速水奏ちゃんがメスガキ(?)を卒業したようです 作:ふりーじ屋/家庭内禁書
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「先生ったら、タバコいつもより喫ってましたよね」
「匂い移りが気になっちゃうか」
「これ脱いでくれ、って意味ですね」
「さすがに曲解すぎないか」
社会科準備室で、〝先生〟と呼ばれた初老の男性教師は、しばらく言葉を失った。彼をそう呼んだのは、彼の娘より年下の美女――美少女、と呼ぶのがまだ適切なはずだが、彼がそう呼びにくい――速水奏だった。
「私が会いに来てくれて、うれしいですよね」
「それはもう……速水がこの日曜にわざわざ来てくれただけでもうじゅうぶん、という気もするが」
「いまいちな冗談ですね」
奏――彼は速水、と頑なに苗字で呼ぶ――の格好は、彼が馴染みの薄いセーラー服だった。彼が教鞭を執って奏が学ぶこの学校のれっきとした制服だった。それでいて見ている彼がほんのり違和感を覚え、見せている奏もそうさせるつもりだった。
「そのセーラー服がいみじくも語っていることなのだが、わが校の実際の校風はええかっこしいの勢い任せだ」
「私と先生にお似合いですね」
「速水がちょうど入ったころだったか、話題作りを狙って、創立何周年だかにかこつけ過去に使っていたセーラー服の制服を現代アレンジして制服の選択肢に追加する、とかやった」
「学外でも話題になったようですね」
「それ以上に、保護者から出費がかさむと文句を言われ、注文が増えてホクホクかと思った制服屋さんから在庫管理の負担が増えると文句を言われ、言い出しっぺの広報部さえ『宣伝用の写真を選ぶとき、別々の制服が混ざってると別の学校の子が映りこんだみたいで不便』だとさ。数年後には無かったことにされそうだ」
「先生のご在学だったころは、セーラー服だったのですよね」
「もう記憶がおぼろげになってしまった」
彼がふだん見ている奏の服装はブレザーにプリーツスカートだった。彼が煽られてこの部屋で初めて奏を抱いたときもそうだった。
今は、奏がセーラー服姿だった。窓から差しこむ太陽がいくらか高い日曜日の午後だった。
「お手伝い、させてくれますよね」
「お片付けと違って、ええかっこしいの勢い任せを尻拭いする当番が回ってきているだけだ」
奏が〝それならお仕事に精を出す先生を見ていますね〟と表情だけで語った。
奏の目鼻立ちがあまりに涼やかで整っていて、化粧品の宣伝でも撮ろうというのかと思うほど額や頬の肌があまりに滑らかで、この女と密室で二人きりだ、と意識するだけで彼は年甲斐もなく胸がざわつく。しっとり黒い髪を軽そうなエアリーボブのシルエットにしているのだけはいささかアンバランスだった。
気圧されて目をうっかり下へ逸らしたら、セーラー服ごしにもメリハリがうかがえる奏のスタイルが、彼の心臓に追い打ちをかける。バストやヒップは下品一歩手前までこんもりと盛り上がって、首や肩やウエストや手足は冗談一歩手前まで細い。成長途上の少女だったら似合うはずのセーラー服がなかなか不似合いだった。
奏は彼に視線を送りながら、かつてよりだいぶ片付いた社会科準備室をゆっくりと歩く。無造作で、自分がここにいるとだけと主張する仕草が、彼の意識を首ごと捻じ曲げる。
「今あちこち修理してるだろ、そのスケジュールに無理があっての辻褄合わせさ」
日曜日の午後で、普段ならテニスやバスケットボールや剣道などの音が遠くから聞こえてくるのだが、体育施設の改修予定に再調整が必要となって、運動部は休みか、外の練習場を借りているか、練習試合で外に出ているかしている。わが校は万事この調子でなぁ、と彼は心中でぼやく。おかげでその日曜日は、吹奏楽部の練習がかすかに聞こえるぐらい静かで、奏の沈黙が引き立っていた。
「……だから速水の手を借りられない」
「お手伝いさせるつもりでないなら、ただ、久しぶりに二人きりになりたかっただけなんですよね」
彼は奏をこの部屋へ呼び出しておいて、それを無かったかのような口ぶりをしていた。
「ふだんより学校に人が少ないから、先生にセーラー服をお披露目できましたね」
「もしかして、ブレザー派からセーラー派に鞍替えすると裏切り者扱いでもされてしまうのか」
「ご心配してくださるんですね」
「生徒からもそんな扱いじゃ、もうすぐ無かったことにされるだろうな」
奏が胸元をくつろげようとして、セーラー服のリボンに指先が触れて、ごまかすようにくるくると弄んだ。その仕草が彼には、胸元をくつろげようとした時点からわざとらしく見える。ブレザーだったら胸元をチラリと見せられたのに、と仕草で語っている。
奏の動作の継ぎ目と、その隙間から、セックスがよだれのように糸を引いて垂れて見える。
「それなら、今のうちですね」
