時刻は24時を回った
邸宅に入った俺達はまず二手に分かれて、中にいる人達を一箇所に集めた。
ウィッチャーの感覚を使い、1人残らず探し出した。
その中にはあの従者もいた。
17名の人間を玄関に集め終えると、白髪の男が喋り始めた。
「今からお前達に呪いをかける、恐れるな、一種の契約だ。俺達の正体、この屋敷で起こった事を誰かに話したり、何かに書いたりすると身体が燃えて苦しみ抜いて死ぬ事になる。」
「今からこのチョークで線を引く、その瞬間に契約はスタートだ。俺達はこれからこの家の金目のものを全て奪う、その間にこの線から身体が出た者はさっき言った通り燃えて死ぬ、そこでだ、、、この家の金をここにいる皆んなで山分けしようじゃないか、この家は用が済んだら燃やす。自分の持ち物は分配の対象外、どうだ?、、、お前達は金を受け取って無事に帰り、墓までこの事をもっていくってだけだ、、、異論がないようなら始めよう。」
「ちなみに誰か嫌いなやつを押し除けて線から出した場合、押し除けた奴が燃えるぞ?押し除けられたやつは10秒以内に線の中に戻ればセーフだ、更に追加すると、誰かを唆して線から出したやつも燃える、まぁ子供の遊びみたいだろ?」
白髪の男はそう言いながらチョークで大きく四角い線を引いた。
17人の人間が入っても余裕があるくらい大きな四角い線をだ。
、、、魔法陣のようにはみえない、ただの線だ、、、
しかしこけおどしのようにも見えない、、、
これを踏み越えようなどとする愚か者はいないだろう。
「よし、始めるぞ。」
「追って言うが、俺達はここにいる誰も死なない事を願ってる、バカな真似はするなよ?」
そう言って白髪の男は家を漁り始めた。
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「、、、、、、」
「言いたい事があるようだな」
「、、、、わからない、これが正しい事なのか」
「、、、すまないな、、、正直、誘わなきゃよかったって思ってる、こんなことになるなんて思ってなかった。」
男はギンターの寝室と思われる棚を漁る手を止めて、こちらに振り返らずに謝る。
「俺の中では、あの男は苦虫を噛み潰したような顔で俺たちに報酬を支払って、帰りの道で俺はお前に良い顔をしてた。」
「あの男を殺すのは予想外だったとでも?」
「そうだ」
「あの男はウィッチャーを、、、同胞を殺した。それだけならまだ許せる、立場の違いがあるからな、だが拷問にかけたとまで抜かしやがった、本当ならこの屋敷の人間を全員殺して火を放ってるところだ。」
「だけど、お前が嫌そうだったから奴らは生かして返す事に決めた。誇れ、奴らの命はお前が救ったんだ。」
「、、、、、、」
「出発は明日か?それなら報酬を受け取ったら酒場に寄ろう、言いたい事、聞きたい事はセブンキャッツインに戻ったら話してやる。」
「あぁ、、、わかった。」
俺達は二手に分かれて金目のものを漁った、、、
正直プライドが粉々に破壊された気分だった。
崇高なグリフィン流派がこんな悪事を働く等、受け入れられなかった。
金庫室に入れば金目の物の他に大量の通貨が手に入った。
大量なんてレベルじゃない、しばらくは遊んで暮らせる程の額だ。
眩い程の金貨が俺の目を眩ませる度に、俺は惨めな気持ちに苛まれた。
屋敷中の価値のありそうな品や金貨を大袋一杯に担ぎ玄関に向かった。
すると階段裏から物音が聞こえた。
確認してみるとどうやら隠し扉があるらしい、、、白髪の男はここにいるのか、、、
薄暗い地下室へ降りるとすぐさま血の匂いが立ち込めた、、、
乾いており、普通の人はあまり気にならないだろうが俺達の感覚ならすぐにわかる、、、
そこにある器具、排水の構造から推測するに、拷問部屋だと言うのはすぐにわかった。
その一番奥に白髪の男はいた。
祭壇のようなものがあり、今までの犠牲者の装飾品等が戦利品のように飾られていたのだ。
