18:45 シャーレ居住区に侵入
「侵入はとても簡単でした。最強最高のエージェント・コールサイン04の飛鳥馬トキにかかればどのよう建物でも容易いのですが、シャーレの居住区には鍵がかかっていなかったので、特に簡単でした。そのため予定よりも容易に先生の寝室に忍び込めました。ピース。
18:46 先生の寝室を物色
その後は先生の寝室を漁らせて……訂正します。調査させて頂きました。連邦生徒会関連の機密文書などがあればミレニアムの切り札として後々利用することも考えられますし、エロ本などがあれば先生の性的趣向を把握出来ます。後者は個人的な切り札とすることを想定していました。
何も恥じることはありません。先生が女性を強制的に絶頂させることが趣味のサディスティックな性的趣向の持ち主であることはベッドの下にあったこれらのエロ本から明らかですが、そのような性的趣向は男性であれば持っていてもおかしくはないものです。お任せください。この飛鳥馬トキの今の主人は先生だけです。先生がお望みであればどのようなプレイでもやり遂げますので。
20:36 先生 帰宅
話が逸れましたね。侵入からおよそ一時間と五十分後、先生のベッドでそのまま眠ってしまおうか考えていた頃のことです。先生が帰ってきました。先生はいつもこれくらいの時間に仕事を終えるのですか? お言葉ですが、朝の九時から働いてこの時間に仕事が終わるのは明らかに労働基準を超過しています。法的な問題もありますし、健康にも被害が及ぶことが予想できます。
20:38 先生 事情聴取を開始
実は私がシャーレに侵入したのはこれが初めてではありません。数か月前からこれまでに四度侵入し、バレることなく逃走を成功させています。流石はミレニアム最高のエージェントです。さて、その四度の間に先生の自宅を漁りましたが、エロ本はここ最近になって四冊増えました。しかし男性が性処理に利用するティッシュの使用量は減少しています。つまり先生は過労による可処分時間の減少により溜まったストレスを発散出来ていないのではないか、と考えました。そこでC&Cのコールサイン04、この飛鳥馬トキが忙しい先生の性欲処理のために参じた次第です」
「色々と言いたいことはあるけど」と先生は言った。「もう少し恥じらいを持った方がいい。エロ本とか性欲処理とか、そういうのは堂々と口にする言葉ではない」
「成程、恥じらいがあった方がお好み、と」
私がそう言うと、彼は頭に手をやってため息をついた。
「そういう意味じゃなくてね」
その後で彼は私にお腹は空いていないか、と聞いた。私はまだ夕食を食べていなかったから空いていると素直に答えた。
「ちょっと待っててね。冷蔵庫にあるもので何か作るから」
「いえ、それには及びません。先生も夕食がまだなのでしたら、私がすぐに用意致します」
「じゃあ、一緒に作ろっか」
20:54 先生と共に夕食の調理を開始
ミレニアム内外を問わず、先生の噂というのは度々耳にする。曰く、変な人だと。私もそう思う。メイドである私に指図せず、一緒に料理をすることの意味や目的が理解出来ない。でも不思議と不気味ではない。彼には彼なりの考えがあるのだと思えるし、それは私が知らなくても良いことに思えた。
「トキは手際がいいね」
キャベツを千切りにしながら冷凍庫にあった豚肉の解凍をしていた私を見て、彼が驚いたように言った。
「そうでしょうか。比較対象がいないので分かりません」
「私よりずっと早いよ」
彼についてよく聞くことに、恋愛の話があった。先生に彼女はいるのか、先生のことが好きなのか、先生に告白した生徒がいる、等。私にはずっと分からなかった。好きになること、それがどのようなもので、何を意味するのか。
「うん、美味しいね」