彼は自分のその見え方がおかしいとは思っている。おかしくなった原因もわかっている。奏とセックスを重ねすぎてその記憶が濃厚になりすぎた。奏以外の他人が霞むほどだった。奏と相対している時間にじりじりと我を忘れていくので、彼にとっての彼自身すら霞んでいると言ってもいい。
奏を遠ざけようとはしてみた。それで最近、たまに正気ぶろうと、教師として余計な仕事を背負いこんでみた。だからここ数週間は再調整に忙殺されて、奏を抱かずに済んでいる。
けれど正気ぶろうとすればするほど、奏との肉体関係に溺れる狂気のほうに意識が強く引っ張られた。いっそ断られれば諦めもつくかと、わざわざ日曜日の午後に奏を呼び出してしまった。
「……ついでの用事も無いだろうに来てくれるなんて、速水、ひょっとして暇だったか?」
「私は先生にあられもない姿の写真を撮られちゃってますから、言いなりになっちゃうんですよね」
「撮ったのは俺じゃなく速水だし、もっと気にすることがあったはずだが」
「先生は私に無理を言うのがお似合いですよ、嘘が全然無いって感じが清々しくって、ですね」
「それで幻滅せずにいられるんなら、速水は俺よりずっと達観してるな」
「例えば、先生以外の人は、じろじろ見てるくせに見てないふりしてきましたね」
奏の美貌とスタイルの前で、幸か不幸か、ここまで多くの人間が奏に嘘をつかなければならなかったらしい。羨望や嫉妬をしていないふりか、性欲や独占欲を催していないふりか。
「……速水はセーラーも似合ってるよ、見られてよかった」
「この格好でも私はここで、スカート折り返しておいて、お尻を向けてしまいますね」
相変わらず初めて交わったときを蒸し返す奏に少しだけ反発したくなって、しかし奏にへそを曲げられて帰られるのが怖くて、少しの葛藤を経て、彼はことさら優しげに奏を後ろから抱きしめた。
※
「そんなに恐る恐る触って、私、壊れちゃったりしませんよ」
「本当か?」
腕の中に収まる奏の女体のあまりの細さに、彼が思わず手を止める。いかにも年齢を重ねて節くれ立って、しかも以前は奏の乳房を我が物顔で揉みしだいた手が、今は奏に童貞かと思うほどぎこちなく絡みついている。
そうするしかない。奏が休日にここまでやってきて肉体に触れることを許してくれている。それを実感して名状しがたい充足を感じる。指を動かすとそれが壊れてしまう妄想が湧く。
彼が、奏を呼びつけたときの欲望をどうにか呼び起こし、豊かな膨らみを手のひら全体で包みこむ。
「ふふっ、くすぐったいですって」
「悪いな」
奏が小さく身をよじって、きゅっと両の腋を閉じてくる。二の腕で、胸を弄ろうとする彼の前腕を挟む。拒絶らしく見えるが、服の布地を隔てていても、奏の肌の熱と、果実めいた柔らかな弾力が容赦なく伝わってくる仕草でもある。
彼は言葉を失った。愛撫を邪魔されて、かえって奏に受け入れてもらっていると強く感じる。
「……久しぶりで、私の触り方を失念されましたか」
また奏が身をよじる。合わせて、エアリーボブの黒髪がふわりと左右に揺れる。わざとらしく首を傾げ、頭を小さく振って、毛先で彼をくすぐったくさせる。
「前の俺が知ってたとでも?」
彼の視界で、黒い髪の生え際と白い首筋がもぞつく。セーラーの首周りから、奏の細い肩と背中の素肌も見え隠れする。豊かな乳房を揉んで手と指を押し返されながらだと、コントラストでさらに細く儚げに感じられる。それと同時に肌や髪から若い女特有の甘い匂いがむんむんと立ち上って彼を酔わせる。
もういいという充足と、もっと欲しいという欲情の押し合い圧し合いが拮抗してくる。
「だいたい、こんないい女を抱いたことなんか無かったんだよ」
「先生のせいでこうなっちゃったんですよ」
奏の言葉ではなく声音が、そう言っておけばうれしいでしょう? という無邪気な挑発に聞こえる。彼は応じて、セーラー服のリボンを少し手間取らされながら解いて、指先を奏の着衣の中へ滑りこませる。
「ん、ふふっ」
生温かい霧のような気配が加わる。心なしか乳房の重量感まで増した気がする。
改めて手のひら全体で揉みしだく。奏が肘や腰をもぞつかせる具合が、制止にも催促にも思える。
「……速水?」
やがて閉じていた奏の二の腕が、ふっと外側へ開かれる。それどころか、奏は両腕を自分の後頭部まで持っていき、両手を組んでみせる。
どうぞ、もっと好きに触ってください。あえて無防備にされた女体が無言でそう告げていた。
「そうだな、速水」
彼は乳房を揉んでいた手の指を丸める。下着の布地を隔てて、豊かな膨らみの頂点にある小さな突起を指先で探りあてる。
「……っん、先生」
これまで触られイカされた記憶を思い出したのか、奏の乳頭がすでに硬くなっているのか、ブラカップの中でかすかに気配が感じ取れる。イカせた記憶がなければ看過してしまうであろうそれに向けて指を突っこみ、彼が少し強めの力加減で爪でなぞる。引っ掻く。親指と人差し指で挟んでコリコリと弄り回す。
「ぁ……」
「こんなに敏感だったかな」
