一ノ瀬志希さん、Pから死ぬまで退屈できなくなる勢いでイカせてもらう 作:ふりーじ屋/家庭内禁書
原作:アイドルマスター
タグ:R-18 Pドル 一ノ瀬志希 パイズリ フェラ アイドルマスターシンデレラガールズ
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ネタバレ:志希にゃん主導→P主導、関係はあっさりプレイはじっとり
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「体が冷えるぞ」
「蒸し暑いぐらいだよ~」
雨は夏らしい急なざんざん降りから、季節が逆戻りしたようなしとしと降りに変わって、アイドル・一ノ瀬志希の自宅の窓にぶつかって垂れ落ちていた。
窓の内側では、志希より一回り近く年上の男性である担当プロデューサーも、彼女とそろって濡れねずみだった。2人ともタオルで体を拭くのもそこそこに、気だるく視線を交わしたりそらしたりしていた。
「先にシャワー浴びてきたら? キミは服を乾かすでしょう」
「レディファーストという考えもあるぞ」
「ここではあたしがホストだけどね~、いっしょに入る?」
志希の姿はにわか雨に降られたままだった。腰近くまで伸ばしたダークブラウンのウエーブヘアがしんなりして半ばストレートと化していた。外で着ていたニットのオフショルダートップスを脱いで、黒のキャミソールが濡れたまま肌にぴったりと張りついてしまっていた。
その姿で彼女はキャスターつきのイスに腰を下ろし、背もたれに前かがみになってもたれかかり、靴下を脱ぎ捨てた素足で床をぺたぺた蹴って、座面ごとくるくる回転する。
彼女のしっとりした肌が、彩度の低いその空間の中で、彼にとってほとんど唯一の色に見える。
「ここからシャワーってどうやって浴びに行くんだ」
「……あっちの鍵を開けなきゃ」
「めんどくさくなってきた」
「じゃあコーヒーでも飲もうよ、ビーカー入りでいいよね」
「コーヒーはこっちで淹れられるのかよ」
「実験に必須でさ~」
2人が雨宿りするそこは、アイドルの自宅と紹介すると冗談に聞こえてしまう空間だった。床がコンクリート打ちっぱなし、内壁もパネルがむき出し、照明も配線むき出し、出入り口に大型の電動シャッター……とまったく住居らしくなかった。本来の用途はガレージで、隣の建物に居間や浴室や寝室がある。
床下がなく降雨でじめじめしている。床にサッカー台のようなテーブルやすのこが置かれ、それらの上に電動撹拌機、ビーカーやフラスコやピペットなどの実験器具、パソコン、怪しげなマークや英文が印刷された瓶やダンボール箱がいくつも、とアイドルに似つかわしくない物品が並んでいる。元ガレージは、志希が趣味とする「アヤしい科学実験」に使うため改造されラボもどきとなっている。
「夜更かしはほどほどにしてくれよ」
「あたし夜型だもん。日が沈んでからが、あたしの本番……キミもそうでしょ? いまは夕方だけど」
志希はアイドルとして、よく言えばミステリアス、悪く言えばうさんくさいと評される。18歳のころ、このプロデューサーがほかのアイドルの撮影に立ち会っているときに興味本位で声をかけて、口八丁手八丁でアイドルになった。彼と出会う前の経歴がさらにイレギュラーで、アメリカで大学院まで飛び級して化学、生理学を研究していたが退屈すぎて飽きて日本に戻りぶらぶらしていた、と彼に語った。
彼としては、その口ぶりをさして信じず――念のためにShiki Ichinoseを著者とする論文を確認してみたが英文サマリーだけでギブアップした――とりあえず候補生にしてみよう、という程度に彼女のスタイルと話術を評価した。
「そもそもガレージで寝起きする時点で良くないんだが」
「実験にハマってるとドア1枚開けるのもめんどうでさ……そこで、手づくり段ボールベッド~♪ 小学生の自由研究みたい」
「これ俺が座っててもだいじょうぶなんだな」
「耐荷重は……未検証だけど、キミとあたし2人ぐらいならどうにかなるっぽい。筋交い入れるだけで意外といける」
「地震とか洪水とかで避難所に行かされたとき役立ちそうだな」
志希のスタイルは、プロフィール上の数値が身長161センチ、体重43キロ、スリーサイズが上から83、57、82――サバ読みなし――彼女のズボラな生活習慣に反してかなりのものである。顔は、大きく丸い目や「キューピッドの弓形」が目立つくちびる、目に劣らず丸っこい輪郭、もさもさしたウエーブヘアなどが合わさり、よくペルシャネコにたとえられる。
売れっぷりは、若手プロデューサーである彼の担当中でダントツのトップに位置する。歌やダンスは飲みこみが早いものの飽きっぽくてそれなりどまり。トークは飄々とした素のまま。「女の子の匂いが大好き」でアイドルの仲間やライバルが近くにいるとだいたい楽しそうにしている。しかし時折ひどい気まぐれを起こして、仕事前に勝手にあちこちをぶらぶら歩き、街中で店や通行人をじろじろ眺めたり、公園や河原があれば草木や鳥や虫とたわむれたりしている。呆れたプロデューサーがプロフィールの趣味欄に「失踪」と書き加えてしまう。仕事に大きな穴を開けた前科こそないが、現場の評判は「芸能界基準でもかなり変な子」である。
いっぽうの強みは、大学院以上レベルの自然科学についてコメントができる点である。そうした人材は、華やかな女性アイドルの中では一ノ瀬志希が唯一でライバルがいない。親子向けの啓発イベントが増える夏休みや、ノーベル賞発表が話題になる秋は、志希とプロデューサーにとっての書き入れどきである。
「ちょっと検証してみようか、ほらほら近う寄れ~♪」
「志希が寄ってきてるじゃないか」
「えいっ。うんっ、どったんばったんしなきゃだいじょうぶっ」
志希がイスから立ち上がって、プロデューサーを座らせている「段ボールベッド」の隣にぼすんと腰を下ろす。ベッドと称するそれは、彼が見る限り段ボールの寄せ集めにマットレスとタオルケットを載せただけだったが、2人ぶんの体重を支えている。
「担当アイドルとベッドインなんていけないんだ~プロデューサー♪」
「これ寝心地いまいちそうだな」
「座り心地や寝心地がいいのは考えものだよ」
「そらまたどうして」
「いいイスは座りっぱなしになりがちで血行が悪くなっちゃう。いいベッドはふかふかして寝返り打ちづらくてこれまた血行が悪くなっちゃう」
プロデューサーは、志希とペルシャネコが似ている部分は首より上だけと考えている。もさもさした毛並み、大きい目と口、丸っこい輪郭、浅い彫り……と、顔立ちまでは確かにそれらしい。
志希の細い首や肩、起伏のある胴は、毛でもさもさしているペルシャとかけ離れたシルエットを形作る。志希の手足はすらりとしていて、奇行や失踪のために曲げ伸ばしされ毎日のように彼を動揺させる。ペルシャの丸く小さくちょこまかと動く手足とはまったく違う。
ペルシャの性格はネコとしては温和で人懐っこい、と彼は聞いたことがある。志希が温和だの人懐っこいだのと評された例を知らない。
「雨、夜まで続きそうだね~」
