湊友希那と今井リサのレズカップルがレイプされる話です。快楽堕ちはしません。

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リサゆきがひどい目に遭います。ご注意下さい!




湊友希那枯死。

 ひゅー、という甲高い音と共に上空に白い小さな閃光が飛び出した。

 それは一定の位置まで来ると消え、しかしその数秒後に、腹に響く轟音と共に鮮やかな円形の光が炸裂した。その途端観客たちからの歓喜の声が上がった。

 まさに『開花』だった。青色や赤色の光が四方に散り、やがてゆったりと消滅していった。

 この街の花火大会の、その始まりを宣言する最初の一輪にふさわしい、と湊友希那は思った。

「綺麗だね、友希那」

 横から聞こえてきた今井リサの声に、友希那は真っ黒な空を見たまま頷いた。

「でも、友希那はもーっと綺麗だよ」

「え……」

 友希那は思わずリサの方を見た。リサは空を見ていた。しかしその頬は赤に染まっていた。花火の光ではない、皮膚が高揚している確かな赤色だった。

「リサ……」

 友希那は自分に問いかけるようにリサの名前を呟いた。その瞬間胸の鼓動がより強く動くのを感じた。視界の中のリサのことがどうしようもなく愛らしく、今すぐその全てを飲み込みたい衝動が持ち上がって脳を焦がした。

 二発目の花火が空に上がった。空を進む甲高い音が鳴り、すぐに爆裂して視界の半分が色とりどりな閃光で埋まった。しかし友希那はリサから目を離すことができなかった。

「リサ!」

 友希那は叫びながらリサに駆け寄った。今度はリサを求めるような声色だった。

 二人は肩と肩とが触れ合うほどの距離になった。

「駄目だよ友希那……」リサがゆっくりと友希那を見た。「花火、見なくちゃ……」その目は潤んでいた。激しい感情の動きによって情緒が乱されているようだった。

「リサ! わ、私は――」

 友希那は言葉を発しようとした。本心をリサに伝えようとした。しかしその口は動かなかった。どうしてもあと一歩、勇気が出てこなかった。

 すると三発目の花火がドオンと音を立てて昇華した。熱い色どりの花火は、今の友希那の揺らめく感情をそのまま具現化しているような気がした。

「わかってる……。私も同じだから」

 リサはにっこりと笑った。その瞬間瞳から流れ落ちた一筋の涙が、頬を伝ってぽたりと落ちた。

「リサ……」

 連続で破裂する花火の前で、二人は見つめ合った。

 

 街の花火大会のことを最初に話題に出したのは、友希那の方だった。

 普段はこの手の祭りには関心が無い友希那だったが、偶然視聴したテレビ番組にて「この季節の花火大会は、好きな人に想いを伝えるのにうってつけだ」という説明を聞いて、躊躇していた誘いのメッセージをリサへ送信した。返信はすぐで、二人は一緒に花火大会に行くことになった。

 友希那はリサのことが好きだった。

 二人で感情をぶつけあい、音楽家として高みに向かう中で、友希那はいつしか幼馴染だったリサにそれ以上の感情を抱いていた。

 想いを伝えようとしたことは何度もあった。自分の精一杯の感情をいつものように、音楽のようにぶつければ、リサも相応に答えてくれると思っていた。しかし実際、リサを前にして言葉を出そうとしても、激しい感情の動きがそれを邪魔していた。覚悟を決めたはずだったが躊躇してしまっていた。それは自分の中にある邪悪な妄想からくるものだった。もし自分の想いを聞いたリサがそれを否定し、拒否してきたらどうしよう、という暗澹とした妄想が常に脳裡に蔓延り、言葉を出そうとした瞬間を狙って喉に絡みついて、言葉を喪失させていた。

 だからこの花火大会で、全ての想いを伝えようと思った。この花火大会の中で必ずリサに自分の想いを伝えるんだ、と意気込んでいた。

 花火大会当日、浴衣に身を包んだリサは美しかった。頭の天辺からつま先まで、全てが煌びやかで、今まで見てきた全ての美しいものを軽々と超越していた。そんなリサの隣に自分が立つこと自体が、なんだか恐れ多く、緊張するな、と友希那は思った。

 花火が始まるまでの時間、二人は屋台を楽しんだ。祭りというもの自体が初心者だった友希那は、最初こそ勝手がわからず戸惑ったが、リサの温かい手ほどきによってすぐに理解し、楽しむことができた。くじでは当たりを引き、射的では屋台の無料券を獲得した。

「よかったね! 友希那!」

「え、ええ。こんなに上手く行くとは思わなかったわ」

 二人は笑い合った。心の底から出た笑みだった。リサの愛くるしい笑みを見た瞬間、友希那は心臓の辺りで燃え盛る衝動を感じた。それは全身に伝播し、脳をぼうっと蒸らした。いつも可愛いリサのことが、今日に限ってさらに可愛く見えていた。

 やがて花火の時間がやってきた。大勢の人たちが立ち止まり、濃厚な闇一色になっている夜空を眺めていた。ここに居る全員が、花火を今か今かと待ちわびているのだと考えると、友希那はなんだか不思議な気持ちになった。それはライブでの一体感と似ていた。全ての人間が一つのものに集中し、期待を込めて見つめていた。

 