「ギンターは随分と悪趣味だったようだな、、、」
「、、、、、、」
俺が話しかけても、白髪の男は返事をしない
ただ一箇所に留まって項垂れていた。
そこにあるのは鎧、二本の剣、そして猫流派のメダルだった。
犠牲者のウィッチャーは猫流派だったのか、、、
「グリフィンの子よ、、、」
白髪の男が口を開く、その口調は哀しみに満ちており、、、
一気に生気がなくなったようにも感じられる。
「なんだ?」
「袋をいくつか欲しい、死体はないが供養してやりたいんだ。」
「、、、、、わかった、とってくる。」
「すまない、、、」
その言葉は俺に宛てたものなのか、それとも犠牲者のウィッチャーに宛てたものだったのか、、、
地下室の装飾品は犠牲者ごとに分けられていた為、それを一つずつ袋にいれるだけで終わった。
白髪の男と共に玄関に戻り、生き残っている者を確認する。
幸いおいうべきか、バカな奴はいなかったようだ。
「半分は俺たちがもらう、その後5分やるからお前達で分けろ」
白髪の男は袋の中にある金貨のうちのほとんど、装飾品などの金目のものを雑に半分に区切ると残った分を袋に詰めて四角い線の中に放り込んだ。
ガシャンッ!
乱雑に線の中に放り込まれた袋は大きな音を立てる
「ルールを追加しよう、欲張った者も出る時に燃えるようにしよう、老いも若きも平等にわけろ」
「5分やる、早くしろ」
男はそう言い放ち、かべにもたれかかって目を瞑った。
すると線の中の者達は恐る恐る欲しい者を手に取り始めた。
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「で、できました!」
線の中の誰かがそういうと白髪の男は彼らに目をやる
「ふっ、ははっ、、、!」
「、、、、?」
(笑った、、、?)
「いや、、、すまない、、、命を握られてる者達の見た目に見えなくてな」
、、、まぁ確かにそうだ、各々のポケットには大量の通貨、首には多くの装飾品類が飾っている、誰も彼もが命を握られて、怯えているとは思えない不自然な見た目をしている
「さて、少し話そうか、、、」
白髪の男はそう言うとその場に胡座をかいて座る
「ここの主人はろくでなしだった、死ぬのに値する男だ。俺達が奴らを殺したのは奴が最初に俺達に剣を向けたからだ。ウィッチャーの名誉に誓って嘘ではない。」
「その財宝はお前達から主人と仕事を奪ってしまった俺からの謝罪と思ってくれ。」
「そしてお前達はその財宝を受け取った、、、取引成立だ。」
男が話を終えると突然線の中にいた人達が胸を押さえて苦しみ出した。
「おい、、、!殺さないんじゃなかったのか、、、!?」
「殺さないし、傷つけもしない、見ていろ。」
男はしばらくその光景をじっと見つめ、苦しむ者がいなくなったのを確認すると再び口を開いた。
「胸を見てみろ、その傷跡は契約書代わりだ、念を押すが、誰かに俺達の事を喋ったらお前達は悲惨な死に方をする。屋敷で起こった事を聞かれたら、屋敷は義賊に襲われたとでも言っておけ。」
「うっかり喋ろうとすればまず胸が激しく痛むようになってる、一種のセーフティだ。そのしるしがある限り、催眠も自白剤も効かない、いいか?俺の事を忘れないようにな、、、」
そういうと男は線を指差す。
「線から出てみろ。大丈夫だ、俺を信じろ。」
しばらくは誰も線を越えようとしなかったが、誰かが白髪の男に促されるまま越えると、1人、また1人と線を越え始めた。
「おい!全員通行証は持ってるか?」
白髪の男が声をかける
「持ってないものは右手を上げろ!」
「全員大丈夫みたいだな、、、来い!ノヴィグラドの門まで送ってやろう」
俺達は生存者達を引き連れて門を出ると白髪の男が邸宅に戻った
しばらくして邸宅から火が上がると白髪の男は戻ってきた。
「徹底してるな」
「、、、この家は無い方がいい、行こう、、、」
俺達は生存者を引き連れてノヴィグラドの門に向かった。