※この作品はR-18です。

少女の見た夢   作:ロウシ

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第四話:天獄の門は狭きにありや

 

0.

 

 

 複雑に入り組んだ環境は人々に軋轢を生んだ。

 愛憎と享楽が絡み合い、入り乱れる様は、ヒトの心のあり様をこの世に視覚化し、その一部を露悪的に肥大化させ、喩えるかのようだった。

 

 海洋油田基地セラフィックス。

 一九九〇年に北海の海に建設された、その名の通り石油採掘のための施設である。

 海に浮かぶ鉄の孤島に、一〇〇人以上のスタッフを抱え、昼夜を跨いで仕事が行われていた。

 北海に位置するセラフィックスは、創始者であるマリスビリー・アニムスフィアが国連となんらかの取引を行なって、多国籍の反感を買わぬ様に繊細かつ合法的に建築されている。

 条件のひとつだったのであろうか、雇うスタッフ──中でも、特に労働階級に値するものたち──の人種、国籍、年齢はさまざまであり、さながら移民文化を受け入れた小さな国の様相を成していた。

 

 が、それは表向きの姿。

 セラフィックスの真の建設目的は、マリスビリーの願望である「人理継続」の成就である。

 つまり、人類史に恒久の安寧をもたらすために、地球(ガイア)そのものと人類の間を取り持つ場を造り出し、『どのような危機が訪れても、地球が人理を保障する』という、疑似霊子(りょうし)空間──地球に見えない膜を被せる、超大型礼装の作成であった。

 

 人類が、ある要因で滅ぶのだとしても、地球が人類の生存を『仮説』し。

 人類が、ある要因で滅び去ったとしても、地球が人類のそ(・)れ(・)ま(・)で(・)を『保存』し。

 人類が、ある要因で最初からいなかったことになっても、地球が人類がかつて存在したを『証明』する。

 

 仮説、保存、証明。

 地球(ガイア)に人理を理解し納得させ、地(・)球(・)が(・)滅(・)び(・)な(・)い(・)限(・)り(・)、人理は存続する一蓮托生の状態を創り出す。

 そのための超大型礼装を創り上げることが、セラフィックスの当面の目的である。

 マリスビリーの目的は、かいつまんでいうと、地球というものにおべっかを使い、おだてて、羽ぶりよく──おしゃれな服を着せてあげることなのである。

 

 そのための犠牲者は、若い命であった。

 一二八人もの若き命を対価に、地球との対話の道は開けた。

 研究期間は、わずか五年。

 つまり、一九九五年には、超大型礼装を起動する準備は整い、セラフィックスの目的は完遂の手前まで達したのである。

 

 しかし、今は二〇一四年。

 完成からの時差、およそ十九年。

 この時差は、果たして何を意味するのか?

 

 『超越者(ビヨンダー)』は──神としてのゴウは。 

 目を閉じて、語られた真実と空白を噛み砕く。

 

 ゴウに、決死の表情で真実を語るのは、

 セラフィックスの副所長、アルミロであった。

 

 

1.

 

 

 星の天幕の下。

 見上げれば、集合銀河の瞬きが、川のように流れている。

 それは映像ではなかった。

 星の重み──物質領域において、比類なき質量が生み出す引力の働きが、天幕の下を歩くアルミロの細胞を震わせている。

 

 宇宙がある。

 それも、ひとつではない。

 道すがらに宙空に浮かぶ、黒い真球のひとつひとつが、生命領域を包括する多層多元が織り込まれた、宇宙そのものだと、歩きながら『神(ゴウ)』は言った。

 

 アルミロは喉を鳴らした。

 背筋が冷たい。

 ゴウの言葉は嘘ではない。

 『図書館』に入ってすぐ、真球のひとつを、アルミロが覗き込んだ時のこと。

 アルミロの眼前に引き絞られ、万華鏡を覗くがごとく揺らぎ崩れて形を成し、浮かぶ景色は、ひとつひとつの粒(・)が恒星系を成す天体であった。

 途端に、膨大な熱に眼球と皮膚が焼かれ、真球が発したとてつもない引力に引っ張られ、顔からその中に飛び込んでしまいかけたのだ。

 

 すんでのところでゴウに腕を掴まれ、およそヒトの力とは思えない握り力で引き剥がされた。

 間一髪で真球に『落ちる』ことはなかったものの、アルミロは生命の危機を感じ、脈が早まり、汗が噴き出て、心臓が高鳴っていた。

 

「あまり、やたら滅多と覗き込むのは良くない」

 

 取り込まれてしまうぞ、と続けたゴウの言葉に、アルミロは納得するしかなかった。

 ここにあるものは、すべて、ウソではない。

 絵画でも、模様でも、ホログラムでもない。 

 宙に浮く、ともすれば掌に収まり得る大きさの真球も、天幕と横たわる銀河の川も、道を作る、天井の見えない木造りの棚も、そのケージに収められる赤黒白金の輝きを放つ『宝石』の数々も、おそらくは、それぞれが何らかの世界である。

