R-18作品ですので、御注意願います。
「それでは、モモンガ様……背から腕を回しますね?」
「う、うむ……」
アルベドの私室。
応接用ソファで座るモモンガの、右隣りからアルベドが身を寄せてくる。背中を擦るようにして腕が回されるが、その感触よりも強烈なのが、押しつけられるアルベドの乳房だ。身を寄せて密着したことで、モモンガの右腕には乳房の感触が……アルベドの体温を伴いつつ伝わっていた。
(ふ、ふぉおおお!? このオッパイは今の俺にだってあるもの! なのに、柔らかくて温かくて、さっきの肩を超える衝撃が! ……おひゅっ!?)
かろうじて声に出さずにいたモモンガだが、突如生じた感覚により息を詰まらせた。
両脇の下から回されたアルベドの手が、モモンガの乳房を鷲づかみにしている。力強くではなく、添える形だ。なのに、モモンガは心臓をキュッと掴まれたような気がして一瞬息が止まった。
右耳の極近い場所で、アルベドの声が聞こえる。
「どうですか? 痛くはありませんか?」
「だい、大丈夫だ……。で、できれば優しくで頼む……」
再び息が荒くなり出し、モモンガは焦りの中でアルベドに要請した。対するアルベドは余裕の構えで微笑んでいる。
「もちろんでございます」
にっこり微笑み、言い終わると同時に、アルベドの指が柔肉の中に沈んだ。しかし、痛く感じるところまで沈むことはなく、すぐに指が開きだす。そしてまた指が沈み出し……モモンガは胸から生じる感覚に頭を揺らした。
今、自分は乳房を揉みしだかれているのだ。
「はっ、フゥ……くっ、んぁ……」
女そのものの声が出ており、モモンガは羞恥で赤面する。
(こんな女みたいな声をあげて……今は女だけど、でも俺は男だから、胸を触られるぐらい……くう!)
ローブ越しだが、乳房の先端にアルベドの指が触れた。すでに硬くなっていたそこは敏感であり、モモンガは嫌々と言いたげに首を振る。一方、アルベドは指先で感じたものについて少し眉を寄せた。
「モモンガ様? ローブの下は何も着けていないのですか? 下着……その、ブラジャーですが?」
「んふぁ、ぐぬ……」
ブラジャーの着用なしについて、アルベドには言われたくないと思う。
デザイン上……アルベドの普段着は肩が露出しているのだが、ブラジャーの掛け紐のようなものが見当たらないからだ。
(じ、自分だってノーブラじゃないかぁ。いや、肩紐なしの下着を着用している可能性も……)
そもそも、ゲームNPCの下着までデザインしているわけがないのだ。
とはいえ、アルベドの創造主はタブラ・スマラグディナ。私室の設定は失念していたようだが、アルベド個人の設定は盛り盛りに書いていた人物である。ブラジャーにあたる下着も、何か特別な設定があるのかもしれない。
以上のことから、モモンガはアルベドの下着について言い返すのをやめた。下手に突っ込んで、自分の知らない下着のことで言い返されたら恥ずかしいからだ。
「くうう、え、ええと……最強装備の時、モモンガ玉が見えるよ……んんっ……に、ローブの下には何も着けてないか……ら!」
感じ続ける自身の身体に、モモンガは翻弄される。平時であればセクハラそのものの問いかけも最早気にならない。その余裕すらもなくなっていた。
「なるほど。それでは下半身の方の下着……についてですが?」
「それは、いちお……う! トランクス風のを履いて、るっ!」
また新たな感覚が発生した。アルベドが揉みながら、人差し指で胸の先端を引っ掻いたのだ。ローブがあるので直接的ではないが、素早く前後する爪の感覚に、モモンガは歯を食いしばる。
「盗聴防止のアイテムを使用していますので、声は抑えずとも大丈夫ですよ?」
「そ、そう言われても、声を出したら、恥ずかし……」
あら、そんな女の子みたいなことを……と思うアルベドだが、口に出しては言わない。愛する殿方のプライドに配慮するのも『サキュバスの技』なのだから。
「そうですね、わかりますよ。では、ローブに手を入れて直接……というのは後で良いのかしら? ……これ以上すると下着が……」
そこまで言うと、アルベドは瞳を閉じて笑みを浮かべる。
優れたサキュバスは、その嗅覚により隣人の股間がどうなっているかなどお見通しなのだ。
「へっ? 下着?」
一方、モモンガはよく解らないことを言われたので、小首を傾げつつ正気に戻った。
下着とは自分の下着のことだろうか。と、意識が下半身に向かった瞬間、モモンガは股間に違和感を感じた。なんとなく湿っているような……。
(も、漏らしたっ!? いつの間に!)
