元貴族で奴隷の私だって……幸せを願うことは許されているのでしょう?


TE残党勢様主催の陰鬱曇らせ杯参加用作品です。
頭の中でできたものを書き出したく強行で作りました。
反省はしておりません。

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きっとそれは

「まずい、入れ直せ」

 

「……かしこまりました」

 

『元』貴族……の奴隷、それが今の私だ。

 栄華は崩れ去り、身分さえ失い、人としても接されない。

 屈辱、ただ屈辱だった。

 

「……生意気な目だ、また教育されたいのか?」

 

「め、滅相もありません、そんなつもりなど」

 

「今度は口答えか……後ろを向け」

 

「わかり……ました」

 

 醜悪な顔が見える。

 ……それに従うしかない情けない自分。

『主人』からされる愛撫に体は反応してしまう。

 とっくに体は壊れてしまったのだろう。

 チクタクと音を鳴らし続ける時計の音だけに集中しようとしても、水音と肌を肌に乱暴に叩きつける音だけが聞こえる。

 ……それと自分の気持ちの悪い声。

 

「掃除しておけ、貴様が汚したのだからな」

 

「はぁはぁ……ありがとう、ございます……」

 

 ……いつまでこの生活が続くのだろう。

 大丈夫、きっと大丈夫。

 きっと彼が助けてくれる、私の勇者、私だけの王子。

 彼は力も強いし知恵も回る。

 いつか、いつか私をここから助けてくれる。

 彼からもらったブローチと中の写真をゆっくりと撫でる。

 これだけが今の私の救いだ。

 

「……おい、貴様何をみている」

 

「ご主人様、いえ……何もみておりません」

 

「ふん……そうか、では手の中の物をみせろ」

 

「いえ何も! 何も持ってなど!」

 

 乱暴にブローチが奪われる。

 ブローチを眺めた後に侮蔑を込めた目がが私を睨みつける。

 

「随分と強情だと思ったがこれが原因か……ふん!」

 

「嫌ぁ! うっ!」

 

 カシャリと軽い音を立ててブローチが踏みつけられる。

 拾うまもなく頬が鋭い痛みに襲われる。

 

「……本当は貴様がその男に頼っていたのは知っている」

 

「何を……」

 

 乱暴に服が破られ……再び下卑た笑みが見えた。

 あぁ……また。

 

「貴様にっ! いいものを! 見せてやろう! 前を向け、さぁ目に入れろ!」

 

 ……扉の先には彼の顔が見えた。

 両の眼で私が行為をされているのをみている。

 ただ見られたくなかった。

 彼には汚れているなんて思われたくなかった。

 例え内側も外側も汚れきったとしても彼の前だけは……。

 

「お願い……みないで……! お願い……!」

 

「クッ……ハハ! 見ないで? 見ないでだと!? お前にはあれが何見えているんだ?」

 

「え?」

 

 何を言って……? 

 あれ? なんで私は彼がしっかりこっちを見ていると……思ったんだっけ? 

 彼と間違いなく目があって……めがあって? 

 私は……行為をされて……床にいるのに……? 

 

「あ……あ」

 

 いやだ。

 いやだいやだいやだいやだいやだ。

 いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ。

 

「気がついたか? 貴様が愛した男はすでに死んでいる、貴様が愛したが故に! 貴様と関わったが故に!」

 

 耐えていた心が割れるような感覚がある。

 私自身が、私という器のヒビが、大きく広がる。

 ぱりん、きっとそんな。

 

 〜〜

 

「ご主人様、私を……もっと私を愛してください、私を捨てないで……乱暴でもいいんです、私に痕を……」

 

「……あっけないものだ、あれほど強情だったのになぁ、今夜も楽しませてもらうとしよう」

 

 あぁ……私はきっと幸せだ。




書く予定のなかった陰鬱曇らせ杯二本目ですが、自分としては珍しく救いが無いものを書くというのをやりました。
慣れないことをした上に二本目はオリジナルで尚且つ屈辱恥辱ありと、至らぬ点が多いと思います。
それでもここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。
今後投稿するかもわかりませんが応援していただければ幸いです。

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