 時空間の持つ体積や質量の比率をそのままに、尺度だけを縮め、神々の閲覧可能な世界地図──あるいは本として飾られているのだった。

 

 歩いているだけで、呆然と、距離感がおかしくなっていく。

 近く──しかし、遠くにある。

 しかも、そこかしこに目につく輝きからは、星の息遣いが確かに感じられた。

 

 ゴウは、進む過程でたびたび振り返り、アルミロの存在を確認した。

 アルミロは超越的光景に飲まれ、気分が悪くなっていたが、言葉では強気に返し、ゴウの後に続いた。

 

 

2.

 

 

 アルブウは、ゴウに誘われた。

 礼拝堂の前でゴウに呼び止められ、図星をつかれるや否や、否定も肯定の間もなく、この摩訶不思議に拉致されてしまった。

 

 銀河の天幕。

 宙に浮かぶ真球宇宙。

 ケージに入れられた天国魔界のような宝石。 

 左右上下に所狭しと並べられ、道を作っている天井知らずの高さの本棚。

 本棚は、いかなる原理なのか、地に足をつけず、真球同様に空に浮かび、漂うものも多い。

 

「アルミロさん。こちらに」

 

 茫然自失するアルミロの意識を、ゴウが呼び戻す。

 ただし、ここが常世である保証はないが。

 ゴウは、アルミロの視線と意識が自分に向くのを受け取ると、背を向けて歩き出した。

 アルミロは、慌てて後を追った。

 

 

3.

 

 

「ここは、どこなんだ!? せ、セラフィックスの中なのか……?」

「ここは『図書館』です。少なくとも、私たちはそう呼んでいる」

 

 図書館──?

 どういうことなのか?

 セラフィックスに、図書館じみたスペースはあれど、これほど立派な造りはしていない。

 

 『図書館』の基本構造は、一本線の通路の趣きがあった。

 背表紙を通路側に向けて、本棚が左右にぎっしり詰めて並んでいる。

 それが、そのまま道となっているのだ。

 たまに、別れ道があるが、どの別れ道も、先を見るに果てがない。

 

 床はタイル状のガラス板であった。

 その向こうに、幾つもの『黒い渦』がある。

 狭い水槽に放し飼いにされた金魚の様に、渦がそれぞれ蠢いて、ぶつかり合っては遠ざかり……を繰り返していた。

 決して混ざり合うことはない。

 

 まるでファンタジー映画の世界だ。

 いや、そこかしこに宇宙が居並ぶ光景は、ハードSFチックと言うべきか。

 

 アルミロは目を離した。

 前を見た。

 ゴウの背中がある。

 奇妙奇天烈な光景の中で、今、この背中だけがアルミロの意識を現実に留める『楔』であった。

 

 果てのない道を歩き、広間に出た。

 アルミロの認識からすれば、唐突に、道と入れ替わる様にそれは現れた。

 

 広い空間だ。

 漠然と、そう思うしかない。

 ドーム型の天幕が蓋をしているが、天幕までの距離感がおかしい。

 野放図な宇宙(ソラ)が、極端に近く感じる。

 星々が、眼前にあるように見える。

 

 床は、木造りに見えるが、脚に伝わる感触は柔らかくもあり硬くもあり、どちらかに振り切れな頭曖昧さそのものであった。

 

 長机が、等間隔で置かれていた。

 膨大な数である。

 二階があり、階段があり、戸口があり、その先にもスペースがあるようだった。

 壁に、『本の持ち出し厳禁』『貸し出し期限厳守』『寄贈歓迎』『第二〇七九区画宙域、定例集会のお知らせ』と書かれた張り紙が貼っている。

 

 なるほど、確かに趣は図書館のそれだ。

 アルミロはゴウに促され、彼に引いてもらった椅子に掛けた。

 

 椅子は、一見普通だ。

 薄く茶色の塗装がされた、木造りのがっしりとしたものだった。

 使い古された跡がある。

 細かい切り傷と禿げた塗装。

 その塗装自体、何度も塗り直したような不自然な厚みがあった。

 

 す、と息を吸い込む。

 木と本。古びたそれに囲まれたときの、あの、なんとも言えない匂いがする。

 居心地はさして悪くない。

 目の前の光景は目を疑うが、不思議と、もう慣れてきていた。

 

 より鋭く、周囲に目を凝らす。

 疑問が浮かんだ。

 これだけ広い図書館だと言うのに、利用者の姿がない。

 どうやら、ここには今、自分とゴウだけしかいない。

 

「何か飲みますか?」

 

