ある団体の者曰くこの街は世界で最も性的搾取が盛んな街である。
神宿。都会の象徴ともいえる場所。あらゆる人種が行き交う場所でもある。
「キミ、いいかい?」
「……」
人が集まるということは欲望が集う場所でもある。
立ちんぼという生業がある。女性から金銭を目的に肉体関係を迫るのは法的にアウトであるため、自分から声をかけずに男性側からかけられるのを待つ姿から立ちんぼと呼ばれている。
まぁ、これもグレーな行為ではあるのだが…
「行こうか…」
「わかった。」
両方に合意が得られたためラブホテルへ二人は向かった。
ありふれた光景。隠れた社会問題にもなりつつある現象。
恐らく二人とも何らかの事情があるのだろう。
自分を商品として一度でも扱ってしまうと影ができるものだ。
性的サービスを伴う店を利用せずあえて犯罪に近いものに手を出すのも何かしら闇があるのだろう。
しかしそれが許されるかどうかは話が別である。
「え…?」
「だ、誰?」
「……」
ホテルの中に入ると待っていたのは上下黒のスウェットで身を包んだ筋肉質な男性だった。顔は狼の顔をしたマスクで隠されている。
まるで人狼のようだ。
現実味のなさに男も女も立ち尽くすしかなかった。そしてそんなスキは人狼に対して無防備過ぎた。
「ごぇ!」
人狼の姿がブレたかと思うと男が蹴り飛ばされた。
太ってもいないが特に鍛えてもいない肉体にその横蹴りは強烈過ぎた。文句なしの一発KO、2m近く吹っ飛んだ男は吐瀉物を撒き散らしながら白目をむいて動かなくなった。
「こ、この!」
対して女の方は以外に以外に冷静になるのが早かった。
やってることがことである。短くないこの生業をしている身分、トラブルは想定していた。
鞄から素早く取り出した催涙スプレーを人狼に向かって吹き掛けたのだ。
顔はマスクで隠されているが問題ない。現に彼女の使う催涙スプレーはフルフェイスを被ったの大男でも2時間はまともに動けなくなる正規品だ。
「…しっ!」
だが対する人狼も上着のスウェットを催涙スプレーが抜かれると同時に脱ぎ捨て咄嗟に盾にしていた。神業である。人間の反応速度ではない。
「ふざけんな!」
「おっと。」
催涙スプレーが防がれたとみるや金的めがけて足を振り上げたかあっさりとガードされる。詰みである。
「……アンタ正気?」
「黙れ」
化粧濃いめで護身具を躊躇いなく使い金的蹴りを繰り出す女の脅す言葉は強烈であったが目の前の人狼には通じない。
一蹴すると腹部にアッパーから膝蹴りのコンビネーションを容赦なく腹部に叩き込む。容赦がない。
「〜〜〜〜!!!!」
あまりの苦痛に涙をポロポロと溢しながら声すら出せず悶絶。
ハリボテの強さは一瞬に剥がされ無力化されてしまった。
「来い。」
くの字に悶る女を気にもかけず髪を掴みズルズルとホテルのトイレに連れ込んだ。
ドアを閉めると手洗い場に水を貯めるとおもむろに女の頭を突っ込ませた。
「がぼ!ごごごごごがはぁ!」
「化粧がまだあるな。もう一度だ。」
「も、もうやめ…がぼぁ!ごごごごご…」
何度も何度も水に頭を突っ込まされる。折れていた心は既に粉々になっていた。そうして6回ほど潜らされるとようやく女の濃い化粧が落ちた。
化粧をしている時はいわゆるギャルっぽいJKのような容姿をしていたがすっぴんだと純朴なアラサー女性に様変わりしていた。
もっとも涙と鼻水と酸素不足でぐちゃぐちゃになった顔は相当酷かったが。
「なんだ、良い大人がこんなことしてたのか?」
「あ、う、あ…もう許して…」
ちゃっかり持ってきていた女の鞄を人狼は無遠慮に漁る。
身バレを恐れていたのか身分を証明するものは一切持ち歩いていないようだ。化粧品にハンカチにティッシュ、避妊具に財布。そして予備の催涙スプレーと後はゴミがいくつか入ってるだけだ。
「なんだ?お前。身分証がないってことは人間じゃないのか?」
「な、何よそれ…」
暴論である。しかし人狼の言わんとすることは理解できた。
「今からお前をレイプする。」
残念ながら理解できてなかったようだ。
「ぎゃ!」
あのままトイレでされるのかと思いきやまた髪を掴まれ引きずられるとホテルの一室に連れ込まれた。
水浸しになった衣類は怪力でボロ雑巾のように引き裂かれ強制的に全裸にされた後にバスルームの床に叩きつけらる。
腹部の痛みがようやくひいたのに全裸でまともに受け身も取れず叩きつけられまた痛みに悶るはめになった。この狼はサディストだ。
(絶対に許さない!)
