手術台の上に仰向けで横たわる全裸の湊友希那はすでに絶命していた。
死亡してすぐのものを男が買い取った。そのため友希那の肉体は冷たく、全身にはまだ硬直があった。
台の上の友希那の死体は極めて美しかった。年齢にしては貧相な身体つきだったが、その色白の肉体はどの部位も可憐であり、特に小さいながらも滑らかな曲線や十分な張りを演出している二つの乳房は称賛に価するほどのものだと男は思った。顔面は童顔で、大きな目が特徴的だった。瞳の色は黄金色だったが、その眼には上から不透明な膜のようなものを被せたように色褪せていた。
そして友希那死体の頭部は解体されていた。
それは男がやった解体作業だった。まずこめかみの位置で頭を一周する切れ込みを作り、頭頂部の頭蓋を友希那の死体の頭部から『剥がした』。すると薄桃色の脳が露出し、辺りに血の鉄の風味が漂った。
友希那の死体の脳は美しかった。死んでいるというのにその色は美しく、ひしめき合うシワはどこまでも性的だった。男はすぐに自分の陰茎に血が高速で巡り、むくむくとが立ち上がるのを感じた。友希那の死体の脳を前にして鼓動が速まっていた。完全に友希那の死体の脳に恋をしていた。
男はすぐにズボンとパンツを脱いだ。その指は興奮で震えていた。白のパンツを下げると、案の定限界まで勃起している陰茎が現れた。ぷっくりと膨れた亀頭の先端からは透明なカウパー汁が溢れ、すぐに床に垂れていた。
男は陰茎を握った。陰茎からはじっとりとした熱が流れていた。よく握り慣れているはずなのに、その光景や陰茎の感触からの現実感は妙に希薄だった。友希那の死体の脳を前にして極度の興奮状態にいるためか、自分がこれからしようとしていることがひどく幻想じみているような気がしていた。
男は友希那の死体の脳を見た。それはどこまでもいやらしく、妖艶な雰囲気すら感じた。生前はこの脳を使って素晴らしい音楽を紡いでいたと考えると自分の脳の奥の方に熱が溜まり、それが一気に陰茎に落ちるとさらに勃起した。それは痛いほどだった。はち切れそうなほどだった。陰茎の全体に熱湯のような血が循環している感覚がはっきりとわかった。
男は友希那の死体の脳の魅力を再確認することで、自分の現状が本当に現実であることを実感し、そんな憧れの脳を犯せることに最大限の幸福をしっかりと感じた。男にとって友希那の死体の脳とは、自分の激しく勃起した陰茎を収め、さらに気持ち良くするための道具のはずだった。そのことを思い出した男は、極めて正常で冷静な感覚で脳に向かっていった。
男は前に出た。すぐ近くに友希那の死体の頭部があった。男はその首を両側から握った。力強く掴むと左右の五指が首の皮膚にめり込んだ。男はそのまま友希那の死体を自分の方に寄せた。すぐに脳の頂点が陰茎の先端に触れた。その途端冷たく柔らかい感触が襲来した。友希那の死体の脳の、最初の感覚だった。男はさらに強く友希那の死体を自分の方に押し込んだ。左脳と右脳のちょうど間の位置を強引に切り開き、陰茎が内部に進んでいった。まるで脳自体が陰茎を飲み込んでいるような感覚だった。ねっとりとした感触が竿の全体に触れていた。男は腰を友希那の死体の方に突き出して擦り付けた。中で陰茎が蠢き、脳のひんやりとした感触を弄んだ。友希那の人間としての全てを陰茎で破壊している感覚だった。男の脳裡に浮かぶのはいつかの日の友希那の輝かしいライブの光景だった。その日の友希那はひときわ力強い歌声だった。身体の本能に刻み込まれる生命の歌声だった。その芸術として最高位の歌声も、今自分が犯している脳から生み出されたと考えると、その脳の中の陰茎がさらに強く膨張した。友希那を友希那たらしめている生命の核に自由に触れていると考えると、全ての細胞が恍惚とした。
友希那の首から手を離し、台に改めてついた男はたまらず腰を動かした。陰茎の形に彫られた脳の中で陰茎が擦れ、ねっとりとした水滴の音が鳴っていた。中の脳は竿に吸着していた。それはまるで、男の陰茎を友希那が最奥地の一番大切な思考の次元が受け入れているような具合だった。男は夢中で腰を振った。中では脳が崩れ、ぐちゃぐちゃと音が鳴っていた。分泌されるカウパー汁と脳が混ざり合っているはずだった。それは友希那の思考力と自分の雄の遺伝子が混ざり合っているような感覚で、それに気付いた男はさらに強い興奮を感じた。腰を振るう速度が上がった。
男は身体を倒して友希那の死体の顔に迫った。すぐに無防備な唇を奪った。冷たく、動かない肉をこじ開けると中に舌を突き入れてまさぐった。友希那の唾液は美味だった。男にとっては愛する者の唾液だった。男は舌先で歯列を舐めてみた。柔らかいものだらけの口内で異質さを放っている歯列は硬く、しかし唾液によってつるつるとしていた。男は友希那の口内に自分の唾液を充填すると口を離した。唾液の透明な糸が引いていた。男にはそれが、離れようとしても離れられない二人の運命の現れだと思った。
男はさらに腰を速めた。柔らかい脳をかき回すようにすると、竿や亀頭の全体に脳が触れ、とてつもない快感が触れた。男はすでに限界だった。射精の痺れる感覚が下半身で宿っていた。痺れすぎて感覚がなかった。全ての意識が陰茎に集中し、射精することだけが脳裡に迸った。
男は脳の一番奥まで陰茎を突き入れた。そしてそれまで抑えていたものを一気に解放した。
男の射精が炸裂した。弾ける飛沫の衝動が友希那の死体の脳の奥を濡らして、汚した。大量の性欲を吐き出す感覚は凄まじかった。じんわりと腰の辺りが緩んでいき、そのまま睾丸の中の全ての精液が搾り取られた。まるで自分の生きるための聖なるエネルギーまでもが抜き取られたような感覚だった。友希那の、死してなお続く女としての魅力に男はひれ伏したい衝動に駆られた。
長い射精を終えた男はゆっくりと友希那の死体の脳から陰茎を抜いた。しかし粘り付く脳が動く陰茎を刺激し、抜く過程の中でも男は微細な射精を繰り返した。友希那の脳が離してくれないっ、と男は思った。執拗な脳の『ご奉仕』に男は射精を繰り返した。
ようやく出てきた陰茎はすっかり萎れていた。
役目を終えた男の分身体は、こびり付いた脳の破片と精液によっててかっていた。
男は友希那の死体の脳にできた『穴』を視た。脳にはちょうど中心の位置にぽっかりと穴が開いていた。そしてその穴からは白濁の粘液が流れていた。それは男の精液だった。友希那の脳が吸収し損ねた余りの精液がどろっと垂れていた。男はその垂れ下がる自分の精液を指で拭い取った。人差し指に不透明なねっとりとした液体が絡みついた。男はその指を友希那の唇に這わせた。指の腹を擦り付けると友希那の唇がてかてかと輝き出した。男の精液がまとわりつき、しっかりと付着したようだった。
精液付きの友希那の顔を、男はじっと見つめた。