 目の前に座ったゴウが聞く。

 彼の手には、メニュー表があった。

 開いて、向きを整えて、彼はこちらに見せてくる。

 皮のカバーで、三ページしかない。  

 恐る恐る受け取って、中身を見る。

 図書館でのマナーの注意喚起と、お知らせとがまず目に入り、下段に目を移すと、飲み物の絵とメニューが確かにある。

 

「セルフですが、無料です。おかわりもね」

 

 ゴウは、コップを二つ持っていた。

 半透明で、口は八角形。

 何の変哲もないプラスチック製の容器に見える。

 とこから取り出したのか、アルミロには聞く気はなかった。

 

「私がとってきましょう、選んでください。確か……常設はコーヒーと麦茶と、オレンジジュースと……あと、最近の流行りものだったかな……」

「最近の、流行り……?」

 

 ええ、とゴウは頷く。 

 頷きひとつが優雅な動きであった。

 

「どこかの世界の、どこかの時代で流行ったものを、図書館の『オーナー』がときどきで仕入れるのですよ。確か……ひとつ前の時期は、スムージーのような飲み物に、カエルの卵を入れて、カフェオレを混ぜて飲む──」

「た……タピオカですか? もしかして……」

 

 ゴウは、

 そんな感じでしたね。 

 と言った。

 

「私は──あれ、よくわかりませんでした。何がいいのか、が」

「……コーヒーを、頼めますか?」

「砂糖は? ここの砂糖は甘ったるくて、心が落ち着くし、目が覚める。頭が回りますよ」

 

 お願いします。

 とアルミロは言った。

 自分で思うより乾いたガラガラの声だった。消え入りそうに霞んでいて、ほとんど雑音に等しい。

 

 ゴウはに、と静かな笑みを浮かべた。

 コップを手に立ち上がって、歩いて行った。

 

 

4.

 

 

 アイスコーヒーが目の前に置かれた。

 ごろりとした氷が三つ入っている。

 コップのとなりに、ガムシロップが二個、ミルクがひとつ、転がされる。

 ストローも用意してもらった。

 普通の、プラスチックストローだった。

 少なくとも、見た目は。

 

 アルミロにコーヒーを渡して、ゴウが対座した。ゴウのカップにはオレンジジュースが入っている。

 ストローを挿していた。

 こちらと違い、コップの中の氷が細かい。

 それが、ザラザラと揺れていた。

 

「まず、飲んでください」

 

 ゴウに言われ、アルミロはストローを挿し、恐る恐るコーヒーに口をつけた。

 

「ガムシロップとミルクも入れて」

 

 口内に至る前に離し、言われるがままに入れた。

 飲んだ。

 冷たくて、甘くて、少々苦い。

 しかし、まろやかな風味と程よい食感が舌の上に広がる。

 と──身体が軽くなった。

 それとも心が、であろうか?

 とにかく、冷たい水分に脳が潤されたのか、アルミロは視野がぐっ、と広がるのを感じた。

 

 その様子を見て、ゴウは微笑みを作った。

 さて、と切り出す。

 

「聞きたいことが、山ほどあるでしょう?」

 

 私も、言いたいことが山ほどある。

 何から話すべきか、迷う程度には。

 

「あ──ただ『ここ』については、アナタは知らない方がいい」

 

 ここは『図書館』。

 それだけわかってれば、アナタはそれでいい。なんの本があるのかとか、ここがい(・)つ(・)、ど(・)こ(・)に(・)あるのかは、知らない方がいい。

 まだ、死にたくないでしょう?

 察しはついているでしょうが、床の『黒い渦』やケージの中の宝石に関しても、知らない方がいい。

 

「アナタがまだ、現世(うつしよ)にいたいならね」

 

 ゴウは楽しそうであった。

 神としての意地悪さ。

 その言葉のひとつひとつに、ヒトが戸惑う様が楽しいのであった。

 だが、アルミロはそれどころではない。

 いきなり、適否もなく非日常的な空間に連れてこられ、超常な只中で孤独にある。

 世界わ構成する全てが理解不能の感覚が、アルミロの胸中にかつてない不安や恐怖を炸裂させる。

 ある意味、ただ死を待つそれよりも恐ろしい心地に間違いない。

 

 それを含めて楽しいのだと。

 艶かしいゴウの視線は、アルミロ前後不覚をいやらしく笑っていた。

 

「わた──」

「私は『神』だ」

 

 やっと吐き出せた言葉に、言葉を被せてくる。

 驚きの単語。

 アルミロは目を見開き、ゴウの真剣な表情を見る。間の外し方こそおちょくっているようであるが、声にも眼にも込められた色は真摯極まりない。

 

 アルミロは小さく口をあけて、言葉を失った。

 ゴウはその様子に満足してか、オレンジジュースにひとくち付けて、楽しそうな声で続けた。

 

 ──ッッ!