 結局、友希那は花火の中でリサに告げることができなかった。やはり緊張と悪い妄想が邪魔をし、言葉を失速させていた。

 少しの焦りがあったが、しかし諦めてはいなかった。まだ時間はある、と思っていた。これから帰宅に入るまでの時間で、ひと気の無い場所で打ち明ければそれで良いと思っていた。

「花火、綺麗だったね」

 横に立つリサが友希那を見た。その声は少しだけ寂しげだった。

 友希那はその顔を見つめた。

「……予想以上だったわ。とっても、良かった」

「だよねだよね! どの花火も綺麗だったなー!」リサは再び微笑んだ。「それにしても、最初、友希那から花火大会に誘われた時は、びっくりしちゃったなー」

「……我ながら、らしくないことをしたとは思ってるわ」

「でもさ、それでこんなに楽しめたんだから、よかったよ。今日はありがとね」

「こちらこそ。……あのねリサ、私、言いたいことが――」

 友希那はそこで言い淀んだ。しかし今度のは緊張から来るものではなかった。腹の底の辺りからこみ上げてくる違和感によるものだった。

「……友希那? どうしたの?」

「ごめんなさい。ちょっと、お手洗いに……」

 友希那は下を向いた。間の悪い自分の膀胱が心底憎かった。

「あっ、ああ! わかった! 場所、わかる? 一緒に行こうか?」

「いや、大丈夫。ここで待ってて」

「わかった、待ってるから」リサは友希那の顔を注視した。「……すっきりしたら、言いたいこと、全部聞かせて?」

 リサの笑みを受けて、友希那は早足にトイレに急いだ。

 

 人込みの中に消えていく友希那の浴衣を背中を、リサは見えなくなるまで見つめていた。

 友希那が何を言いかけたのか、だいたいのことは予想できていた。

 友希那が自分に友人以上の感情を抱いていることは、数か月前から察していた。しかしリサは自分から言い出すことはしなかった。リサは待っていた。友希那からの『愛の告白』を心待ちにしていた。もしそれが実現したらその全てを肯定し、さらに自分の気持ちを打ち明けようと思っていた。

(待ってるからね……、友希那)

 暇潰しに夜空を見つめた。空はさきほどの豪華な花火が嘘のように静まり返っていた。ありとあらゆる光を吸収し、無へと還すような有無を言わせない迫力があった。

「あのお……。ちょっとすみません」

 それは後方から聞こえてきた声だった。

 リサは「は、はいっ」と叫びながら振り返った。

 そこには男が立っていた。

 上半身は白のランニングシャツで、下半身はカーキ色の短パンだった。腹がぽっこりと肥えており、四肢は丸太のように太かった。頭部に頭髪は無く、脂汗が膜のように張っておりてかっていた。

「な、なんですか……?」

 リサは慎重な声で訪ねた。詳細不明の男に露骨に戸惑っていた。

「君、今井リサさんだよね? 向こうで、氷川紗夜さんが倒れてて……」

「え、紗夜が……?」

 リサは絶句した。この花火大会に紗夜が来ていることがまず驚きだったが、その紗夜が緊急事態に陥っているという事実がさらに強い驚愕として脳を襲っていた。

「うんうん。ちょっと熱中症気味でさ、たまたま同じバンドの君を見つけたから、とりあえず声をかけたんだけど……。一旦こっち、来てくれない?」

「い、行きますっ! 案内してくださいっ!」

 リサは激しく男に詰め寄った。友人を想ったが故の迫力だった。その思考は熱に浮かされ冷静ではなかったが、今のリサにそれを客観視するほどの余裕は無かった。とにかく紗夜のことが心配だった。

「うんうん。それじゃあ行こうか」

 男は迫真のリサの顔に、にゅっと歯列をむき出しにした笑みを向けて歩き出した。

 

 トイレから帰って来るとリサが居なかった。友希那は立ち止まって思考した。リサが一人で勝手にどこかに行くとは思えなかった。とすれば何か、緊急の事態が発生し、そのために単独行動をしたのだと推測した。友希那はスマートフォンを見た。メッセージの類は入っていなかった。友希那はスマートフォンを操作し、「どこにいるの?」とだけ送信した。

 スマートフォンを戻した友希那は歩き出した。リサを探そうと思っていた。

 まず二人で花火を見た広場を探した。しかし居なかった。次に歩いてきた屋台の道を探した。しかしそこにも居なかった。友希那はスマートフォンを再度見た。しかしメッセージの返信は無く、自分が送ったメッセージが既読にもなっていなかった。

 ここまでくると流石に不安になった。最愛のリサがどこかに行ってしまったことによる焦燥感は強烈だった。心臓がありえないほど激しく脈を打ち、視界がぐらぐらと揺れていた。もはや活気のある場所ではなく、ひと気の無い森林地帯に居るのではないかと思った。森は夜空とは違う不気味な暗さがあり、入るのは躊躇われた。しかしリサのためにそんなことを言っている場合ではないとも思っていた。友希那は勇気を振り絞った。全てはリサのためだ、と自分自身に言い聞かせ、真っ暗な森に一歩を踏み出した。

 数歩進むと辺りが闇に包まれた。人々の騒がしい声や、温かい提灯の明かりなどがとてつもなく遠い場所にあるように錯覚した。友希那はそれらの活気を背に進んだ。目的はリサだけだった。リサを発見し、すぐにこの闇の中から連れ戻し、そして全ての感情を打ち明けるのだ、と思っていた。

