初出はpixivです(2020年8月30日)
有償依頼を受け付けはじめてちょっと経った時期ですが、これはなんもなしで書きました。
ご依頼は http://skeb.jp/@freege_affected か、 http://twpf.jp/freege_affected からどうぞ。
※転載 pixiv、ハーメルンとくるっぷに転載しています。
雛菜はね~。
えっちは、口約束がいいの。
※
「きょうは、ネコか~」
事務所のソファには、先客がいた。事務員の七草はづきさん。
ネコ、というのはアイマスクのこと。いつもは確かイヌ柄だったけど、きょうはネコのを着けてる。
ホットミルクの湯気みたいな匂いがするネックピローと、薄くてサラサラのブランケットで、バッチリお昼寝スタイル。
……いつもお昼寝してるのに、はづきさんの事務服にシワがついてないのは、どうしてかな。雛菜もそのソファでごろごろするとき、制服に気を遣うんだけど、シワのつかないヒミツがあるなら知りたいな。
「寝かせてあげてくれないか、雛菜」
「わかってるって~。おはよ、プロデューサー♡」
プロデューサーは、いつものデスクから離れてた。談話スペースの広いテーブルに、タブレットと大きな写真を並べて、何やら赤ペンで書き込みを入れている。グラビアのチェックかな。
「はづきさんは、寝かせておいてあげるんだ。雛菜が寝てると、ぐりぐり~ってされて、起こされちゃうのに~」
「うたた寝ならはづきさんでも起こすけど、今は完全に寝ようとして寝てる格好だから。起きるべきタイミングに起きてくれるよ」
「なるほど。じゃあ雛菜も、こんどから完全装備にしよっかな~」
「雛菜は、自分ひとりで起きられるようにしような」
「ず~る~い~っ」
広いテーブルだから、プロデューサーのすぐ横にもちょうどよくイスがあって、雛菜はそこに座る。プロデューサーの腕を突っつく。邪魔しちゃあいけないかな~、と思う。けど、はづきさんに一番の特等席はとられちゃってるから、しょうがないよね~。
「はづきさんって、ネコみたいだよね~?」
「……そうか?」
「だって、居心地のいいところを探してると、ぜったいはづきさんが先にいるから。今みたいにさ。雛菜も、たま~に『ネコみたいだね~』って言われるけど」
プロデューサーの腕を突っつき続けると、プロデューサーは目を閉じて、目尻のあたりを指先で軽く揉んでから、やっと雛菜のほうを向いた。
「プロデューサー、それ、おじさんみたいだよ~」
「このあたりに、疲れ目に効くツボがあるらしいんだ」
「だから、そういうとこだって。ほらほら、休憩して雛菜とおしゃべりしよ~?」
プロデューサーの目の周りを指先でぐにぐにしてあげる。肩こりみたいにかたくなって……ってのはないけど、雛菜の指先よりカサカサに乾いてて、これが疲れかなぁって触り心地がした。
「雛菜は、ネコを飼ったことがあるかい」
「ないよ~」
「やっぱりな」
「そういうプロデューサーは~?」
「実家に居た頃は、面倒みてたよ」
雛菜たちの事務所で、ネコ……を含めて、ペットを飼ってる人は少数派みたい。まぁ、寮がペット不可だし。あと、事務所の中で観葉植物をけっこうお世話してるから、それがペット代わりになってるのかも。
「ネコは、はづきさんとは似ても似つかないよ。特に飼いネコは、食う、寝る、遊ぶしかしない。メシは人間任せ。どんな人間より自分勝手で、そのくせ神経過敏なんだ」
「ん~? プロデューサーは、ネコ、嫌い?」
「親に飼うのを許してもらったとき、嬉しかったけど『俺がめんどうみるのか、めんどうくせぇなぁ』とも思ったぐらいだよ。よくもそんな生き物を10年以上もお世話してたもんだね? って聞かれたら、俺は返す言葉がない」
「じゃあ、雛菜はもっとネコっぽくなってあげようかな~♡」
いきなり『ぶぶぶぶ』と『ぐぐぐぐ』の間みたいな響きの籠もった音がする。スマホのバイブかな。雛菜とプロデューサーは顔を見合わせたけど、そろって首を傾げた。
「……はづきさんが起きるためのタイマーだろうな」
雛菜はプロデューサーの隣席を立った。
念のためスマホを確認する。通知はなにもなし。
でも、プロデューサーからのメッセージは届いている。時間と場所だけ。
これがえっちの約束。
「やは~……♡」
けっきょくプロデューサーは、ネコを好きとも嫌いとも言わなかった。
※
プロデューサーからスマホに届いたメッセージを、雛菜は『メッセージ』って言ったけど、メッセージアプリは使っていない。そういうのじゃなくて、チェーンのパスタ屋さんみたいな名前のウェブメールを使ってる。
雛菜とプロデューサーの二人で、メールアカウント一つだけを共有してる。二人がそれぞれログインできるようにしておいて、伝えたいメッセージはメールの下書き機能に書く。読む時も下書きを開いて読む。送信はしない。二人しか見ないから、自分以外が書いたメッセージは、相手が書いたってすぐわかる。
相手からのメッセージを読んだら、そのメッセージを消して下書きをカラにしてから、返事を書く。こうすると、最新のメッセージしか残らない。バレても、どっちかがスマホをいじれれば1分でアカウントごと消せる。これ、アメリカで、スパイの偉い人が使ってた手口なんだとか。
プロデューサーとアイドルって、めんどうくさいね。雛菜はこれ使う前、アプリでしか連絡をとったことがなかったから、ちょっと意味がわからなかった。
でも、最後に送ったメッセージしか記録に残さないところ、口約束っぽくて好き。
約束の場所は、ほとんどが駅チカのシティホテル。そういうホテルと違っていっしょに入らなくて済むし、雛菜を知ってそうな人があまり来ないところだし。
時間は、雛菜の放課後から日が暮れるまでの間と決まってる。雛菜たちがnoctchillとして4人でデビューしてから、いつものメンツとお仕事以外で過ごすことがちょっと減って、そのぶんの空き――少ないけど――をあてている。プロデューサーのオフは、雛菜に輪をかけて少なくって、しかも平日だったり土日だったりバラバラだから、約束はけっこう間が開くこともある。
行く前に、もちろん制服は着替えていく。10歳ぐらい年上に見えそうなスーツとパンプスを買ってもらって、さくっとできるメイクと着こなしを教えてもらった。駅のスマートコインロッカーに用意してくれていたのを取り出してこっそり着こなす。
きょうは、取り出すと、いつものブラックな気持ちお堅めのスーツ……かと思ったら、生地が少しすーすーしてる。裏地もごそごそしてみると、わかった。
あ~、この前と違って夏仕様なのか~。
つい、本物の丸の内のお姉さんたちより少しだけ大げさに、ヒールを鳴らしちゃう。
プロデューサーから知らされた番号の部屋へ。
「あは~♡ 夜だったら、きれいな眺めだったんだろうな~」
プロデューサーとこうなってから気づいたんだけど、シティホテルはどこもだいたい眺めがいいらしい。あるいはプロデューサーがそういう好みなのかも。きょうの部屋も、外をたっぷり見せつけるように、床から天井ぎりぎりまでガラス窓が広がってる。
といっても、きょうの空はまだ黄色かオレンジ。恥ずかしいから電気消してって言ってもしっかり見られちゃうぐらい。もう日の高い季節だし、めいいっぱいいっしょに居ても、東京のロマンチックな夜景はおあずけみたい。
プロデューサーはいつも先入りして、お菓子と飲み物を勧めてくれる。友達のおうちにお邪魔したみたい。お菓子は雛菜の好きなモノだったりそうでもないモノだったりする。どのお菓子が好きか、教えてないからね~。甘いもの食べて帰る日以外は、雛菜からリクエストとか送らないし。
「あ~、ずる~い! プロデューサーだけ、シャワー浴びてる~」
プロデューサーの体臭は、いつも違う。ホテルによって、使うボディソープが変わるからかな。
「雛菜も、汗流してくるか? きょうも暑かったから、さ」
「そうだね~。きょう、体育あったし~。でも……雛菜の匂いが、お湯で流れちゃっても良いの~?」
この部屋に二人で並んでくっつける場所は、ベッドの上しかなかった。プロデューサーといっしょに夕焼けとビルを眺められないのが、少し残念だった。
「そ~れ、ごろにゃ~ん♡」
プロデューサーの首や肩に、雛菜のほっぺたや髪の毛をこすりつける。ばっちり決めたオフィス風コーデが乱れるけど、気にしない。プロデューサーは、雛菜の指先やあごあたりを軽くくすぐってくる。
「あは~……♡ ほんとに、ネコみたい……」
漫画とか映画とかだと、男の人は女の人が近くによったら、すぐ目の色を変えるし、密室でそれっぽい雰囲気になると、ぐいぐいって女の人を押し倒して強引にキスしたりおっぱい揉んだりしちゃう……って描かれてる。プロデューサーも『男はそんなもん』って言ってた。
