※この作品はR-18です。

ヘルマフロディーテの夜明け   作:黒須 一騎

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ちょっと性に目覚めた女の子、お友達に成りたいフタナリちゃん。
ちょっぴりエッチなお話。



端正女学院 幼等部

 

 

 

端正女学院 幼等部の入学式が行われていた。

 

この幼等部は「幼稚園」の扱いで、保育園が厚労省の管轄であるのに対し、文科省の管轄である学校の扱いだ。

つまり履歴書にも書ける学歴の扱いとなる。

端正の幼等部は、2年制の幼稚園で、5歳入学となる。

 

ソフィアの愛車である真っ赤なアウディR9に乗せられ、制服に身を固めて少しばかり緊張した面持ちで、パッセンジャーシート無理やり縛り付けられたチャイルドシートに埋もれていた。

もちろん、エクゾーストもタウンモードで大人しくしている。

 

今ではすでにビンテージ物といっていいスポーツカーだ。

スポーツカーに分類されるこの車は、電気自動車やハイブリッドが主流となる中、メーカーの意地ともいえる高性能を前面に打ち出した車だ。

 

鮮やかなイタリア牛皮の真っ赤な内装と、R8に搭載されていたV型10気筒の5300ccエンジンをボアアップし、5400ccまで拡大、スポーツチューンが施されたTFSIエンジンを搭載し、低速トルクを増やすために、お得意の電動スーパーチャージャー搭載したスポーツフラッグシップ車の限定車となった。

 

最後の純エンジンスポーツカーといってもいい。

 

実際街中を走っている車を見ても、ほとんどがEVで、偶にハイブリッドや小型エンジンのエクステンダーを積んだ車で、最近では水素を燃料とした新型燃料電池を積む車に置き換わりつつある。

 

クラシックカーやエンジン車を維持するにはお金が掛かる、税金も陸上用内燃機関のみに掛かる別途な税金も有る。

よって現在では、純エンジン車は金持ちのステータスと言ってもよくなっていた。

 

母親の運転は、街中では荒いこともなく、嫌いではないが、この車の場合外の眺めも悪い。

みるくとっては、ただ煩いだけの車だった。まあ、格好は良いが。

 

 

学院内はまるで、一つの街を形成している。

その中で、高校以下の校舎が建っているエリアに入るには、チェックゲートを入らねばならない。

 

入学許可証と一緒に送られてきた入門許可証を、提示しないと入れないのだ。

ソフィアはA4サイズの封筒からそれを見つけると、すぐ出せるようにバイザーに挟んだ。

 

「結構混んでいるわね」

「ねえマーマすごくおっきな車がいっぱい」

 

周りには国内外の高級乗用車ばかりでなく、ショーファー付きの乗用車も多い、なかでも目立つのはショートリムジンだ。

 

リムジンなんて、日本の中では使いにくいだけだ。

立体駐車場の利用は全滅、内輪差はトラック並み、街中の緩い段差でも腹を擦ってしまう可能性がある。

 

そんなものが目に見えるだけで、10台以上並んでいる光景は異様ともいえる。

 

学院エリアへの入門ゲートは、10か所ほどあり、今日は全部稼働している。

それとは別に歩きや、軽車両用のゲートも近くにあり、にぎわっていた。

 

 

「カードをご提示ください」

ソフィアは郵送で送られてきた入門カードを警備員に渡した。

 

肩に警備の肩章をつけた係員が、QRコードリーダーをかざすと、地下から出ていた太さ30センチほどの巨大なピンが素早く沈んだ。

 

「ご入学おめでとうございます。

 この先の係員の指示に従ってお進みください」

 

「ええ、ありがと」

 

「マーマ、入り口からずいぶん遠いのかな」

「今日は臨時の駐車場なのよ。幼等部グランドね。

 幼等部の建物は・・ほらあれよ。幼稚園・・というスケールじゃないわね」

 

学舎の大きな壁には「成端女学院 幼等部」と描かれ、下にも英語表記で表示されている。

 

 

係員の指示に従って、駐車スペースに車を止めると、エンジンを止め、降りた。

 

みるくは、ソフィアがドアを開けてくれるのを待っているのが車に乗るときのお約束なので、大人しく待っている。

 

 

 

 

「はい、降りてね」

 

こういう車高も低く、シートも低いスポーツカーというは、乗り降りがし難い。

すこし短めのスカートなんか履いての乗降は、他人に見せなくてもいい物をご披露する人も居る。

 

女性がスポーツカーに同乗するのを嫌うのはこれも一つの要因と言える。

 

しかし、ソフィアは慣れた者で、両足を揃え、車外にスッと出し、シートから綺麗に立ち上がった。

もちろん、ドアも遮蔽してくれるので、無様に下着を晒すことはしない。

 

 

助手席のドアを開け、みるくを抱きかかえ、降ろしてから服に乱れが無いかをチッェクし、自らも直す。

 

「さ、行きましょうか」

「はーい」

 

時間的には式が始まるまでまだ30分以上ある。

 

学舎の入り口には、受付が何か所もあり、体育館へと進むように案内が貼られていた。

 

 

今日のソフィアの格好はブランド物のスーツだ。

 

女性の成熟したメリハリのあるボディ、大きな胸、括れたウェスト、明るめのブルネットの髪、いつもは後ろで束ねている髪も、朝早くから美容室へ予約を入れセットしたものだ。

明るいブルネットが風をはらんで、ふわりと広がった。

自然と近くに居た人たちの視線を集める。

 

「マーマ、髪きれいだね」

「うふふ、ありがと。5時起きした甲斐があったかしら。

 そうだわ、みるくちゃん、式が始まる前におトイレ行っておきましょうか」

「式は長いの?」

 

ソフィアは式次第が書かれた紙を確認すると「1時間ぐらいね」

「行っておくね」

ここのトイレに入るのは初めてだ。

試験にソフィアと来た時は、学舎の方にあるトイレを使用したのだ。

 

ドアを開けると、清潔な人口大理石の床は、滑り止めのライン状の磨いていない部分があり、各トイレには最新式のシャワートイレが備え付けられている。

それも幼児に使いやすい高さと大きさに変更された特注品だ。

 

落ち着いた雰囲気でありながらも、明るさも十分な感じは、まるで一流ホテルのトイレの様だ。

 

みるくは個室に入り、スカートを上げるとタイツと女児用ショーツを下げ、家のトイレより低く作られた便座に座った。

 

 

右手でペニスを軽く押さえ、ペニスを下に向けるとチョロチョロとおしっこをする。

 

朝起きた時などは、勃起していることもあり、そのままだと便器内ではなくフチの部分にかかったり、ひどい時には太ももへかかってしまう事もあるため、何度かの失敗を得て、覚えた物だ。

もっと小さいころはソフィアが抑えてくれたり、急いでいる時は立ったまますることもある。

 

ペーパーを手に取り畳んで、ペニスの先をちょくちょんと拭き、立ち上がって女児ショーツを上げ、さらにタイツを引き上げ、スカートを下し捲れていないかをチェックした。

 

「うん、OK」

立ち上がると自動で蓋が閉まり水が流れる。

 

「ウチより最新式だね」

昔、世界を席巻したウイルス性疾患の後、水が流れてから蓋が閉まるのではなく、蓋が閉まってから水が流れるような仕様が一般的になった。

 

トイレのドアを開け、個室を出ると別の子が順番を待っていた、ぺこりと頭を下げて来たので、みるくも「お待たせしました」と譲った。

 

低く作られた手洗いで、手を洗おうと蛇口に手を伸ばすと、自動でソープが出てくる。

再度手を出すと今度は温水が出てきた。

 

ぬれた手はハンカチやタオルではなく横のペーパータオルで拭き取り、ダストボックスへ入れた。

 

「なんかホテルのおトイレみたい」

ドアの横に大きな姿見があり、チッェクできるようになっている。

 

 

「ごきげんよう、高園さん」

振り向くと、試験の時一緒だった藤原綾香だった。

 

「あ、藤原さん・・でしたっけ? ごきげんよう」

みるくもつられて同じように返した。

 

日本人形のような綺麗な黒髪をストレートに伸ばし、少し微笑みながら話す彼女は、まるで物語に出てくるような整った顔立ちでありながら、愛らしい少しはにかんだ微笑みだ。

 

「また、ご一緒できると思ってました。うれしいですわ」

「ありがとう、私もだよぉ」

 

「あらためてよろしくですわ」

「こちらこそだよ。顔見知りが居るのは心強いね」

 

二人は試験の当日、同じ班に分けられ、二人で遊んだりいろんなお話しをした間柄で、一緒にここに入ろうって話し合った間柄だ。

良家のお嬢様言葉だが、冷たい感じではなく人懐っこい顔つきだ。

 

「あれ? 藤原さん・・・スカートが」

「えっ? 」

「スカートがタイツに引っかかってお尻丸見えだよ?」

「いやん、えとっ!  んっ・・あれっ?」

「なおしてあげるね」

 

みるくは、綾香のタイツに挟まり上がってしまっているスカートを引き出し、タイツを引いてシャツを中に入れてあげた。

 

小ぶりではあるが、丸みのある柔らかくも弾力の有るお尻の感触が、みるくの手を押し返した。

 

この季節は、まだ肌寒いため、幼等部指定の厚めのタイツも制服の一部なのだった。

脱げるのは衣替えのある6月に入ってからだ。

 

「ありがとう、おかげで恥ずかしい思いをせずに済んだわ」

「気にしないで、藤原さん」

「・・名前で呼んで下さいな・・綾香って」

「あやかちゃん? でいいのかな?