 

 がっ、とアルミロもコーヒーを口に運んだ。

 そして、思わず嗚咽した。

 味が変わっていた。

 ミルクもガムシロップの味も消えている。

 苦い! あまりにも苦すぎる!

 思わず口を離して咳き込んだ。

 それを見て、ゴウはにやりと深く微笑んだ。

 

「少し、味を変えさせてもらった。私の力の一端だが……些細なものだろう?」

「────ッッ!!」

 

 ゴウが、ガムシロップをふたつ、ミルクをひとつよこした。

 手の中に、いつのまに握っていたのか。

 アルミロは訝しむ視線をゴウに投げていた。

 警戒と、恐怖。

 肌の上から、皮膚の上から、髪の毛先に至るまで、張り巡らせている。

 じろりと、ゴウを睨んでいた。

 

「悪ふざけが過ぎた。どうか許してほしい」

 

 ゴウはさらりと言った。

 口調に柔らかさがあった。

 アルミロの緊張をほぐさんとする意思があった。

 反省の色は見えない。

 

 アルミロはふ、ふぅ、と荒っぽく息を吐いた。

 コーヒーは、まだ半分残っている。

 自らに冷静さを訴えている。

 汗を拭って、目元を掻いて、落ち着かない心であったが、改めてきっ、とゴウを睨んだ。

 

「何者です……?」

「既に話たとも。私は『神』なり」

 

 あっけらかんと答えた。

 また、オレンジジュースを口付けた。

 

「か、神……」

「そう。我が力は遍く天を満たす全知全能。で、あれば、それを現す言葉はこ(・)の(・)世(・)において、『神』と謳う他にないでしょう」

 ゴウはコップを置いた。

 飲み干していた。  

 細かな氷まで、余すことなく。

 

「あ(・)る(・)女(・)性(・)の願いを受けて、二〇〇七年よりセラフィックスに身を寄せています」

 

 無論、『神』の世界から。

 とゴウは言った。

 アルミロを観る眼に、不思議な輝きがある。

 人の身であるアルミロからすれば、それはまるっきり気狂いの光である。

 言葉は次々に、狂言、戯言の類である。

 信じられなかった。

 言葉だけでは。

 はっきり言って、混乱していた。

 

 アルミロは、ゴウはどこかの『君主(ロード)』の使いだとか、某国の工作員だとか……

 そういう、現実的な範囲を予想していた。

 せいぜいが暗殺者か。

 最悪の想定で、凄腕の魔術師かテロリスト。

 

 いや──このやりとりが、工作員特有の手練手管。

 これ自体が仕込みであり、駆け引きである可能性はある。

 現地職員を味方につけるための方便。

 戯けた態度で接近し、幻覚幻聴で惑わせ、嘘を信じ込ませる。 

 ここにある全てが茶番。

 現地協力者に引き込むための、『演劇』である可能性を捨て……たくない。

 

 アルミロは肝(はら)に力を入れた。

 ふっ、ふ、と息を太く短く吐いた。

 

「疑うのも無理はない。アナタは、い(・)つ(・)も(・)そうだ」

 

 そうこなくては。

 そのくらいの猜疑心は持っねもらはねば。

 私も、わざわざアナタを選んだ甲斐がない。

 

 言い終わると、ゴウは指を鳴らす。

 恒星のような光を注ぐ視線が、半目になり、艶やかにアルミロに流された。

 

「私を、選んだ……?」

 

 ゴウはしとやかに頷いた。

 

「私に異常を見出すのは、いつもアナタだ」

 

 私が、セラフィックスにいるべき人間ではないと。

 私の異常に気づけるのは、きみだけ。

 きみは『運命(Fate)』に選ばれている。

 この私すら、認識できぬ領域の齎す運命に。

 

「運命論を除くにせよ、きみは私の存在の異常を探り、ここまで辿り着いた」

 

 デジタル的な資料だけではなく、アナログの資料にまで目を通し。

 何度も、何度も確認し、私の錯視を射抜き、真実を暴いた。

 足を使い、手間をかけ、確信を得て、『神(私)』の元に。

 

 それは、勇者の振る舞いなのだ。

 ひとりで、覚悟を決め、尋常ならざるものを諌めるために行動したのだ。

 

「大したものだ。無知無謀も、私から言わせてみれば愛しいもの」

 

 この世界の魔術師とやらは、いかにもデ(・)ィ(・)ジ(・)タ(・)ル(・)信仰に傾き過ぎておる。

 神秘秘匿を旨とするが、一方で機械の絶対性にも無意識に信を置く。

 機械は違えぬ。

 ヒトとは違う。

 機械に是非を問い、結果、拐かされる。

 『灯台下暗』しとはよく言ったもの。

 自らに戒飭を求めることを、たびたび忘却するのだ。

 

 データが画面だけ改竄されてても、データ上は問題ないから大丈夫だろう、と。

 私から言わせれば、ズ(・)ボ(・)ラ(・)だ。

 自分の想定する以上の問題を想定しきれぬ。

 

「きみは違うがね」

「…………」

 

 これは、自分は、褒められているのだろうか……?