モモンガは、自分の顔面が真っ赤に染まる音を聞いた。実際に音など出ていないが、彼の聴覚は『ボッ』という音を確かに聞いた。そして遅れて頬の熱が自覚される。
(うっそだろ!? 俺は今、他人の私室の……応接用ソファに座ってるんだぞーっ!? それで漏らしたりしたら、ソファが汚れて! ……っっっっ!?)
恥ずかしさや情けなさと一緒に、申し訳なさも爆上がりだ。
先程までの快楽に溶けた気分は消し飛び、モモンガはソファに腰掛けたままオロオロしだす。その目尻には、またもや涙が浮いて出た。
(俺、こんな泣き虫だったか?)
女になっているからか……と思うが、恥ずかしさや情けなさで泣くにあたって、男女に差などないと思い当たる。すぐに立ち上がらないのは、尻を上げてソファがどうなっているかを確認するのが怖いからだ。同時に、一刻も早くソファから退去しなければ……という思いも湧き上がり、相反する思考によって、モモンガはパニックになりかけた。
そこへ、アルベドが救いの言葉を投げかける。
「モモンガ様。大丈夫です。モモンガ様が心配されるようなことは起こっていません。それは、モモンガ様の……女性としての身体が反応しただけですわ」
「俺の身体の……反応?」
涙目のモモンガは縋るように問いかけるが、一つ思い当たることがあった。
性的に身体を触られた女性の身体が反応し、股間が濡れたということは……。
(俺、『濡れちゃった』のか!? お、おおお……)
そういう事であり、漏らしたのでなければ『水量』は大したことないのだろう。アルベドの言葉を信じるならソファへの被害はない。もしくは少ないはずだ。なので、ソファについて安心はできたが、男の自分が(今の肉体のことは、ともかくとして)『濡れる』というのは、いかがなものだろう。
(お、俺の中の『男』が壊れていく……)
一刻も早く女性化を解除しなければならない。
そう決意を新たにしたモモンガだが、アルベドから「シャワールームへ行きましょう」と促され、「それもそうだな」と立ち上がっている。失禁ではなかったものの、己が体液で下着が濡れているのは不快だからだ。
(下の毛が……肌に貼り付いてて気持ち悪い……)
精神的に疲労を感じているせいか、ぼんやりと考えながら手を引かれて歩いて行く。行き先はシャワールームだが、中に入って脱衣室に立つと……モモンガはふと気づいた。
アルベドが一緒に入ってきたのだ。
「あの……アルベド?」
ニコニコしているサキュバスに問いかける。
自分は今からシャワーを浴びるのだが、何故、アルベドも入ってきているのか。
「モモンガ様。女性の身体を知るレッスンは続いています。シャワーを浴びながら次の段階に進みましょう」
「次の段階ね……。だいたい想像は付くけど……」
女同士でシャワーを浴びるのだ。サキュバスたるアルベドが、色々なことをしてくるのは容易に想像できる。しかし、モモンガは思った。
(そういう事をするのが目的で来たんだから……)
普段のように、『なんだかエッチなことになりそうだから逃げる』わけにはいかない。
更に言えば、ソファ上でのお触りにより精神的に消耗していたこともあって、モモンガは「もう、アルベドの好きにして……」と脱衣を始めた。
もそもそと脱ぎ出すモモンガに対し、アルベドはパパッと脱衣を済ませていたが……。
さて、この時点でのモモンガの着衣について解説しなければならない。
