デカターキンが拾っていた妙な物のせいで、おっぱいデカターキンになってしまい!?
「ったく、数も数えられねぇだろうしもうこの位でいいんじゃねぇのか?」
「い、いや~、それはダメなんじゃないかなぁ?」
ここは、エレス大道。
ケヴェス・アグヌス軍がにらみ合いをしながらも、数多の野生モンスターが生息している地帯である。
「大体よ、五個ずつ、だぜ? 流石に見たらすぐに分かんだろ」
「ランツの言うとおりだと思う。あちらの条件を呑んだ以上、しっかりしないとまずいんじゃないかな」
「わーってる、わーってるって! そんなムキになんじゃねぇよ……!」
複数人の団体さんが、地面を見ながら何かを探し続けているようだ。
「それに、後はデンキノコだけでしょう? この辺にある……よね、タイオン?」
「ああ、間違いない。地形局の情報と照らし合わせても、生息範囲はこのエリアだからな」
「お前ら……ほんっと、お人好しって言うか暇だよな」
「こっちのセリフだぜ、そりゃ」
六人のウロボロスと、シティー長老の娘・ゴンドウ。
オリジンに乗り込んでの決戦も近いというのに、やっているのはキノコ探し。
一体、どうしてこうなったのかというと……
「はぁ!? モンスター一体にやられたぁ!?」
「は、はい……それが、ものすごく巨大だったという話で……」
アグヌスキャッスルでの会話が発端であった。
ゴンドウがいつものように全員から情報を収集していると、そんな珍妙な事を聞いたのだ。
「でけぇって言っても、限度はあるだろ。そんな……エルティア海が埋まるとかじゃねぇんだろ?」
「こちらも現地に行ったわけじゃないので、あくまで報告だけでして……」
「仕方ねぇな……丁度手も空いてるし、見てきてやるよ」
仲間が何か巻き込まれたと聞いて、放っておくウロボロスではない。
別にいいと言うゴンドウを半ば言いくるめ、共にエレス大道へ。
何者かに襲われてボロボロになっているケヴェス兵達を助け、情報を聞き。
「ターキンだぁ?」
「ターキンって……あのターキン、だよね?」
「巨大なターキン……?」
「僕の情報にもそんなターキンの話はないが。そもそも、この周辺は生息域ではないはずだぞ」
フタを開けてみれば、何のことはない。
どこにでもいる……と言っても良いほどの、ただのモンスターの話に収束したのであった。
馬鹿らしい、と帰ろうとしたゴンドウ。
が、振り返った彼女の後ろにいたのである。
人間より背が高い、デカターキンが。
「いたぞぉおおおおおおお!!!」
ゴンドウが叫び、デカターキンが逃げる。
追わない理由はない。
ゴンドウが走り、ウロボロスがその後に続き。
ひとしきり走り回った後、やっとの事でデカターキンに追いついた、のだが……
「引っ越しだぁ?」
「アア そうダ。ここハ そんな安全じゃナイからナ……子供のためにモ、どこか違ウ場所に行きたいんダ」
事情を聞くと、与太でもなんでもなく大変な事情が見え隠れ。
なんとこのデカターキン、二人の子供がいる中で守りながら生活をしているというのだ。
こうなるとゴンドウもぶっ飛ばすとは言えなくなってしまう。
結局、話の流れで引っ越しするための食料を探してやる事になったのだが……
「あれ、そこにあるの……ウロボロス・ストーンじゃねーか?」
たまたま、ランツが目を細めながら何かを見つけたのである。
指差す方向にあるのは……確かに、彼らがウロボロスになった理由である一つの装置。
「てめぇ! あれ、どこから奪って来やがった!?」
人類にとって大切な物を、デカターキンが持っているとあれば話は変わってくる。
たちまち口調が激しくなり、ブレイドを展開するゴンドウ。
「ま、待ってクレ! あれがそんな大事トハ知らなかったんダ! 落ちてたのヲ持ってきただけダ!」
「妙だな。このウロボロス・ストーン、形状が違うぞ?」
もめている間にも、タイオンは冷静に近付いて分析をしている。
「そうね。私達が知っている物に近いみたいだけど――壊れているのかな、もしかすると」
ミオもしゃがんで見てみるも、上の部分が開放されている以外の事はよく分からない。
「てめぇ、なんか餌でも入ってると思ってぶち壊しやがったな!?」
「知らン、知らン! 最初っからこうなってたんダ!!!」
ゴンドウの思い込みでデカターキンはジリジリと追い込まれ、窮地に立たされる。
「いや、これは廃棄された失敗作だも。ここにある理由まではリクには分からないけど、これ自体にウロボロス・ストーンとして完全に機能する構造はないも」
