※この作品はR-18です。

小柄な新人女優が映画で少年役に抜擢されて男の子の気持ちを理解する為に立ちションを極める話   作:喋家月餅太

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9話 男の子が立ちション出来ることの気づかなかった意味

女性向けの風俗で男性のセラピストからの快楽を経験してから彼女の性欲に変化があった。これまでふっくらした体型の女性に興奮していたのが、筋肉質な男性にも同じように興奮するようになった。どちらもエッチな事をしてもらった身体の感触によるものもあるが、その見た目や存在そのものに対する欲情を経験するようになった。

男女どちらにも性的な興奮を覚えるという事からバイセクシャルなのかと思ったがよくわからなかった。別に誰に対してもエッチな気持ちになるわけじゃない。今わかっている限り好みのタイプが二種類あって片方が女性、もう片方が男性という感じだ。

オナニーする時はその時の気分で男性に抱かれる事を妄想することもあれば女性に抱かれる事を妄想することもある。ただし、妄想の中でしてもらう事は男女どちらであっても一緒だった。男性を妄想する時にもペニスを膣に入れる事は想像しない。どちらに抱かれても手で刺激されることを妄想する。ただし、男性に抱かれる妄想では抱かれるのではなくちんちんをあれこれ触ることのみを妄想することもある。具体的にちんちんというものを知ってから彼女はその事を考えることが増えた。

ただ、性欲との付き合い方は身についてきたようだ。以前レズ風俗を利用した時にあった早くまた抱かれたいという欲求は今はなかった。男性がサービスする風俗の利用をした後にまたすぐに予約してもっともっとと抱かれる事を求める事を恐れていたが、寝る前や食前のちょっとした時間にするオナニーで満足できた。また何かの機会にどちらの風俗も利用したいがそれはお金に余裕のある時で十分だと思えた。レズ風俗を連続で利用したのは先輩がいなくなった寂しさがあったんだろう。今はそれも落ち着いたし、映画のための役作りや養成所のレッスン、映像の勉強で忙しいし満たされている。性欲はそこにプラスアルファのスパイスのような位置に収まった形だ。

 

その日、彼女は時間が空いたため久しぶりに公園にやってきた。ここで、遊んだり通りすがったりする少年たちを観察しつつ日向ぼっこをして疲れ気味の脳を休めようとしていた。

ぼんやりと眺めながらも声変わりを終えたと思われる少年たちが通るのを見て彼らの股間に自然と目が行った。女性がズボンを履くのと違い、布の形がちんちんの体積分盛り上がって見える。大きさには個人差があるのであまり盛り上がりを感じない子もいるが、それでも女性がズボンを履いた時とは違う。セラピストのような逞しいちんちんの子もいればスーパー銭湯で見るようなかわいらしいちんちんの子もその中間くらいの形の子もいるんだろう。彼らはセラピストのちんちんで一瞬見えた射精のように不透明な白い液体をちんちんの先端から出すんだろう。あの時、男性の身体に触れて男性のなんたるかをわかるどころか自分との違いを見せつけられて返って男性は自分より遠い存在に思えた。イクということがおしっことは違う液体を放出するのと同義だなんて未知の出来事だ。

男の子の振りも板についてきた彼女だったが、どこまで行っても自分には経験のできない想像するしかない事で男の子は出来ていて難しさを突きつけられたと感じた。立ちションだってそうだ。まっすぐ前方に器具の仕様任せに飛ばすしか出来ない彼女の立ちションと本物の男性の立ちションは全然違った。

ここしばらく疲れていたのもあり今日は長めにこのベンチの前でのんびりしようかと思っていた。あまりに多種多様な情報をインプットしすぎた。少し頭の整理が必要だろう。

彼女は何か飲もうと一旦ベンチを離れ近くの自販機まで歩き出した。ここもそうだが公園では自販機とトイレは近くに設置されていることが多い。ふと彼女の目に男子トイレの中が目に入った。初めて男の子たちの立ちションを目撃した時もそうだが、男子トイレはスペースの関係もあるのだろうが外から小用を足している姿が丸見えなところが多い。単独行動時に男子トイレで用を足すことが当たり前になって慣れてしまったが、最初の頃は人からおしっこをしているのを見られるのが当たり前なのによく耐えられるなと不思議に思ったものだ。

