飲み物が欲しいですね。

 梅雨入り前の暑い日でした。
 私と先生は畳の上で隣り合って座り、麦茶を飲み、分け合ったチューペットを口にしていました。
 熱を持った畳から香るい草の匂い。
 外から吹き込む心地よい初夏の風。
 首筋に汗を伝わせる先生から漂ってくる男の人の匂い。
 麦茶の水面を浮かぶ氷がカランと冷たい音を立ててました。

「……先生、溜まっていませんか?」

 ── ── ──

※2023年4月27日にpixivで投稿した作品と同じ内容となっています。
※先生は男性です。

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棗イロハと麦茶がぬるくなるまで

 やるべき仕事は全て終えたので、今は休憩スペースの畳の上で休んでいました。

 靴下を脱いで、窓の下の壁に背もたれを作るように座布団を敷くと、そこに私は背中を預けるように胡坐をかいて座りました。

 こういう天気のいい日には、電気もつけずに窓から差し込む日差しだけを明かりにして本を読んでいました。

 ですが、今日は日差しがいつもより暑く感じる日でした。

 

 ……飲み物が欲しいですね。

 

 本から顔を上げて、目の前のちゃぶ台をジッと見つめました。

 いつもはそこに飲み物を置いていました。今は、スマホしか置かれていません。

 その時に欲しい物をなるべく動かず取れるように、少し手を伸ばせば届くくらいの距離に置いていました。寛ぐためのスペースなんですから。

 梅雨入り前ながら体感気温もいつもより高く感じる日です。

 さて、何を飲みましょうか。

 エスプレッソ? アメリカーノ? まさか、こんな暑い日に?

 お水? 流石に味気ないですね。

 アイスココア……あ、昨日、イブキが来た時にちょうど切らしてしまいましたね……

 そういえば、ここのところずっと万魔殿の仕事に振り回されてばかりでした。補充のための買出しにも全く行けていません。冷蔵庫の上に置いているお菓子の入ったカゴの中身も底を尽きかけています。

 

 はぁ……

 

 ため息を吐いてからパタンと本を閉じ、私は後頭部辺りの後ろ髪の中に手を入れて、もしゃもしゃと髪を掻き分けるように触りました。レイヤーを入れた厚みのあるジャギーロングヘアスタイルの髪の中。日差しの当たる場所に座っていたせいか、少し熱気がこもっていました。

 せっかく、この後の時間はここでゆっくり寛ぐつもりでしたが、今日の買出しを面倒だとサボれば、次にイブキが来た時のことを考えると目も当てられません。可愛くて愛してやまない彼女を悲しませるようなことは、流石にあってはいけませんから。

 私だけの問題で済めばいいのですが、仕方ありません。

 あまりにも億劫だったので、私はまるで老人にでもなったかのような錯覚があるくらい、重い重い腰を上げて、ハンガーにかけている上着を手にした、その時でした。

 

 ──ポーン……♪

 

 モモトークの着信音が鳴りました。このタイミングに誰でしょうか。

 

 あ──ふふっ……

 

 送り主の名前を見て、自然と頬を緩めてくすっと笑ってしまいました。

 まさに渡りに船ですね。

 私は手に取っていた上着をハンガーにかけ直して、座布団の上にぼふっと座り込んでスマホを手に取りました。

 もう外に出る必要が無くなってしまったので。

『今日、ゲヘナの自治区に行くけど、何かいる物はある? 』

『良いんですか? 少しお願いしたいことがあったので助かります』

『任せて! 』

 そんな安請け合いをして大丈夫ですか? なんて、ビデオ通話をしてる訳でもないにも関わらず、私は悪戯っぽく笑いながら先生にチャットを送ってました。

 私は一時期、あなたのことをこちらに引き込もうとしてた相手だというのに。

 先生を一度、この休憩スペースに招いてからというものの、時々ですが、先生が気を遣ってくれて、補充に必要な物がないか、こうして聞いてくれるのでした。

 私が主にこの部屋を使っていて、人が来ると言っても時々イブキが遊びに来る程度でした。そこに先生が加わるようになって、月によってはイブキよりも、先生の方が来る頻度が多いときもあるくらいです。

 よく買ってきてもらっている物は、飲み物とか、お菓子とか……アイスとか……えっと、他には……

 私は本棚の中で倒れかけている本と本の間にある、小さな紙箱を見つめていました。

 ピンク色のキャラメル箱。

 当然ですが、これはイブキには秘密でした。

 

 ……他には、避妊のためのゴムとか。

 

『──……後はポテトチップスと、ココアを。それからイブキが読みたがっていた、かまぼこ突風伝全巻をお願いします』

『まだあるの……!? というか、あれ70巻くらいあったような気が……』

『結構長いんですね。じゃあ半分でいいですよ』

『それでも結構な量じゃない!? 』

『冗談ですよ、とりあえず3巻までお願いします』

 お言葉に甘えて色々買ってきてほしいものをお願いしていました。

 先生は本当に退屈させない人でした。

 つつけばコロコロと音がなる鈴のようで、子どもを退屈させないおもちゃみたいで、面白い反応をしてくれるので、私もついからかいたくなってしまうのでした。

『……も、もう無いよね? 』

『そうですね、ではお気をつけて来てください』

『ありがとう』

 先生からの返事を確認した後、スマホを切ってちゃぶ台の上へ置こうとしたその時でした。

 

