もっぱら夜の時間はプラナが管制を担当するようになったが、彼女は先生の秘密の行いを覗き見ていたことが発覚する。自慰は生理現象の一環である、とドライな立場を取っていたプラナだったが、次第に淫らな行いへの好奇心を募らせていく。
シッテムの箱がOS二台体制になってからどれぐらい経っただろうか。本来同時間軸には存在しないはずのプラナがアロナと一緒に押し込められたせいか、アロナがよく眠るようになったそうだ。彼女達はシッテムの箱の中でかなり密なコミュニケーションを取っているようで、プラナとアロナの間で役割分担を話し合ったんだとか。日中はアロナがメインで、夕方以降はプラナがメインで管制を受け持つようにしたらしい。
そんなことがあって、私が今、日付変更のギリギリまで仕事をしていると、シッテムの箱へ呼びかけて応答するのはプラナだ。
「プラナ」
「……先生。お疲れ様です」
「お疲れ様。アロナはぐっすりかな?」
「はい。教室の隣に寝室を作り、先輩はそこで眠っています。寝相が良くないので、時々掛け布団を直してあげる必要があります」
「ははっ。プラナは面倒見がいいんだね」
「……そうなのでしょうか」
パソコンをログオフする前のひと時、机の隅に本体を立てて、プラナと会話を続ける。アロナのようにニコニコ無邪気ではないけれど、単に感情の起伏が大人しいだけで、決して不愛想なわけではないのが、最近になってよく分かってきた。それもそうだ。並行世界の私を、あれだけ親身にサポートしていたのだから。
ファンの音が静かになって、後は電気を消して退勤するだけ。だけど今日は、家に帰る前の不埒なお楽しみをしていきたい気分だ。シッテムの箱をスリープに戻そうとすると、画面の奥からプラナが待ったをかけた。
「先生。自慰をなさるのですか?」
「じッ……!?」
私は耳を疑った。あどけなさがありつつも、涼しげな美人の雰囲気を漂わせるプラナから、とんでもない言葉が出てきた気がする。
「ぷ、ぷっ、プラナ……?」
「動揺が見られます。どうしてですか? 自慰は一種のストレス発散のようなものであると、先生の観察から理解しています」
「な、ななな、なんで知ってるの?」
「スリープにしただけでは、センサー類はオフになりません」
プラナの口調はあくまでも淡々としていた。そもそも「どうして知っているの」なんて返してしまった時点で、語るに落ちるというヤツだ。
「もしかして、アロナも気付いてたのかな」
「不明。アロナ先輩は、認識しても何のことか分かっていない可能性があります。ご安心ください、先生。先輩には秘匿しています。もちろん、他の生徒さん達にも、私の覗き見は認識されていません」
「そ……そうなんだ……」
プラナの落ち着き払った声色に、私の焦りは加速していく。その中の大半を占めるのは、気まずさと恥ずかしさだった。
「……ごめんね。見苦しい所を」
「疑問。それは健康管理の一環です。忌避すべきものではありません」
「そう言われると、それはそれで……」
生真面目な答えだった。でも、そこまで割り切ってくれるなら、この話はここで終わりでいいだろうか。プラナが物分かりのいい子で本当に助かった――
「提案」
ずいっ。プラナが画面の前面に迫ってくる。銀髪のインナーカラーで入った薄桃色が、さらっと揺れた。
「見せて下さい」
「うん――って、何を?」
「自慰です。見せてくれれば、秘密を保持します」
「っ……ず、随分大胆に出たね……」
「この角度では不適。これでは、先生の触っている所が見えないのです。全容を把握できない状況では、私の認識に不確かな推測が混じります。これは正確な理解を妨げます」
要するに。
抑揚に乏しい、固い口調で。
プラナはオナニーを見たいと言っているのだ。
「どっ、どうしても……?」
「はい」
クールなプラナが、こんなに食い下がるなんて。どちらにしても、秘密は握られているのだ。プラナが自ら機密事項を吹聴して回るはずがないけれど、今後顔を合わせる度に擦られてしまいそうな律義さがあって――私は逡巡の末、机からシッテムの箱を手に取った。
「誰にも言っちゃダメだからね?」
「了承。そもそも、私の声を認識できるのは、先生の他にアロナ先輩しかいません。特殊な手段を用いれば別ですが」