 右から甲高い『声』がした。その微細な声を、友希那の冴えわたる耳はしっかりと感知した。友希那は声の方を見た。右側だった。友希那はその方向に進んだ。断続的に聞こえてくる声がはっきりとした『言葉』になった。その言葉を聞いた友希那は目を見開いた。言葉は確かに「ゆきな、たすけて……」と言っていた。そしてその声は明らかにリサのものだった。友希那は走った。詳細は不明だったがリサが危機的状況に陥っているようだった。友希那はすぐにリサを喪失する想像が脳裡に駆け巡るのを感じた。それだけは嫌だった。何が何でも嫌だった。だから走った。声の発生源だけを頼りに疾走した。

 森が開け、ちょっとした広場のようになっている場所に出た。

「え……」

 その中心の『光景』を見た友希那は、全身の筋肉が弛緩し、背筋の辺りがすうっと冷たくなってくのを感じた。

 リサと男がまぐわっていた。

 下半身全裸の男が、浴衣をはだけさせたリサに覆いかぶさり、必死に腰を振っていた。リサの顔面を左右から掴み、その唇に自分の顔面を落としていた。腰の動きは激しく、リサの身体をえぐるような勢いだった。

「リ、リサ……!」

 友希那は一歩出た。するとリサから顔を上げた男が友希那を見た。そしてにやりと笑った。

「お、ゆ、友希那ちゃんだっ……」

 男はリサの方を見て訊ねた。

「友希那っ……、逃げてっ」

 リサは友希那の方を見つめて叫んだ。しかしその声は掠れており、体力が消耗していることがわかった。

「おおっ! なんだか締まりが良くなったなっ!」男がリサの方を見つめて叫んだ。「よし、このままオジサンの精液中出しするから、友希那ちゃんもしっかり見ときなよおっ!」

 男が続けて叫ぶとその瞬間一気に腰の動きが速まった。肌と肌が触れ合い、弾ける音が森林の中に鳴り響いた。友希那には男が具体的に何をやっているのかがわからなかった。しかしそれでも、リサの大切な何かを脅かし、尊厳を崩壊させていることだけは簡単に理解できた。すると男がリサに腰を擦り付けた。その瞬間リサが目を見開いて身体をのけ反らせた。

「う、うそっ……」

 リサの瞳から涙が流れた。

 愛する人が悲しみに打ちひしがれている姿はとても痛ましく、それを目撃した友希那は、それだけで情緒がおかしくなりそうだった。

 男がリサから立ち上がった。友希那はそこで初めて、リサの性器に男の性器が差し込まれていたことを理解した。男の性器はぐったりとしており、全体がぬめめっていた。

 リサは力無くくたびれていた。その目からは完全に光が失われていた。両足が左右に大きく開かれており、股間の性器からは白濁の精液が垂れて浴衣に付着していた。

「さてと! それじゃあ次は友希那ちゃんを食べちゃおっかなぁー!」

 下半身丸出しの男が友希那に迫った。友希那は逃げようと思った。しかし足は動かなかった。リサをこの場に放置して去ることなどできなかった。今の友希那にできるのは、迫り来る男のことを力の限り睨みつけることだけだった。しかしそれでも男は迫って来ていた。友希那に睨まれているというのに、その足は止まらなかった。友希那に睨まれるのが嬉しいと言わんばかりだった。獲物を追い詰めた狩人のように、慎重だが余裕のある足取りだった。

「うお……。近くで見るとめっちゃ可愛いね……。浴衣も似合ってる……。えへへ、こんなところで上質なリサゆきにありつけるなんて、花火大会って最高だなっ。バンド、追ってて良かったぁ」

「あなた、リサに何をしたの」

 友希那は棘のある声で尋問した。

「いやいや、なかなかの名器だったよ。髪からは良い匂いがしたし……」

 男はにやりと笑った。唾液にまみれたぬるぬるの黄ばんだ歯列が現れた。

「ゆきなあっ! だめだよっ……。その人から逃げてっ!」

 男の後方でリサが上体を起こしていた。

「良いのかなぁリサちゃん。さっきの『写真撮影』のこと、覚えてるよね?」

 男がリサの方を見て呟いた。

「友希那……、私のことは良いからっ、逃げて……」

「……もう一度聞くわ。あなた、リサに何をしたのっ?」

 友希那は再び叫んだ。しかし男はにやけるだけで答えなかった。そのまま友希那に迫り一気に抱き着いた。男の太い腕が友希那の背中に回った。

「ちょっと! やめなさいっ!」

 友希那は反射的に男の腕から逃れようとした。しかし男の強い腕力を退けることはできなかった。男が友希那の胸元に顔を埋めた。そして高速で鼻呼吸をした。

「ああっ! 友希那ちゃんからも良い匂いがするっ!」男が友希那の顔を見つめながら叫んだ。「こっちの方が好みかもしれんんっ!」

「き、気持ち悪いっ! やめてっ!」

 友希那は叫びながら男から逃れようとした。しかしやはり男の腕力は強烈だった。びくともしなかった。やがて男が友希那の顔を左右から掴んだ。がっちりと挟まれて身動きが取れなかった。