奏の体がびくりと小さく跳ねる。それからわざとらしく首を傾げ、また後ろ髪を払う。これから彼の手によってどろどろに蕩ける瞬間を心待ちにしているらしき傲慢ささえ漂っている。
「感じやすい女が、お好きですよね」
「そういう意味でも、速水が一番だな」
ブラカップと肌との間に指をねじ入れる。乳首と乳輪の勃起をはっきり感じ取れるほど、カリカリ、コリコリと愛撫を繰り返す。
彼の視界に、奏の小さな変化が飛びこんでくる。
「一番って、先生ったら」
「感じやすい女は、好きだよ」
後頭部へ回された奏の両手の指先が、髪や反対側の手に絡みながらもぞつく。まるで痛みであるかのように快楽を堪えている。奏の処女を奪ったときを思い出すが、そのとき自分は奏の指先にまで注意を向ける余裕など無かっただろう、と自重する。
さっきより背中が強く預けられ、彼の胸板とせめぎ合う。
「んっ……先生の、せいです、こんなの」
指先が乳頭をひと弾きするたび、奏の肩から背中へ、それらを通して彼の上半身へ反応が伝わる。これだけなら満員電車などでも有り得そうなありふれた身じろぎである。
けれどエスカレートして、奏が腰と尻を彼の下半身へぐっと押しつけてくる。奏のスカートと彼のスラックスを隔てて、骨盤の硬さと尻肉の弾力が同時に伝わってくる。
「そういう台詞なんて聞かせたら、男は喜んじゃうぞ」
「こんなことする男は先生だけです」
「今はな」
彼はその圧の意味を測りかね、指の動きを一瞬止めかける。奏が首を曲げてじろりと彼に視線を投げかけている。尻の位置を動かさずにいるせいか、体のひねりがかすかにぎこちない。
「ふ、ひゃんっ……あ、はっ」
彼が乳首を指でこね回すたび、腰と尻がずりずりとぶれてこすれる。すでに背景に溶けこみかけた吹奏楽部の遠い音と違い、奏のスカートと彼のスラックスの衣擦れが耳に障る。
彼も呼吸を押し殺す。押し殺さなければ、吐息で奏のうなじか後ろ髪をくすぐってしまってからかわれるに違いなかった。
「感じやすい女は、好きだ」
「いやらしい、二度も言わなくったって」
今度は尻がゆっくりと上下に動く。奏の意図を疑う。快楽をいなすより愛撫めいた動きになっていて、彼の下半身も反応してしまう。目眩じみた昂りを覚える。また指に力を込めると奏の体が大きく波打ち、尻の動きも大きくなる。
彼はその因果関係に気づきながら、どうにか疑いつつ愛撫を続ける。疑いを止めれば、ズボンの内側で具現化しつつある性欲のままに動いてしまう。せっかく奏が自分のわがままを聞いてくれたのだから、性欲を発散してしまうより、もっと甘えていたい。
「それじゃあね……私は、ときどき狂ってしまう先生が、好きよ」
奏がくつくつ喉奥で笑う音が聞こえたかと思うと、彼女がすっと腕を下げて、彼の右手をとらえる。白く長く細い指が、老いた指に絡みつく。
彼の指先を、奏がくちびるへ引き寄せる。乳首より柔らかく、ねっとりしめっている。
「んっ、速水っ」
人差し指と中指を奏の口腔に含まれ、思わず声を漏らす。粘膜の熱さと湿り気に包みこまれる。舌が指の腹をなぞる。唾液を指の付け根までべったり塗りつけられる。
息が詰まる。日曜の昼下がりに奏を好きに愛撫できていた優越がひっくり返され、代わって単純明快な挿入欲が膨らむ。舌が指をくすぐるたび、ペニスが自ずと硬く張っていく。ゴムを用意していたかどうかあやふやだ、と今更気づく。
「んう……んぢゅちゅ……んっ、ちゅう、ぢゅちゅ……っ」
やや強くしつこい吸い付きが、愛撫はもう足りている、と告げてくる。頬がすぼまり、奏が指を吸う湿った音が準備室に響く。
「んっ、ふっ、ぢゅぷっ、んんっ……指先への御礼は、このぐらいにしておきますか」
ついに奏が彼の腕を押しのけ、くるりと振り返る。彼と向かい合って立つ。
「立ったまま、か」
「まさかご不満とは言いませんね」
「速水、足が長くて腰が高いからなぁ」
「下げさせてみたらいいと思いますね」
胸を愛撫する前も受け止めていたはずだった、奏の真正面からの視線が、今度は嫌に強く彼を縛る。
「速水、ゴムは」
「大丈夫な日ですよ、それに、自重して延びる時間もあと少しじゃないですか」
奏が卒業して別れるまでもう少しなのか、彼がセックスできなくなるほど老いて死ぬのがもう少しなのか、彼は奏の含意を図りかねる。考え続けるほど理性が削れて薄れゆく。
「……ときに狂ってみるのも心地良い……って、セネカだったっけなぁ」
とどめに、私から目を逸らしたら許さない、と紅潮した頬や指フェラの泡立ちが残るくちびるで促される。立ったままどころか、着衣も脱ぎかけのままゴムさえ着けず交わる。
「ぇ、あっ、んくっ……やっぱり、先生、すご、ぃ」
意図してか偶然か、奏が準備室で彼の作業していた机の天板に手を突いた。彼は、天板上にペンか何か固いものを放置してて奏の肌に食いこんでしまってないか一瞬だけ心配した。
すぐ奏に視線を奪われた。