その割に、プロデューサー自身は、そうなるまでけっこう時間をかける。
「あぁ、雛菜は……うん、ネコ……かなぁ。どうかなぁ」
「……どうかな~♡」
雛菜がプロデューサーの体臭を嗅いでいるように、プロデューサーも雛菜の匂いを嗅いでるんだろう。声も、体温も、肌や肉や骨の感触も、同じくらいの濃密さで届いてるんだろう。
「雛菜……」
「そうだよ~、雛菜の名前は、市川雛菜だよ~?」
こうしてるときのプロデューサーは、透先輩よりも空っぽになる。雛菜が抱きついて頬ずりするどころか、全体重をかけてぐぅーって押さえつけてないと消え失せちゃうんじゃないかってぐらい。
おかしいね~。雛菜よりずっとおっきくて、どっしりと固くて重い男の人の体してるのに。
「プロデューサーは、コーフンしてるとこ、なかなか見せないよね~。素敵なアイドルに囲まれて、慣れちゃったとか~?」
まぁ、雛菜のクラスメイトみたいにえっちな目や反応が露骨に出ちゃうようじゃ、アイドルのプロデューサーなんてできないだろうけど。
「興奮……まぁ性欲は、最悪、一人でどうにかなる。一人で処理すると、むしろ気楽だ」
「え~、そんなの保健体育じゃやらなかったよ~?」
「やってたまるか。でも……人肌が恋しいのは、一人じゃどうにもならないんだ」
人肌が恋しいって感覚は雛菜にもわかる。ただ、プロデューサーぐらいの男の人が、どれぐらいスキンシップをほしがってるか、雛菜はわからない。他人とのスキンシップを欲しがってるとして、それをどうやって解消してるかもわからない。
「つまり、プロデューサーは、さびしんぼさん~?」
「そうだな、うん……そうだよ」
「じゃあ、雛菜とこうしてるの、しあわせ~?」
「言葉にするとしたら、しあわせ、だな」
プロデューサーは、きっと本気で言ってる。
一回、雛菜ができない日だったとき、こうして時間いっぱいイチャイチャ(?)してただけでおしまいにしたこともあった。アレの匂いを嗅がれちゃうんじゃないかって、こっちが冷や冷やしちゃった。
プロデューサーのそういうとこ、雛菜とウマがぴったり合っちゃってる気がする。
えっちは、気持ちよくないとは言わないけど、プロデューサーはいつも何かを我慢してるような顔と声をしてる。えっちの前だったり後だったりにこうしてるほうが、プロデューサーはしあわせに見えるの。あくまで、雛菜から見ての話だけど。
最初、どっちからえっちに誘ったか? え~と……う~ん、それは、口約束だから。
どっちから誘うこともあるよ。誘ったけど、また今度って言ったり言われたりすることもある。
「……っ♡ プロデューサー、そろそろ……する~?」
他人の目からだと、すっごくあやふやで、頼りないつながりに見えちゃうんだろうな~。
でも、雛菜には、きっとそれがいいんだ。
「したい。ちょうどしたいって思ったところだ。俺、雛菜には全部見透かされてるな」
「……そんなこと言って。雛菜は、雛菜のことしか知らないよ~」
ぜったいにしあわせになれるって確信より、しあわせになれたらいいなって期待のほうがすき。
しあわせにしてあげなくちゃって使命感より、しあわせにしてあげてもいいよって気まぐれのほうがすき。
そっちのほうが、しっくりくるの。
「ん、んっう……はぁ、はぁ……んう」
プロデューサーの手付きと息遣いが変わる。激しくないけど、ぜったい元に戻らないだろうなって変化。きょうの午後、化学の授業で銅板を炎であぶってたら、銅版の色が赤や紫にみるみる変わっていったのを思い出す。
「んぁ……ちゅ、ちゅく……ん、ん……っ♡」
二人、ベッドに座り直してから、くちびるどうし、触れるか触れないかのキス。鼻息を浴びせちゃってちょっと恥ずかしい。手の指をきゅって重ね合わせる。口が塞がるとしゃべれないから、加減はこっちで伝え合うの。
「んふ、は、ぁ……んんっ、くふ……ちゅっ、ちゅうっ……」
口角を寄せ合って、内緒話みたいなキス。それからくちびるを尖らせて、わざとちゅっちゅって音を立てたら、くちびるや指先どころか、耳の奥までくすぐったくなる。くすぐったさがじわじわ広がる。ほっぺた。首の前と後ろ。髪の毛。手のひら。手の甲。
プロデューサーの吐いた息を吸っちゃう。くちびるどうしが絡む。雛菜のべろとあごあたりにしゅわしゅわと効いちゃう甘じょっぱさと、プロデューサーがさっき食べてたキャンディの新しいフレーバー。
「んん……れぅ、んむぅ……んふ~……♡」
べろの先は敏感で、ぴりぴりしちゃう。それをつっつき合う。またつっついて、遊んで……不意に、雛菜の舌の根元に潜り込まれる。反射的に手をぎゅってしちゃう。プロデューサーはのろのろと引っ込める。仕返しに歯で甘噛みする。
「……んくっ、ふぁ、あ……やは~……びっくり、しちゃうよ……♡」
今度は雛菜が、プロデューサーのべろの上を撫でてから、固くてぬるぬるでしわしわの天井をいたずらする。プロデューサーの手がぴくってする。そうやって、べろを突っ込んだり突っ込まれたりする。
「んぷっ、はぅ、んんっ、ちゅくっ、ふぅうっ……!」
いつの間にか、イチャついてたときと同じくらい、プロデューサーに体重をかけちゃってる。かち、かちって前歯の硬いのまでこすれちゃう。ぢゅう、ぢゅうってイヤらしい音を立てて吸い合う。
もう、ぎゅうってさせてるのは手だけじゃない。腕とか、肩とか。倒れ込んだら、脚まで。プロデューサーは、いつも雛菜が上になるようにしてくれる。逆になったら雛菜はどう感じるのかな?
「ぁ、ふぁ、はぁっ……プロデュー、サー……」
難しいダンスを仕上げたときみたいな、ぜぇぜぇするのと、どきどきするのが混じってる。
「……すきっ……」
「雛菜……?」
あ、ちょっと口から漏れちゃった。
「ううん、すき~……♡」
プロデューサーと会う前に味わったことのある『しあわせ』と、違う味。あやふやな、しあわせ『かも』って雰囲気がする。
「う~ん……ちょっと、ミスマッチだったかな~?」
プロデューサーが着せてくれてたのはオフィス・コンサバ寄りのスタイル。雛菜の下着は、つけ心地重視の……まぁ、女子高生ならなんとか、ってデザイン。
「下着……かぁ。これも、揃えたほうがいいか?」
プロデューサーから、及び腰がにじみ出た声。スーツとかパンプスなら、雛菜の衣装作りでサイズを知ってるから、ぴったりのものを用意してくれたけど、さすがに下着は難しいのか、ためらわれるのか。
雛菜も、ちょっと考えちゃう。体育とかある日にうっかり凝った下着にしちゃってると、女子の間で目立っちゃって……どこでどう見られてるかなんて、なかなかね~。
「……気が、向いたらね~♡」
でも、例えば、雛菜が今度すっごいのをいきなり見せてあげて、プロデューサーをびっくりさせたら、面白いかな~?
「いまは~……雛菜を、触って……♡」
プロデューサーの手は、雛菜の手に甘えるようにニギニギしてたくせに、ブラはあっさりぱっさり外しちゃう。ゆさっ……って、我ながら重たそうに見えて本当に重たいおっぱい。プロデューサーの手はおっきいけど、それでもぎりぎり片手じゃ覆いきれないぐらい。
「雛菜のは、柔らかくて、気持ちいいんだけど……」
「だけど……?」
「触ってるこっちが、溶けそうになる」
「……へんなの~♡」
柔らかさが伝染しちゃうのを恐れるみたいに、プロデューサーの手は、雛菜のおっぱいの一番膨らんでるところを後回しにして、鎖骨とか肋骨あたりから触ってくる。そこらへん、くすぐったいの~。
もっと触って――もう触っちゃだめ――どっちも。
プロデューサーとえっちするときは、いつも、気持ちいいのと苦しいのが二重写し。気持ちいいのが強くなったり、苦しいのが強くなったりするけど、どっちもしっかり雛菜に焼き付く。
たま~に、好きな人とえっちしたら、夢見心地でしあわせいっぱい~って語る人もいるけど、雛菜は今のところそっち側じゃないみたい。
「は、ああぁ……やは~……ん、あぁ……もっと、いい、よ~……♡」
プロデューサーは、前に雛菜が「いい」って口走っちゃったときの触り方、ほとんど覚えてるらしい。何度でもしてくれる。そうしてもらうと、確かにぞくぞくする。どきどきする。ふわふわする。とろとろしちゃう。
でも、ちょっと引っかかる。
プロデューサーが、数週間ぐらい前に触れてた雛菜を覚えててくれて嬉しい。でもプロデューサーは、きょう眼の前にいる雛菜以外は忘れてて欲しい。
「プロデューサー……すっごい目、してる~♡」
「本当に、溶けそうになるよ。雛菜に触れてると、何もかも」
引っかかると言えば……ついさっき、たぶん何も考えていないで「あぁ、雛菜」なんてつぶやき垂れ流してるだけのプロデューサーのほうが、いまよりしあわせだったんじゃないかな。違う~?
