小柄な新人女優が映画で少年役に抜擢されて男の子の気持ちを理解する為に立ちションを極める話 作:喋家月餅太
クランクイン前日に彼女は休みをもらえる事になった。
契約社員の事務員として入社と同時に映画の出演契約を結んで約半年。映画のリハーサルを主要キャストで行うようになって一ヶ月。明日には初めて商業作品に主役として出演する。彼女はこれまで時間をかけて会社からの命令と自主的との両方で準備を始めたが、明日からが本当の勝負だ。主要撮影は明日から二週間。彼女とメインキャスト二人はその後も追加撮影を会社や各々の通常業務の合間を縫って続けるがとにかくこの二週間が勝負だ。
今日休みをもらえたのは映画の制作元である映像会社の事務員と映画のリハーサルで忙しかったため、本番に備えて心身のコンディションを整えるためだ。彼女自身も緊張と忙しさで疲れていたので助かったという気持ちだった。
今日は特に何もしないつもりだったが、夕方に家庭教師のアルバイトをしている家から夕食に招待されていた。これから二週間家庭教師も休みをもらって映画に専念する。家庭教師のアルバイトにとっては二回休むだけで帰省や大学の試験でも同様のことはこれまでもあった。家庭教師先からも旅行や親戚が来る都合で休みになったことも何度もある。二週間休むのは大したことではないのだが、受け持っている子供達の親が彼女の疲れた様子を見て何か美味しいものでも食べて欲しいと招待してくれた。人によっては一人でいたいし彼女にもそういう時はあるが、これからなれない環境で彼女がしてきた中で今のところは一番大きな仕事をする。心細い気持ちではあったため、何年も馴染みのある家族と過ごさせてもらえるのはありがたかった。こうして今までも食事に招待してくれた事があったし、家庭教師先の家との関係は子供達とも親とも良好だったからだ。
彼女は仕事が始まる前に自主練習などをする為早起きだ。明日も朝早い為、休みといえど早起きした方が都合がいい。いつも通り早い時間に起きた彼女は約束の夕方までの時間を持て余していた。自主練をしない分早い朝ごはんを食べながら、家の中でゴロゴロして過ごすのは勿体無いと思った。
色々考えた結果、正午過ぎまでツーリングに出かける事にした。目標としては昼ごはんを道の駅に食べに行ってそのついでに景色を眺めてぼんやり過ごすというものだ。疲れすぎず暇すぎないいい計画だと思った。
いつも会社に出発するのと同じくらいの時間にバイクに乗って出かけた。いつもは海の方へ向かうが今回は山の方に向かう事にした。短い峠道を越えて山から海を眺められる場所がある。しばらく行ってないからちょうどいいだろう。
バイクを走らせて目的の場所へ向かう途中、車通りの少ない地元の人しか通らないであろう小道は入った。
彼女はその途中でバイクを降りて押してツーリングの中で見つけたとっておきの場所に辿り着いた。そこは開けた場所で海や麓の景色が一望できる大変眺めのいい場所だ。ここも以前、野外での立ちションを試した場所同様、他の人に出くわしたことのない彼女の秘密の場所だ。田舎道の脇道なので通る人が極端に少ないという程度なのだろうが、この開けた場所は低木などの陰になって道から見えない場所もあり、一人になりたいときにはうってつけの場所だ。彼女はバイクにもたれかかり、水筒に入れたお湯とティーバッグと途中で買ったパンを取り出しティータイムにすることにした。本当は折りたたみテーブルとレギュレーターストーブを持ってきてのんびりお茶を沸かしたかったが夕方には約束があるし道の駅も回りたいため簡単にお茶を淹れて片付けられる装備にしたのだった。
カップになっている蓋にお湯を注ぎ、ティーバッグを入れてお茶の成分がお湯に広がるのを待つ。お茶を使っておいて持ってきても良かったが、明日からの慌ただしい日に備えてちょっとした時間を楽しむ日にしたかった。ただ待つだけの時間に小鳥の声が聞こえる。ここから見える海の波の音は距離の関係上聞こえないが青く見える対岸の陸地や風で揺れる海辺の防風林を眺めながら何もしない時間を彼女は味わった。