少し尿意を感じる。誰もいないしちょうど良さそうだ。まだ我慢は余裕でできるが一度出しておこうと思い鞄から立ちション器具を取り出して足を男子トイレに向けた。

「あれ、◯◯ちゃん?」

前方から聞いたことのある男性の声が聞こえた。彼女は状況が状況なため慌てて立ちション器具を鞄にしまうと顔を上げて声の主を見た。

「あ、お兄さん……」

先日、女性向け風俗でサービスを受けたセラピストだった。

「偶然だね。どこかに行くところ?」

「えっと、ちょうど飲み物を買おうと思って自販機に……」

「そうなんだ。俺は仕事前に散歩してるところ。あ、◯◯ちゃんが使ってくれた店じゃなくて本業っていうのかな、表向きに言える仕事もしててね」

「僕も散歩です。そこのベンチで本でも読もうと思って喉が渇いたからその前に何か買おうかなって」

「そうか。よかったらちょっと話さない?」

「え?」

「嫌なら無理にとは言わないよ。ちょっと◯◯ちゃんと話してみたくてね」

セラピストは笑顔でそう言った。とても魅力的な笑顔だ。最初は少し警戒したが公園で話すだけだし、少しこの笑顔を見たいと思った。尿意も一応トイレに行こうかというくらいだから我慢するほどでもない。

「はい、そこのベンチとかでもいいですか?」

素性のよく知らない男性と二人きりになる。しかも所属する店のサービス外でだ。失礼かもしれないが、他の人の目のあるところがいい。

「いいね。飲み物買うんでしょ? 奢るよ」

彼女はコーヒー、セラピストはビタミン飲料を買って先ほど彼女の座っていたベンチに並んで座った。

「この間はありがとうね。満足してくれるといいんだけど」

「こちらこそありがとうございます。僕、ずっとちんちんを触ってみたくて。それが叶いました」

「でもイかせてあげられなかったけど、それはよかったの?」

「お兄さんが返った後、一人でしたんで。それよりちんちんの感触とか大事なところをマッサージとかの気持ちよさで満足でした」

彼女は下半身に関わる言葉をぼかした言い方をしつつ声を小さくしながら言った。子供達も目の前で遊んでいる昼間の公園だ。そうしないと不審者二人組になってしまう。

「それならよかった。ところで一つ聞いていいかな?」

「はい」

「◯◯ちゃんって、FTMだったりする?」

「えっ……?」

彼女は戸惑った。FTMつまりトランス男性だとセラピストは思っている。これまでレズ風俗でそう嘘をついて「男の子として」サービスを受けたことがある。それに最初に読んだ嬢にも同じように聞かれた。どう返答するか迷うが男の子として見えるように振る舞えているのは確かなようだ。トランス男性に見せるせいで少年に見えないとかがなければの話だが。

「ち、違います。僕、ちゃんと女の子です。なんなら少し前に撮った写真見ますか?」

彼女はそう言ってスマホを出して役作りを始める前の数ヶ月前に撮った写真を撮影日時を表示した状態で見せた。

「これ、◯◯ちゃん?」

「はい。ちょっとイメチェンをしたんで」

妙に気まずい気分だ彼女はそう答えた。

「そのイメチェンが性別移行じゃないんだね?」

かなり疑ってるようだ。そんなつもりがなかったので規約のその部分はよく覚えていないのだが、女性向け風俗でのトランス男性の利用は多分NGだろう。以前利用したレズ風俗が特殊なだけで、いくら身体が女性でもトランス男性は男性だ。彼女はそう考えて信じてもらう方法を頭の中で模索した。

「その、僕、大学のサークルで演劇をやっていて。それで男の子の役をやることになって髪を切ったんです」

「そうなの?」

セラピストは予想外の返答だったのかキョトンとして彼女を見た。彼女は20歳の女子大生という設定でセラピストからサービスを受けた。それならその設定に合わせたフェイクを入れてアレンジして本当のことを話せばいいと思った。これなら半分以上は本当なのでボロも出ないし、守秘義務にも抵触しない。

「はい。その、役作りでうまくいかなくてイライラしてて、そうしたらムラムラも酷くて一人エッチだけじゃ満足できなくなって……」

「うん、そうなんだ」

「僕、処女で男の子の身体の事を何も知らないからちんちんのことを知ったらもう少し男の子の振る舞いとかを知ることができるかなって。脚本に書かれていないところも考えるのに男の子と女の子の違いって身体だし」