「わかってて『失踪』しただろお前」
「顔を洗いたくなったのさ、にゃんにゃ~ん……嫌なのか~い?」
志希が白い歯列をすっかり見せるほど口角を吊りあげながら、プロデューサーの肩に頬やあごをこすりつける。彼の腕に、キャミソールとストラップレスブラごしの乳房まで押しつける。
雨のように湿っぽく桃のように甘ったるい匂いが彼を襲う。
「俺ぁ汗くさいだろ」
「知ってる~♪」
「やっぱりシャワー浴びてくるよ」
「いや~ん、オンナのコをベッドに置き去りにするなんて~」
彼が首元をくすぐったく感じるほど、志希はすぅはぁと大きく息を吸って吐く。
「キミにあたしと追いかけっこさせて、雨に濡らして、あたしが好きな具合に汗くさくさせたんだよ」
「はぁ」
「む、気のない返事~」
「志希に振りまわされるのも慣れてきたよ」
「およよ、こうしてアイドル・一ノ瀬志希ちゃんは飽きられてただ消え去るのみに」
「慣れてなかったら、とっくに胃潰瘍で病院送りか心臓麻痺で火葬場送りだ」
「にゃはは、志希ちゃんったらデンジャーなシゲキブツ~♪」
「危険物で言ったら何類だろう」
「ヤケドしちゃったら労災おりるのかにゃ~」
「おりないだろうなぁ」
彼に奇行をたしなめられ、志希はべたべたすり寄ってうやむやにしようとする。まだ彼の「慣れ」の範囲内である。
「あたしが補償しなきゃいけないかなぁ~?」
「補償してくれてもからかい放題にならんぞ」
「じゃあ補償やめまぁす」
彼が志希の細い肩に手を回すと、志希はますますすり寄ってくる。
「ぁ、んっ」
「セクハラで訴えられる頃合いかな」
「キミのハートをアタックしちゃうぞ~」
「それじゃ死にそうだ、せめてブレイクにしてくれ」
キャミソールの内側から漏れる体臭が一段と濃くなる。
志希がわざとらしく舌なめずりしてから、彼の濡れたスラックス越しのひざを指先でするする撫でる。
「こーゆーコトされて、困っちゃうぐらいコーフンしちゃいそうでしょ」
「そうだな」
「もっと照れくさがったり焦ったりしてくれたら、からかい甲斐あるのに」
「人目がないし」
「へぇ、プロデューサーのえっち~♪ 人目があったらできないコト、志希ちゃんとシたくなってきたね~?」
指先が彼のひざからするする上がる。股間にたどりつく寸前、手首をつかまれる。
「細いな、志希の」
「ドキドキしてるでしょ、撓骨(とうこつ)動脈だよ」
「してなかったら困る、この色仕掛けじゃ済まないぐらい」
「色仕掛けって意識しちゃったんだ~」
「俺がおかしいみたいな言い方しやがって」
「このぐらいのタッチでやらし~ぃ気持ちになっちゃう人に、アイドルのプロデューサーが務まるかな~?」
彼が志希と腕やら指やらを絡めたまま、すり寄ってくる43キロを押しかえすと、志希の肩と背中がぐらりと傾ぐ。押し倒す、と言うにはゆったりと志希にのしかかる。
「確かに、どったんばったんすると壊れそうだ」
「Love me tender♪ じゃないと壊れちゃうベッド! ってコピーつけて売ってみようか」
「材料が段ボールなのにロマンチックだ」
「段ボールいいじゃん、木やプラスチックや金属より、ろー・かーぼ? で安いから若者にも受けるよ~」
「ツッコまないでおくぞ」
近すぎてお互いの顔に焦点が結べなくなる。呼気が否応なしに感じられる。
「ドキドキ、してるでしょ」
「そうだろうかね」
「いつもこうなら、何にも飽きなくて、退屈しないで済むんだけど」
「それはそれで寿命が心配になる」
「へぇ、長生きしたいの?」
「ちょっとだけ気にしてる。ヒトもゾウもネズミも心臓が15億回うったら止まる、って話を子供のころ聞いてさ」
志希の後ろ髪の半分を下敷きにしてしまっている気がして、彼が身を退けかけ――志希の腕に引き寄せられる――体の一部が斜張橋のようにピンと張られる。
キャミソールの肩ひもがずれて、バストの上半分が彼の目にもあらわになる。雨雲にほとんど隠れた夕日だけが光源の薄暗いガレージで、ぼやけたビキニラインの日焼け跡が目につく。
「15億回もうつかわからないけど、あたしのそのいくらかをキミだけにあげるよ」
「……志希」
「もちろんキミも、あたしだけにくれるんだよ、15億とは言わないけど」
匂いと吐息で念押しされ、彼が志希の首へ頬をくっつけながらうなずいた。
※
「キミといっしょにアイドルのおシゴトしてるの、けっこう気に入ってるんだけど」
「もう少しだけ失踪を減らしてくれると、プロデュースやらマネジメントやらする側として助かる」
「キミとはどったんばったんしてるほうが楽しいかも……キミは?」
「退屈からは程遠い」
お互いの着衣がしわくちゃになるほど身を寄せあって、かろうじて届く声でささやきあう。肩や腕やももを身じろぎさせた瞬間もう一人の肌に伝わる。肺の拡縮を促す横隔膜も、さっきからうちっぱなしの心臓も推し量れる。
「もっとロマンチックなお言葉が聞きたいにゃあ」
志希が彼にむにゅむにゅとバストを押しつける。トップ83のEカップが誘うように――それでいて胸の向こうを隠すように――むぎゅむぎゅと反発する。
「あたしは……キミがあたしを追いかけて、この蒸し暑いので汗だらだらになって、雨に降られて……にゃはは、勝手に鼻歌が飛びだして足がスキップしちゃった」
「俺がカゼを引いたら、代わりは頼んだぞ」
「あたしったらジョビ器官を制圧されてフェニルエチルアミンどばどば~♪」
「恋の病じゃ病欠にならんだろうな」
「生理現象を恋って言っちゃうの単純化しすぎ~」
「恋よりも生理現象のが複雑なのか」
「あたしの知識と経験の範囲ならね」
彼が会話をあきらめると同時に、志希が彼に抱きついたままごろりと寝返りをうつ。狭いベッドから落ちかける。キャミソールの肩ひもがすっかり落ちてストラップレスがあらわになる。
「おっぱいはお好き?」
「好きだとも」
「あたしのでも?」
「申し分ない」
「プロデューサーにほめられちゃった♪」
「うれしいもんかな、こんなほめられかた」
「オンナのセックスアピールを切り売りするプロからお墨付きだよ~」
ストラップレスもずらされて、ただアンダーバストを支える装身具になる。アイドルとして見せてはいけない志希の乳首が、むにゅむにゅとした乳房からもうひと回り乳輪ごとぽってりふくらんでいる。ナチュラルカラーリップに似た薄桃色の輪郭が、興奮をあらわにしている。
「んっ、ふふ、にゃはは……おっぱい、もっと触って……ちゅぱちゅぱって、吸ってもいいよ」
「うわ」
「どうしたの」
「ほんのちょっと、志希に母性を感じてしまった」
「うわ、って言うコトじゃないでしょ~!」
彼が乾いた笑いをうかべてから、志希の乳房へ顔を寄せる。あいさつのバードキスのように、乳首へくちづける。
「あんっ、ほっぺた……ひげ、ちょっと伸びちゃってるね、ざらざらしちゃうっ」
「それは失礼」
「もっとずりずりして、ざらざらさせて」
「では遠慮なく」
「ホントなら遠慮しなきゃダメなんだぞ~、バレたら志希ちゃんもキミもタダじゃすまないんだぞ~」
「自覚あったんだ」