今着ているのは両肩アーマーの張り出した最強装備……ではなく、薄く紫がかった黒のローブである。最強装備のローブと合わせて完全な黒色にしなかったのは、茶釜や、やまいこによるコーディネイトのためだ。ローブのデザイン自体は、フードも備えた極普通の魔法使い風。下半身は同色のズボンで、特筆すべきは、他に身につけているのがトランクス一丁であることだろう。本来、上半身には最低限、肌着を着用しているものだが、モモンガは最強装備時に肋骨下のモモンガ玉を見せつけるべく、前を開いて露出している。このため、上半身はローブのみとなっているのだ。
(どちらかと言うと、最強装備の時にトランクス一枚なものだから。装備換えすると、こうなるのは当たり前なんだよな~。……今度、下着もチェンジできるようにしておこうっと)
そういった事を考えながらモモンガは脱衣をすすめるが、今のローブを脱ぐとどうなるか。
「ぐふっ!?」
「アルベドッ!? どうかしたか!? ううっ!?」
突然の呻き声に、モモンガは振り返る。そして、自分も呻いた。
視線の先には全裸のアルベドが居て、モモンガに背と尻を向けて
(美人さんのお尻のあ……それ以外も見えてるじゃないか! ぐおおお! 鼻血噴いて卒倒しそう! 頑張れ、俺! 今の俺は元の
いい歳した大人とは言え、童貞にはキツすぎる試練だ。だが、モモンガは耐え抜いた。今の彼に精神ゲージがあったとしたら、かなり目減りしていることだろう。
(溜まっていく系の『発狂ゲージ』はあるらしいけどな! そっちのゲージは、今のでだいぶヤバくなったんじゃないか!?)
だが、何とか耐えきったのだ。これはモモンガ的に快挙である。そして、その頃には、鼻から溢れる鮮血を始末し終えたアルベドが立ち上がっていた。アルベドはモモンガに対して背を向けたまま、恥ずかしそうに俯く。
「申し訳ありません、モモンガ様。いささか刺激的に過ぎるお姿でしたので……」
「そりゃこっちのセリフ……うん? 俺の姿が刺激的?」
訝しげに片眉を上げたモモンガは、視線を下げて自分の身体を確認した。
まず目に付くのは大きな乳房だ。いつの間にか乳首が硬くなっており、「アルベドの裸見ちゃってるものな~」とモモンガは嘆息する。その次に見えたのは、トランクスだ。
……パンツ一丁の姿。おかしいところは何もない。
問題があるとすれば、今のモモンガが女性であるということ。
振り返ったアルベドが、胸や股間を隠すでもなく、両手で鼻を覆うようにしながら申し訳なさそうに訴える。
「女性が男性下着一枚の姿……というのを、よりによってモモンガ様が……。この破壊力は筆舌に尽くしがたいものがありまして…」
「ああ、はい。そうですか……」
ここで乙女のオーラを出したら、アルベドが失神するかも……などと余計なことを考えるモモンガだが、なんとはなしに気力が戻って来たので、トランクスを脱いだ。人前でパンツを脱ぐのは恥ずかしいが、すでに乳房を晒しているので今更だろう。
(そもそもだなぁ、今の姿が『筆舌に尽くしがたい』のは、俺から見たアルベドだって同じなんだけどな~……)
異性に対する好みの集大成。その裸体とは、それほどのものなのだ。
何となく困ったような気分で浴室に入る。
バスタブは設置されているが、目的は行為前のシャワー使用なので、モモンガはシャワーの前に立った。タイル張りの壁面、その高い位置にセットされたシャワーヘッドは取り外し可能だが、取り敢えず湯を出してみる。
上方から降り注ぐ湯は心地よく、頭部から全身に湯が流れ落ちていくのを感じた。女性化してからシャワーを使用するのは初めてではないが、乳房の上部曲面を湯が流れていく様は、何度見ても新鮮に思える。
(男の時は、胸板を真っ直ぐ流れ落ちるだけだし……。むっ?)