 流石に暑かったので、窓を少し開けていました。

 カーテンを揺らすように吹き込んだ初夏の風が、私の頬を撫で、厚みのある髪の中をすり抜けるように流れていきました。

 蒸れたせいで、第二ボタンまで開けた黒のブラウスの中、汗ばんだ肌を擽るように触れる心地良く吹く風。

 そして、暑い日差しのせいで熱を持った畳からは舞い上がるように、い草の心地良い香りが立ち込めて、私はふと思いついてスマホをもう一度手に取りました。

 先生に宛ててもう一通、チャットを送るために。

 

 ──あ、麦茶もお願いします。

 

 ────

 

 ビニールの買い物袋や紙袋を抱えてガサガサと音を立てながらドアを開けた先生の様子は、ありがたかったのですが、その状態で校内を歩き回っていたのかと思うと少し滑稽な気がして、私はそんな先生を見てつい笑ってしまいました。

 くっ、ふふっ……もう、うちの生徒でも買い食いでそんなに袋を下げて歩いたりしませんよ……いえ、すみません。買出しありがとうございます。おかげで助かりました。お金は後でお渡しします。

 私は買い物袋を預かって、中身を分けていきました。

 そうしている間に、先生は穿いていた革靴を脱いで畳に上がりました。

 畳が敷かれた四畳半くらいの休憩スペース。

 一人で寛ぐには十分ですが、私より頭二つ近く背が高い人が入ってくるだけでも、やっぱり窮屈に感じてしまいます。閉鎖的な空間が、いつもの距離感ですら近くに感じてしまう錯覚さえありました。

 外も暑かったようで、先生はネクタイを緩めてワイシャツの第一ボタンを外していました。

 汗伝う首筋。

 ボタンを外して広がった襟を片手で摘んで扇いでいる姿が少し色っぽく見えて、私は時々そんな様子をチラと横目で見ていました。

 

 あー……今日もするんでしょうね。

 

 恋人同士がイエス、ノーと書かれた枕を使ったりするような、特にそういった特別な合図が決まっている訳でもありませんが、何となくそんな気がしたんです。

 首元を扇いでいる先生を見て、ふとシている時の事を思い出して、少しだけ胸の中で、真っ白な蒸気のように色濃くなった靄が沸き上がるような心地がしました。

 多分、理性が理解できる物ではなく、もっと本能とか遺伝子的に惹かれ合うような理解だったんだと思います。

 無臭のはずのフェロモンが鼻を擽って、妙にドキドキさせるような、本能的な示し。

 

 これはまた熱い時間を過ごすことになりそうですね。

 

 ──私は整頓を終えると、そんな無防備に寛がれている先生の前に氷を4、5個ほど入れたグラスを2つ置きました。

 ちゃぶ台の上に置かれたグラス。

 些細な衝撃でさえ、中に積まれた氷がくるくると滑りながら回っていました。

 そこに先生が買ってきてくれた2リットルのペットボトルに入った麦茶を注ぐと、みるみるうちに透明な容器に入った白い氷が、黄色に近い褐色の中へ色を溶け込みながら水面にぷかっと浮いていました。

「買ってきてくれたお礼です、どうぞ」

「ありがとう……──ん?」

 先生はグラスを手に取られると、私は先生が口を付けられる前に、自分が持っていたグラスを先生に向けて差し出しました。

「乾杯しましょう? 今日も今日とてサボりの共犯者同士の安らぎに」

「あ、ああ……ごめん……はいっ、乾杯」

「はい……ふふっ……」

 

 ──カランッ……

 

 グラスの飲み口同士がコツンと低い音を立てて触れ合うと、お互いのグラスに浮かんでいた氷が、それをかき消すように透き通る音を立てていました。

 グラスに口を付けてゆっくりと傾けると、口内に焦がした麦の風味が広がりました。

 コーヒーと違って、色は茶色に近くても向こうが見えるほど澄んでいる液体。

 浮かんだ氷のおかげもあり、僅かに熱を持った身体のどこを通っているのか分かってしまうほど、口内から喉にかけてじわじわと冷えていく心地が後を残していました。

 僅かな焦がした風味から感じる苦味と、麦茶特有の口内に違和感を残さないすっきりとした後味。

 思いつきでしたが、頼んで正解でした。

 少し熱い日差しと、畳から香るい草の心地いい匂い。

 サボりの共犯者である先生とこうして隠れて同じ味を共有しあっているのも、何だか世間から季節の嗜みを抜け駆けで楽しんでいるみたいでした。

 

 そう、抜け駆け。

 

 この時間にわざわざ誰かがここを訪ねてくることなんてありません。

 しばらく二人きりです。

 

 私は先生の隣で、真似をするように胡坐をかいて座っていました。そのまま、先生の方に寄りかかるように身体を傾けると、先生の肩の辺りに頭がぶつかりました。

 座っていても先生の背が高いことに変わりありません。

 二人並んで座るように、私たちはグラスをちゃぶ台の上に持っていたグラスを並べて置きました。

 殆ど一緒のタイミングで飲み始めたはずにも関わらず、先生のグラスの中身は半分以上無くなっていました。

 先に水位が減ったせいで溶けかけた氷が、水面から顔を出して積まれた状態でグラスの中に残っていました。

 本当に喉が渇いていたんですね。

 こうしてくっついていると先生の匂いがしました。

 さっき、汗をかかれていたのでその匂いだと思います。

 私は冷蔵庫の方に視線を向けて、買ってきていただいた物を思い出しました。

 

 先生、アイス食べませんか? ……はい、先生が買ってきたチューペットです。そろそろ良い感じに冷えてると思います。

 私は立ち上がるのも面倒だったので、四つん這いになって這いながら冷蔵庫の方へと向かいました。

 ……あー、ちゃんと固まってますね。

 何味がいいですか? グレープ? ふふっ、私の髪の色を見て決めました?