「ぅん……プロデューサー、それ……もっ、とぉ……」
指先。関節。手のひら。手首。雛菜に埋まったり、食い込んだり、滑ったり、撫でたり。じっくりねっとりと、おっかなびっくりの間をゆらゆらする手付きと息遣い。プロデューサーのココロとカラダもそんなんだったらいい。
ちょっとでも狂ったら、落っこちてぶち壊し。まるで二人で一本の綱渡り。
「好きだ、雛菜」
「んんっ……ああぁ……ん、ひなな、も、すき……っ♡」
プロデューサーに触られながらささやかれると、入ってきちゃいけないのに入ってきて欲しいものが、雛菜の中に入ってくる。
「もっと……下も、触って~……っ♡」
ウエストと太もものあたりに、あの触られ心地が降りてくる。気持ちいいのと苦しいのが、二重写しでどんどん広がる。雛菜がプロデューサーから触ってもらったところそれぞれから、波紋があちこちに広がって、雛菜の内と外でぶつかる。ぶつかると、打ち消し合ってさらさらになって泡立って消えたり、びくんって跳ねていっそう高くなったりする。
にちゅ、ぬちゅ……なんて、音が聞こえちゃう。雛菜の大事なところが、しあわせ~♡ って言ってるのかな。自分の体のことだけど、きっぱり言えない。触って――触っちゃだめ――どっち?
……どっち、も。なんて。
「ん、んっ……!! ぷろ、でゅーさー……♡ ひ、雛菜、はぁ……んんぅ……んんんんんっ!」
アソコを触られると、プロデューサーの手首あたりを、太腿でぎゅうってしちゃう。アソコは、なんて言ってるのかな。近づかないで? それとも、離れないで?
プロデューサーはどっちだと思うの?
「んんん、んあぁ……ぅ、ああ……ん……」
ぞくぞくする。どきどきする。ふわふわする。とろとろしちゃう――そういうの、広がっていくの。
「雛菜……?」
「せなか……ぎゅって、して……っ」
そうすると、プロデューサーが触りづらくなるのはわかってるけど、ねだる。空気しか触れていない背中がびくびくってなっちゃうと、震えた拍子に肌や筋肉や骨がほどけてしまいそう。こんな心配、えっちのとき以外はぜんぜん覚えがないよ。
それとも、プロデューサーから下敷きにされてたら、また違うのかな。
でもその体勢はちょっと苦しいのが勝ちそうだから……腕を、ねだる。
「え、へ……プロデューサーぁ……♡」
前と後ろと、両方してもらうと、プロデューサーに包み込まれてるって思える。狭苦しいけど、狭いのがいい。ほんと、我ながらネコみたい。
「……そんなふうに雛菜に甘えられると、俺、ますます興奮するよ」
なでなでって甘やかすような手付きが、ぐいぐいって揺り起こす強さになって、それから……。
「はぁあ……あ、やあっ……! んん……っ!」
肌に食い込まされる。雛菜の息も声も勝手に乱れる。ぷるぷるって、くにくにって、おもちゃにされてる。プロデューサー、きっと興奮してる。下着も脱がせてきて……しびれ、切れちゃった?
「んあぁっ……あ、やぁ……っ!」
濡れちゃってる。まるで雛菜も待ち焦がれてたみたい。そう見られてもおかしくないぐらい。
「雛菜。脚、開いて」
プロデューサーの指図。どうしよう。今、開いたら、垂れちゃう。いやらしいよ~。これは……雛菜、プロデューサー相手でも、恥ずかしい……。
「……いやか?」
「ふ、ふふっ……そんな、こと……まだ、雛菜のこと、わからないか~……♡」
プロデューサーはわからないって。
……えらいっ、おみごとっ。褒めてあげる……♡
だって雛菜自身でも、この恥ずかしさの快不快が、はっきり割り切れないんだから。
「プロデューサーが……したければ、もっと、したら~……♡」
「……ありがとうな、雛菜」
プロデューサーの指先が、雛菜の内腿もかすめた。それだけなのに、きゅうって切ないのが、おへその上ぐらいまで駆け抜けてく。
そうだ。気づいちゃった。
気持ちいいのと苦しいのが二重写しって、きっと『切ない』がいちばん近い。
「んやぁ、あ、はぁ……♡ あは、はぁっ、はぁあっ……っ♡」
キスでくちゅくちゅになった口だけじゃなく、鼻の奥や目玉まで溶けちゃいそうに熱い。でも、泣いちゃったら……雛菜、嫌がってるって思われちゃうかな。雛菜たちのえっちは、相変わらず綱渡りだから。
「ぷ、ぷろ、でゅーさーぁ……♡ せつない、雛菜ぁ、せつないよぉ……泣けて、きちゃう~……」
「……雛菜」
だから口に出す。言ってあげれば、わからなくても伝わるかもしれない。
「ひぁあん! ぁ、あ、はぁ……ゆ、ゆびぃ……っ」
くちゃ、くちゅって……えっちな音、聞こえちゃう。濡らしてるところ触られて、プロデューサーの指先で広げられちゃってる。片手の指はぐいぐいって突っ込んできて、もう片方はデコルテをそろそろとソフトタッチ。首筋を撫でられると、興奮してる脈搏をすくい取られちゃう気分。
「あ、はぁ……あ~、あぁ~、ぷろでゅーさーぁ……♡」
雛菜自身では、うるさすぎてとても耳を傾けられない心臓の鼓動。プロデューサーも触れ合ってると、雛菜のどきどき、わかっちゃうのかな。プロデューサーに会うまで、雛菜は自分のことはわかってると思ってたけど、もう前ほどわかってる自信はないや。ボイレコで撮った自分の声をレッスンで聞いて、印象がぜんぜん違うからびっくり! みたいなこと、いっぱい経験したみたいな。
「このまま、続けられたら……雛菜、イッちゃうかも、ね~……♡」
プロデューサーの腕の片方が、雛菜の体にぴったりくっつけられる。
「……もう少し、深く行くぞ、雛菜……」
「なぁに~……雛菜に、ココロの準備、しなさいってこと~……?」
心臓は、たぶん雛菜のほうがバクバクいってる。でも、プロデューサーのほうが息苦しそうだ。滴り落ちそうなほどの脂汗してるし。そう思ったそばから、雛菜の肌に雫がはらはらって転げ落ちてきて、それだけで肌の下までじんじんする。
「……イカせてみて、雛菜の、ことっ」
何呼吸ぶんか間をあけてから、プロデューサーから、ごくり……なんて、ツバを飲む気配。音と、あと首や肩の具合で、伝わってくる。
近いね。とっても。
「雛菜、ひなな……っ!」
ずるずる、くりくり……って、おへそのあたり、指先で探られてる。それと同時に、外の……クリトリス? っていうのかな。回りからじわじわと指圧される。
器用だね~。五本指でそれぞれ別の音を出させるピアニストってこんな風なのかな。
「ぁうっ、やはっ、あ、はぁあっ♡ じんじん、する~……♡」
雛菜、じんじんする……どころじゃ、ない。中も、外も、どんどん敏感になる。指でくりくりされてるの……どころか、プロデューサーの手首や腕に浮く筋まで肌で感じ取れちゃう気がする。
「雛菜……足、伸ばしきれるか?」
いつの間にか、プロデューサーは雛菜の背中側に回っていた。プロデューサーの肩や腰で支えてもらってるって気がつく……あ、シーツ、思ったより濡らしちゃってる~。まぁいいや。後片付けはプロデューサーにお任せだし。
「……あし~? こう……?」
プロデューサーによる人間座椅子は、事務所のソファよりずっと悪い座り心地。
だけど、雛菜の特等席。
「触ってないのに……おっきくなっちゃってる、ね……あは~……♡」
