「先生、ごめん。ちょっと面倒ごとに巻き込まれちゃって……」
 そんなメッセージから始まった先生との一日。
 今日あったことは二人だけの秘密。
 私たちだけしか知らないこと。
 どうして早朝に学校にいるのかも、どうして私たちから同じ石鹸の匂いがするのかも、私たちだけしか知らないことだから。

 ── ── ──

※2022年4月7日にpixivで投稿した作品と同じ内容となっています。
※先生は男性です。

1 / 1
砂狼シロコはシャワー目当てで先生とラブホテルに入ったようです

『先生、ごめん。すぐに来てほしい』

『アビドスの市内。ちょっと面倒ごとに巻き込まれちゃって……』

 

 私は先生に宛てたモモトークのメッセージを二通送った。

 今日はロードバイクに使う消耗品が底を尽きかけてたから、調達のために市内まで来てた。

 目的の買い物も終わって、わざわざ市内まで来たから、私は駐輪場に戻る前に街を見て回った。

 しばらく見て回ってると、銀行の輸送トラックが停まってるのが見えたから私は物陰に隠れて動向を監視した。

 

 市内の……このルートのは初めて見たかも。さっきショッピングモールからここまでの間に銀行も見かけたし、向かってる方向的にこのまま戻るのかな。回収した資金も積んでるのに、こんな街中で堂々と停めてるってことは……ん、いた。流石に狙い時はここじゃないか。

 

「……君?」

「──っ!?」

 

 後ろからの声に気が付いて振り返ると、機械の頭をした警察官が私を訝しむような目でジッと見つめてた。

 一目見てマズい状況であることに気付いた時には、すでに遅かった。

 警察官は私が呟いた独り言も聞いてたみたいで、私を逮捕までとは行かなくとも、補導する気が目に見える姿勢で私に近付いてきた。

「……? 強盗を想定した計画を立てるのが趣味って、そんな見え透いた嘘を誰が信じると思うんだい? 君のその制服、アビドス高等学校だよね。教員ももういない学校みたいだし、これ以上弁解できないなら、一度署まで行って詳しく事情聞かせて貰うけどいいかな?」

 そういう計画を立てる趣味……なんて言っても当然理解してもらえるはずがなかった。

 それを理解した上で怒ってくれるのは先生だけだった。

 普通はそんなこと言われても、誤魔化すための下手な嘘としか思われなくて当然だった。

 やっぱり、先生が特別だったんだ。

 

 先生が……?

 

 ──警察官に私のことを知ってる大人がいると伝えてから、モモトークで先生に無茶なメッセージを送ると、先生は事情も聞かないで「すぐ行く!」と返事をくれた。

 警察官との気まずい時間。

 今日は雲一つない晴れの日なこともあって、カラッとした空気の中、ジリジリと街を焼くように太陽が照り続けてた。

 ここまで長居するつもりもなかったから私は首に巻いたマフラーを少し緩めて、汗が伝い始めた首筋の風通しを良くしないといけないほど体が蒸れてた。

 暑さで余計にイライラし始めた警察官は私を睨み、その場で腕を組んだまま、人差し指で二の腕にトントンとリズムを刻むように叩いて苛立ちを見せてた。

「君、そろそろ諦めたらどうだい? 本当はそんな大人いないんじゃないのかな?」

 

 いる……いるから……

 

 疑うのは分かるけど、まるで先生の存在を否定されてるみたいでムッとしてしまった。でも、ここでこれ以上何か起こせば、呼んでる先生の信頼さえ落としてしまいそうだった。

 だから、私は警察官に目を向けるだけで何も答えなかった。

 

 それからしばらく待ってると警察官も痺れ切らし、無理やりでも私を連れて行こうとし始めた。

 機械で出来た冷たい手が、私の腕を掴んだ。

 抵抗したいのは山々だけど、アビドスのまだ活気溢れる区域で争う訳にはいかなかった。

 仮に先生以外で対策委員会のみんなを呼んでも、生徒同士の庇い合いと看做されそうで、余計に迷惑をかけることになりそうだと思った。

 もうダメかと思ったその時、私の腕を掴む警察官の腕を、私よりも大きな手がそっと強引な様子はなく、それでも引き止めるように掴んだ。

 

「──はぁ……はぁ……ま、待ってください……私の生徒に、何か用ですか……」

 

「先生……!」

 本当に来てくれた……

 汗をボタボタとアスファルトの上に何滴も溢すほど汗ぐっしょりと身体を濡らし、普段、運動もしない身体なのに肩で息をするほど、ここまで走ってきたみたいだった。

「何ですか!? ……ん? おや、あなたは?」

 先生は警察官の問い掛けに返事をする前に、息を整えようと何度か深呼吸をしてから、自己紹介をした。「この子の先生です」と、シャーレの所属よりも私の先生であることを強調するように。

