おれと湊友希那が戦う小説です!

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おれ
自発的に全裸になった男。湊友希那と戦う。戦闘経験は無い。

湊友希那
なぜか全裸で監禁されてる女の子。おれと戦う。戦闘経験は無い。


『おれVS湊友希那』

 全裸のおれは同様に全裸の湊友希那に馬乗りになった。腹の位置に尻を落とし、体重をかけて友希那を固定すると素早く両手を首筋に巻き付けて力を強めた。

「ごほっ! うえへっ」

 おれは友希那の首をぎゅっと絞った。その瞬間友希那が掠れた声で悲鳴を上げた。おれはそれを無視して素手の力を強めた。十指の爪を立てるとすぐにその先端が皮膚の中にめり込んだ。裂けた皮膚から血が垂れた。おれはそれでも素手を友希那の首の中に進めた。

「かはっ! やめっ……」

 友希那はおれと同じように、おれの首に両手をかけようとした。しかしその細い素手は力無く倒れた。すでに窒息感が脳まで上がっているようだった。おれは上半身を前のめりにして体重をかけ、全ての力を素手に集中させた。

「はははっ! おれの勝ち――」

 その瞬間、友希那の咳のような声と同時に視界が真っ暗になった。

「うおっ! なんだこれっ」

 おれは唐突に現れた暗闇に驚きながら身体をのけ反らせた。当然友希那の首からも素手が離れた。仰向けで倒れたおれは自分の目元を慎重に拭った。十指にはぬるい謎の粘液が付着していた。

 素手を見つめているおれの顔面に、起き上った友希那が蹴りを入れてきた。それは連続の足蹴だった。おれの顔面を踏みつける衝撃だったが、おれはそのうちの一撃の瞬間を見逃さなかった。自分に振り下ろされた足の首を掴み、一気に引きつけた。均衡を崩した友希那は床に叩きつけられるように倒れた。おれはゆっくりと起き上った。

 おれは再び友希那に馬乗りになった。今度はもう容赦している余裕は無かった。拳を握り、友希那の顔面に叩きつけた。肉が肉を打つ鈍い音と友希那の呻き声が鳴った。おれは連続で友希那の顔を殴った。ドチャリ、ドチャリ、という音が続けて鳴り、拳が激突する度に友希那の上半身が揺れた。

 友希那の頬はすぐに赤くなった。鼻から血が垂れていた。おれはそれでも友希那を殴った。殴りながら友希那の目を見た。眼光には明確な殺意が浮かんでいた。殴られることでおれに対する憎悪が増していき、次の攻撃が強力になる、といった具合だった。しかしもう友希那の攻撃がくることはないはずだった。なぜならこのおれの連続の打撃で友希那は死に至り、もう一生動くことがなくなるからだった。おれは友希那に休みを与える隙を与えないように続けて殴った。鼻血が飛び散り、両方の頬が真っ赤に膨れた。

 やがておれは打撃を止めた。

 友希那は動かなくなっていた。試しに頬を平手で軽く打ってみたがぴくりとも反応しなかった。そこまで確認するとおれはようやく安堵した。ついに友希那に勝利することができたことに対する達成感は凄まじかった。熱湯のような心地が心臓の辺りにじんわりと広がり、それは脳まで達してゆっくりと浸透していった。

 その頭が左右から掴まれた。

「なっ――」

 驚くよりも先に顔を引っ張られた。死んだはずの友希那が動いていた。

「お前っ」

 友希那の腕力は強烈だった。その貧相な身体のどこからこんな力が出ているのか、見当もつかなかった。おれは身体を動かして逃げようとしたが、それでも友希那の腕は離してくれなかった。友希那の腕はそのままおれの首に回った。そして一気に引きつけた。顔と顔が接近した。まるで恋人同時の接吻の少し前のシーンのようだった。

 友希那は素早くおれの右耳に噛みついた。

「あがががががっ!」

 耳の付け根に響く痛みがあった。おれは友希那の顔を叩いて引き剥がそうとした。しかし噛みつきは中々離れなかった。友希那はそのままぎゅっと歯列でおれの耳を掴むと、勢い良く首を反らせた。ブチブチブチ、という音と共に耳がごっそりと千切れた。