背後に気配。
言わずと知れた守護者統括アルベドが、モモンガの背後を取ったのだ。
いい加減で慣れてきたモモンガが、振り向きもせず目の前の壁を見ながら言う。
「始めるのか?」
「はい。今度は直で触ります。……大事な部分にも触れますので、御注意を……」
注意するって、何をどう注意するのか。
気になったモモンガだったが、それもすぐに意識から消し飛ぶ。
アルベドはモモンガの両脇の下から腕を回すと、左手でモモンガの左乳房を触り、乳首を指でこねた。それだけでもモモンガは声を漏らしたが、大きな声にならなかったのは、アルベドの右手が頬に触れ、モモンガの唇を指でなぞっていたからだ。
細く白い指が唇を撫でていく感触は、くすぐったくもあったが、モモンガの想像を超える恥ずかしさを産む。
(なんだこれ!? 指で唇を撫でられてるだけなのに、なんでこんなに恥ずかしくて感じるんだ!?)
「あ、アルベド、ちょっと待……それはちょっと、何か……むうっ!?」
アルベドの右手……人差し指と中指がモモンガの口腔に侵入し、モモンガは言葉を封じられた。ナザリックの
「モモンガ様。
「もごっ!?」
アルベドの指二本が、ピアノの鍵盤を叩くようにモモンガの舌を押さえる。指二本を口に突っ込んで……というと、むりやり嘔吐させる際の行動に似ているが、モモンガには苦しいとか
(舌の上で指が動いてるだけなのに、な……んか、後頭部がゾクゾクする感じだ……)
先程、耳や髪などを弄られたときにも感じたが、口に指を入れられて気持ちいいことになるのも、やはりモモンガの想像を超えた事態である。
女性の身体とは、このように感じやすく敏感なものなのか。
(ぬ~わ~、何かもうわけわかんない……)
モモンガは意識に霧がかかったような状態になったが、これは唇や舌を愛撫されただけでなく、アルベドが左手でモモンガの乳房を弄っていたことも要因の一つだ。乳房で生じる感覚……心地よさが、舌で生じる快楽を後押ししていたのである。
それだけ、サキュバスの性技が凄いということなのだ。
(モモンガ様は……お喜びね? くふ~……ふう……順調だわ)
アルベドは歓喜の中で精神が停滞化し、落ち着いて行為を続けている。
自分自身は処女だし、女性相手の経験は初めてだったが、知識だけは有していた。なので、ひとたび行動に出ればサキュバスの本能によって有効な愛撫が可能。同性同士の行為に慣れたシャルティア程ではないにしても、相手が女性期間の短いモモンガならば、効果は絶大というわけだ。
その後、数分程、二人はシャワーの湯に打たれながら絡み合っていた。
立ったまま、モモンガの背にアルベドが密着し、その大きな乳房のみならず下腹をモモンガの尻に押しつけ、湯に濡れた肌を擦りつけていく。モモンガの口腔に入れられていた指は抜かれ、今ではモモンガの右乳房を揉みしだいていた。
「アルベドぉ、もうちょっと、ゆっくり……で」
「はぁはぁ、ゆっくりでよろしいですか? そうすると、こちらなどは……ほら」
「ち……せ、先端を揉みほぐすの、やめぇ……」
浴室では、二人の女性による愉悦のデュエットがシャワーに紛れて流れていた。
これは永遠に続くかと思われたが、モモンガの様子を確認したアルベドが、モモンガの乳房から右手を離し、人差し指で脇の毛を掻き混ぜ、肋骨をなぞるようにしてから右脇腹を通過。
この時点で指先の移動に気がついたモモンガが、その行く先を予想して正気に返る。
「あ、アルベド!? そこは、できるだけ優しくで頼む!」
甲高く発せられた声が裏返っている。
男の時ですら、他人に股間を弄られたことがないのだから、当然と言えば当然だ。
対するアルベドの声は、幼子をあやすように優しい。
「大丈夫ですよ~。怖くはないし、痛いこともあり得ませんので~……。くふ~……」
言いつつ、アルベドの指が腰骨に到達した。そのまま股間を目指すかと思われたが、腰から太もも側面を滑り降り、膝付近を目指す。
焦らしていることぐらいモモンガにもわかったが、アルベドの指の動きに翻弄されているのでは抗議の言葉すら出なかった。更には声を出すのが恥ずかしいという思いが再浮上し、涙目で歯を食いしばるのみである。
そうして数秒が経過し、息を荒くするモモンガに向けてアルベドが最後通達を行った。
耳元に寄せられたアルベドの唇が蠢き、発せられた声がモモンガの鼓膜を揺らす。
「……ふう。身体の力を抜いて……。
「あ、ああ……」
モモンガ自身、発した言葉が了承を示すのか、ただの喘ぎ声だったか認識できていない。ともかく、アルベドの指は足の付け根を目指して移動を再開した。そしてまず到達したのは、女性器を覆う黒い茂み。その湯に濡れた右脇から分け入ったアルベドの指は、下腹部とは違う柔らかさを発見すると、一度動きを止めた。
「モモンガ様。ここ……大事な場所ですよね? どうですか? 少し、ぷにぷに押し込んだりしてみますね……」
その言葉どおり、アルベドの指が沈んだり上昇したりする。その動きの一つごとにモモンガは肩を揺らしたが、それでもまだ耐えていた。
「わからない。わからないが、だんだ……んっ!」
「そう……ですか。では、このままマッサージします。細心の注意を払いますが、もしも痛かったら言ってくださいね?」
(さっき「痛いことはしない」って言ったのに、なにそれ!?)