 じゃ私もみるくって。

 ひらがなでみるくなの」

「まあ、かわいいお名前ですわ、みるくちゃん」

 

「にゃははっ」

「うふふっ」

「さ、急がないと」

「ええ、叱られてしまいますわ」

 

子どもたちにとっては、式はつまらなく長い時間だった。

まあ、年端もいかない幼女たちにとっては、仕方のない事だろう。

 

それでも「おもらし」もせず、私語もせずに大人しくしているのは、選抜された子供たちで有ることを物語っていた。

 

 

「では、これにて本年度 端正女学院幼等部の入学式を終了いたします」

「ご起立願います・・・・礼!」

 

「え~、これからは各組に分かれホームルームを行います。

 皆さんは先生の後をついて教室へ行ってください」

教諭なのだろう、濃紺のスーツを着た若い女性が手を上げ子供たちに言った。

 

「はい。じゃ、ここからこの列は、私についてきてくださいね。

 目印はこのカメさんです」

 

少し童顔の残る女性は、みるくたちが座る椅子の4列を示すと、手に持った亀の小旗を高く掲げ体育館を後にした。

 

みるくたちの制服には、左胸の胸ポケットの部分に、IDカードが取り付けられている。

 

IDカードは、紛失防止の為、巻き取り器付の細い柔軟なラインが繋がっていて、手を離してもポケット部へゆっくり戻る仕組みだ。

 

校内に居る間は名札として機能し、校外ではセキュリティの面から、名前やクラス名は自動的に消え、代わりに校章が表示されると言った電子表示式のカードだ。

このIDは遠距離IDにもなっていて、非接触で学舎の至る所に仕掛けられた読み取り装置から、位置情報などを読み取れる。

また、学院の出入りなどは、このカードを引き出し読み取り装置に入れることで、ゲートが開く仕組みだ。

 

教室の出入り口にも設置されている読み取り機で、一人づつ出席を採らなくとも、瞬時にリアルタイムで教諭のタブレットに表示される。

このシステムは一部の公立でも採用されており、昔に有った出欠の確認は過去のものとなっていた。

 

「はい、みなさん。先生をみてください。

 いまからホームルームを始めますので良く聞いてくださいね。

 先生の名前は”佐々桃子”といいます」

 

電子黒板には、大写しで「佐々桃子(ささ ももこ)」と表示される。

もちろん、5か国の言語でも表示された。

 

教室の中には、どう見ても白人系にしか見えない娘や、インド系と見られる娘も多数みられる。

教室の3割が、外国系の血をひく子女で占められていた。

 

「今日は、皆さんに大切な事をお話しします。良く聞いてくださいね」

 

教室には何人かインカムをしている子もいる、先生の言葉は随時電子翻訳され人工音声で同時通訳される。

 

日本語に成れていない入学してから1年間だけの特典だ。

小等部からは、基本、日本語と英語のみで授業が行われる。

同時通訳器が使用できるのは中途入学者の1年間だけで、ついて行けない場合は義務教育であろうと留年や退学させられる厳しさだ。

まあ、その場合はほとんど転校という処置がとられるようだ。

 

だから、小等部だけでなく高等部までの学外編入者は少なく、いても語学的にはなんの問題も無い者だけが入学できた。

そういう意味では、国内でも有名進学校より難しいと言われる所以だ。

 

教諭もそれなりの資質が求められる。

学内以外の外部機関に所属することは厳に禁止され、最低2か国語が出来、修士号以上が基本だ。

だから、給料は一般の教師とは比べ物にならないほど高い。

だから、悪名高い教育者団体などとは無縁だし、加入が認められていない。

 

中学から専門教師となるには、通常の教員免許だけでなく、博士号持ちかそれに準ずる資質と定められている。

まるで大学の教授並みで実際、自分の研究のため、大学の講師クラスが担任に数年移動することも多々ある。

 

そのような教諭陣の指導を受け、優秀な者は飛び級試験や特進試験を受け上がっていった。

一番わかりやすいのは高校生が新技術で特許を何件も取得していることだ。

一番新しいものは「重力波通信実用化における、センサー技術と増幅技術」で、現在大学院に進級し産業化を目指していると言う。

 

桃子先生からIDカードの使い方、禁則事項、安全の為の決まりなどが伝えられ、一人づつタブレトが渡される。

 

タブレットは常にネットとつながっていて、これから2年間は、これがノートであり教科書だという。

もちろん、幼等部では遊びの時間も重要視される。

遊びを通して、いろいろな事を学ぶ技術は、この学校が最先端だ。

 

幼等部1年には、お昼寝の時間もあり、給食の後、制服を自分で脱ぎ、起きたらまた着ると言った基本的な事は、当たり前にできなければここには居ない。

 

2日間に渡って行われた試験の時も、ちゃんと着替えの時間が有り、ほとんどの子が出来ていたが、一部できない子の姿は今は見えない、つまり入学出来なかったことを意味する。

 

そのころ、保護者は別室に集められ、子供たちとは異なるカリキュラムが進められていた。

子どもたちの帰る時間まで、みっちりオリエンテーリングが行われ、Q&A集も渡される。

 

「以上でご質問はありますでしょうか」

「はい」

「そちらの方、どうぞ」

 

「すみません、お昼寝の時間ですが、粗相をしてしまった場合はどうなるのでしょうか」

 

「え~まだお子さんの年代は、粗相をしてしまうことは異常な事ではありません。

 その場合は、学校指定の下着とジャージが貸与されます。

 お返し頂く際は、指定のクリーニング業者へ出し、ご返却ください。

 また、必要と思われるお子さんは前もって、幼等部へ御預け頂くか持たせてください。

 

 シャワーも完備していますし、補助教諭が安全に留意して介助します。

 もし、制服も汚してしまった場合は、体操着で帰宅させます。

 粗相をしてしまってもお子さんを叱らないで上げてください。

 もちろん精神的なケアもお任せください。

 ただ、異常に頻度が多かったり、改善しない場合は親御さんと協力し、児童心理学や医師も協力して、ご家庭環境を含めた問題解決を図る用意があります。ご安心を」

 

「自家用車での通学で、駐車場所と運転手の待機場所があるとお聞きしたのですが」

 

「はい、この校舎の北側にパーキングがあります。

 場所を占有とする場合は費用は掛かりますが、それ以外は無料です。

 別にあるパーキングビルの利用には、別途費用が必要ですが、車にはトランスポンダの設置を設置するか、可搬型のトランスポンダを車内に置いていただくこととなります。

 このトランスポンダは車のナンバーと紐付けされていますので、申請と異なる車で立ち入る際は、6時間前までに事前の申請が必要です。

 もちろん、出入口には専任の警備員もついています。

 あと、運転手の皆様用のIDで休憩室が無料でご利用できます。

 詳細はお渡ししたパンフレットに、学内専用サイトにアクセスして頂ければ読むことができます。

 IDとパスは、先ほどお渡ししたパンフの裏表紙に記載されています。漏洩にはご注意ください」

 

「あの、子供たちがここにいる間の状況が見られるらしいのですが、使用機器には制限はありますか」

 

「ありませんが携帯端末は専用アプリ、固定端末は専用のソフトのみで可能です。

 ただ、セキュリティの為、使用している機器IDを取得していますので、新しい機器でアクセスされたり、機器を増やす場合は、直接私どもにご連絡いただくこととなります。

 これは部外者が利用できないようにするためです。

 携帯端末、固定端末各1台が基本となります。

 なお画像が出るのはお子様のIDが確認されている場所だけです。

 任意の場所はご覧いただけません。

 また、プライベートエリアつまりトイレ、シャワー室などはカメラがありませんし、着替えなどの時間は一時的にアクセスが停止されます」

 

「子どもたちの安全対策についてお伺いしたい。とくに不審者対策について」

 

「近年増加している不審者対策は完全と思っています。

 実は本日皆様にお渡ししているIDも、今日限りで無効化されます。

 持たない人物が入り込んだ場合、学内各所に張り巡らされた監視映像をAIが確認、同時に複数のドローンが警戒し、異常があればアラートが発せられると共に、スタンガン等を装備した警備員が急行します。

 外部からの盗撮に対しても、窓は特殊フィルムが貼られていますので撮影は困難です。

 また、屋外もよほどの高倍率望遠でもないか、衛星写真でもない限りは無理ですね。

 もちろん違法ドローン対策も完全です。

 校内には、各種周波数の無線使用状況モニターのほか、台数は公表できませんが、警備用のドローンが常に飛び回っています。

 異常をドローンが発見した場合は追跡、捕獲、数キロ以内の場合は、使用者も追跡し警察へ速報します」

 

「あの、体操着は下がブルマだと資料ではなっていますが、前時代的ではないでしょうか」

 

「Q&Aをご覧いただければ解りますが、もともと体育着を校外で着用することは想定しておりませんし、許可しておりません。

 地域の行事など校外のものに参加される場合は別途に当校指定の物以外をご準備ください。

 当学院では幼等部から高等部まで、体育着については、水着以外は基本全員ブルマの指定です。

 ブルマはスポーツショーツとも呼ばれる歴史あるものです。

 いわば封建的な時代から女性を活動的な物へと変えた代名詞なのです。

 それをおっしゃるのならば、もっと際どいスポーツショーツなどを使用している陸上競技の国際大会などにも、同様な申し入れを行うべきでしょう。

 彼女たちの着用している、レーシングブルマは、そういう目で見た場合、もっときわどいものと言えます。

 それだけでなく、女性特有の丸みのある臀部を作るためにも、当校ではブルマを指定しています。

 下着と運動用の着衣の区別もつかない、鬱屈した性衝動が基本構造にあることは、当学院の研究で判明しています」

 

「制服にスラックスが無いのは何故でしょうか。

 またスカートの長さも短いように感じるのですが。

 このままでは簡単に下着が見えてしまうのではないでしょうか」

 

「当学院は女子校であり、また綺麗な立ち居振る舞いもできない女性を、作るつもりはありません。

 学業だけではなく、美しい女性美は、それに合った精神に宿ると考えています。

 当学院以外の、羞恥心の欠片もない学生が街に増えていることは、嘆かわしい事です。

 制服にスラックスが無いことも同様の理由によるものです。

 制服のスカートの下は、ショーツが基本で有ることもこの理由です。

 ただし、学年が上がり自転車やスクーター等による通学の場合は、学外事情も考慮し、学校指定の見せパン、丈の短いペチコートパンツ、ショートスパッツを許可しています。

 もろんこれらの物を履いているからと言って、立ち居振る舞いが粗野になったり、股を開いて椅子に座るなどの、見苦しい行為は厳しく指導されます。

 スカートの長さについては、勝手に短くしている学生を、一般校生徒で沢山見かけることは日常茶飯事です。

 逆にきちんと長さの範囲を規定することで、不用意に下着を人の目にさらさない立ち居振る舞いが身に付くのです」

 

「防寒や風邪気味の場合はどうするのでしょうか」

 

「防寒については、制服の一部として防寒タイツも設定されていますし、防寒コート、防寒手袋、マフラーなど全て最高の技術、材質・縫製で国内生産されています。

 空調が完備されている当学院では、過防な防寒は過ごしにくいだけでしょう。

 風邪気味などの場合は、お休みして体を治すことの方が先決ではありませんか?