「でも……んっ、ぁ……失踪する志希ちゃんに振りまわされて……ゃ、う……ん、もっと……振りまわされて、ストレスたまっちゃうキミは……こんな役得でもなきゃ、胃潰瘍や心臓麻痺にやられちゃう……♪」
乳首へのキスがじれったくなってか、志希がさらに彼の顔へ乳房を押しつける。ふくらみで呼吸をふさがれた彼がもごもごと音を立てて首を振る。
「志希ちゃんのおっぱいで……おちんちんのほうも元気になっちゃった?」
「あ……脱ぐからちょっと離れてくれ、俺の着替えないんだろ」
「お、すっかりやる気~」
「これが志希のくれる役得なんだし、ありがたく甘えさせてもらうさ」
スラックスと下着を脱いだむき出しのペニスに対し、志希がはだけた黒キャミソールのままで相対する。彼をベッドに座らせて足を開かせ、その股間にネコのように肩を低くしてもぐる。彼の唾液と汗でほんのり湿った谷間にペニスをはさみかける。一こすり、二こすりして彼のうめきを聞いたあと、くちびるからだらりと唾液を垂らして上塗りする。
「うわぁ、がっちがち! 骨が入ってない?」
「イヌやネコじゃあるまいし」
「プロデューサーがコーフンして流れてきた血だけでパンパンに腫れあがってこうなんだ~」
「射精しようと思えばできそうだな、ってぐらいだ」
「触ったら痛いとかないよね? たんこぶみたいに」
「亀頭は……その、キノコの傘みたいになってるところは、敏感で」
「えいっ」
「んぎゃっ!? こ、こらっ」
「わぁ、ここ、ぷにってしてる!」
彼のペニスが志希のEカップで包まれる。ちょうどカリ首より先がぴょこんと谷間から飛びでる格好になる。
「つーんとキちゃう、くさぁ~い♪」
「っく……当たり前、だろ……チンポからいい匂いがしてみろ」
「泌尿器科にかからなきゃだね」
「そんな症状あるのか」
「さぁ……? ん、ちゅっ、へぷ、んぅ、れぅ……」
「ぉ、あっ、志希……!」
「れぅ、はむ……んくっ……痛いの痛いの、飛んでけ~♪」
谷間で竿をホールドしたまま、志希が首を曲げ舌を伸ばして亀頭をちろちろと舐める。胸のボリュームと首のしなやかさに彼はまず感心し、すぐにこそばゆい快楽で自分のくちびるを噛む。先走りと唾液が亀頭粘膜をコーティングするように塗られ、彼女の舌でちゅるちゅる混ぜあわされる。
「ぁ、ふ……志希、そこ、特に……!」
「んも~わかりやすいんだからキミは……」
亀頭がすっかりてらてらに、竿と谷間がびっしょりになってから、志希が裏筋に狙いをしぼる。乳房で逃さないよう押さえつけてから、くちびると舌で、優しげに、しつこくねぶる。
「ぁ、きゃ……♪ なぁに、キミもしてくれちゃう……?」
「……また、触りたくなって。さっきは……」
「んひゅっ……乳首、こちょこちょ、されちゃう……♪」
彼の指先で乳首をくすぐられながら、志希はころころと嬌声を漏らす。
「そういえばなんで乳首って勃起するんだろう。チンポは硬くならないと使い物にならないが」
「えー、志希ちゃんわかんなぁい」
「まぁ体の仕組みなんて理屈よくわからんこともあるか」
パイズリともフェラとも呼べるペニス愛撫をゆるゆる続ける。
「ぅ、ぉ……志希、そろそろ、続けられたら、出そう……」
「あたしもいい気分だよ……♪ おっぱいだけじゃなくて、体がすっかりふわふわして……っあんっ、おっぱい、くすぐったい……♪」
「志希こそ、こんなにパンパンになってるの触られて痛くないのか?」
「わかんなぁい……♪」
「……志希でもわからないのか」
「キミとシてて、さきっぽ、ぷくーってなっちゃって、こりこりって……こしょこしょされると、胸がきゅーって苦しくなるけど、もっとしてほしい……♪」
「うわ、あざとい……んぎゅっ!?」
志希が軽くアンダーバストを持ちあげ、亀頭を乳房ですっかり包む。そのまま肩や背中を使って、鈴口からカリ首までを乳房で揉むように強いパイズリを始める。たぱんっ、たぱんっと肌がぶつかる音も高いスパートで、痛みのように激しい快楽を与えられて彼がうめき声を漏らす。
「あざといのはキミもだよ~! ふだんかわいくてセクシーなオンナに囲まれても『おシゴトですから~』っておすまししてるくせに、あたしにこんなぱんぱんのおちんちん見せて~!」
「あ、うっ……!? ぐあ、くぁ、あっ! で、出るって言ってるだろ……ぉあっ!?」
「これからあたしが失踪するたびに、あたしとえっちできる~ってうきうきでアタマがいっぱいになっちゃうまでシてあげようか~?」
「で、出たら……髪とか着いちまったら――あ、ぐっ――とれなくて、困、ぁ……だから、とめ、ぇ、あっ……!」
「知ってるよ~、髪はホントに困る、洗ってもとれない……たまには、あたしを困らせる側に回ってみない?」
「これは俺も困る側だっての……!」
「あー……はい、じゃあ、こーしよ、ね」
乳房で竿をホールドしながら、くちびるをとがらせつつ半開きにして、ぢゅるぢゅると鈴口をくわえる。力を入れて丸めたくちびるで亀頭をごしごしと磨く。跳ねるペニスをとらえなおすように、めいっぱい口を開いてカリ首まで口腔に迎え入れる。頬裏と口蓋をずりゅずりゅこすりつける。
「あ、あっ……は、ァ……く、うぁああ、はぁー、し、志希、もう……限界、に……あっ……!」
志希が2度3度と奥までペニスを突かせると、彼がついに言葉を失って、胸や腹をびくびく波打たせながらおぼつかない呼吸をばらまく。
もう一押し、とばかりに志希が鼻から息を吐いて、頬をすぼめながら竿から亀頭まで激しく吸いつく。
「んぷ、んぐ……! ちゅ、れぅ、むぢゅっ、んんぐ、ぁぷ……っ! けほっ、ごほ、ぁ、ぐ……!」
射精の第一波が志希のノドへまともにぶつかってむせる。しかしフェラチオもパイズリも続ける。震える竿に歯が食いこんでつばぜり合いのようになって彼の快楽を煽る。
続く波も、志希はくちびるの端から精液をこぼしながら受け止める。
「ぴちゃ、れぢゅ、れぢゅ……ん、く、ん、んっう……!」
「志、希ぃ……もう、出たから……っあっ、出た、出たから……とりあえず、それは吐け、それは……ぁあっ!」
志希が顔を紅潮させながら、彼の声掛けを押しかえす。いかにもまずそうに眉根を歪めてごほごほとえずきつつ、まだペニスを離さず延々としゃぶる。
射精直後の追い打ちにもだえながら、やがて彼がぬらりと手をもたげる。志希の髪と背中を撫でる。撫でられた背筋がぶるりと震えて、志希は白濁液とともにペニスを口腔から吐き戻す。
「ぇう、けふっ、ごほっ……ふふ、まず~い……♪」
「ほら、ぺってしなさい、これ使っていいから」
「もう飲んじゃった」
「おなか壊したら困る」
「ふーんだ……あたしにおしゃぶりされて、あんっあんっ♥ って喘いでたくせに~」
「そんなにかわいく喘いでないし、それとこれとは別だろ」
「別じゃないよ~、キミの業界人らしいポーカーフェイスを引っぱがしたあとの声と味だよ~、そのハンカチあとでもらうよ」
「貸すだけのつもりだったんだが」
「けち~」
志希がベッドをのそのそと膝行して、どこからか緑・黄緑のラインが入った紙箱を引き寄せ、紙ウエスを引っぱりだして精液の残滓を拭う。
「それティッシュ代わりに使えたっけか」
