甘い声音で告げた。次の瞬間には、一転して軽い口調となる。
『というわけだ。レオン=S=ケネディならば娘を預けるに足ると信じているよ──いやなに、別に結婚したまえと言っているわけじゃないんだ。最後は君たちの意思が全てだからね』
両手を挙げるジェスチャーは芝居がかっていて、本音でないことは明白だった。二人きりで南国のリゾートへと送り出してもらえたのが、ありがたくもあり、恐ろしくもある。
「見てよレオン! このサンゴ礁の綺麗さったらないでしょ? 早く着替えて泳ぎましょうよ!」
太陽よりも眩しい笑顔で手招きするアシュリー。その輝きに苦笑しつつ、レオンは彼女をビーチハウスまでエスコートした。
◆◆◆
絶頂に達したアシュリーが、びくんびくんと震えた。
「ああ、はあ……♡ ああぁ……♡」
プライベート・プール付きヴィラ*2には、外からの視線を完璧に妨げる壁がある。水着のカップルがそんな所にいれば、やることは一つしかない。まだ高い太陽が、サンベッド*3で騎乗位に興じていた二人を照らしていた。
「はぁ、あ、ああン……あうぅ……♡」
逆光の中で、女は身体をくねらせて余韻を貪っていた。青いフリル付きのビキニが、レオンの姫君を一層艶やかに彩っている。汗ばむ乳房が荒い呼吸に合わせて上下し、水着のフチから赤く充血した乳輪が顔を覗かせている。
「んふっ……すっごく良かった……♡」
「俺もだよ」
未だ収まらない痙攣に身体を震わせながら、女が倒れ込んでくる。
「大丈夫か、アシュリー」
「あはァ……平気ィ……ねえ……」
胸板に甘えながら、彼女は気丈に微笑みを返す。キスの求めに応えてやると、嬉しそうに舌を絡ませてきた。
「ん、ふ……んちゅ……れろ……れろぉ……れろれろれろ……んくう……♡」
女のオーガズムは長く続く。それは男の精をじっくり取り込み、受精するための準備なのだ。悦びは緩やかな曲線を描きながら、全身を甘く蕩けさせていく。
その周波数を知り尽くしたレオンならば、性器に触れずとも快楽の振幅をダイレクトに操ることができるのだ。
「ちゅる、れろ、れる、んぅう~♡ しょれ、さわさわしゅるの、しゅきぃ♡」
「知ってるさ」
脇腹を指でなぞれば、面白いように反応が返ってくる。腰と尻がくねり、子宮口がグッ、カプッ、カプッ、と男の先端に恭順を示す。
女は快感の谷間に身を沈め、山を登り、また沈む。その繰り返しの中にこそ幸せがあるのだと言わんばかりだ。
「はぁぁあ~……っ♡ んふゥ~♡」
何度目かの絶頂のあと、アシュリーはぐったりと脱力した。四肢が力なく投げ出され、全てをレオンに預けて恍惚としている。
「ほら、起きるぞ……休憩しよう、アシュリー」
「……やぁらぁ♡」
甘えた声を出してしなだれかかってくるアシュリーを支えながら、レオンは体を回転させた。ふにゃふにゃになったアシュリーを優しく寝かせ、身を起こす。
「抜くぞ……お前の大好きなものが、ゆっくり出ていくからな……」
「んやぁ、ぁ~ッ♡ 出てっちゃやぁだぁ……♡」
ずるりと抜けていく感触にさえ感じるのか、アシュリーはぴくぴく震える腰を跳ねあげる。その動きは、下のクチでペニスを捕食するようにも見え……そんな女のために吐き出された精液が、コンドームの先端に重みとなってぶら下がっていた。