彼の笑う表情を見ていると分かる気もする。意味や具体的なものではない、抽象的なもののことが。
21:28 洗い物を終える
「トキはどうするの? もう遅いけど」
「どう、とは具体的にどのような意味でしょうか」
「帰るのか、それとも居住区に泊まっていく?」
「いえ、任務がまだ完了していません」
「一応聞くけどその任務って?」
「はい。先生の性欲……いえ、恥じらった方がお好みでしたね。そういうことです」
「……何はともあれ、お風呂に入ろうか。その後でゆっくり話そう」
21:36 先生 入浴
耳を澄ますと、浴槽の湯が揺れる音が微かに聞こえた。部屋に取り残された私に出来ることは掃除くらいで、それも然程必要ではないといった感じだった。彼の部屋は整理整頓が行き届いていた。しかしそれは殆ど使われないことによる副次的な清潔感と呼ぶ他なかった。
21:56 入浴
入浴前に着替えを持っているかと尋ねられたため、持っていると答えた。服を破かれることまで想定していたから替えのメイド服を用意していると言うと彼は苦笑いを浮かべた。どうやら破くようなことはするつもりがないらしい。
脱いだ服を丁寧に畳み、鞄の中に入れる。髪を下すと、その重量感が以前よりも増していることが気に掛かった。最近は伸びてきた毛先を揃えるだけで、全体は少しずつ伸びてしまっている。
これから性処理を行うことを予想して、いつもより完璧に身体を洗った。持参したシャンプーを使い、二度髪を洗い流し、中途半端に崩れるくらいならばもう一度めかした方が良いと思いメイクも落とす。ボディソープで匂いの残らないよう入念に身体を擦り、最後に全身をシャワーで洗い流す。
22:31 ドライヤーを使用 化粧直し
先生をあまり待たせる訳にもいかないが、濡れた髪や不格好な化粧で彼の前に立つ訳にもいかなかった。時間と完成度の両立というのは難しい。新しいメイド服に袖を通して部屋に戻ると、彼は小説を読んでいた。『日の名残り』
「お待たせしました。髪が伸びてしまい、乾燥に手間取りました」
「うん。とりあえず、今日は泊まっていきな。空き部屋はいくらでもあるから」
「ありがとうございます。ですが、それは任務の後です」
「ねえ、トキ」と彼は言った。「ベッドの方においで。そこで話そう」
「はい」
彼は不思議な人だ。行動の目的も理由も分からないことが多い。それでも彼の眼を見ていると、不思議とついて行ってしまう魅力がある。魔女の眼のように、その目に貫かれると私はたちまち思考の自由を奪われて、まるで目を閉じたときのように曖昧な世界に落ちてしまう。不思議と悪い気はしなかった。
22:48 ベッドサイドにて会話
「性欲処理、と事務的な言い方をしているけど、意味する所はセックス、そうだよね?」
彼は優しい声で私に聞いた。
「はい」
「セックスっていうのは、お互いに好きな相手とするものなんだ。まずそれを分かって欲しい」
「理解しました。私は先生のことが好きですよ」
「もう一つ。そしてセックスをするというのは、ある種の契りなんだ」
「契り、ですか?」
「どれだけ避妊しても、セックスをすれば妊娠する可能性はゼロにはならない。その場合はお互いに責任を背負う。それを受け入れる、という契り」
「成程……」
私は前の月経から低用量ピルを飲んでいるし、コンドームをつければ妊娠の可能性は限りなく低くなる。しかしゼロではない。もしも妊娠した場合、彼の子を産むこと。子供に責任を持つこと。
「私としては問題ありません。先生は、私に責任を取るのは嫌、でしょうか?」
そう聞くと、彼は大きなため息をついて、ベッドに倒れこんだ。理性的で大人な彼の対応ばかり見てきていたから、かなり意外な行動に思えた。どことなく「先生」という存在で処理していたものが私と同じ人間で、私の隣に存在しているというある種当たり前のことを、私はそのとき初めて実感した。