「へー、リクってやっぱすげーよな。どんな機械でも一瞬で分かっちゃうんだからな」
ユーニの感心した声に、一瞬だけリクがビクッとなったのだが……幸い、横にいるマナナすら気づかなかったようだ。
「あぁ? でもウロボロス・ストーンに関係はあんだろ? じゃあ回収してシティーに置いとくべきだろ」
「ご、誤解だったなら謝ってくれないカ、ニンゲン?」
「うるせぇ! まだはっきりしてねぇだろ! 逃げるんじゃねぇぞ!」
「ご、ゴンドウ、そんな強く言わなくても……」
「ええっと」
ゴンドウが『瞳』を起動させ、モニカに通信をする。
『どうした? お前から通信してくるとは珍しいな』
「まぁな。それより、エレス大道にウロボロス・ストーンっぽいのを見つけたんだけどよ」
『何? それは本当か? 特徴を教えてくれないか?』
「ったく、把握してなかったのかよ。待てよな、すぐ送る」
親子だというのに、どこか素っ気ない会話が続く。
『ああ、これか。去年私が見つけたんだが、調べた結果不良品と判明してな。シティーに運ぶのも手間がかかると言う判断で、そのままにしておいたんだ』
「はぁっ!? そんなの、良いのかよ!?」
『私が触れた時に反応があった気がしたんだが――その後は全く、でな。同行していた技術班に解析させたんだが、残念ながら気のせいだったようだ』
「てめぇがそんな勘違いするの、疲れてんじゃねぇのか? しっかりしろよな!」
『そうしたいんだがな。しかし今の我々には……』
「うるせぇうるせぇ! じゃあこのストーンもどきは放っときゃいいんだな!?」
いつものお説教が始まりそうになるのを、強制的に遮って結論を促す。
『まあ、そういう事になる。運搬コストもバカにならない重さだからな、報告感謝する』 終始眉間にしわを寄せた顔で通信を終わらせ、ゴンドウがため息をつく。
「あー、悪ぃな。おめぇは無罪だったわ」
「そ、そうカ。分かってくれたならいいガ……」
デカターキンは何か気になるのか、ゴンドウをじいっと見ている。
「ん、なんだよ。顔になんかついてるか?」
「あ、いや……そういうわけじゃないんだガ」
「言いたい事があんなら言やぁ良いだろ、はっきりしないやつだなぁ」
「ニンゲンは手厳しいナ。とりあえず、コッチは引っ越ス用意をするから、頼んだゾ」
と、言った具合でターキン達の食料を探す事に――と言うわけなのであった。
「よし、これで全部だな」
「やーっとか。早くあいつらに渡しに行こうぜ」
こういう時、後一個になってからが面倒な物である。
七人で手分けしていたとは言え、なかなかに時間がかかった一行。
もしかすると、ターキン一家はもう引っ越しの支度を終えて待っているかも知れない。
待ちきれずに勝手に移動しているのなら、それはそれでいいのだが……
数を確認しつつ、違う物が紛れていないかも検品しつつ。
その時、大きな音が響く。
方向は……ターキン達のいる方向。
「なっ――!?」
「野郎――何かしやがったのか!」
咄嗟に駆け出すゴンドウに、ウロボロス達も追従する。
目的の場所に近付いていくと……真っ先に見えたのが、ケヴェス軍のレウニスだ。
その周囲に、数人のケヴェス兵もブレイドを構えて陣取っている。
彼らが狙っているのはターキン達、いや正確にはデカターキン。
「てめぇら! 何やってやがる!」
激高した大声を上げ、両者の間にゴンドウが割って入る。
「うるさい! 我々がモンスター一体にやられたとあっては面目が立たんのだ!」
デカターキンにとっては暮らしを守るための行いではあったのだ。
しかし、誇り高き兵士達にとってはプライドを逆なでされたような物。
こうして、狩るためだけに小隊編成が来ている事からも、事がややこしくなっているのがうかがえる。
「ニ、ニンゲン!」
ウロボロス・ストーンもどきを抱えて立っているデカターキンが叫ぶ。
「馬鹿かてめぇ、そんなもん置いてどっか逃げねぇか!」
「違ウ、逃げても追って来るつもりダ! これなら固いカラ、盾にはなると思ってナ!」
「くっそぉ、親ってやつはどいつもこいつも……」
ウロボロス達も参戦し、激しい乱闘が始まる。
ケヴェス軍もなかなかのやり手のようなのだが、いかんせん相手が悪い。
インタリンクも駆使するノア達の前に、一人ずつ気絶させられていくのであった。
「これで終わりだ!」
ユーニの一撃が、最後のケヴェス兵をぶち抜く。
彼はよろけ、倒れながらも――銃の引き金を引き、数発の弾丸を放った。
「なっ――」
全員が反応するより早く、勢いの乗った弾がデカターキンに向かって飛んでいく。
「おい、逃げ――」