モモンガは不安になるが、その肉体は準備が整いつつある。
モモンガが無言で頷くと、アルベドは、まず体毛下の柔肉をマッサージした。具体的には、陰裂両脇の大陰唇を人差し指と親指で挟み、揉んで、
この愛撫により、モモンガは快楽で意識が飛びそうになったが、アルベドは絶頂に達するタイミングを外し、適度に指の動きをゆるめていた。これはモモンガを
(るし★ふぁー様による
アルベドの脳内で、タブラの声が再生される。
「るし★ふぁーさんのメールを見るに、女性化したモモンガさんが女性の誰かとベッドに座りでもしたら、それで女性化が解除されると思うんだよね。るし★ふぁーさんだって、ユグドラシルでの規制上、その辺が限界のはずだよ。モモンガさんを落とす……じゃなくて、喜んでもらうならシャワールームが決戦場かな~」
るし★ふぁーが他に小細工をしている可能性もあるが、タブラは推測に自信を持っていた。そうであるなら、やはり女性モモンガとの性的行為は、このシャワールームが決戦場なのだろう。可能な限り攻めるべきだとアルベドは判断していた。
(聞けば、一時的な性転換アイテムが宝物殿にあるとのことだけど……。気軽に性別を入れ替えられるのと、今の状況ではまるで違うわ……)
モモンガに課せられている危機感の差……であろうか。
そういったシチュエーション込みで考えるなら、今はまさに『絶好の機会』と言えるかもしれない。そう思うと、このシャワールームでの時間をなるべく引き延ばしたいのがアルベドの本音だった。この思惑をモモンガが知ったら「それって、やっぱり嬲ってるってことじゃないの!?」と叫んだことだろう。
だが、アルベドは、モモンガの湯に濡れた肩へキスの雨を降らせつつ自己弁護する。
(いいえ、違うのです。モモンガ様。これは、あくまでもモモンガ様に女の感じるところを解っていただきたくて、やむを得ず、そう! やむを得ず、心で泣きながらお時間を頂いているのです!)