嘘はついていない。これはまさにこの公園で至った考えだし、セラピストにちんちんや立ちションを見せてもらったのもそこではじめた立ちション研究の一環だ。

「それはなんとなくわかるかな。俺、演劇とか見たことしかないけど説得力がある演技をするためってことかな?」

「そうです」

「でもさっき、手に立ちション器具持ってたし、男子トイレに入ろうとしてなかった?」

バレてるようだ。立ちション器具はすぐに見つからない様に仕舞ったと思ったが見えてたようだ。

だが、彼女はそこに違和感を覚えた。なぜセラピストは立ちション器具を知っているんだろう? 生まれついての男性には縁のないもののはずだ。

「知ってるんですか? 立ちション器具」

彼女は取り繕うより前に疑問をぶつけた。

「ああ、ちょっとね」

何か話せないことでもあるのだろうか話したらそうだ。

「内緒にしてくれる?」

「あ、はい」

「◯◯ちゃん、信用できそうだから話すけど他のお客さんでFTMの人が何人かいてね。そのうちの一人が使ってるんだよ、◯◯ちゃんが使ってるやつ。なんならそれを使う練習に付き合った」

トランス男性と使ってなかったのかと彼女は思った。それにしても立ちション器具の練習に付き合ったりもしたというのに少し驚いた。

「今は胸も取って見た目が、まぁ、少し可愛い感じの少年っぽい感じなんだけど、完全に男なんだけどさ。そのお客さん、最初来た時は見た目が完全にボーイッシュな女の子でさ。事情聞いた時は驚いたよ」

「胸とかはどうでした?」

本筋には関係ないが何となく気になって彼女は聞いた。

「普通より少し大きいくらいだったかな。ナベシャツっていって胸の膨らみを隠す下着があるんだけど、それはホルモンやるまでつけてなくて本当に見た目は女の子だったよ」

それまで気にしたことはほとんどなかったが、初めて自分の胸のサイズに悲しい気分になった。身体が女性とはいえ男の人に負けたというのに自分の身体が残念に思えて思わず自分の胸に触れた。

「今も月一回くらい来てくれてるんだけど、帰り見送ってもらう時に連れションしてるんだ」

「連れション?」

「友達とかと一緒にトイレに行くってやつ」

「それは知ってます。女子もするので」

「うん、男の連れションって◯◯ちゃんも知ってるかもしれないけど、隣り合って顔合わせてするじゃない。女の人は個室で別行動になるし、会話をしても壁越しだし会話らしい会話にならないっていうから、男みたいに顔合わせてそれまでしてた会話を続けるのをしたいって言ってね」

彼女はこの公園で目にした少年たちが連れ立っておしっこをしている光景を思い出した。今まで考えなかったが、誰かと一緒に顔を見ながら会話しておしっこなんて彼女の経験したことのない「景色」だ。

「そういうわけで、少しFTMのトイレ事情に詳しくなってさ。男相手のセックス事情もなんだけど」

今までいろんな動画やブログでトランス男性の事を知ってきたつもりだったが、彼女は自分は何も知らないんだと思った。立ちションについての知識しかないし、セックス事情もレズビアンとどう違うのかわかっていないと気づいた。

「◯◯ちゃん、立ちション見せてほしいとかちんぽを触らせてほしいとか言ってたでしょ。その時に慎重に観察する姿が自分にもあったらっていうか、将来手術でちんぽを作ろうと考えてるのかなってくらい真剣だったから、もしかしてと思ってね」

正直にいうと立ちションのことを調べるようになって、男の子のふりをするようになってちんちんが羨ましいと思うことは何度もあった。だけど、それは男になりたいではなく器具なしで立ちションできるのが羨ましいとか自分にないものがついてて羨ましいとかそういうものだ。女友達と下ネタの話になった時に子供の頃にそう考えた経験がある話はよく聞く。それを大人になってから経験しているだけだ。あとは少年役を演じるのを控えている役者として知りようがないがちんちんがついてるという身体感覚を知りたいという探究心のようなものだ。

「それとも、言い方は悪いかもしれないけど役者バカなタイプなのかな?」

彼女は目を見開いた。このままトランス男性疑惑をひたすら追及されるかと思い少し怖かったが意外な言葉を言われたからだ。

「先輩から処女だけど濡れ場を演じるからセックスを知りたいっていう女優がお客さんでいたって聞いたことがあるよ。◯◯ちゃんもそのタイプ?」

「そこまでじゃあないですけど、でも、芝居は成功させたいです」

彼女がそう言うとセラピストは感心した様子を見せた。

「そうか。なら、◯◯ちゃんも経験してみない?」

「何をですか?」

「男の連れション。器具で立ちション出来るんでしょ?」

彼女はセラピストの申し出に驚いた。話を聞いて確かにまだ彼女の知らない「男の子の景色」だ。それに唯一、彼女のおしっこ事情を知るのはこのセラピストだ。彼以外に連れションをできる男性はいない。