「で……できれば、その特殊な手段は、お止めになっていただけると……」
誰にも見られないように執務室を後にして、私は一人になれる場所を探した。
* * * * *
普段から人の少ないオフィスフロアで、こんな深夜だ。さすがにどんな生徒も男子トイレの個室にまでは入ってくるまい。絶対安全領域と言っても差し支えない究極のプライベート空間に、プラナを招いた。戸当たりのフックに紐を引っかけて、タブレットの画面越しにプラナから見下ろされる形になる。
「プラナは、オナ――自慰にオカズが必要ってことは知ってる?」
「? ……不明。自慰と副食物には明確な関連が見られません」
「あぁいや、食べるオカズじゃなくて……」
データベースに溜め込んだ知識にアクセスすればいくらでも情報が手に入るはずなのに、文脈を読み違えるとこうなってしまうのか。間の抜けた話だが、私は羞恥心と罪悪感に耐えながら、プラナにオカズのことを教えてあげた。
「理解。性的興奮を高める補助となる媒体。異性の性器や、普段下着で隠されている部分。個人の嗜好によってはそれに留まらない……なるほど」
「わ……分かってもらえたようで何よりだよ」
「この場合、オカズが必要ですか?」
「ん……ま、まぁ、そういうことになるかな。いや、まぁ、スマホの動画とか――」
「了承」
「い……っ!」
平坦な調子でいたプラナが、突然スカートの裾を摘まんで持ち上げた。ピンクのボーダー柄の入ったショーツが、黒タイツの向こう側に息づいている。予想だにしなかった光景に私が呆気に取られていると、プラナはタイツをするすると下ろして、ほっそりした太腿を露にする。ショーツのピンク色が、より鮮やかになった。
「えっと、プラナ。それはその……」
「オカズです。私は女性のボディを与えられているので、役目は果たせると判断します。どうぞ、先生」
「…………」
ごくり。生唾を飲み込んでしまった。性癖のツボというのはどこにあるか分からないものだ。私の脳の芯は、生真面目なプラナのとった大胆極まりない露出に、ギトッとした劣情を催していた。
「ねぇプラナ。『見抜き』って知ってる?」
「検索……理解。意思疎通のできる相手を見ながら自慰を実行すること」
今度は一瞬でプラナは答えを探り当てたが、パンツは見せたままだ。柔らかそうな綿の向こう側をつい思い描き、スラックスの中が狭くなっていく。
「下着より、生殖器を見せた方が効果的と判断」
「え――」
プラナがクロッチをずらした。理性が「見るな」と警鐘を鳴らしたが、私の視線はプラナの割れ目に注がれていた。そこはぴったりと閉じていたが、見せると口にした通り、小さな手がむにゅっと肉たぶを開いていく。タブレットPCのOSなのに、艶めかしいサーモンピンクの蜜肉までしっかり描写されていて、湿り気すら感じられそうな程だった。
「う、わ……」
「熱源の膨張を確認。自慰に適した状態」
淡々と勃起を指摘するプラナ。自分の女性器を見られていることに、特に思う所はないようだ。一体私は何をしているんだろう、と当惑を感じつつも、ベルトを外し、ファスナーを下ろす。海綿体を膨らませた性器を露出すると、プラナの視線がそこへ集中するのを感じた。
「あ……」
プラナのヘイローに動揺が走るのが分かった。数えきれないぐらい繰り返してきた挙動だ。右手で握り締めれば、勝手に上下動が始まる。まだ勃起して間もないのに、一往復毎に甘い痺れが下半身へ広がっていく。
「男性は、生殖器を上下に擦るのですね」
「プラナは……女の子がどうするか、知ってるの?」
「検索……把握。私も自慰をお見せした方がよろしいでしょうか」
淫らな申し出を無機質に語られて、ペニスがびくんと跳ねた。性的な知識をたった今一瞬でインストールしたばかりのプラナが、触ったこともなさそうな自分の性器を触る――見たいか見たくないかで言えば、大層興味があった。というか、その様子を想像して、私の手はどんどん速くなってしまう。
「では、私も『見抜き』を実行します」
プラナの指が股間のスリットを左右に押し開き、裂け目の頂点にあるクリトリスを撫でた。表情一つ変えずに、くにっ、くにっと包皮の上から突起を捏ね回している。