ちょうどお茶ができた頃合いだ。ティーバッグを蓋から取り出してポケットに入れておいたビニール袋に入れる。そして、お茶を啜り、続いてパンを食べる。ゆっくりと両方の味を楽しみながら景色を眺めていた。その時間がゆっくり進む感覚はここしばらくの目の回るような忙しさが嘘のようだった。まるでいろんなものを捨てて旅に出たような気分だった。
パンを食べ終わった頃、お茶はまだ残っていた。パンの味で霞んでいたお茶の味を今度はゆっくりと味わう。スローライフなんて言葉があるが今この瞬間は束の間のスローライフとも言える時間だった。とても生活なんていえない短い時間だが、ここでの時間の進み方はとにかくゆっくりだ。頭の中に溜まっていたゴミのようなものがゆっくりと崩壊して崩れていくのを感じた。強張った身体がほぐれるような感覚だ。
楽な姿勢をとっていた彼女は気がつくと内股気味に立っていた。元々、何もするわけでもなくリラックスしている時は内股になる癖がある。なんとなくその姿勢をとることが懐かしく感じた。髪を切って服装を変えてから意識して脚を開き気味に立ったり歩いたりしてきたからだ。それは少年役の役作りで少年の仕草を徹底する為でもある。こうして久々に内股でいるととても楽だった。彼女が振りをしていた男性が脚を開き気味なのは脚の付け根に彼女に無いものが付いていてそれが邪魔にならないようにする為だ。彼女の股間はそれが無くて平坦なのだから無理してその空間を作る仕草をしない方が楽だ。ストイックに男性として振る舞ってきたことから自分を解放するととても楽に感じた。男の子の振りをするのにしっくりくる部分もあり男性的な要素を自分に見つけることもあったが、こうしてみると自分は女性だと改めて自覚する。そして、これまでの男性というものの研究の中で知りようなないものがあることを痛感したことを考えると、返って自分が作り上げる男性を客観的かつ俯瞰的に見ることができた。そのおかげでクランクイン前日の役作りの状況見ると自分を男に作り変える勢いで役作りしてた頃より安定して少年像を自分の中に作り出し飼い慣らせてるような気がした。できることとできない事が分かっているとそれだけ輪郭がはっきりする。多分、明日からは役者としての今の実力の範囲でベストな少年の役を演じられるだろう。
明日のことを考えてしまい、リラックスした気分が不意にならないようにそれを振り払うと彼女は空と海を交互に眺めた。そうしてぼんやりしているとさっき飲んだお茶のせいだろう、尿意がやって来ていた。しばらく放置しながらぼんやりするのを続けたが、カフェインの利尿作用はしぶとく遂に我慢し続けるのが難しいところまで来た。
彼女はおしっこをする事にしたが、そこで少し迷った。今日はいつもと違う気分でいる日にしたかった。タイプAと呼ぶお尻を突き出して中腰でする立ちションやタイプBと呼ぶ器具を使って男性と同じ姿勢でする立ちションを普段出かけた時はしているがどちらとも違う事をしたかった。そうなると選択肢は二つだ。女性のする普通のおしっこの形、パンツを下ろしてしゃがんでする事、これは長い間していない。もう一つは家で習慣になった大陰唇を持ち上げて器具を使わずにする立ちションだ。
彼女は少し考えた。男の子の振りをしてきて今日はその小休止だから女の子のおしっこに戻ってもいいかもしれない。だが、ここは眺めがいいし人が来ない場所だ。男の子の景色を見ると気張らなくても立ちションができる女性としての特権を味わってもいいんじゃないか。小陰唇を持ち上げる立ちションはちんちんのない彼女の股間に直接開いたおしっこの穴から出す。終わりの尿圧が下がった段階では前に飛んでいたおしっこはどうしても下向きになってしまう。女性のおしっこは勢いがある分、尿圧の下がる時間は短いが少しだけとはいえズボンやパンツにかかってしまう恐れがある。だが、彼女はそれを問題だとは思わなかった。バイクで一時間も走っていれば乾くだろうし、今日は暗い色のズボンを履いているから途中寄る道の駅でも目立たないし、周囲にいる人は知らない人だけだ。確かにかかってしまえば汚いが我慢できないほどじゃない。それに正午過ぎには家に着いて着替える予定だ。