 それから私と警察官の間に入り込んで、私を自分の背中で隠しながら警察官と直接話し始めた。

 引き止める動きから、さりげなく割って入るまで、私のためにここまで尽くして必死に庇ってくれる姿に、胸のドキドキが止まらず心拍数が上がってた。

 警察に声をかけらえた時の緊張とは違う胸の高鳴り。

 到着したときのヘトヘトな様子から喋り始めるまでの姿は、かっこいいとは程遠く見えるほど滑稽だったかもしれない。

 それでも、私にとっては十分素敵に見えるほど安心して頼れる素敵な大人の後ろ姿に見えた。

 いつも見慣れてる背中も、こうして私を庇うための逞しい背中に見えて、このまま後ろから抱き付いてみたくなる衝動さえあった。

 私が見つめてる間にも、先生は私の普段の人柄や行動から考え方まで、誤解がないように、怒り心頭な警察官に必死に弁護してくれた。

 私は先生の背中に隠れて、恐る恐る先生と警察のやり取りを背中から顔を出してじっと見届けた。

 

 ありがとう……生徒……

 

「──はぁ……分かりました、シャーレの先生がそこまで言うなら今回は見逃します。しかし……」

 

 私の言動が易々と見逃せるものじゃないから、このまま無条件で野放しにはしてくれなかった。本当に強盗に出られることを警戒して、今日だけは先生が同伴の上で行動すること。事情は他の警察官にも共有したから、もしこの後、私一人で街を歩いてる所を見かけたら、シャーレの監視下から出たと看做して、街の安全を理由に身柄を確保すると忠告される形で見逃してもらえた。

 

 ──先生、ごめん……忙しいのにこんなことに付き合わせて……でも、来てくれて嬉しかった。

 ん……アビドス市内外郭に用事があったから、こうやってすぐ来れたんだ……えっと、それ用事は大丈夫? 私のせいで邪魔してないかな? ……え? それじゃ、急ぎじゃないから後回しにしてもらったってこと……?

 他ならぬ私からの珍しいお願いだったからって、先生は率先して私との用事を取ってくれたみたい。

 警察官から解放された私たちは、私がロードバイクを停めてる駐輪場に向かって戻ることにした。先生と並んで歩いてると、まるでデートみたいだった。

 ……なんて、そんな浮かれたこと思っちゃダメだよね。本当は無理して付き合ってもらってるんだから。

 先生は今まで窮地に陥ってたアビドスを助けるような大掛かりなことから、今日みたいな私が原因で起きた自業自得な些細なトラブルにまで、自分の時間を省みずに助けにきてくれた。

 尽くしてもらってばかりで、何かお返しがしたくても、まるで口癖のように「これが仕事だから」って先生は気にも留めてなかった。

 私利私欲の見返りとか騙したりとかもしない、今まで会ったことのない素敵な大人だった。

 

 そんな先生が好き。

 

 好きって思うだけでも運動した訳でもないのに、胸の内から身体がぽかぽかと暖まってるような気持ちになる。

 今も私に笑顔を向けて話してくれる先生の横顔を見るだけで胸の内から……

 そういえば、と思いだしたように私は先生に気になったことを聞いてみた。

 

 ……ところで先生、さっき警察官に話してたことって先生が全部本当に思ってること……? 例えばって……えっと、私がアビドスの誰よりも学校思いで優しいとか……誤解を招くようなことはあっても節度は弁える利口な生徒とか……

 自分で口にしても少し恥ずかしいけど……本当に思っててくれたことなんだ……

 でも先生が思ってるより優良な生徒じゃないよ? 今日こうしてる間にも、先生や警察官に迷惑かけちゃったし……

「例えそうなっても、生徒を守るのが先生の仕事だから安心して」って先生は自分の胸に拳をポンと置いて、もっと頼っても良いと示すみたいに答えてくれた。

 私は自然と笑みが溢れた。先生が普段から私たちにそう言ってくれるから、私は今日こうして先生を頼ることが出来た。

 例え忙しくても、献身的に私たち対策委員会のために今まで一緒にいてくれたこと。

 それが何よりの安心を得られる選択肢として私の中にあったから。

 