 空恐ろしいことを、つらつらと述べるゴウの口。

 その表情からは、称賛、苛立ち、呆れ──さまざまな感情が微量に吐き出されていた。  

 

「要約すれば、私はアナタを気に入ってる」

 

 いつもね。

 なので、ほんの少し。

 毎度、ズルをすることにしている。

 散々小馬鹿にした口で、反実反抗するが。

 こう見えて──

 

「私は、ニンゲンが大好きなのだよ」

 

 ゴウは口角を吊り上げた。

 含みのある笑みであった。

 影のある表情である。

 単刀直入に言おうか、と言った。

 雰囲気が、一段引き締まっていた。 

 空気が、変わった。

 

「二〇一七年、セラフィックスは未曾有の『災害』に見舞われ、全職員が死亡する」

 

 そこから吐き出された言葉は、地獄の様相を示していた。

 

 驚愕に目を見開くアルミロを見て、ゴウは、ふ、と満足そうに笑みを深める。

 

 捲し立てようか。

 とゴウは続けた。

 

 まず、何を持っても、落ち着きなさい。

 これから話すことは、ただの未来。

 時過ぎれば過去となる、ただの真実なのだから。

 

 とも、言った。

 

「二〇一七年一月。セラフィックスに『魔人』が降臨する。意図して起きる事故により、外の世界から孤立するのだ──」

 

 視せよう。

 

 とゴウは言った。

 瞬間、天幕全体が切り替わる。

 天地上下が消えて、映像が映し出された。

 

 アルミロの眼下に、外から見たセラフィックスがある。

 その内部に、ゴウと共に入る。

 壁をすり抜けて。

 そして──眼下に広がる地獄を見た。

 

 場所はセラフィックスだ。

 セラフィックスの、管制室。

 間違いない。

 それは、間違いない。

 何度も見た場所だ。

 いつもいる場所なのだ。

 中央官制室。

 それと、礼拝堂の前の広場。

 二つの画面が同時に見えている。

 一〇年来慣れ親しんだ場だ。

 何度も何度も仕事をこなした

 その景色を間違えるはずがない。

 

 だが、眼下の行いは間違いであって欲しかった。

 そこで、行われていることは、地獄に違いないからだ。

 

 ──これは、人間への天罰だァ!!

 ──我々が傲慢に利用してきたインターネットの怒りだぁ!!

 

 叫び声であった。

 怒号であった。

 意味を成していない。

 意図もわからない、狂人のそれであった。

 叫ぶ彼らは、全員見覚えがある。

 全員、セラフィックスのスタッフたちだ。

 

 薬物でも決めているのか、誰も彼もが、顔が変形するほどガリガリにやつれている。

 爬虫類のように目をぎょろつかせ、血走らせている。

 叫ぶたびに、口角が外れるほどに顎を開き、鼻水も涎を垂らして、それを気に求めずに喚き散らす。

 

 人間の姿とは思えない。

 それが、ひとりではない。

 何人もが、そうなっていた。

 ある男は、パソコンのコードを頭に何重にも巻き付けている。

 ある男は、記録用のディスクを口に詰め込んでガリガリと噛んでいた。

 ある男は、パソコンから抜き取ったCPUを天高くに掲げては祭り上げていた。

 床には、血だるまになってボロクズの様に倒れる職員が、何人もいる。

 過剰な暴力にされされたのだと、ひと目で分かった。

 

 吐き気がする──!

 

 狂人の狂騒。

 彼らは、もはや正常な精神ではない。

 狂気がありありと伝わってくる。

 

 そして、彼らが取り巻く中心。

 それが、なにより信じられない。

 アルミロには信じたくない光景だった。

 

 壊れたモニターを並べて、鉄骨を床に突き立て、そこかしこのコードをスパゲティのように鉄骨に巻き付けていた。

 そこに──生きたままの職員を巻き付けて、彼らは火炙りにしていた。

 

「あ、ッ……なっ、なぁ──!?」

 

 声が出なかった。

 理解ができない。

 何をしている?

 何が、起こっているッ?

 

 恐怖と混乱に髪を掻く。

 ゴウの声が届く。

 淡々と、冷徹な声であった。

 

「二〇一七年、二月時点のセラフィックス。孤立した職員がカルト化し、自らの秩(・)序(・)の(・)元(・)のために供物を捧げている」

 

 これが──?

 これが、未来の、セラフィックスの光景だと!?