 

 まあ、嘘でしょうね。

 こんな姿勢で、先生の方にお尻を向けて這って歩いたりしたら、ショート丈のスリット入りのタイトスカートを穿いているので、いくら小振りでもパツッと形が強調するように張ったお尻を見ていたのは分かります。

 少し浮き出た下着のラインをなぞるように、まるで指でも這わせられているかのように、ねっとりとした視線を感じました。

 そして、私がもう少し腰を上げれば裾の中が見えてしまいそうな絶妙な角度。お尻をなぞるように見ていた目線が、太ももとスカートの裾の間をチラチラと行ったり来たり。

 先生も溜まってるんでしょうね。

 私はそれに目を瞑るように何事も無かったかのように振り返って、先生の隣に戻りました。

 棒アイスが二つくっ付いたような形状。両手で持ち、くびれた部分をパキッと折って先生に手渡すと中身を吸い上げました。

 ポリエチレン性の薄い容器の中で固まったシャーベットを吸い上げ、口の中でシャクシャクと咀嚼していると、すぐにスッと溶けてしまいました。

 先生が選んだ葡萄味。

 私を見て、選んだ……あ──

 

 私を食べたい……?

 

 考えすぎでしょうか? いつもお互いに成り行きで身体を重ねることが殆どだったので、どちらからなんて決まりはありませんでしたが、もしかしてそういった合図でしたか。

 

 自分から何か期待するようなことは言い出すのに、はっきりとは言わないんですよね、先生は。まあ、それも大人のやり方なんでしょう。

 

 私たちはお互い顔を見ることなく、ただ本棚に並べられている本やゲームソフトのパッケージを眺めるように、壁の方を二人揃って見つめていました。

 

 ……先生、溜まっていませんか?

 

「何のこと?」と無知を装うような返事が返ってきましたが、先生の代わりに答えてくれるかのように、グラスの中で積み上がっていた氷がカランと崩れたのでした。

 理性が融解する音みたいに。

 ポチャンと、グラスの底からほんの少し残った麦茶の水面に向かって、小さくなった氷が落ちていました。

 私は空いている左手の指先を、先生の右膝に添えました。

 

 はぁ……分かりませんか? そうですね……私たち中間管理職は抱える問題だらけですからね、色々溜まってしまいますよね。

 愚痴とか、不満とか。

 

 私はそう言いながら、先生の穿かれているスラックスの微かに見える生地の縦線のようにも見える繊維をなぞるようにゆっくりと、先生の脚の付け根に向かって指を動かしていました。

 

 ──すすっ……すすすーっ……

 

 溜まりに溜まった鬱憤とか。

 

 すすっとなぞるように動かしていた指先が、胡坐をかいているせいで開脚するように広げられた脚の付け根を通り過ぎて、モコッと膨らんだ下腹部に触れました。

 

 例えば、ここ(・・)……とか。

 

「イロハ……っ」

 

 少し膨らんでませんか? ……さあ、どうしてでしょうね?

 女性からのアプローチにシラを切ったことへの、ささやかな仕返しです。

 据え膳食わぬは、なんとやらですよ。

 

 もっこりと膨らんだそこを、手で包み込むように触れると、まるでカイロにでも触れているかのような暖かな心地が手のひらにじんわりと伝わってくるのでした。

 

 戸惑っている先生が手にしていたチューペットは空になっていて、誤魔化すように口に咥えて吸われた容器が、捻じ曲がったガラス片のような形に潰れていました。

 身体の大きさも違えば、一度に口にする量だって違う。

 

 先生、そんなに早く食べられるなんて、物足りないんじゃないですか? あれでしたら、私のも食べません? いいですよ、遠慮しないでください……食べさせてあげますから。ふふっ……ほら、目瞑ってください。

 私はチューペットの飲み口を咥えると、クシャッと容器を潰すように握って、三分の一くらいの残り少ないシャーベットを全て口に入れました。

 ああ、一気に口に入れたのでちょっと頭が痛くなりますね。

 私は目を瞑っている先生の前へと行き、胡坐をかかれている下腹部の上に跨りました。

 座っていても頭一つ分くらい背が高かった先生と、ようやく目線が近づきました。

 脚を広げたせいでタイトスカートが捲くれ上がって、下着が殆ど見えてしまっていました。そして、下着越しのお尻に押し当てられている、少し硬くて温もりのある膨らみ。

 どんなに体裁を保とうとしても、やっぱりここは正直なんですね。

 ぐいっと、その下腹部から押し上げてくる膨らみを潰すように腰を落として、目を瞑っている先生の両頬を両手で優しく掴みました。

 シャーベットを口に含んでいるせいで冷たい唇。

 その分、目を瞑っている大人ぶろうとしている方の唇はとても温かいものでした。

 ふにゅっと触れ合う唇同士。

 一度、お互いの口の大きさを調べるような、軽く触れる程度のキスをした後、次に触れた直後、先生は口をゆっくりと開きました。

 はぁっと吐かれる暖かい息が、先生からの合図でした。

 私は中身が零れないようにゆっくりと口を開けて、相手の口の中へサラサラと、殆ど液状になったシャーベットを流し込みました。

 