「友希那ちゃんともキスするーっ!」

 男の絞られた唇が迫ってきていた。友希那は顔を背けようとした。しかし男によって阻止された。やがて二人の唇が合わさった。その瞬間友希那は声にならない絶叫をした。友希那の唇はリサにだけ許された宝物のはずだった。それが名前も知らない男に身勝手に貪られていた。友希那はこの唐突に現れた理不尽に叫ぶことしかできなかった。

 男の不潔な感触の唇は、友希那の唇の上で自由に蠢いていた。男の口は友希那の肉厚な唇を、その柔らかさを確かめるように大胆に食んだ。すぐに舌が現れた。舌は力強く唇を押し退け、友希那の口内に侵入していった。友希那はそこでまた叫んだ。口内に汚物入り込んでいるという事実がどうしようもなく嫌だった。

 口内や舌も唇同様に、リサにだけ許された純潔のはずだった。それが男によって蹂躙されていた。脳裡にはこの後控えていた愛の告白の後の、情熱的なキスが過っていた。それは何よりも甘美な感触だったが、実際に今口に触れている男の感触が全てを汚し、恥辱の限りを尽くしていた。舌と舌が触れ合う度に、友希那は全身に鋭い悪寒が走るのを感じた。男の舌がどうしようもなく不快だった。しかしその舌は中々友希那の中から剥がれてくれなかった。友希那の口内を極楽だと判断したらしい舌はいつまでも、我が物顔で居座った。口の奥で回転し、唾液と唾液が絡み合っていた。

 やがて男の舌がようやく離れた。しかし友希那の中に残った不快感は少しも消えなかった。口内に在住する男の唾液がそうさせていた。二人の口の間にはいくつもの唾液の糸が引いており、接吻の情熱さ加減をそのまま表していた。

「ふふふ。やっぱり類は友を呼ぶなのかな……。友希那ちゃんの口がいやらしすぎて、オジサンのここ、もうこんなに大きくなっちゃったよ……」

 男が下を向いた。股間の陰茎はいつの間にか巨大化し、友希那の浴衣に触れている先端が上を向いてびくびくと蠢いていた。

「友希那ちゃんのせいなんだからね……? ちゃんと責任持って、気持ち良くしてね?」

「なによそれっ……。意味がわからないっ……」

「良いの? リサちゃんの裸とか、たくさん撮ったけど? ネットにばらまけば、もうリサちゃんの人生、終わっちゃうよ?」

「……卑怯者っ」

 友希那は男を睨んだ。性的なものに疎い友希那でも、裸の写真をインターネットに拡散する驚異は理解できていた。それだけは駄目だった。それが実行されれば、リサの全てが終了してしまうはずだった。

「ほらほらどうする? リサちゃんのために、頑張ってみる? ゆ、き、な、ちゃんっ」

 男がにやけて友希那を覗いた。友希那は必死に逡巡した。このまま一人で逃げれば、自分は助かるかもしれなかったがリサが確実に驚異に晒されるはずだった。だから逃げることは絶対にしたくなかった。また、『リサのため』と思えば何とか腹をくくることができていた。友希那は男を睨んだ。暗闇の中で黄金色の瞳が輝いていた。

「何をすれば良いのよ……?」

「じゃあまず浴衣を脱いで、そこに木に両手ついてから、こっちに尻を突き出してくれる?」

 男は早口でまくしたてた。

 友希那は渋々浴衣を脱ごうとした。しかしその指はすぐに静止した。リサのためだと覚悟を決めたにもかかわらず、脳裡には全身の筋肉を停止させるほどの強大な怯えがあった。この男に身体を差し出すことへの躊躇がまだあった。友希那は男の向こう側に居るリサを見た。リサは涙で潤んでいる両目で事の成り行きを見守っていた。その目とすぐに合った。するとその瞬間友希那の中に燃え盛る熱い感情が流れた。すると静止した指が浴衣にかかった。身体が動き出していた。リサのためだと思い直すことで、最後のひと押しが果たされていた。

 友希那は慣れた手つきで浴衣を脱いだ。この日の、リサのために学んだ着付けの方法の知識のおかげで素早く脱ぎ捨てることができた。友希那は下着姿になった。この日の下着は黒だった。

「おおっ! 友希那ちゃんは黒かー! リサちゃんは青色だったからなぁ……」

 男が歓喜の声を出し、次いで「じゃあそれも脱いでね」と提示した。

 友希那は下着に手をかけた。今度は躊躇の静止は無かった。一度決心すると羞恥心が薄らいでいた。脳裡では(リサのためリサのためリサのためリサのため)と何度も呟き、男のことを睨みながら脱衣した。

 やがて友希那は下着も脱ぎ捨てた。限りなく壁に近い乳房と、ちょこんとした毛が生えた膣が丸見えになった。友希那の性器を見た男の陰茎はさらに大きくなっていた。先端からは透明なカウパー汁が細く垂れ、地面に落ちていた。

「そ、それじゃあそっちに手をついてね……」

 男が震える声で友希那に命じた。興奮の極みのため上擦っているようだった。友希那は素早くそれに従った。木に両手を押し付けると後ろを向き、男のことを見ながら尻を突き出した。

「いいねっ!」

 男が叫びながら友希那の尻を右手で揉んだ。男の分厚い皮膚の五指が尻の肉に沈んだ。男は左手で陰茎の根本を掴み、その先端を友希那の膣口に当てた。その瞬間ツンと駆け抜ける熱が友希那に触れた。それは男の陰茎から伝わって来る熱だった。友希那はそこで全てを理解した。これからこの陰茎が自分の膣に侵入していくことを理解した。その瞬間どこからともなく寒気が持ち上がってきた。それは得体の知れない不気味な物体に対する危険信号だった。吐き気のような違和感で、脳が震える感触だった。