「まさか。トキとパートナーになれたら素敵だよね。でもそんなこと普段は言えないんだよ」
「普段は言えないことを言えるのは、私が提案したからでしょうか?」
「うん」
彼はそう簡単に答えると、起き上がって私の肩を持ち、優しくベッドに押し倒した。さっきまで彼がいたくぼみに包まれると、今から犯されるということがありありと理解出来た。
「コンドームやローション、その他道具も私の鞄の中にあります。ご自由にお使い下さい」
「トキは私の性的趣向、知ってるよね?」
「はい。暴力的なことにまでは至らないサディスティック、と把握しています。間違いありませんか?」
「うん。間違いないよ。じゃあ、トキに一つだけ命令していいかな?」
「何なりと、お申しつけ下さい」
部屋の灯りを落とし、ベッドサイドランプの頼りない橙色の光だけが光源として存在していた。その光に照らされた彼は空想上の吸血鬼のそれのような表情をしていた。これから血を啜るのを待ちわびているように口角を上げ、私に言った。
「じゃあ……私が許可するまで、絶頂しないで」
性行為について学ぶために、何度か自慰行為をして性的快楽について学んでみたが、よく分からなかったというのが結論だった。乳首はただの触覚の一つとしか思えなかったし、膣に入れた指はむしろ異物感を覚えるだけだった。一応身体的反応として膣分泌液は出たものの、それは快感を覚えていることと同義ではないことが分かった。
彼は丁寧に私のメイド服を脱がせていった。メイド服の作りは複雑で多少手間取っているのを見るに、性行為向きの服装とは言い難いようだった。
ようやく彼が下着の一枚上まで辿り着くと、不思議な感覚が胸の中に沸いた。下着を見られるのは恥ずかしい。それは一般論でしかなく、ついさっきまでは布を見られるというだけで普段の衣服と何も違いはないと思っていたのに、一瞬にして羞恥心が胸中を支配した。それとなく脱がされるのを抵抗してみたが、彼は変わらないスピードでゆっくりと服を捲って、そしてボタンを外してしまった。
「先生に見られることを想定し、上下統一した白の下着をあしらってみました。如何でしょうか?」
「奇麗だよ、トキ」
どうして性行為のとき部屋を暗くするのが一般的なのか、色々と調べてみても分からなかったが、行為に及んでみて理解出来た。行為中の姿をまじまじと見られるのは恥ずかしい。影が落ちていた方がいいこともあるのだ。
「んっ……♡ あ、くっ……ん♡」
「痛くない? トキ」
「……はいっ、問題っ、ありませんっ……♡」
痛いどころか、私の身体はおかしな感覚信号を脳に伝えていた。痙攣のように自分の意図しない所で身体が跳ね、全身の感覚が敏感になっていく。まだ下着越しにまさぐられているだけだというのに、自分で弄ったときにはなかった快感がじわじわと私の理性的思考を溶かし始めている。
「先生っ♡……これ、これっ♡ へんっ……変ですっ」
「変?」
私の声を聞くと、彼は一度私の身体を撫でる手を止めた。呼吸の余裕が生まれ、浅い息の中で彼に伝えた。
「一人でっ……♡ したときには、こんなっん……気持ちよくはっ♡ なかったのですが……」
「性的快感だからね。性的なことをしているってイメージがないと、気持ちよくならないんじゃない?」
「……性的、な……」
「脱がせて指を入れるけど、大丈夫?」
彼は下着のクロッチの部分を人差し指でトントンと軽く叩いた。これから指を入れる部分を示すために優しく押されただけなのに、染みて変色したクロッチは彼の指先をさらに濡らした。具体的なイメージに近づいていくごとに、下半身に意識が集中していった。犯される。しかし絶頂は許されていない。どんな任務でも実行出来ると自負していたが、私は少しずつ自信を失っていた。