 ──ごくっ……

 

 唇同士を触れ合わせたままなこともあり、先生が飲み込んだ喉音は私の口内に鈍く響くように伝わってきて、脳の裏側を撫でられるようなゾクゾクとした心地がしました。

 私の唾液を含んだアイスを先生が飲み込んでいたことに、そして、その飲み込んだ物を代わりに吐き出すかのようにググッと、私のお尻で潰していた、先生の男性的象徴である膨らみが一気に熱を持ち、私のお尻の表面を凹ませるようにぐいぐいと硬くなって押し付けてくるのでした。

 後ろの方で軽い音がしました。

 先生が手を伸ばして、ちゃぶ台の上に空の容器を置かれたようでした。

 そして、開いた両手が私の両頬を覆うように触れてくるのでした。

 私の小さな手よりも、厚みがあって大きな手。

 先生の人差し指が私の横髪の中に滑り込むように入れられ、ピタッと耳の穴を塞がれてしまいました。

 

 ──ちぅっ……ちゅっ……ぢゅぅぅっ……ちゅっ……

 

 んっ……ぅ……ぷは、ぁ……♡ ちゅっ……んぅ……れ、ぇ……っ……♡

 

 先生と舌を絡め合う音が、脳にまで響いていました。

 口の中で人口甘味料で作られた葡萄味の液体を、ナメクジの交尾のようにお互いの舌同士に擦りつけ合うように、混ざり合う舌。

 擦れ合った舌がうねる度に、ねっとりした唾液がくちゃっとはしたない音を立てて粘膜を擽る音。

 もう、葡萄の味もしなくなるくらい舌を絡め、私たちはお互いの唾液をただ求めるように、相手の口内を手探りで弄っているみたいに舌をぐねぐねとうねらせていました。

 風でカーテンが微かに靡く音も、カーテンレールの中で前後に揺れたランナーがカチャカチャと立てる僅かな物音でさえ遮られて、耳に入ってくるのは粘膜同士が触れ合って、唾液をかき混ぜる音だけ。

 身体に感じるのは、正面から先生の胸板やお腹、ワイシャツ越しに伝わってくる人肌程度の温もり。下から何度もぐいぐいと押し付けられている生殖器の、火傷してしまいそうなほど熱を持った感触。

 そして、開脚して先生の下腹部に乗っている私の秘部と密着している下着が、じわっと濡れてきている感触。

 今日穿いている下着は無地の黒でした。

 上に着ているのも薄手のラフなブラキャミソール。

 上下で色はちゃんと合わせていましたが、先生と会うと思っていなかったのでとても地味な物でした。

 

 ──ぷはぁっ……

 

 お互い水面に上がったように息継ぎをするため口を離すと、ねとっと混ざり合った唾液がつり橋のように垂れ下がりながら糸を引いていました。

 白く見えるほど、小さく泡立った唾液の糸。

 だらしなく、目をとろんとさせた先生の顔を見て、私は思わず口端を微かに吊り上げるように笑いました。

 そういえば、そういう下着でも興奮される人でしたね。

 私と先生の仲だというのに、何を不安に思っているのでしょうか。

 私は先生の肩に顎を乗せるように抱きしめるため、先生の首の後ろに両手を回して抱き付きました。

 そして、さっきまで思っていたことを先生の耳元で問いかけました。

「先生? 私のお尻に何か当たっているんですが」

「これは、イロハが……」

 

 生徒のせいにするんですか? もう何度、肌を重ねていると思うんですか? はあ……いい加減シラを切り続けるのはどうかと思いますが……じゃあ、深呼吸して落ち着きません? ……ふふっ……

 

 私の横髪に顔を埋めるようにして、私の耳元のすぐ近くにあるお陰で、先生の息遣いがはっきり聞こえました。

 私がぎゅうぅっと抱きしめると、先生の両手が私の背中に回されて抱き返されました。

「すぅぅっ……はぁぁぁっ……ぁ……」

 先生はゆっくりと、私の髪の匂いを吸って吐いていました。

 その直後に、スラックスの限界までぐぐっと生殖器が膨らみ、その圧迫感で苦しそうではあるものの、気持ち良さそうに声を漏らしていました。

 

 先生、私の匂い好きでしたよね。

 はい、今日も髪に匂いを付けてますよ。

 ほら、もっと抱きしめてあげますから、たくさん深呼吸してください。

 

 私はブラウスの中の、キャミソール越しにBカップにも満たない胸が圧迫されている感覚があるくらい先生の身体に密着しました。

 

 ふふっ、さっきより大きくなりましたね。

 女の子の匂いを嗅いで興奮するなんて、人というより動物みたいですね……いえ、それぐらいで嫌いになったりしませんよ。

 むしろ逆です。

 

 動物みたいに盛れって言ってるんですよ。

 

 もっと生殖器を反らせるくらい勃起してください。

 これから避妊具を付けるとはいえ、包み隠さず言ってしまえば交尾なんですから。

 

 これほど衣服越しにテントでも作るようにパンパンに膨らんでいるので、私の中の臓器を圧迫してくるほど大きく、長くなっているのだと思います。

 太い管のような生殖器。

 いつも入れられている形を思い出しただけで、私もゾクッと背筋を震わせました。

 

 お互いガス抜きが必要だと思いませんか?