「すごい……いっぱい出たわね……」
「お前にならいくら出しても足りそうにない」
「レオォォン……」
「アシュリー……好きだ……」
ひっと息を呑んで目を伏せるアシュリー。肌は全身上気して桃色になり、汗が浮かんでいる。普段は勝気な瞳が涙で潤み、今にも溶け落ちてしまいそうだ。
そんな彼女の下腹部を撫で回しながら、レオンは囁き声で追い打ちをかける。言葉だけで絶頂の残滓に着火し、余韻による脳イキを与えてやろうという意図だ。
「そうだ、アシュリー……さっきまでお前の奥に入っていた、俺のもの……よく思い出すんだ、その形と大きさ……」
「なんで今日っ、そんなエッチな声出すのよぉ」
「お前が可愛いからだ」
「あんっ、ずるい、そんなのチートよっ、だめっ、やだっ、やだぁっ、思い出しちゃうっ、思いっ、出したらっ、イクっ、イッちゃうからっ、ひああっ、ああぁあぁぁっ♡」
アシュリーが再び仰け反った。悩ましげに身をくねらせ、ひくつく秘所から新しい愛液を分泌し、サンベッドを濡らしていく。膣口がぱくぱくと開閉を繰り返し、そこから粘ついた本気汁が噴き出す。
「うっ、くぅ、うんっ……♡ は、は、はっ、はあっ……♡」
(かわいい)
普段ならば思いもしない言葉が浮かび、我ながら驚く。それだけ魅せられているということだろうか。確かに今日のアシュリーは格別で、それもこれも──
レオンは立ち上がって、服を着た。これから始まる
「レオン?」
「お前に、渡したいものがあるんだ」
「え……」
寝室に置かれたチェストへ向かう。一番上の引き出しを開ければ、そこには手のひらに乗るサイズの小箱が入っている。
プールサイドに戻ってくると、サンベッドの上でアシュリーが目を見開いている。レオンは、彼女の前で片膝を立てて跪き、そして恭しく蓋を開いた。
中身は、シンプルなデザインの指輪だ。シルバーの地金に、紫色の宝石が埋め込まれている。
「これって……レオン……」
「俺と結婚してくれ、アシュリー」
この旅行中に、アシュリー=グラハムへプロポーズする。それがレオン=S=ケネディの決意だった。
「レオン、レオン、私……」
アシュリーの視線が泳ぐ。やがて、震える唇から「ごめんなさい」という言葉が漏れる。
「違うの、嬉しいの。すごく嬉しくて、頭がどうにかなっちゃいそう。だけど」
透明のしずくが、目の底から止め処なく溢れた。それを指でぬぐいながら、恋人は言葉を続ける。
「あなたは、世界のナイトなのよ。バイオテロで苦しむ世界中の人たち、みんなのために戦い続ける、戦わずにいられない人なの。どうせ止められないなら、私はあなたを縛りたくない……」
「アシュリー」
レオンは、アシュリーの頬にそっと手を触れる。彼女が関係の変化に躊躇するだろう事はわかっていた。
だが、動揺はない。告げるべき言葉もあらかじめ用意してあった。
「いきなりで驚いたかもしれないが、ずっと考えていたことだ。俺はこれからもお前と共にありたいが、正直いつ死ぬかも分からない」
戦い、戦い、また戦い。何度も繰り返されるバイオハザード、そして世界の闇に潜む
「だからお前の中に、レオン=S=ケネディが生きた証を残したいんだ。いつか離れ離れになる日が来ても、心だけは共にいられるように」