「あっ♡ んああっ……♡」
ぷしゃ、という気の抜けた情けない水音を皮切りに、私は膣から勢いよく潮を吹いた。私が吹いた潮はベッドの端まで届き、シーツに飛ばした跡が残っているのが暗闇の中でも見えた。
「イっちゃったね、トキ」
潮を吹く寸前、何かが来るという身体からの信号を受け取り、膣に入れられた彼の指に必死に抵抗しようとした。このまま快楽を受け取っていると何らかの身体的反応がある。それが恐ろしくて逃げようとしたのだが、絶頂の前触れだとは分からなかった。結果的に潮を吹いてから絶頂したのだと理解した。
「初めてで潮を吹くって、多分珍しいけど」と彼が言っていた。
正直に言って、彼の言っていたことはほとんど理解出来なかった。絶頂直後は放心してしまっていて、心は身体を離脱したどこかにあった。
「申し訳ありません……許可を頂く前に絶頂してしまいました」
「うん。全然いいよ。トキが気持ちよくなれたなら、私も嬉しい」
彼はいつも通りの優しさで私を受け入れてくれた。このまま隣で眠ってしまいたくなるような安心感と、まだ彼が挿入も何もしていない段階で私だけ絶頂してしまったことが情けなく、完璧なメイドとは程遠い姿であると悔しくなった。
「先生、お願いがあります」
「どうしたの?」
「もう一度チャンスを頂けないでしょうか? 今度は絶対に絶頂しません。先生もどうぞ、フェラチオでもパイズリでも挿入でも何でもご命令下さい」
「せんっ……♡ せいっ♡ いつまでっ、これをっ……あんっ♡」
もう一度同じ条件で性行為を再開して、先生が望んだのは引き続き手淫だった。指先で私の膣や胸を弄り回し、時々口づけもした。そしてそれが終わると、彼は舌で私の膣を舐め始めた。これにも異物感を覚えることはなく、指よりもざらざらとした温かいものが暴力的な快楽を流し込んでくるだけだった。いっそ異物感を覚えれば絶頂感も遠ざかったのだろうが、どういう訳か私の身体は彼を異物とは認識出来ないようだった。
これは不味い事態だった。挿入し、彼を満足させて絶頂の許可を貰う流れを想定していたのに、私が一方的に責められるだけだった。そして私の絶頂感は着々と高まっている。もう気を緩めればいつでも絶頂してしまいそうなくらいだった。
「やっぱり指の方が使いやすいね」
そう言うと、彼は舐めるのをやめてもう一度人差し指を使って私の膣内をまさぐり始めた。私に出来ることは二つだった。一つは単純に絶頂を堪えること、そしてもう一つは、さっきから何度か当たっている感度の集中した場所を彼に隠すこと。そこに指や舌が当たると、我慢など忘れて絶頂してしまいたくなる。気が緩む程の弱点を見つかる訳にはいかなかった。
「先生っ♡ そろそろっ……んっ、挿入などをっ♡」
絶頂する訳にはいかない。二度もチャンスをものに出来ないなど、完璧なメイドとして恥でしかない。
「トキの反応が可愛いから、もう少し虐めたくなっちゃって」
「流石はっ♡ サディスティック……♡ ですっ、んっ、ね♡」
余裕があるように会話をしても、切れ切れの息では虚勢を張っているというのは明らかだった。
「トキ、知ってる? 女の子には膣内にGスポットっていう性感帯があるんだ」
「Gスポット……ですか、んっ、はぁっん♡」
それが恐らく先程から何度か指が当たっている所であることは理解出来た。確かに性感帯と呼ばれるに相応しい感覚の集中した所であり、自分の身体がこんな構造になっているなんて知らなかったという驚きもあった。
「ここら辺にあるはずなんだけど」
そう言いながら、彼は探るように弱点とその付近を人差し指の先端でなぞり続ける。反応してしまいそうになるが、必死に声は抑えて、浮きそうになる腰を抑え込んだ。