 

 カランッ──背後でゆっくりと溶けて崩れ落ちる氷の音。

 はっきりとあの音が聞こえたのは、これが最後だったと思います。

 それからずっと耳に入ってきたのは、下腹部が粘つくほど生殖器が混ざり合う水音と、先生が情けなく上擦らせた喘ぎ声。

 

 そして忘れたくなるほどはしたない私の雌声だけでした。

 

 ──お互いの衣服を脱がし合ったあと、いつものように裸で抱き合っていました。

 暑い日差しが差し込む畳の上。

 身体を動かす度に、ミシッと私たちの身体の重みで畳が軋んでいました。

 薄い避妊具一枚が私たち生殖器の密着を遮る、交尾の真似事。

 どちらから始めたかも曖昧な関係でした。

 欲求不満な男女が狭い部屋で過ごせば、惹かれ合うのも自然なことだと思いました。

「イロハっ……あ゛……ぁ゛っ……はぁ……はぁっ……!」

「う゛っ……ぁ゛ぅ……♡ はぁ、ぁ゛っ……口では色々仰られてますけど……っ……ふっ、ぅ゛……か、身体はとても……正直ですよね……ひ、ぃ゛……ぅ゛っ……♡ わ……分かりますか、ぁ……今、お腹の中で、ぐりって引っかかったの……はぁ、はぁっ……んぅ゛──っ♡」

 どちゅっ、ばちゅっと粘液と汗でぐっしょり濡れた下腹部同士がぶつかり合っていました。

 横たわった先生の上に私は跨って、腰をゆっくり上下に動かしていました。

 先生の生殖器は避妊具を纏っていても、反り返って亀頭の形がくっきりと作られたカリが高いのでした。

 それが私の中から引き抜かれる時に、私の中に深く残ろうとするようにぐりゅっと引っかかり、そのまま膣内を引っ張り出そうとするように抉ってくるのでした。

 お腹の裏側を何度も掻き回される感覚に、私の身体は強張って、その度に先生の生殖器を締め付けていました。

 先生は少し悔しそうに目線を逸らされました。

「ふぅ、はぁ……ぁ……せ、先生?」

「ん……か──はぁ゛……っ……!」

 ロデオマシーンにでも乗っているかのように腰を少し前にうねらせてみると、先生の腰がカクンッと釣り糸に大きく引かれたかのように大きく反らしていました。

「あぅ゛っ、ぁ──♡ くっ、あははっ……♡ はぁ、はぁ……♡ どうしたんですか? んっ、ほら、こうやって……う゛、くぅ……ぁ゛ぁっ──……っ! あ、はぁぁ……っ♡」

「い゛っ、あ゛ぁ……! だ、ダメっ……イロハ、それ……腰使い、が……はぁ、はぁ゛っ……!」

 まるで性玩具のような見た目になった生殖器が限界の大きさにも関わらず更に大きくなろうと、ぐぐっ、ぐぐっと小刻みに震えていました。

 ぷくっと膣奥を広げるように膨らむ亀頭。

 種を少しでも多く残そうとしている射精衝動に私はグラインドをやめて、上下のストロークを繰り返しました。

 

 ひっ……ぁ゛……はぁ、あぁっ……ふふっ、先生……んっ♡ ふ、ぁっ……♡ 出そうなんですか……出してください……大丈夫ですよ……ゴムしてるんですからっ……だ、出してっ……く、ください……っ……ん゛ぅ゛──っ……!

 

 ──びゅぅっ! びゅぐぅっ! どびゅっ、どぷっ……どぷっ……びゅぅっ……

 

 私が腰を深々と押し込むように下ろすと、子宮や胃、臓器を下から突き上げられ圧迫されて、下品にも思える声を上げて身体を丸めて身を強張らせ、先生の射精を受け入れました。

 生殖器を引き抜く隙間もないほど圧縮している膣の中ではっきりと陰茎の脈動が伝わってきました。

 どくん、どくんと、尿道の中を広げて通り抜けているような、どろっとしている濃厚な精液が一回、二回と重い脈動を繰り返して、精液溜まりに向かって注ぎ込まれてました。

 長い射精。

「はぁ゛ー……ぁ……はぁ゛、はぁ……う゛っ、ぁっ……」

 先生が大きく息を吐かれる度に、陰茎がどくっと跳ねていました。

 日頃溜まりに溜まって、色濃く黄ばむほど溜まった精液が私のお腹で溜まっていました。

 今、この危険性を孕んだ水風船が割れてしまえば、活発に動き回る精子を私の子宮に向けて泳がせることになると思うだけで、背筋がぞくぞくと震え上がりました。

 興奮のあまり、精液溜まりの中で溜まった粘液が、たぷったぷっと揺れる錯覚さえありました。

「あ、あぁ……ふふっ……いっぱい出ましたね……お腹の中、少し温かいです……あっ……♡ ここ、でしょうか……」

 私は亀頭が押し込まれて圧迫されている感触がある場所を、お腹の上から手を添えてさするように撫でていました。

 ちょっと、手を押し込むと、まだ私の中で勃起している陰茎の感触が分かるほど硬さを保っていました。

 ぐりゅっ、ぐりゅっとお腹の上からでも膣襞が微かに擦れる心地に、先生の陰茎を持って行こうするかのように、ぎゅぅっと膣が締まりました。

「う゛っ……はぁー……はぁー……っ……」

 先生は腕を目元に当ててぐったりとされていて、胸の起伏が見て取れるほど呼吸を乱してました。

 そして、腕をゆっくりと上げられると、ボーっとした瞳が私を見つめていました。

 ──あ……

 何か意を決したように、でも少し疲れ気味な目。

 私は先生の身体に倒れ掛かって、震わせている口に顔を近づけました。

「どうしたんですか?」

「イロハ……私は……」

「はい……」

「イロハのことが……ん──」

 私は人差し指を立てて、先生の唇に押し当てて言葉を遮りました。

 

 ダメですよ、先生。私は生徒(・・)ですよ?