「雛菜に興奮して、な」
プロデューサーの股にあるそれは、雛菜のお尻や腰にあたっていた。注意を向けなきゃ気が付かないぐらいだったおちんちんが、嫌でも雛菜の意識を引き寄せる大きさに膨れ上がってる。もうおちんちんなんて生易しい響きは似合わないかも。
「……おっきいし、かたいし、あつい。雛菜とは、ぜんぜん違うね~」
「そうだな。同じ人間なのが、不思議なぐらい」
それを言い出したら、いま雛菜がもたれかかってるプロデューサーの腕や胸板も、雛菜のおっぱいとは似ても似つかないけど。
「……あし、伸ばしたよ~……♡」
脚の姿勢によって、アソコの加減は変わる。少なくとも、雛菜の側は、ちょっと変わる。
「ぅ、やぅぅっ……あ、ン……ぁ……♡」
雛菜のアソコで狙われてたところ、もっとくりくりされる。神経がしゅわしゅわって泡立つみたい。脚が伸びると、こわばったまましゅわしゅわを逃せなくなる。爪先からお尻までびくびくして、じゅくじゅくって濡らしてしまう。これも雛菜の知らない雛菜。自分で弄ってみても、こうはならない。
「ん――ぷろでゅーさ――ん、んっ。るちゅ、じゅる、んぅぅう……っ♡」
そこからプロデューサーは、雛菜に後ろを向かせてキスを促す。
「か、はぁあっ、や、やぁああ……っ!」
これね、きっついの。
雛菜の背中とプロデューサーの胸板がくっついてた姿勢だったでしょう。そこから、プロデューサーが首を伸ばしてくるんだけど、雛菜は首や肩をひねるだけじゃ、くちびるどうしでふれあえない。だから、お腹までキリキリってひねるの。すると……。
「ぁ、はふぁ……っ! だ、めぇ……ひなな、く、くるしい、よ~……♡」
アソコの奥までがキリキリって引き絞られる。プロデューサーの指は入り口近くだけいじってるのに、浅いところから奥の深くまで、雛菜のナカが細く張り詰めた緊張でつながる。
「ふぁ、れぅっ、ひぅ、あ、ああ……んんぅうーっ!」
「へぷっ、ちゅぅるっ……雛菜、そこ、締まって……んくぅ、ぢゅるっ」
プロデューサーはキスしながら、空いてるほうの手で、ぎゅうって引き攣れてる雛菜のウエストを撫でる。プロデューサーの手のひらって、プロデューサーの体の中では、くちびるとべろの次に柔らかいって思い出す。するする、なでなでって。
強引だけど、きもちいい。
「はぷっ、ふぅっ……な、なかに……雛菜の、中……き、キちゃう、よ~……♡」
苦しいからこその楽しみがあることもある……って、プロデューサーは雛菜に話したことがあったね~。話の流れは、アイドル活動についてだったよ。それ聞いたばかりの頃の雛菜は、鵜呑みはできないけど……否定もしたくないかな、って感じだった。
「やぁっ……んっ、ふぅっ、あ、あっ」
雛菜……それをまさか、えっちで納得させられそうになるとは、思わなかったよ~。プロデューサーが、そのつもりでやってるのかは、知らないけど。
「雛菜、やっぱり可愛いな……色っぽいよ、ぞくぞくするよ」
「……んもぅ~♡」
いまさら気づいたみたいな言い方する~。
ホントにいま気づいたわけじゃないだろうけど、プロデューサーの手付きとささやきが、勢いを増して、畳み掛けるように雛菜をいじってくる。
「はぁ、あぅっ♡ あぁ、んくっ……♡」
雛菜の神経から体の内側に、しゅわしゅわするのが拡がっていく。プロデューサーにいじいじされてるお腹のあたりとか、心臓と呼吸で騒がしい胸のあたりとか、ささやきや吐息を浴びながらくらくらする頭とか。
やっぱり、悲しくもないのに泣けてきちゃう。
「ふっ、うぅんっ……! んちゅっ、んぢゅっ……ん、ふっ、ふぅむっ、ちゅっぷっ……♡」
涙は、雛菜の頬から割ときれいに流れ落ちてくれた。プロデューサーがその雫を、お腹に添えてた手でぬぐってくれる。一瞬、舌でなめようとした気配はしたけど。
確かに、涙を舌でなめるのはちょっとないよね~。へんな意味でぞくぞくしちゃいそう。
近くにいて肌をぴったりくっつけてると、プロデューサーのことは雛菜に筒抜けで、ココロまで読めちゃう錯覚がする。ちょっと怖いよね、別々の人間のはずなのに。もしかして、プロデューサーも雛菜に同じ錯覚が迫ってて、同じ怖さを味わってるのかな。
「ちゅ、ぢゅう、れろ、れぅ……ぷふ、ふぁ……いいよ……? プロデューサー、雛菜のこと、もっとメチャクチャにしたいよね~?
「……したい。雛菜がエロいから……すごくしたい」
「いいお返事~……今なら、いいよ~……♡」
雛菜が泣いて、いったん弱まったプロデューサーの手付きが、またぐいぐいって雛菜の体に食い込む。
「はぁ、あっ♡ はぁぁ……は、ひぁ……あ、あぁぁ……はぁ、ふぅぅ……♡」
くちゅ、くちゅって音が、プロデューサーの指で引きずり出される。雛菜がきゅうってアソコの中で抱きつくと、プロデューサーの人差し指と中指の、関節の一つ一つまでわかる。クリトリスの表と裏をすりすりってされると、伸ばした足先が勝手にぴんってなって、足の指がもぞもぞくねくねして、切なくてたまらないってジェスチャーで教えちゃう。指をカギ型に曲げられたら、アソコからよだれを濃くしたようなべったりしたのがシーツまで垂れ落ちて、匂いは雛菜の鼻にまで届く。
あ、コレで、このままイっちゃいそう。きょうは体の機嫌がいい。
「はうっ……ん、んんぁっ♡ はぁんっ……!」
プロデューサーは、雛菜を『エロい』なんて言ってくれるけど、雛菜、そうは思わないな~。
プロデューサーとえっちするようになってから、自分でも真似して弄ってみる日を決めてみたけど、頑張ってもイケないまま疲れて『あ~、きょうはもうおしまい~』ってなること多いし。
エロいのはプロデューサーじゃない?
「ぷろでゅーさーぁ……雛菜、ぎゅーって、して、してぇ……♡」
「雛菜……ッ! もう、俺は……」
中も、外も、ごつごつしたプロデューサーの感触でごしごしされる。その乱暴さで、いま、雛菜が疼いちゃう。もうすっごく期待してる。舌なめずりしてイク準備してる。
「ぁ、あぅっ♡ あぁ、んくっ……♡ い、いいの~……ぷろでゅーさーぁ……雛菜、もう……っ♡」
イっちゃうほんのちょっと前、プロデューサーの腕をぎゅうってする。ぎゅうって返してくれる。あぁ。イキそうって興奮と、イッてもいいんだって安心感が両方とも味わえるここが、すごく好き。いちばん好き。息をするのももったいないぐらい。雛菜が一人で思い出すのも、いっつもここ。
爪、立てちゃってる。ごめんね、プロデューサー。
「あ――ん、ぁふっ、あ、んっ……っ♡」
イッちゃってると、やっぱり切ない。泣いちゃうの、我慢できない。
たぶん、ないと思うけど……イヤがってるって、プロデューサーに誤解されたら、イヤかな。
「あっ……やはあぁ♡ んぅあ……はぁ、ぉ、ほぉぉ……っ♡」
雛菜の体がしゅわしゅわして放心してたら、いつの間にかプロデューサーは膝の上に雛菜を乗せてて、ぎゅーってしながら男の人のアレを入れてきた。
また、アソコとか胸とか頭のあたりがくしゃくしゃになって、変な声が出ちゃう。
「や、やぁ……っ、へんな、こえ、でちゃう……っ」
「いま、俺は……雛菜のそういう声、聞きたい」
「……そんなぁ……ひ、ひどいよ~♡」