女の瞳から、大粒の涙が零れ始めた。頬を伝い落ちる雫を、レオンは指でぬぐってやる。
「愛しているよ、アシュリー」
「言わないでよ! 諦めようとしてたのに!」
アシュリーは激しくかぶりを振って涙をまき散らす。それからぎゅっと目を閉じ、消え入りそうな声で呟いた。
「わかったわよ……もう。私も、あなたが生きた証が欲しい。あなたと繋がっていたい……」
レオンは彼女の左手をとった。薬指に指輪をはめる。
紫の石が、陽の光を受けて輝く。
「アシュリー」
「レオン」
二人は、そのまま静かに抱き合った。互いの鼓動を感じながら、お互いの体温を確かめ合う。長い抱擁の後、ゆっくりと身体を離して見つめ合い──
◆◆◆
「ふふ……レオン……の…………き…………♡」
ルームサービスを運んできたバトラー*4は、扉の向こうから漏れてくる声にも顔色一つ変えなかった。
プロとして、ゲストたちの「お望み」に応えられるのは喜ばしいことだからだ。
「失礼いたします」
室内では、男女がキスを交わしていた。ベッドのすぐ後ろに置かれたバスタブの中だ。ぬるま湯に浸かったまま、本日の主役たちが絡み合っている。
バトラーは、ワゴンを押して静かに近づいた。
「お待たせいたしました」
「ああ、すまない。ほら、ルームサービスだぞ」
微笑む男は、そうは見ない美男子だった。均整の取れた筋肉も相まって、野性味あふれる美しさだ。全身に刻まれた傷痕は、いかにも歴戦の強者──だが兵士にしては、所属を示すタトゥーがない。警官にしては眼光が鋭すぎる。謎めいた男だ。
「ありがとっ……んふ……ねえっ……♡」
その腕に抱かれた女が舌を伸ばし、パートナーの唇をぺろりと舐めあげている。やや童顔ながら、豊満な肢体を持つ金髪の美女だ。
……ニュースで見たことがある顔だったが、バトラーはその記憶を即座に封印した。
「ね、……の…………♡♡ ふわっ、で、……♡」
女が何かを呟き、湯の中で腰を揺する。すると男が少し眉根を寄せて腰を引く。続きをしたいらしい女を宥めるように、優しく頭を撫でた。
「…………」
バトラーは視線をそらさない。ゲストたちの「お望み」は、セックスの刺激となる傍観者なのだから。
よくあることだ。リゾートでは、多くの人が本能むき出しになる。彼らのように普段のしがらみを忘れ去り、ただ愛する人と交わるだけの獣と化す。
ロマンティックできれいなセックスなど、どこででもできる。親愛なるゲスト達に、あらゆる衣を脱ぎ捨てて貪り合える環境を提供せずに、どうして一流のホテルを、一流のバトラーを名乗れようか?
「お食事ですが……リビングまで、お運びいたしましょうか?」
「いや、ここでいいさ。フィアンセとくっついていたいからね」
「やあっ♡ ……て、……でぇ……?」
男の言葉に、女は微笑んですり寄った。心底惚れ込んでいるらしく、べったりと張り付いている。
男の方は涼しい顔をしつつ、ボディタッチを繰り返して女の性欲を煽っていた。
絡み合う薬指に光る、お揃いのリング。どうやら後ろ暗いところのない、相思相愛の仲らしい。蜜愛旅行の舞台に我がホテルを選んでくれたのだ────しかも、これほどの美男美女たちが! ああ、なんと光栄なことだろうか!