ゴンドウが叫ぶ暇も無く、硬い音が響く。
その次の瞬間、妙な音と共に激しい閃光が生じ……
「なんだ、ターキンが!?」
「なになに、閃光弾だったの!?」
「いや、わざわざ銃で撃つ閃光弾なんて物があるはずは――!」
光が消え、静寂が戻る。
「ん、あれ……おれ、生きてるのカ?」
「え、え?」
「お、おい、ノア、あれ、なんだよ?」
「すまない、全く分からない……タ、タイオン」
「い、いくらなんでも僕にだって分からない事はある!」
「も、ももも……」
きょとんとしているデカターキンを、全員が目を丸くして見つめている。
「な、なんだよお前、その格好はよ!?」
そんな中、真っ先に突っかかっていったのはゴンドウであった。
「カッコウ……? ん、おれ、なんだコレ!?」
指摘されたデカターキンも、自分の手を見て大声を上げる。
その目には、いつの間にやら黒目が入っており……
「ね、ねぇ、ミオちゃん、あれって――」
「う、うん――モニカさんの、だよね?」
そう、それはどこからどう見てもゴンドウの母親でもあるモニカの服装であった。
胸を囲うように走るバンド、足を保護するプロテクターにツール入れ。
それらが全て、ターキンの体型に合うようなサイズで装備されているのだ。
「モニカ? ん、お……?」
名前を聞いたデカターキンが首を傾げ、頭に手をやる。
その頭部には、しっかりとモニカのような髪が生えており……風に揺れているのであった。
「こいつには関係ねぇだろ、クソ女の名前なんてよ!」
目の前に母親のコスプレをしているようなターキンが現れたせいか、ゴンドウは声がうわずっている。
「いや、なんだカ……おれ、モニカなんて知らないのにおれ、って言うか……私が呼ばれている感じがしてな」
「うわ、急にモニカさんみたいな話し方になってる」
「モニカじゃねぇのに、どういう事なんだよ? お前、ターキンだろ?」
ウロボロス達も初めての出来事に、当惑しっぱなしだ。
「アア、おれ、ターキンで子供が二人いテ――なんだが、あれぇ、ニンゲン、お前ノ事、おれ……私? の子供って感じ、するゾ?」
「何言ってやがんだ、なんでターキンなんかに子供扱いされねぇとならねぇんだよ!?」
「落ち着け、ゴンドウ。とりあえず、何が起こったのか調べよう」
「落ち着けって言われても、なぁ」
「それにしても、おれ、胸がでっかい……おっぱい、って言うのカ? なんだか、落ち着かないゾ」
デカターキンはただモニカの格好をしているだけでなく、オスのはずなのに巨乳を揺らしていた。
モニカ同様、バンドで押さえ込まれてはいるものの……図体のでかいターキンに負けじと大きな乳房は、服の中で窮屈そうにしている。
どうなっているのか気になるのか、そうっと手を伸ばすデカターキン。
「あっ、おい! 止めろって――!?」
ゴンドウが反射的にナックル型のブレイドを呼び出し、殴りかかる。
母親のような存在が自分の胸を触り出す……というのは、見てられないのかも知れない。
が。
「お、オオ、なんか……出た、ゾ?」
「おい、ありゃあ……」
いつの間にか現れた大きな盾が、悠々とゴンドウの一撃を受け止めていた。
ぽかんと口を開けたまま、ゴンドウが後ろに下がる。
「なんダ、これ? 初めて見るのに――いつも使ってる、気がする……ゾ?」
右手には、凹凸が沢山ある大きな剣状のメイス。
大きな嘴を開閉しながらデカターキンはそれを見ていたのだが――すぐさま、使い慣れた様子で振り回し始める。
「な、なんだよ、やろうって言うのかよ!?」
一度は怯んだゴンドウだったが、再び前進。少しずつ、母親の見た目のターキンへと近付いていき。
「い、いや、待て、咄嗟に出ただけでそういうつもりは無かっタ!」
ふっとブレイドが消え、デカターキンが両手を振ってみせる。
「あぁ? 大体気にいらねぇんだよ、その姿と言い、時々変な喋り方になるのと言い!」
「へ、変な……まあ、意識してしまうト、知らない喋り方ニなるのは事実だガ」
若干声のトーンが変わり、動きも心なしか違う物になり。
「だーっ、それだよそれ! なんでお前がクソ女みたいな――」
「分かったも! あのウロボロス・ストーンもどきのせいも!」
ゴンドウがキレようとしたのを遮るように、リクが大声を出した。
「リク、どういう事だ? さっきは機能しないって」
「その通りだも。こいつは『ウロボロス・ストーン』としては動かないも」
「あぁん? じゃあ、ただのガラクタなんじゃねーのか?」
「たまたま回路が見つかったから調べているけど――全く違う挙動をしたみたいだも。リクも驚いているところも」