「それじゃあさっそくっ、友希那ちゃんまんこ、いただきまーっす!」

 男が叫ぶと一気に腰を突き入れた。

「いぎいっ!」

 陰茎は友希那の膣口の膜を裂き未発達の中に侵入していった。それは激痛を伴う感覚だった。友希那は自分の身体に現れたとてつもない痛みに悲鳴を上げていた。

「い、痛いっ!」

「そりゃそうでしょ。友希那ちゃん処女なんだから」

 叫んだところで痛みが引くわけではなかった。股間の中には男の陰茎がねじ込まれ、膣が強引に押し広げられていた。自分の大切な部位に初めて触れる他人がリサではなくこの男であるということが、なによりも辛い現実として脳裡にのしかかっていたが、痛み同様にどうすることもできず、ただ精神的な苦痛として繁栄していくだけだった。

「おおっ! 友希那まんこっ! ゆきなまんこだあっ!」

 友希那の膣は陰茎によって虐げられ、身勝手に遊ばれていた。男は笑みを浮かべながら腰を突き動かした。その瞬間中で蠢く陰茎によって友希那はさらに強い痛みを味わった。股間が裂け、脳の思考が崩壊するのではないかと危惧されるほどの痛みだった。今すぐやめてほしかった。しかしやめてと叫べばリサの写真がばらまかれるはずだった。男はその友希那の思考を弄ぶように激しく腰を振るった。完全に自分が優勢であることを理解しており、それ故の激しい腰遣いだった。男の腰と友希那の腰がぶつかり、乾いた音が夜の森の中に鳴っていた。

(なんでっ……、こんな目にっ……)

 友希那は涙していた。リサのためだと意気込んで男の玩具になると決意したのは良かったが、その先に待っていたのがこんなにも痛みにまみれたものだったと知って正直後悔していた。こんなにも強烈な痛みを味わうくらいなら、最初からこの花火大会に参加するなどという愚行を犯さなければよかったと思った。あの日、震える意思をなんとか固めてリサにメッセージを送信した自分を殴り殺したいと思った。

(早く終わってえっ……!)

 とにかくリサのためだと気を強く持ち、ひたすら我慢していた。

「こりゃすごいっ! リサまんこより極楽だっ!」

 男がさらに激しく腰を振った。中で膣のひだが陰茎を擦っているようだった。次第に友希那は奥歯を噛みしめるようになった。この拷問のような行為がさっさと終わってほしいとだけ願って耐えた。脳裡の中のリサの笑顔だけが心の支えだったが、そのリサに顔向けできないような汚れた人間になってしまった自分がどうしようもなく嫌だった。

「ああ駄目だっ! ゆ、友希那の中が良すぎてっ! もうイっちまうっ!」

 男がさらに腰を速めた。何かが来るようだったが友希那にはその何かがわからなかった。

「な、何よっ! いくってなにっ」

 友希那はわからなかった。しかし男の興奮の具合から、とてつもなく強大で、さらに自分にとって取り返しのつかない何かであることが察せられた。具体的なところは何一つわからなかったが、それが到達すれば自分は完全に汚れ、もう前の自分には戻れなくなるような気がしていた。それほどの驚異を男の恍惚とした声色と、『ナカ』で感じられる陰茎の硬さで実感した。脈拍が一気に上がり、全ての細胞が震えていた。

「うううううっ!」

 すると男が呻き、腰をぴったりと友希那に合わせた。それと同時に膣の中の陰茎がびくびくと震え、その先端からぬるい何かが迸った。それは友希那の腹の下の辺りに広がり、ねっとりと絡みついて沈んでいった。友希那の子宮は男の精液を飲み込んでいた。リサだけを愛している友希那の体内に、男という完全な汚物の遺伝子が混入している瞬間だった。

「ふぅっ……。いやあっ、最高だった……」

 男が呟きながら友希那から陰茎を抜いた。友希那はそのまま地面に崩れるように倒れた。男との行為によって下半身の筋肉がくたびれていた。下半身のねっとりとした感触は消えてくれなかった。良くないものを注入されたことによる決定的な汚れの瞬間と感触が、いつまで経っても身体に刻まれていた。

「ほら友希那ちゃん。ぼさっとしてないで、舐めてよ」

「い、嫌よそんなもの……」

 友希那は男の方を見ずに呟いた。男の性器など不潔極まりなく、舐めるなど言語道断だった。

「写真……」

 男が思い出したように呟いた。

「……わかったわよ」

 友希那は動かない足を動かして男に向いた。ちょうど顔の位置に陰茎があった。それはすっかり萎んでおり、全体が粘液でてかっていた。

(うっ……)

 臭かった。男の陰茎からは刺激臭が漂い、それは友希那の鼻孔に突き刺さって脳を震わせた。こんなにも激臭がするものがリサや自分の中に入っていたということが信じられなかった。

「あ、そうだ……」男がリサの方を見た。「リサちゃんもさ、そろそろ体力回復したでしょ? だから、二人で舐めてよ」

 友希那もリサの方を見た。

 地面の上でくたくたになっているリサは、両目にいっぱいの涙を浮かべながら、男と友希那のことを見つめていた。

 