結論は出た。彼女は大木や藪の向こうの細い道路に人がいない事を確認した。そして、ズボンとパンツを太ももの半分くらいまで下げて股間を露出した。毛を沿ってツルツルのちょんちょんを割れ目を挟むように人差し指と中指を置いてグッと持ち上げる。これを家の外でするのは初めてのことだ。少し緊張していた。彼女はお尻もちょんちょんも下半身を丸出しにした開放感を味わいながら尿道口を緩めた。するとシャーッと勢いのいい音を立てておしっこが前に向かって飛んでいく。彼女の女性器から出るおしっこは予想よりも遠くに飛んだ。この立ちションを始めてから訓練を重ねて角度をある程度調整できるようになっていたのでいつも斜め下に向けていたのを真横に近い角度に向けた。おしっこが飛んでいって軌跡を描いて落ちていくのを見ながら彼女は味わったことのない快感を覚えた。初めて外でした立ちションは器具を使ってだったがその時はどこか人工的な感じがしていた。それは人工物で尿道口から出るおしっこを下に向かうところを前方に誘導してたのだから当たり前だ。だが、今は自分の力で前におしっこを飛ばしている。割れ目の奥にある穴を持ち上げて前に向ける不自由さは男の子が股にぶら下がったちんちんを前に向けるのとは違うが、最も男の子に近い事を出来ているのは快感だった。自分を「僕」と呼んで髪を切って、雑誌やネットで勉強した男の子の考え方の源流に触れた気がした。なれないところはなれないが、彼女がなることの出来る男の子の部分の究極の形に思えた。
おしっこは尿圧を下げ、下に向くようになってすぐに出終わった。予想した通りズボンの前のところに少しかかってしまった。こればかりはおしっこの出ている位置が服よりも内側だからしょうがないだろう。
彼女は念の為、ティッシュペーパーでちょんちょんを拭いた後、ズボンのおしっこがかかったところも拭いた。そのティッシュを持ったまま、彼女は下半身を丸出しにしたまま景色を眺めていた。
やっぱり景色を眺めながらするおしっこは快適だ。しゃがんでおしっこをしなければならない女性のおしっこはどうしても周囲のもので見える範囲が狭くなる。それはお尻を丸出しにするのだから、周りから見えない事を意味して好都合だが、この開放感は味わえない。立ちションできる女性である今の彼女は、男性よりできる状況は限られるがその開放感を楽しめる。そして、おしっこを立ってするために丸出しになった下半身を撫でる風がなんだか心地いい。ボーイッシュで男の子に見られることも随分多くなった彼女だが、今この状況を誰かが見たら間違いなく女性だとわかるはずだ。前から見たらちんちんがないし、後ろから見たらお尻の形で分かる。男女でお尻の形は違うからだ。それはセラピストとエッチした時にも実感したし、エロ動画で男女の形を比較できるからよく知っている。男の振りを立ちションをするというレベルまでやりつつ、女らしくない体つきだけど子宮があるからお尻の形がしっかり女なのがなんだかおかしかった。そして、そんな自分がとてもしっくりくる気がした。
この半年間、自分を少年役に作り変える為に色々してきたが、主要撮影が終わる二週間後以降はどのように過ごすのかという事を考えていた。追加撮影があるので格好はしばらく変えられないが元の自分に戻していくのだろう。だが、短い髪とかボクっ娘とかはしっくりきている。なんとなくボーイッシュな妹キャラあたりに落ち着くのかなと思った。便利さを知ったから立ちションは続けるだろう。