両手と尻で机の支えを得たおかげか、奏が立位のまま上体を仰け反らせ、肩と胸を大げさに浮き沈みさせている。たくし上げられたセーラー服の裾がデコルテあたりで引っかかり、ブラジャーのカップが下にズレ、乳首や乳輪までも露わになっている。まだ胸を愛撫してほしいのか。
「速水は本当に腰が高いんだから」
胸ばかり意識していると思われるのが癪で、わざと無関係なところを口に出す。感心は言い方だけでなく本心でもある。奏は女性にしてはやや身長が高い程度だが、股下の高さが一般的な執務机の天板よりも全然高い。寄りかかると言うより座っているに近い姿勢で、安心して激しくしてください、と言わんばかりだ。
「んっ、うっ、あ、あっ……! いいの、どっちも……あぁっ、はぁぁぁぁ……!」
癪な気分が、今日ようやくまともに目の当たりにする奏の乳房の姿に薄れて、挿入したまま手を伸ばす。
「はしゃぐのは、俺が支えきれるぐらいにしてくれよ、速水」
奏の痴態を、はしゃぐ、などとわざと色気の薄い言葉で語ってみる。実際はまったく異なる。
彼の視線がまず、こんもり盛り上がって迫ってくるような奏のバストの上側に吸い寄せられる。たくし上げられたセーラー服の生地が、汗かよだれか、じわりと濡れて染みに侵されている。そのすぐそばで赤く充血した乳頭が、くしゃくしゃのセーラー服の裾と下にズリ下げられたブラカップの間で、ぴんと尖って彼を糾弾する形を取っている。
「ん、んん……先生、こそっ」
奏の声音と視線が彼を引き戻そうとする。目を逸らせば許さない、とその鋭さが彼を縛りつける。
けれど、紅潮した頬のすぐ下で、首筋の脈拍がトクトクと見た目にも露わに跳ねている。
「ひ、ぅ、ぁ……ふぇ、ぁ、あふぁ……っ!?」
彼は乳房を片手で包みこみつつ、腰をぐいと押し入れる。膣内と細いウエストがぎゅうぎゅう引き締まる。締めつけがペニスをみっちり捉え、ペニス快感がますます膨れあがっていく。彼自身もだんだん敏感になる。まくれあがったセーラー服の裾が、彼の太腿をかすかにくすぐってきて、奏の煽りに思えてくる。
「ん、んっ……ああ、それ、邪魔ですか……?」
奏が片手だけ支えを外して、挿入後も履きっぱなしのスカートをまくる。つい彼の視線が下がる。ほっそりした太腿が汗をまといながら震え、結合部のすぐそばに、まだ今日は触れていない突起が固く尖っている様が見える。
この女とセックスできている今なら死んでも良い、と本気で思う。そのくせ、不慣れな体位で奏に応じて激しく腰を使って大丈夫かと、老いた体への不安が後頭部の隅に残っている。
「いつもと違うところを擦ってみるか」
「んきゅっ、ふ……!?」
逆に腰を浅く退かせ、ペニスの先をクリトリス裏に這わせずりずり動かす。
「ひぁ、あ、それ、だめ、そこ、や……っ!」
半ば仰け反っている奏に、これまでのセックスと角度の違う強い快楽が襲ってきているらしい。
「ふ、ふぁっ、あ……あはっ、はっひ、……っ、あ、ふ……っ」
拒絶で引き絞られたくちびるが、次の瞬間には吸気のために丸く開いた。奏の顔が上に引かれたようにかくんと天井を向く。綺麗な顎のラインがツンと天井を仰ぐ。首筋の小刻みな痙攣が、ますますはっきり見える。
「……速水……?」
呼吸が浅く、速い。首に追従して上向きに突き出された胸元が、不規則にぷるぷる震える。胸の奥底から先端まで快感が波及しているのか。下にズレたブラカップから溢れた乳房の底から、ぷっくり膨れた乳輪と乳首まで彼の目前で忙しく震える。
思わず腰が止まる。
「ぅっ……あっ、あっ、はひっ、はっ……!」
バストの影では、ウエストの薄い肉ごしに肋骨の輪郭が何本も浮いて見える。そのくせ下腹部がぎゅうぎゅうと強く収縮する。膣内がギリギリと力任せに締まり、彼のペニスを狂おしく締めつける。
乳房を揉みながら奏を壊れそうだと感じていた気分がぶり返して、奏の細い肩に手を回す。
「ぇ、ひっ、んくっ……な、なんですか、まだ、出しては……」
「不慣れな姿勢で、腰が心配でな」
ややあって、息を整えた奏の両手が机から離れ、彼の首筋へ回される。風邪でも引いたかと思うほど熱い体温が寄りかかってくる。
「……先生のしたいようにしてくれればいいのに、全部受け止めてあげるわね」
紅潮した頬を彼の肩口に押しつけ、奏が顔を隠した。もっと荒っぽく快楽でかき乱してやればよかったか、それともここで気遣ってよかったのか、迷った。迷いにも愉快なものがある、と初めて知った。
「立ったままは落ち着かないな……でも寝るところも……俺が床に座るから、そこで」
「私はそのお膝の上、ですか。いいですね」
声がいつもの涼しげな響きからかけ離れ、鼻にかかって甘くなっている。普段の思わせぶりで余裕めいた態度との差に、彼の胸の奥がじんと熱くなる。
「でも……いったん抜くと興が冷めちゃいそう」
「横着するなよ……」
挿れたまま妙に動いては中折れしてしまう、と奏の了承を待たずに抜いて座る。