 その時、風でふわりとマフラーが揺れて私の身体を微かに扇いだ。首元からむわっと漂う臭いが鼻に突いた。

 ……そういえば、先生が来るまで待ってる間とロードバイクに乗って市内まで来る途中に大分汗をかいてた気がする。

 私は慌てて先生から離れると、先生は不思議そうに私にどうしたのか訪ねてきた。

「今、汗臭いから……なるべく近くにいてほしくない」なんて恥ずかしくて言えなかった。

 きっと伝えても、先生は気遣って「大丈夫」とか「いい匂いがする」とか言うかもしれないけど、先生が良いと思うんじゃなくて、私が恥ずかしいからっていう考えの根本的な気持ちのすれ違いが起きそうだった。

 

 出来ればシャワーを浴びたいかも……

 

 先生に何て答えようか悩んでたとき、視界にとある看板が目に入った。

 

 ホテルの看板。そこに書かれた「休憩」の文字とお昼なら更に料金割り引きの売り文句。

 

 先生も走ってきて疲れてそうだし、ちょうど良いかも……値段もこれぐらい割引されてるなら、仮に先生が払えなくても私が払える金額だし……ホテルって言っても、この値段でシャワーを浴びるだけなら全然お得な気がするし……

 

 先生、そこのホテルでシャワー浴びたいから入ってもいいかな……? 先生も疲れてるでしょ? ほら、そこ「休憩」って書いてるから、私たちにはちょうど良いと思うんだけど。

 ……? どうしてそんなに周りをキョロキョロ見渡してるの? 怪しそうな建物でもないし、問題ないと思うけど……?

 

 辺りには特に私たちを怪しむように見る人もなく、市内とは言っても過疎化は進んでた。だから、疎らに歩道を歩く通行する人たちは、みんな自分のやる予定だけのために動くように、何も周りのことなんて見ていないみたいに、ただ前を見て歩いてた。

「いや……他を当たらない?」

「うーん……いいけど、もしかして何かまずかった……? この辺り同じようなホテルばかりだけど」

 出来れば早くシャワー浴びないと、先生に臭いって思われたくないし、今目の前のホテルが比較的綺麗で近くだから、私はここがいいかな……

 私の様子を見てから、少し恥ずかしそうに「私が考えすぎてたかも……それならいいのかな……」って頬を指先で掻きながら苦笑いした。

 ロビーにはフロントがあって、フロントスタッフが受付にいる光景を想像して入ったけど、実際は全然知らない光景が広がってた。

 受付らしき所には小窓が取り付けられてて、中のフロントスタッフの手元だけが見えるような不気味な構造をしてた。

 先生の後をついて行くと、先生はその受付らしき場所を通り過ぎて、部屋の写真が写し出されたパネルの前で足を止めてた。

 

 えっと……先生、受付はさっきのフロントでしないの……? ……そっか、このパネルから部屋を選ぶんだ? ホテルもセルフサービスとかやってるんだね。

 こういう所はだいたいこうなんだ……? 私が知らないだけかな……?

 

 結局、先生に全部任せて手続きを済ませてもらうと、エレベーターに乗ってそのまま部屋まで向かった。

 ダブルベッドが一つ置かれた、密室のような空間。白基調の壁に、茶色のカーペットが敷かれた少し狭い部屋。

 窓を開けないと外が見えないようになってるんだ……? ベッドも一つしかないし、シャワーを目的に安めの部屋を選んだだけだから、妥当なのかな……?

 先生はどこか落ち着かない様子で、ベッドに腰をかけ、タブレット端末を取り出して画面をスクロールさせてた。

 やっぱり、後回しにしてしまった用事のことかな……

 

 先生、大丈夫……? ……ん、分かった。シャワー借りるね。

 

 多分、この後も先生と歩くだろうし、念入りに私は身体を洗った。

 目を瞑って、シャワーに向かって顔を上げた。

 温かな水しぶきを顔から浴びて、もやもやした頭の中すら洗い流すつもりでシャワーを浴び続けた。

 引っ掛かるのは先生がここに入る前に、気まずそうにしてたこと。

 泊まる訳でもないのに、そんなにダメだったかな。

 使うつもりのない浴槽に目を向けると、よく分からないスイッチがいくつか付いてた。

 ん……何だろ、これ……温度調節に使うには多い気がするし……

 見慣れない設備に目を移しながらも、いつもの慣れた手付きで身体を洗い進めてると、理解するよりも先に洗い終わってしまった。

 

 ここのホテル、タオルにバスローブも完備してるんだ。先生も浴びると思うから、待ってる間はバスローブ着て過ごそうかな……

 

 ──先生、お待たせ。

 

 ベッドに腰掛けてた先生は私を見ると、頬を綻ばせて、手にしてたタブレット端末を片付けてた。

 

 折角だから着てみたけど……どうかな……?