主要撮影が終わった後での自分の戻し方は今すぐは時期尚早だが、二週間後にはどうするかを考えながら模索しなければいけない。役に飲まれるというのは大袈裟だが、今回の映画みたいに私生活まで作り変える役作りは経験としてしておくべきだとは思うがやりすぎだと思った。今回のように時間的に恵まれたプロジェクトじゃなきゃできないし、ハリウッドや白黒時代の日本の映画会社ならともかくそんな贅沢な役作りを毎回なんてできるわけがない。今回の映画をきっかけに役者の仕事をもらえるようになっても小さな仕事を掛け持ちする形だろう。今日は舞台の稽古で明日は吹き替えなんて働き方をするなら無理な話だ。それに私生活もしていかなきゃいけない。今回はイメチェンをしたという範疇だが、誰かの友人であり同僚であり家族である事はついて回る。自分を役のたびに私生活の領域まで作り替えてたら彼らとの関係も支障が出かねない。それに不完全な形とはいえセックスを経験して、相手が女性か男性かは分からないが落ち着いたら恋愛もしたい。そうなれば役との付き合い方も今回のように自分自身を振り回す形じゃなくもっとスマートにやらなきゃいけない。リハーサルとVPの出演を今日までやって本番を明日に控えて演じる事を仕事にしたいと本気で願うようになった。だから、今後はそれを学ぶべきだろう。これまでの芝居は中途半端だったし、今回はやり過ぎだと思う。だが、せっかくやり過ぎたのだから明日からの撮影は全力でぶつかるつもりだ。
彼女は空を眺めて決意を新たにした。しかしその瞬間、拭いた風に思わず笑ってしまった。真剣に考えてたにしては間抜けな格好だったからだ。風は彼女のお尻とちょんちょん対して冷たかった。立ちションをして下半身を丸出しにしたままだった。流石に誰も見てないとはいえ恥ずかしいのでパンツとズボンを上げた。
今日は仕事を忘れてリラックスするつもりだったが、やはり映画のことを考えてしまう。それだけ真剣だからだ。彼女は考えを深追いしないようにこの場を後にすることにした。記念すべき器具を使わない男の子と同じ姿勢で立ちションした場所を出発する為、バイクを押して道へ向かった。主要撮影が終わったらまたここに、股間を丸出しで景色を見ながらおしっこをする開放感という男の子の特権を持つ女の子である事を楽しみに来る為にまたここにやって来る事を楽しみにしながら。
翌日。予定よりも早く目が覚めた。寝る時間もかなり早かった事もあり八時間は眠れた。これからスタイリストにメイクをされて映画館のスクリーンに映るための映像を撮られるのだ。肌が荒れるようなことがあっちゃいけない。彼女はスタイリストがメイクを落とす手間をかけなくていいようにスキンケアだけをした。メイクをせずに外に出るのは抵抗があるが始発近い時間の電車に乗るので人ともあまり会わないし喉を保護する為にマスクをするのですっぴんでもおかしくはないだろう。
化粧水を肌に馴染ませながら、昨日の家庭教師先で食事にお呼ばれした時の事を思い出してた。楽しい時間だったこともあり思わず顔がにやける。教え子のきょうだいは上の子は彼女を先生と呼び下の子はお姉ちゃんと呼ぶ。二人からそう呼ばれてこの所高密度で味わっていたアウェイな空間からの緊張から解き放たれた気がした。教え子の両親も優しく、これまで何度も食事に呼ばれているが彼らは姪が何かのように優しく接して可愛がってくれる。二週間家庭教師の仕事を休ませてももらうわけだが、撮影が終わったらデビューのお祝いをしてくれると言ってくれた。いつまで彼らの家で家庭教師をできるかは分からないが、出来れば長く続けたいと思った。あそこは週に一度、故郷を離れてこの街で暮らす彼女にとって帰る場所だった。
肌や髪の毛を整えると彼女は出勤する準備をした。今日は荷物が多い。ロケ地の近くに預かってもらえる場所があるので帰りは今日と主要撮影最終日以外この二週間は身軽に撮影現場に通勤できそうだ。
そして、忘れちゃいけないものがある。それは立ちション器具だ。流石にロケ現場では女子トイレに入るから使えないが通勤時の駅では男子トイレで小便器を使いたいのだ。