「ほら、お前。くっつきたいだろ?」
「うん……うんっ、大好き、あなたっ」
「俺もだよ」
「んちゅっ♡ れろぉ♡ れろぉ♡ んちゅう♡ ちゅくちゅくちゅくちゅく♡」
二人が何度もキスを交わす。舌を絡め、唾液を混ぜ合わせ、すする音まで聞こえた。
この分なら、自分の視線はもう必要あるまい。
(どうぞ、お幸せに)
心の中で祝福の言葉を贈ると、バトラーは再び頭を下げて部屋を出た。
新たな生命の誕生にもつながる楽園の提供こそ、神が与えたもうた職務──それが、バトラーの矜持だった。
◆◆◆
「やだぁ、このトイレほんとにエロい……♡」
名門ホテルがわざわざ用意した、扉が曇りガラスのトイレ。それはパートナーが
「あっ、あっ、出る、出ちゃうっ……♡」
鼻息を荒くした全裸のアシュリーが、お腹を押さえながら上ずった声を出す。
ぶびっとガスを漏らす音がした。続けて、ぽとぽとと、便座の中に何か塊の落ちる音。最後にシャーッと、液体の噴き出す音がする。
レオンは、おぞましい快感に震える婚約者をガラス越しに眺めていた。おそらく生涯最初で最後の、ニヤケ面をしているだろうと自覚しながら。
身悶えしながら、アシュリーはなおも息む。
「あぁ~っ♡ 汚いの出てるっ♡♡♡ レオンに見られちゃってるっ♡♡」
やがて膀胱の中身を出し尽くしたのか、音の勢いが弱まり始める。
最後のひとしずくが落ちる音を聞き取ってから、レオンは立ち上がった。流水音を聞きながら扉を開け、ニオイにも眉一つ動かさず、女へ声をかける。
「どうだった?」
「すっごい、よかったぁ……♡ レオォォン……おまた、拭いてぇ……♡」
背中を見せた婚約者が便座に手をつき、尻を上に突き出した。口からは甘えた声を、秘所から粘ついた愛液を滴らせている。
たっぷりした尻の谷間をペーパーで拭き取りながら、レオンは尋ねた。
「ちゃんと出したか?」
「えぇ、全部出たわ。あなたに嫌われるかもって思いながらぁ……」
「えらいぞ。上手にうんちできたんだな」
「はぁ……は……はっ……えへ、へぇ、っ、もっ、もっと褒めてぇ……上手にうんちできた、あなたのフィアンセをいっぱい甘やかしてぇ……」
幼児のようにシモの世話をされているというのに、アシュリーの声に恥じらいの色は一切ない。あるのは恍惚とした悦び、ヒトの節度を見失った堕落の快楽だけだ。
「ね、レオンもイッて? 私の、赤ちゃんの部屋に出して? 妊娠させてほしいの……」
吐息混じりに熱っぽくねだり、女は、便器の真上で膣口を割り開いてみせた。
ぬらぬらと妖しく蠢く粘膜のピンク色と、そこから漂うフェロモンの匂いとを知覚した瞬間、レオンは我を忘れて怒張を突き立てていた。
◆◆◆
たっぷりと時間をかけて、レオンはアシュリーを愛した。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~~っ♡♡♡ あ゛っ♡ あ゛っ♡ そこダメッ、そこダメッ♡」
正常位で抱かれる女は、膣内をきゅうきゅうと収縮させている。言葉とは裏腹に、もっともっとと刺激を求めているようだ。
「そこ弱いのっ♡ あひぃっ♡ そこばっかいじめないでっ♡ おちんぽ、ぐりぐり、やめてぇえ~♡」
要望に応えて弱点を執拗に責め立てれば、アシュリーは背中を仰け反らせる。
レオンは、熱い熱い女の息を吸い、そして吐き出した。