 

 少し先生の反応が気になって、身体を背中まで見えるように左右に捻って動いて見せた。

 純白のバスローブ。私は浴室を出る前にも交差させた掛襟が崩れてないか確認した。

 下に何も着てないから……見られると恥ずかしいし……

 普段着ないような物だから、自分でも不思議な気分。

 

 ……似合ってる? ん、良かった……先生もここに来るまで汗かいたでしょ? このまま出るのも勿体ないし、先生もシャワー浴びたらどうかな? ふふっ、行ってらっしゃい。

 

 先生と入れ換わるように私がベッドに腰掛けて、先生が浴室に入って行った。

 ここに来る前に買って冷やしてたドリンクを冷蔵庫から取り出そうと近付いてみると、隣にも小さな自動販売機のようなものがあることに気が付いた。

 

 これ、何かな……?

 

 値段の表記と一緒に、お菓子やインスタント食品に飲み物まで入ってる……滋養強壮剤まで入ってる……色々揃ってて便利だけど、今はいいかな。

 エナジードリンクを取ってベッドまで戻ると、浴室からタイルに低めの音でシャワーが滴る音を立ててた。

 先生も今、身体を洗ってるのかな。

 備え付けの物を使ったから、先生からも同じ匂いがするのかな。

 ベッドに腰を掛けた時に交差した襟が着崩れて、まだ先生がいないけど慌てて着直した。

 

 うーん……あまり無闇に動かない方が良いかも。

 

 襟をかけ直しているときにふわりと自分の身体から香るありふれた石鹸の匂い。

 シャワー上がりの感覚はいつも通りでも、アビドスで使ってる物と違った匂いのせいで急に落ち着かなくなってきた。

 

 ──ごくっ……ごくっ……

 

 気を紛らわすようにボトルの飲み口に口を付けて喉に注ぎ込むように傾けると、清涼飲料特有の人工的な甘味が液体として渇いた身体に染み渡った。

 

 喉を潤わせてからやっと一息つけると、ついさっきの出来事について思い返した。

 あの時、先生が来なかったら、もっと面倒なことになってたのかな。

 色々理由はあっても、見つかった以上は予備罪とかそういうのでヴァルキューレに身柄を差し出されてたのかな……

 対策委員会のみんなとも、先生ともしばらく会えなくなって……

 自業自得なのは分かってるけど嫌だな……

 きっと通ってた人たちも見て見ぬふりをしてただけ。

 当たり前だけど、面倒ごとは関わらない方がマシだから。

 それがごく普通の日常にありふれた光景だったから。

 でも、先生はこんな不良な生徒の私にでも助けに駆け付けてくれた。

 ……かっこよかったな、先生。ヘトヘトになりながらも、勝ち目も無さそうな警察の腕を掴んで引き止めてくれたの……思い返すと、胸が少しドキドキする……

 ……これって恋なのかな。

 先生のことを思うと甘くて幸せな気持ちになるのに、近くにいると胸に空洞が出来たみたいに切なくて苦しい気持ちになる。

 

 そんな思いを向けた先生と今は二人きり。

 

 ふと思い出したように込み上げてきた邪な気持ちを振り払うつもりで顔を左右に振って有耶無耶にした。

 ……そ、そういえば、さっき見慣れない設備もあったから調べてみようかな。気を紛らわせるのにちょうどいいかも。

 私はスマホのブラウザ画面にキーワードを入力して、検索結果が表示された画面をスクロールした。

 

 ──っ……! ここ……ラブ……ホテル……?

 

 受付で直接人が対応しなかったり、浴槽に変なボタンが付いてるのも、室内に飲食物が入った小さな自販機みたいなものも……全部条件当てはまってる……

 先生の「考えすぎ」って言葉、私からの……せ……え、えっちの誘いに聞こえたからってことかな……でも、私がシャワー早く浴びたいって念押ししたから、先生も脈無しって思って安心したから、入ったってことになるよね……安心……

 

 ……そう思うと、何だか先生から襲おうと食い付きたくなるような異性としての魅力が無いと思われてるように思えてしまった。

 今なら二人きりだから、他に目撃者もいないし、先生の立場なら私の事を好きに出来るはず。

 武器も持たずにシャワーを浴びてる私がいる浴室に入り込んで襲うことだって。

 

 ……私、魅力無いのかな。

 

 バスローブの上から自分の胸をゆっくりと撫で下ろす。

 ノノミくらいの豊満な乳房があったら、先生の理性を少しでも掻き乱せた?

 それともホシノ先輩みたいに全体的に小さな身体の方が、手籠めにしやすいとか嗜虐心を刺激した方がよかった?