 直立する男の股間の陰茎の先端を、友希那は伸ばした舌先で舐めた。精液で湿っている陰茎は、舌に絡みつく不快な味だった。舌で感じるだけで吐き気が発生し、身体が鳥肌で激しく震えた。しかしそれでも友希那は陰茎を舐めた。ちろちろと先端の丸っこい亀頭に舌を押し付け、磨くように、付着している精液を舐め取っていった。

 友希那は陰茎を舐めながら、右隣りのリサを見た。リサは自分と同様に男の陰茎を舐めていた。水を飲む犬の舌遣いのように激しく、びちゃびちゃと音を立てながら執拗に舐めていた。リサがここまで必死になるのには訳があった。それは、二人で男の陰茎の『掃除』を始めた時、男が言った「より気持ち良くできた方にもう一度中出しセックスをするよー」というルールが故だった。リサはなるべく激しく、つまり気持ち良くなるように陰茎を舐め、友希那に二度目のセックスをさせないように努めていた。しかしその気持ちは友希那も同じだった。あの屈辱と苦痛にまみれた、セックスという行為をもう一度リサに味わってほしくはなかった。だから友希那も必死に陰茎を舐めた。まるで自分の唾液と舌の感触をマーキングするような具合で舐めた。舌のぬるついた柔らかい感触を押し込み、男の陰茎の形を探るように舐めた。

「いいぞぉ、二人ともっ……。それじゃあそろそろ、一人ずつしゃぶってもらおうか」

「そ、それなら私がっ――」

 リサが素早く叫んだ。

「いいや。まずは友希那ちゃんからだっ!」

 男が友希那の方を見下ろしながら呟いた。

「友希那……」

 リサが友希那の方を見た。その目は心配の一色に染まり、唇を強く噤んでいた。

「大丈夫よ、リサ。私なら、できる」

 友希那はリサの方を見て優しく説いた。しかしその声は露骨に震えていた。

「そうだよね。友希那ちゃんなら上手くできるよね。それじゃあさっさとやってもらおうか!」

 友希那は男の陰茎の根本部分を右手でぎゅっと掴んだ。陰茎の感触はぶよついており、しかしよく握ると硬いという不思議な感触だった。友希那は陰茎の丸っこい先端部分を一気に口に含んだ。陰茎の痺れる味が口いっぱいに広がった。唇で包み込むようにすると一気に顔を前後に動かした。口内の肉が陰茎をしごき上げ、すぐに先端から謎の粘液が飛び出した。それは今までの粘液とはまた違った不味さで、その香ばしい汚臭は鼻孔に上がって脳をくらつかせた。

「おおっ! 良いねぇっ。それじゃあリサちゃんは暇だろうから、オジサンとお話しよっか!」

「は、話……?」

 リサは怪訝な顔で男を見上げた。

「うんうん。……さっそく突っ込んだ話するけどさ、二人って、やっぱり付き合ってるの?」

「そ、それは……」

 リサは言い淀んだ。それを横で聞いていた友希那は陰茎から顔を上げた。

「わ、私たちは――」

「友希那ちゃんはフェラしてよっ!」

 男が怒鳴った。友希那はその大声に両肩をびくつかせると、無言で陰茎を再びしゃぶった。今度は先端だけではなく竿の部分まで咥えた。丸っこい先端が喉にまで達し、窮屈な苦痛が襲った。友希那は顔を素早く前後させた。じゅぽっ、じゅぽっ、という水けのある音が鳴った。

「で? どうなのリサちゃん。友希那ちゃんのこと、好き?」

「……好きだよ。友達としてじゃなくて、女の子として」

「そっかそっかっ! そりゃ良いね。で、友希那ちゃんはどうなの?」男は友希那のことを見下ろした。「リサちゃんのこと、好き?」

 友希那は陰茎から顔を上げて答えようとした。しかしその瞬間、男が友希那の後頭部を掴んで一気に引き寄せた。その瞬間リサのために、今日のためにセットした複雑な髪型が一気にぐしゃりと崩れた。口の中では陰茎が喉奥まで達し、濃い味が広がった。

「好きならさ、そのまま先っちょ舐めてみてよ。嫌いならいいけど」

 友希那は躊躇わずに陰茎の先端を高速で舐め上げた。リサに対する思いで嘘はつきたくなかった。

「おおっ! そっかそっか! そんなに激しく舐めちゃうってことは、それだけ好きなんだ……」男はリサの方を見た。「リサちゃんっ……、これ凄いよ。友希那ちゃんって、リサちゃんこと相当好きだよ……」

 男は呻くように呟いた。友希那の舌の攻めが予想以上で、強烈な快楽に声をひねり出していた。

「友希那っ……」

 リサが男の腰に顔をうずめている友希那を見た。友希那も目を動かしてリサを見た。二人の目は合わさった。リサの目には燦然と輝く光があった。しかしそれは激しく震えていた。自分たちが相思相愛であることを知って喜んでいるが、今の状況から素直に喜ぶことができないようだった。

 すると男が友希那の顔を離した。友希那はすぐに陰茎から顔を上げた。途端にげほげほと咳きこんだ。長い窮屈な感覚に喉が限界だった。垂れていく幾筋の唾液が地面に達して濡らしていた。