「愛してるっ、俺のアシュリー!」
「わたひもぉっ♡ しゅきぃっ♡ わらひのれおんっ♡ もっ♡ いっく、いくっ♡ アッアッ、気持ちいっ、イくっ、イクっ、イクイクイクイクゥウウッ♡♡」
互いに想いをぶつけ合い、何度も何度も果てる。
寒くなったら、シーツにくるまる。
何度もキスを交わし、お互いの愛情を確かめ合う。
火照ったら、プールに飛びこんで戯れる。
常に裸で肌を寄せ合い、ナマの性器同士を結合させて……愛の針が振り切れれば、熱く燃え盛る精液を子宮いっぱいに注ぎ込んだ。
愛という熱病が、お互いの粘膜を通じて感染を繰り返す。
「ああっ、また、またくるっ! 精子、またきてるぅうっ!!」
「産め! アシュリー! 俺の子を産んでくれ! 俺たちの子どもを……!」
「はいっ♡ はいぃい! 私、あなたと結婚する! あなたとの子供なら何人でも産みます! だからちょうだい! 早くちょうだい! あなたが欲しいの! あなたの命が欲しいのぉおっ!」
「アシュリー! 俺は戦うぞ! お前たちが生きていける未来のために! アシュリー! 」
「あァ、ああン、好き♡ しゅきィイイ♡♡ だから、だからァア♡ ぜったい帰ってきて、私とベイビーのところへ、必ず生きて戻ってきてェエエッ♡」
◆◆◆
翌朝。レオンは裸のままプールサイドで目覚めた。太陽の光が黄色く……だが、激しいセックス後の倦怠感、全身を包み込む疲労が心地良い。
隣では、アシュリーがゆっくりと伸びをしていた。動作に合わせて豊かな胸が揺れ、燃え尽きるまで続いた夜みを思い出させる。
「おはよう、レオン」
「おはよう、アシュリー」
彼女の裸体は、朝日を受けて白く輝いていた。思わず見惚れてしまうほどの優美な曲線が、余すところなく晒されている。昨夜はあんなに乱れていたというのに、今朝は穢れを知らない少女のようだ。
「レオン、フルーツ食べない? 色々あるのよ」
「ああ、食べる」
空腹に耐えなくていいのは、ありがたい。アシュリーに誘われ、プールサイドに立ったままリンゴやブドウを口に運ぶ。
……レオンが食べている間、ずっと、彼女はぴったりと身を寄せていた。
「ねえ、おっぱいに果汁が垂れてきちゃった」
「ああ、拭いてやるよ」
「え~、どこで?」
「舌で」
差し出された胸に滴り落ちる雫を舐めとる。
くすぐったそうに身をよじったアシュリーは、はしゃいで声を上げた。
「ああ、ああ、私達、アダムとイブみたい!」
「はっ、楽園追放か?」
「ええ、ここはエデンだわ。私とあなただけ、神様も見てない秘密の花園……♡」
笑いあいながら、乳首に吸い付く。イブの胸は大きく柔らかく、聖書にうたわれる知恵の実さえ霞むような芳醇さだ。いつまでも吸っていたいと思う。本気で思う。
「アダム、こっちもお願い……」
そう囁くなり、イブは反対側のたわわな果実を差し出してきた。
両手で揉みほぐしながら、いたわるようにしゃぶりつく。
「美味しい……?」
問いかけに上目遣いで頷く。
彼女は笑い、声を上ずらせた。
「良かった。ね、今度は私に食べさせて……?」
アシュリーは傍らのカゴを漁ると、ブドウを一粒レオンの口に押し込んだ。
少し酸味のあるそれを咀嚼し、口移しで返す。
「ンぅ……♡」