熱い吐息を吐きながら、限界まで伸ばされた舌がモモンガの首筋を舐め上げていく。
「うひゅっ!?」
モモンガ目を閉じたまま肩をすくめた。だが、他人に肌を舐められるという感覚……その相手がアルベドだと思うと、途轍もなく心地よいものとなる。そして、股間では二本の指が交互に沈み込み、身体の内側を掻き回すため、この時点でモモンガの脳は快楽を貪ることしか考えられなくなっていた。
キュ……。
シャワーが止められ、モモンガは何となくだが「やっと終わったのか?」と肩の力を抜く。もちろん、そんなはずはない。アルベドは背に押し当てていた乳房を離し、モモンガと距離をおくと、モモンガの両肩に手を回してモモンガを百八十度回した。その背を壁面に押し当てるようにして、距離を詰め直し、かなり近くまでモモンガの顔に顔を寄せ……囁きかける。
「モモンガ様。そろそろ、最後の一手に入ろうと思うのですが。
「だ、大事な……こと?」
浴室の壁に押しつけられたモモンガは、とくに思い当たることがなかった。幾分、朦朧としながらアルベドを見ていると、彼女はニッコリ微笑んで言う。
「キス……ですわ。
キス……。
その単語がモモンガの耳に入って鼓膜を振るわせ、脳内に浸透していくと……モモンガはシャワー及び他の行為で赤くなった頬を更に紅潮させた。
「キス、キスか……」
呟きつつ、アルベドの唇を見ると、湯に濡れて艶やかな唇はいかにも柔らかそうで、次いで形の良い鼻梁が目に入り、すぐ上の双眸に視線が吸い寄せられる。モモンガの視線を受けたアルベドは、顔にかかった髪を掻き分け、再びニッコリ微笑みかけてきた。
この時のモモンガは、ここまでの行為の中でアルベドの唇が、その舌と共に自分の身体中に触れていたことなど忘れ去っている。
(アルベドの唇……綺麗だ……)
「アルベド、今の俺は女だ。女だが……アルベドとキスをしてみたいと思う」
普段のモモンガからは絶対に出ない、行為に関しての前向きな発言。これを聞いたアルベドは、じゅわりと湯以外の体液で股間を潤したが、そのことをおくびにも出さず問いかけた。
「魂が震えるほど嬉しく思います。では、モモンガ様。いかがいたしましょう?
どちらがどちらの唇を奪うのか。
そういった問いかけだ。
モモンガは少し迷ったが、自分なりの回答を見出し、アルベドの左頬に手を添える。アルベドはモモンガの手の動きを目だけで追い、その手が頬に添えられるとモモンガに視線を戻して再度微笑んだ。その笑みを受けて、モモンガは伸ばした手をアルベドの首に回す。そして、うなじの辺りに手を這わすと、そのままアルベドを引き寄せた。
……。
吸い付くようでいて柔らかい。あと濡れてる。
それがモモンガの、キスに対する第一印象だ。
続く感想として、抱き合ってキスする以上は乳房と乳房の押し付け合いになるので、男だったときには想像もつかない柔らかさに驚きがある。シャワーの湯で滑り、乳房と乳房が複雑に形を変える様、そして感触は、モモンガの脳を著しく焼いた。
「ハァッ、は、ハァ……」
アルベドから顔を放したモモンガは、目を丸くしたまま息を荒くする。そこへ追いかけるようにしてアルベドが顔を寄せてきた。
「今度は……
モモンガの唇に、再び柔らかい感触が生じる。それがモモンガの脳を焼くが、先程自分からした行為と違っているのは、アルベドの舌が唇を割って入ってきたこと。ぬるりとした温かい軟体が、モモンガの口内を這い回り、舌に絡みついていく。くすぐったいようでいて、脳に近い部位で生じる悦楽。モモンガは脳内で火花が散るような気分だ。
数分後、モモンガの上の口の内部を堪能したアルベドが顔を離し、モモンガは脱力して腰を落としかける。しかし、アルベドの手がモモンガの両手首を掴んでおり、そのまま壁面に押し当てているので、へたり込むことはできなかった。
「あ、アルベド?」
荒い息でモモンガが問いかけ、そのトロンとした視線をアルベドが真っ直ぐ受け止める。が、そのアルベドも瞳が潤んでいるので、モモンガは荒い息の中で怪訝に思った。
(どうしたのかな? 俺、何か失敗した?)
アルベドは決意を固め直していただけだが、そこがモモンガには伝わっていない。だから、「それでは……始めます」と言われたときも、ぼんやりした視線を上に向けて何かを待つのみだった。だが、その気だるさに満ちた時間は唐突に終わりを告げる。
ぬるんとした感触が股間で生じたのだ。それは先程までの指から生まれるものと明らかに違う。厚く広く柔らかく、それでいて蠢いている。
(舌っ!? アルベドが俺のあそこを舐めてる!?)