 

 私がゆっくりと腰を引いていくと、膣口からにゅるっと勃起した陰茎が引き抜かれました。ピンク色の性玩具みたいな見た目は私の愛液で表面がぬらぬらと艶めいていて、その先端には水風船のような房が付いていて、たぷたぷっと揺れるほど精液が溜まっていました。

 ピンク色の薄い皮膜越しでもはっきりと分かる色の濁った粘液。

 

 もう少し、この関係を楽しみませんか……先生(・・)?

 

「──っ……」

 ごくっ……と先生が生唾を飲む音がはっきりと聞こえました。

 指を離して、先生の両頬に手を添えて、触れ合う程度の軽いキスをしてもう一度先生の目をジッと見つめました。

 

 口にしないからこそ美しいこともあるんですよ?

 背徳感でさえ、サボりの快感にしちゃいませんか?

 ほら、おちんちんも……まだこんなに……

 

 私は先生の頬から手を下のほうへ伸ばして、ぐにゅっと握りました。

 相変わらず手に収まりきらないほど長くて太い管の生殖器。

 さっき射精したばかりなのもあって、膣より強い刺激には敏感な様子でした。私が少し握ってみただけでも、まるで神経質な臆病者のようにびくっと跳ねていました。

「うぅっ……ぁ……くぅ、はぁっ、はぁ……イロハ……」

 

 はいはい、まだシたりないんですよね……触ってたら分かります……睾丸もまだこんなに膨らんで、精液溜めすぎじゃないですか……?

 ゴムで覆われた表面を指先で滑らせながら手をゆっくりと下ろしていき、先生の種子がまだたくさん詰まっていそうな袋に触りました。

 少し温かくて、ぐにぐにと揉んでいると先生の呼吸がまた荒くなってました。

 踵やピンと伸ばされたつま先がカタカタと、畳の上で震えていました。

「はぁ……ぁ゛……はぁー、はぁー……」

 

 ──ぐにっ……ぐに、ぐにゅ……

 

 そういえば、男性はここを強く刺激されることに恐怖感を覚えるのだとか。

 勃起している陰茎の下にだらしなくぶらんと垂れ下がっている袋は、優しく触ると中に何か入っているかのような感触がありました。

 凄く息が荒くて、私が握り方を変えようと指が触れ直すたびに、身体を震わせていました。

 何かを訴えかけようとするように微かに顎を震わせたり、腰の下に敷かれた座布団を握っている様子に私はふとした嗜虐心に従うまま、ぐにゅっと袋の中にある物の感触をはっきりと確かめるように握りました。

「ぐ──あ゛ぁ……っ!」

 先生はお尻を一瞬だけ宙に浮かせるように、下半身がびくんと跳ね上がりました。

 玉と言われるだけあって、確かに少し丸みを帯びたようなものが二つありました。少し軟骨にも近いような感触。

「あ゛、ぁ゛……い、イロハ……そ、それ、ダメ……っ……」

 

 ダメですか? そういう割には気持ち良さそうな反応されてませんか……ほらっ……

 

 ──ぐにゅぅぅっ……

 

「あ、ぁ゛ぁ……ま゛っ、ぁ゛……! ま、待っ……てっ……!」

 先生は首を左右に振って、睾丸に加えられる刺激に抗ってる様子でした。

 止めるように必死に懇願されている先生の情けない姿を見て、私の背筋がゾクゾクとするほど震えが走りました。

 私も先生がそんな情けない姿を見せながら感じている姿に興奮していました。

 先生の生殖器を抜かれて、口元寂しさでも表すようにとろっと愛液を零していて、それが私の太ももに伝っていました。

 流石にかわいそうだったので、揉んでいた手を離して、陰茎を圧迫し続けているゴムを抜き取ってあげました。

 

 ──にゅるるっ……ぱつんっ……

 

 付けたままだったゴムが緩むどころか、表面がパツパツに張るほど、先生の陰茎は逞しく勃起されていました。睾丸をぐにぐにと刺激されて情けなく喘ぐ姿に対して、繁殖行為には強気な様子で見せ付けるように反り返らせていて、到底同じ人物の物とは思えませんでした。

 

 そろそろ私も限界ですので、今度は先生から襲っていいですよ? 据え膳ですよ、ほら……

 

 私は先生の胸に倒れていた身体を起こすと、脚を自分の肩幅より大きめに広げて膝立ちになりました。身体を少し反らすと、先生に膣口を見せ付けるようなはしたない姿勢になってしまっていました。