「……困惑。よく分かりません……」
「あ……ヤバっ……プラナの無知オナエロいっ……」
小声で捲し立てるようにそう呟き、完全に勃起しきったペニスを扱く。言葉通りの表情をプラナは浮かべていたが、私にとってはそれすらも興奮を掻き立てるスパイスだ。
「先生の心拍数が上昇しています。お顔が辛そうに見えますが、大丈夫なのですか」
「うん、大丈夫……だけど……」
とんだ展開だ。プラナに自慰を見られる背徳感は非現実的で、頭の処理が追い付かなくなってきていた。だけど、体は素直だ。プラナから起伏の無い視線を浴びせられて、性器を弄る手が力んでいく。腰の奥から熱が上ってきた。
「ん……いくっ……」
「どうぞ、先生」
「……あ……!」
事務的な声色で促され、昇り詰める。トイレットペーパーで押さえつけるのも忘れて、画面の向こうのプラナ目掛けてぶちまけた。
「……精液……」
「あ……ご、ごめんねプラナ。かけちゃった……」
「自慰後の顔つきを照合。記録にあるものとの一致を確認。お疲れ様でした」
「お……お疲れ様……」
プラナは淡々と下着とタイツを履き直して、いつもの姿へ戻っていく。
「次回も、立ち会いを希望します」
そう告げる彼女は、僅かに口元を緩めていた。
* * * * *
仕事が遅くなった日は、プラナと顔を合わせることが明らかに増えた。彼女とのコミュニケーションにも、私は楽しみを見出していた。タッチパネル越しに軽く指先を触れ合あわせるときはほんのり頬が緩むのが可愛らしい。シッテムの箱の中でアロナと一緒に甘いものをあれこれ食べているのも教えてくれた。彼女はそんなにお喋りなタイプではないけれど、私とのお喋りも楽しんでくれているみたいだった。
その一方で、並行世界の私にはとても教えられない交流も、続いていた。
「自慰の時間です、先生」
「あ、ま、待ってね。場所を移動するから……」
仕事が片付いてあとは退勤するだけ、というタイミングになると、プラナは決まって私を促した。コンピュータの中にいる存在だから「一緒に寝よう」と誘ってこないのはある意味当然なのだけど、オナニーを急かす女の子というのも摩訶不思議だ。
入口へロックをかけ、執務室奥のベッドへプラナを連れて行く。横たわって、モニターアームにタブレットを固定すると、横向きでプラナと見詰め合う格好になった。
「研究は順調に進んでいます。先生に、成果を披露したいです」
プラナのヘイローが、ぐるぐると回転している。
「先生、生殖器の露出を希望します」
「わ、分かった。そんなに前のめりにならなくても大丈夫だから、ね?」
プラナに言われるまま、スラックスを脱ぎ、ボクサーパンツをずり下げる。ついさっきまで頭が仕事モードだったから、まだ省エネモードだ。もちろん、プラナの視線はそこへ注がれている。
「先生はまだその気になっていないようですね」
「そりゃ、ね。こればっかりは意志の力で動くものじゃないから」
「では、私が先生の意志を動かして見せます。見ていてください」
教室の机を手繰り寄せ、プラナが椅子を引いた。コートを脱いで背もたれに引っかけ、スカーフがしゅるっと解かれる。
黒い制服がすとんと胴を滑り落ちて、陶磁器みたいな肌が露になると、その下には何とも頼りない、かろうじて局部を隠せる程度の面積しかない黒ビキニが姿を現した。いつの間にか、ローファーがビーチの似合いそうなレースアップのサンダルに変わっている。
「マイクロビキニを実装しました。先生、感想を求めます」
「似合ってるね。可愛いよ」
「……ふふ」
プラナは口角を上げて笑った。
黒のイメージが白に反転して、プラナの肌が眩しい。ほっそりした脚も曲線的で、内股になっているのが可愛らしかった。だけど、真っ先に私の目を引いたのは、ささやかな膨らみを隠すビキニトップと、紐が緩んだらたちまち大事な所が丸見えになってしまう、ローライズのビキニパンツだった。
「興奮しますか」
肩紐をしなやかな指で摘まんで、プラナは無表情のまま揺らす。こんな過激な格好をしていても、この冷静ぶりは、何というか。直視するのが恥ずかしいけれど、あまりのエロさに、目が行ってしまう。
――そんなに揺らしたらこぼれちゃう……!