「ティッシュよりおいしいらしいよ、食べたコトないけど」
「それこそおなかを壊す」
四つん這いのまま、彼に向けてわざとらしく尻をぷりぷり振ってみせる。肩ひもの外れた黒いキャミソールが、ヒップと太ももの肌を隠しつつラインを浮きあがらせる。
「引っぱがされた、ってことでいいか」
「声なんかかけないでいきなり触ってよ」
「セックスしていいなら、もうちょっとでいいから誤解しにくい意思疎通してくれると助かる」
「キミ相手だと余計なコトまで伝わっちゃいそう」
プロデューサーが無言で手を差し出して、指先だけヒップラインにちょこんと乗せてくる。ひざ下をばたばたさせて煽ると、彼に肩を抱き寄せられる。
「ぁ……ぷろ、でゅ……ひゃむっ、ん、れる、ひぅ……ぷふぁ、あっ……」
手足をもぞもぞして抵抗するふりをしながら、くちびるをむさぼられてやる。なかなか舌が挿入されず、わざと歯列どうしをぶつけてかちかち音を鳴らす。キスが長くなってお互いの鼻息までぶつかってくすぐったくなる。甘いのも酸っぱいのも塩辛いのもごちゃまぜになって、唾液がじわじわ漏れてあごや首まで濡れてしまう。
「んぢゅ、んぷ、ちゅう、んぷ、ぱぁ……っ、ふふっ、おしゃぶりしたあとなのに……お熱いベーゼ、お好きで……?」
「これで志希の口も少しは割れるかと思って」
「オンナのコはもっとしたたかだぞ~」
彼の手がデコルテを撫でてくる。先走りがかぴかぴしてきたバストをゆさゆさ強調しながら志希は笑う。
「あ、あぅ、んんっ……! えう、あ、ふ……!」
彼の手が志希の腋下をすりぬけ、わき腹をくすぐりながらブラの縁をなぞってくる。下乳ごとゆっくり引っぱってくる。そんな遠慮がちじゃなくてもっと触って、と胸を押しつけかけるだけで心地よくて、彼女自身でも危うく思う。
「んくっ……!? や、ぁ……♪ この、あまのじゃくぅ……」
「さっきはこっちぷりぷりさせてただろ」
「ゃ、あ、んんっ……ひぁ……! ふ、むぅっ、んんっ……」
彼の手が、こんどは志希の腰から尻を撫でてくる。汗と唾液で湿ったキャミソールと下着ごしに、尻たぶからアヌスにかけてを指でなぞられる。気遣わしげでいじわるな接触に、上も下もふくらみを押しつけて応じる。
ぬちゅ、ぐち、と下着の中から不埒な水音が聞こえると、彼の手がいきなりキャミソールをたくし上げ、志希の内ももを撫でてくる。指先を、なるべくわざとらしく見えるよう内ももではさむ。
「やぁん、むちむちしちゃってるの、触られちゃった……♪」
「志希って夜更かしのインドア派な割に、けっこうな健脚だよな」
「失踪であちこち歩きまわってるおかげ~、だからもっと失踪してキミをハラハラドキドキさせて……ん、ふぁあぅ……!? ……ぅ……!」
彼の中指と人差し指が、彼女の黒い下着の隙間から忍びこむ。愛液と布地をかき分けて陰唇に押し当てられる。膣の入口やヘソの近くまで触られたような幻覚が波打つ。
「おぉ……」
「こらっ」
「いてっ……!? 志希、何を……」
「いま、ほかのオンナのコと比べた~、マナー違反~!」
「はぁ」
「思ったより濡れてる、って言った! 誰と比べたの~!」
「言ってないぞ」
「顔が言った! 指先が言った! 呼吸が言った!」
「なるほど、余計なことまで伝わる」
「でしょ~」
体勢を立て直したプロデューサーが、志希の腰骨とベッドのあいだに両手を滑りこませる。彼からつつつ、と指先で脊椎の根本あたりをさすられると、志希は秘所を見せつけるように腰を突き出してしまう。ネコの毛並みを逆撫でしたようなごわごわした快感が這いあがってくる。もう気をやってしまってもいい機嫌になっている自分の体が、おかしくて笑う。
「まぁいいや、シよ」
「いいのかよ」
「キミとは追っかけっこの時点で前戯はじまってたよ」
「そう言われると、本当に志希が失踪するたびにエロい期待するようになるかも」
「なっちゃおうよ」
「あ、ゴム」
「お~お~用意がいいね~、就業時間中なのに要るかも~って思ってたんだ~♪」
彼がゴムを取り出して着けているあいだに、キャミソールをへばりつかせたまま下着を脱ぎ捨てる。彼を押し倒して腰に馬乗りになる。パイズリ射精の余韻から復活したペニスが鎌首をもたげて、上から迫る陰唇をかすめる。くちゅりと音が立って、彼の先端へこぼれた愛液をなすりつける。ほんの一瞬しか触れていなかった指先の感触がそわそわ騒いで、2本ぶん狙いが狂って入れ損なう。
「ふふ、えへ……子ネコちゃんみたいなしくじり~」
「うわわ、ぱっくりいってて、もう入れられたかと思った」
「キミも先走るね~……」
2度目に、膣肉でむんずとつかむような無造作であっけない挿入。彼のペニスが思ったより大きく硬く、カリ首から幹をねじこんで根本まで収める寸前、いっぱいいっぱいになる。
「……ぉ、お、っ、志希、ぃ……なか、きつ、ぃ……!」
「んっ、うっ、あ、ぁ……っふ、ふっ、おっきぃ、ね……♪」
膣壁がペニスの輪郭に合わせて広がりつつ、彼にも合わさろと言い聞かせるようにもぞもぞうねる。愛液がぐちゅ、ぬちゅ、とあふれて垂れ落ちる。ベッドに片手をついて腰を前後にゆする。
「んっ、くうっ、あぁぁっ……!」
「ぇ、あっ、んくっ……にゃは、あははっ、こうしてれば……どったん、ばったんなんか、しなくていいよね……♪」
彼が挿入したまま、ゆっくりと体を起こしてくる。ペニスの角度がずれて腟内のどこかが不意打ちされ、笑いながら嬌声を跳ねさせる。
「ん、ふぁ……おお~、おちんちんだけじゃなく、手とか、口でもお相手してくれる~?」
「エロい顔して、おっぱいもゆさゆささせて……ウエストもきゅっきゅって、腰もへこへこって……志希、お前は……」
「あたしのせい~? そっか、そっか♪」
言われた瞬間からぞくぞくむずむずして、ますます彼のモノになりたがりながら、彼をモノにシたがっている。彼に腰をつかまれてゆっくり前後にゆさぶられる。ゆるい摩擦と圧迫が、膣から背骨も脚も胸も腕もしびれさせる。
「きゃ、ぁんっ……ゆっくり、シてもらっても……ドキドキ、しすぎて、おかしく、なっちゃう、よ……♪」
「う、ぐ……う、わ……さっき出したのに……本当に、もうもたない……」
「いいよ、イッちゃえば……? あたしは、まぁ、なんだか……ふふっ……♪」
身を焼くというにはぬるい快楽にずぶずぶ浸って、彼がいますぐ達してしまってもいいかと思うぐらいには満ち足りている。彼の手でどこか握られていなければ、体がどこかへ飛んでいきそうなほど軽く浮ついている。
「ひゃぅあ、ひぅ……きもち、よく、してくれる……? くひっ、ひぁっ♪ オトコの意地ってモノかなぁ……がまん、できるの~?」
彼の指が尻たぶに食いこんでくる。腰が勝手に前後に動いて、ペニスと膣が淫らな抱擁のままくらくら揺れる。彼の汗の匂いと吐息が強く濃く神経を掻きむしってくる。彼にも感じさせようと、自分の匂いと声を押しつける。
「でも……あんまり、あたしを気持ちよくしちゃ、ダメだよ……? ドキドキ、ふわふわ、気持ちいいの、いいことばかりじゃないから……」
「志希……? ッ、ぅ、あっ」