脚を曲げて、きつすぎる切なさをなんとか受け流す。プロデューサーの腰辺りに雛菜のかかとがたぶんあたってる。言葉の抗議の代わりにごんごん足蹴にしてあげたら、プロデューサーが笑ってた。
にちゃ、ぐちゅっ、ずりゅっ。
「あ、ぁあ゛っ……ぐ、ぅう゛っ……そんなに、深く、され、たらぁ……っ♡」
いつもの自分じゃまったくいじれないアソコの奥をずりずりされて、いつもの雛菜が出さない声音をノドが勝手に溢れさせる。そんなのが続くと、自分の体が自分のモノじゃなくされてるんじゃないか、って思う。
「奥が、いいか……手前も、してやろうか……っ」
奥をずりずりさせながら、おヘソの下も擦り合わせる。肌と陰毛がキシキシって妙な感触をさせて、そこにクリトリスまでさらされると、もうたまらない。
「はお゛ぉっ――や゛、ぁあぅ! んぁあ、ん゛っ、くぅ、ぅう゛うう……っ」
雛菜が、雛菜じゃなくなっていくの、わかっちゃう。心のなかで知らんぷりをすることもできない。プロデューサーにぎゅうぎゅうごつごつ中をいじめられて、変えられてくの、納得させられる。
「……ごめん、雛菜……俺、我慢、できない……っ」
プロデューサーの声や呼吸までおかしくなってる。辛そうな響きと動きだ。人が辛そうなところを見るのは、しあわせじゃないからイヤだったのに、プロデューサーのこれだけは……まぁ、いいかな~って、いつからか受け入れてる。
「か、はぁ……っ♡ やぁあは――あ゛、おぉ、お゛ぉぉ……♡」
変な声を噛み殺せなくなる。プロデューサーのアレが、奥に行ったり、手前をこすったり。心臓ぐらいまで貫かれてる気分。雛菜はアソコや手足でぎゅうぎゅうってやり返すのがせいいっぱい。
「はぷっ……!? ひぁ、あぉ゛――んく、ぷ、ぢゅう、んぐ、へう、んぐうっ……」
プロデューサーに、いきなり激しくキスされる。そうなると、もう変な声とか気にしなくていいんだって、タガが一つ外れて落ちる。
「へぷ、ん、ぷふっ……あやぁ、あ、あ゛……っ♡ すごっ、すごいぃ……っ♡ お、お――っ♡」
雛菜、イキっぱなしなんだと思う。プロデューサーがどうしてるか、雛菜はどう感じてもらってるのか……知っていたいけど、ばちゅっぐちゅっ、ぱんぱんぱんって、激しいのにかき消されちゃう。
「ふーっ……やぁあ゛……っ♡ お、おくぅっ、おく……へうっ、あぅ、あ、はぁ……♡」
プロデューサーも雛菜も、ぜぇぜぇはぁはぁ、息が絶え絶え。心臓から手足の先までびくびくしちゃってるんじゃないかな。
光みたいなモノがうるさくチカチカして、目も耳も鼻もべろも、肌触りさえも、感覚が飛び飛びになってる。もうプロデューサー以外を感じられない。
「雛菜っ、ひななっ……もうすぐ、出る……ッ!」
「んやっ、あ、ぃぃいっ……♡ ほ、おっ、ぁあ゛……っ♡」
雛菜も、そろそろ終わっちゃう。アソコがえっちな痙攣ですがりついちゃったり、潰れちゃった喘ぎを聞かせちゃったり、おっぱいムギュムギュって押し付けちゃったり……そんなのばっかり。
恥ずかしいと思う余裕も、どこかに失くしちゃった。
「ひ、ひな、ぁ……も゛、い、だ、め……ぁ、っ――あ、ぁあぁああぁ……っ」
「雛菜――」
プロデューサーがなんか苦しげに声を絞り出してたけど、聞こえたのは雛菜の名前だけだった。いい、それがいいよ。余計なものは聞き取らない。われながら都合のいい感覚してる。おかげで、しあわせな感じ多めでイッて、イッて……いっぱいイッちゃった。
雛菜の意識が、ぼーっとしてるところから戻ってきた時、プロデューサーは精液をたっぷり出したゴムの口を、無造作に縛って、ビニール袋に突っ込む。そういうホテルじゃないので、ゴミ箱に捨てっぱなしはダメなんだとか。
「精液を出すときって、男の人は気持ちいいの~?」
男の人は、射精すると気持ちいい……って聞くけれど、プロデューサーをじっくり見てると、雛菜には疑問が湧いてくる。
「気持ちいいよ。健康な男なら……気持ちいいもんだと思う」
プロデューサーがゴムを捨ててるようすって、なんだか、生理のごみをトイレで捨ててるのを連想しちゃうぐらい淡々としてた。
しあわせの続きとしては、さびしいな~って思うよ。
「気持ちいいって言う割には、雛菜に出す間際のプロデューサーって、いっつも苦しそうだよね~。息も絶え絶え~って感じ」
「けっこう、ハードに体を動かしてるせいかな。体を動かしてなきゃ、射精でもそんな虫の息にならないはず」
息も絶え絶えなのに気持ちいい、ってのは……アイドルのステージ直後みたいなものかな~? 完璧に近く決まったステージだと、達成感はたっぷりあるけど、体はふらふらのガタガタだし。
じゃあ、雛菜は、プロデューサーのステージ独り占め? ……なんて。
「それなら~、今度は動かないで出してみてよ~」
「雛菜がそのぶん動いてくれれば、あっさり出しちゃいそうだよ」
「……あは~♡」
窓から見える空は、もう暗い青紫だった。
次にプロデューサーとえっちする雛菜のこと、一瞬、うらましいと思っちゃった。変なの。過去のしあわせだった自分を『うらやまし~な~』って思うことはちょっとだけあるけど、未来の自分をうらやむなんて、ね~。
「プロデューサー、ぎゅ~って♡ ほら、雛菜のこと、ぎゅ~ってして? すりすりもして~♡」
羨望の埋め合わせに、言い訳できる時間いっぱいまで、ネコの真似に付き合ってもらった。
※
「プロデューサーって、ことしは海に行けてる? もちろん、お仕事以外で~」
次にプロデューサーとえっちする都合をつけられた日は、夏まっさかりをすぎたころだった。夏休みに入れば、プロデューサーともっと二人きりで会いやすくなるかな~って思ったけど、アイドルの仕事をいっぱい持ってきてくれてたおかげで、その見込みはみごとに外れた。
「海かぁ。プライベートでは行ってない。仕事を思い出してしまうし」
プロデューサーったら、そんなボヤキしてる。良いのかな~、そんなこと言って。
その理屈だと、このまま雛菜ともっとも~っと何回もえっちしてるうちに、シティホテルを見るだけで雛菜とのえっちを思い出す頭になっちゃうかもよ~♡
「雛菜も、お仕事だけど、海でいっぱい楽しくできたから、ことしの海の気分は満足したかな~……って、思ってたけど」
「思ってたけど?」
「……これが、心残りだったの~♡」
きょうの夏物オフィスコーデの下は、アイドルのお仕事が忙しいおかげもあって、プライベートでお披露目しそこねた白地のビキニ。アクセントには、レモンイエローの花びらと、細い流線型をしたビリジアンの葉っぱ。
スーツに押さえつけられてたビキニトップスのフレアーを、雛菜はわざと時間をかけてふわふわに広げる。その間に、プロデューサーがくれる目つきは、驚きから眩しそうな具合に変わってた。
その変化だけでかすかにどきどきする。雛菜、フライングしてるかな~?
「お仕事の雛菜には、赤いのを着せてくれたから……いまの雛菜は、白~♡」
「……素敵だよ、雛菜。ひょっとして、俺が選んだよりも……正直、自信なくしそうだ」
口元の笑いは、ほのかにほろ苦い機嫌と見える。あれれ~、ホントに雛菜のチョイスが勝っちゃった?