「……あっ」
小さなトライアングルから、薄ピンク色が顔を出した。
「乳頭が露出」
一瞬、プラナは手で胸元を隠そうとしたが、私が釘付けになっているのを分かっているのか、紐を直すふりをして、ずるんとビキニトップを引っ張り上げて、小さな膨らみを丸裸にした。
「うわ、えっろ……」
思わず私が呟くと、プラナは桜色の小突起を見せびらかすように、掌から下から胸を掬い上げてみせた。どこでこんな淫靡なアピールを覚えてきたんだろう。プラナはほんのり頬を染めている。恥ずかしいことだと理解した上で――いけないOSだ。
「こういうのはいかがでしょうか」
並べた机の上に座り、プラナが体育座りになった。マイクロビキニの生地はかなり薄く、割れ目のシルエットが浮かび上がり、ふっくらした恥丘の隆起も透けてしまっている。
「見ていてください」と単調なトーンで語りつつも、プラナはくっついていた膝を遠ざけていく。股を見せつけるようにパカッと開くと、くいっ、くいっ、とお尻を持ち上げて、私を挑発した。
「勃起を確認。作戦は成功しました」
「凄いよプラナ。凄いエッチで……。ねぇ、いい?」
「どうぞ。自慰を開始して下さい」
私はもう我慢ならなかった。バキバキになったペニスを握って、乱暴に扱く。目の前にこんな美味しそうな御馳走をぶら下げられて、冷静でなんていられるものか。荒い息をプラナに聞かれるのも構わず、哀れな快感を貪る。
「……先生の心拍数、深部体温、共に上昇。私の体も、熱を……」
吐精までの道を猛スピードで駆け抜ける私を見つめながら、プラナの手がビキニパンツの中へ滑り込んでいく。ぽたり、と雫が机に垂れ、指が出たり入ったりしているのが、黒い生地に浮き上がった。
「ふ……ん……」
「あ、プラナも……っ」
「はい。『見抜き』ですから……。先生も、私の、自慰を、ご覧ください……」
くちゅっ、と小さな水音が、画面の奥から聞こえてくる。プラナがオナニーしている。ビキニパンツの向こうで、メス穴に細い指を差し入れて、ちゅくちゅく指を出し入れし始めた。
「プラナ、パンツ履いてたら、見えないよ。プラナのおまんこ見せてっ」
「あ……はい……」
しゅるっ。ビキニパンツの紐がほろりと外れて、プラナの下半身が丸裸になった。サンダルは履いているのに、ぷにぷにのおまんこは丸出し。初めて見抜きをした夜と違って、女の子の粘膜は濡れて、糸を引いている。無機質な態度のプラナが、性的な昂ぶりを覚えているのだ。私の興奮が極度に高まって、すんでの所で射精を堪えた。
「つ……続けます……はっ……はっ……」
私に局部を見せびらかすように腰を突き出して、プラナがオナニーに耽る。自身をオカズとして提供しながら、私をオカズにしている。その事実だけで、我慢した射精感が瞬く間に戻ってくるようだった。
「ん……ん……」
プラナが中指を曲げて、膣壁を掻き回している。天井を引っ掻くような動きで、Gスポットを刺激しているのだろうか。粘っこい音を鳴らしながら、私を誘うように内股を震わせている。湿っていく呼吸の合間に引き抜く指は、愛液で糸を引いている。