「やっぱり、もうイッちゃって? ねぇ、んふ、ふっ……」
めいっぱい腟内を引き締めながらどすどす腰を動かす。段ボールベッドがごとごと頼りなく軋んで壊れそうなようすを気にするが、快感が粘っこく甘くじわじわ広がってかすんでいく。腕を伸ばして志希のほうから彼の肩にしがみつく。彼が戻れないぐらい射精に迫られて、それから末期の吐息と痙攣を感じるまでのしばらく、息苦しくなるほどの恍惚で脳髄が洗われる。
「あ、うっ、あ、くぁ……ぅ、ぁ……っ!」
志希の膣内で、ペニスが2度、3度と脈打つように震える。コンドームごしであるのに、熱いものをじわりと注がれる錯覚がこみ上げて、胸と下腹を締めつけられる。ノドから絶頂のような吐息を漏らしながら、あまりに儚く去りゆく法悦を切なく抱く。
彼の匂いや声に触れるたびにこんな気分になれたら、失踪もできなくなるかと妄想する。あまりに安らかであまりに恐ろしくて、絶頂のように震える。
「ふ、ふふっ……プロデューサー、おつかれ~……♪ 気持ちよかった~?」
膣内から解放したペニスからすぐゴムを引っぱがして、ぬちぬちと指先で愛撫する。彼の制止を押しかえして、精液と殺精子剤の苦味にまゆをひそめながら、舌とくちびるで撫でまわす。その苦味や匂いや粘膜の火照りと、しとしと降ってくるうめきとを脳内で混ぜあわせる。
「んぢゅっ、ちゅ……はぷっ、んはぁ、あんっ……プロデューサーと、ずっとシちゃうと、ちょっと気持ちよくなりすぎちゃう気がして、ね……念を、入れちゃう……♪」
「う、ぐ、志希、ぃ――はぁぅう! あ、あっ……!」
そのままフェラチオを続けてダメ押しの射精を搾りとる。3回目にしてまだどろどろとしている精液を、舌の上で転がして遊ぶ。よだれと混ぜて飲み下す。こく、こく、と飲みくだすとき、わざと首をそらして彼にノドを見せつける。これでうやむやになって、しばらく「失踪」してもほどほどの叱責で済むと見通す。これから彼の服を洗濯・乾燥してあげているあいだ、シャワー上がりの彼に何を着せてあげようか考える。
志希の配慮は、結果として数時間ほど先走っていた。
※
「ん、ひゅ、ぁはっ……!? なぁに、後戯って気分……?」
「ちょっと気になったことが」
志希がベッドから降りる前に、彼の腕で抱き寄せられる。立て続けに3発抜かれてくったり脱力している彼のペニスに対し、彼の腕の骨と筋肉が逆らいがたいほど力強く感じられる。
「『いつもこうなら、退屈しないで済むんだけどね』とか言ってたな、さっき」
「ええと、まぁ……うん……なんだ、覚えてたんだ」
「退屈だから失踪するのか」
「……やだよ、こんなピロートーク」
彼の視線から顔をそらし、汗と雨で湿気ったウエーブヘアをかぶって隠れる。いま仕事について説教されるのは、想像するだけで叫びだしたくなるほど、実際にされたら落差で二度とセックスできなくなりそうなほど嫌だった。
「おシゴト、面白いと思ってるの、ホントだよ……でも、それが、長続き、しなくって」
できるだけしおらしく、泣きだしそうな声を聞かせる。これで彼が面倒くささを察してくれないか、と期待する。彼から、セックスの火照りが少しおさまった肌と肉と、ゆっくりしているのに綱渡りのようにどこか危うい呼吸を感じる。
「自分のことなのに、ままならないことってあるよな」
「いや~、キミにわかるかな」
「俺はときどき不思議に思うんだが」
「うん、えぇと、あの」
「なんで心臓って勝手に動いてるんだろう、肺って勝手に呼吸してるんだろう、って」
志希の危惧が、プロデューサーの腕の中にいる体を置き去りにして、あさっての方向に転がっていく。その危惧は絶頂のようにつかみどころがない。必ずシラフに戻ってしまう絶頂と違って、どこへ行くか志希にもわからない。
「心臓や肺が動いてくれるのは、生体恒常性のせいだよ」
「死にたくなったときにも、睡眠や気絶で何にも考えてないときにも、何なら脳死しててもしばらく勝手に動いてくれるし、心臓移植されて他人を生かすこともある」
「ドキドキしすぎて心肺の話をしたくてたまらなくなっちゃった?」
「勝手な思いつきなんだけどさ」
「もしかしてあたしがお座なりばっかり言ってたの根に持ってる?」
志希を抱きしめていた彼の腕から、ふっと力が抜ける。肉体の触れあう面積や濃度が少しも減らない。
「志希が……もし、自分の呼吸や拍動を面白いと思えるようになったら、退屈しなくて済むかもしれないな、って」
「にゃはは、前に流行ったっけ、そーゆーの……っひゃ、あ、なに、まだする、の……?」
「いくら何もない退屈なところだって、自分の心臓と肺があれば、退屈しなくなるかも」
「……なぁに、その、あたし……はぁっ、ぁう! 待って、まだ敏感で……」
彼の指と手のひらが志希のアンダーバストにあてがわれる。まるでペットをあやすかのようにもみしだかれる。そこに心臓と肺が動いている、と確かめさせられる。
「も、も~、プロデューサー、勝手に、ぃ……あたしが退屈して、どっかいっちゃったって、別に……」
「志希の『別に』はなぁ……アメリカまで行ってドクターまで取って退屈になって研究ぶん投げて失踪しても『別に』で済ませるからなぁ」
「さすがに、そこまでどうでもよさそうに言った覚えは……んっ、あ、んんっ……!」
彼の手のひらで形を変えられる――アンダーバストだけでなく、上の鎖骨に近いところ、腋に近い乳房の付け根――勝手に触られようとして乳首がツンと緊張する。勝手に退屈で冷める頭脳と同じぐらい、勝手に温まる肉体もままならない気がしてくる。
「志希を抱いていまさら気づいたんだが」
「うん、わかってる、キミぜったいおかしなコト言う」
「志希の体は面白くて退屈しないよ、志希が思うより」
「そーゆーのほかのオンナに言ったらダメだよ、ドン引きされちゃう」
「その面白いのを志希にわかってもらえたらいいかも、って」
「ねぇ、ちょっと、会話が成り立って……わ、きゃっ、あ、ぅうぅっ……!」
志希がベッドの上でもがく。尻や太ももに彼のぐったりしたペニスが当たる――怒張しているときのそれは拍動に合わせてかすかにぴくぴくと動いていたし、ちょっとくすぐるだけで彼がもだえて実に扱いやすかった――いまはつかみどころがない。何が始まるのか予測できない。
「あ、あの、さっ、退屈しちゃうのって確かにしんどいけど、さっ」
「しんどさにもいろいろあって……痛覚とか恐怖とか、耐えているうちに慣れるけど、退屈に慣れると、消え去りたくなる」
「キミがそんなお話なんて、これがウワサの賢者タイム……? ひぁ、あっ!? て、てぇ、やらしい! 手つきが賢者っぽくない、これじゃ痴漢だよ痴漢~!」
再び両腕でホールドされる。胸から腹、太ももにかけてじっとり撫でられる。彼の手が冷えたのか志希の肌が冷めやらぬのか、温度差にぞくぞくさせられる。快感より危うい戦慄が肌のすぐ下を寄せて返す。
「あの、ねっ、その……んっ、ふぁっ……キミの、発想、再考に値するとは思うけど、ね、シラフのときでいいじゃん……あの、ちょっと、こらっ、あ……きゃぅううっ!」