 どのみち学業には身は入らないでしょうから。

 あと、流行性感染症の場合は、逆に登校は他の生徒への迷惑で、テロ行為とも取れる行為ですし、出校停止要件です。

 当校では設立以来、1度も感染症による学級閉鎖や学年閉鎖をしたことが無いのも、徹底した公衆衛生教育がなされているためです」

 

「よくある修学旅行などの積み立てや費用の徴収はないのでしょうか」

 

「修学旅行は遊びでも慰安でもありません。

 れっきとした「学び」の時間であり教育で有ることを、再認識してください。

 つまりこれは「学業」の一部なのですから、学費から捻出されるのは当たり前の事なのです。

 まあ、小等部5年までは日帰りですので、多々のご心配はないと思います」

保護者たちへの説明や、オリエンテーリングはこうして休憩を挟んで続けられ、その間子供たち学びの中で、社会性や集団生活や「授業」というものに慣れていく。

 

 

一方、教室では。

「はい、みなさん自己紹介たいへんお上手でした。

 では、今から15分、休憩します。

 時計の長い針が12を示したらここへ集合です」

 

幼等部は、幼稚園教諭専修免許状を持っている教諭の他、幼稚園教諭1種免許状や幼稚園教諭2種免許状の補助教諭で構成されている。

また、この学院の特色として帰国子女や国外の子供も多い、教諭となるには母国語の他に数か国語が話せなければならない。

 

教諭は、名前が金色の金属光沢プレート、補助教諭は銀色の金属光沢プレート、その他の職員は白い樹脂プレートの名札だ。

学内では「金バッジ、銀バッジ、プラバッジ」などと呼ばれている。

 

「今日はこの時間で終わりになります。明日からは通常通り午後3時までです。

 では、お帰りの準備をしましょう。

 これからお名前を呼ばれた方は、準備のあと、そのままこの教室に残っていてください」

 

「では、ご挨拶です」

「「先生さようなら、皆さまさようなら」」

 

みるくは名前を呼ばれたので、スモックを脱ぎ、上着を着て、カバンを肩から掛け、また椅子に座った。

 

「みるくさん、ではごきげんよう。また明日」

「はい。綾香さん、ごきげんよう・・です」

 

「ねえ、みるくさん・・」

「ん? なーに?」

「おともだちに・・・その・・」

「うんっ! お友達になろう! 綾香ちゃん」

「う・・うれしいですわ! よろしく」

「うん、こちらこそだよ」

 

「じゃ・・車がまってますので・・」

「うん、また明日」

「ええ、また明日」

そう言うと笑顔で綾香は教室から出ていった。

 

「みるくちゃん、じゃ先生についてきてね」

そういってみるくの手を引いて教室を出た。

3階の会議室につくと、母のソフィアが居た。

あと、もう一人知らない女の子と、その親らしき二人、金バッジを付けた別の先生が居た。

 

「桃子先生、ご苦労様です。では本日お集まりいただいた趣旨をお話ししましょう」

そう、別の先生は話し出した。

 

「みるくちゃんは初めてなので、改めてご挨拶しますね。

 幼等部教務主任の斎藤玲子です。みるくちゃんよろしくね」

「はい、先生。高園みるくです」

 

「今日は、ヘルマフロディーテ症候群と呼ばれるお子さんを、お持ちのお二方に、  

 今後の園内でのご説明と、ご同意を頂きたいと思いまして。

 成端はすでに、132名のヘルマフロディーテ症候群のお子さんの入学、卒業生を経験しています。

 中には、成端女子大の準教授にもなっていらっしゃる方もいます。

 今までは、散発的にいらしたこの症状のお子さんは、近年世界的にこの症例が、増えて来ているのはご存知だと思います。

 そこで、当学院は全面的にこの症例のお子さんの受け皿を作り、育成する機関となる事を決定し、世界各国から入学希望者を募る事となっています」

 

「それはありがたいのですが、こちらの学費では一般の方々には難しいのでは?」

もう一人の子供の親と思われる男性が話した。

 

「ええ、その通りです。しかし、この度学院はこの子たちへの特別奨学金制度を作り、一般の私学程度まで負担を少なくすることとしました。これがそのパンフレットです」

そういって、A4サイズのパンフレットを差し出した。

 

「本日、高園様、宮里様にお越しいただいたのは、これをお伝えする事と、もう一つ学内での生活についてです」

 

「生活ですか、この子には女の子としての立ち居振る舞いをしてきました。

 大人になれば難しいかもしれませんが、今のところは隠して・・・」

 

「宮里様、それは勘違いです。

 先ほどお話ししたように、当学院はヘルマフロディーテ症候群のお子さんの、全面的バックアップを行うつもりです。

 つまり、学内では両性として認識され、過ごしていただくと言うことで、これは学生や教諭陣にも徹底されます。

 もちろん受け入れを公開する為、個人特定出来ないレベルでの在校生徒数や、学年を公表することもあります」

 

「お父様、隠さなくてええの?」

「そうみたいだね」

 

「今はまだ隠せますが、思春期を迎えれば、男性器の大きさは隠せなくなります。

 体育や水泳などでは、お子さんに大きな精神的負担がかかりかねません。

 解決方法は両性で有ることを周りも含め、認知させ、社会的地位を確立することと考えています。

 将来的には両性だけのクラスが理想的なのですが、現状では残念ながらそこまでの児童数が確保できていません」

 

「それはこの子の為にも助かります。

 この子は姉が居るのですが、そりが合わずどちらも苦しんでるみたいでして。

 しかし、この子たちの疾患にそこまで協力いただける理由はなんでしょか。

 現在医師に手術を勧められていまして」

 

 

「ひとつだけ訂正を宜しいですか?

 症候群と名はついていますが、従来の卵精巣性性分化疾患とは異なるもので疾患ではないですよ。

 セカンドオピニオンをお勧めします」

ソフィアが反論した。

 

「では、手術は必要ないと・・・」

「ええ、もちろん継続した検査は現在の所必要ですが、過去症例からも両性とも、正常に機能する確率が高いのがこの症候群の特徴です。

 逆にどちらかの性を去勢した場合、ホルモンバランスの崩れなどから、悪影響が出る確率が非常に高く、死ぬまで薬漬けとなるでしょう」

 

「そうですね、ドクター高園、論文は拝見しました。

 実は政府もこれにより動き出しています。

 ヨーロッパではすでに研究機関も出来て動き出しています。

 それともう一つ、高園様、宮里様。お二方のIQを測られたことはございますか?」

 

「いいえ、まだです」

「いいえ」

 

「入学試験が、異様に長かったとお思いでしょうが、実は全受験者のIQを測る為には、必要なものでした。

 みるくちゃんのIQは160、美菜ちゃんは140という数値でした。」

「そ、そんなに・・・」

「うわぁ私より40も高い」

 

「当学院の校訓は”未来への人材育成と人類への貢献”です。

 将来の貴重な人材は、国にとっても重要なものなのです。

 後、他言は控えて頂きたいのですが、今期の国会で、両性法案が提出される見通しです。

 通過には時間がかかるでしょうが、お子さんの保護、育成は国家事業の一つとお捉えください」

 

「では詳細をお話ししますが、お子さんは飽きてきてしまいそうですね。

 桃子先生と遊んできますか?」

「それもええけど、ちょいお話に興味があるかな? 邪魔なら席外します」

「私は遊びたいな、美奈ちゃんともお友達になりたいし」

「それはそれで興味があります、では桃子先生、お願いします」

子どもたちは、桃子先生に連れられ多目的室へと向かった。

 

「では、お子さんたちが居ない間、続きを」

 

「ひとつよろしいでしょうか」

「はい、宮里様、お答えできるものであれば」

「ウチの子は、戸籍上女として届け出ています。

 学内での生活に女子と違う事は出てきますか?」

 

「現在日本、いえ世界は男性と女性の2つの性を基本として社会構造が構築されています。

 これを急に変えるには多々の障害があり、法改正だけでなく、社会基盤の大幅な改革が必要となってきます。

 国は今の所、女性の分化した一つの性として捉える方向で、考えているようです。

 ですから、法案が通るまでは女性として、生活していく事になり、パスポートなども女性と記載されます。

 しかし、男性の機能を持っていることで、女性から忌諱感や嫌悪感を受けることもあるでしょう。

 当学園はこのような感情や考え方に対し、パラダイムシフトの一つとなるよう動く予定です。

 先進諸国で出生率が大幅に低下し、移民政策も失敗連続、国は荒れ、国力の著しい低下。

 悲惨な末路となった国もあります。

 日本も例外ではありません、いくら福祉対策、所得増対策をしても、出生率が増加しなかったことについて、男性の弱体化だけでなく、女性の方にも、多くの社会的な問題を抱えていることは、当学院の研究ではっきりとしています。

 男性は根底に女性に対して、恐れに似た深層心理を抱え始めていることは、大きな阻害要因です。

 また、男性の身長が僅かずつですが、低下していることもご存知でしょうか」

 

「密集化による雄体の小型化・・・・でしたっけ、鹿の一夫多妻制における繁殖戦略の性差かな」

「さすがドクター高園、よくご存じです。

 ですが、それだけでは無い事が当学院の研究でわかってきました。

 鹿の場合は、食料や生活環境の影響が大きく作用しますが、人間の場合は、異なります。

 進化心理学という学問が有ることはご存知でしょうか」

 

「たしか、通常の動物界では雄が着飾り雌を誘引して一夫多妻制を構築するけど、人間の場合は一夫一婦性を採ったために、男性が女性化するっていうのでしたっけ?」

「まあ、宮里様も良くご存じですね」

「はあ、大学時代にちょっと齧っただけですが」

 

「男性のお化粧が一般化している現代、出生率との因果関係を、当学院の進化心理学の教授が筆頭になり調べてきました。

 その結果、このままでは人類はやがて、種として終焉を迎える可能性が有る事が解りました。

 国はこれを重大な事として受け止め、解決策を模索しました。

 人間に第三の性が現れ始めたことは、種の存続本能の一つではないかと考えたのです。

 ドクター高園、一般的な卵精巣性性分化疾患つまり従来のフタナリの場合、性衝動や生殖機能はどうなるのかご説明頂けますでしょうか」

 

「卵精巣性性分化疾患の場合、成人しても生殖機能に障害が多く出ます。

 それどころか精巣が腫瘍化することも多いのが現実です。

 性衝動、つまり性欲は低かったり、ほとんど無い場合が多く、そこがヘルマフロディーテ症候群と異なる一つでもあります。

 両性の性衝動は一般的に激しく、小児から激しい性衝動に襲われるという論文も有ります。」

 

「ありがとうございましたドクター。

 当学院には、教師や職員として7名ほどの両性の方が在籍しています。

 これらの方は押しなべてIQが高く、優秀であり業績も多く残されています。

 あと、大きく違うのは男性、女性いずれよりも強い性衝動を持っていることです。

 これについては、学院でも積極的にアプローチし性の問題についてアプローチしています。

 もちろん、教育が始まるのは小等部からですが。

 両性のお子さんの場合、小児、つまり今ごろの年代から強い性への興味、そして性衝動が起こり始め、思春期に至っては激しい性衝動に襲われることとなります。

 しかし、これを強く抑制したり、悪い事と間違った教育を施した場合、精神の崩壊を誘発し、リストカットなどの自傷行為、ひいては自殺行為に及ぶことを過去にも経験しています。