 

「法の届かない孤立した領域に、多数の人間が生活することで起こりうる現象だよ。権威主義的パーソナリティの発現だ」

 

 ゴウは淡々と続けた。

 

「この世界の実例で言うならば、極左赤軍の『総括』やスタンフォード監獄実験などに代表される、秩序を護る側に回ったと(・)思(・)い(・)込(・)ん(・)で(・)い(・)る(・)コ(・)ミ(・)ュ(・)ニ(・)テ(・)ィ(・)が引き起こす、過剰な統制措置だ」

 

 ウィリアム・ゴールディングの『蝿の王』に出てくる、狩猟チームの状態と言えばわかりやすいか?

 

 蝿の王。

 孤島に遭難した少年たちが、極限状況で既存社会の倫理と道徳を捨て、自らの野生に従って、暴力的な規律と秩序を創る。

 そして、力ある子供の敷く独裁政権は樹立し、意見を違う──倫理と道徳に従う者を、殺し始める小説作品である。

 

「彼ら、は……自らの悪魔に……本能に、従ったと……?」

 

 その通り。

 極限状況下において、ストレスからの解放を求めること。

 生き残るために倫理を捨て、凶暴性を発露するのは珍しくもない。

 末法の世界に傾倒したブッディズムはつきもの。

 暴力を止めるための暴力のない世界で、より集まるヒトのコミュニティは、自らを律することはできぬよ。

 大抵、こうなる。

 これは必然。

 導かれたものではある、がね。

 

「なぜ……こ、こんなことが……」

 

 アルミロは吐き気を抑えていた。

 背中を、恐怖が這い上がっている。

 顔は真っ白にさめざめとし、脂汗が全身から吹き上がる。

 脳幹をハンマーで殴られたような衝撃が襲っていた。

 リアルな、それであった。

 嘘とは思えない。

 生きたまま焼け死ぬ人間の臭い、肉の焼ける臭いが漂ってきていた。ぱちばちと、油が弾ける音さえ聞こえてくる。

 それを、全く意に介さず、狂喜する者たちがいる。

 

 信じられなかった。

 

 『神(ゴウ)』は、言った。

 先のセリフを、もういち度。

 

「二〇一七年一月。セラフィックスは未曾有の事故に見舞われる」

 

 彼が言う。

 眼前に映る世界が入れ替わった。

 ふたりは、セラフィックスの全景が見える位置に戻った。

 セラフィックスの各所が、順々に爆発していた。

 

「な──なんだ、これはっ……!?」

 

 油田の爆発?

 組み上げた油に引火でもしたのか?

 いや、違う。

 だとすれば、基地自体が燃え上がり爆発して木っ端微塵になっているはずだ。

 局所的に小さな爆発が連続する。

 そんなことはあり得ない。

 

 だとすれば、これは人災なのか?

 

 アルミロの疑問に、ゴウは答えはなかった。

 ふ、とゴウが手をかざすと、場面が移る。

 ふたりはそのまま『図書館』に戻っていた。

 

 ど、と椅子に背を預けて、呆然とするアルミロの前で、ゴウはいつの間にか二杯目のオレンジジュースに口をつけている。

 

「げん──」

 

 金魚のように口をぱくぱくさせて、ようやく絞りだせた言葉であった。

 

「現実──なのか……?」

 

 無論。

 しなやかに、ゴウは答えた。

 言ったはずだ。ただの未来だと。

 と、

 

「先の映像は、この時間軸の辿る二〇一七年一月と二月に起きる、現実の出来事だ」

 

 私ときみは、全てが同時に存在する時間の面に、次元を隔てて少し、お邪魔した。

 つまり、私が創ったものではない。

 全て、未来の、現実の出来事だ。

 

「──そんな、まさか……待ってくれ、いや……」

 

 アルミロは呆然と呟いた。

 肘を立てて、頭を抱えた。

 脂汗が止まらない。

 歯がカタカタと鳴っている。

 舌と眼球が、ものすごい勢いで乾いている。

 

「わた、私に、な、何をしろと……?」

 

 処理しきれない情報と衝撃。

 しかし、アルミロは、それでもなんとか噛み砕こうとしていた。

 ゴウはくっ、と顔を俯かせた。

 唸っていた。

 仕草のひとつ、息のひとつから、たまらない情感が溢れていた。

 

 破滅を予言されながら、生き足掻こうとする生命の貌。

 こういうところが、人間にはある。

 神たるゴウは、そういうのがたまらなかった。

 

 神は、ヒトの、そういうところがたまらなく好きなのであった。

 

「私から、アナタに求めるものはない」

 

 と、神は言った。

 それは、ある種、絶望の神託であった。

 

「な、なんだと……!?」

「アルミロさん」

 

 神は、強く、名を呼んだ。

 

「私がセラフィックスに降臨したのは、ある願いを聞き取って、それを叶えるためだ」

 

 その願いは、あの事故を止めることじゃない。

 ましてや、セラフィックスの職員を救うことではない。

 はっきり言っておくが、私はセラフィックスのスタッフの生死には興味がない。

 