悲鳴でノドが一瞬だけ奪われ、その自分の声に驚愕し、それからやっと、両乳首をつねられたことに気づく。遅れて背筋が浮きあがるようにふわふわ心もとなくなるが、彼の腕に抱き寄せられ引き戻される。
「そりゃあ、俺だっておかしいって思うさ、呼吸と拍動が面白いなんて、自分で言ってて笑ってしまいそう、シラフじゃ言えない」
「あ、ひぁあぅっ! ひっ、んひぃぃっ……そ、そうか、キミはサドか! あたしの体をオモチャにしたくて……にゃっ、やめぇ、えっ……もっと、優しく……」
「別に……失踪なんてしないで、いつもちゃんと俺や周りの言うことを聞け……とは言わないよ、むしろこっちの調子が狂いそう」
手の動きが変わる。指先だけで、志希の乳首を乳輪からほぐすように、ぐにっ、ぐいっとしぼりあげる。爪先が不意に乳首の芯を喰ったように響いて、志希の息が詰まって腰が跳ねる。
「んひっ、あぅっ、はぅ、ぁ、あっ、んんんーっ……!」
「ものは試しと思って」
「うぅ、こんなに、おっぱいされたら、ドキドキどころじゃない~!」
「じゃあ別のところに……」
「そーゆー話~!? って、え、ああ、あはぁぅっ! ちょ、ちょっと、待って……っ」
こんどは志希の下半身へ触れてくる。おなか、肋骨、内もも、恥丘と撫でまわしながら、ダークブラウンの陰毛をくるくるカールさせる。
「はぁっ、あぁっあ……っめぇ……っ、くすぐ、った、あ……!」
「志希、こっちの毛は控えめだなぁ」
「うぅう、あんまり変なこと聞かせると、もうえっちしてあげないぞ~!」
「自分の呼吸と拍動に意識を向けて、ほら息を吸って吐いて、鼻に息が通るだろう……」
「ふっ、あ、はぁあっ……これじゃ、気が散ってしょうがないよ……」
「だいじょうぶだ」
「なにがさ」
「呼吸は自律神経だかなんかが勝手にうまくやってくれるから、それをただ傍から感じて面白がる、ってスタンスで」
「んっ、ふぁぁっ……そ、そこっ……んっ、んくっ……あそこに、気が行っちゃうって……ん、んっ……!」
彼の指のうち2本が、志希の細いウエストを歩くようにかすかに凹ませる。小さいヘソと、縦にうっすら伸びたくぼみに意識が吸われる。その向こうで浮き沈みしている横隔膜まで見て見られて、という錯覚が過ぎる。
「意識を向けてみると、意外と思う通りにならないって気づくんだよな、自分の体が」
「ふ……ふふっ、ぁは……ダンスやビジュアルレッスンじゃないんだから、ぁ……」
「ちょっと病気やらかしたらいきなり健康を気にするようになる、ってこのせいかも」
「にゃはは、一病息災なんて昔のヒトはうまいことを……だっ、やぁっ、この……んきゅ、ぅうう……」
「そうやって意識を向けてても、ほんの数分後にはぼんやりとしたどうでもいい考えが湧いてきて……座禅だったら警策でぱちーんとやられる」
「お寺は女人禁制でしょ、あたしは遠慮して……だ、め、あ、ふぁっ、はぁあっ……」
陰毛と、陰核と、陰唇の回りも指先で撫でられる。もどかしさに腰がよじれ、呼吸の間隔が短くバラバラになる。力加減だけであれば知らんぷりもできるが、被征服感が異様に強い。呼吸や拍動に意識を向けさせられながら快感を与えられると、まるで快感が心臓や肺まで浸透させられていく心地になる。
「くぅぅっ……あ、はぁ……うぅうぅうぅ……っ」
「志希ってえっちだなぁ、触ってて楽しい」
「キミが面白がってどうするのさ……」
「志希が楽しくないなら、もうやめておくか」
「……うぅ」
さっき彼をからかいながら体をわざともぞもぞさせていたのがウソのように、手足も肩も腰も緩慢によじれるのがせいぜいになる。今にも女性器をぐしょぐしょに責め立てそうな指を突きつけられながら、彼の胸板から鼓動らしきものが伝わってくるのを味わう。
「こんなんで、気持ちよくさせられたら……ぜったい……あたし、おかしく、なっちゃう」
「気持ちよくなるのはいいんだけど、そっちはおまけだ」
「よくないぃ……」
彼の愛撫がさっきより散漫でつまらないはずなのに、思考がほどけて快楽の閾値がずるずる沈んで、なんでもない刺激がどうしようもない快感となってしまう。ゆっくりと陰毛をくしけずる指使いにさえ下半身が熔けそうになる。このさっぱり沈まない段ボールベッドの上で体を支えてもらいながら、どこかに沈んでしまう。
「ぁ、はっ、ふ、ぅ……」
「息を吐くのと同じぐらい、吸うのもしっかり」
ささやかれながら、クリトリスの剥けてきた甘皮と、神経の密集した核の部分を代わる代わるこねられる。勝手な愛撫にイラ立つ前に心臓と肺がびくびく動揺させられる。ぐにゃぐにゃになった心に甘ったるい快楽が走ってきて足跡をつけていく。
「う、あ、ああっ……クリ、それ、だめ、きもち、ぃいから、だめっ」
「だめかな」
「なんも、考え、られなくなっちゃ……く、ふぅ……っ!」
「考えるな、とまでは言わないけど……感じるほうに集中してくれ」
「ほ、ぁ……ふぅうっ……ぁ、ううぅっ……」
彼の愛撫が繰りかえされる。クリトリスや腟内をいじる指の動きに吸い寄せられ、意識が心臓ごと振りまわされ、拍動のたびに煙のような快感がゆらゆらのぼって頭がいぶされる。炎にさらされた金属のように虹色にされて戻らなくなる、と妄想が飛ぶ。
「ひぁ、あ、ふゅ……っ、ぷろでゅ……や、ぁ……お、音、立てちゃ……っ!」
「いい子だ、志希」
「いい子じゃ、ないっ……あたし、は……」
「志希?」
「んん、んっ……っは、はっあっ……いい子じゃ、ないんだ、あたし……」
「そりゃまた、どうして」
心肺と快楽の波間でふっと顔を出した志希の思考が、これまでにないほどいたたまれなくなって頭の中でよじれる。ベッドに突っ伏して顔を隠そうとする。彼の腕にとらわれたままで叶わない。くちびるをぱくぱくさせて無言で何か叫ぼうとする。腰がぴくぴくと小さく何度か震え、尻と太腿の肉がうっすら盛り上がる。息を吸って吐くようにあっさり達してしまう。
「ひふっ、きゅ、ぅ……っ! ぃ、あ、あっ」
「志希……」
「ゃ、め……ぁ……」
彼から髪と背中を撫でられる。撫でられた背筋まで震えが広がる。呼気以外何も吐き出せないまましばらくもだえる。
「……あたしは……」
「うん」
ようやく顔を伏せる。彼の胸板か腋下から体臭をまともに嗅いで涙腺が緩む。雨のように勝手にこぼれる。
「……ほかのヒトが気にしないこと気にする、うるさい子で……すぐ飽きるくせに……」
「はぁ」
「ひねくれ者で……理屈ばっかりこねまわして……」
「はぁ」
「相手するのがめんどうくさい、かわいげのない子で……」
「……はぁ」
「聞いてる……?」
「アイドルになる前はそんな感じだったのかな、って……しらんけど」
「……いまも……」
「じゃあ、たまには素直で無邪気で甘ったれた子供ごっこしようか」
「へぇ、あたしが……? いけないんだ~、子供にえっちなことして、犯罪者ぁ……あ、あ……ふぁ、あ、んんっ……!」
「なにせ、この世界でいちばん退屈を免れてるのって子供だ、きっと」
志希が彼の撫でる手をのろのろと振り払う。首と肩をゆらゆら振って、ウエーブヘアが汗みずくの肌に張りついたり剥がれたりする。ふだん丸い目を半分に閉じてにらむ。