「そのぶん、温めればいいでしょうか?」
対面立位からペニスを抜かれた奏が、セーラー服の上下も下着も脱いでしまった。その動作が意外とテキパキしていて、彼は床に座ったまま一瞬呆気にとられた。
「あっ、だっ……お、お、く……い、いい、わっ……!」
上に乗った奏が、激しく、ねっとりとペースを変えながら執拗に腰を使う。彼が座って腰が使えなくなった分を取り戻して余りあるほどセックスの熱気が部屋に発散される。奏の勢いを少しでもいなそうと、揺れるバストを捕まえて揉みしだいてみるが、奏がかえって楽しげに笑う。立位の時の感じっぷりがどこまで演技だったのか。それとも今が虚勢なのか。
「あ、はっ……んく、あ、う……っ!」
彼の肩と首を掴みながら、奏が彼の男根を深く、何度も、貪欲に飲みこむ。自ら腰を落とすたび、結合部からぴちゃぴちゃと淫らな水音が絶え間なく溢れる。床に足をつけてねっとりと腰を回したり、ペニスを揉みしだく勢いで肉壁を蠢かせる。そんな優位を堪能しているかと思えば、彼のペニスをぐりぐり最奥に突き当て、息もままならない濃厚な快楽によだれを垂らす。
彼は応じて、上から降ってくる勢いと快楽を受け止め、彼女の細い腰と大きな尻を両手で必死に固定する。
「あ、んっ! そこ……っ、せ、んせ……っ、あはっ!」
彼女の動きがさらに激しくなる。彼は突き上げる代わりに手で奏を動かす荒いピストンを見舞う。やがて奏の呼吸が限界に達し、膣肉が限界の収縮を起こす。
「ひ、……っ、あ、あ、だめっ、やっぱり、お、奥……ッ!」
締めつけの強烈さにひとたまりもなく、彼は精液を彼女の最奥へと一気に解き放つ。射精を察してか、奏が背中を反らせて震え、一際強く跳ねたあと、彼の胸元へと押し寄せる。
「は、ぅ……ひっ、……あ、あ、……っ」
彼のシャツを掴んだ奏の両手が、ビクンビクンと小刻みに震えている。指先まですっかり引き攣り、自力ではもう生地を離せない状態に陥っている。
ドクン、ドクンと激しい肉の拍動が直に響いた。
射精が終わってもなお膣肉が蠢き、注ぎこまれたばかりの熱い精液を奥へ奥へと吸い上げ続けている。
あまりの快楽に神経が狂って、内臓のコントロールを完全に失っているのか。彼のペニスを根元まで限界深く引きこみ、漏出を許さずギリギリと締めつけるその動きは、彼をこの部屋に、この肉体に永遠に閉じこめようとする彼女の意思にも思えた。すべてを受け止めると言った、あの声が脳裏をよぎる。
「……速水……もう、抜くぞ……」
低く掠れた声で促しても、奏は彼の首筋に顔を埋めたまま動かない。太腿と膝ががたがたと小刻みに震え、彼を跨いだ姿勢のまま、ついに上体もべったりと覆いかぶさっている。
首筋に触れる彼女のくちびるの端から、熱い唾液がじわりと伝って肌を濡らした。それが快感の過剰摂取によるだらしのない失禁なのか、あるいは彼をさらに煽るための意図的な誘惑なのかも、彼には判別がつかなかった。射精が一段落した彼が動こうとすると、また膣壁が男根を強く吸引し、どうしても密着を解くのを拒んでくる。
「……まだ、おっきぃ、くせに」
奏の抗議をどうにかいなして抜いてみれば、白濁まみれのペニスが下腹部にくっつくほどそそり立ったままだった。
「お掃除、いたしましょうか、ね?」
「咽るほどまずいだろ、前だって……うぉっ……!?」
「そう聞かせたら私が意地になる、って知ってるでしょ」
立位で自重したおかげか、彼の腰は問題ない。けれど立ち上がってみて、床に腰を下ろしている奏から上目遣いを投げられると、どうにも足が動かなくなる。
「いけない先生ね」
奏が膝立ちになって、乳房がむにゅんと変形するほど谷間でペニスを挟む。そうしてくれるって期待してたんでしょう、と奏が視線で追い打ちする。隠しているつもりもないでしょうけど、先生って私のおっぱい好きですよね。男性なら当たり前、というのと比べ物にならないくらい、きっと大好きです。じゃなきゃ頼まれてもいないのにあんな揉み方しないでしょう――奏の言葉が幻聴で聞こえてきて、そのあとずぶずぶじゅるじゅるした水音でかき消される。
唾液を谷間に垂らして精液、愛液と混ぜ合わせ、ぬるぬる、むにゅむにゅとパイズリだった。
彼が気圧されると、谷間をぱっと離す。ペニスと乳房の間で糸が何本も引いて落ちる――やりすぎましたか。じゃあ、少し大人しめになったほうがいいかしら。
今度は舌先をチロチロわずかに出して竿を上下に舐める。舌先だけでまんべんなくペニスを愛撫するので、奏の整った顔がペニスの周りで角度を変えてなんともいやらしいコントラストとなる。
「う、ぉ」
彼の反応に気を良くしてか、奏が動きを変えてくる。亀頭に舌をねっとり絡める。ただのお掃除フェラならばとっくに済んでいるはずだが、奏が止めてくれない。口だけでなく手で睾丸も弄んでくる。
「口でも音を立てましょうか。ちゅっ……ぢゅる、んぷっ、ちぅううーっ」