 

 私は……大人に近付きかけの二人のどちらでもない発達途中の身体……

 

 ……先生、遅いな。

 大丈夫……かな。

 

 私の気持ちに応えるみたいなタイミングで、ガチャッと浴室のドアが開き、先生が茹だった赤い顔をして、バスローブ姿でタオルをフードのように被って髪を拭きながら出てきた。

 サッパリした様子で気持ち良さそうに頬を緩めてた。いつもセットされた髪は崩れて、乾かされててもしっとりとした髪の質感がいつもと違うせいか、余計にその特別感に意識してしまった。

 先生はベッドの目の前にあるソファに腰を掛けて幸せそうなため息を吐いた。

 ……隣、座ってくれないよね。

 何かあったらいけないから、先生の気遣ってくれてるのは嬉しいけど、今はその気遣いが私を寂しくさせた。

 まずは謝らないといけないよね……

「あ……先生……ごめん……ここって……ラブホテル……だったんだね……」

「えっ……? 知ってて言ってると思った……そうなんだ……知らなかったからあの様子だったんだ……あ、ははっ……」

 先生はキヴォトスに来てから、当然だけどこういう所には生徒とも来たことがなかったみたい。それに、女の子で集まってラブホ女子会なんてやるくらいだから、それぐらいの感覚で私が入りたいって言ったと捉えたみたい……

 

 分かってたら、私は入らなかったよ。

 

 そういうことする場所で二人きりなんてなったら、この気持ち、きっと抑えられなくなるから。

 

 きっと抑えられなくなるのに、入ってから気付けば、もう手遅れだよね。

 

 恋人同士がえっちなことをする為の施設と知ってから、自分でも分かるくらい落ち着きがなくなってた。ずっとドキドキしてる。

 先生のことを見てるだけで、次は何をするんだろって期待しちゃう。

 でも、まだはっきりと残ってる理性が、興奮状態の本能を宥めるように冷たく言った。

『先生はそんなことしないって』

 

 ……だったら、その気にさせればいいよね。

 

 先生、そっちじゃなくて……私の隣、座ってほしいな。ん、こっちの方が広いし、先生と話しやすいから。

 先生が「そう?」って少し不思議そうにしながらも、こっちにゆっくりと歩いて、人一人分の間隔を開けて隣に座り込んだ。

 

 ──先生、まだホテルの時間あるでしょ? 今日助けてくれたお礼したいんだけど……ん、仕事なのは分かってる……普段運動もしないのに走ってきたでしょ? 大人になると、急に運動すると後から酷い筋肉痛とか、身体の節々が痛くなるんだよね?

 

 先生は思い出すように天井に目線を向けながら、後でくる筋肉痛の事を思って嫌そうに眉間に皺を寄せてた。

 

 ここのベッド広いから、横になればマッサージしてあげられると思うんだけど、どうかな……? 何もないところで横になるよりも、先生も楽だと思うし……

 

 渋々、先生は枕を顎の下に敷いてベッドにうつ伏せになってから「そこまで言うなら……お言葉に甘えようかな」って言って身体を許してくれた。

 

 じゃあ、触るね……

 

 先生の大きな背中……外で見たときもそうだけど、私と根本的に違う体つき。

 肩に手を添えて揉み解すように、ぎゅっと握ると、先生は苦痛と快感の入り交じった声を上げた。

 凄く凝ってる……そっか、運動はしてなくても、デスクワークで負担が……

「ん……どう、先生……? 気持ちいい?」

「うっ……ぁ……そこ……き、気持ちいい……ぃ゛……あぁ……」

「……っ、先生の……硬い……いつも私たちのために、こんなになるまで……」

「んっ……は、ははっ……ぅ……シロコたち生徒のみんなが頑張ってるし、私も頑張らないと……ね……ぁ゛ぅ……っ……そこ、良い……」

 

 ぎゅっ……ぎゅう……

 

 ゆっくりと、先生の肩を揉みほぐしていく。

 先生の艶のある声を耳にしながら、バスローブ越しに先生の身体を触ってくうちに、変な気持ちが高まってた。

 

 肩……腰……上半身を終えると、下半身に……

 

 ふくらはぎを揉んでるときに、先生の方に視線を移すとバスローブの裾から中が見えそうになってた。

 先生も下……着てないよね……

 背中からお尻にかけてのラインも、私たち女性と全然違って平たく波打つようななだらかな形をしてた。

 今触ってるふくらはぎだって、まるで彫刻の彫ったばかりのような角張った形をしてた。

 

 大人の身体……

 

「……ん、一通り揉み終わったけど、どうかな?」

「ふぅ……解してもらった部分が凄く楽になったよ……ありがとう、シロコ……」

「良かった……じゃあ、先生……次は仰向けになって?」

「仰向けでのマッサージ……? どこを──うわっ……!」

 うつ伏せから起き上がった先生を押し倒して、私は先生のお腹の上に跨がった。

 

 ──ごめん、先生……不良な生徒で……先生のこと襲っちゃうような、不良な生徒で……

 

 先生……私って魅力無いかな……

 薄い壁一枚挟んで、私は生まれたままの姿でシャワーを浴びてたんだよ。

 ドアの鍵も掛かってなくて、いつでも背後から襲える状況。

 こういうのって、男の人はえっちなことしたくて、赤ちゃん産ませたくて、襲っちゃうんでしょ。

 ……え、みんながそうじゃないんだ?