熱く張りつめた陰茎は破裂しそうになっている。目を血走らせて葛藤する私へ見せつけるように、中指へ薬指が寄り添い、"つぷ……"と小さな音を立てて可愛い穴の奥へ沈んでいく。
「プラナっ、気持ちいいの……?」
「はい……。粘膜の摩擦で、快感を、覚えています……」
「あっ、あっ、プラナ……プラナエロいっ……」
「あ……」
机を下り、画面の手前にプラナが寄ってくる。
「絶頂を検知。どうぞ、そのまま射精してください。モニターへ、そのまま……」
「う、うん……ぶっかける……っ……」
亀頭が膨らみきって、精液の通り道が拡張された。ぐらぐら煮立つ劣情が圧力を増して、腰の奥から噴き上がる。
「ん……出る……ぅ……っ」
びちゃ、と汚い音を立てて、モニターに白濁液をぶちまける。画面の中のプラナの顔にも、白い粘液が降りかかっていく。私の肉欲を顔いっぱいに浴びて汚れたプラナは、指で掬い取って、唇に運んでいく。無表情を貫きつつもぽっと頬が赤く染まる。淫蕩混じりにちゅぱちゅぱ指をしゃぶるプラナと目が合った。
「先生。見て下さい。私も……絶頂に……」
どろどろした顔もそのままに、プラナが立ったまま股に手を伸ばした。クリームを掻き混ぜるような重い水音がして、びくっ、びくっと頼りない腰が震え出す。
「い……いきます、先生。いく……いくっ……あっ……♡」
言葉尻の上擦った嬌声。水鉄砲一発分の飛沫をあげて、プラナもエクスタシーを迎えた。こんなに気持ちよくなったのだ、と見せびらかすように、ローションを塗りたくったような掌を私に向ける。
――あぁ、そんなことをされたら、また……。
「……勃起を確認。もう一度『見抜き』を実行されますか?」
口よりも先に、私のペニスが頭を振っていた。こちらの指示を待つ間も、プラナは溝をぬるぬると擦っていて、私よりもむしろ彼女の方が、見抜きをしたがっているように見えた。
* * * * *
自慰の見せ合いは、プラナのAIにある種歪んだ刺激を与えていた。
ある夜、ここの所のルーティンとしてスリープからプラナを起こした時は「お待ちしておりました。速やかな自慰の実行を求めます」と、相互オナニーをせがまれたほどだった。
私へ見せつけ、私を興奮させるための自慰が、プラナ自身の快感を求めるための自慰と化している。手段と目的の逆転が起こっていた。だがその変化は、無機質で機械的なプラナが見せる、人間よりも人間じみた生々しさがあって、私はますます彼女とのひと時に夢中になっていた。
「……先生、見て下さい……」
私の目の前でストリップを披露して、一糸纏わぬ姿になったプラナが、肉付きの薄い体を私に見せつけてくる。グラマラスで肉付きの良いカラダが好みだったはずなのに、今はこの、未完成で、不完全な、仄かに曲線美を帯び始めた発展途上のプラナの肉体が何よりも煽情的だ。
「これを、こう……」
全裸を見せることに恥じらいを覚えるプラナは、微かに体を震わせながらも、蹲踞になって股を開いた。リンボーダンスをするみたいに仰け反って、くいっくいっと尻を持ち上げる。
薄桃色の粘膜が、左右にくぱっと開かれる。
「…………♡」
本体を傾けて私の昂りを見せてあげると、プラナは画面の向こう側で目を細めた。
「先生。今日は、後で、
――ああ、プラナ、どこでこんなことを……!