「ここ、いや……違う?」
「っ……♡ どうでしょう、完璧メイドのっ、トキちゃんに……そのような弱点は……んっ♡」
「ここ?」
彼はトントンと私の弱点を二度小突いた。反射的に腰が浮き、そのまま絶頂してしまいそうになって、歯を食いしばって堪えた。
「っ、ぁんっ♡」
「トキもそんな、可愛らしい反応するんだね」
「いえっ……♡ これはあくまで……先生を満足させるための演技ですのでっ……」
見ると、膣の周りのシーツが失禁したかのように濡れていた。ほとんど意識が向かなかったが、潮以外にも膣からしとどに液が漏れていた。
「じゃあ、ここずっと触ってもいい? それともそろそろ挿入する?」
「……どちらでも構いません。先生のお好きな方で」
意地悪な彼は引き続き手淫することを選んだ。Gスポット、クリトリス、知らなかった自分の身体の構造を彼に快楽とともに教えられていく。甘く膣が痙攣し、軽い絶頂は何度も繰り返していたが、必死にこれは本気の絶頂ではないからまだ命令違反ではないと自分に言い聞かせた。
彼は私を包み込むように座り、私の背後から膣に手を伸ばす姿勢になった。私よりも太く、骨ばった手が印象的だった。
「トキ、」
「何でしょうか?」
「イっていいよ」
「えっ……お゛っっっ♡♡♡」
彼がそう言ったのを理解するよりも早く、身の毛が逆立つような電撃が身体に走り、絶頂した。どうやら散々焦らされて淫靡に開閉を繰り返していた私の膣は、微弱な快感でも絶頂してしまうほどに熟れてしまっていたらしい。
絶頂の衝撃から五秒ほど後、緩んだ私の膣からちょろちょろ、とさっきの潮吹きよりも情けない音が聞こえ始めた。何が起こったのか私も瞬時には理解出来ず、お漏らししていると気づいてから必死に膣を締めようとした。しかし抵抗虚しく、私のおしっこは彼のシーツに吸い込まれていく。
「あ、ああっ……んっ♡ ダメっ♡ 違っ、これはっ……♡」
「漏らしちゃったね」
私が漏らした後、彼はタオルを持ってきてくれた。寝具類はどうせ汚れるから全て終わったあとに何とかするとして、私の股は拭いた方が良いだろうということだった。
「申し訳ありません……時前にお手洗いに行っていれば……いえ、我慢していれば」
「ううん、私こそごめんね。トキが可愛いから虐めすぎちゃった」
彼はそう言いながら私の股にタオルを押し当てた。自分で後始末をすると言ったのだが、彼にやってあげると強く言われ、断れなかった。
「次までに括約筋のトレーニングもして参ります」
「そこまでしなくても……」
「いえ、完璧なメイドとして……っ、ん♡」
彼はタオルを押し当てると同時に、再び指を私の膣内に入れた。そして弱点を重点的に突かれると、収まった絶頂感がまた押し寄せてくる。
「先生……今はまだ、んっ♡」
制止しても彼は指を止めず、私のGスポットを刺激し続けた。このまま良いようにされては三度目の絶頂は避けられないと思い、Gスポットの刺激から守るように身体を捩るが、すると今度はクリトリスを刺激され、また絶頂の直前に追いやられてしまう。あと少しの刺激で果ててしまうところで、彼が指を止めた。
「ごめんね、そろそろ挿れていい?」
「……はい、今脱がさせて……♡」
彼のズボンに手をかけて、ボクサーパンツまで一気に降ろす。彼の男性器は既に勃起していて、パンツの布を押し上げていたせいで引っ掛かっていた。
「っ……大きいですね」
「そうかな?」
「はい。事前調査によると男性の平均値は13.12cmでしたので、先生の男性器は大きいと言えます」
彼の男性器は想定よりも大きかった。しかし想定と異なる事など実践の任務の場においては当たり前であって、一々動揺している訳にはいかない。問題は先程股を拭かれている間に弄られたことで性感が高まってしまい、今挿入されては絶頂してしまう可能性が高いことだ。なるべく時間を稼いで私の身体を落ち着かせなければいけない。