 じゃあ、先生はそうじゃない人ってこと?

 

 私はおもむろにバスローブの帯を緩めた。

 

 交差させた掛襟を解くと、身体からまるでスルりと抜け落ちるようにバスローブが脱げて、私は生まれたままの姿になった。抜け落ちるそれは手で止める余裕もないくらいストンと素早く落ちてしまった。

 先生が私から目を逸らす。

 分かってる。生徒の裸なんて、直視する訳にはいかないから。

 

 先生のそんな律儀なとこも好き。

 

 先生、聞いて……?

 先生の右手を掴んで、何も覆われてない左乳房にふにゅっと押し付けた。

 分かる……? 心臓の音、ドクッドクッて早く鳴ってるの……先生のこと、考えてたら、こんなに早くなったの……

 先生が駆け付けて助けてくれた、あの時から、少しずつ、心臓が早くなってるの……

 心音、聞かせるには胸触らせるしかないから……胸を直接触らせる卑劣な真似して、ごめん……

 こんなに謝ってるのに、先生のこと襲いたい気持ちが抑えられない。

 

 先生……私のこと抱いて?

 

 条件反射からか、乳房に押し当てた先生の手が、もにゅっと揉みしだくように力を入れてた。

 

 荒々しい手付き。

 

 先生も脱がしていいよね。

 ここはえっちなことする場所だから。学校と違って、私たち二人が裸でいても、おかしくない場所だから……

 帯を緩め、先生の掛襟を広げて胸元を露出させた。

 胸の形も私と違った。

 乳首の形はどこか懐かしさを感じる、幼い頃の私の胸部にもあったような形をしてた。

 あの頃の私の乳首もこんな風に、ツンと小さな豆みたいな形をしてたから。

 今の私の胸は……子どもが咥えることが出来るように先がぷっくりと膨らんだ、女性らしい丸みと突起が付いた物。

 はぁ……と興味本位で指先を震わせながら、先生の左乳首を弾くように触れた。

 先生の身体がビクンッと小さく跳ねた。

 指先で、指の腹で、先生の乳首を転がすように触ってると、ぷっくりとさっきよりも硬く膨れてた。

 やっぱり、こういう作りは私たち女性と似てるんだ。

 先生は歯をくいしばって、仰け反りながら声を押し殺してた。

 右と比べて大きくなった左乳首。

 心臓に近い所が一番感じやすいんだって? 先生、気持ちいい……?

 ……聞かなくても身体は正直に反応してくれた。

 私のお尻に、さっきからぺちぺちっとしっとり濡れたモノがぶつけられてた。

 勃起した男性器。

 さっきまでバスローブの中に隠れてた、先生の雄としての象徴。

 私は先生の身体に覆い被さるように倒れると、乳房をぐにゅっと潰れて形が変わるほど密着させた。

 

 ──すんっ……私と同じ匂い……でも、よく嗅いでみると、先生の大人の人の匂いが微かに混ざってた。

 ……ん? 鼻息が擽ったい? ごめん、落ち着く匂いだったから……ううん、臭くない……こうしてると、先生の身体、独り占め出来てるって、私の身体を預けても大丈夫って、安心出来るから……

 先生、今私のお尻に押し付けてるこれ……おちんちん……どうしたい?

 答えてくれなかった。

 私が乳首を弄ったからって、そうとしか言ってくれなかった。

 だから私は言った。

 ──じゃあ、いい。先生がその気になるまで、先生の身体、気持ちよくしてあげるから。その気が無いなら先生は我慢できるでしょ。

 私は少し拗ねたふりして愛撫を続けた。

 

 ──べぇ……ぇ……

 