睾丸を弄ぶ指の動きに、彼の腰がびくりと跳ねる。亀頭にまとわりついた舌が、裏筋の縫い目をなぞりあげてくる。合わせて唾液と先走りが絡み合い、ぐちゅぐちゅと粘った音を立てる。
もはや吐息しか漏らせない。
「んっ、ん……ふ、ぅ……」
含んだまま漏れる奏の声がくすぐったい。奏の片手が竿の根元を握り、上下にゆるく擦りあげてくる。亀頭を吸う口の動きと噛み合わないリズムはきっとわざとで、彼を煽っている。
「速水、それ……そろそろ、まずい」
言葉だけが警告で、声音が情けなく掠れている。奏が目を見開いたあと、笑って細めて、頬をすぼめ締めつけを強くする。そうして口腔が狭くなっているはずなのに、舌が器用にも亀頭の傘の部分をしつこく往復しはじめる。
握る手のひらが同じ速度で追いかけ、根元から先端まであちこちを刺激してくる。下腹部の奥で、もう引き戻せない感覚が急速にせり上がってくる。
「く、っ……出る、ぞ……」
彼の腰が震え、熱い精が幾度かに分けて放たれていく。二度目とは思えない長い射精に、奏がけほ、こほと小さく咽る。きっと粘っこすぎて喉に張り付いてしまったのだろう。そのくせ手で睾丸を催促するように二度、三度撫でる。
「うぉ、ふ、ぅ……」
奏がようやく彼のペニスを解放する。くちびるを手で覆ったまま、しばらく意味ありげに彼を横目で見る。よだれを出して薄めて飲み干そうというらしい。
彼が訝しげに見ていると、答え合わせとばかりに奏が口を開け、白い精液と赤い粘膜を見せつけつつブクブク音を立て、もう少し首を反らしてこくんと飲みこんだ。
「……風邪予防にはならんだろうな」
「ただのうがいが見ててそんなに面白かったんですね」
まだ抱かれ足りないか、という手前勝手な問いが彼の顔に出たらしく、奏が真っ赤な舌を出して見せてきた。
※
「ベッドじゃなくていいんですか?」
「今は保健室よりも人が近づいてこなさそうだ」
体育倉庫でマット運動用のマットの上にタオルを敷いて、また服を脱がせた奏を押し倒す。以前ここで奏とセックスしたこともあるが、彼が改修工事の調整をしている今は、今日がその時より見つかりにくいとわかっていた。
真面目に仕事をしていたと思ったら結局これだ、と彼が自嘲できたのは一瞬だった。
「ん、ぅ、あっ……は、あっ……また、濡れちゃう……」
意地悪したくなって鎖骨の窪みを撫でると、奏が小さく肩をすくめて、その下でまだべとつく肌の乳房がふるりと揺れる。
また指先を乳首に向かわせ、撫でる。たどり着いた瞬間から、乳頭がすでに硬くなっていた。
「ん、ぁ……今日、何度目だと思って、るんですか」
「何度目でも同じさ、満足できるか、できないか、二つに一つだ」
指の腹で軽く挟み、押しつぶしかけながら転がす。奏の肩も腰ももぞつき、さっそくタオルをくしゃくしゃにする。
口を寄せ、片方の突起を含んで吸いあげる。舌先で乳輪の輪郭をなぞり、もう片方は指でこりこりと攻める。
「あ、はっ……両方、なんて、欲張り、です、ねっ」
ずるい、と言いながら奏の腰が浮く。太腿とふくらはぎを彼の下肢に巻き付けて、催促めいてぺちぺち踵をぶつける。
「ふぁあ、はぁ、ッ、くぅ……あぁ、あふ、あっ」
彼は片手を下へ滑らせ、潤みっぱなしの割れ目の縁をなぞる。指先が突起に触れた瞬間、奏の両脚がびくりと緊張し彼にはっきり伝わる。
「ひ、んっ……そこ、続けて、され、ちゃ……」
根元に円を描きながら撫でる。一周ごとに愛液が指の腹にまとわりつき、膣口がしゃっくりのようにひくつく。
「速水っ、ずいぶんと感じやすいな……?」
「……さすがに恥ずかしいです、よ」
奏が手のひらで顔と声を覆う。そう言えば準備室だと覆いたくても覆えなかった姿勢だった、と思いつつ乳首やクリトリスを責めると、覆った隙間から漏れる呼気が、だんだん目立っていく。また奏の脚が、彼の腰へ絡みついてくる。ふくらはぎが彼の太腿の裏をなぞり、引き寄せる力も増していく。
「っく、ふ……もっと熱心になっちゃって……意地の、悪い、人……」
奏が仰向けのまま、首や肩ごと彼から体を背ける。耳元とうなじが彼の目に留まる。汗で重くなった髪が、幾筋もべったり肌へ貼りついている。甘い匂いが髪の隙間からむんむん立ち、さらに彼の鼻腔を占領する。耳の縁がりんごじみた赤に染まっているのも鮮やかすぎて、彼は息を呑む。
「意地悪は、否定できんな、とても」
奏の肩がびくりと小さく跳ねる。ウエストがねじれ気味になってますます細く、いよいよ作り物めいているかと思えば、伸ばされた側の脇腹は浅く広く波打ち、縮められた側は狭く深く痙攣している。その非対称が面白くなって指でなぞると、震えの差がいっそう際立つ。
「っ、ふ」
覆った手の隙間から、くぐもった声がそれでも届く。
「やっぱり、速水の顔が見たいな」
奏が少し浅く早い呼吸を続けたまま大人しくしていて、彼はやすやすと奏に正面を向かせ顔を覆う手をどけられた。