「セックスと、子供をあやすのをごっちゃにしちゃいけないよ、どっちも撫で撫でだけど」
「確かに」
「お……ひゅっ……!? だから、な、撫で、ちゃ」
「いやなのか」
「ぃ、いやじゃ、ないから、だ、め……ぁ、くっ……!」
「俺も子供だからセーフ。心臓なんで動いてるんだろうとか言う大人いないだろ」
「にゃ、ははっ、笑わせないで……ゃ、やだ、やめ、て、それ、あたし、が……! おっあっ……ぉ……ッ……!」
彼の手が再び襲来して、志希は陰核をくすぐられる。とても弱々しくありえないほど危うい快楽がやってきて、ベッドから転げ落ちかけるほど抵抗するが、それでもまた彼に抱き寄せられる。アンダーバストに前腕を巻きつけられる。ストラップレスごしにも鼓動が伝わってしまう、と気づく。
「だ、ァ……ぇふ、ぇう、あ、うっ……! ば、かぁ、あたし、こんな、の……!」
「退屈かな」
志希はプロデューサーの首に噛みついて、背中に爪を立てるしかなくなる。汗と血漿の塩気や、鉄くさい血が触れてきて、唾液がだらだらにじんでこぼれる。自分の吐息と鼓動がうるさくなる。
「いってぇ」
「んんっ……あっ……イ……ぅ……ッ……!」
「傷ついちゃうな、あとでクスリでも塗ってくれ」
「ゃ、ら、や、だっ、やだ、ぁ、これ、こわい」
「怖いか?」
「だって、ぁた、し……ちが、ぅ……ちがう、から」
志希の腰が、またがくがく震えだす。頭から足の先までぐしょ濡れで、めまいにまで襲われる。
「いじわる、しなぃ、で……志希ちゃん、泣いちゃう、よ……ねぇ、ぷろ、でゅ、ぅ……」
「ぴぃぴぃ泣いたらすっきりするかも……ぁいたっ!? こら、また」
「ぇう、ひ、うぅうっ……ぁたし、こんな……ぐ、ぅ……!」
「恥ずかしい?」
志希のひじとひざが、考えるより先にもがいて、プロデューサーに押さえられる。しおらしく力を抜いて委ねたかと思わせて、またばたばたもがく。段ボールベッドの一部がぼすんと凹む。志希にとって、子供のように依存的で感化されやすい状態に戻る退行は、ごっこでも悶絶するほど苦しいらしい。
「……おかしく、なる、っ……もうむぃ、むり、ぃ」
「退屈のほうがマシかな」
「っ……、ぷろ、っ、うぅー……ぅ……!」
「終わったらコーヒー淹れてくれよ、いつも志希が飲んでる、夜更かしがはかどるのを」
「ふ、ふふっ……子供が吐くほど苦いのを……っきゃっ、ぅ、あっ、ぃ……!」
ふだん彼をやきもきさせる志希の手足が、汗でぬるぬるしながらベッドを叩く。手先やつま先がきゅうっと丸まってマットレスにしわを寄せる。そんなかろうじての抵抗をあっさりほぐされ、彼の体の上に崩折れる。また息を吸って吐くようにあっさり達する。
「ば、ばかぁ……ぁ、う、そこ、ぉ……っ、ひゅっ、ぅ、あ」
彼にひじ打ちしてやったつもりだが、愛撫の矛先が指1本2本ずれるにとどまる。いとも簡単に軽くいなされて、ノドどころか食道や肺までひきつる心地がする。名状しがたい感情が暴れてたまらない。
「も……ぉ、ゃすま、せて……」
「うん、俺も休もうかな」
動きを止めてもらっても、感情が暴れっぱなしでたまらない。呼吸や拍動が続く限りこの調子か、と考えて、彼女の手足がまた勝手に震えだす。
「寒い?」
「そんなわけ、なぃ……」
「やっぱり心臓とか肺とか面白いな、何を考えていようが、動くときは動くし、止まるときは止まる」
「面白くなぃい」
「そっか……」
「こんなの、面白く、ないん、だから……キミのこと、なんて……」
「はぁ……」
「なに、さ、その、気のない……ホントにおこる、あたし、おこるからっ」
「退屈させてしまったかな」
「……それは……ぁ、っ、きゃぅっ、だ、めぇ」
彼からどこか一撫でされたかと感じるたびに、心臓の裏側あたりがどくんとよじれる。動悸がひどく、拍動のたびに視界にちらちら星がひらめく。
「ま、まって、ゃ、だ、あたし、ぃ……」
「退屈したら、こうやって胸に手を当てるといいよ」
「ひ、ぅ……なにか、きちゃ、あ」
「そうしたら、いまの気分を思い……思いだせたら、いいんじゃないか」
「だめ……こんなの、おぼぇ、させ……ぁた、し、ぃ……ひふっ、きゅ、ぅ……っ!」
秘所を手で覆われたまま言い聞かされ、透明な飛沫が小さく噴出する。彼の閉じられた指のあいだでぴしゃぴしゃ弾けて、志希のお尻やマットレスを濡らす。
「……ぷろ、でゅ……」
「志希……」
「ぃかせ、ない、で……ぉこ、る、よ……」
「退屈がまぎれるなら、イカなくったっていいんだが」
志希の心臓が跳ね具合が小康を得る。耳もまともに聞こえる。
視界は星が浮いたまま、手足は彼に押しのけようとしつつしがみつくまま。
「シュミ、わるぃよ、キミ、はぁ……」
「失踪して俺を慌てさせて興奮する志希と、釣りあってる」
「ぁ、ぅ……心臓とか、肺とか、なんとか……キミの、匂いと、手つきと、ごっちゃに覚えちゃう、の」
「うん」
「うん……で、済ませるなぁ……そんなの、あたし……」
彼の腕や胸の筋肉を感じる。もう押さえつけられてもいないのに、志希のほうがぐったりして、離れようとしてももぞもぞするにとどまる。汗まみれの肌が彼のそれに吸いついて境界をあいまいにする。落ち着こうとして深呼吸すると、彼の匂いが肺に満ちて、全身から震えながら力が抜ける。
「……確かに、退屈、しないだろう、けど、ね……」
「そうか」
「いまの、あたしの気分、わかる……? ナイフやら銃口やら、突きつけられてるみたい」
「痛くしてしまったか」
「いくら優しく撫でてくれたって……凶器みたいなもんじゃあ、怖い、よ」
「そんなに物騒かね、俺」
志希はここまで何度か絶頂させられていた。ただ、回数も深さも彼女を蕩かせて堕としきるほどではなかった。心身に余裕が残っていた。
その余裕のせいで、彼からあまりに簡単に絶頂させられる、と理解できてしまう。
「凶器なら……傷ついたり死んじゃったりが怖い、だけ、だよ」
「はぁ」
「ただ……ままならなく、なっちゃう」
「もとからままならないもんだろ、志希だって」
「うぇえ……そんなぁ……」
「志希は要領がとってもよくて退屈以外のやっかいをぱぱっと片づけてしまうから、実感できなかったかもしれないが」
「キミでも、わかったふうな口を聞くこと、あるんだね……あひゃっ!? ぇ、あ……」
志希の嘆息が、尻に押しつけられた熱く硬い感触で吹き消される。
「ぇ、あの……ぷろでゅ……ここまでしんみりしたら、もうおしまいのムードだったよね……?」
「志希の体は、志希が思うより神秘的で、かわいくて、面白いよ」
「うわぁ……さっきも聞いたけど、さっきより、心底、ぞくぞく、しちゃう」
「これで4発目かぁ、俺ってこんな精力あったんだなぁ」
「ぇ、ぅ……ぁ、あたし……あの、その……」
「よろしく」
「や、やめ……ぉ、おこった、ぞ~……そ、れ、入れたら……ゅ、ゆる、さない……これから、ぜったい、言うことなんか聞いてあげないから……キミが、やきもきしすぎて……胃潰瘍やら心筋梗塞やら起こすまで、失踪しまくっちゃうから……」
「そうか」
「そうか……って」