 舌を出して、舌先から勃起した左乳首に唾液を垂らした。唾液がポタポタと身体に滴ると先生の息遣いが荒くなってた。胸が大きく起伏してる。

 左乳首は十分いじめたから……右も寂しいでしょ? 一緒に弄ってあげる。

 右乳首に口を近付けると、はぁーって温かい息を掛けた。

「はぁ゛、ぅ……! し、シロコ……ダメ……ダメだから……」

「ダメじゃない。好きなんでしょ、こうやって……弄られるの……──あむっ」

「ん゛ぅ──!」

 先生の右乳首をパクっと乳輪ごと包み込むように咥えた。覆い被さった私の身体から逃げ出そうとするみたいに、頑張ってもがく先生が可愛く見えた。

 唾液で濡れた左乳首を右手でこねくり回しながら、右乳首を口に含んで舌先で転がし続けた。

 先生の女の子みたいな喘ぎ声も、情けなくもがくことしか出来ない弱々しいところも好き。普段は私たちの立場を守ってくれる先生だけど、今は私が先生の身体を守ってあげたくなるような愛しささえ感じた。

 先生が何度も首を左右に振りながら、仰け反って快感に抗う度に、ベッドのスプリングがギシギシと軋む音を立てた。

 

「ちゅっ……ちゅぅぅっ……ちゅぱっ……はぁー、れろれろれろっ……」

 

 何度か乳首にキスをしてから吸い上げて、濡れそぼった部分に吐息をかけた。小刻みにガクガクと震える身体に追い討ちをかけるために、私は猫が器に注がれた水を飲む仕草のように舌先を出して、チロチロと乳首を擽った。

 右も左も敏感になった先生の乳首。

 私は先生に囁ける距離まで耳元に近付くと、勃起した乳首に擦り付けるように私の乳房を押し当てた。

 乳首と乳首のキス。

 

 こり……こりっ……くにゅっ……くにゅぅ……

 

 これ、気持ちいい……

 先生の濡れた豆のような乳首が、私の突出した乳首と触れ合って、身体にぞわぞわと快感が駆け抜けた。

 

 ねえ、先生。分かる? 乳首と乳首がキスしちゃってるよ。気持ちいい? 私は気持ちいい。同じ部分なのに、違う形で……擦れ合う度に、身体がゾクゾクするの……先生も気持ちよくなってくれたらいいな……っ……♡

 

 先生のお腹に触れそうなぐらい反り返ったおちんちんが、私の太ももに押し付けられてた。

 太ももからの肌触りでも分かるくらい、青筋が立ってボコボコした感触が伝わってきた。

 先生、乳首同士だけじゃなくて、こんなに顔も近いと、唇でもキスしたくならない? 私はしたい、先生とキス。

 

 先生は快感への抵抗と私とのキスをしないように唇を丸めて噛み締めてた。

 

 ……どうして? どうして、ここまでしても手を出してくれないの?

 

 身体を起こして、私は先生のお腹に触れそうなほど反り返ったおちんちんの上に跨がった。

 おちんちんの先から透明な粘液がダクダクと溢れ出して、裏筋までぬるぬるしてた。

 熱い……手で触らなくても、内腿や膣の入り口に当てられるだけでその温もりが伝わってくる。

 先生、見て……私の……おまんこ……んっ……先生とこうして触れ合って、おちんちん当てられて、興奮してるの……ほら……

 

 親指と中指で入り口を広げると、とろっと膣口に溜まった愛液が溢れてポタポタと滴った。

 

 ──くちゅっ……ぬぷぅっ♡

 

「──んっ……♡ はぁ……♡」

 

 そして人差し指を差し込んだ。

 

 中は熱くて、指の付け根から溶けてしまいそうな感触。

 発情したおまんこが、自分の指をおちんちんが入ってきたと勘違いしているみたいにきゅぅぅ……っと絞り取るように締まった。

 襞が密着した指をゆっくり引き抜いた。

 

 ──ぬぽっ……♡ どぴゅぅ……♡

 

 指が引き抜かれた快感で白濁とした本気汁が溢れ出した。

 おまんこの表面を伝って、跨がってるおちんちんに溢れ落ちた。

 身体を先生の脚の間に入るように下がると、そのまま指に愛液が纏わり付いた手でおちんちんを握った。そのまま、我慢汁と愛液を塗りたくるように、私は扱き始めた。ぬるぬる滑るおちんちんを、親指が上にくるように普通に握って上下に何度も動かした。

 血管が浮き出てゴツゴツした手触り……熱くて……ちょっとしょっぱい臭いがして……ツンと鼻の奥を突く香りが、頭をクラっとさせた。

「あ゛っ……ぁ゛……シ、ロコ……ダメ……それ以上……ぅ゛……出る……──ぁ゛、ダメ……ダメ……!」

 先生が出そうって言うから、遠慮なく手の動きを早くした。

 

 出して……先生の精液……びゅー……って出して? 出して……?