「──ッ!」

 

 だが、それは無常が過ぎるというもの。

 私も、あそこに暮らして永い。

 ほんの少し、愛着が湧いてるのも事実。

 こ(・)の(・)身(・)体(・)の(・)主(・)に引っ張られてるのか、私はほんの少しだけ、あそこで働く仲間たちが、スキになっているらしい。

 

「身体の、主……?」

 

 ええ、とゴウは頷いた。

 

「恥ずかしながら、私はそこそこ強い力を持つ神でしてね。生身であれば、そうそう人の世に降りることが叶わぬ。降り立つ行為が、それだけで星を滅ぼす災害となろう」

 

 く、と、怪しげに目元が歪んでいる。

 愉悦の色があった。

 

「だから、私は依代として、セラフィックスで『掃除屋』に始末された男の身体を借りている」

 

 体格や、名前の読みが等しい男。

 確か……元の名前はツヨシだったか。

 ほら、ツヨシって、剛でも豪でも、ゴウって読むでしょう?

 

「……な、なるほど」

 

 リストに名前がないワケだ。

 と妙に納得した。

 

 これがなかなかのろくでなしでね。

 この男、賭け事狂いの借金まみれ。

 人生火の車の果てに──セラフィックスに島流し。

 

 そこでもまた、ギャンブルに狂い、施設運用の金にまで手を出そうとしたのだ。

 

「アナタは知らないだろうが、その挙句、この男は見てはいけないものを見た。だから、ヒデヤス子飼いの『掃除屋』に始末された」

「…………!!」

「私からすれば都合が良かった」

「…………」

 

 見てはいけないもの。

 それを口に出す。

 やはり、神と名乗るこの男。

 ゴウは、セラフィックスの機密を知っている。

 

「なぜ……わ、私なのだ……?」

 

 正直、アルミロには、現段階で開示された情報だけで手に余るものだった。

 許容限界を易々と突破している。

 アルミロは、元は一般公募から、事務能力の高さを買われて選ばれたスタッフにすぎない。

 

 アニムスフィアからの勅命で、基地の全権を担うヒデヤス・アジマや、彼の麾下にある魔術師や科学者とは、そもそも違う人種である。

 

 上から見れば、いくらでも変えが効く。

 ただひとりのコマにすぎない。

 ただ、その機密を、書面で処理しているに過ぎない。

 あの未来が本当に起こるならば、知らせるべきは自分ではなく、所長であるヒデヤスではないのか──

 

「『運命(Fate)』だ、アルミロさん」

 

 『神(ゴウ)』は言った。

 人間的な、力強い声だった。

 

「アナタは、狭間にいる人間だ」

 

 一般人と言うには知りすぎている。

 魔術師と呼ぶには、力がなさすぎる。

 

 大義のためと、書面で処理される命や数字に貶められる財産に、苦悩できる人間だ。

  

 だから、私はいつも、アナタのことを気に入っているのだ。

 

 どっちのスタンスもニュアンスも、とりあえず理解している。

 このセラフィックスで、唯一の第三者と呼べよう。

 

 変えが効く……?

 とんでもない。

 このセラフィックスで、唯一変えの効かない人材は、アナタだよ。

 ヒデヤス・アジマはどんなに権威を持っていても、アニムスフィア子飼いの、一介の魔術師の人間に過ぎぬ。

 アニムスフィアとやらにとり、所長の地位は、天体室の監督ができれば誰でもいいのだよ。

 本人は選ばれたことに意義を信ずるが、そもそも使い捨てに変わりはない。

 この世界の魔術師は、頭がいいのか悪いのかわからぬ。

 嫌な性格なのは、間違いなかろうがね。

 

 特に──オルガマリー・アニムスフィアは。

 

 そして、これは私の経験上のハナシだ。

 狭間にいる人間こそ、決定権を持つ。

 いざ、どっちかに振り切れる時期に、何を選択し、どちらに行くのかを選べる権限を持つのだ。

 

 これは、スタンスや思想が偏るものでは持ち得ぬ。

 どちらかの道を選ぶのでね。

 本人にとっての、楽な道を。

 迷いや葛藤がない。

 即断即決は美しいが、時にはつまらぬものよ。

 

「……私は、選んだのか?」

 

 それは、あの未来において。

 という意味を孕んでいた。

 何を、どう選んだのか?