駅に着くと彼女は改札を抜けて真っ先にトイレに向かった。入るのはもちろん男子トイレだ。この時間はまだ人が少ないので見られるリスクがかなり少なく立ちションを出来る。これが彼女が自分自身から演じる少年に自分を切り替える儀式にこの二週間の間なるだろう。これまでも可能な場所では男子トイレで立ちションきて日常的なものになるが、個室でするタイプAよりも器具と小便器を使うタイプBは頻度が少ない。映画の撮影の間は毎日この時間に出勤するので確実に小便器でおしっこが出来る。儀式にするにはちょうどいいだろう。
彼女は慣れた手つきで鞄から立ちション器具を取り出し、小便器の前に立った。そして履いている男物のジーンズの社会の窓を下ろして立ちション器具を股間に差し込む。
立ちション器具を使い始めてから彼女はズボンを男物に替えた。女ものでは立ちション器具を差し込むのに不自由だからだ。女もののズボンのチャックは当たり前だが立ちションをするように考えられておらず、脱ぐ時にズボンの口を軽く広げる為か、完全に飾りかのどちらかだ。それに縫製も平らな股間にピッタリになるようになっている。仮にチャックが下まで下がっても立ちション器具を差し込む余裕のある布と空間がないのだ。
男物のジーンズと立ちション器具を身につけた彼女は尿道口を緩めておしっこを出した。小陰唇で囲まれた尿道口から出たおしっこがシリコンゴムのトンネルを流れて出口から飛び出していく。器具を使うのに面倒さはあるが、個室に入ってパンツを脱がなくても、小便器の前で立ったままできるおしっこは楽だった。下を向けば器具の先端からおしっこが出ている様子を見るのも楽しい。女性は自分のおしっこが出ている様子を見れない。今見ているのもおしっこを受け止めて前方に誘導する器具の様子で性器からおしっこが出ている様子ではないがそれでも十分だった。今彼女のしている姿勢、見ているものは一部人工物で代替しているとはいえ男の子しか経験しているものだからだ。今は紛れもなくデビューを控えた役者志望のOLではなく一人の男の子だった。
おしっこをし終わってから彼女は立ちション器具を洗ってしまった後、自分の手を洗ってトイレを後にした。今日から二週間、このトイレでの立ちションが徹夜などで帰れない日があった場合を除けば毎日する予定の習慣になる。成人女性から少年への切り替えの時間だ。
「あれ、◯◯ちゃん!?」
トイレを出てホームに向かう途中、彼女は偶然に思わぬ人に会った。それはこれまで二回お世話になった、彼女が初めて性的な行為をした相手。ぽっちゃり大会の年上のレズ風俗嬢だった。
「お久しぶりです!」
彼女は驚いて目を見開いたまま挨拶をした。始発の次の便があった後のタイミングだ。こんな朝早く会うなんて思ってなかった。それも自分の最寄駅で。
「久しぶりね。大荷物だけど、旅行か何か?」
「いえ、これから仕事で」
「朝早くから大変ね。いつもそんなに荷物多いの?」
「いえ、今日は職場に持っていくものが多くて。あと、今日から特別な業務で」
素性を話していない相手なので彼女は曖昧に答えた。
「出張か何か?」
「そんな所です。お姉さんは?」
「わたしは仕事帰り。一晩って依頼をもらってね。ごめん、他のお客さんの話とか嫌だよね」
「いえ、それがお姉さんのお仕事ですから」
かなり久しぶりだが、覚えていてくれて嬉しかった。先日男性がしてくれる方の風俗を利用した時にもこの嬢に抱かれることも検討した。だが、あの時は男の体を見たかったし実際そうして正解だった。
「覚えていてくれてうれしいな。また◯◯ちゃんとエッチしたいな」
嬢は彼女に耳打ちして言った。彼女は驚いて心臓が高鳴った。営業トークだろうが、歓迎されてるとも感じた。彼女もお姉さんに抱かれたいと思った。
そして、嬢は耳から顔を離そうとする際に彼女の頬にキスをした。彼女は一瞬何が起こったか分からなかったが、理解した瞬間気が動転した。