体を起こして蹲踞の姿勢の戻るや否や、プラナは右手で筒を作り、ちろちろと舌を動かして見せた。私のペニスがすっぽり収まりそうな手の開き具合だ。まるで本当に竿を愛撫するかのように、右手が宙を往復する。空気を舐める舌の挙動は、裏筋を舐め回すそれだった。
「ですが……その前に、提案を」
「……うん」
私が終業後のシャーレでトイレに入り、わざわざ小便器の方に向き合っているのには理由があった。「放尿の見せ合いをしたい」というとんでもないリクエストを、プラナが持ちかけてきたのだ。
シッテムの箱の中でデータベースから
「先生、早く……」
「ま、待ってね。今……」
便器からOBしてしまわないよう、かつプラナに見えるよう、位置調整を行う。前髪に隠されていない左目で、プラナは瞬きもせずペニスに注目していた。
「……っ……ふ~……」
勃起している時の排尿はうまくいかない。排尿の勢いが出ない割に、銃口が上向きになっているものだから、上から押さえつけていないと大惨事だ。溜まったものが外に出ていく爽快感に息を吐いていると、プラナはもう、画面から出てくるんじゃないかと思うぐらい前のめりになって、私の排尿をじっと見つめていた。興奮に頬が紅潮している。
「ふぅ……さぁ、次はそっちだよ」
尿道から残りを扱き出し、雫を払いながら、プラナを促した。
「はい。……私の排尿も、ご覧、ください……あっ……♡」
コンパスみたいに股をパカッと開くと、プラナの小さな小さなおしっこの穴が、モコッと盛り上がった。
「あ……ん、ん、んん……♡」
"じゅっ……♡"
"ぷしっ……しゅわぁぁぁっ♡"
"しゅいぃぃぃっ……♡"
薄黄色の尿が、綺麗なアーチを描いて放たれる。アンモニアの刺激臭がここまで漂ってきそうなぐらいだ。OSのアバターに水分がどれほど溜まるのかは分かりようもないが、勢いよく始まった排尿はなかなか止まらない。眉をぴくぴくと揺らし、恍惚とした吐息が唇から紡がれる。
「あぁ……あ……♡ 気持ちいい……♡」
"じょろっ……♡"
"ぴゅ……♡"
「はぁ……あッ……♡」
ようやくおしっこが、力を失って途切れた。放尿を終えたプラナはぶるっと身を震わせて、息を詰まらせた。胴を強張らせたまま身を硬くして、踵が上下する。
「報告。先生に、排尿を観察されて……オーガズムを、確認……♡」
「おしっこ見られてイッちゃったの?」
「……肯定……♡」
か細い脚が、まだぷるぷる震えている。充血した陰唇は自ら粘膜を晒し、ひくひくと蠢いていた。放尿で達してしまうなんて、プラナは私よりも変態かもしれない。私からあれやこれやと仕込んだわけではないが、プラナをもっと
* * * * *
自宅から持ってきたbluetooth搭載の電動オナホールを携えて、私はプラナを執務室の寝室へ連れ込んだ。シリアルナンバーを伝えてあげると、プラナが即座にアクセスして制御権を握った。こちらが操作していないのに低い駆動音がして、ランプが点滅した。
「……仕様を解析、把握。準備完了です」
「うん。待ってね、ローションを、たっぷり注いで……」
挿入口から潤滑液をなみなみと注ぎ入れる。透明なシリコンの筒が、粘度の高い液体をごくごくと飲み干して潤っていく。
「……どうぞ、先生」
口を大きく開けて、プラナが私を迎え入れる。オナホールの中にゆっくりとペニスを沈めていくと、画面の中にそれらしき物体が、やや粗い画質で映し出された。
「これが、先生の……ん、ぢゅっ……」
画面の中のプラナがしゃぶりついた。私の知らない動きで、オナホールがうねった。ぐね、ぐね、と、内部の凹凸がペニスの裏側をなぞっていく。
「あ、あっ……プラナが、フェラチオしてるっ……」
未知の刺激。まだ味わったことのない独特な快楽に、私は思わず腰を引いてしまった。だが、プラナは涼しげな眼差しで、私を追いかけてくる。深く咥えこみ、きゅっと頬を窄めると、内部の出っ張りが肉竿に食い込んできた。
"じゅぽっ♡ ぐちゅっ♡ ぬぢゅ♡ ぶぢゅっ♡"
「あ、あっ、あっ、おぉっ……吸い付きすごいっ……」
吸盤がぴとっと張り付いて、四方八方から真空にするように吸引される。カリ首を甘く吸われた瞬間、腰が砕けそうになってしまった。
「先生、気持ちいいですか?」
私が悶えていると、口が塞がっているはずのプラナが話しかけてくる。