 それらを研究し、結論としては、個人の性欲や嗜好に合わせた発散の方法、端的に言えば自慰行為の正しく、安全な方法や性的行為を正しく教える事で、正常な性的発散、教育を行い、過去の様な悲劇は無くなりました。

 話を戻しますが、当学院の進化心理学者は、この問題に着目、研究の結果、今後は男性、女性、両性と3つの性で成り立っていくと考えています。

 なおかつ、両性は男性も女性も必要なく、単一の両性という種のみで生殖が可能です。

 人間が種を残すために模索しているのでは無いかと考えています。

 ヘルマフロディーテ症候群を持つ親御さんにお願いがあります。

 どうか研究に、ご協力頂けないでしょうか」

 

「私はかまいませんが、本人の意向は尊重して頂きたい」

「それはむろんです、そして最も大切な事です。高園様は?」

 

「ええ、協力するにはやぶさかではありません。

 私は今、性衝動を司るホルモンの様な物が有るのではないかと考え、研究を開始しています。

 お互いに協力できるのであれば是非に」

 

「ありがとうございます、もし、ご協力いただけるのであれば、席をご準備する予定もあります」

「それはありがたいのですが、開業もしていますので教鞭は・・・・無理かと」

 

「そこはご安心ください、研究をしていただけるだけでもいいのです、将来的には両性医学を確立する力になって頂ければ」

「わかりました、持ち帰って主人と相談してみます」

 

 

一方、みるくたちは。

「よろしくね、二人とも。どんなことして遊ぶ?」

「遊びより、みるくちゃんとお話ししたいな」

「うん、いいよ。いっぱいお話ししよう。美菜ちゃん」

 

「じゃ、先生はお茶の用意でもしようか、ただしほかの子には内緒ね」

「おおきに」「はーい」

 

「ね、やっぱりオチンチンと、おマンマンの両方あるの?」

「ええ、そう。みるくちゃんも?」

「うん、ちゃんとあるよ。朝になると元気になってるよね、あははっ」

「ええ、ホンマに元気で困りもの」

「実はね、私のお友達もおんなじなんだよ」

「うらやましいな、ウチ知り合いにはおらんから」

「うん、だから今日から美奈ちゃんは今日からお友達」

「ええ、よろしく。ところで、みるくちゃんは・・その・・・タマタマは・・・」

「うん、あるけどおなかの中にあるんだって。

 だから外にあるのはオチンチンとおマンマンだけ。美奈ちゃんは?」

「あたしは、タマタマあるの、でも時々おなかの中にひゅって隠れちゃう」

「アーニャちゃんとおんなじだね」

 

「アーニャちゃん?」

「ほら、さっき言ったお友達だよぉ」

「ああ、お名前からして東欧系?」

「うん、お父さんがロシア人でお母さんがクロアチア人のダブル、天使みたいな美人さん」

「そういうみるくちゃんもダブルなの?」

「うん、パーパが日本人、マーマがイタリア人のダブルだよ」

「まあ、じゃイタリア語も?」

「と、みんな思うよねぇ。

 じつはあんまり得意じゃないのよね。

 英語の方がまだマシかな。

 マーマには教えてもらってるけど、マーマも日本で生まれたから、得意じゃないみたい」

 

「うふふふっ、なんですの、それ」

「あはははっ、だよねえ。美菜ちゃんは日本語だけ?」

「今英語ならってますの。あたしには難儀ですわ」

「私も手伝ってあげる。英語ならOKだよ」

 

 

「あら、英語なら先生も得意よ。はい、お茶」

「わあ、ありがとうございます」

「でも、ママたちなんのお話ししてるんだろ」

「ほんまに」

 

「そういえば、美奈ちゃんは何処にすんでるの?」

「新町駅の近くのマンション。お母さまと一緒に」

「言葉からして京都出身? かな」

「ええ、そうどす。お母さまには治すように言われてますけど。なかなか」

「大変だね~」

「父は京の本店があるけど、お母様は東京のお店の責任者で、週に2.3回行くぐらい・・・なの」

「そっか、じゃ今度家に遊びにおいでよ」

「みるくちゃんの御家はなにしはってるん?」

「開業医。パパは美容整形と泌尿器科、ママは産婦人科と小児科。

 体調悪かったらいつでも連絡してね」

「たすかるわぁ」

 

その時、桃子先生の携帯が振動した。

「はい、ええ・・・・大丈夫だと思います。

 はい・・・・では。 えっと・・二人ともちょっと席外していいかな。

 主任から呼び出しあったの」

 

「ここに居ればいいのかな? 私たち」

「ええ、ごめんなさいね」

「解りました」

桃子教諭は足早に部屋を出ていった。

 

「ん、このクッキー・・・・ローザーのかな?」

「ええ、ほんまにローザーやね。

 ローザーをご存知なの?」

「うん、一度パーパが買ってきてくれたけど、なかなか手に入らないんだって」

「お母さまはいつも予約して買って来るらしいの、お客様にもお出しするんでいつもあるけど」

「うわぁ、いいなあ。私これ好き~」

「うふふっ」

 

「ところで・・みるくちゃん」

 

「なあに?」

「・・・オチンチン・・・見せてもらってもいい?

 あうっ・・変な事言ってかんにんねぇ」

 

「けほっ・・・えと・・・いいけど、美奈ちゃんのも見たいな~。

 見たことあるのアーニャちゃんのだけだし」

「んっ・・そ、そうどすね。わかりました」

 

美奈は椅子から立ち上がり、スカートを脱いだ。

タイツの下には、可愛いフリルの付いた女児ショーツが見える。

 

「わあ、可愛いパンツ。

 いいなあ、ママが買ってきてくれるのはいつもプリントのお子様なのに・・こんなのもあるんだ・・・」

「は、・・はずかしい・・」

 

「じゃ私も脱ぐね」

みるくも立ち上がり、スカートのホックとジッパーを下げストンとスカートを下に落とした。

そして、ブラウスの裾を引き出し、タイツとショーツを一緒に下げた。

 

みるくのペニスがポロンと出てくる。

 

「まあ、かわいい・・・んしょ・・」

美奈も同じようにタイツとショーツを下げた。

朝顔のつぼみの様な包茎のペニスと、少し小ぶりな陰嚢が出てくる。

 

「あ、やっぱりアーニャちゃんとおなじかなあ・・・・ん?

 美菜ちゃん、おしっこはオチンチンからでる?」

「ええ、男の子と一緒」

「じゃ、少し違うかな。

 アーニャちゃんはオマンコの方からでるから。

 私はほら、男の子と一緒」

そういって、包皮を捲り指でペニスの鈴口を少し広げた。

 

それを見た美奈のペニスは、途端にムクムクと大きくなり上を向いた。

亀頭は包皮から少し見えている。

 

「あん、恥ずかしい・・・あんまりみないでぇ・・」

「大丈夫だよ美奈ちゃん、わたしのだって・・ほら」

みるくのペニスもまたムクムクと勃起を始めていた。

 

「美奈ちゃんは、オチンチンの皮めくれる?」

「ええ、ゆっくり時間をかければめくれるの。みるくちゃんは?」

「えへへっ、簡単だよ。ほら」

そういって、勃起した陰茎を掴み包皮をニュルリと完全に剥いた。

少しひんやりとした空気の刺激を受け、さらに勃起が強くなる。

 

「すごい・・・大きい」

「そうかな。ほら、こうすると気持ちいいんだよ。

 オナニーって言うの」

 

「こ・・こう?」

二人は向き合ったまま性器を露わにしてオナニーを始めた。

「あんっ・・なんか・・へん・・な」

「はい、美奈ちゃん続きは後でね。

 先生にみつかったら、まずいから」

「え・・ええ。」

美奈の目は、みるくのオチンチンにロックオンされたままだ。

 

みるくはショーツを上げ、ブラウスを戻しタイツを上げた。

「また、今度ゆっくり見せてあげてもいいよ」

「はいっ! 是非に!」

「ほら、手伝ってあげる」

そういって、スカートをはかせジッパーを上げホックを止めた。

 

「あの・・・こんど・・遊びに行ってもいい?」

「うん、もちろんだよぉ。

 そうだ、お泊りにおいでよ。

 沢山お話しよ?」

「う・・うれしいよぉ。

 みるくちゃん」

「うふふ、今はクッキーが気になるのよね私。

 食べたことない種類があるの」

 

そう言ってみるくは初めての種類に手を出した。

「美奈ちゃんはオナニーはしないの?

 わたしは私は毎日するの。

 しないと寝つきが悪くって」

 

「ええ、わたしも・・・でもおしっこで下着がよごれちゃって」

「ん? オマンコから出るのじゃなくて?」

「あの・・実ははまだ仕方が良く分からなくって・・・」

「そっか、どうやってシてるの?」

「おおきくなったオチンチンを床に押し付けて、おしっこするんよ。

 でもオチンチンは床で抑えられて出ないんよ。

 オチンチンの根元がキュンキュンとして気持ちいいから」

 

「それ・・しらなかった。今度やってみよ」

「みるくちゃんは?」

「うん、私は最近のお気に入りは、オチンチン扱きながらオマンコに指入れるの」

「ゆび・・痛くない?」

「指っていっても一本だけ。

 二本だと痛いから。

 でもあっという間にイクよ?」

「こ・・・こんど教えて・・・んっ・・」

美菜は、股間をすり合わせている。

 

「もちろんだよ、だからお泊りなの。

 ゆっくり教えてあげる。

 慣れればオチンチンも簡単に剥ける様になるし、もっともっと気持ちよくなるよ」

「お、おねがい・・まだイッたことないの・・・」

 

 

ちょうどそのとき、ドアをたたく音が聞こえた。

 

「ごめんなさいね、長引いちゃって。

 さて、今日はこれで終わりです」

大人たちが部屋に入ってきた。

 

「じゃ、帰ろうか。美奈」

「はい。お父様」

 

「みるく、お待たせ。帰りましょうか」

「はーい、ね、マーマ。美奈ちゃんとお友達になったの。

 今度遊びに行ったり来てもらっても良い?」

「ええ、もちろんよ。ちゃんと親御さんの連絡先交換したから大丈夫よ」

 

「みるくちゃん、今日はありがとう。

 美奈とお友達になってくれて」

「ううん、こちらこそです、美奈ちゃんのパパさん。

 美奈ちゃんみたいな可愛くて、綺麗な子とお友達になれたのは良かったです」

 

「いやいや、みるくちゃんも、とっても美人さんだよ。

 おじさんが若かったらプロポーズしたいぐらいに」

 

「うふふ、ありがとうです。

 マーマぁ、みるくナンパされちゃったぁ、うふふ」

「あらあら、相手は所帯持ちよ、マーマあんまり略奪愛は感心しないなぁ」

 