「いいんですか?」

「しようよ。さっきトイレに行こうとしてたんだから結構我慢してたんじゃないの?」

さっきは念の為という態度だったが、言われてみれば飲んでたコーヒーの利尿作用なのか確かに尿意がある。

「はい。連れション、してみたいです」

「俺もしたくなってさ、行こうか」

彼女とセラピストは公衆トイレに向かった。トイレに向かう途中、彼女は慣れた手つきで鞄から立ちション器具を取り出した。

トイレに着くと誰もいなかった。これ幸いと二人は隣り合って小便器の前に立った。セラピストは社会の窓からちんちんを出し、彼女は股間部分だけズボンを下ろして露出したちょんちょんと太ももの間に立ちション器具のしゃくれた漏斗部分を差し込んだ。

「なんか、緊張しますね」

「どんな感じ?」

「いつもは一人きりですから。恥ずかしいです」

彼女はセラピストの股間が気になっていて、セラピストはすぐにその様子に気がついた。

「見てもいいよ。遠慮しないで。気になるんでしょ」

「普通は……」

「見ないね。うっかり見ないように気をつけるくらい」

「なら僕もそうします」

「いいの?」

「じゃないと意味ないですから」

そこからは二人とも黙って放尿をした。セラピストの方は無音、彼女は器具の壁面で小さくなっているとはいえ女性特有の勢いのある尿道口から尿の出る音が聞こえた。

「終わった?」

彼女のおしっこの音が止むと、ちんちんのない人と連れションをすることに慣れているセラピストは彼女の顔を見て言った。彼女は「はい」と言って頷いた。

二人は小便器を離れて手洗い場に向かった。

セラピストは手を洗い、彼女は立ちション器具を洗って水切りをしてから手を洗った。

二人はベンチに戻った。彼女ば緊張から解放されて安堵した様子だった。セラピストはそんな彼女の様子を見て笑顔になっている。

「どうだった?」

「緊張しました。あと、やっぱり恥ずかしいです」

「FTMのお客さんも同じように言ってたよ」

「おしっこする時って誰もいない空間に一人きりなものですから。男子トイレを使うようになっても、僕がそうしてることは誰にも言ってないんで必ず一人ですし。でも、男の人には当たり前のことなんですよね」

「そうだね。股間しか露出しないしその股間も便器と背中で隠れるし、あとは別にお互い見たいものじゃないし、会話の内容とかそういうのに意識が向いてるからね」

「すごい社会的なんですね。男の人のおしっこって」

「そうかもね」

「僕、男の人のことまだ知らなさすぎです」

「役作りとかで必要かもしれないけど、性自認が男で完全に男として生活してる人でもションベンとかはそうなんだから気にすることないと思うけどな」

「その人ってお兄さんのお客さんで、僕がしてもらったのと同じことをしてもらってるんですよね」

「そうだよ。◯◯ちゃんとしたよりもっとエロいこともしてるけどね」

「そう、なんですか?」

「常連さんだし付き合いも長いからね。勝手も知ってるし」

「挿入とか?」

「それは常連さんでもダメ。膣にちんぽじゃないならしてるけどね。尻にちんぽとか膣に指とか」

彼女は会うことのないFTMのお客さんとセラピストがそういう行為をしているのを想像して女性器がムズムズした。お尻は想像つかないがレズ風俗で膣に指はした事もしてもらった事もある。そもそも、生まれて初めて誰かとしたエッチな行為は嬢の膣に指を入れた事だ。