股間から突き上げてくる快楽の波に、モモンガは押し流されつつあった。
そういう行為があるのは知っているが、初めての体験となれば衝撃は大きい。
そして、その行為が始まってから、僅か数秒でモモンガは達してしまった。
舌と唇に加え、指まで差し込まれたのでは耐えることなどできなかったのだ。
今度こそ、背で壁を擦るように腰が落ちていくが、アルベドの手が尻を鷲づかみにして支える。人間女性であれば無理だろうが、サキュバスの腕力は、人一人の体重を支えるなど造作もないのだ。
「あう、あるべろ……ちょっと休憩を……」
「……ふう……」
モモンガが懇願するように呼びかけたところ、アルベドの精神停滞化が発動したらしい。股間に口をつけたままのアルベドは、気まずそうな表情になってモモンガを見上げている。この状態で行為が止まると、自分の股間に女性が口をつけているのがじっくりと観察できるため、モモンガは羞恥でのぼせかけた。元よりシャワーを浴びた後なので、のぼせ率は倍プッシュだ。しかし、アルベドが正気に戻ってくれたことで一息つけるには違いない。
(助かった。これ以上続けられたら気を失うところだったぞ……)
安心した。だが、その安堵がモモンガを更なる窮地に追い込む。
ハフウと息を吐いてアルベドを見つめ直したモモンガは、アルベドに口を離すよう伝えようとした。だが、のぼせていたことと安堵で気が緩んだこと。そしてアルベドに一方的に押されていたという恥ずかしさから、つい愛想笑いのような表情を向けてしまった。
次の瞬間、モモンガのボディーラインからシャワールームの壁面一杯に百合の花が咲く。乙女のオーラが高ぶった精神に押されて、威力増し増しで発動したのだ。
ガカァ!
実際に光ってはいないが、モモンガの股間に顔をつけ、鼻から上だけ見えているアルベドの顔が閃光で白く染まった……ように見えた。一瞬、アルベドが目を見開いて硬直するが、気がつくとその瞳から光が消えている。
「あ、あの……アルベド……さん?」
恐る恐る呼びかけるモモンガ。直後、ズルンと体内に侵入された感触で彼……彼女は仰け反った。
長く、柔らかく、それでいて縦横無尽に動くモノ。
アルベドの舌が奥深く突き込まれたのだ。
指ほどの到達感はないものの、軟体による体内の蹂躙はモモンガを高みへと押し上げていく。
「だ、ある、飛ぶ……と……っっっっっっっ!?」
背中に氷柱を差し込まれた。
そんな表現があるが、この場合、股間から逆むけに電流が走ったと言うべきだろう。
両手でアルベドの頭部を押さえたまま、モモンガは絶頂を迎えた。
股間からは諸々の体液が溢れたが、それらは余さずアルベドが口で受け止め飲み下していく。
ず、ずず、じゅる……ちゅ、じゅううう……コクコク……。
淫らに過ぎる水音と共にアルベドの喉が鳴った。
そんなにも垂れ流しているのか……何てものをアルベドに飲ませているのか。そう思うと、モモンガは羞恥で心臓が止まりそうになる。
色んなモノが入り交じった涙。それが頬を伝い落ちるのを感じながら、モモンガはアルベドに身を任せ続けるのだった。
◇◇◇◇
モモンガ達がシャワールームから出たのは、五回ほど達してからのこと。
バスローブを着用して居るが、自分では立って歩けない状態だったので、アルベドに支えてもらいながら寝室へ移動している。途中、思い出したようにアイテムボックスからポーションを取り出し、飲用することによって回復はしたが……。
「モモンガ様、腰に手を当てて一気に……凛々しくて素敵……」
というアルベドの呟きが聞こえ、ビンの底を上に向け、口を付けたままでモモンガは動きを止めた。
(腰に手を当て、瓶入りポーションを一気飲み……って凛々しいのか?)
ポーションの薬効によりイキ疲れがサッと消えたので、モモンガには小首を傾げる程度の余裕が生まれている。もう大丈夫だと一人で歩き、ベッド前に立ったモモンガは振り返ってアルベドを見た。アルベドも白いバスローブを着用しており、その下は下着一枚身につけていない裸身。モモンガ自身もそうだ。この後、二人でベッドに入り、本番の行為に移るのだが、回復した頭で考えたモモンガは、先程傾けた首を逆に向けた。
(本番行為って、さっきシャワーを浴びながらやっちゃったんじゃないの?)