 

「お父様。

 お母さまにチクられたくなければ、一つ貸しかあの店のシュークリームかどらが良い?」

美奈は微笑みながら横目で父を睨んだ。

 

 

 

翌朝、みるくは少しばかり緊張していた。

今日からスクールバスで幼等部へ通学するのだ。

 

「制服よし!、お靴よし!、カバンよし!、準備よしっ!!」

ソフィアと一緒に、医院の出口で待つ。

 

濃紺に金色で古典的なフローラルイラストが描かれたマイクロバスが入ってきた。

幼等部はこのようなバスが多数あり1台が20人ほどを送迎している。

 

広い駐車場を持つがために、開業当初学園から協力依頼があり、学園専用バスの停車場として許可を出している。

そのため簡易ではあるが、雨除けを兼ねたバス専用の庇も立てていた。

 

バスにはすでに、何人かの児童と引率の銀バッジの先生が乗っていて、警備員の制服を着た人も乗っている。

素早く警備員の人が降りて、笑顔で迎えてくれた。

 

「はい、高園みるくさんね。今日からよろしく」

「はい、せんせい。おはようございます」

バスに乗ると、先生が座席を示した。

「今日からごみなさんと一緒する高園みるくさんです」

 

「みなさん、おはようございます。よろしくおねがいします」

「「おはようございます!」」

元気な声が返ってくる。

 

「高園さんは今年から?」

隣の座席に座る年長と思われる子が話しかけてきた。

「はい、です」

「私は小等部なの、困ったことが有ったら言ってね。同じバス通学組だし」

「はい、ありがとうございます」

「かわいい名前ね。うらやましいわ、私なんて徹子よ、て・つ・こ、、いまどき」

 

「でも、一生懸命考えてくれた人が居るんだと思います」

「そうかしら。古臭い名前で嫌だわ」

「人の名前って解るだけマシですよぉ。

 わたしなんて、乳製品そのものじゃないですか。

 チーズとかよりはマシですけど」

 

「うぷっ・・くぷぷぷっ! あはははっ」

「そんなに笑わないでくださいよぉ、フルネームだと乳業会社みたいで気にしてるんですからぁ」

 

「くぷっ・・・ごめんごめん。はあっ・・はふっ・・楽しい子ね。

 気に入ったわ。お友達になりましょうね」

「はい!」

 

 

バスの中は外を眺めてる子、寝てる子、友達とはしゃいでいる子、様々だ。

しかし、シートに膝立ちしたりする子供は誰一人いない、スクールバスもシートベルトが義務付けられたからだ。

 

こんなバスが街中には何台も走っている。

 

ちなみに、小等部からは循環バスの様に走っているスクールバスもあるが、利用は強制ではなく、普通の市営バスを利用している子もいる。

 

まあ、その場合は通学費は個人負担になるが、家の前まで迎えてくれるのは幼等部だけだ。

あと、スクールバスの利点は校舎の前まで行けることだ。

 

市営バスだと、学校の制限エリアの前で止まるため、もっとも遠い高校エリアには800Mも歩く羽目になる。

ちゃっかりした子は、制限エリアのところでスクールバスに乗り換える。

バスはあと一人を乗せ、学校エリアのゲートをノンストップで通過していく。

バスにもIDの読み取り装置が付いていて、自動的に伝送される。

 

ゲートを抜けたバスは少しして、幼等部の校舎玄関に付いた。

幼等部と言っても、玄関は広い。

正しく言うと玄関前にモータープールが有る幼稚園なんてここぐらいだ。

何人もの警備の人が、次々と入ってくる車を捌いたり誘導をしている。

 

「はい幼等部のみなさん降りますよ」

「「「はーい!」」」

「では、また明日ね。高園乳業さん」

「みるくですってばぁ」

 

「あはは、ごめんごめん。可愛いからついからかいたくなっちゃうの。

 ゆるしてねん」

「んもぅ」

 

今は開きっぱなしのガラスの自動ドアをくぐるとゲートがある。

ピッと音がしてIDが読み込まれ、みるくが校内に入ったことが記録される。

 

みるくは割り当てられた、個人用のロッカーに行き、上履きに履き替え、上着を脱いで指定のスモックに着替えた。

 

幼等部のカリキュラムは一般の幼稚園とそう大きく変わらない。

美術(お絵かき)、体育(お外でお遊び)、英語(絵本)、日本語(紙芝居)、算数(数字遊び)、音楽(お歌、楽器)などなど。

違っているのは、ITの時間や会話の時間が有ることで、タブレットやPCなどの使い方はもちろん、ネットの危険性や真偽性なども教えられる。

 

会話の時間などは、一つの題材から多くの話題へと膨らませていく遊びだ。

それには多様な知識と、ボキャブラリーが伴わないと不可能である。

 

教諭は否定する事は絶対に行ってはならず、巧みな誘導をもって会話を促進させていく。

子どもたちは会話に付いていけなければ、疑問は先生やネットを使って調べだす。

 

それにさえ、IT技術、読み理解する能力が必要で。

ここにいる子供たちは読み書きどころか、理解能力にも長けている子供たちが、選別して集められているといっていい。

 

時に話題は、人間進化の疑問点や矛盾点にまで言及される。

 

 

「だから直立二足歩行は、大脳の発達を促したと考えるべきと思うの」

「そうかな、わたしは大脳の発達と、直立二足歩行は同時か、二足歩行を必要とした現象が先と思うわ。

 それはチンパンジーでの実験で証明されているじゃない。

 どうすれば他より多くの獲物を獲得占有できるか、その欲の思考が進化をもたらしたとすれば、おのずと前足だったものを、手に進化せざるおえないと思うの」

 

「突然進化的な可能性は否定できない・・というか否定する根拠も無い以上、進化生物学を基本とした学問では、測れない部分もあることは事実でしょう。

 ならば段階的な突然進化が、二足歩行の段階にあった可能性も検討すべきではないでしょうか」

 

桃子はある程度は覚悟していた。

平均IQ120を超える子供たちは、物質的に恵まれた家庭に多い事は確かだ。

しかしまさか、お猿さんの話から人間の二足歩行進化論に進むとは考えていない。

先輩教諭からも、最も注意を要するのがこの時間だと教えられている。

聞いているだけで、こっちの方が知恵熱が出そうである。

 

「確かにそういった意味では、ヒトも常に進化の試行錯誤を行っていると、見ていいと思うんですけど、最近巷で話題になっているヘルマフロディーテ症候群も、このひとつの進化形ではないかと思うのですよ」

「そういえば、この組にも居たわよね、それについての意見はどうかしら」

「ええ、私もききたいです」

 

「私は、先生から以前説明の有ったように、ヘルマフロディーテ症候群として生まれました。

 私には女性、男性と両方の性があります。

 もし進化論的な面から言えば、種として定着するか否かは未知数です。

 しかし、ご存知のように現在の医学界は、この私を疾患として規定しています。

 私達が同性生殖可能な一つの性として、これから先固定されるのかはわかりません。

 諸外国では同じ境遇の者が迫害されたり、謂れの無い差別、ひどい時には強制力を持って性転換や性変更が行われ、結果悲しい結末に至る事例が多くあります。

 しかし、私個人としては、それも一つの進化形への模索ではないかと考えるのです。

 たとえば、指が片手に6本ある人が居て、非常にタイピングに早い人たちが出てきたとします。

 特に5本指の人たちには何の問題や支障も無いし、6本指にとっても同じです。

 しかし、現代では「気持ち悪い」とか「構造が違う」と言うだけで、虐めや差別の対象になる確率が多いでしょう。

 現在、医学では多指症として医師は切除を推奨します。

 しかし、どうでしょう、生活に支障が有るのであれば、切除でも良いのでしょうが、実際に普通に使える指が多ければ、便利とは考えないのでしょうか。

 鍵盤楽器やキーボードなどに対しては有利とは考えないのでしょうか。

 みなさんは”うらやましい”と感じますか? それとも”気持ち悪い”と感じますか? 

 人は元来、種として同じ容姿であることに、安定感や安心感、同族感を感じ、他の物は排除しようとする群社会を作る動物です。。

 たとえそれが自分たちより優秀で有る場合、心理学的により顕著に、排除欲求が高まることは証明されています。

 その中で、私たち両性が定着するか否かは、共存側の問題だと思うのですよ。

 共存出来るか否かは、受手側の問題であって、両性という種から考えたら極端な話、共存でも種の離別でも構わないわけです。

 まあ、後者の場合は、両性外が”単一生殖能力の無い奇形”となるわけですが、それは両者にとって不幸な結果しか生まない気がします」

 

みるくはすらすらと自分の考えを答えた。

 

「そうね、確かに指が6本あったら便利かもしれないわ。

 手袋屋が喜ぶでしょうけど。

 ヘルマフロディーテの人たちは、同性が居れば繁殖には男も女も要らないわけよね。

 たしかに遺伝子、いえこの場合は染色体と言った方が正しいかしら、その多様性は格段に全体に対して上がる訳よね。

 そういう意味では進化に対するメリットは多いわね。」

 

別のツインテールにしている子供が答えた。

 

桃子は”もう許して”と思っていた。

とてもではないが幼児のディベートではない、まるで大学のゼミの様な内容だ。

この子たちの知識欲と、それを活用できる速度は非常に速い。

大脳の発達速度が非常に速い事が、特徴であることが解ってきている。

もちろん、子供であるところの幼さや快活さは残したままで、それを割り切り社会や相手に適応できる分別さを持っているのだ。

それを狡賢く利用する子供も多く、気を抜くと大人のとしてのアイデンテティなど、いとも簡単に木っ端微塵にされる。

 

そして、救いは訪れた。

会話の時間の終了チャイムだ。

 

「はい、みなさんお疲れさまでした。15分の休憩の後、次はお絵描き(美術)の時間です。

 ここへ時間までに集合ですよ」

「「「はぁーい」」」

 

 

「はふう、急に全開で思考したら疲れたわ。

 みるくちゃん一緒にお手洗いにいきません?」

綾香が近づいてきた。

 

「うん、いいよ。

で、今日はツインテなの?」

「朝、お姉さまにおもちゃにされましたの。

 珍しく早く起きてきたと思ったらコレですわ」

 

「うふふ、羨ましいなみるく一人っ子だから。

お姉さんはいくつくらい上なの?」

 

「ほらほら、お話はあと! お手洗いなら早く済ませて」

先生から注意されてしまった。

 

美術つまりはお絵かきの時間だ。

手には12色のクレパスが握られている。

お題は「お城」だ。

 

