「はい? 申し訳ないのだけれど、もう一度言ってくれる?」
外を歩いていた湊友希那は、対面する男のなぜかひどく高揚した赤い顔を見つめた。
「汗だくセックス、させてほしい……」
男は恥ずかしそうに先ほどの友希那への『お願い』を復唱した。声質には性欲だけを凝縮したようなねっとりとしたものがあり、さらにその目は友希那の胸元に向いていた。
「あなた、自分が何を言ったのかわかってる? 私じゃなければ、通報ものよ?」
友希那ははっきりとした声で突き放した。男の申し出など言語道断であり、たとえ天地がひっくり返っても実行などしないと確信できた。
「ううっ、ごめんなさい友希那ちゃん……。でも、でもぉっ、歩いてる友希那ちゃんのこと遠くから見てたら、ちんちん立っちゃって……」
男は呟きながらズボンとパンツを一気に下ろした。すると股間の中心で大きくそそり立つ陰茎が友希那に示された。その逞しい先端は斜め上を向いており、ちょうど友希那の顔面に向かって飛び出そうとしているようにも見えた。
「遠くから見てた? あなた、ストーカーの才能でもあるんじゃない?」
友希那は声色に皮肉を込めて男を睨んだ。
「そ、それはっ、友希那ちゃんのこと、これからもストーキングしても良いってこと?」男は俯きながらもぎらついた視線を友希那に向けた。控え目だったが、内包する性欲ははっきりと存在していた。
「はぁ?」
友希那は眉間にしわを寄せながら叫んだ。
「ご、ごめんなさい……」
「はぁ……。本当にどうしようもないわね」友希那は腕を組んでため息交じりに呟いた。「でも、ファンの人の要望に、快く応えるのがプロ……」友希那はしっかりと思考しながら言葉を出した。「流石におまんこを差し出すのは無理だけれど……、そうね、私の頭皮の臭い嗅ぎながら、その勃起おちんぽシコシコして、このスカートに射精する、くらいなら良いわよ?」
「え、ええっ……」男は本気で驚いたような顔をした。「友希那ちゃんのスカート、僕専用のザーメンティッシュにして良いの?」
「ええ。プロの音楽家として、ありとあらゆる異質な性癖に応えるのが道理だと思うの。だからあなたのどうしようもない性欲、私で発散しなさい」
「や、やったぁっ!」
男は叫びながら友希那に抱き着いた。
「ちょ、ちょっと……。いきなり抱き着かないでっ……」
男の太い腕が絡みついた友希那は、胸元に顔を埋める男に戸惑った。
「ぐへへっ。友希那ちゃーんっ! 好きぃ……」
男はそのまま友希那の後方に周り、引っ付くようにすると友希那の後頭部に鼻先を埋めた。そのまま勢い良く吸引すると腰の陰茎を素早くしごき始めた。
「ううっ……。友希那ちゃんっ。友希那ちゃんの臭いっ……。シコシコするの気持ち良いよおっ……」
友希那の体臭を感じながら一気に竿をしごき上げると、男はすぐに、自身の睾丸から上がって来る射精の衝動を感じた。
「うふふっ。友希那の臭いっ……。最高だあっ……」
「煩いわね……。言われなくても、あなたが蒸れた頭の臭いで興奮して、そのまま私に認知されながらおちんぽしごくの最高だってことぐらい、わかるわよ……」
「全部解ってる友希那ちゃん好き……」男は友希那の後頭部に話しかけるように呻いた。
「好きしか言ってないじゃない……。まったく」
友希那は自分の後頭部でフガフガと鼻息を荒くする男に呆れながら、しかしその粘り強い性欲のことを理解して声を出した。下を見ると自分のスカートに男の竿が触れており、亀頭の周辺に存在している黄ばんだ恥垢がそのままスカートに付着したが、友希那は平然とした顔でそれを眺めていた。
「ね、ねぇ、友希那ちゃんも、僕のこと好き? 僕たち、相思相愛だったりしない?」
「……あなたのこと? そんなの嫌いに決まってるじゃない。応援してくれるのは素直に嬉しいけれど、だからって私がなんでも言うこと聞くって勘違いして、生セックスを直接お願いしてくるなんて、非常識極まりないわ。あなたみたいな異常性癖者は、これからずっと私のフェロモンでシコってれば良いのよ」
「ご、ごめんなさいっ……」男は呻きながらも陰茎のしごきを速めた。睾丸でぐつぐつと栄えている精液の感覚がはっきりとわかった。また、亀頭の先から透明なカウパー汁が垂れ、それが友希那のスカートに着地した。「でも友希那ちゃんでシコるの止まらないっ……。友希那好き……」
「……ところで、あなた名前はなんだったかしら?」
友希那は唐突に浮かんできた疑問を何気なく口にした。
「え、そんなのは良いんだよ。友希那ちゃんは催眠で僕に操作されて、馬鹿みたいにスカート差し出せば良いのっ」
「よくわからないけれど、そういうものなのかしらね……」
友希那は男の欲望について思考したが、どんなに考えても納得のいく答えは出てこなかった。
「そうだよっ。あぁっ、もう出るよぉっ……。友希那ちゃんのスカートに射精するっ。友希那のスカート妊娠させるっ……」
「スカートは妊娠なんてしないと思うのだけれど」
「――ううっ、出るっ!」
男は呻くと竿を友希那のスカートに押し付けた。同時にその先端から白い粘液が飛び散り、黒色のスカートに目立って付着した。男の射精はいくつかの『波』があり、男が竿をしごくとその度に先から精液が迸ってスカートにべっとりとこびり付いた。
黒色の上で滞在する精液たちは、その粘り気を遺憾なく発揮してスカートにまとわりついた。それは男の分身たる精液たちが、友希那のスカートという、どうしようもなく蠱惑的な性の目標に、何が何でも自身の存在を示し、その白濁という不気味な見た目を、友希那自身に印象付けようと努力している証拠だった。
「ふぅっ……。出た出たっ。友希那ちゃんのスカートにたっぷり出したっ」満足感を得ている男は呟きながら、亀頭の先に少し付いた残りの精液を、竿を持ってスカートに擦り付けた。濁った白色の精液がスカートの上で伸びて付着し、確かな汚れとして存在した。「ところで友希那ちゃん、この後なんかあるの?」
「彼氏とデートよ」
友希那は淡々と答えた。脳裡に、慣れ親しんだ彼氏の顔が浮かんだ。
「彼氏、いたんだ……」男は露骨に落胆した声を出したが、すぐにその顔はパアッと明るくなった。「それじゃあさ、このまま僕の精液マーキング付けたまま、彼氏クンとデートしてよ」
「はぁ……。嫌だって言っても、どうせ駄々こねるんでしょう?」友希那はため息を吐きながらスカートの精液の一部を指で擦るようにして取り、口に運んだ。「ひどい味ね」