「うんうん。友希那ちゃんの口は、やっぱりボーカリストやってるだけあって良かったんだけどね、でもテクニックが無いよね。……リサちゃん、わかるよね?」

 男がにやつくとリサは自分から動いた。男の腰の両側にそれぞれ手を置き、陰茎を一気に奥まで咥え込んだ。リサはそれだけで終わらなかった。口内の空気を吸引し、頬の肉を陰茎の竿に吸着させた。すると両頬がべこっとへこんだ。その、まさに『ひょっとこ』な顔を友希那は目撃した。美しかったリサの顔が不気味にへこみ、男の竿を気持ち良くさせるためだけの『玩具』になっていた。

 リサはそのまま顔を動かした。口内ではぴったりと貼り付く肉が竿を一気にしごき上げ、さらに唾液の熱が陰茎そのものを包んでいた。まさに陰茎の存在と驚異を肯定し、賛美している行為だった。

「おほっ! リサちゃん積極的だねっ! 彼女ちゃんの前なのにっ! これじゃあ友希那ちゃんが嫉妬しちゃうよおっ!」

 男はリサの顔を見つめていた。リサの顔は憎しみで溢れていた。口では男の陰茎を尊重した『ご奉仕』をしていたが、顔では男に対する憎悪で溢れていた。男の存在から気配までの全てを憎み、嫌悪している顔つきだった。男の顔を睨みつけ、鬼のような血相で陰茎をしゃぶっていた。

「リ、リサちゃんっ……、そんな目で睨まないでよぉ……、オジサン照れちゃうっ」

 すると男が腰のリサの手を持ち上げた。そして五指と五指を絡めて握った。リサはそれでも男を睨みながら顔を動かし続けた。何が何でも友希那より気持ち良くし、自分が二度目のセックスを受けるつもりのようだった。それを横で見ていた友希那は、そのリサの、自分のことだけを考えている行動に心が震えていた。本気で自分の尊厳を守ろうとしていることが、その必死の顔振りでわかった。

「ああっ! もう駄目っ。イくっ!」

 男が叫ぶと、リサは自分から顔の速度を上げた。男に最高に気持ち良い絶頂を迎えてもらおうとしているようだった。男は腰をリサに突き出した。リサがさらに激しく頭を振るった。男の五指に絡みついている指をぎゅっと握りしめた。その目は男の双眼に向かい、力強く睨んでいた。

「うううっ! イ、イくっ! リサの口まんこでイくっ!」

 男が叫んだ。同時にリサがその顔の動きを止めた。口内では陰茎から精液が迸っていた。リサはゆっくりと顔を上下させた。男の射精をなるべく速やかに遂行させるため、射精を促す行為を続けていた。

 男の射精は長かった。何度も陰茎がびくりと震え、リサの口と喉に精液を流していた。リサはその全てを飲み込んだ。本来であれば友希那とのキスのための口で、名前も知らない男の汚らしい精液を飲んでいた。

 やがて男が腰を離した。リサは最後まで気を抜かなかった。抜けていく陰茎を丁寧に舌先で舐め、口からいなくなるその瞬間まで男に極楽を提供した。友希那のために練習した舌技がこんなところで役に立っていた。

「ふぅっ……。いやぁっ! リサちゃんフェラ上手いね! バンドなんかよりも風俗とかの方がやってけるんじゃない?」

 男がにやけながら微笑んだ。

「……それで、勝負の方はどうなったの?」

 リサが慎重に訊ねた。その顔には自信があった。自分の方が上手く立ち回れたため、最愛の友希那にこれ以上の苦痛を与えることを回避できたと確信している顔だった。それを見た友希那は申し訳なさがあった。これで愛するリサがさらに男に汚されると思うとやはり男に憎しみを感じた。

「でもねぇっ、オジサン、喉の肉感が好きなんだよねぇ……」男は友希那を見つめた。「だから友希那ちゃんが勝ちってことにしようか」

「そ、そんなっ……」

 リサは言葉を失った。激しい動揺が友希那にも伝播した。脳裡では二つの感情が混ざり合っていた。自分がまた犯されるという緊張と、これでリサが苦痛に晒されないという安堵感が同時に押し寄せて脳が破裂してしまいそうだった。

「それじゃあ友希那ちゃん、ヤろっか!」

 男がにやりと笑った。ぬるついた黄ばんだ歯列がむき出しになり、その目には野生児のようなぎらついた光があった。

 

「おら、いくぞっ……」

 全裸で地面に横たわる友希那に覆いかぶさった男はそのまま股間の陰茎を友希那に挿入した。その瞬間あの、灼熱の痛みが股から流れて脳を震わせた。友希那は歯を食いしばって耐えた。しかし男の、より強く勃起した陰茎の硬い存在感は友希那の、守ろうとしていた情緒を崩壊させた。男が腰を突き上げると友希那は悲鳴を上げた。膣を刺し貫いている陰茎の感触がどうしようもなく不快で、どうしようもなく痛かった。

 男が連続で腰を振るった。友希那は突き上げてくる激痛の中で必死に、横で見ているリサの顔を見つめた。リサの顔を見ていれば、思考の中にリサのためだという信念が湧き上がり、なんとか耐えることができるような気がした。脳裡で再び(リサのためリサのためリサのため)と連呼し、この地獄の行為がさっさと過ぎ去るのを待った。