あくまでベッドインした状態でしなければ、女性化は解除されないのだろうか。
(まったく……るし★ふぁーさんも面倒な『設定』にしてくれたものだよ。合流したら殺そう……)
溜息交じりにベッドへ腰を下ろしたモモンガは、自分が思っていたよりも余裕のある態度でアルベドを呼んだ。
「アルベド……始めたいのだが、構わないだろうか?」
落ち着いた物言い。だがこれは、目の前のサキュバスによって散々に絶頂を味わわされた後なので、感覚が麻痺しているだけなのだ。一方、アルベドは、頬を紅潮させ「はい、異議などあろうはずがありません!」と述べてベッドに歩み寄る。その際、バスローブを床に落とすようにして脱いだため、その女神像と呼びたくなるほどの美体がモモンガの目に飛び込んできた。
(ぬう……さっきまでシャワーを浴びながら見てたが、脱衣模様からの裸体となると、これはこれでディープインパクト! しかも、脱衣場で見たのとも違う感じ!)
この瞬間、モモンガに男根があったならば、間違いなく天井に向けて自己主張していたことだろう。しかし、今のモモンガは女性体だ。男性体に戻るためには、アルベドとベッドインして性行為をしなければならない。
(そう思うと、またドキドキしてきたな……ポーションを飲んだから倦怠感はなくなったけど、慣れもリセットしちゃったか? でも逃げたいとか、そういうのはないんだよな……)
自分自身でもよくわからない心境であるが、事ここに到ってグダグダと逃げ口上を言うことはなさそうだと安堵する。そして、自分も脱がなければ……と腰を浮かせてバスローブを脱いでいたら、その間にアルベドがベッドまで来て右隣に腰を下ろした。
いよいよ全裸の女性が二名、ベッドに腰を下ろし……た瞬間、モモンガは男性に戻ってしまう。
「へっ? あれ?」
先程までの白く細い女の腕……ではない、ゴツゴツした男の腕。それを持ち上げ掌を見て、その後、胸板に乳房が亡いことを目視。最後に股間に目を向けると、そこには大きく硬いパンドラズアクター……ではなく、慣れ親しんだ息子の姿。
「お、男に戻ってるぅううう!? なんで!? なんでだ!? 俺、まだ何もしてないのに!」
驚愕のあまり立ち上がると、股間の怒張がブルンと揺れてアルベドの視線を誘引した。
脳内で、ペロロンチーノと弐式炎雷による「ナニもしてませんしね!」という声が聞こえた気がするが、モモンガは実際に頭を振って幻聴を振り払った。
「あ、アルベド!? これはいったい!?」
「……はっ! 失礼しました!」
モモンガの怒張に注目していたアルベドは我に返り、よだれを拭ってから謝罪すると、タブラから聞かされていた推論を述べる。つまり、『いくら、るし★ふぁーでもベッドインさせるまでが限界。本番行為など組み込めるわけがない』というものだ。
「あっ……な……それは……」
モモンガは言葉が出ない。
言われてみれば確かにそうだ。それをなぜ、自分で気づけなかったのか。
口惜しさと、るし★ふぁーに対する怒りが脳内で渦巻くが、やがて気になったのは、「そうであるなら、先程までのシャワーを浴びながらの行為は何だったのか?」というもの。必要なことだったとは思えないが……。
自然と問い質したくなる気持ちが湧き上がり、細めた目に力が籠もるも……どうせタブラによる入れ知恵かと考えたことで肩から力が抜けた。
(お膳立てされるほど……俺がグダグダしてたってことなんだろうな……)
少し脱力したモモンガは、ベッドに座り直すと、隣りで座るアルベドに目を向ける。
「どうだろうか? 女ではなくなったが、このまま続きをしていいだろうか?」
言ってる途中、自分でも驚いたぐらいにスラスラと言葉が出た。
色々ありすぎて、股間の脈打つものに身を任せたい気分なのだ。
勿論、アルベドが拒絶するはずもない。
アルベドは胸の前で手の指を組み合わせると、腰の黒翼をパタつかせながら大きな声で返事をした。
「望外の喜びです! モモンガ様に奪っていただける……これ以上の幸せはありません!」
書いてみました。
事前の意気込みに比して、思ったよりエッチな感じにならなかったかもしれません。自分では、この辺が限界のようです。
男モモンガさんの逆襲パートについては、今のところ書く予定はないです。