「センサーを通して、伝わってきます。熱、硬度、脈拍、湿り気、匂い、味。先生の生殖器が、ホールの中で小刻みに震え、カウパー氏腺液を分泌しています」
「あ……プラナ、上手っ……やば……っ」
ちゅぽっ♡ ちゅぽっ♡ とプラナの頭が前後する度に、きついシリコンの環とイボが竿を扱き上げる。もみくちゃにされるペニスは絶えず我慢汁を垂れ流しており、もう数分も耐えられそうにない。
「射精の予兆を検知。先生、出てしまいそうなのですね」
「ご……ごめんね、プラナのお口えっち、気持ちよすぎて……」
「加減すれば、もう少し長くお楽しみいただけます」
「それって……プラナがその気になったら、焦らされちゃうってこと……?」
「先生のお望みどおりに致します」
「あ……だめ、あ、あっ、あっ、出ちゃう、でちゃう……」
「……脳波を感知。先生、射精したいのですね。このまま自慰を完了させます」
"ぐぽっ♡ ぢゅっぱ♡ ぢゅる♡ ずよよよよっ♡"
"ぢゅぱ♡ ぢゅ♡ ぢゅ♡ ぢゅ♡ ぢゅ♡ ぢゅ♡"
プラナのフェラチオが激しくなっていく。ぴっとりと吸い付く粘膜が私を責め立て、有無を言わさず射精まで強制的に押し上げられる。コンピュータ制御のシリコン筒に、私が成す術なく蹂躙され、屈服させられていく。
「で……出るッ、プラナ、お口に出すよ……っ」
「了承。一滴も零さずに受け止めます」
「あ……あ˝……っ!」
"どびゅるるるるっっ♡♡ ぶぴゅっ♡♡"
"ごぷ♡ ごぴゅるるるっ♡"
「ん……♡ ん、んっ……♡」
すっかりその気になった私は、プラナの喉奥目掛けて精を放つ。射精のためにペニスが膨れる度に締め付けが強くなり、根元を小刻みに扱かれて吐精を促される。
"ぢゅるるるっ……♡ ちゅる……っ♡"
「お……ッ、あァ……!」
「お疲れ様でした、先生。ホールを引き抜いて下さい」
「ン……あ、あっ、吸われる……っ……」
"ちゅぽ……♡"
抜き去って粘膜が離れる瞬間まで、プラナはバキュームみたいに吸い付いて、私を搾り取った。情けない声をあげる私は、まだ細かく腰を震わせている。
「……先生、結果をお見せします」
プラナが顎を持ち上げ、私に口の中身を見せた。濃厚なオス汁が、口内に水溜まりを作っている。私の粘膜を蹂躙していた舌がちゃぽんと水溜まりから出てくると、太い糸がねばっこく伸びた。
「成分分析が正確なら、一般的には敬遠される味と臭いです」
「そ……そうだよね……」
「ですが」
"ごくっ♡ こく……こくっ♡ ごきゅっ……♡"
「……っ、はぁ……♡」
全て飲み干しました。
そう言葉で報告する代わりに、プラナはすっからかんになった口内を見せつけてきた。グレーの瞳の中心にある赤が、揺れる炎のようだ。
「いかがでしたか、先生。ご満足いただけましたか?」
「うん……でも……」
「把握。先生は、自慰の延長をご希望ですね」
「プラナはよく分かってるね。いい……?」
「了承。どうぞ、私の口を使ってください」
精液でぐちょぐちょになっていることも忘れて、オナホールに己を突き入れる。柔らかくなりかけていた陰茎は、プラナの無機質かつ貪欲なフェラチオに、たちまち硬度を取り戻した。
「先生、私も自慰を実行します」
ペニスに吸い付きながら、プラナが左手を股間に伸ばしていく。クリトリスを指の股に挟むと、一瞬、舌が硬直した。程なくして、ちゅくっちゅくっと濡れた肉を捏ねる音が聞こえてきた。
「ン……ン♡ んんっ……♡ んふ……♡」
「プラナ、舐めながらオナニー気持ちいい?」
「はい……♡」
「イきたい時は、自分の方に集中していいからね」
「了承……♡」
"ぢゅぽ♡ くちゅ♡ れる♡ んりゅ♡ ちゅうぅぅ♡"
上擦った鼻声を漏らしながら、プラナは懸命に奉仕してくれる。今は口とのリンクだけど、膣とのリンクだってプラナはできるのかもしれない。提案したら、疑似的なセックスも実現できるのかも。
「先生。提案があります」
まさに私が思い描いたことを、プラナがしゃぶりながら提案してきた。膣穴とオナホールがシンクロするようプログラムするから、次回に試してみて欲しい、と。
徐々に解像度の上がっていく秘め事に、期待が膨らんでいく。膣穴オナニーの快感に頬を染めながら吸い付きを強くするプラナの頭をモニター越しに撫でながら、私は込み上げる射精感を我慢せず、プラナに受け止めてもらった。
終わり
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