※この作品はR-18です。

ヘルマフロディーテの夜明け   作:黒須 一騎

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2021年末、ロシアによる突然のウクライナ侵攻が起こり、世界からハブられたロシアは莫大な戦費から貧困にあえいだ。

5つの国に分裂しかけたが、辛うじてロシアという国体は維持。
残ったのは、あらゆる分野の衰退。
しかし、中国がエネルギーを求め、エネルギー源としてガスと石油を買ってくれることでなんとか持ちこたえていた。

2029年に中国とアメリカによる軍事衝突が発生。
これを機に、元々当時の総書記とそりの合わなかった中国軍の瀋陽軍が、独自決起し北朝鮮になだれ込んだ。
しかし、そのどさくさにロシアは黒竜江省に侵攻、瀋陽軍は2面の厳しい戦いを迫られた。

最終的に北朝鮮への大規模攻撃で金政権は滅亡、中国に併合された。


2035年突然の中国と韓国の侵攻により日本との紛争が勃発。
国内政策に執着したアメリカは、初期対応の連携に遅れ、被害が拡大した。
これを自国の危機と捉えられなかった大統領を米国国民は罷免、政治は大きく方向転換された。

ヨーロッパも難民問題に端を発した内向き政策からECは分裂、旧態の状況に戻った。
米国は日本と協力して、中国、韓国への経済制裁を強力に推進。

これを機と見たロシアは、北海道に矛先を向けた。
とかし、僅かに残っている旧式な戦闘艦と戦闘機では、日本と米軍の前には敵では無かった。

中国も沖縄に上陸を試みたが、至る所で暴動やデモ、反政府行動が起こり、結果として中国は経済崩壊と共に、自滅していった。

そしてさらに内紛を起し、中国は疲弊していく。

中国は最終的に、米日英印の連合国側と会戦し、政府は壊滅、5つの国に分裂した。
原油は米と印に持って行かれたものの、北方四島は返還、樺太全島を主権地に収めた。


其処に住んでいた20%ほどのロシア人は、シベリアへと渡ったものの、多くは日本に帰化。
言葉も教育レベルも、慣習も異なる人々を帰化させるには膨大な人と金が必要となった。



韓国も莫大な賠償金を抱え、結局米国と日本の共同統括機構の統治下となった。
以後「生かさず殺さず政策」と世界から悪口を叩かれる対応が取られた。


全くその機能を失っていた国連が解体され、新しく再発足。
常任理事国を、米国、日本、イギリス、フランス、インドとなった。
ヨーロッパでもドイツはロシア対し消極的な動きで有ったため、理事には入ることができなかった。


インドとは現在親密な経済協力と貿易協定が日本との間にあり、昔のロシア依存体質は中華バブル崩壊とともに過去の物になっていた。

この煽りを受けたEC諸国は軒並み国力を下げ、難民問題も解決しないまま至ることろで暴動が日常化していた。


中国は南沙諸島からは国際的な非難を受け完全撤退し、インドから日本までの航路も安定しているのは、インドとの強力な経済流通の賜物だ。

この陰には、日本の強力な軍事協定があり、インドのIT技術と相まって、イージスシステムをさらに発展させたシステムが両国の防衛基幹となっていた。


中国や韓国は貧困へと落ち込み、各地で暴動やデモが毎日1000単位で発生している。
特アに早々に見切りをつけた日本は、インドとのつながりを強め、現在ではここ5年GDP成長率記録を塗り替え続けている。

インドも同様に目覚ましい経済成長率をたたき出していた。
もともと、ちゃんと教育機会を与えられたインドは利己利益主義の中国に比べ日本人に近い勤勉さを持ち出していた。

結果、日本は第二位に返り咲き、インドが第3位に躍進した。
かつての赤い大国は、第15位まで転落、まあ、アメリカと日本の差も僅かになっており、状況次第では逆転する可能性もある。
アメリカは2017年からの内向き政策により国威を大きく下げ、強硬な姿勢と傍若無人な姿勢は世界中で摩擦を生み出した。その暗い影はいまだに米国の経済に暗い影を落としていた。