それはどうかと思うよ~。ファッションの印象って、誰が何を着てるかだけじゃなくて、誰が何のために選んだかも重要な気がするの。
例えば、雛菜は……プロデューサーが用意したものじゃなかったら、スーツなんて着る気も見せる気も起きないもん。
「そっか~。プロデューサーには、まだまだ雛菜のこと、教えてあげなくちゃね~♡」
雛菜が、誰かに自分のことを、もっと知ってほしいって思うなんて。
「せっかくだからさ……雛菜の水着姿、もっと、じ~っくり見たくなるように、してあげる~♡」
ベッドに腰掛け、挑発代わりに脚を組みながら、両手と肩で伸びをする。腋の下でフレアがめくれあがるの、そわそわする。別にスカートがめくれあがったわけじゃないのに。
「プロデューサー、近くで見てもいいよ~。でも、雛菜が『いいよ~♡』って言うまで、触っちゃダメ~」
「俺を焦らしてくれるなぁ、雛菜は」
「そのほうが、じっくり見てくれるでしょう~?」
ダンスとかヴィジュアルとかのレッスンをするようになってから、雛菜は、自分の体がどう見られているかの意識が変わっちゃったかな~って。視線に敏感になった気がする。変わったのは、まだ良いとも悪いとも言い切れない。
「……プロデューサーが動かないままでも、興奮して、たまらなくなっちゃたりして」
前のえっちを蒸し返す雛菜の言い方に、プロデューサーは意外そうに眉をぴくりとさせた。そうだね~。雛菜には珍しいセリフかも。
「ん……ちゅっ、んふ……れぅ、んん~っ♡」
雛菜は自分の指先にキスして見せる。水着姿なせいか、汗でほんのり苦くてしょっぱい味が、初夏ごろの撮影で肌にやってきた潮風みたいだった。
濡れた指先で、ビキニトップの上からおっぱいをムギュムギュって揉みしだく。プロデューサーがする手付きより乱暴に。ふくらみが崩れるのもおかまいなし。
「やは~……っ♡ おっぱいって、柔らかいんだよ……っ♡」
プロデューサーは何か言葉を出そうとしてたけど、ノド仏がごくりとして声帯をふさいじゃってた。
「プロデューサーの手と比べると……雛菜自身の手は、なんだか触られ心地がぬるくなってるから、このぐらいムギュムギュしないと、ね~♡」
たぶん雛菜の手がいくら雛菜のおっぱいを揉んでも、雛菜の手が柔らかくなっちゃう……なんてことはなさそう。むしろ、おっぱいはもっと揉んでみろって押し返してくる。
「んっ……あ、あぁあ、んふ、んん~……♡」
おっぱいの先っぽあたりを人差し指でくるくる撫でると、プロデューサーの視線がすうって寄ってきて、雛菜が糸で引っ張ってるみたい。アイドルは指先一つでも視線を誘導する、って教えてもらうけど、いまのプロデューサーは露骨だよ~。
「あふっ、んんっ……わかっちゃう、かな~? ちくび、だんだん、たって、きちゃって……♡」
プロデューサーの視線を絡め取った雛菜の人差し指は、ビキニの生地を通り越しておっぱいへ染み込んでくるような心地がする。息が荒くなる。このまま続けてたら、肺が悶えるように喘いで、息を吸って吐くたびにおっぱいがゆらゆらしちゃって、それをプロデューサーにじーっと見られて。
「こちょこちょ、こちょこちょってすると……んぁ、あはぁあ……♡ くすぐったいの、声、出ちゃう……っ」
「うぅ、ひ、雛菜……」
おっぱいが手から逃れようと、肩甲骨が落ち着かなくなって、背中が反り気味になる。ダメだよ雛菜……それじゃ、プロデューサーから見ると、もっとおっぱい見て~♡ って調子になっちゃう……。
撮影のときと違ってニプレスとかつけてないから、乳首がぷくってなるのも、じきに見て取れるほどになっちゃう。乳首が触って触ってってねだってるの。
「だめ、だめなの……プロデューサーは、触っちゃ、だめ~♡」
こちょこちょが、もういまはコリコリってなってる。指先でくいくいってやるぐらいだと、反発するぐらいの弾力。
やだ、やだぁ……プロデューサーに、触ってほしい。どう触ってくれるの? プロデューサーって控えめに触るから、すりすり~♡ ってぐらいかな。それとも、ハァハァってこっちまで興奮が伝わってくるぐらいだから、指先が力んで、つねつね~♡ ってされちゃうかも。
「あ、はぁ……♡ さ、触るの、だめ、だって……♡」
「……ま、まだ触ってないぞっ」
「ん~? ……ああ、プロデューサーの、息、かかっちゃったのか~……♡」
谷間のあたりがくすぐったいと思ったら、ガン見してるプロデューサーの鼻息だった。
「……直接、見たい~?」
「み、見たい……っ」
「しょうがないなぁ~♡」
今度は背中をわざとめいっぱいそらして、おっぱいがしっかりおっきく見えるようにしながら、バックからビキニを外す。ゆさっ……なんて重たさが、見るだけで伝わる? それとも、ぷくーってなってる先っぽばっかり見てた?
「……見える、よね~♡ 雛菜の、おっぱい……」
ビキニはおっぱいから外れちゃったけど、二の腕の紐は結んだままだから、そっちもまだ見ててくれるとうれしい。不自然で、ムリヤリ脱がされたような格好。支えを失ったふくらみが、とろんと投げ出されてしまう。いつものえっちで、アンダーバストに添えてくれてたプロデューサーの手のひらが恋しい。
「雛菜、雛菜ぁ……」
プロデューサーは、雛菜に触らせてもらえないもどかしさが高まってきたのか、ノドがカラカラに乾いた風な声を漏らす。触れない代わりなのか、雛菜を呼ぶ声がチリチリと熱っぽい。
もし、今『いいよ~♡』って言ったら、雛菜の先っぽ……ぎゅむぎゅむって、乱暴にされちゃうの……?
「あぁッ……! く、ぅぁ、やぁぁあ……ッ、だ、めぇ……っ♡」
自分の指先なのに、嘘みたいにびりびり響く。だめ、だめなのに、もっとほしい……っ♡ くりくりって、おっぱいだけじゃなく体ぜんぶがしびれるほどしてほしい……だめ、だめだって、ぷろでゅーさーぁ……♡
「あ、ァ、あ、んんんっ……っ♡」
……もうちょっとのところで、指先が怖気づく。雛菜の指先だ。
もしこれが、プロデューサーのだったら……でも、今はそうじゃないし、これからやることがあった。
「……やは~♡ プロデューサーのほうも、いじいじされる準備、してくれたんだ……♡」
「雛菜の、おかげさまで、な……っ」
プロデューサーのおちんちんは、『ぷくーっ』どころじゃない凶器にまで勃起していた。
「うぇへ……こんな近くで嗅いだのはじめてだけど、えっぐいんだね……っ」
プロデューサーだけベッドのへりに座らせて、雛菜は床に膝をつけながらよりかかる。キノコみたいなプロデューサーのソレは、ぼってり張り出してる頭のところに縫い目みたいな筋が一本入ってて、そのあたりはぬるぬるの透明な粘液でてらてら光ってる。
「まだ、プロデューサーは、動いちゃだめだから、ね……」
筋のあたりにくちびるを寄せて、べろでぐいぐいっていじってあげると、プロデューサーからホカホカした動揺がもらえる。味のえぐさと重なって、雛菜の中によだれを染み出させる。
「ちゅうっ♡ ん、ちゅっ、れぅ、んふっ……ここ、キス、されるの、すき~?」
「お、おう……ゾクゾクして、すごく、興奮する……っ」
ぜんぜんおいしくないし気持ちよくもないけど、どんどんキスする。どこでプロデューサーがどう反応するか、思いつく限りぜんぶ試したくなる。雛菜は雛菜がしあわせ~って思えることだけ知ってればいいと思ってたのに。雛菜がどう感じてるかより、プロデューサーがどう感じてるかに意識が吸い寄せられてる。
「ちゅ、ちゅっ……♡ れろ……ん、んふぅんっ……ぢゅるっ、ぢゅうーっ……♡」
「ぐ、うぅぅっ……!」
「ちゅっ、ちろちろっ♡ ……あはっ、我慢だよ、我慢。プロデューサー……」
プロデューサーはくちびるを噛み締めて、吐息がわかりづらくなっちゃった。おちんちんは、何をやってもだいたいびくびくしてくれるので、かえってわかりにくい。
だから、プロデューサーの手を握る。
「う、ぉ……!? 雛菜……っ」
「いいでしょ~♡ お手てつないで、プロデューサーと雛菜は仲良し、ね~♡」
雛菜をぞくぞく、どきどき、ふわふわ、とろとろさせちゃうプロデューサーの手が、今は雛菜にニギニギされて、おちんちんどうされるのが気持ちいいんだよ~って教えてくれる。手にとるように……とまでは行かないけど。
……やっぱり、雛菜が思いつく限りの、ぜんぶ試してほしいのかな~。
「れぅ、れろ、へぷっ……かぷ、かぷっ♡ ん、んんっ、ちゅっ……ぢゅるっ、ぢゅうっ……♡」
プロデューサーの反応がいいのは、おっきくてぷにぷにしてる笠のところらしい。根本とかカチカチに腫れたみたいになってて敏感かと推理してみたけど、こっちは箸休めっぽい。
……ちょっとずつ、わかってきちゃった。
「……じゃあ、そろそろ……雛菜が、いっぺんにシて、あげる~♡」
「いっぺんに、する?」
「……こういう、ことっ」
プロデューサーの腰にしなだれかかって、おっぱいをおちんちんにグニグニって押し付けて、柔らかいので埋め尽くしてあげる。
プロデューサーの太腿か腹筋か、何かごつごつした感触に乳首がこすれて「ひぁああん♡」なんて甘ったるい声が出ちゃう。それとほぼ同時におちんちんもびくびくってする。思ったより、つながってる感、味わえそう……♡
「プロデューサーのでも……雛菜のおっぱいなら、上から下まで、ぜ~んぶ、可愛がってあげられるかな……?」
おっぱいを横から寄せるために両手を使っちゃった。雛菜の上半身の体重は、丸ごとおちんちんとその回りにぶつける。プロデューサーは『うぉおおっ』とか言葉にならない呻き。
「んんっ……惜しいっ、ちょっと、先っぽが……」
雛菜、それなりに自信あったんだけど、べたべたの笠の部分だけあぶれちゃってた。雛菜のおっぱいを味わえなくて、かわいそう……あ、でも。
「それじゃあ……ここは、こうして……んんっ、く……ちゅ、ちゅううっ♡」
首を頑張って曲げてみたら、取り残されてたプロデューサーのところにキスできちゃった~♡ これで、おちんちん仲間外れなしで、みんなしあわせ~。
「ひ、雛菜……ッ、それ、されたら……出る、出そうに、なる……っ!」
「んぢゅ、くちゅ……っ♡ やはぁ……プロデューサー、動かないで~。精液、出せそう?」
「で、でるっ、出てしまう、から……っ」
掴んだ胸を、ぐりゅぐりゅって動かす。おっぱいも気持ちいい。自分の手だと、激しくしちゃう。
「動かないで~。もう少し、なんだよね~? ん、ちゅっ、れぅー……かぷっ♡」
「は、ぁあ、ぉ……ッ」
汗とかよだれとか、ぬちゃぬちゃするのが、おっぱいとおちんちんとの間でいやらしく糸を引く。もっと味わいたくて、口だけのときより激しく吸っちゃう。
耳を澄ませる。目線を上げる。
「ぁ、ぐ、ッ……ぁ、あ、ぉ……!」
プロデューサーは辛そうにしてた。うそつき。プロデューサーは動いてなくて、雛菜だけが動いてるのに、そんな苦しそうにして。しあわせじゃないの?