「では、まずはフェラチオで御奉仕させて頂きます」
男性は一度射精すると性欲も落ち着き、男性器のサイズも一時的に小さくなるらしい。
「いや、もう挿れたいな」と彼が言った。
「……えっ?」
「ダメ?」
「いえ、先生のご要望でしたら、どうぞご自由にお使い下さい」
私は彼に向かって膣の中を見せるように指でその入口を広げてみせた。本当は掌で隠して守りたいが、完璧なメイドとしての自覚がそんな情けない行動は許さなかった。考えてみれば単純なことだ。挿入されても絶頂しなければいい。初めての挿入では女性は快感を覚えにくいというのは多数の文献にあった内容であり、それが事実であれば絶頂するはずがない。
「トキちゃんのおまんこは既に準備完了です。ピース」
「痛かったら言ってね」
コンドームを装着し、入念にローションで滑りを良くしてから彼は自身の男性器を私の中に挿入していった。膣壁を押し退けて、少しずつ彼が侵略してくる。当然膣は今まで以上に腟分泌液が溢れ、それによってより滑りの良くなった彼の男性器が不規則な速度で奥に進む。
「くっ……♡ あ♡ んんっ!♡」
「ごめん、痛かった?」
「……い、いえっ♡ 全くもんだっ……!♡ 問題ありませんんっ!」
初めての挿入では快感を覚えにくい、それは一般論としては正しいのかもしれなかったが、私の場合は間違っているようだった。むしろ手淫やクンニでピンポイントに弱点を探られるのとは異なり、大きく太い男性器によって根こそぎ弱点を刺激される挿入は危険なほど大きな快楽をぶつけてきた。
彼は奥まで挿入しきると、一度動きを止めた。慣れるまで待ったほうが痛くない、という配慮らしい。私はその時点で痛みを覚える様子はなかったが、休ませて貰えるならその方が良いのは明白だった。二度の絶頂の直前にあった、頭が真っ白になるような感覚はすぐそこまで来ている。簡単に言えば絶頂していまいそうになっていたのだ。
「トキはさ、完璧なメイドだよね」
後ろから挿入されているせいでどのような表情で言っているのかは分からなかったが、彼は優しい声でそう言った。
「……今更、でしょうか? トキちゃんは……完全完璧なメイドです」
「でもプライベートではそんなに気負わなくてもいいんだよ」
「……よく分かりません」
「もっと素直で自然にしていいってこと。もしトキがまたイっちゃっても、私はトキに幻滅したり嫌いになったりはしないんだからさ」
素直で自然に? 彼の言葉はいつもよく分からないことが多いが、それの意図する所は何となく分かった。
「成程。先生はあのエロ本の人物のようにもっと泣き叫んで許しを請うのが好み、ということですね」
「う〜ん、違うよ」
それは冗談にしても、つまり性行為にまで気を張る必要はないということだろう。これはあくまで性的快感を得るための娯楽であり、メイドとしての業務ではない。
「では、先生。実は先程から絶頂していまいそうです。先生は刺激しないようになるべくゆっくり動くか、絶頂の許可を下さい」
「ふふ、じゃあゆっくり動くね」
「許可は頂けませんか?」
「うん、ダメ」
彼は一度男性器を抜き、したり顔を見せながら体位を変えた。そしてお互いが向かい合って抱き合うような体位で再び挿入を始めた。
「トキの弱い所は……ココと、ココ、あとココだよね」
「はうっ……♡ んっ、はい……っ♡ そこが、私の弱点っ、です♡」
彼は器用に私の膣内部をピンポイントで刺激した。正直それだけで絶頂しかけてしまったが、身体を捩って何とか堪えることが出来た。しかしそれも時間の問題だ。次こうして弱点を擦られたら、もう一度耐えられる確証はない。