互いの舌の上で、ブドウの果肉を転がしあう。唾液が溢れ、唇の端からこぼれる。じゅくじゅくと音を立てる唾液を飲み込みつつキスを続けるうちに、下腹部が熱を持ち始めた。
たまらずアシュリーの尻を掴む。指先に伝わる弾力を楽しみながら揉みほぐしでいると、声が肌にまといつき、鼓膜を震わせた。
「あん♡ ……お尻、触られてるだけなのにっ♡ 体の奥が燃えちゃいそうっ……♡」
悦びの声に興奮が高まり、肉棒が硬くそそり立つ。早くこの女の中に入りたい──本能のままに、女の秘所へ手を伸ばす。
ぬちゃっ♡
指先で割れ目を割り開くと、粘度の高い液体が絡みついてきた。
「すごく……濡れてるぞ」
「うん……昨日からずっとこうだわ……♡ お腹の中が疼いてたまらないの……♡」
眉根を寄せたアシュリーが、首に腕を回して抱きついてくる。
抱き上げてベッドまで移動しようと足を向けたところで、彼女が呟いた。
「ここでシて……? ここの方が開放的でしょ? ね、いいでしょう?」
濡れた瞳で見つめられては、断れない。毛布を広げてその上に横たえてやると、アシュリーは脚を開いておねだりしてきた。朝日を浴びながら陰唇を大きく広げ、蜜壷を見せつけてくる。
「きて……ここに入れて……」
アシュリーの花芯はほころび、甘い匂いで男を誘っていた。朝露に濡れたバラのようであり、熟れた果物のようでもある。どちらも天からの恵み、尊ぶべき神の賜物だ。
そこに欲望の塊をぶち込んで、穢す! そういう背徳的な行為が、何物にも代え難い幸福をもたらしてくれるだろう。
レオンはその思いを噛み締めながら、自らの分身を押しあてた。
「昨日より、もっと凄いことになるわよ……」
期待に満ちた女の声音。
アシュリーが腰を浮かせる。
脚を両手でつかみ、レオンは一気に突きこんだ。
目の前で乳房がぶるんと揺れる。
ぬ゛るっと入り込んでいく感覚、身悶えする女。
歓喜の悲鳴。
「あ~っ♡ きたぁ♡ あ゛っ♡ あ゛っ♡ あ゛っ♡ 奥ッ、奥にきてぇええっ♡♡ あ゛っ♡ あ゛あ゛あ゛あ゛~~~~ッ♡♡♡ あ゛あ゛~~ッ♡♡♡」
(熱い……!)
中は既に熱々のとろとろで、侵入者に対して熱烈な歓迎の意を示していた。媚肉は大量の熱液を分泌し、優しく締め付けて奥へ奥へといざなう。
あまりの気持ちよさに、レオンは意識を持っていかれそうになるが、歯を食いしばって耐える。
「アシュリー」
囁くだけで、彼女は全身をおののかせた。もはや芸術品と呼んで差し支えない乳房が、陽光で透けて見える乳房が、ゆさゆさと揺れる。
「あはぁっ♡ 名前呼ばれちゃった♡ ん゛っ♡ ん゛ふッ♡ はあぁ~……………………ッ♡」
ぎゅうと目をつむったまま、アシュリーは熱い熱い息を漏らしている。眉間に寄った皺から察するに、軽く達してしまったらしい。
レオンはしばし動きを止めて、エクスタシーに浸らせてやる。
「はーっ、はーっ、はー……あひぃん!?」
脚の付け根の鼠径部や、腰骨のすぐ脇など、感じやすい部分をさわさわとくすぐってやる。そのあたりの神経は子宮にも近く、あえて言うなら〈子宮の翼〉とも呼ばれる部位である。
アシュリーはビググと身をのけぞらせた。
「はぐぅ……ひうっ……そこぉ……ぞくぞくするぅ……あっあっあっあっ……ひゃあっ!? 待ってぇ……今イってるぅ……イっちゃってるからぁぁ……」
かなり過敏だ。どこに触れても敏感すぎるほどに反応する。