「綾香ちゃん、上手だね~いいなぁ」

「そう? ありがと、でもホワイトスピリットもコテも無いから、ざらっとした絵にしかならないのが嫌ね」

「え?クレヨンにそんなの使うの?」

「ええ、クレヨンってソフトパステルの一種なのよ。

揮発油を使えば、滲ませたり油絵みたいに盛り上げたりできるの」

 

「ふんふん、すごいなぁ綾香ちゃん」

「だから、こうするの!!」

綾香は手に持った布きれで、書いた部分を擦った。

「ねっ? クレヨンのワックスが溶けて馴染むでしょ?」

「わっ! ほんとだぁ・・・すごい!」

 

子どもの中には、大人顔負けの絵を描く子供たちもいる、みるくも趣味のアクセサリー作りでデザインの為画くこともあるが、絵というものはまた別の素養が必要とされる。

 

時間はたっぷり取られていると言っても、幼児の集中できる時間は、大人のそれに比べて短い。

それでも他の幼稚園に比べては、長めに確保されている。

 

「みなさん、そろそろ仕上げましょうね。」

桃子は、完成した子から絵を受取り、裏に児童の名前を書いていった。

 

後で名前を書いた短冊を取り付けるためと、電子データに読み込むためだ。

今日の絵は次の季節が来るまで壁に掲載される。

 

「こんなものかな」

みるくは、クレヨンを箱にしまうと、書いた絵を持って、桃子先生へ持って行った。

 

「あら、上手に描けましたね。これは・・日本のお城かしら」

「はい。でもあまり上手に描けなくって」

 

「先生、私もできました」

綾香が画用紙をもってきた。

 

「あら、よくできました。上手に描けてるわね。これは何処のお城かしら」

「フランスのユッセ城です、去年旅行で」

「眠れる森の美女のモデルとなったお城ね」

「はい。本当はホワイトスピリッツやコテがあればもっと・・・」

「それでもこれだけ描けるのは・・・誰かに習っているの?」

 

「はい、月二回ほど先生に来ていただいて」

「だからかあ、はい。次回は必要ならお道具持ってきても良いですよ」

画用紙には、まるでおとぎ話に出で来るような、ヨーロッパの古城が描かれていた。

幼児レベルを超えたちょっとしたものである。

 

 

それから数日後、幼等部の壁だけでなく、父兄専用ネットにも子供たちの絵が掲載された。

忙しい保護者が多い中、保護者が見られるようにだ。

もちろん、掲載期間が過ぎれば保護者に届けられる。

 

「みるくちゃん早くお着換えしないと」

綾香に催促され、慌てて着替えだす。

 

スモックを脱ぎ、スカートとブラウスを脱いで自分のボックスに入れた。

もちろん、他の子供も下着姿など気にせず、着替えている。

みるくは、子供たちの下着姿に軽く勃起し始めていた、綾香の女児ショーツの丸いお尻を見たとたん、ドキリとしペニスがむくりと勃起を始めたのだ。

 

「うふふ、このショーツかわいいでしょ」

そういって、お尻を突き出すようにこちらへ向けてくる。

 

"あんな可愛いお尻見たら、起っちゃう・・"

 

「はう・・・綾香ちゃん・・それかわいい・・・いいなあ」

「ラコールのジュニアキッズショーツなの」

「わたしなんか、トーソンの普通のプリント女児ショーツだよ。

 そんな可愛いの穿いてみたいなぁ」

 

「わたしだって、今年からだもん。

 でもオチンチン、そっちの方が解りずらいと思うわ」

「へう・・そうなんだよね。

 起つと、あれが丸わかりだもん」

 

「ね、ちょっと大きくなってる?」

「うん・・ごめん。」

「いいのよ、私の下着姿で大きくなってくれたんでしょ?」

 

「はう・・ごめんなさい」

「違うの、少しうれしいのよ。

 何故なのかは判らないけど。

 ね、今度の金曜日遊びに来ない?

 お絵かきのコツ教えてあげる」

 

「いいの? 行く行く!

 あ、でもパードレとマーマはお仕事だし」

 

「大丈夫よ、その日はお姉さまが実家に帰ってるから、車が空いてるの。

 うちの車で迎えに行くから」

「いいの? ありがとう」

「根回しも任せて」

 

「へっ? 根回し?」

「いろいろと段取りつける事よ。

 うちの親とかあなたのご両親とかね。

 ほら車使うのだし、お姉さまの事もあるし」

 

「一緒に住んでるんだっけ?」

「そう。6年ほど離れていて、今成端の小等部4年なのよ」

「いいなあ、私一人っ子だから羨ましいな」

「煩いし、おもちゃにされるし。

 結構大変なのよ姉妹って」

 

「でも髪の毛結ってくれたりしてくれるんでしよ?

 いいなぁ、そういうの」

「ね、お泊りの用意してね。

 一緒におしゃべりしたり遊んだりたのしみ~」

 

 

 

みるくは家に帰ると、お泊りで遊びに行くことを母のソフィアに話した。

 

「ご迷惑かけないようにね。向こうのお家の方の言うことをちゃんと聞いて」

「うん、大丈夫だよぉ。マーマ」

 

 

そして金曜日当日。

 

「さ、みるくちゃん。帰りましょうか」

綾香は朝からハイテンションだった。

 

「あやかちゃん、元気だねぇ。私は会話の時間でへとへとだよぉ」

「はいはい、今日はみるくちゃんの苦手な、文学だったものねぇ」

「うん、奥の細道とかなら知ってるけど、鶉衣(うずらごろも)なんて知らないしぃ」

 

「でもほら、理系が得意な人はやっぱり大人しかったじゃない」

「うん、まあ家はバリバリの理系だしね。

 その割には綾香ちゃん、ちゃんと意見言えてたもん、すごすぎるぅ」

「わたしだって、さらっと教えてもらった程度よ。

 一応奥の細道と、双璧を成す作品なんだから知ってて損は無いと思うけど。

 それより、お迎えだけど、このまま一緒に帰らない? 

 みるくちゃんのお家に寄っていくから」

 

「あ、いいの? じゃ先生に言って来るね」

 

みるくは桃子教諭に、帰宅はバスでなく綾香の車で送ってもらうことを告げた。

「ちょっとまってね・・・ああ、今日は藤原さんの車なのね。わかったわ、お家には?」

 

「はい、言ってあります」

「はい、わかりました」

「じゃ先生、さようなら」

「はい、さようなら」

 

「綾香ちゃん、先生に言ってきたようぉ」

綾香が待っている玄関へと急いだ。

 

「こらこら、廊下は走らない!」

隣の組の先生に注意される。

「はい、ごめんなさい」

 

「はふ、まった?」

「今、車呼んだから。にしても玄関混んでるわね」

その時、緑ナンバーのハイヤーが出て行って、黒い1台の大型乗用車が横付された。

 

濃紺のスーツを着て、帽子をかぶった人が運転席を降り、ドアを開けボディの上の方に手を当てる。

 

「綾香お嬢様、遅くなりました」

「はい、先に乗って」

「え、いいの?」

 

「当然よ、お客様ですもの。運転席の後部座席がファーストシートなの」

「そ、そなんだ。し、失礼します」

綾香も乗り込むと、綾香は運転手に行先を告げた。

 

「源道さん、この子、高園クリニックのご令嬢なの、そこまでお願いね」

「かしこまりました、では出します。

 六本木源道と申します、お見知りおきを高園様」

「あ、はい。高園みるくです」

 

車は、日本製の高級乗用車だが、自分で運転する車種では無い車種だ。

所謂ショーファーカーと呼ばれる物だが、購入に際しては年収だけでなく社会的地位なども見られ、カタログさえ一般人には入手困難と言われている。

そんな車種が、クリニックへ横付けしたものだから、職員には緊張さえ走る。

 

「高園様、お待たせしました」

運転手の六本木が降り、ドアを開けてくれた。

 

綾香が先に降り、横で待っている。

 

「あ、ありがとう・・ございます」

「ね、ご挨拶させて、いただいてもよろしくて?

 六本木さん車を邪魔にならない場所に。

 少し待ってて頂戴」

 

「かしこまりました。綾香お嬢様」

 

 

一緒に降りた綾香の手には、いつの間にか紙袋が2つ握られていた。

 

「えと、ちょっと待っててね、もしかしたら両親とも、クリニックにいるかもしれないから」

そういって、クリニックに入ると父親の義孝が出てきた。

 

「いらっしゃい、藤原さんのお嬢さん。

 みるくの父親の高園です。

 ここの院長をしています」

 

「藤原綾香と申します。

 幼等部でみるく様のお友達をさせて頂いております。

 此度は急な申し出にも関わらず、お許しいただきありがとうございました。

 これ、つまらない物ですが」

 

そう言って紙袋の下と取っ手紐の端を掴み、相手が取り易いようにして差し出す。

 

「あれれ、気を使わなくていいのに。

 でもありがとう。

 申し訳ないが母親のソフィアは急患対応でね。

 しばらく時間がかかりそうだから、僕が案内するよ」

「痛み入ります。

 どうぞお気遣い無く。ここでお待ちしてますので」

「なに、お茶ぐらいは私でも入れられるよ」

 

「パードレ、ジュースぐらいなら私だって出来るもん」

「はは、じゃすまないね」

 

「綾香ちゃん、行こ」

「はい」

 

 

「ね、院長。どこかのお嬢様ですか?」

「ん、藤原コンツェルンのお孫さん。

 君も五陵銀行は知ってるだろう? その大元だよ」

「すごいとこのお嬢さんなんですね」

「まあ、住む世界が違うけど。

 医者なんて知的ブルーカラーですから。あはははっ」

 

 

「びっくりしちゃったよ、綾香ちゃん。あんなごあいさつ」

「うふふ、小さなころから仕込まれてるもの。

 かたっ苦しい世界よ。

 あーあ、みるくちゃんが羨ましい」

「そうなのかなぁ」

「そうよ。

 たとえば、ああ、たい焼きが食べたいって思っても自分で気軽に買いにもいけないのよ」

「それは確かに嫌かも。あ、そうだ。

 マーマがおやつにって会津屋のたい焼き食べなさいって」

「わ、一度しか食べたことない!!

 ここで出会えるなんて!!