「えー、全然そうは見えないんだけど」
「リクはこう見えても繊細も。ノポン以外にはそれが分からないだけも!」
「えっ、マナナにも分かりませんでしたも……」
不意打ちの茶々が入り、リクがずるりとずっこけてしまう。
「リクの件はさておき、何が起こったのか説明してくれないか?」
「分かったも。詳しい理屈は分からないけど……この装置は一種のデータ保存装置になっていたみたいだも」
「データ保存……?」
「あれか? 情報が云々って事か?」
「そういう事も。今回、偶然にも保存されていたのは『モニカ』の情報だったんだも」
「お、おい、待てよ!? 去年に見つけたっきりって言ってたじゃねぇか? じゃあ、今いるクソ女は――」
ゴンドウが焦った表情で、リクに詰め寄る。
「勘違いするなも。情報を保存した、だけで本人がどうこうされたわけじゃないも。触った時に、その時点のモニカが丸々保存されたんだも」
「えぇっとぉ……つまり、モニカさんのあれこれを、丸写ししたって事、かな?」
「その通りも。問題はここからも。この装置は保存した後、別に何もしない欠陥品だったんだも。勝手にモニカのコピーがどんどん出る危険もあったわけだけど――そう言う機能は確認できなかったも」
「うわ、最悪だなそれ。――で、それがどうなったらこうなるんだ?」
「ここからはリクの推察も。さっきの戦闘の時、攻撃がこの装置に当たったんだも。それで壊れてしまって、中のデータが飛び出した弾みにデカターキンに入っちゃったんだも」
「そ、それって、インタリンクのような物か?」
「全然違うも。保存されていたモニカのデータにはモニカの意思までは無かったも。おまけに、インタリンクと違って完全に肉体同士が重なっている状態も」
「つまり――去年のクソ女と、このターキン野郎がくっついちまったってわけか?」
「そういう事も。装置の事故で起きたから、リクにも戻す方法はわからないも」
「なーるほどナ……道理で、さっきから『シティー』とか『六氏族』だとカ、聞いた事もナイ事を『知ってる』わけダ」
「じゃ、じゃあ――どうするんだよ!? このクソ女ターキン、ずっとこのままかよ!?」
「ゴンドウ、『クソ女ターキン』はやめロ。おれの子供が真似したら良くないだロウ」
パニックになっているゴンドウを、モニカのように語りかけるデカターキン。
「リク、あれも事故の影響か?」
「そうも。一年前時点のモニカの全部が入っているから、記憶だって癖だって全部あのデカターキンに入っているんだも」
「その割にぃ……制御、できてないよね?」
「お前らだって初めてのインタリンクの時に相手の記憶で混乱したも? それと同じだも」
「あー、あれな。そう言われたらすっきりしたぜ」
「あれがずっと続いている状態だも。気をつけないと、あいつは自分をモニカだと勘違いするかも知れないも」
「て、てめぇはターキンだろぉ!? 勝手に自分の子供みたいな扱いするんじゃねぇよ、クソ女ターキン!」
「じゃあ、言わせてもらうゾ。おれもゴンドウ――ニンゲンの母親じゃないんダ。その言い方、酷い言い方だと思わないカ?」
「わ、結構的確」
「モニカの記憶がある分、ゴンドウにどう言ったら良いかもすぐに分かるんだろうな」
デカターキンのもっともな指摘に頭を抱えるゴンドウを、ウロボロス達は見ているしかできない。
「じゃあ、クソ女ターキンがダメならどう言やぁ満足すんだよ!?」
「アー――そうだナ。アンマリ名前、なんて考えた事なかったガ……じゃあ、『モニカ』と『ターキン』で『モニターキン』でいいゾ。今日からおれ、モニターキンダ!」
「センスがねぇぇえええええ……!」
とうとうしゃがみ込んでしまうゴンドウ。
「センスの無さもモニカ譲りってわけか?」
「ランツ、聞こえるから余り大きな声で言わない方が」
「しかし、おれにとってハ悪くないゾ。私――おれ、子供を守る力ついたカラな。これでおれ、しっかりと親をしてやれるワケだ!」
「なぁ、タイオン。とは言え、モニカの姿をしたターキンをこのままにしておくのは――」
「奇遇だな、僕も同じ事を考えていた。ゴンドウ、キャッスルに連れて行く事はできないか?」
「はぁ!? こいつを!?」
ギロリ、と殺意にも似た睨みを向けられてタイオンが怯む。
「聞いてくれ、ゴンドウ。仮にこのままにしておくと――その、色んな人に目撃される恐れがある」
「そうだよ、ゴンドウ! 『モニカさんがゴミ漁っていた』とか、絶対噂立っちゃうよ!?」
「セ、セナちゃん、それはどうだろ……?」