「友希那っ! キスだっ!」

「はぁっ? キ、キス?」

 友希那の返答を待たずに男は口を友希那に落とした。二人は乱暴な接吻をした。友希那の口内で男の舌と唇を感じた。それは汚辱的な感覚だった。友希那は横のリサの視線を感じた。その瞬間とてつもない羞恥心が襲った。どうして自分の接吻はリサではなくこの男なのか、という思考が脳に流れた。男の舌は友希那の口内を探るように這いずり回った。唾液を感じる度に細胞が死滅し、リサが好きだという信念が浸食されていくような感覚があった。人として、リサの隣に立つ恋人としての資格が喪失していくような感覚だった。

「ぷはっ! やっぱ僕の恋人は友希那だっ! もう友希那じゃないと駄目なんだっ!」

 男は友希那の顔を見つめながら唐突に告白した。しかし友希那は当然拒絶した。友希那の中にあるのはリサへの想いだけであり、そこに男が介入する隙間など一ミリも無いはずだった。しかし実際、今自分の全裸や口や膣を許し、ゼロ距離で重なっているのはこの男だった。友希那はそれが許せなかった。この神聖な行為とは全てリサとするはずの行為であり、男が手垢だらけの素手で全てを蹂躙していることが耐えられなかった。

「友希那っ。お前も好きって言えっ……」

「嫌に決まってるじゃないっ! 何考えてるのよっ」

「ならこうしてやる。好きって言ったら中には出さない。リサちゃんにも手を出さない。これでどうだっ」

「そんなのっ……」友希那は躊躇した。男が言うことをしっかりと守るとは思えなかった。しかし、そこに少しでも『中出し回避』の可能性があれば飛びつくべきだと思っていた。自分が一度この男に愛の告白をすれば、本当に愛しているリサに魔の手が迫ることがなくなると思うと口が動いた。

「……す、好きよ」

「ああっ? 何だって?」

「好きよ! あなたのことが、大好きっ!」

 それは、本来ならリサに向けるべき愛の言葉だった。それがなぜか、二人の間に身勝手に介入し、縦横無尽に食い散らかす暴君の男に囁かれていた。

「そっかそっか! 友希那ちゃんはオジサンのこと好きかっ!」男がひときわ強く腰を友希那に突き出した。「オジサンも好きだぞおっ!」その瞬間さらに奥に陰茎が入り込み、友希那は「んんおっ!」と野太い声を上げた。男がさらに強く腰を突き出した。友希那が続けて「おおっ! おおおっ!」と叫んだ。それは絶対にリサに聞かれたくなかった呻き声だった。しかし男の陰茎によってその声が引き出されており、友希那は太刀打ちできずにその声を吐き出していた。

「うおおおっ! ちんこ上がって来たあっ! イくぞおっ……。友希那の極楽まんこに中出しするぞおっ……」

 男が友希那の耳元で叫んだ。それは先ほどのぬるついたあの感触を再び味わうということだった。友希那はぎゅっと目を瞑った。もうここまで来ればあとは耐えることしかできなかった。男の身勝手な行為にただ耐え忍ぶことしかできない自分の無力さが心底憎かった。

「イくっ! イくイくイくっ……」

 男が叫びながら友希那に腰を合わせた。同時に最奥地まで届いた陰茎の先端から精液が飛び散った。それはすぐに友希那の子宮に達し、満たした。友希那は下半身のぬるついた烙印を感じながらゆっくりと目を開けた。そして横のリサを見た。リサは男とまぐわう友希那をじっと見ていた。

「み、ないで……」

 友希那は呟いた。こんな屈辱的な姿を見られたくはなかった。しかしその瞬間、中の陰茎がさらにびくりと跳ねて精液が発射された。まるで意識の全てを陰茎に集中させろと言われているような感覚だった。すぐに子宮に達した精液は友希那の身体に溶け込んで一体化するように無くなった。子宮にとってはそれが無理やりな、酸鼻を極めた強姦であったとしても関係なく、ただ受精という一つの目的のために男の精液を受け入れていた。友希那はそれが許せなかった。自分の子宮はこんなにも強引な行為のために存在しているのではないはずだった。自分の身体はその全てがリサのためにあるはずだった。しかし現実として、自分はこの醜い男に好き勝手に犯され、大切な膣と子宮を汚されていた。それは何よりも強い悔しさとして脳裡にこびり付いていた。拭っても拭いきれない憎しみであり、この後訪れるはずだったリサとの温もりに溢れた愛撫の幻想が音を立てて崩れていた。

「リサ……」

 友希那はリサに手を伸ばした。リサはすぐに友希那に駆け寄り、その手を取った。リサのひんやりとした手によって、友希那は自分の身体がひどく熱を帯びていることを理解した。男との行為によって発生したねっとりとした熱だった。二人は五指を絡めて握り合った。純潔は男に渡してしまったが、この素手の温もりだけは自分たちだけのものにしておきたかった。

「あ、そのままね……」

 友希那の膣から陰茎を抜いた男が、その二人の握りしめられた手に陰茎を乗せた。

「リサゆきにぶっかけるっ……、リサゆきにぶっかけえっ……」

 男はそのまま自分で竿をしごいた。すぐに先端から精液が飛んだ。それは二人の固く握られた素手に飛び散り、互いの五指をぬるぬると汚した。

 二人は染み込んでいく精液を無視するように、力強く手を握り合った。

 ぐちゃり、という水けのある音が鳴った。


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