 ありがとう来た甲斐があったわ!!」

 

「そんなに好きなんだ・・・・たい焼き。

 たい焼き一つで、こんなに喜んでくれるならたい焼きも本望だね」

「ええ、あのもちっとした皮の感触、餡のバランスの良さ、最高ね」

「マーマの大好物なのよ」

 

玄関のセキュリティは、和風の家に似つかわしくなく指紋認証だ。

ピッとした音の後、カシャッとロックが外れる音がする。

 

「ただいまぁ、って誰もいないけどね。

 上がって、綾香ちゃん」

居間に入り綾香にソファを勧めた。

 

「あら、外観の和風の割には、中は今風なのね」

「そう? あ、着替えてくるね。」

「ね、わたしもみるくちゃんの部屋に行ってもいい?」

 

みるくは少し考えると「うん、ちょっと恥ずかしいけど・・・いいよ」と言って自分の部屋に案内した。

 

「わたし、着替えてくるね」

「ここじゃなくて?」

「うん、お気に入りのお洋服クローゼットだから」

「わかったわ、じゃここで待ってる」

「うん」

 

みるくはクローゼットへと入り、ハンガーラックからお気に入りのワンピースを出す。

チェストから服の色に合わせた、これもお気に入りのフリルが付いたペチパンを出して履いた。

 

これが有れば、スカートが捲れてしまっても、男の子の部分は目立たない。

 

「ただいま、て・・・なにしてるの? 綾香ちゃん」

「あら、待ってるのも暇だし、えっちな物ないのかな~って」

「も、もってないよぉ・・・それよりどう? これ私のお気に入りなの」

 

「・・すっごく可愛いわ。

 桜色のワンピースなんてすてき、手に持ってるのはニット?」

「うん、ニットのカーディーガン」

「みるくちゃんの髪色にもすごくあってる。いいな、これどこの?」

 

「わかんない、マーマのお母さん、つまりおばあちゃんからもらったの」

「タグみせてね、んーあっこれってロベルト・カヴァリ・エンジェルズじゃない。私ももってる」

「そう? 良くわかんない」

 

「んもう、アルマーニといえば解る?」

「パードレの背広? たまにしか見ないけど」

「そう、そのキッズブランドよ」

「あんまり気にしてなかった。かわいいから気に入ってたけど」

綾香はそのままさっとみるくの裾をまくった。

 

「きゃっ!」

「うふふ、かわいいペチパン。

 桜色のペチコートパンツもいいわね、こういうのも」

「うっうう・・なんか恥ずかしいよぉ・・・・綾香ちゃん」

 

綾香はその下に隠れているであろう、みるくのオチンチンに触れたくなる気持ちを押さえつけた。

(この下に、オチンチンがあるのね、ああっ、見たい、さわってみたい・・)

 

「んふふ、ごめんなさい。

 あまりにかわいかったものだから」

 

みるくはアーニャとはエッチなことはしていても、友達となったばかりの綾香に対してはやはり恥ずかしさの方が際立った。

まして、相手は同じ両性でもない純粋な女の子なのだ。

感覚としては異性に捲られ見られているようで、ペニスにドクンと血が流れ込むのが解ってしまった。

 

「んもう、綾香ちゃんのエッチ」

 

顔を赤く染め少し前かがみで、スカートのすそを両手て握る姿を見た綾香も、顔を染めてどきりとした。

少女いや幼女とは思えない色気を感じ、下腹部が少し熱くなったのを感じる。

女の子同士には無い、何か別の物をみるくに感じた。

 

「みるく~? いるのぉ?」

玄関の方からか、母のソフィアの声が聞こえた。

「は~い、マーマお部屋だよぉ」

「居間にいらっしゃい、お茶をいれたから」

 

「いこっか、綾香ちゃん」

「う、うん。そうね」

少し残念そうな顔をした綾香の手を引き、居間へと向かった。

 

 

「いらっしゃい、藤原さん・・でしたっけ?

 ごめんなさいね、急患で手が離せなかったの」

「はじめまして、藤原綾香と申します。

 みるくさんとはお、友達をさせて頂いております。

 この度は急な申し出にも関わらず、お許しいただきありがとうございました」

 

「ご丁寧なご挨拶ご立派ですね。

 私はみるくの母で高園ソフィアと申します。うふふ」

「はひっ!」

(噛んだ)

(あら可愛い噛み方・・)

 

「こんなものしか無くてごめんなさいね」

そういって、温められた会津屋のたい焼きを出した。

電子レンジで温めただけとは違い、電子レンジで軽く温めてから、オーブントースターで加熱し皮をパリッとさせたものだ。

 

「ありがとうございます。実は会津屋のたい焼きは一度しか食べたことが無くて、もう一度頂きたいと思っていました。頂きます」

 

サクリと割れた皮から、ふわりと弾力のある生地、そして絶妙な粒の残る餡が出てくる。

 

「はふっ・・あひっ・・・はふっ・・」

「はい、煎茶よ、熱いからきおつけてね。

 やはりたい焼きには煎茶よねえ、私も一つ頂こうかしら」

 

ずずっというお茶を啜る音と、サクリサクリとたい焼きの崩れる音が時間を支配した。

コトリと湯飲みを綾香はテーブルに置いた。

 

「本当においしゅうございました」

「お口に合えば幸いでした。

 ところで今日はみるくからお泊りってきいたけどお家の方は大丈夫?」

「はい、ちゃんとお話はさせて頂いております、お姉さまもおりますし」

「そう、ご迷惑かけないかしら」

みるくは2匹目のたい焼きと格闘中だ。

 

「みるくちゃん、そんなに食べると夕食入らないわよ?」

みるくはちょっと考えるとにっこり笑って、残りを半分に割り綾香に差し出した。

「あら、ありがとう」

 

「さてと、みるく。

 お着換えはカバンに入れておいたからね」

「はーい」

 

淡いピンク色のペチパンをチラリと見せ、ソファからカバンを取上げた。

 

「んもう、女の子なんだから綾香ちゃんみたいに、とまでは言わないけど、少しはおしとやかにできないのかしら」

 

「いいえ、みるくさんはこれでいいんです。

 いつも明るくって、とってもかわいいのに周りで大人しめの子も引っ張っていける。

 人気者なんですよ? わたくしの初めてのお友達だし、私はとっても大好きです」

 

「そう? それならいいんだけど。あの子、一人っ子なのよ。

 少しわがままな所もあるかもしれないけど、お友達でいてね」

「もちろんです」

 

「失礼ですが、みるくさんのお母さんって、外国の方なのに日本語がとてもお上手なのですね」

「うふふ、ありがとう。

 って言いたいところだけど、これでも日本生まれ日本育ちなのよ。

 両親はイタリア人だけどね。

 母国語が日本語のイタリア人て変よね」

 

「最近そういう人も多いとお聞きしますし、気になさるものでもないと思います。

 でも羨ましいですわ、髪もおきれいだし瞳だってブルーだし。

 憧れちゃいます」

 

「そうかしら、でもヨーロッパに行ったら日本人の黒髪ってすごく綺麗に見えるのよ。

 私にはストレートの綾香ちゃんみたいな黒髪っていいなぁって思うけど」

「あ、ありがとうございます」

 

「はふっ、準備完了です」

「はい、じゃ、いってらっしゃい、みるく。

 ちゃんと向こうではいい子にするのよ?」

「わかってるよぉ」

 

「お返事は、はい、でしょ?」

「イエスマム!!」

「まったくもー、そんなことばっかり覚えて」

 

「では、ごちそうさまでした」

 

玄関から二人で手を繋ぎ、出かける姿を見たソフィアは、もう一人産みたいなと少し思った。

 

クリニックの玄関に付くと黒塗りの車がドアを開けて待っていた。

 

「おかえりなさいませ、お嬢様方」

「待たせたわ、マンションまでお願いね」

みるくが先に乗り込んだ。

 

「ね、お土産、本当にこんなんで良かったの?

 庶民のたい焼きだよぉ?

 それも、焼き立てじゃ無く買い置きの」

「ええ、お姉さまも大好物ですの。

 食べ飽きた有名店の焼き菓子やチョコよりも喜びますわ」

 

「そんなもんなんだ」

「そんなものなのよ」

 

「お嬢様方、では出します」

 

車は返事をまたず、スルスルと音もたてず走りだした。

最近のショーファーカーはEVモードでも走れるのだ。

 

「でも、お父様も優しそうだしお母様もとてもおきれい。

 いいな、みるくちゃん」

「そうかな、でもありがと」

 

「私なんて両親とも同じく仕事しているけど、大阪、東京、札幌、台湾・・飛び回ってばっかり」

「まあ、それは仕方ないよね。

 お仕事だし。ウチだって、似たようなもんかな。

 お家だと一人だし、つまんないから、医局で遊んでるし。

 たまにお手伝いに来てくれる、お医者さんも面白いからそっちに居る方が多いぐらい」

 

「医局?」

「お医者さんの控室みたいな場所なの、たまに治療方針や研究をまとめたり、患者さんのデータを処理したりする場所」

「結構大変なのですね」

「まあ、パードレが言うには、頭脳労働を伴う肉体労働者だって言ってる」

「うふふ、なにごとも体力勝負ですものね。

 でも同じような物かしら、お父様とお母様もトレーニングジムなんかに行ってるみたいですし」

 

20分ほど車は走ると、車は大きな高級マンションの地下へと入っていった。

 

「高橋の方には連絡を入れておきました。

 ホールで待っているはずです」

「ありがとう、今日はもう上がっていいわ。

 お姉さまも本宅に行ってるみたいだし」

「かしこまりました」

 

六本木源道の今日の仕事は、急な呼び出しが無ければこれで終わりである。

マンションの地下に車を止め、隣に停めてある自分の車で帰宅する。

 

「おかえりなさいませ、綾香お嬢様。

 いらっしゃいませ、高園様」

「私の大切なお友達のみるくさんよ」

 

「まあ、これはお可愛くて綺麗なお嬢様ですこと。

 高橋こずえと申します。

 お見知りおき下されば幸いです」

「あ、高園みるくと申します。

 ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」

 

「まあ、上に上がりましょ」

 

こずえにセキュリティロックの解除をしてもらい、二人はこずえに付いていった。

ここのエレベーターは上層部はさらにセキュリティが施されており、専用のカードキーが無ければエレベーターは上まで動かない。

 

商業フロアを持たない専用マンションで、これも実はコンツェルンの所有物件であった。

その中でも、最上階は専用フロアで、屋上庭園や小さな噴水、遊具などが置かれているペントハウスになっていた。

 

「ずこ~い。

 なんか映画の世界みたい」

 

部屋は、大きな居間に子供たちの部屋が2部屋、反対側に両親が来た時の専用寝室、プレイルームもあり、TVゲームや各種のおもちゃなども置かれている。

 

高橋こずえは、ここの専属として赴任してきているが、本来は本家の家政主任で姉の紗耶香が成端に入学したことで、東京から赴任してきている。

てっとり早く言えば、保護者がわりとしての傍ら、子供たちのセキュリティーガードの任も帯びていた。

独身であるが、シングルマザーで子供が一人おり現在はこずえの実家に住んでいる。

 

36歳の年齢だが、引き締まった体をしており、武道の有段者で、子供たちの護身術のトレーナーでもある。

護身術と言っても武術の有段者の講習とは全く異なる。

 

