「おい!今のはなんだ、、、!」
俺は動揺を隠さずに白髪の男を問い詰める
「何って、、!?アードだよ!」
「アード!?あんな全方位に念力波は出せない筈だ!」
「グリフィン流派は教えないのか?印の念力の込め方によっては可能だ。ただ俺のは何故か相手を凍らせる事もできるからこういう使い方をしてるんだ。」
「確認してみろ、死骸は凍ってるはずだ、その中で比較的上体の損傷の少ない死骸をなるべく多く見つけてくれ」
「、、、!クソ、、、!」
俺は悪態をつくと、すぐに比較的損傷の少ないドラウナーの死骸を探した。
(、、、本当に死骸は凍っている、、、!相手を凍らせるアードなんて聞いた事もない、、、!、、、、いや、それは俺も同じか、、、)
「おい、、!見つけたぞ、、、」
「よし、首を切り取って並べててくれ」
「、、、わかった、、」
俺がそういうと早速男は腰にぶら下げた先程狩ったドラウナーの首を今狩ったドラウナーの首同士で縄で連結させていった。
俺が首を切り取って、男が首を縄でくくる。
お互いの手際が良い為か、残った全ての首を縄で括るまで、5分もかからなかった。
そのまま去り際に巣に爆弾を放り投げ、破壊した。
巣を見つけてからここまでで10分もかかっていない。
首を集めた時間を省けばもっとはやい。
そのまま、2つ目の巣を破壊し、3つ目の巣を破壊し終えた。
邸宅を出発してからここまで移動時間も含めて2時間もかかっていないのだ。
彼が急がなければいけない俺の気持ちを汲んで迅速に物事を進めたというのもあるが、それにしたって無駄がない。
先程のアードといい、この男の底が知れない、、、
「よし、、、!帰るぞ!」
男は最後の首を連結させ、俺に声をかけてきた
ドラウナーの生首でできた帯は優に三つできた。
男はその大量の生首を繋いだ縄を馬の鞍にかける
即座に馬に跨った。
「、、、どうした?浮かない顔をして、、、」
声がする方を向くと男がこちらを心配そうに見ていた
「依頼はもう終わったぞ、あとは金をもらうだけだ。急いでるんだろ?」
「あぁ、、、」
迅速にして有効的、『コーエン』以外で初めて他のウィッチャーと組んだが、正直動揺を隠せない、、、しかもこいつは猫流派だ、、、
敗北感は時を経つごとに大きくなっていった。
「ここまで早く終わるとは思ってなかった。」
「死体が浮かんでる池に腰まで浸かりながら夜明けまで剣を振り回すとでも?」
「大抵はそうだった。」
「怪物によってはそうなるが、今回は違ったってだけだ。戦えなくて落胆する必要はない」
「いや、違う、ウィッチャーとしての技術の差に驚かされたんだ。」
「ウィッチャーとしての技術の差?」
「そうだ、この依頼、きっと俺なら夜明けまでかかってた。それをあんたは一瞬で終わらせた、、、俺がやった事なんてドラウナーの死骸から首をとった事くらいだ、、、」
「はぁ、、、なんで急にネガティブになるんだよ、、、お前は俺が見てきた中で一番感情的な奴だな、、、いいか、人には向き不向きがあってだな、、、」
「ウィッチャーには向いてないって事か、、、?」
「あぁクソ!違う!、、、お前、、、どっかで何かでかい獲物か人間を狩ってただろう、、、?例えば飛龍種とか」
「、、、!?なんでわかるんだ、、、?」
「動きがそれに対するものだからだ、なりふり構わずかかってくる隙だらけの雑多な怪物じゃない、もっと手強いやつに対する動きだ。」
「動きでわかるのか?」
「あぁ、最初のドラウナーを斬った時だ。対する相手をよく観察し、駆け引きを制する動きだ。最初から最後まで動揺もせずに仕留めた。熟練の騎士でもあぁはいかん。よほど師に恵まれたんだな」
「、、、あぁ、父とも呼べる人だ。」
「そうか、良い師を持ったな、、、ほら、もう行くぞ?依頼主が寝てたら面倒だ。」
「、、、あぁ」
不思議だ、俺は先程まで話していたこの猫流派の男を信用している。
この地の民衆が俺達ウィッチャーに偏見を持つように、俺は猫流派に対しても偏見を持ってしまっていたのかもしれない、、、
グリフィン流派の信条である中立とはかけ離れた思考だった、、、
改めよう、、、
これを学べただけでも今年の放浪は意義のあるものだったかもしれない
世間の評判が必ずしもその人を表しているものではない。
そうトールは心の中で新たな学びを胸にしまい、馬に跨った。
そしてその考えは間違いだったと後になって気づくのだった。