「……ぷろでゅーさーぁ……♡ ごめん、ごめんね……っ♡」
でも、雛菜はプロデューサーのそういうところ、もっと感じたい。感じたくて仕方がないの。
「ひ、ななぁ、あ、出る、から、と、止め、て――っ」
「……出してよ♡」
雛菜は、プロデューサーの様子にこれ以上ないぐらい注意してたつもりだけど、それでも予兆はつかめなかった。
「ぁ、あ、で、出、て――ッ」
おちんちんが弾けたんじゃないかってぐらいの勢いで痙攣する。最初に熱くてべったりしたのをくちびると鼻あたりにぶつけられて、慌てておちんちんの先をくわえる。びゅく、びゅくって、中に出される。
「んんぐううっ、ぶ、ぐう、んんんっ……!」
これが、プロデューサーの精液、か~。
ひどい。鼻どころか首まで曲がっちゃう。出しちゃだめなやつでしょ、これ~。
「けふ、ぉ、こほ、ぉおぇっ……」
雛菜の口が粘膜を守ろうとしてか、じゅくじゅくとよだれを吹く。それで薄めて、ずるずるいわせて、それでもスライムみたいにネトネトするのを感じる。べろに絡みついてずっと取れない。
これが、プロデューサーの赤ちゃんのもと、なんだね~。
「雛菜……雛菜、それ、早く吐き出して、吐き出すんだってっ」
プロデューサーは、雛菜の首と背中を擦ったり、トントン軽く叩いてくれた。まだ、雛菜に触って『いいよ~』って言ってないんだけど。それでいくらか精液がこぼれた。
「んぐ、ん、ぐ、ふっ……こくっ、ごくっ。ん、ぐ、ずるるっ……んくっ、ぷ、はぁ……」
こぼれなかったぶんは、飲んじゃった。すっごくえぐかった精液も、喉元をすぎると、生臭い余韻だけになった。
ビキニのボトムスは、おっぱいやおちんちんに負けないぐらいネトネトになっちゃってたから、紐を引っ張ってほどき、するりと脱いじゃう。
今度があったら、こっちもちゃんと見てね。
「まだ……デキるよね、プロデューサーぁ……っ♡」
ベッドの上に、プロデューサーを押し倒した。いつもは思いっきりぎゅー♡ ってしてもグラつく程度だけど、いまは無警戒だったみたい。
おヘソのあたりをぐいって押してくるおちんちんは、熱くて固いまま。
「雛菜が上で、してあげる~♡」
「待て、雛菜。着けて、ないからっ」
「……やっ♡」
「雛菜っ」
仰向けのプロデューサーに、雛菜が馬乗りになってぴったり抱きついてると、腕力があっても引き剥がしたり押し退けたりできないんだ。
このまま……できちゃうかな。赤ちゃんのもと、雛菜の奥まで注がれて、赤ちゃんつくれちゃうかな。
「プロデューサーは、動いちゃ、だめ……っ!」
そんなことシちゃいけないのに。お腹の奥に欲しくてたまらない。
そうなっちゃったら戻れないのに。プロデューサーに戻れなくして欲しい。
戻れなくなったら、雛菜は、ずっと……。
「雛菜――だめ、本当に、だめだ」
いきなり体が傾く。ごろん……って、ベッドに押し付けられる。プロデューサーをぎゅってしてたまま、一緒に転がっちゃったようだ。
「……だめ~?」
だめに決まってるよね。
「プロデューサーは……子づくりえっち、シたくないの?」
「むぐ……し、シたい」
「やは~♡ この正直者~っ」
だめだよ。だって、子どもができちゃうかもしれないから。
「だめ~? 雛菜が、アイドルできなくなっちゃうから……?」
でも、ふたりだけのしあわせって、いまにも壊れちゃいそう。そうじゃない?
「……それは」
「それは~?」
「ゴム着けてても、アイドルとプロデューサーとしては、とっくにアウト」
「だよね~♡ イケないんだープロデューサーっ」
なんで、いちばんプロデューサーと近いいま、そんなこと思っちゃうんだろうね。
「ね、シよ」
「だめ」
こんなに、雛菜とプロデューサーは近いのに。
体温も体臭も混じっちゃってるよ。シたいって気持ちも混じっちゃってるよ。遺伝子も混ぜちゃおうよ~。
そう思っちゃって、しかたがない。
「プロデューサーは、さ……思ったり、しないの?」
「……何を?」
「雛菜が、いま、プロデューサーとえっちするの、や~めたっ♡ って、言い出すとか」
これが例えばアイドル活動だったら、雛菜とプロデューサー以外にも見えてるし、形にも残ってるつながりがいろいろあるから、ちょっと考えようかなぁって、なる。
でも、このえっちは違うよね。どっちかがスマホを何回かタップしてメールボックス消したら、あとは口約束しか残らない。
「俺……雛菜がいまそう言ったら、ちょっと驚くし、ちょっと悲しいな」
「……ちょっと~?」
本気で『や~めたっ♡』って、そう言ってみたくなる。
雛菜がそう口走ったら、プロデューサーはどんな顔する? ホントに、それっきりにできちゃうんだよ。
「実際、いつ言われてもおかしくないって思うよ。俺、付き合う相手として、割とまずい男だよ。次にいつ会えるかわからんし、仕事とか言って女のアイドルにくっついてるし」
「雛菜は、そのくっついてもらってる一人なんだけどな~」
あらら。雛菜が子ども作っちゃおうとか言い出したからか、プロデューサー、いまさらふつうの彼氏彼女みたいなことを言い出してる。雛菜はアイドルだから、プロデューサーのそういうところは教えられなくたって知ってる。
……プロデューサーが雛菜にさびしんぼな顔見せるのって、もしかしてそれで誰かに……とまで想像が走って、ムリヤリ押さえつける。
「それで……子ども、できると、ちょっとやそっとじゃ『や~めたっ』って言えなくなるな。アイドルとかプロデューサーとか、関係なく」
口約束みたいに一言で投げ出してそれっきり……ってできない関係。
雛菜は、いままでそんなものほしいなんて、夢にも思ったことがない。けど、いま、もしかして、プロデューサーとは……なんて、ふわぁって考えちゃう。
おかしいね。プロデューサーとアイドルって関係なのに、えっちなんかしてるからかな。
「雛菜に『や~めたっ』って、言われたら、俺はきっと悲しいけど」
「悲しい……けど~?」
「……いつでも『や~めたっ』って言って終われる関係であるうちは、『雛菜が、本当は俺にいやいや付き合ってるんじゃないか』って、あんまり心配しなくて済むから。それに比べたら『や~めたっ』って放り投げられる悲しさは、ちょっと、かな」
「……そっか」
虫のいい話。
「へんなの、プロデューサーって」
でも、わかっちゃう。
プロデューサーはプロデューサーのことだけ、雛菜は雛菜のことだけ知ってる……そういう関係だと、そうなるんだよね。
3秒後には知らんぷりできる口約束が、いいんだ。
雛菜はプロデューサーの肩や首辺りに爪を立てた。わざと立てた。ごめんね。
「雛菜も、ね」
「……うん」
「プロデューサーに触ってもらうと、もっと触って欲しいって感じたり、もう触らないでって同時に感じたりするの。へんだよね。自分でも、わけのわからないこと言っちゃってるな~って思うけど」
プロデューサーといると、雛菜は、むしろ雛菜自身のこともそんなにわかっていなかったのかな、なんて気づく。何度も気付かされてる。
「たぶん、雛菜がプロデューサーのこと、同じ瞬間に、好きだって思ったり嫌いだって思ったりしてるから」
不思議と、その気づきは『しあわせ』だった。
たとえ、いまプロデューサーに赤ちゃんねだってる雛菜が、あとで『わけのわからないこと言っちゃって』って気づかされても……まぁ、気づかされるだろうけど、それでも。
「ところで、雛菜」
「なぁに~?」
「ゴム着けるから、ちょっとどいて」
「……えぇ~」
何が不満というわけじゃないけど、不満げな声と顔を見せたくて、口をとがらせちゃう。
「だいたい、雛菜一人で入れられるのか?」
「……やったことないけど、できるかもよ~? 雛菜、なんでもそれなりにできるし~♡」
雛菜は下半身をなるべく密着させたまま上体だけ起こして、プロデューサーを見下ろした。
「……あっ」