子どもたちには最初、徹底的に大人の力と男性の力には勝てないことを教えられる。

そして、効果的な一撃で相手の束縛から脱出し、安全な場所まで逃げることが仕込まれる。

そのためには、手直に有る物をいかに効果的に利用するか、ボールペンやフォーク、タオル一枚と小石、そして急所への確実で有効な攻撃だ。

 

思春期前には男性の急所噛み、それに至るまでの演技の仕方までもが教え込まれる。

わが子は実家に預けることとなったが、すでに16歳。

藤原家のガードとしての道を選び、高校に通う傍ら修行の毎日だろう。

こずえにとっては子供たちが我が子の様に可愛く、命を懸けてでも守ってく対象で、こずえの家は代々藤原家を守護する家系の一つだった。

 

「これ、つまらないものですが」

みるくはそう言ってこずえに会津屋の紙袋を渡した。

 

「これはこれはお気遣い恐れ入ります。

 今日は3時も過ぎていますし、明日のおやつにでもいたしましょうか」

 

「じゃ、みるくさん、ちょっと着替えてきますね」

「ええ」

 

 

「高園様、お嫌いな物とかアレルギーのものとかございますでしょうか」

「えと、魚卵系とラッキョウが苦手かな。

 食物アレルギーはありません」

「うふふ、わかりました。

 ハンバーグはお好きですか?」

「はい、大好きです!」

 

「わかりました、綾香お嬢様もお好きですので、それに致しましょう。

 本来なら、綾香お嬢様のお姉さまの紗耶香お嬢様もいらっしゃるのですが、本日より急遽本家へ出向いておりまして、宜しくとの言伝を頂いております」

「そうでしたか、それはご丁寧に」

紅茶をいれながら、こずえはみるくの人と成りを見ていた。

 

高園家のデータは、すでに本家より伝えられ詳細な事もインプットされているが、さすがに好みやアレルギーについては個人情報が絡むため調査が難しい。

しかし、調査の結果、みるくがヘルマフロディーテ症候群、つまりフタナリだという確率が75%と伝えられていた。

 

「とてもお可愛いご学友でいらっしゃって、うれしいですわ」

そういって、本格的に入れた紅茶をカップに注ぎみるくの前に置いた。

 

「お砂糖とミルクはお使いになられます?」

「いえ、最初はそのままで」

左手でソーサーを手に取り、右手でカップを手に取り口へと運ぶ。

ネットでの紅茶の頂き方なんかを見て覚えた物だ。

 

芳香がみるくの心を和らげる。

 

「ん、美味しいです。

 オレンジペコでしょうか」

「ええ、お嬢様方のお好きなものです。

 素晴らしいですね良くお分かりに」

「はい、父が時折飲んでいますので、でも、こんなにおいしくて、香りのよいお茶は初めてです」

 

「お父様は外国のご出身で?」

「いいえ、父は日本人です、母がイタリア人ですが、日本生まれ日本育ちでして」

「だから、そんなにおきれいなお顔立ちなのですね」

「そ、それほどでも。えへへ」

 

「そろそろ綾香お嬢様もお戻りになられますでしょう。

 私は夕餉の準備とさせていただきますね」

「はい。ありがとうございます」

 

 

「おまたせ。みるくちゃん」

「あ、なんか似てる服」

「今日のみるくちゃんとおんなじロベルト・カヴァリ・エンジェルズよ」

「うんうん、良く似合ってる。とってもかわいいよ」

「うふふ、嬉しい。ありがと」

 

「綾香お嬢様、お茶はいかがですか?」

「あとで良いわ、部屋へお願い」

「かしこまりました。

 うふふ、そうしているとまるで、双子のご姉妹みたいですね」

 

「そ、そうかしら」

綾香はそういって、少し顔を染めた。

 

「そうそう、今日はみるくさんにお絵かきを教えるの。

 ガーゼが無くなったから新しいのあるかしら」

「はい、まだ買い置きがございますよ、お部屋にお持ちしますね」

「ええ、おねがい。 さ、みるくちゃん、お部屋行きましょう」

 

みるくは、綾香の部屋に手を引かれて入った。

 

「お友達を招くのは初めてなの。

 ちょっと恥ずかしいわ」

「そんなことないよぉ、とってもきれい。

 あのカーテンとか可愛いなぁ」

 

窓にはフリルとプリーツをたっぷり取った、いかにも女の子らしい淡い色合いのカーテンだ。

 

「ホントは赤系にしようかと思ったんだけど、お母様から飾り窓みたいで下品だから、おやめなさいって、これになったの。

 そういえば飾り窓ってなにかしら」

 

「んーヨーロッパの娼館の客引き窓の事かな。

 カーテンが開いていれば客待ち、閉まっていれば接客中」

「しょうかん? 商売の?」

「ううん、女の人が男の人にお金でエッチさせるお店のことだよ。

 たしか、近くにあるランプが付いていれば営業中で、消えていればお休みだったかな」

 

「え、・・えっちなことって・・はう・・・」

「まあ、そういう意味だよね。

 私たちも、パーパとマーマのエッチで生まれることができたわけだし」

「く、くわしいのね」

 

「まあ、親の仕事柄? マーマ産婦人科医だし」

「赤ちゃんや女のひと専門でしたっけ。たしか」

「うん、そだよ」

 

「みるくちゃんも・・その・・詳しいの?」

「どうだろ、他の人の知識ってよくわからないけど、マーマには色々聞くとちゃんと教えてくれたけどね」

「いいなぁ・・・わ、わたし・・その・・とっても興味がありますの」

「エッチに?」

 

「きゃっ、そんなストレートに・・・」

綾香の顔は真っ赤だ。

 

「さ、お絵かき教えてくれるんでしょ? 綾香ちゃん。

 みるくも綾香ちゃんみたいに上手になりたいの」

「あ、そうね。そうだったわ」

 

それから、綾香がみるくに、クレパスを使った絵のかき方を教えていた。

 

「まあ、デッサンはちゃんと書けているから、後は質感やディティールの描き方よね」

 

「ああ!失敗しちゃったぁ」

「大丈夫、クレヨンは修正が効くの。

 慌てずに、ほらこうして治すの」

綾香はカッターでこそぎ落とし、さらに砂ケシで軽くこすった。

 

「水彩やアクリルだとアウトだけど、クレヨン、パステル、油絵は修正ができますのよ」

「ほんとだぁ、綾香ちゃんすごい!」

みるくにとっては、新しい知識はとても楽しい時間だった。

 

 

「お嬢様方、そろそろ夕餉のお時間ですが、先にご入浴なさいますか?」

ドアを開けずにこずえが声をかけてきた。

綾香は壁にかかっている時計を見た。

 

「先にお夕飯をいただきますわ」

「はい、では」

 

「そういえばお腹空いたね」

「ええ、おやつも頂きましたのに。

 あ、食べたらお風呂ご一緒しません?」

 

「え? ど・・・とうしようかな・・・は、はずかしいよぉ」

「お友達ですもの、いいでしょ? ねえ。」

「ふみゅう・・・あんまり見ちゃいやだよ」

「わ・・わかりましたわ!!」

少し困り顔のみるくとは対照的に、顔を紅潮させ、みるくの両手を握っていた。

 

「ほんとは恥ずかしいんだからね。

 ほら私ってオチンチンあるの知ってるよね。

 いわば男の子が女の子に見せるようなものだし、綾香ちゃんなら男の子からオマンチョ見せてって言われるようなもの・・・」

 

「な、なら。代わりに私のも見ていいから・・・ね、お願い!」

「えー、私だってオマンチョなら付いているよぉ」

「ね? おねがい! 大好きだから」

 

「な・・・ないしょだよ?」

「ええ!!」

「ぜっ、絶対にないしょだよ?」

「うんうん!!」

 

「はぁ~アーニャちゃん以外に見せるの初めてなのにぃ」

「ねえ・・・・アーニャちゃんて?」

「うん、おんなじフタナリちゃんだよ。

 私とは1年以上お友達の。

 今は他の保育園に行ってるけど、びっくりするくらい美人さんで綺麗な子だよ。

 光るような銀色に光る髪にエメラルドグリーンの瞳でぇ、透き通るような白い肌なの。

 ロシア系の娘だよ。まるで天使みたいな」

 

「わあ、素敵! お会いしてみたい!」

「うふふ、その内にね」

「今度紹介してくださらない?」

「いいけど、結構人見知りする子だから、向こうにも一度きいてからね?」

「ええ、判りましたわ」

 

この期待は裏切れそうにも無いな、とみるくは思った。

 

 

「さ、お嬢様方、お風呂の前に手をお洗い下さいね。

 お絵かきで汚れてますから」

 

こずえさんに言われ、洗面台で手を洗った。

 

「はい、爪ブラシ。

 クレヨン使うとどうしても爪の間に入っちゃうのよねぇ」

「あ、ありがと。そっかぁ、ブラシねぇ。

 お、確かにとれるわ、これ」

 

夕飯はこずえの言う通り、ハンバーグだった。

中は肉汁があふれるほどで柔らかく、外側は焦げずにカリッと焼けていた。

ちょっとしたレストランでも、出会えないようなものだ。

 

「わぁ、これおいしい!!

 こんなハンバーグ初めて!」

「ええ、こずえさんはとってもお料理が上手なの」

「今日は大田原牛の良い物が入りましたので、お嬢様方にはこちらの方がお好みかと」

 

よくある口の中で肉の粒が感じられることはなく、まさしく溶けていくという表現が近い。

 

「お代わりもありますから、遠慮せず召し上がってくださいね」

とは言っても、幼児の食べる量などたかが知れている。

 

「はふぁ、美味しかったです。

 ごちそうさまでした」

「わたしもごちそうさま。

 でも暫くぶりね。大田原牛」

 

「はい、本家で取り寄せるついででしたので。

 めったに手に入らない入賞牛とのことです。

 明日は、ちょっと贅沢ですが、明日はすき焼きにでもしましょうか」

「ええ、それがいいわ。

 お姉さまもいないし、ゆっくり食べられるわ」

 

「ほえ? お肉取られるとか?」

「いいえ、大好きなのネギが。

 で、私にお肉ばっかり回すのよ。

 お肉の出汁がしみ込んだ下仁田ネギは、私だって大好きなのにぃ」

 

「では、明日はネギ多めにしましょうか。良い椎茸も届いてますし」

「やったあ、こずえさん大好き」

みるくはふと、自分の家の食生活との差が大きんだなと思った。

 

「さて、お嬢様方、おなかが落ち着いたらご入浴ですよ」

みるくはこういう生活は、太らない事の自制が必要なのだと、デザートのレモンジェラードを食べながら思った。

 

 

 

 

 

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