薄く開いていたまぶたが、すっかり閉じられ、まつ毛に乗っていた汗の雫が頬に落ちた。
「……ご随意に」
「どっちの随意だかな」
奏のくちびるを貪りながら挿入する。奏の脚も腰も絡みついて誘ってくるおかげで視界外なのに、すぐ挿入できた。奏を抱く前なら手こずっていただろうにすっかり慣れてしまった、という自嘲のかけらが膨れ上がった快楽と欲望をかすかに引っ掻いた。
「っく、ぅく……くううう、うゔぅっ……ぴちゃ、れぢゅ、れぢゅ……ん、く、ん、んっう……!」
ゆっくりと深く貫く。合わせて、奏が彼の熱い舌を、自身の口内へ貪欲に引きこむ。彼も応じて、濡れた粘膜が交互に口内を甘噛みして、さらなる刺激を求める。
「ちゅぷ……るちゅ、じゅる、んぱっ……んぅ……!」
抜き差しが激しくなってもキスを中断させまいというつもりか、奏の手が彼の首と頭をがっしりホールドした。こうなれば少しぐらい歯がカチカチぶつかってしまっても許してもらえそうだ、と彼の腰使いがだんだん大胆になる。じゅ、ちゅう、と濡れた水音が重なる口元から溢れ出て、結合の快楽がさらなる深度へ向かう。
熱い膣肉が、ペニスの侵入に合わせて激しく収縮する。ぬぷ、ぬぷ、と愛液を巻きこむ音が下半身からキス音にも負けない勢いで響く。奏の膣肉が不規則なリズムで、彼のペニスを執拗に締めあげる。
「ん、んむぅ――ッ」
ペニスの先が、敏感な子宮口に触れ、こつこつ小突く。奏の華奢な背中が、仰向けで押し倒されたまま大きく跳ねあがる。くちびるを塞いだままの彼に、逃げ場を失った喘ぎ声も、長く甘ったるい悲鳴も、くすぐったいバイブレーションとして鼓膜より先に伝わる。それが面白くて最奥を繰り返し叩くと、ぬちゃぬちゃとした水音まで大きく響く。
「んく、ふ、ぢゅ、ちゅう……んぷ、ふぁ、は、ぁ……!」
奏の膣肉が、最奥を叩かれるたびにきゅうきゅうと締まる。繰り返される子宮口への刺激に、女体の痙攣が間隔を狭めていく。
「ん、んんっ……ふ、ぅ……ッ!」
彼の頭を抱えこむ腕の力も、絶頂の近さを物語って強まる。彼自身も、奏の変化に射精への衝動を煽られる。腰を打ち付ける速度を上げ、浅く深くを織り交ぜて膣肉をくまなく堪能する。
「んむ、んん――ッ、んぅうぅ……!!」
奏の背が大きく弓なりに反り、上からのしかかる彼との間で乳房がむにゅむにゅと変形する。くちびるの合わせ目から、堪えきれない呼気とよだれが漏れ出す。膣肉が痙攣しながらペニスを根元まで引きこむ。引きこむ強さに彼の理性が押し流される。
「く、っ……」
出すぞ、と告げたつもりの声が奏のキスに貪られ、彼自身にも聞こえない。そのまま最奥で熱を解き放つ。奏の体が注ぎこまれる感覚に応えてか、膣内がさらに強く吸いつく。くちびるを塞いだままの口の中で、奏の悲鳴が小さく溶けて消える。
「ふぇぷっ、ふぁ、あ、んぷっ……れりゅ、んぅうっ……」
射精が終わって、奏がキスをねだる勢いはいっそう強くなった。ペニスがゆっくりと萎むのに膣肉が締めつける。ぬちゅ、ぐちゅ、と精液とともにペニスを追い出してしまった後も、奏が彼の頭と首に手を回したまま、噛みつくように口中をしばらく貪っていた。
「そろそろ、私が動いてさしあげる番ですね」
「……お、おう」
「ご随意に、ですよ」
彼はセックス後の心地よい疲労感に浸っていたつもりだったが、組み敷いていた奏から抜け出され馬乗りになられると、ペニスがびくんと反応していた。彼自身さすがにここまでと思っていたが、勃起はしれっと復活した。
すべて奏の手のひらの上か、と半ば本気で思いかけた。今日はそもそも自分が奏を呼びつけた、と思い出せなければまったく本気でそう思っていたかもしれない。
「お借りしますよ?」
横たわる彼の肩に、奏が両手を突いて、体重を彼へとゆっくり預けていく。愛液と精液で白く塗れた膣肉が、ペニスを中へぬぷりと収めていく。
彼が疲労で腰の動きを止めたままで、奏が好き勝手に腰を動かしてペニスをあちこちに擦らせる。一通り腰を回したあと、わざと深く深くへ先端を押しつける。結合部からぬちゃと粘り気のある水音が一際目立って響く。
「今、きっと、子宮口に当たってますよ」
「……たまんないな」
奏が上から彼を見下ろし、自身の下腹部へそっと手を当てた。彼が今日だけで膣内に二度注ぎこんだ精液を味わうように揉んでさする。奏があまりに堂々としていて、彼はかえって気恥ずかしくなり目を細めた。
「しばらく抱いてもらえなかった間は、自分で慰めていました」
「するんだな、速水でも」
「やっぱり、本当のセックスは格別です」
いつの間にか、ふやけた熱を帯びる吐息が彼の顔に降り注いだ。奏が下腹部を見せつけ終わったのか、再び彼の肩に手を突いて体を前傾させる。豊かで形の良い乳房が、彼の目前に差し出される。彼にとってはむしろ乳房がずっしり迫ってくる印象だった。膣肉をきゅうきゅうと収縮させ、ペニスを気怠く責めながら胸を揺らして見せられたら、仰向けのときよりはるかに強く、彼を視覚から圧倒する。