「あぎゃーっ!」おれは無くなった右耳の位置を両手で摩った。しかし手に触れるのはぬるくて真っ赤な血だけだった。

「このっ!」

 おれは痛みに耐えながら拳を振り下ろした。おれの千切れた耳を咥えている友希那の右目を狙って打撃すると、ドシャリ、というぐぐもった音が鳴った。しかし友希那は表情一つ変えなかった。まるでおれの打撃が全く効いていないようなふうだった。

 友希那の右拳が飛んできた。それは何よりも速い力強い拳だった。おれの顔面の真ん中を直撃した拳はそのままアッパーカットのように突き上げ、おれの身体をのけ反らせた。

 床に大の字で倒れたおれは、そこから脳がくらついて身体を動かすことができなかった。思考が吹き飛び、次の攻撃について考えることが少しもできなかった。

 数秒後、視界の中に友希那が現れた。その口元は笑っていた。完全に勝ちを確信しているようだった。友希那はブッ、と音を出しながら咥えていたおれの耳を吐き捨てた。放たれた唾液まみれの耳はおれの頬にべっちょりと付着した。明らかな挑発行為だった。くらついた脳がカッと熱を帯びたが、やはり身体を動かすことはできなかった。

 友希那が鷹揚な動きでおれに跨った。腰をどっしりと沈めるとおれの首筋に両手を添えた。そして上半身を前のめりにして絞め始めた。一気に喉が圧迫された。友希那は歯を食いしばっておれの首を絞めていた。おれは動かない腕をなんとかして動かそうとした。

 数秒後、ようやく腕が動いた。頬の上の自分の耳を、頭を振るって跳ね退けたおれは右腕を振り上げて友希那の身体を拳で打った。しかし友希那の腕は離れなかった。おれは左右の拳を上げて友希那を引き剥がそうとした。しかし友希那は少しも離れないどころか、おれの首を絞める両手の力がさらに強まっていった。

「このっ! くそがあっ!」

 おれは友希那の細い腕を掴んだ。しかし友希那の腕は力強く、おれの首から離れることはなかった。首から血を流す友希那は全ての力を結集しておれの首を絞めるつもりのようだった。その顔は怒気で高揚し、双眼には鋭い殺意の閃光が浮かんでいた。

 おれは次第に自分の力が弱まっていくのを感じた。すでに脳に酸素が回っておらず、筋力がその役割を放棄しているようだった。友希那のことを左右から殴ろうとしても、その拳は空を切ることの方が多くなった。

 やがておれは左右の腕を投げ出した。もう意識が消えかかっていた。絶命の一歩手前の位置で、おれは自分に注がれる友希那の視線を見た。こんなにも必死に自分を殺そうとしているのなら、それに乗せられて死ぬのも悪くないのではないかと思えてきた。おれはスッと両目を閉じた。このまま意識を手放そうと思った。友希那の十指が首に食い込んでいた。それは熱を持った力強いものだったが、その細さはやはり乙女のものだった。

(い、いやっ――)

 おれはカッと目を見開いた。やはり死にたくはなかった。死にたくはなかったし、さらに言えば目の前の友希那を殺したかった。それもただ殺戮するだけではなく、向こうから死を望むほどに徹底的に蹂躙してから命を奪いたいと思った。おれは雄叫びを上げた。唐突のことに友希那は驚いていた。おれはその一瞬の隙を見逃さなかった。底からこみ上げてくる力を使って両腕を動かし、友希那の顔面を左右から握った。そして自分の上半身を勢い良く起こし、友希那の額に頭突きをかました。ゴチンッ、という骨と骨がぶつかる音が鳴った。そのまま友希那を遠くに投げ飛ばした。