 という意図を含んでいた。

 

 ゴウは、ニヤリと笑った。

 深い笑みである。

 目が、横に、広く伸びている。

 獲物を定めた蛇が、舌舐めずりをするような、獰猛な笑みだった。

 

「教えぬよ。迷い、苦しめ」

 

 嘲るような言葉であった。

 人の命など、面白いかつまらないかが史上の価値観じゃないのかと、笑っていた。

 その表情は、神妙で美しいが。

 同時に嗜虐的であり、人のできる顔ではなかった。 

 その言葉は、人の作れる感情が、乗っていなかった。

  

 アルミロは改めて実感する。

 目の前にいるものは、少なくとも人間でない、と。

 

 とはいえ──と、ゴウは腕を組む。

 

「あれは、確定で起こる未来」

 

 回避はできぬ。

 してはならんのだ。

 もしあれが起こらなければ、この時間軸そのものが消えてしまう。

 特異点的事象、ターニングポイント。

 変えて仕舞えば、剪定事象なり、編纂事象の対象となろう。

 

 つまり──

 だからこそ。

 

「避けられぬ死と滅びを、しかし、アルミロさんは知った。これをどうするかは委ねよう」

「あ、あなたに、なんとかしてくれるように頼むというのは……」

 

 不可なり。

 とゴウは一刀両断する。

 

「私に奇蹟(全能)を望むとして、一〇〇名もの命を救う対価を、アナタは持ち得ない」

 

 ぐうの音も出なかった。

 意味も意図も、すぐに理解できていた。

 副所長として、部下の命を預かる責任はある。

 だが、それはあくまで契約に基づく責任の話である。

 つまり、アルミロは仕事として、賃金をもらっている故の立場と責任なのだ。

 

「供物なきまま神の全能を願うのは──あまつさえ、ヒトの命を救ってほしいと願うのは、烏滸がましとは思わぬか?」

  

 両手を広げている。

 煽る様に。

 ゴウに対して、しかし、アルミロは何も言えなかった。

 だが、それでも、心に沈殿する痛みがある。

 目を背けられない自分がいた。

 

「いい顔だ」

 

 惚れ惚れした声であった。

 

「だから、私は選択を課す」

 

 もし、この責任に耐えられない。 

 迫り来る未来に何ひとつ抵抗せぬなら。

 私はここで起きた、ここで知った、アナタの全ての記憶を消そう。

 アルミロさんは、気づけば礼拝堂の前に立ち、そこでセラフィックスのスタッフとしての俺(・)と、セラピスト──殺生院キアラに会いにきたって記憶だけが残る。

 

「そ、それは……」

 

 恥じることじゃないさ。

 終末に耐えられず精神をすり減らすのは、人間だからというより、生命体の必然。

 だから、それを望むなら、全てが終わるその時まで、何も知らなかったことにしてあげられる。

 わ(・)た(・)し(・)は鬼ではない、神だ。

 だから、これは神の慈悲でもある。

 

「求めよ、選べ。されば与えん」

 

 わ、私は。

 

 アルミロは、

 

「私は──」

 

 

3.

 

 

「あれ? 副所長さんじゃないですか。どうされました?」

 

 礼拝堂に入ってきた男を見て、殺生院キアラは少し驚いた顔をした。

 副所長のアルミロ。

 ここに赴任したばかりの時に、ひと際自身に気を遣ってくれていた、優しい人だ。

 

 傍目から見ても、ヒデヤス所長も信を置いているのがわかるほど能力のある人物である。

 ヒデヤスのように、どこか超然とした、人をまとめ上げるカリスマ性はないものの、コツコツと積み上げた実績と柔和な態度で多くのスタッフに慕われていた。

 

 その彼が、どうして礼拝堂にきたのだろうか?

 見たところ、少しやつれているが、目の焦点もしっかりあっているし、精神の不調も肉体の不調も感じられないが。

 

「やあ、先生。相変わらず忙しそうですね。今日は診察してもらいにきたわけではないんです」

 

 先日の、と切り出すと、ああ! とキアラは頭を下げた。

 

「す、すみません。この間のアーノルドさんとの件ですよね……」

「ええ。その注意……というより、それで先生が余計な責任を感じていないか様子を見に来ただけです」

 

 申し訳なさそうに微笑むアルミロに、恐る恐る顔を上げたキアラはほっと胸を撫で下ろした。

 天女のような微笑みで、その気遣いに報いた。

 

「ありがとうございます。私は大丈夫です」

 

 ですけど……

 と、キアラは目を伏せた。

 

 アルミロは、その理由を知っている。

 

「大丈夫です、安心してください。アーノルドが彼に嫌がらせをしないように、私が目を光らせますので」

「……アルミロさんは、ゴウさんを知っているんですか?」

 

 部下ですから。

 と、ひと言。

 アルミロは苦笑を浮かべた。

 なんだか、複雑な感情が混ざっている顔であった。

 

 キアラはそ、そうですよね! 

 とごまかすように、苦笑してみせた。

 

 その仕草を見ながら、アルミロは考える。

 

 本当に、

 本当に、彼女が────

 

 

 二〇一六年、六月。

 セラフィックスの基地の上を、生暖かい風が吹いていた。

 

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