 先生の生殖器の上で脚を広げて膝立ち。

 口元寂しくてヒクヒクとさせている膣口からは、愛液を涎のようにポタポタと溢していて、それが微かにドクッと脈を打っている敏感な陰茎に滴っていました。

 

 次は生でシていいですよ……年頃の女の子にこんなポーズまでさせて断るんですか……? きっと、気持ちいいですよ……一度イってしまって敏感な粘膜同士を直接引っ付け合うなんて……見えますか……はぁ、んぅっ……♡

 

 私は両手を膣口を広げると、膣内に溜まっていた愛液がよりどろっと溢れ出して、私の温もりで温まった粘液を先生の陰茎にかけていました。

 かけられている愛液を撒き散らすように、陰茎が大きくドクッと跳ねて興奮していました。

「はぁ……はぁ……イロハ……イロハっ……!」

「ん──っ……んぅ……」

 

 ふふっ、ようやく来てくれましたね……

 

 勢いよく起き上がった先生にキスをされた直後、そのまま畳の上に押し倒されてしまいました。

 ぼふっと、萩色の厚みのある髪が乱れるように広がり、先生が好きな匂いがふわりと舞うように広がるのでした

 唇を重ねる合間、先生は呼吸とは明らかに違った意図で荒く鼻呼吸をされていて、私はこれから先生の生殖器でめちゃくちゃにされてしまうにも関わらず、思わず口端を吊り上げるように笑ってしまいました。

 畳に私の背中が付くと、先生は私の両膝を掴んで、大きく開脚させるように広げてきました。

 開脚している私の間に身体を入れてきて、陰茎を近づけてくるのでした。くぱぁっとあらわになってしまっている膣口に、ぽたっと粘液が滴ってきていて、まるでさっきの愛液のお返しでもされているかのように、我慢汁を溢されているのだと伝わってきました。

 今日は安全日ですが、こうして我慢汁が膣口にかかるだけでも十分妊娠のリスクを上げているんですから、もう引き返せないですよ、先生。

 私が口を緩ませると先生の舌が捻じ込まれました。

 もう脚が閉じれないくらい先生が身体を入れられていたので、先生は膝から手を離されて、陰茎の竿部分を掴まれていました。

 ええ、確実に中に入れるために反り返っている陰茎を押さえていました。

 そして、そのまま腰を落として、膣口に飴玉のように丸みを帯びた亀頭を咥えさせられ、しっとりと濡れあった生殖器同士が触れあって恥ずかしい音を立てていました。

 

 ──ぬちゅっ……

 

「ん、ぅ……ぁ……♡」

 先生に舌を絡まされながら、私は触れ合う唇の間から甘い声が漏れました。

 雄の生殖器と生で触れ合って身体からの悦びを表すような甘い甘い雌声。

 粘膜同士が吸い付き合うように触れ合って、そのまま粘膜の微かな皺さえ埋めあうように引っ付くと、先生は腰を前後に揺さぶっていました。

 甘噛みするように陰茎の先を咥えた膣口の中に、ずぽ、ずぽっと亀頭だけを出し入れしていました。

 もう何度もシているというのに、まるで膣の中を解すようなそぶり。

 引き抜かれる度に擦られて、擦られて、膣の入り口だけが少しずつ敏感にされていくような焦らされ方みたいでした。

 先生の手が、私の手を指を絡めるように握ってきたので私は握り返しました。

「ぷは……イロハ……」

「はぁ……っ……なんですか……ふ──ぁっ……♡ ちょ、ちょっと……んっ……♡」

 キスは止めても、亀頭の出し入れは止めてくれませんでした。

 粘液のかけ合いだけではなく、こうして生殖器を焦らしていじるのだって仕返されてました。

 それに、時々入れる速さを変えて、何度も、何度も出し入れを繰り返されてました。

 

 ──ずぽっ……ずぽ、ずぽっ……ずず、ずぽっ……

 

「ふぁっ……♡ ひ、ぁ……んっ……♡ まだ……ぁ゛……♡ 挿れないんですか……ひぃ゛……♡ はぁ……はぁ……あ゛っ、ぁ……♡ 先生だって、少し余裕無さそうじゃないですか……早く……っ……く……くださいっ……ん゛ぅ──っ……!」

 先生は一気に下半身に体重をかけるように、ずぷぷぅっと膣口にぐっしょりと溜まった愛液と我慢汁を一緒に奥まで押し込むように、亀頭も竿部分も私の中に入り込んでくるのでした。

 入り口で溜まりに溜まった痺れのような快感が身体の奥まで押し込まれて、子宮まで届いてるような心地でした。

 ぴったり閉じてしまっていた膣襞を無理やり押し広げるように入ってきた感触に、私の身体が腰から浮き上がるようにびくんっと跳ね上がりました。

 一度の挿入で子宮口と鈴口がキスをする感触にイってしまいました。

 目の前が一瞬だけ真っ白になって、首筋や額、全身がじわっと噴き出した汗でぐっしょりと濡れていました。

 握り合っていた先生の手を強く、爪を食い込ませるように握っていました。

「せ、せんせい……」

「動くよ……」

「……はいっ♡」

 腰を密着させているのもあって、先生の声がより近くで聞こえる、それだけで脳が気持ちいいものだと感じているみたいで、私は頬を緩ませて、先生に返事をしていました。

「う゛っ……♡ はぅ゛っ……あ゛っ、ぉ゛……はぁ、はぁ……ん゛ぅ……♡」

 先生が腰を打ち付ける度に、お腹の奥がごちゅっと叩きつけられるように圧迫されました。

 腰を落とされる度に子宮や、内臓を圧迫するほど体重をかけられて私は、お腹の中から捻り出すようなはしたない声で喘ぐしかありませんでした。

 お腹の裏側をごりゅっ、ごりゅと擦られる心地。

 男性器でなければ感じられないカリ首で、お腹の裏側の膣襞を掻き回される感触に私は、身体が宙に浮いていると錯覚するほど、乱れるのでした。

 次第にカクカクと小刻みに先生のお尻が震えていて、もう出そうだと気づくと、私ははしたなく喘ぎながらも、余裕を装うようににへらと笑って先生に言うのでした。

 