「んあっ……!」

 不時着した友希那はそのまま額を押さえてうずくまっていた。頭突きによって脳そのものにダメージがいったようだった。おれはそんな友希那に歩いて近づいた。

 おれは友希那がよろよろと立ち上がるのを待った。まだ脳が正常ではないらしい友希那は、生まれたての小鹿のように何度も膝を折りながら、しかししっかりと直立した。友希那の目にはやはり鋭い眼光があった。まだ諦めてはいないようだった。おれは顔の位置で拳を握りしめた。それを見た友希那も同様に不格好な戦闘態勢を取った。しかしその腰は震えていた。慣れない戦いの中で精神が疲弊しているようだった。

 おれは友希那が迫って来るのを待った。

 数十秒ほど睨み合ってから、友希那が痺れを切らして前進し、おれに右拳を突き出した。しかしその攻撃ははっきり言って弱弱しいものだった。簡単に見破ることができたためひょろりと避けた。すると友希那は次に左の拳をおれに投げた。おれはそれも簡単に避けてから友希那の懐に入った。そして左右の人差し指をその両目に突き出した。

 ぷちゅり、という感触が指から素手へ、そして腕に伝って全身に流れた。同時に友希那の悲鳴が轟いた。歌姫らしい圧倒的な声量だった。

 おれは友希那から指を抜かなかった。そのまま指の付け根までを友希那の眼窩に侵入させた。ゼリーを潰したような不思議な感触だった。

 友希那が顔を振って後退した。当然眼窩から指が抜けた。

「何も見えないっ! 何も見えないわっ!」

 おれは機能しない視界で辺りを見渡している友希那をよそに指をしゃぶった。友希那の硝子体が付着した指は思いのほか無味だった。

「真っ暗だわっ! 誰かっ、誰か助けてえっ!」

 情けなく叫ぶ友希那の足を蹴り、彼女を転ばせた。それでも友希那は床に這いながら辺りに顔を走らせた。穴が開いた目元ではもう何も見えなくなっているはずだった。おれはそんな友希那の頭を上から握った。友希那のさらさらとした頭髪が五指から伝わった。友希那は探るようにおれの方に両手を泳がせたが、鬱陶しく思い平手で弾いた。

 右手で友希那の頭を持ち、左手でその頬を引っ叩いた。パシンッ、と音が鳴り友希那が悲鳴を上げた。おれはそこに連続で平手打ちを叩きこんだ。頬が腫れ、友希那が「もうやめて!」と叫んだ。それを合図におれは友希那から手を離した。自由になった友希那はゾンビのようになよなよと両腕を突き出し、辺りの風景を探っていた。

 おれはその友希那の首を右手で掴んだ。そのままめいっぱいの力で持ち上げると友希那の身体が床から浮いた。友希那は自分の首元のおれの手を叩いたが、その力は微細なものだった。おれの手を掻きむしったがそれも微々たるものだった。おれは自分の腰の辺りで左拳を構えた。そして一気に突き出した。狙うのは友希那の腹だった。色白の腹部に激突するとペシンッ、という強烈な湿った音が鳴り、友希那が嘔吐の時のような汚い喘ぎ声を漏らした。

「やめてっ……、こんなの、もう嫌っ……」

 おれは無視して連続で友希那の腹を殴った。肌と肌がぶつかる音と、友希那の濁点のある悲鳴が同時に鳴り響いた。回数を重ねると次第に両腕の抵抗が無くなっていき、やがて四肢はだらりと垂れるだけになった。

「おえっ……。ううっ」

 白色だった腹部はすぐに赤色に染まった。心なしかへこんでいるようにも見えた。

 おれは左手も友希那の首に添えた。そして一気に引き絞った。友希那が「うぐううううっ!」と大きく呻いた。しかしおれは無視してさらに両手を強めた。友希那の細い首筋の中に素手がめり込んでいくような感覚だった。

「あばよ、友希那っ!」

 おれは一気に素手を押し込んだ。すると首の中の核のようなものがバキッと潰れる感触が流れた。同時にそれまで直立していた友希那の頭部ががくんと右に垂れ、四肢が完全に力を失った。おれは両手を友希那から離した。すると友希那はその場にどさっと崩れた。そこに力の気配は一切無く、完全にただの肉塊と化したことがわかった。それを確認したおれはゆっくりとしゃがんだ。

 くたびれた友希那を前に、おれはふぅ、と一息ついた。


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