あまりの扱いに雑巾女は憤る。折れて粉々になった心は怒りの熱で不死鳥の如く蘇った。
スマホはトイレに出る際にスマホ手裏剣と叫んだ人狼に壁に投げつけられて粉砕されており荷物も衣服も滅茶苦茶にされていて今は何もできない。
だがどこかでスキができるはずだ。雑巾女は強い精神力を持っていた。この女も人狼と同じく人外じみた所がある。
「汚い身体、少しでも綺麗にしようか。」
温水のシャワーが無遠慮に全身に降り注ぐ。
トイレで水責めされたことがトラウマになりかけていた雑巾女は目を閉じ自分を抱きしめた。しかし今回は違う趣きらしい。
シャワーはすぐに止まり泡立った手で全身を弄られる。
急に扱いが丁寧になったことに雑巾女は戸惑った。
「アンタ、何がしたいの?」
「綺麗にするって言っただろ。」
意味がわからない。優しく身体が洗われていく。
膣や豆や乳房や脇などのデリケートゾーンは洗う際に触られてたがしつこく触られることもなく素直に洗っているようだ。
「風呂は後は自分で一人で入れな。」
本当に終わりらしい。泡を充分に温水ですすがれ身体を抱きかかえられた。
そのまま備え付きのタオルでまたしても優しく身体を拭かれる。
髪もゴシゴシと力任せにされるのではなく労るように水気をとられていく。
本当に意味がわからなかった。目の前の人狼に対してどのような相手なのか雑巾女の中では8割方分析が済んでいたが、バスルームからの流れでまたしても正体不明の生物に早変わりしてしまった。
ドライヤーも丁寧だ。備え付けの櫛と一緒に整えられていく。
鏡の前の自分は全く違う人間のようだ。本当にわからない。
そのまま手をつなぎながらベットに連れて行かれる。
「ねぇ…」
「……」
「マスク、取ってよ。」
チャンスだと思った。なるほど確かに見事だ。
明らかに素人の手際ではなかった。まるで自分がどこかの令嬢のように思わされるような扱いだ。
だがそれで気を許すかといったらNOだ。最初の仕打ちは忘れていない。このままなし崩しにさせるつもりだろうがそうはいかない。
令嬢モドキの女はすっかり心を掴まれた頭の弱い女を演じながらマスクに手をかけようとした。まずは素顔を見ておかないと警察に付き出すのは色々と面倒な作業がいる。
だがこれはレイプだ。
「ぴょわぁ!」
マスクを剥ぎ取ろうとした手ごと顔面に強力なビンタが飛んできた。そのまま顔面にビンタを往復で浴びせられる。
「ごめ!ぴぃ!あ、謝るから!謝るからぁん!!!」
頬を両手で庇いながら土下座する。如何なる神業か3桁は叩かれたであろう顔面は熱は籠もっていたが腫れてはいないらしい。
しかし痛みは腹部に喰らった以上だ。女の心はまた砕けた。
「ふぁ!い、いきなり挿れるなんて…!」
「前戯はしただろ。」
土下座している所に背後からイチモツを膣に一気に挿れられる。
大きい。物は見れていないが自分が今まで相手をしてきた物の中でも群を抜いた物だ。そしてくる灼熱に思わず叫ぶ。
「あ、あつい!こ、これ精子?生で出したの?」
「濡れてないのに動いたら互いに痛いだろ。ローション代わり。」
「ふ、ふざけないで!何してるの!?」
「レイプ。」
「こ、こい…んぉ!あ、やめそんなのでゴリん!おぁ!やめ…!」
言い返そうとしたところでピストンが始まり猿叫を挙げさせられる。
問答無用の生出しザーメンが円滑湯になり人狼のデカブツが腟内の往復される。リズムよくそれでいて自分の良いところにイチモツが引っかかりビクビクと身体を痙攣させられる。
意味がわからない感覚を何度もさせられてるせいかだらしなく失禁させられながらのけぞるしかない。
「ま!おん!や!おんん!!と、止まってん!ぉお!」
「これが2発目だ。」
「んぉ〜!」
奥に叩きつけられた肉棒が爆発。女の脳内に自分の赤ちゃん部屋に濃厚でドロドロしたものが注がれるイメージが焼きつけられた。
「そら、あと8回は出すぞ。」
「へぁ…んぇ?う、うひょ…休ませて…」
「勝手にするからお前も勝手にしろ。」
抗議の声はまたしても快楽でかき消されるのであった。
「……ぁ……」
あの後は8回では終わらなかった。13,4回までは不思議なことに意識が保てていたがそれ以上は飛び飛びで覚えていない。
それにも関わらず性液が乾いた特有の匂いは意識を取り戻した今ではほとんどなかった。
よろよろシーツで身を隠しながらキョロキョロとあたりを見渡す。
女を弄んだ人狼は姿を消していた。
部屋はむせ返るような性臭やあの不思議な体臭も消えていた。
狐につままれたかのような気分だ。だが自分の秘部や記憶があれが幻覚でないことを教えてくれる。
「なんだったのアイツ…」
カバンの残骸を見ながらぼやく。2日分の稼ぎはほとんど持っていかれたらしい。没収と囁かれたのを朧気ながら覚えている。
ホテル代と思われる二人の諭吉がぐしゃぐしゃな状態で残っているだけだ。
「訳…わかんないだけど…」
くしゃくしゃになった諭吉を抱えながらぼやく。
涙が出てくる。今の自分は今までの自分ではない。殺されたのだ。
レイプとは魂の殺人である。前の自分は殺されてしまったのだろう。あの何度も注がれた精子に殺された肉体に新たな魂を植え付けられたのだ。
「そうじゃなきゃ…そうじゃなきゃおかしいよ…」
女は今の自分の想いを認めたくなかった。
違う違うと独り言を言いながら涙をこぼすしかなかった。
もう自分はこの生業は続けられないだろう。
夜の店にお気に入りの男を指名することも二度とないだろう。
こんなこと知りたくなかった。そしてもうあの人狼にはもう会えまい。
そしてこの話をかつての同業に話すのであろう。もう立ちんぼは辞めるようにとこの話をするであろう。
様々な欲望の飛び交う街、神宿。
そこには魔物が潜んでいる。
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