2041年、憲法9条が改憲され、矛盾は解消された。

米国との安保条約は見直され、自衛隊は日本国軍へと変わった。

日本がメタンハイドレートの採掘技術を確立し、安価なエネルギーが供給を始めたのは最近だ。

石油の輸入量も毎年減少し続け、アラブ各国からは王族や政府関係者が日参する始末となった。
ロシアも価格競争に加わり激しい攻防が繰り返される。

原子力も僅か5%程度に下がり、いまではメタンハイドレートから転嫁される水素エネルギーが大幅に利用されていた。

ごく普通に燃料電池自動車が街を走り、世界の新技術は極東の日本が多くの発祥となっていた。
また、藻類バイオマス燃料のプラントが稼働、消費国から産油国へと転換した。


日本は共産圏でも元中国や元韓国には厳しい入国制限を加え、毎日のように不法滞留者、入国者は逮捕されていた。

韓国人や中国人によるテロ行為が相次いだため、テロ特措法が改正され、厳しい対応が取られた。


日本国内では通り名が法的に禁止され、日本に居自由する外国人には第二マイナンバーカードが交付される。

国内ではマイナンバーを持っていないと、ほとんどのサービスが受けられない。

すでに、免許証、国家資格、健康保険証などは統合され、これが無いと生活が成り立たない時代と日本はなっていた。






プロローグ

 

 

正常な人間の雌個体、つまり女性には存在しない性染色体をY染色体という。

通常女性はこの性染色体がXX、男性はXYとなる。

 

しかし稀にXY遺伝子を持つ女性が生まれる場合がある。

これを性分化疾患と言うが、実際にはアンドロゲン不応症やターナー症候群、卵精巣性性分化疾患、混合性性腺異形成症などの病名が付いているが、一つの遺伝子疾患ととらえられている。

 

 

しかし、その症例やその類似した症例とも異なり、両方の性機能を持つ第三の性別が増え始めていた。

 

 

2055年を境として、突如新しい症例が世界的に急増し始めたこの症例は、真性半陰陽の一つで、外性器および内性器が両方の性を持った者が出てきていた。

 

しかし、性遺伝子は通常のXX示し、外見は一部を除いて全く普通の女性と変わりは無かった。

 

何故増えて来たのか、その過程も原因もまったくわかっていない。

しかも両方とも性機能は正常で、妊娠出産も問題ない。

 

世界の医学会も、男女中間型の完全体、つまり雌雄同体の取扱いで研究が始まったほか、各国の行政機関も取扱いに困惑していた。

 

もちろん、両性の機能が完全なものも居れば、男性機能が不完全で陰茎はあるが男性生殖機能が不完全な者や、女性生殖機能が不完全な者、その両方が不完全な者などさまざまである。

 

しかし、ほとんどの者が、両方の性を完全に併せ持つ症例が増えてきたこと。

それは国内だけでも500万人を超え、新しい一つの性として社会的認識が始まっていた。

 

特に日本においては、一部では昔から半陰陽に関しては寛容な社会性を持っていたが、国際社会的にはまだまだ社会的に整合が取れない状況にあった。

 

たとえ、日本が両性を寛容したとしても、国際世界では男性と女性の二つの性が標準であり、第三の性別を受け入れるには古い社会性しか持ち合わせていない。

 

 

世界的にLGBTの台頭により、初期の頃はこの一つとして認識されてきたが、トランスジェンダーやクィアとも異なる「生物学的に両方の性を持つ」両性。

 

この為、LGBTQ+とも異なるとされた。

 

社会はこれに対し、混迷を極めだが、日本の対応は国際社会とも少しばかり異なっていた。

 

 

やがて日本は世界に先駆けて第三の性別「両性」を法的に定めることとなる、しかしこの法整備や社会性の改革には困難を極めた。

 

 

 

性遺伝子つまり女性はXX、男性はXYの遺伝子をもって性的な分別を行おうとしたが多々な困難の壁にぶちあたった。

日本医師会は生物学的な男女として見解を発表し、男性はXY遺伝子を女性はXX遺伝子をもつものとして「あくまで医学的な見地」として発表しLGBTQつまり性的マイノリティとは異なる見地であると発表した。

 

ヨーロッパではギリシャ神話からヘルマフロディテ症候群と名付けられ、医学界では一般化し始めていたが社会的にはまだまだ認められず、差別や法的未整備により社会が適合できない事例が続いた。

 

簡単に言えば、両性は男性、女性どちらのトイレに入れば良いのかと言う問題から、婚姻制度まで波及する幅広い問題を解決しなければ無かった。

 

日本は、急遽「両性者に関する法律」を制定、女性の一部の性別とした。

一部の症例を別として、多くの両性はXX型の遺伝子を持ち、性自認も女性的であることからだった。

 

 

一般的な社会システムは男女の二つの性を基準として構築されているが、社会根幹のシステムを再構築するには、社会自体があまりにも肥大化していた。

 

急がれたのは戸籍上の問題の為、このような子供の戸籍登録は3年間の猶予が与えられ、各種の医学的検査を受け(費用負担なし)、医師のカウンセリング後に登録されることとなった。

しかし、戸籍法上は女性として登録されるため、混乱を極めた。

 

 

 

そんな時代の中、日本に一つの新しい生命が誕生しようとしていた。

 

 

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