「そうだろうなぁって。もし、志希が失踪しなくなるほど飼いならされたら、それこそ退屈そうだ」
「あはは、なに、シャレ? どっちもtameだろ、って……あは、は、は」
プロデューサーが荷物から残りのゴムを取り出して開封する姿を、志希はぼやけた視界のまま見つめる。彼のとぼけた言い草と裏腹に、ペニスが着けられたゴムごしなど意に介さないふうに猛々しく反りかえっているようすも見つめる。
「う、うふふ、にゃはは……こわい、にゃあ」
「ごめんなぁ、もう、やらせてもらわないと、おさまらない」
「あは、ままならない、って……そーゆー……?」
太ももを広げながら、ひざで彼の脇腹を小突く。
「ン、ああ、ぁああ、あ、ぅ、あぁああぁっ……」
おかまいなしに正常位で挿入される。腟内をゆっくりと押し広げられて、内臓を押し上げられる。錯乱したように腟内がよじれて、ちょろちょろと失禁までしてしまう。
「ぃ、や……ぁ、ぅう……」
「ああ、うん」
「あたし、いま、恥ずかしくて、消えちゃいたいよぉ……」
「だめ」
「ぇ、う……あ、あぁあ、うぅっ……!」
彼の手が、ペニスに押し上げられてぽっこりしてしまった志希の恥丘と下腹部を撫でる。膣肉も肌も笑っているようによじれて、お互い同じぐらい悶絶する。肋骨が浮き沈みする脇腹も撫でる。こんどは彼のほうが長く悶絶する。
「どこ、触られても……きゅーって、シちゃう、ね……」
「……志希が失踪するたびに、俺も思いだすようになっちまったら、どうしよう」
「自業自得だよ~……ぅふ、ふ……ね、ねぇ、こっち、も……」
挿入されてからマットレスをつかんで震えているばかりだった志希の手が、震えながら彼の指をつかむ。拍動が波及してかすかに震える乳房まで引っぱる。彼の指が乳房をこねようとした感触だけで、びくびくと震えながらのけぞって達する。ペニスもびくりと震えるが、硬さをたもったままごそごそと動く。呼吸が瞬き2、3回のあいだだけ止まる。
「あっ、ひ、ぁ、お、ぉぉ……っ……」
「そうだな、自業自得……」
彼のペニスから、さらに奥までずしりと踏みこまれる。膣奥が心臓より奔放に騒いでイキはじめる。
「ひふっ、きゅ、ぅ……っ! ぅ、ぅ、あ……ふ、ぇ、へへ……」
「志希?」
「おなかが、ねぇ……こっちも、忘れちゃ、や、って……自分の体に引っぱりだこにされてる……♪」
「志希って自分のおなかの言うことぜんぜん聞かないもんな、平気でメシを抜くし」
「それは、胃腸で……こっちは……あっ、は、あっ」
やがて鈍痛のような快楽が下腹部から響く。呼吸の邪魔になる。すぅ、はぁ、とはっきり意識して深呼吸する。
「おっ……ほぉ……あっ……だ……ぇ……っ……!」
「……うん」
達するか達したかの境目が溶けていく。彼のペニスが亀頭の半分ぐらいだけゆっくりと退く。膣奥が奥でなくなりそうなほど痙攣する。ぴゅる、ぴゅると、もはや何の体液か志希自身でもわからないものを漏らす。膣肉が彼のペニスをすがりつくように締めつける。志希の指先が、痙攣する下腹部に食いこむ。愛おしくて苛立たしくて爪を立てる。彼が腰を引いたかと思った瞬間、また奥まで突きこまれる。子宮口までぐりぐり理解させられる。
「んぐ……うっ、あお゙……ぉお゙ッ、い、いっ……っ……」
「ぅ、あ……きつ、ぅ……」
志希が口をまんまるに開けて空を食むが、快楽と驚愕がぐしゃぐしゃに混ざって声音が置いてけぼりになっている。膣奥をごりごりと抉られた衝撃が来る。頭まで突き抜けるように絶頂感が伝わる。
「そ、そぇ、もぁ……あ、ァ、はおっ、ぁォおっ……」
喘ぎ喘ぎ、何度も繰りかえす。小刻みで単調な往復を、膣が繰りかえし締めつける。志希の手首をつかんでいた彼の指が、乳房まで戻ってきて、拍動ごと包みこもうとする。片手収まるかどうかというほど乳房が大きくて、汗とよだれでぬるぬるしすぎてはかどらない。
「かは、ぁ、あッ、ほ、ぉ、ぉお……ッ、ま、おっ、おっく、いって、イッてる、いってるから、あ、あっ」
「悪い、もうちょっと、で……志希、俺、も……ぁ、あ、ぅー……っ」
手を志希の乳房に触れさせてわたわた彷徨わせながら、ペニスがいきなりがくんと震える。
志希は射精を察して、長くねっとりと息を吐く。息が切れる。絶頂の余韻に溺れて意識が沈む。
「……志希が、思うより」
「ぁ、ぅ」
「神秘的で、かわいくて、面白いよ……ふ、ふふっ、ははっ」
失望のような安堵――退屈から救ってあげよう、みたいな顔して自分が楽しんでたんじゃん――屈従のような歓喜――でも、子供みたいに泣いちゃうぐらい、あたしも――それらを引きずりながら目を閉じた。
※
「シャワーは……」
「運んでぇ、お風呂場まで」
自力歩行を放棄した志希の四肢を背負いながら、ガレージのラボもどきから居宅の脱衣所まで歩くプロデューサーの足取りは、転ばなかったのが不思議なほどよたよた危なっかしかった。
志希は「ひぃひぃ言わされすぎて歩けないよ~」という口ぶりの割にしっかりと彼にしがみついていた。
「お湯、沸かし忘れちゃった」
「シャワーだけにしておけよ、溺死が心配だから」
「洗ってぇ」
「俺の手で、か?」
「うん」
「よく触らせる気になるなぁ……俺が言うのもなんだが」
「キミのおかげで、あたし、すっかり……」
「……声がかれてるな、すっかり」
「む、ぅーっ」
プロデューサーをぺちぺち平手ではたいて髪と体を洗わせた。
「おなか空いたぁ」
「俺もだよ……いま何時だよ」
「冷蔵庫のなか、好きに漁っていいから、食べさせて」
プロデューサーが庫内を見ると、ひどく刺激的な色をした作り置きのような何かが詰まったタッパーがいくつも目に入ってきた。開けて中身の匂いをかぐと、色に負けないほど刺激的だった。
庫内を隅から隅まで確かめたあと、いちばん安全そうに見えた市販のゼリー飲料を2つ取って戻った。
「いつもはちゃんと食べろって言うのに」
「かれたノドにいちばん向いているのがこれだと思って」
2人とも無言になってゼリー飲料を弱々しくすすった。
「きょうのコト、ないしょにしてね」
「当たり前だ、志希もないしょにしてくれよ」
プロデューサーにつけた擦り傷、噛み傷、引っかき傷に「いちばんマイルドなはず」の軟膏を塗ってやった。
「あたし、そんなにステキだった? 時間を忘れて、夢中になっちゃうぐらい」
「うん」
乾かし終わったシャツを彼に渡す前に、志希は彼の胸板をべたべたとまさぐった。彼がされるがままにしていると、乾いた笑いとともに手を引っこめた。強引に洗って乾かして折り目が薄れてしまったスラックスは、何もせず手渡した。
「ありがと、またあしたね」
「あした志希は休みだぞ」
「あしたーまた会えるよね♪ って、ふふっ」
「いい夢が見れるように、おーやすーみ……スマホとかいじらないで寝たほうがいいぞ」
彼を玄関まで送ってやった。
扉が閉まってから、あくびが込みあげてきて手で口を覆った。
自分の呼気を嗅いでみると、彼の妙なセックスと提案に翻弄される気分がうっすら思いだされた。
手を胸にそっと当ててみた。
いつ失踪してほしいか、こんどは彼に聞いてあげることにした。
(おしまい)