「それによ、このターキンが強くたって完全に安全ってわけじゃねぇだろ? キャッスルならほら、監視の意味でもいいんじゃねぇの?」
「ははは、俺らがキャッスルに行った時にモニカがいるって勘違いしそうだけ――ぐふぅ!?」
姿勢を低くしたままのゴンドウパンチが、ランツの腹を的確に刺激した。
「くっそぉ、ターキンなんかに関わるんじゃ無かったかもなぁ……」
ゴンドウが諦めた顔で、デカターキン改めモニターキンに向き直る。
「と、とりあえず、おめぇが何するかわかんねぇから……ウチで預かるぞ、いいか?」
「預かル、と言ってもな。子供を捕虜にでもする気なのカ?」
いつでもブレイドを出せるようなポーズを取りつつ、モニターキンが警戒をする。
「ちげーって! キャッスルにも仕事あんだよ、親子三人……人じゃねぇけど、まあそこは置いといて。全員働いて、給料出たらそれで飯食えばいいだろ!」
「ゴンドウ、住処のあてはあるのか?」
「とりあえず――囚人をぶち込んどく所が今は空いてんだろ? そこにだな」
「おいおい、囚人扱いするのは感心しないナ?」
真面目モードになるとモニカの記憶が刺激されるのか、口調がそれに近付いてしまうようだ。
「――最後まで聞けって。改装するなり部屋増やすなり、金貯めりゃ好きにしろって言う話だよ!」
やりづらいのか、全力で押し切れないゴンドウ。
どこか、相手の様子を伺ってしまっているようだ。
「なるほど、ナ。そこは料理、できるカ?」
「料理だぁ? ターキンがか?」
「アァ、今――『カレー』と言うやつを作りたい。得意料理、という感じがするんだがやった事無くてな。子供二人に食わせてやりたいんダ」
「おいおい、カレーって……クソ、うめぇんだよなあれ……」
「モニカでカレーっていやぁ、あれだよな?」
「ああ、前の料理コンテストで出た……」
「あれはすごかったですも! 辛さとうまさの両立が素晴らしかったですも~!」
モニカのカレー、その名も『モニカレー』の話題で少し盛り上がる。
「ゴンドウ――じゃなかった、ニンゲン。よくしてくれタお礼ニ、お前モいつでもカレー、作ってやるゾ?」
「だぁれがターキンのカレーなんか食べるかぁあああああ!!!」
「落ち着けってゴンドウ。じゃあ、彼らはキャッスルに連れて行く――って事で良いか?」
「ったくよ、ままならねぇな……」
額に手を当てながら、思わずぼやくゴンドウ。
「おれはパパだガ、ある意味ママになったようなもんだけどナ」
「そう言う話をしてんじゃねぇ!!!」
突っ込み代わりの全力パンチも、モニターキンの見事なディフェンダー捌きに受け止められてしまうのだった。
「よぉ、元気してるか?」
ドタバタ騒ぎから三週間。
ゴンドウが久々に、モニターキン一家の様子を見に来たようだ。
「ア、トーチャン! ニンゲン、ニンゲン!」
「カーチャンカーチャン、ゴンドウ キタゾ!」
言うならばチビターキン・チビチビターキンの二人が、元気に騒ぎながら駆けていく。
「あ、おい」
何かを言うより早く、奥に行った二人は嬉しそうにモニターキンと一緒に姿を現した。
「オオ、ゴンドウ! 今日ハ どうしたんダ?」
「だからクソ女みたいな感じで喋ってくるの止めろって言ってんだろ!」
「ア! ゴンドウ、ワルイコ!」
「ワルイコ、ワルイコ!」
「あぁん!? 誰が悪い子だぁ!?」
ゴンドウの怖い顔に、チビとチビチビは飛び上がってモニターキンの後ろに隠れてしまう。
「コラ、お前タチ! ゴンドウはおれ達ノ為に色々してくれているんだゾ。ちゃんと謝レッ!」
「ハ、ハーイ……ゴンドウ、ゴメンナサイ」
「ゴメン、ゴンドウ……」
チビ・チビチビは親に叱られ、きちんと頭を下げる。
「ま、まぁ、別に良いけどよ、そんな本気で怒ったわけじゃないからな……」
こうなると、逆に調子が狂ってしまうのはゴンドウの方だ。
まるで年の離れた……しかも、人間では無い兄弟が急にできたかのような錯覚に陥ってしまう。
「おれのシツケがまだ足りなくてスマナイ、許してくれてありがトウ」
自分の母親と同じ髪型のターキンに礼を言われ、どこかむずがゆい感覚が襲ってくる。
「あ――あれなんだな、甘やかしてるのかと思ったんだけど――結構、しっかり教育、してるんだな」
「ン? そりゃあ、おれは親だからナ。ここで暮らせるヨウニしてもらっテイる以上、ちゃんトここの全員の役に立つヨウナターキンになってもらいたいと思ってイル」
ターキンなのにも関わらずある、モニカのような黒眼がじっとゴンドウを見つめる。