「見えないだろ?」
おっぱいのおかげで、おちんちんは、視界から隠れてしまっていた。
けっきょく、プロデューサーがゴムを着けてから仰向けに寝て、雛菜が膝立ちでプロデューサーの腿をまたぐ。
「あ、は~……やっぱり、見えない~……」
……触覚だけでも、プロデューサーが動かないでいてくれたら、雛菜だけで中に入れられた気もするけど。
「俺の肩か首辺りに、手を突いててくれないか、雛菜」
プロデューサーが、腹筋を使って、いくらか上体を起こしていた。
「俺が見ながら添えて、準備ができたら『良いぞ』って言うから、それから雛菜は腰を」
「いつかは、雛菜がシてあげられるかな~」
腰を揺すっておっぱいまでゆさゆさ見せてあげると、プロデューサーの目がそっちにぐいって寄せられる。すきだよね~、おっぱい。
「あは~♡ 雛菜が上なら、いっぱい見せてあげられるし……触っても『いいよ』~♡」
雛菜が解禁を宣言すると、本当にプロデューサーは一瞬そっちに手が向かうけど、でも下のほうに矛先を移して、おちんちんと雛菜のアソコの具合を測る素振り。
「ん、ぁ……もしかして、そこで、入れられそう……?」
「もう少しだ……わかるか?」
「はぁ~い♡ おーらい、プロデューサー♡」
なんだか初めてえっちするみたいな、たどたどしい動き。心持ちまで不慣れになる。
実際、雛菜が上になって腰を下ろしていくのははじめてだから、不慣れで間違いはないんだけど。
「……共同作業って感じ、する~♡」
「共同作業、ねぇ……」
「そ~♡ ……あ、ふぁ……ねぇ、先っぽが……?」
「入ってる……だいじょうぶかな」
「だいじょうぶそ~♡」
これまで、その場の流れでするするってやったえっちを、ダンスやステージの立ち回りみたいに一つ一つ確認しながらするのは新鮮だった。どっちかが勝手に『や~めたっ』って放り投げたり、そうじゃなくてもちょっとズレたらだめになっちゃったりするのを、丁寧に……やっぱり、綱渡り感あるな~。
「んん、ぁあ……なんだか、違うとこ、おへその裏とか、強く、擦られて……♡ プロデューサーの、なのに、変な感じ……っ」
姿勢がぜんぜん違うからか、いままでアソコをえぐられてたって感じだったのが、アソコで包み込んであげてるって感じになる。プロデューサーも違うって感じてるかな。
「あ、ぐぅ……っ! ひ、雛菜……」
「歯とか、食いしばっちゃ、やぁ……もっと、しあわせ~って顔、見せて~♡」
アソコをきゅうきゅうってシてあげながらプロデューサーを見下ろしてると、なんだかいじめっ子の気分になる。雛菜も、イケないんだ~。
「はぁ、ああ~っ♡ それ、そ~れっ、しあわせに、な~れっ」
腰を、プロデューサーの肌とぎりぎり擦れ合わないところに浮かせて、ゆらゆら~って、ゆっくり大きく動かす。つないだ手を通してプロデューサーの上体が支えになってるから、大胆に動けちゃう。おちんちん抱きしめながら、おっぱいも見せつけてあげる。
「あぁ、雛菜……ぁ、ああっ……」
「そう~♡ いい顔っ、いい顔に、なってきたよ~♡」
おっぱいを突き出すようにすると、背中が反り気味になる。雛菜の手は、プロデューサーの太腿あたりに突くことになる。
「あ、んんくっ……♡ やは~♡ キいちゃうね、これ……♡」
そうすると、クリトリスの裏やその奥におちんちんの先っぽがこすれて、雛菜の中が思わずぎゅうってなっちゃう。反ってるから前後に動きづらくて、代わりに上下に小刻みに動くと、プロデューサーはおちんちんでも目でも胸や腿の筋肉でも露骨にびくびくって反応する。エコーみたいに返ってくるそれで、雛菜は、自分がえっちに腰を使っちゃってるって実感できる。
「ぐっ……ひ、雛菜……っ、ちょっと、前に、戻してくれないか……?」
「そう~? ……てっきり、おちんちんが、ぐいぐい~♡ って、ねだってるのかと思っちゃった……♡」
プロデューサーのおちんちんは、先っぽをおヘソに向けて背伸びしてる。それを雛菜が中でぎゅーってしながら、太腿方向に倒そうとすると、ほんとうにぐいぐいって反発して深くえぐってくれて気持ちいい。やりすぎるとプロデューサーが痛いみたいだけど。
「じゃあ……ちょっと、動かし方、変えてみるね~♡」
今度はお尻をプロデューサーの腰にくっつける。雛菜の奥が突き上げられて、お腹どころか呼吸まで苦しい。目どころか頭の中までめまいでふらふらする。けど、止めたくない。もっとやっちゃいたい。
「ん、ふ、ぅ……こ~すれば~……もっと、動ける、ね……♡」
膝立ちから、両足の裏をベッドに着けて、しゃがみ込むポーズに。さっき少し味わった、奥に突っ込んだまま上下に小刻みに動くやつが、もっと激しくできる。
「ぁ、あっ、あっ……♡ い、いい、よぉ……♡」
奥をごつごつされるのが苦しいのに、激しくずっとしてもらいたくてたまらない。おっぱいが派手にぶるんぶるんしちゃって、肩やアンダーバストあたりがきりきり痛む。それにプロデューサーの視線が釘付け。これがなにかを勝ち取ったみたいにうれしい。
プロデューサー、二人っきりでえっちのときじゃないと、そこまで熱っぽい視線で見てくれないもんね。でも、ほんとうは見たかったんだよね。
「う、ぐ……ひ、ひななっ……きもち、いい……っ! きもちよすぎて、おかしくなりそうだ……」
プロデューサーは、目線もそうだけど、声でも『きもちいい』ってのを積極的に表にしてくれるようになった感じ。雛菜がプロデューサーへ『辛そうに見える』って何度も言ったから?
「ねぇ……雛菜の、おっぱい、触って~♡」
プロデューサーの右手に指を絡めて、雛菜のおっぱいに押し付ける。熱くぺたぺたした肌どうしがくっついて、雛菜をムニュムニュってしてくれる。プロデューサーの顔がどこかふにゃぁってなる。あ~、しあわせ~って色が見えてきたね♡ 雛菜のおっぱいも染まっちゃいそう。
「あっ……! ぷ、プロデューサーぁ……はぁ、あっ♡ だ、ぁ……ひななぁ、なにか、すっごいの、キちゃ……っっ♡」
奥、ごつごつっておちんちんでえぐれて、痛いのに気持ちいい。いけないのに、かゆいところ掻いちゃうやつを、もっとずっとすっごくしたの。ぐちゅう、じゅぷぅう……って、えっちでねばねばトロトロしたやつを垂れ流して泡立てちゃうのも、掻き壊しから血を垂らしてるみたい……ううん、それよりも、ずっとぐちゃぐちゃ。
「ぁあ、これ、ひなな、これすきぃっ、いい、の……っ♡ お、おくぅっ、おく……や、ぁ、あぅ、あ、はぁああ……っ♡」
おちんちんをぶっつけてこりこりっていじめられてるお腹の奥が、雛菜の感覚の中心になっちゃう。体のほかのところは、風に吹き流される髪の毛みたいに振り回される。でも風に振り回されるよりずっと夢中になる。
「雛菜……もう、俺、イキ、そうだ……っ」
「……っ♡ あ、はぁ……♡ へ、えへ……ぷろでゅーさーぁ、おさきに、どうぞ~♡」
あぁ。
イッてもいいんだって言ってあげる側も、雛菜、すごく好きになっちゃった。
「雛菜、ひななっ――」
プロデューサーの途切れ途切れの声は、雛菜の名前だけ漏れ聞こえる。その口元がもごもごして、目とか眉のあたりがギリギリギリってしかめられたあと、それからフッと力が抜けるところもわかった。おちんちんはびゅくびゅく震えてた。
「……やは~♡ イッちゃったね、プロデューサー……♡」
その確信を抱きしめて、雛菜もしゅわしゅわ溶けていく。
しあわせ。いつかの雛菜も、いまの雛菜も。きっと、次に目を開けたときの雛菜も。
※
雛菜はね~。
えっちは、口約束がいいの。
お互いの心と体以外に何にも残ってない、あやふやで、大切にしないとすぐ壊れちゃいそうなとこ、いまの雛菜とプロデューサーみたいだから。
壊れちゃいそうだと、お互いが大切にしてるってことを実感できるから。
雛菜には、きっとそれがいいんだ。
……いまは、ね。
(おしまい)