「逆に……先生に弱点は……っ♡ ないの、ですか?」
「うん、男はそういうの、あんまりないんだ。そうだ、私が許可しなかったらずっとトキに意地悪できちゃうから、私がイったらトキもイっていいってことにしようか」
「っ……了解しました」
弱点の話が嘘か本当かは分からなかったが、となると私に与えられた選択肢は自ずと一つだけだった。何としても先生を絶頂させる。私は既に二度絶頂し、そのせいで絶頂癖がついてしまっているが、そんな不利要素は言い訳にはならない。
「先生も手加減無用です。全力で参ります」
彼をベッドに寝かせて、私がその上に跨る。通称騎乗位。これなら男性側は能動的な動きは制限され、逆に女性側の行動の自由度は高い。地の利を活かして絶対に先に絶頂させる、と息巻いたのも束の間だった。
「ふっ……んっ♡ お゛っ゛っ゛っ?!♡♡♡」
腰を上下にして彼の男性器を刺激したのにも関わらず、まるで反動のように私に快感がぶつけられた。何が起こったのか分からず、絶頂を堪えるための反応も一瞬遅れた。彼は腰を動かし、私が腰を下ろした所で弱点を掠めるように位置を調整したのだ。そう気付いた所で後の祭りだった。
ぶしゃっ、という豪快な水音が静かな部屋に響いた。膣が彼の男性器に圧迫されているせいで隙間が小さく、漏れた潮の勢いがよくなってしまったのだ。そのせいで彼の顔に私の潮が飛んでしまった。
「あ……私……イって……♡」
「イっちゃったみたいだね」
「……ぁっ、申し訳、ありませんっ♡ 命令をっ、守れず♡」
「いいんだよ。むしろトキの可愛い姿が見れて嬉しいよ」
彼は口元に飛んだ私の潮をぺろりと舐めながら言った。
「しかし、っ……♡ 先生は、まだ絶頂を……」
「うん。だからもう少し付き合ってね。もうトキもいくらでもイっていいよ」
絶頂の許可を与えられ、私はその後獣のように愛し合った。回数も分からなくなる程潮を吹かされ、乳首をこねくり回され、全身が性感帯なのではと思えるほどに撫で回された。
6:16 起床
性行為による疲れで眠ってしまったのか、絶頂のし過ぎで気絶してしまったのか分からないまま、気がつけば全裸でベッドに横になっていた。シーツを始めとした寝具類は中途半端に乾いておらず、彼もまた全裸で隣に眠っていた。
私は彼を起こさないようにベッドから這い出し、周囲を片付け始める。クロッチが汚れたショーツ、乱雑に脱ぎ捨てられたブラジャー、彼のボクサーパンツ、ベッドサイドのゴミ箱に捨てられたコンドームとその容器。それらを見ていると数時間前の光景をありありと思い出して顔が赤くなる。
7:38 先生 起床
「おはようございます、先生」
彼が目覚めたとき、私はそろそろだろうと予測して朝食の準備を整えている最中だった。彼は最初何が何だか分からないといった表情を浮かべていたが、少しずつ思い出したようで、自身の裸体を隠しながら私に尋ねた。
「トキ、昨日私達したんだよね?」
「はい。正確には今日の未明でもありますが、先生と私は性行為をしました。いかがでしたか? 性欲は処理出来ましたか?」
「うん……トキは?」
「私はなんともありませんよ。朝食の準備が整いました。先生はどうぞ、歯磨きをしてらして下さい」
「ああ、うん……うん?」
彼は記憶のどこまでが正確でどこまでが夢かを確かめているようだった。彼が眠っている間に、私が絶頂し続けた痕跡は全て消した。寝具類も彼を起こさないように全て取り替えた。これで私が絶頂したことは夢だったとも彼に思わせられる。
「美味かったよ。トキはいいお嫁さんになるよ」
「ありがとうございます」
「トキは覚えてる?」
「はい?」
「昨日、コンドーム切れて、最後の方はゴムなしでしたんだよ」
「……っ、そう、でしたか」
「責任は取るからね、トキ」
「……はい」