それはまるで、自分の親に見られているような居心地の悪さをゴンドウに与えてしまい――
「な、なら良かったぜ、お前らうまくやれてるなら――」
「色んなニンゲンがいるからナ、あまり好きにするのもヨクナイのは分かってるゾ?」
モニターキンが落ち着いた口調ながらも、気を遣った発言を返す。
「おいおい、ここは確かに色んなやつがいるけどなぁ、みんな良いやつばかりだろぉ?」
「……ゴンドウ」
少し間を置いて、やや低い声でモニターキンが口を開く。
「な、なんだよ」
モニカに叱られた時の事を思い出し、少し後ずさってしまい。
「ゴンドウから見て全員いいニンゲンかも知れないガ、おれらはターキンダ。中にはターキンの被害を受ケたニンゲンだっているノハ察シがつくゾ。そういうニンゲンにとっては、おれみたいなのガ歩いてイルだけでもイヤだろうからナァ……」
流石はシティーの長老のコピーが融合しているだけはある。
キャッスル内部の空気、全員の感情をなんとなくは感じ取っているのだ。
それ故に、子供達が不利にならないようにしつけをしっかりする。
折角手に入れた素晴らしい場所を失わないために信頼を勝ち取る。
ゴンドウも実際、訪れる前に全員からそれとなく評判を聞いてきていたのだが――
確かに、数人言葉を濁していたのも事実なのであった。
「すまねぇな、変に気を遣わせちまって」
「ン? 世話をかけてるのはコッチだゾ? 忙しいのに、おれらの事で仕事増えて大変だろうニ」
「く、くそぉ、なんだろな、こう言うとあれなんだけどよぉ……なんでお前とは素直にやり合えるんだろうな?」
思わずポロリと、本音がこぼれてしまう。
「あぁ……アー……」
モニターキンが軽く目をそらし、考え込む。
「いや、そんな本気で考えなくても――」
「トーチャン! オコメ、コゲソウダゾ!」
「カーチャン、ゴハンモエテル! モエテル!」
「アァ、いかんイカン! コメが炊けたゾ!」
「食事前だったのかよ……悪ぃな、帰らせてもらうぜ」
若干妙な空気にしてしまったのもあり、逃げるように帰ろうとするゴンドウ。
が……
「ゴンドウモ ゴハン!」
「イッショニ ゴハン!」
「お、おい!?」
なんとだぼついたズボンをターキン二人が引っ張り、食事に誘ってきたのである!
「ドーセ忙しくてゴンドウもまだなんダロ? 食うカ、カレー?」
「カ、カレー……」
若干緊張していたせいか、そう言われてやっと部屋に充満する香辛料の匂いに気がつく。
母親のカレーを思い出し、思わず喉が鳴り。
「い、いや、結構食っちまうと思うし……」
「ダイジョーブダイジョーブ!」
「カーチャン、イッツモタクサンツクル! ヘーキヘーキ!」
「そうそう、料理はオオメに作るト便が良いからナ」
「ソーソー! ダカラ ゴンドウも タベル!」
「ソシタラ スグナクナル! 違うモノタベラレル!」
「ア、コラ! おれのカレー、嫌いカ!?」
「ア! トーチャン怒ラセタ!」
「ワー、カーチャンゴメン! カレー大スキダケド、ベツノモ スキナンダモン!」
賑やかで楽しそうな家族風景に、僅かながら羨ましさを覚えてしまう。
目の前にいるデカターキン――いや、モニターキンが母親の見た目の特徴を持っているのも原因なのだろう。
「ほら、ホラ! 用意してやるカラ、座っトケ!」
「コッチコッチ!」
「イス、イス!」
ターキン二人に連れられて、丸いテーブルに案内されて。
「へぇ、結構センスいいじゃねぇか……」
モニカの家にある物と同じ見た目を想像していたが、全く違う家具に新鮮さを覚える。
「コノテーブル、オレのオキューリョーでカッタ!」
「イスはオイラのオキューリョーでカッタモン!」
「ちゃんと働いてんだな、えらいぞおめぇら」
気負わず、自然に相手を褒める言葉が出る。
何気なく、手でターキン達の頭をよしよし、と撫でている。
「良かったナー、ゴンドウに褒めてもらエテ!」
モニターキンがお盆にカレーを載せやってきた。
あまあまういんなが三本のった、ゴンドウにとっても見覚えのあるカレーそのもの。
「わぁ……盛り付けまでそっくりかよ」
「まぁ、気にすルナ。体が覚えているトオリにすると、コーナルんだ」
「気にはしてねぇけど、な。じゃあ、いただきます」
「イタダキマース」
「イタダキマース!」
スプーンでルーとライスを掬い、口に運び。
「ん……そんな辛くねぇな」
「そうだナ。最初記憶通りに作ったら、子供タチが悶絶してナ」
「シヌカトオモッタ」
「ミズモノメナカッタ」
「ったく、それがうめぇんだぞ? ゆっくりでいいから、辛いのも食えるようになれよな!」