 もう……イってしまうんですか……っ……ひぃ゛♡ はぁ、ぁ……んっ、ぁ゛っ……い、いいですよっ……そ、そのまま……ふぁ゛、あっ……あぁっ……♡ おくに……びゅぅぅって、してくださいっ……♡

 

「ごめん……イロハ……はぁ……はぁ……出るっ……中に……ぃ゛……気持ちよすぎて……あ、あぁっ……!」

 

 ──びゅぅぅぅぅっ……! どびゅぅぅ……びゅうっ……!

 

 先生の両手が私の背中に回して抱き寄せてました。

 腰をぐいっと密着させて、子宮口を今にもこじ開けそうなほど亀頭を食い込まされて、子宮に注ぎ込むように精液をドクドクと流し込まれました。

 ドロッとした濃い精液が、先生の尿道を駆け抜けて注ぎ込まれていく心地。

 傍から見れば、先生の背中に隠れて私の姿なんて見えなくなってしまうほどの体格差。

 私は先生の身体に包み込まれながら、種付けをされてました。

 

 ────

 

 射精を終えた後、先生が息を切らしながら結合部から陰茎を引き抜くように腰を上げられると、挿入前とは明らかに別物に見えるほど、腑抜けた海綿体が白濁とした粘液まみれになって出てくるのでした。

 そして、私の隣で横たわるように倒れてしまいました。

「はぁ……はぁ……おや、先生……もう、お疲れですか……?」

「さ……流石にこれ以上は……」

 お互い汗だくになっていました。

 寝そべっている畳から感じるい草の香りも、日差しの温もりより私たちの体温で温まった物になっていました。

 水分補給をした方が良さそうですね。

 私はちゃぶ台の方に視線を移すと、二つ並んだグラスの中身が変わっていることに気づきました。

 水が少しだけ入った物と、黄色や琥珀色に見えるほど薄まった飲み物が入った物。

 グラスの表面には、私たちが汗だくになっているように、結露して付いた水滴が表面にポツポツと付いていました。

 

 差し込む日差しが気づいたらなくなっていて、窓の外を見上げると陽の角度も変わっていて、空も少しだけ氷が溶けた麦茶のように黄色くなっていました。

 もう夕方でした。

 窓から視線を戻すと、疲れきってはいるものの、どこか胸の内の憑き物が取れたようにスッキリとされた先生が、呆れたような表情でこちらを見つめていました。

 私たちは着替え終えると、氷も入れずぬるくなった麦茶をグラスに入れて喉を潤しました。

 ぬるい麦茶は、先生とあれほど唇を触れ合わせて私の口内に残った温もりを洗い流すことなく、喉を静かに通り抜けていきました。

 先生はグラスをコトッと優しくちゃぶ台に置くと、こちらに背を向けて革靴を穿いて、休憩スペースを出ようとしていました。

 私は先生を呼びとめました。

「先生、また来てくれますか?」

「うん……また来るね」

「良かったです。では、お気をつけてお帰りください」

 

 ──パタン……

 

 先生がドアを閉められた途端、急に休憩スペースが広くなったように感じました。

 電気もつけずに過ごしていたのもあって、すっかり暗くなった部屋。

 窓の外の空が水彩のように淡く塗られた黄色から、じわじわと染まるような日没を感じさせる紫色に変わりつつありました。

 私たちが交わっていた痕跡なんてここには残っていなかったので、これでイブキがいつ来ても大丈夫です。

 ……あ、痕跡は私にしっかりと残されていましたね。

 

 お腹の中に出された物の存在。

 

 まるで次の排卵日まで持ちこたえようとしてるみたいに、べったりと濃く吐き出された粘り気のある精液。ですが一週間もしない内に、綺麗に溶けてなくなってると思います。

 それに先生はきっと、この背徳感あるいけないサボり方を求めてここにやってくるはずです。

 その快感が、この関係を繋ぎ止める手段のようだと私は思ってました。

 お互い年は違っても、上からも下からも板挟みの中間管理職の似たもの同士。

 人目を盗んでこっそりと行う、人に言えないような欲求不満の発散の仕方がどれだけ気持ちいいか、私たちだけが知ってしまっているんですから。

 

 あの時、告白しようとしてた先生の少しボーっとされた様子、本当にあの瞬間は後先のことなんて考えてなかったのかもしれません。

 私はブラウス越しにお腹を撫でながら、ため息を吐いた後、呆れたように微笑して、小声で一人ごちました。あの時、行為を終えた後の呆れたような顔をして笑っていた先生と同じように、呆れたような微笑を。

 

『イロハのことが──』

 

 ──はいはい……私も好きですよ、先生。

 

 私たちの関係に、名前はまだありません。


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