意識のすべてが彼女の体温と、身動きと、体臭とで満たされる。教師としての立場を忘れ、ただ彼女の肉体の魅力にひれ伏す陶酔が彼を支配した。圧倒された彼の手を、奏が自分の手に優しく絡ませた。彼の手など、奏と比べれば大きくともまるで枯れ木だった。
「もうおっぱいは結構ですか?」
「……まさか」
奏が彼の指を自分の乳房へ優しく押しつける。擦りつける。できるのなら彼は乳房を揉みしだきたかったが、奏のバストの重みを下からどうにか受けつつ何度か指を強張らせるのが精一杯だった。
「そうだ、私も先生のを弄ってしまいましょう」
自分のバストへ手で触れ続けて、と彼に視線で言い含めたあと、奏が空いた側の手を彼の胸元へと滑らせる。彼がたるみを気にしている胸板の、その中心にある小さな突起へと指先を迷いなく這わせた。
「う、ぉ」
彼女の爪の先が、彼の頑なな乳首の輪郭をちりちりとくすぐる。彼が奏の乳首にしてやったのと違って、指一本でも好き放題されてしまう。ぐりゅ、と容赦なく弾かれ、彼が予想外の鋭い刺激に、喉を鳴らして背中を震わせる。
「男の方のここも、触られると熱くなるのですね」
奏が囁きながら、もう片方の指先で彼のもう一箇所の突起を、二本の指でねじる。仕事の疲労に加えセックスで体力を削り取られ、仰向けのまま身動きの取れない彼は、彼女の指先がもたらすいたずらな快感にただ翻弄される。
彼が反応を示すたびに、奏の膣肉が満足げにきゅう、ときつくペニスを締めあげる。指先の愛撫と膣内の収縮が次第に重なる。彼は胸元を責められる気恥ずかしさと、ペニスを執拗にこする肉壁の締めつけとの二重の刺激に挟まれ、脳の芯がじわじわと融けていく感覚を味わう。
「先生、お顔が赤くなっていますよ」
「……速水の顔を見てから、ずっとこんなもんだろ」
「女の子をさんざん玩具にしておいて、ご自分は少し触られただけでいっぱいいっぱいですか?」
「幻滅、されてしまったかな」
言って、彼女のバストを掴んだままの手をもぞもぞ動かす。指先を強張らせ、むにゅむにゅ絡みついてくるような乳房の皮膚から固い乳頭をどうにか探り当て、キュッと捏ねくり回す。奏が甘い鼻息を漏らしながら、彼の乳首をさらに強く、爪を立てつつキュウキュウとつねる。
「すっきりさせてあげます、先生が出せなくなるまで」
奏が手を横に払って、不意に乳の弄り合いを止めさせる。奏のバストが彼の胸板に触れて圧するほど、体を前に傾けてくる。
「速水……」
「今日は、まだ私からしてませんでしたね、キス」
上からくちびるを奪われる。肉体の主導権を完全に握っている、と舌で誇示するように、彼の口腔をゆっくり隅々まで舐める。
口づけと同時に、彼女の下半身が動きを再開した。ペニスの根元を自身の膣口で噛みついて、フェラチオじみた勢いで舐めしゃぶる。わざとゆっくりと、円を描く軌道で腰を回す。あまりの快楽に彼が漏らそうとした吐息も奏に吸い取られる。
奏がキスを一度解き、銀の糸を引くくちびるで、彼の耳元へと顔を近づける。
「代わりに、私のお尻、手でぎゅってしてください、ね。それも好きなんです」
言われるまま、彼の両手が奏の尻へ伸びる。柔らかそうな肉を手のひらいっぱいに収め、ぎゅっと力を込めて引き寄せると、ぱつぱつに強く反発される。
「ん、ふ……それ、です……もっと、強く」
彼の指使いより先に、奏の腰使いが一段と大胆になる。円を描く動きも上下の打ちつけも長く激しくして、結合部からぐちゅぐちゅと音が増える。膣肉も手前から奥まで波打って、締まり、緩む。奏の尻肉を掴み続けるだけで精一杯になる。
「そう、そう、そのまま……んっ、ふっ、ぢゅぷっ、んんっ……」
「く、ぅ……速水……」
名を呼ぶ声が情けなく掠れ、奏がそれを聞いて笑みを深める。再びくちびるを奪われ、また口腔を貪られる。舌が絡む感覚が、下半身の粘膜でつながり合っている感覚と連動して二重に押し寄せる。
奏の膣が小刻みに痙攣し、彼の精液を絞り出そうとする。その勢いに逆らえず、彼の限界が急速に迫る。出る、という声までも奏のキスに飲みこまれつつ、彼が最奥で射精する。
「んく、ふ、ぢゅ、ちゅう、んぷ……んぷ、ふぁ」
奏が彼のくちびるを解放してやった。だいぶ息苦しくなってきたのが楽になったという生理感覚と、奏とのキスが終わってしまった寂寥が彼の中で綯い交ぜになった。
「……はや、み」
彼の目には、奏のすっかりぺったりしてしまった髪が見える。胸板に、彼女の額と頬らしき固さ、柔らかさ混じりのものが押しつけられている。
「心拍と連動しているわけじゃないんですね」
「射精と、か……? 俺も聞いたこと、ないな」
「ねぎらってください」
「……よくできました」
「満足できました? これからホテル行きます?」
「うぉ、おっ……!?」
さらに奏と交わり続けたせいで、彼は体力まで使い果たし、月曜日を急遽午前半休にした。
(おしまい)