「コレデモダイブカラクナッタ!」
「タマニ ラッキーラッツ ジブンデイレル!」
「まあまあ、モニカレーは辛いが……うちは言うナラ『ターキンカレー』ダ。違うのはトーゼンだ」
「……そりゃ、そうだよな。クソ女がコピーされてるけど、てめぇはこの子達の親だからな」
「そう、ソウ。オカワリもあるから、沢山食ベロ」
「おう、ありがとな。しっかし、知らない味がするんだよなぁ……何か特別なもん、入れてんのか?」
「エッ!? ア、アー……」
なぜだかモニターキンは急に困ったように、目をそらし。
「キ、キギョーヒミツだ」
「そうなのか? てっきり、愛情の差とかそういうやつなのかなって」
軽い気持ちでゴンドウが言った時であった。
「……ゴンドウ」
また、低い声が聞こえてきたのである。
「なんだよ?」
「余計なお節カイかも知れないガ――お前の母親も、しっかり愛情はあると思うゾ?」
「あぁ、そういえばそもそも記憶あるんだよなぁてめぇ……いや、分かってる、分かってるんだけどよ」
「うん、ウン、多分分かってくれている、ともおもってはいるみたいなんダガ、ナ。いかんせん、おれの『私』も一年前だと言うし、それにどこまで行ってモおれはおれで、ゴンドウの親じゃないからナ」
「なんだろうなぁ、うまく言えねぇけどよ」
「ナンダ、言ってミロ」
「クソ女の作るカレーの方が、うめぇんだよやっぱり」
「じゃあ――少なくともカレーの味付けは、ゴンドウを思ってるんじゃナイカ?」
「分かってんだよ、そりゃあ。でもなんだろな、こう……」
「おれの『私』に話したって、ゴンドウの母親には伝わんネーゾ?」
「分かってるんだってぇ……」
妙に複雑なお年頃。
分かっているものの、どうしても親と自分の違いが気になってしまい。
親が偉大に見えるほど、周囲から尊敬されているほどどこか自分は焦ってしまい。
ある種、母親のようになってしまったデカターキンに痛いところをつかれて弱音を吐いてしまう。
「あんまりエラソーな事言うとあれダケドな、言っていいか?」
「ったく、こっちが聞いてもらった手前聞くしかねぇだろ」
「カレー、作って欲シイって言われたら――すぐにでも喜んで作ってあげたい、とは思ってるみたいダゾ」
「でも、忙しいじゃねぇかよ」
「忙しくテモ、子供にねだられるノハ嬉しいんダロ。……あんまり勝手に代弁スルト、バレたら怒られそうダナ!」
「はは、想像したくもねぇな。クソ女とおめぇがやりあってんのは」
「まぁ、ゴンドウが関わってるならモニカ本人が勝つゾ。でも、おれの子が関わってるなら私――おれが勝つゾ?」
「ああ」
モニターキンが若干からかうような口調で発した一言で、ゴンドウはどこかすっきりしたようである。
一気にカレーをかき込み、皿を置き。
「よっし、色々とごちそうさん」
「お粗末サマー」
「アレ、オカワリ イイノ?」
「いや、いいや。コレはお前らの分だからな」
「ソーナノ?」
ゴンドウはそっと二人のターキンの頭を撫でた後、どこか振り切れた顔でターキンの部屋を後にするのであった。
「トーチャン、オカワリ!」
「オカワリオカワリ!」
「よしよし、しっかり食ベテしっかり働こウナ!」
夜、お腹いっぱい食べ、力一杯働いたターキン達が寝静まった頃。
「んっ……んっ♡」
部屋で一人、モニターキンが自らの体をもてあそんでいた。
「あーっ、ダメだぁ、ゴンドウ見たら、おれ、生んでないのに、『私』が生んだ時のコト、思い出しチャッテ、心、体、キュンキュン、しちゃう、ンダモンナァ……♡」
入ってきた記憶のせいで、倒錯した興奮を覚える肉体。
モニターキンはそれに逆らわず、むしろ経産婦としてのうずきに身を委ねていた。
大きな胸を揉み、人間の肉体との融合の影響で生じた男根を扱き。
「あーっ、いいっ、いいゾォ、おれの、おれの子じゃないけどぉ、ゴンドウの事、考えちゃうと、大事にしたぁい、好きだって、心がゾクゾクして、止まらない、ゾォ♡♡♡」
大きく開いた嘴からは、暴走した感情に温められたかのような吐息がどんどん溢れてくる。
「んっ、んっ、おれの、『私』、ドキドキしちゃうから、おれも、おれも、『私』と一緒に、気持ちよく、ドキドキしたい、んっ、うぅうううんっ♡♡♡」
そこそこしっかりと改築した部屋とは言え、大声で叫んでしまうと声が漏れてしまう。
一瞬、シティーの長老としてオナニーがバレてはいけない……という勘違いした思考が脳をよぎる。
「んっ、おれ、うふ、体が、おれなのに、まだ『私』だって思ってて、ビクビク、して、あっ、ダめっ、バレるぞっ、見られるゾォ、あっ♡♡♡」