「◯◯ちゃんもそういうのをしたい?」

「ええっと、考えた事なかったです」

「そうか。まぁ、身体が違って出来ないことは分からないものだよ。そこは想像で補ったりするんじゃないの?」

「そうですね。その想像もきちんと知らないと説得力がないですから」

「それもそうか」

少しの無言になった。気まずくはないが彼女はどこか恥ずかしい気持ちになる。

「恥ずかしいのはお兄さんのちんちんで感じた事を思い出したからでもあるんですよね」

「それで様子が変だったのか」

「FTMの人はどうなんですか? あ、これ聞いていいのかな」

「うん、そのくらいなら。普通に会話してる事もあればガッツリ俺のちんぽを見てる事もあるよ」

「それは興奮して、なんですかね?」

「その時によるみたいだよ。男なのに付いてないから自分に欲しいものとして意識する事も多いし、単純に◯◯ちゃんみたいに気持ち良いのを思い出してってのもね」

「なんかわかる気がします」

「わかるの?」

「ちんちんがある男の人たちは僕に経験できないことをたくさん経験できますから」

「逆な付いてるからできない事もあるよ」

「ありますか?」

「あの勢いのいいションベンとか射精なしでイクのとか、股にぴったりな服装とか割れ目の食い込みとか」

「それ、経験したいですか?」

「◯◯ちゃんとFTMのお客さんの言葉に俺も同じこと思ったよ」

「そうなんですね……」

ちんちんに興味を持ってから思った関心ごとと男の人が女の身体に寄せる関心は対になってるのだろうかと彼女は思った。男の人は「ある」で女の人は「ない」という事だと思ってたが、解剖学的には形が違うだけ、女の人は隠れてるだけという事と多分似てるのかもしれない。

「世間でいうより遥かに性については男と女はお互い様だから。それは俺がこの仕事をして学んだことかな」

セラピストの言葉に彼女はなんだかしっくり来る気がした。

「性同一性障害の人みたいにある所は男である所は女って人見るとすごく実感するよ」

「なるほど」

「◯◯ちゃんもそういう所、あるでしょ? 男役の準備をしてる女優さんならさ」

彼女はそのセラピストの言葉にこれまで研究してきた中でまだはっきりしてなかったとこへのヒントを見出した気がした。ただ、理解するには経験が足りないなと思った。エッチなことにしても人生経験にしても、まだ経験していない恋愛にしても。

「さてと、俺はそろそろ行こうかな」

セラピストは立ち上がった。彼女も見送ろうと立ち上がる。

「この間も言ったけど、また読んでくれると嬉しいな。これは単純な営業トークってだけじゃなくて、◯◯ちゃんには常連さんになって欲しいなって意味でね」

「あ、はい」

「俺も楽しく仕事ができそうだし、◯◯ちゃんにもっと色んなことを教えてあげたいしね」

「いろんな?」

「気持ちいい事はもっと色々あるから」

「それじゃあこういうのってアリですか?」

「言ってみて」

「僕がFTMって設定とか、僕が弟とか、妹とか」

「FTMはともかく残り二つは背徳感がありそう。いいよ。ロールプレイは風俗では定番だから。それに女優とやったらとやったらどうなのかきょうみがある」

トランス男性の設定は怒られるのではと少し心配したが大丈夫だった。

「それじゃあ、◯くんって次以降は呼ぼうかな」

彼女の名前の前半にくん付けだ。彼女の名前は前半だけにすると男女兼用になるし、後半を変えれば男性の名前になる。FTMや弟って設定ならその方がしっくり来る呼び名だろう。

「はい。それで。でも、そんなふうに呼ばれたの初めてです」

「君がどっちでもいいようにね。あと、帰りは連れションしようよ」

「いいですね」

彼女はもしかしてセラピストはまだ彼女がトランス男性だと疑ってるのかと思った。だけど、それでもいいかとは思った。今は少年に見られたら嬉しいし、女の子らしくない格好や振る舞いも何だかしっくり来ると思えるようになりその呼び名がちょうどいいと思えた。

「あと、クリトリスと膣、次は触らせてね。俺、まんこの感触好きなんだ」

「はい。僕も次はイキたいです」

「それじゃあね、また。楽しみにしてるよ」

「僕も楽しみにしてます」

公園の門の前で彼女はセラピストを見送った。

男の人の手で触られるクリトリスや男の人の指を挿れられる膣の感触を知りたいと思った。

彼女はまたベンチに戻って人間観察の続きを再開した。ちょうど少年たちが遊んでいる所だ。あの少年たちも肩を並べて顔を合わせて連れションしたりするんだろうと考えて、自分がそれをする側で見た景色を思い出していた。

連れションする男性の視点から見た世界を今日は知ることができた。だが、それを知ったと同時に股に器具をつけずに立ちションをする感覚を彼女は知ることができない。それはタイプBの立ちションが完成系を迎えたということを意味していた。それと同時に女性である自分が経験できることの限界も意味していた。

そしてセラピストのお客さんにいるというトランス男性の事を考えた。その会ったことのない彼もこの限界に直面しているんだろう。ちんちんをつける手術をすればその先に進めるが、その先には別の限界がある。医学的な意味で異性の身体を知るのはこんな風に限界があるのだ。

ふと、自分は役作りだけじゃなくもっと別の意味でも男性の身体をちんちんを知りたいと思っていると気がついた。だが、それが何なのかはわからない。気になりつつも彼女は姿勢を内股にして自分にちんちんがない事を確かめた。

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