絶え間ないセックスとエクスタシーは、アシュリー=グラハムという美に恵まれ、知性に恵まれ、身体に恵まれ、親にも家柄にも恵まれた二十五歳の女を、これ以上ないほど堕落させたようだ。
「アシュリー、動くぞ」
レオンは、大きなストロークで動き始めた。いやらしい女体を、まんべんなく耕していく。
「ひぁっ!? うそっ、ちょっと待ってっ、だめっ、今すごく気持ちいいのっ♡ あっ、あっ、あっ、あっ♡ イクっ、またイっちゃうぅぅぅぅぅ♡♡♡」
ぎゅうー、と膣が収縮し、何度目かの絶頂を知らせる。レオンの律動に合わせて腰が浮き上がり、両脚の筋肉に力が入る。膣内が激しく痙攣し、ペニスを締め上げる。熱くてどろどろした粘膜が包みこみ、激しくしゃぶってくる。
「ぐっ………………!」
レオンは射精感を堪えて、前後動のペースを保った。まだ早い。まだ始まったばかりだ。今は耕して準備をする段階なのだ。
「まっへ、いま、らめぇ……イッてるからぁ……あひぃんっ♡」
「ダメだ、俺がいいと思うまで続ける」
一突きする度に、胸のミサイルが大きく波打つ。仰け反り、たらたらと汗を流し、髪を振り乱して喘ぐアシュリー。良血の令嬢が、一匹の雌犬へと堕ちていく。
たまらない瞬間だった。
「あひっ、らめ、奥ぐりぐりしちゃ、ああっ、あぅっ、あふっ、あぁっ♡」
泣いても、悶えても、喚いても、アシュリーの眼はじっとこちらを見つめ続けている。その奥に宿る愛情の色。
想われていることがよくわかる。
愛されていることが実感できる。
それだけで幸せな気分になれる。
「激しくいくぞ!」
「んひぃぃーっ♡ んぐっ、んくっ、はぁ、はあ、だめぇえええー!」
両脚を手で支え、ぐっと上体を前傾させて、レオンは彼女の身体に覆い被さった。どっどっどっ、と杭打ち機のように、上から下に叩きつけるピストン運動を繰り返す。
「アッ、アッ、アッ! おっきいぃ! はぁ、はぁあ、はっ、ああ~~~~~っっ!!」
びくんっ、びくんっ、びくんっ、とアシュリーの身体が跳ね上がった。下半身を震わせてオーガズムに溺れ続けるので、ぐねぐねと蠢く肉襞の動きが止まらない。
「なんだっ、誘っておいて、だらしのない!」
「だってぇえっ♡ あーイくっ、あーまたイくっ、一回止めてよぉおお~っっ♡♡♡」
「ダメだ、我慢しろ!」
ラストスパートをかけようと、レオンは更にのしかかる───その瞬間、アシュリーが抱きついてきた。遮二無二、両手を背中に回して、こちらの身動きを封じてくる。
「はぁんっ、はぁんっ、ハァンッ♡ もうやだ気持ちいいのっ やなの 幸せなのっ ヤァァアア~ッッ♡♡♡」
涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら、アシュリーは狂ったように叫び散らした。さながら、溺れた人間のようだ。息を絶え絶えにさせながら両手両足でしがみついてくる。
「んんっ、このままぁっ♡ このまま射精してっ♡ あなたの精子ほしいっ♡ 一番深いとこで受精させてっ♡ 赤ちゃん産ませてっ♡ おねがいっ♡ お願いだからっ♡ 早くっ♡ 早く早く早くっ♡♡♡ 中に出してぇぇっっっ♡♡♡♡」
たまらず、レオンはキスした。吸いつかれ、上も下も絡み合い、混ざり合う感覚が心地良い。
溶け合ったまま腰だけを浮かせて、最後の一撃を加える。
ずぱんっ!