わざと自分の心に意地悪するかのように口にするなり、全身が硬直するかのように震える。
乳首が硬くなり、つまんでいる指を押し返そうとしてくる。
それを愛でるように、回すように指で擦り……
「――っ!」
声にならない声を上げ、モニターキンが身体を反らせる。
大きな胸が揺れ、その振動がまた彼の心を悦ばせ。
女性的な快楽に酔えば酔うほど、モンスターのオスとしての欲情が股間を滾らせる。
「んっ、んっ、おれ、おれ、ただのターキンなのに、シティーの長老と一緒ニ、オナニー、オナニー、おれ、『私』と、おんなじ、ダカラ、あーっ、アァッ♡♡♡」
存在の大きさが、強さの差が違うのに一つの肉体になっている、自分の思いのままになっている。
その事実が、どこか征服欲を、屈辱感を、優越感をかき立てていく。
常にしっかりしていなければいけないはずの存在――のコピーが、今はモンスターとして感覚を共有し、オナニーに夢中なのである。
モニカの判断力も有しているモニターキンにとって、偽物ながらも生じるこの感覚は性欲を満たすにはもってこいなのであった。
「あっ、あっ、精液出ちゃう、精液出ちャウゾォ、もう、モウ、おれ、『私』、おチンポ、好き、なんだかラァ♡♡♡」
『私』にはないはずの性器を刺激しながら、その名を口に出し、起こる現象を想像し。
思わず女性器の入り口もヒクつき、乳房の感覚も鋭敏になっていく。
モニカとデカターキンが一つになっている今、お互いの肉体信号がお互いに影響を及ぼしてしまっているのである。
それを受け止めているのが、二人の記憶を持つ物の、心としてはターキンの精神。
的確に気持ちよく、楽しく、心地よく。
「あっ、あっ、出る、出ル、まだ、始めたバカリなのニ、あぁーっ――」
ビュル、ビュルル、とイヤらしい音を立ててねっとりとした白い液体が亀頭から溢れてくる。
脈動に合わせ身体が震え、真っ白になった頭が少しずつ落ち着いて。
「へ、へへ、今日の一番ハ……どんな具合カナ?」
頬を染めつつ、ザーメンを指で掬って嘴の中に入れ。
「んふ、今日モ、おれ、エッチ、だなァ……♡」
ドキ、ドキと心拍が跳ね上がる。
流石タンク型ディフェンダーと言ったところか、一度の射精では肉体はびくともしていないらしい。
それどころか、もっとしろと言わんばかりに全身が熱くなってくる。
「ヤベ、ヤベ、おっぱい、オッパイ、出ちゃう出ちャウ♡♡♡」
とろけた表情で、手に力を入れて乳房を絞る。
男性器に負けじと、乳首の先端から特製のターキンニンゲンミルクが漏れ出てきた。
「んっ、あっ、愛情、アイジョウ、隠しアじっ……♡」
いそいそと容器に注ぎ入れ、乳搾りをした刺激に酔いしれて。
「えへ、へへへ、おれの母乳が隠し味、なんてゴンドウに言えルわけ、ないもんナァ……♡」
言ったらどうなるだろう、という背徳感にマンコがきゅんと震え上がる。
「娘を困らせるようなコト、考えちゃうようなヤツハ……お仕置き、シチャウぞ♡」
羽のような手が、容赦なく女性の秘部にねじ込まれる。
「あっ、お゛っ♡ イク、イぐぅ♡♡♡」
前立腺が刺激されたのか……また激しく射精しつつも、膣内の探索は終わらない。
明日もまた忙しい一日になるのだろうが、強靱なタフネスを持つモニターキンにとっては――オナニー三昧なんて、体力的には大した問題にならないお楽しみタイムなのであった。
「かぁーっ! やっぱ、カレーは辛くねぇとな!」
夢中でモニカレーをかき込む我が子を、モニカがどこか嬉しそうに見ている。
「なんだよ、そんな見て来やがって」
それに気づいたゴンドウが、いつもの癖で強い口調の言葉を発してしまう。
「なあに、なんでもないさ。ただ、カレーを食べたいなんて面と向かって言われたのがいつぶりだったかなと」
「め、迷惑だったか?」
「いいや? いつだって歓迎だ」
「そ、そっか」
モニターキンの指摘した通りだったため、どこかホッとしてしまうゴンドウ。
それと同時に、自分の態度が酷い物だった気がして、少し涙が出てしまい。
「――どうした? 何かつらい事でもあったか?」
「い、いーや、コレが辛ぇんだよ! 今日、ちょっと辛いんじゃねぇか!?」
ごまかすために、適当な事を言ってしまい。
「そ、そうか……気合いを入れてラッキーラッツを入れすぎたか……?」
幸せそうに考え込む母親を見ながら、昼に食べたターキンカレーを思い出す。
「結局、あれ――何が入ってんだろうな?」
世の中、知らない方がいい事も多い物である。
おしまい