「内緒ね。でも、◯◯ちゃんかわいいから我慢できなくなっちゃった」
「は、はい……」
彼女は言葉が出てこなかった。だが、頰とはいえキスなんて初めてのことだ。彼女はドキドキしていた。これは挨拶だと冷静になろうと自分に言い聞かせる。
「じゃあお仕事頑張ってね!」
そういうと笑顔で手を振って嬢は去っていった。彼女は棒立ちになって手を振りかえした。
一瞬、いろいろとエッチなことが頭を駆け巡ったが彼女はすぐに我に帰って今が通勤途中だと思い出した。そして、トボトボと驚きと性欲が湧いた事に戸惑いながらホームに向かい到着した電車に乗った。電車は空いていてすぐに座れた。
ガラガラの電車で座席に座りながら、頬にキスをされた事に動揺している自分がなんだかおかしかった。相手が好みのタイプとはいえここまで動揺するのは思春期の少年の反応そのものじゃないかと思った。生理が始まって、ほとんど育たなかったが胸が膨んで、ちょんちょんに毛が生えて十年以上になる。身体的にはとっくの昔だが精神的な思春期はこの年になってようやくやってきたらしい。
ただ、考えて見たらこれからカメラの前で演じる少年そのものじゃないか。脚本に書かれた少年の片思いの相手も年上の少女だ。それに今、彼女のクリトリスは勃起している。この頃、クリトリスの勃起が触らなくても分かるようになってきた。ムズムズする感覚をするのに気がついたのだ。おそらく思春期男子も同じように頰にキスされたらちんちんが勃起することだろう。男子トイレで立ちションして、年上の女性のことを考えて勃起して、彼女は今、少年そのものだった。彼女の演じる少年は流石に男性に興奮したりしないからそこは違うが、大人の身体になっていくのに思いを馳せる気分は先日の女性向け風俗の利用で想像の範囲だが味わえた気がする。あとは毎朝の駅の他に機会を見つけて立ちション器具や大陰唇を持ち上げての立ちションの機会を作って男の子の気持ちを理解していきたい所だ。
これから彼女は役者としての本格的な初めての仕事をする。これまで準備をしてきたのだから全力でぶつかりたい。
電車を降りて駅近くにある会社の入居しているビルへ早歩きで向かう。本当は走りたい所だが荷物が多いので早歩きが限界だ。そこにはマイクロバスが止まっている。会社所有の少し離れたところの駐車場に置いてある車両だ。バスの前では制作の社員が立っている。
「おはようございます」
彼女は制作と挨拶を交わす。そしてマイクロバスに入った先に着いていた監督とプロデューサーを務める社長に挨拶をする。他の人はまだきていないらしい。彼女は荷物を所定の場所に置くと促されて監督の隣に座る。彼女の集合時間は他の出演者よりも早く伝えられていた。VPに手伝いで入る以外、低予算とはいえ長尺の映像に関わるのは初めてだから一通り説明を受けるためだ。
監督から説明を終え、しばしの待ち時間になった。
彼女は緊張しながら監督からの説明を頭の中で繰り返していた。演技や映像制作は共同作業だ。自分のベストを尽くす前に他の人の邪魔にならないこと、連携をとることを第一に考えなければならない。
ぼちぼち他の出演者やスタッフも集まり始めた。空気が張り詰めるような感覚を覚える。これから彼女はカメラの前で一人の数奇な運命を辿る思春期の少年になる。その準備は十分だと不思議と思えた。
それは偶然会ったレズ風俗嬢から頬にされたキスの感触の記憶のおかげだ。彼女は勃起していた。それは女性特有のクリトリスという器官だが、今の彼女のそれはクリトリスではないちんちんだ。割れ目の中に隠れているのではなく股にぶら下がってパンツの布にあたってる感触が幻肢のように股間にある。
幻のちんちんの感触を持って彼女の演じる少年は完成した。あとはカメラの前で「アクション」の掛け声を待つだけだ。
そして、今日の撮影が終わったらしたい事が一つ。それは男子トイレでも家のトイレでもいい、男の子の姿勢で立ちションをする事だ。