「ングッ!! んんんーっ♡♡♡ ~~~~っ♡♡♡♡」
重なったままの、唇と唇。
声にならない悲鳴。
びくんびくんと身体を痙攣させる女。
抱きしめて押さえ込む。
鈴口から放出される、大量の白濁液。
脈打ちながら、勢いよく子宮の中に。
どくん、どくんっ♡
「んごぉぉぉっっっ!!! おぉぉ~~~~っっっ♡♡♡♡♡ んふぅ~っ、んふぅ~っ、んふぅ~っ♡♡♡ んん──っ♡♡♡」
一滴残らず注いでやろうと腰を押し付けながら、顔を離す。
アシュリーの唇が、ぐい~っと突き出された。
「お゛っ、おーっ……おほっ……ほへっ……へへへぇ…………♡」
女が力なく笑う。弛緩しきった情けない顔、どろりと濁った瞳、汗にまみれた肢体。前大統領令嬢とは思えない無様さだ。とても他人には見せられない、受精の悦びに浸りきったメス──だが、レオンとアシュリーはもう他人ではない。
永遠に続くかと思われた吐精が、ようやく終わった。
「あぁ……終わっちゃった……レオンの、レオンのが……さびしいよう……ねえ……もう一回シて……♡ もっと欲しいの……もっと……」
んはっ、と大きく口を開けて舌を出す。唾液と混じった精液が糸を引いている。
種を蒔いたばかりの男は、ゴクリと生唾を飲み込んだ。
「まだ……まだできるでしょう? あなたが満足するまで……私を好きなように使って……」
そう誘う女の秘所は、未だひくつきながら淫らに蜜を滴らせている。顔つきは童顔なのに、胸から下はむっちりとして成熟した大人の色香。
相反する要素を併せ持つ女の姿に、男は再び欲情を覚えた。そのまま覆いかぶさって、唇に接近する。
「エーっ……♡」
差し出された舌を口に含み、ちゅうちゅうと音を立てて吸う。甘い味が口いっぱいに広がった。
「あむっ♡ んっ♡ んむむむぅっ♡ 好き♡ 好き♡ ああーっ♡ あなたが好き♡ たくましい腕も好き♡ 優しいところも好き♡ キスしてくれる唇も……んぶっ♡ んちゅっ♡ れるっ♡ れろぉ♡ んむ~っ♡ 全部好き♡ ぜんぶすきぃ♡」
愛という熱病にうかされた言葉は、男が性欲を抑え切れなくなるまで続けられた。
◆Chapter3-弾よりも速く
Faster than a speeding Bullet◆
時は流れ、五年後の二〇一四年。ニューヨーク市上空。
武器商人が引き起こした凄惨な
帰還するオスプレイの座席で、レオンは向かいのクリスに問いかける。
「なあクリス」
「なんだ」
「こういうの、いつまでやるんだ」
戦い、戦い、また戦い。ハンドガンにショットガン、ライフルも、マグナムも、もう何発撃ったか分からない。弾の数だけ増えるゾンビにプラーガ、そして悪漢たち。撃って殺して駆逐して、どれほど戦っても涙を減らせない。
うんざりして酒に逃げる日もあった。それでも、どうしても、見て見ぬふりができない。クリスもきっとそうだから、聞かずにいられなかった。
「そうだな」
少し考えるようにしてから、クリスが口を開く。レオンと同じ、いやもっと過酷な運命と戦う対バイオテロの英雄は、おどけたように笑ってみせた。
「そんな先の事は分からない。……だろ?」
フッ、という笑みで、男たちの心が相通ずる。
そう、未来の事など誰にも分からない。だが分からなくとも、人間には未来を夢見て戦う力がある。例えばそれは、子どもたちの未来──。
「あっ」
「なんだ、どうした」
クリスが怪訝そうに尋ねる。
レオンは視線をしばし泳がせてから、意を決して口を開く。
「明日、娘の参観日なんだ」
「は?」
スマホを取り出す。待ち受け画面は、妻と三人の子ども達だ。通知欄が、妻からの鬼電で埋め尽くされていた。
「すまん、ちょっと電話してくる」
レオンはそそくさと席を立ち、操縦室へ向かった。
◆
残されたクリスは唖然として、レオンの背中を見送る。
「参観日が何だって?」
「彼はいい父親をやってるのよ」
レベッカがしたり顔で教えてくれる。
こいつめと思うが、不快ではなかった。
「いい父親か。そうか」
「どうしたのよ、ニヤニヤしちゃって」
「何でもない」
クリスは首をめぐらせ、窓の向こうに広がる空を見る。朝日に照らされるニューヨークの上に、明けの明星が煌めいていた。
(了)
お読みいただき、ありがとうございました。お気に入りや感想、評価など、いつもありがとうございます。創作の励みにしています。
pixivにも投稿しました。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=20355623
2024-07-10 ランキング仕様変更に合わせ、一話にまとめました。文章も全面的に見直しています。