ガシャッ!ガシャン!!
「、、、、、これは奇跡だな」
馬車の乗室の扉を開けた金髪の男が見たのは、震えながら縮こまる少年の姿であった。
遠くからでも聞こえた大きな衝撃音を聞きつけて金髪の男は駆けつけた、しかし音からして生存者はいないと踏んでいた。
それでも、1人の少女は間に合わなかったが父と見られる大人の男性は間に合った。
それでも馬車の中に息子がいると聞いた時は再度諦めていた。
あれほどの衝撃音で馬車の中に取り残されれば、大人であれど衝撃でどこかしらを打って死ぬ、子供なら尚更だ。
馬車の状態も控えめに言っても酷い、子供がこの中にいると聞かされて率先して様子を見に行ったのはそれが原因だ。
娘ならず息子の死体を見てしまえばあの父親はどうなるかわからない
そんな気持ちで馬車を覗いたのだ。
しかし、男の子は生きていた。
破片の間に挟まって生きていたのだ。
不幸中の幸いとはこれまさに
金髪の男は極めて落ち着いた声で男の子に語りかける。
「怪物は殺した、もう大丈夫だ、、、助けに来た、、、出れるか?」
子供は痛みを顔に出しながら頭を横にふった。
「そうか、足が痛いのか?」
男はそう言いながら瓦礫をどかすと男の子は苦痛に声を漏らした。
「触らないでおくが恐らく折れてる。持ち上げるから俺の首に捕まれ」
「少し痛むぞ、、、ふんっ!」
「ご主人!息子さんは生きてるぞ!」
「、、、、っ!本当か!!!!」
「えぇ、、、奇跡です、、、娘さんはどうされますか?損傷が激しいのでここで埋葬した方がいいと思われますが、、、」
「無理だ、、、ここに娘は置いていけない、、、あぁ、、!ユスティアナ、、、、!私はこれからどうすれば!!」
「落ち着いて!、、、息子さんが見ています、、、」
「いいですか、、、連れ帰るにしても損傷が激しすぎます、それに血の匂いに釣られて屍鬼が来ます、折角生き残ったのにまた命を危険に晒す事になりますよ?流石に屍鬼はご存知でしょう?」
「、、、、、、」
「それか、ちょうどここにウィッチャーがいます。」
「っ!?」
「ご主人、もしよろしければ道中私を雇いませんか?もちろんいくらかいただきますが、グリフィン流派の名にかけて、今度こそあなた達と娘さんを目的地まで守り抜くと誓いましょう。」
「あぁ、、、!頼む、、、、!報酬は、、、いくらか馬車に積んである筈だ、全部持っていってくれ!」
「かしこまりました。それでは上着を脱いで娘さんの体に強く巻き付けてください」
「あぁ、、、」
「それでは息子さんを頼みます。馬は乗れますか?」
「あぁ、多分大丈夫だ。」
「それは良かった、、、ネスタァ!」
ヒヒーーーンッ!!
金髪の男が叫ぶと嗎と共に馬が走って向かってきた。
そのまま馬を止めると金髪の男は馬に積んである外套を取り、少女の上から更に巻きつけ、そのまま紐で自らの背中にくくりつけた。
(軽い、、、、)
少女の中身は殆ど食い荒らされ、体重を感じられなかった。
「それでは行きましょう。あなた方は馬に乗って、もしも怪物を見かけたら私が注意を引くので安全な場所まで走ってください。」
「あ、あぁ、、、」
「息子さんは恐らく足が折れてます、やむを得ない場合以外はなるべくゆっくりと馬を歩かせてください。」
「お、おい!」
「なんでしょう?」
「馬車は!?報酬は取らなくていいのか!?」
「あの様子でしたら恐らく放っておいても大丈夫でしょう、それより屍鬼に見つかる前にあなた方を一刻も早く送り届けるのが先です。もちろん娘さんもです。」
「、、、、、、ありがとう、、、、ウィッチャーは善人から金を巻き上げる感情の無い化け物だと聞いた、悪の狩人だとも、、、、改めて謝らせてくれ、あなたは怪物などではない、誰よりも高潔な人間だ。」
「、、、ありがとうございます、、、それでは出発致しましょう。」
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しばしの沈黙の後、金髪の男がおもむろに口を開く
「、、、、、先程の話、、、ウィッチャーは感情の無い狩人というのはあながち間違いでもありません。我がグリフィン流派は騎士道の美徳を固く守っています、、、ですが他の流派のウィッチャーはあてになりません。」
「流派?」
「ええ、ウィッチャーはもう殆どいませんが、それぞれに流派がございまして、、、、いえ、長くなるので割愛しましょう、とにかく我がグリフィン流派以外でウィッチャーと名乗る者をそう簡単に信用せぬように、猫流派を名乗る者は特に、、、」
「、、、詳しくはわからないが了解したよ、ありがとう。ウィッチャーも一枚岩ではないんだな、、、」
「えぇ」
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それから2時間ほど歩き、街の少し外れの邸宅の前に到着すると
満身創痍の男は馬を止めた。
途中一回グールに遭遇したものの、それ以降は道なりに進んでいたおかげで
無事に辿り着く事ができた。
太陽はとっくに沈み切っており、屋敷の入り口のランタンがやけに安心感を与えてくれる。
「ここだ、、、、、」
「契約は満了ですね、では私はこれで」
「ま、待ってくれ!もう遅い、辺りは真っ暗だ!命の恩人をこのまま帰らせるわけにはいかない!」
「どうか気にせずに、ウィッチャーは夜目が効きます。報酬もいただいている事ですし私はこの辺で」
「いいや、ダメだ、ここまでしてもらってみすみす返せばランダルヴェット家の名折れだ。こうしよう、今夜追加であなたを雇おう、もちろん変な意味ではない、ぜひ冒険の話を聞かせてくれないか?」
「、、、、えぇ、いいでしょう、ですが報酬をもらうのであれば娘さんを弔う手伝いをさせていただきます。」
「あぁ、、、頼む」
(くそ、、、めんどうだな、、、)
金髪の男は表面には出さなかったが心の中でそう呟いた。