 

 私の手の中で、おちんちんが無理に伸びようとするみたいに、大きく脈動した。鈴口をヒクヒクさせて、だらぁーっとぬるぬるした我慢汁をたくさん吐き出し続けてた。

 先生の腰がベッドを揺らそうとするみたいに、ガクガクと震わせてた。

「い゛……イクぅ゛ぅ……──ッ!」

 

 ──びゅぅぅぅ……! どびゅぅっ……! びゅぅっ……

 

 亀頭が真っ赤に腫れて、鈴口から精液の噴水を作るように勢いよく射精した。

 ガクガクと震えてた先生の腰が、糸が切れたようにガクッと腰が一瞬だけ大きく跳ねて、おちんちんを脈打たせた。尿道を駆け抜けるような射精に先生は身体を仰け反らせて「あ゛、あ゛ぁー……ぅ゛……っ!」と動物のような雄叫びを上げた。

 先生のお腹に向かって枝分かれするように飛び散った精液。

 

 ご、ごめん……今すぐ綺麗にするから。

 

 おちんちんを握ってた手にも溢れたせいで、先に指先に纏わりつく精液を舌先を這わせて舐め上げた。

 

 ──ごくっ……

 

 ……苦くて美味しくもなく、喉越しも悪い粘液。

 もしこれが食べ物なら二口目なんて絶対にしたくなかった。

 私は先生のお腹に付いた精液にも舌を這わせた。

 美味しくないけど、嫌じゃなかった。

 この喉越しの悪さも膣に出した時の種を残そうとする粘り気があった。それだけで先生の生殖本能が、先生の意思に関わらず私をどうしようとしてるのか表してるみたいで、顔が熱くなるほど気分が高揚した。

「れろ……ちゅぅぅ……♡ れろ、れろ……ちゅっ……ちゅる……れえ……♡」

 ヘソから胸元に掛けて真っ直ぐ舌先をれぇ……っと動かして舐め取りながらの愛撫。

 私の口の中にエグみのあるゼリーが溜まっていく。意識せずに眉間に皺が寄ってしまう程の臭いが鼻を突いて、舌先を這わせている時に思わず口から出してしまいそうになる。

「れろ……っ、ぇ゛……ん……れろぉ……れろ……」

 ん、これで全部舐め終わった。

 口の中でプルプルと揺れるゼリーの塊を先生に見えるように口を大きく開けた。

 粘つくゼリーの塊は、口を開けると、口蓋にも引っ付いて、ねちゃっと音を立てて舌との間で糸を引いてた。

「そ……それも飲むの……?」

「ん……っ……」

 こくっと小さく頷いた。

 そして、そのまま私は天井を見るように喉を反らした。

 

 ──ごくっ……ん゛っ……ぅ゛……ごきゅっ……ごきゅ……っ……

 

 一気に飲もうとして、喉がそれを拒絶した。嘔吐反射が起きる直前のようなものを察知して、舌をうねらせて口内の白濁液を分けてゆっくり、喉にへばり付くのも唾液で流しながら飲み込んだ。

 きっとどんな状況で搾り出しても、この精液の味は変わらないかもしれない。それでも今の私の喉を通ってる精液は、先生からの同意もなく無理やり射精させて出た苦汁のように思えてしまった。

「ん゛──げほ゛……けほっ……!」

 飲み終えた後の喉が痛い。

 先生、見て? 飲み終わった口の中。

 空になった口の中は、息をするとまだ私の鼻に突くほど生臭さを残してた。

 先生は息を飲んで私の口内を見ると、「……ごめん」と一言呟いた。

 謝らなきゃいけないのは私なのに。

 そう思って先生から離れようとすると、先生は理性のタガが外れたかのように、急に私を抱き寄せてきた。

「──っ!? せ、先生……! 顔……近い……──んぅっ……♡」

「すぅー……はぁ……シロコ……いい匂い……はぁー……シロコがいけないことを続けるから……もう……抑えきれない……」

 先生は私の首筋に鼻を密着させて、私の体臭を嗅ぎ続けてた。まだ沸き出てない臭いの分まで吸い出すように、深く深呼吸を繰り返した。

「んっ……♡ ま、待って……先生……そんなに臭い、嗅いじゃ……ぁ……っ……♡」

「すぅぅっ……はぁー……私もいけない気持ちになってしまうんだよ……もう……もう知らないよ……どうなっても……」

 私の声なんてまるで聞こえてないみたいに、先生は一人言のような口振りで声を震わせながらそう言った。

 いけないことだって。

 悪いことだって。

 生徒とこれからラブホテルで行う情事が、どれだけ取り返しのつかないことなのかって。

 私が誘ったのに、私が襲ったのに、自分から動くのは悪いことだって思ってるみたい。私が始めた悪いことなのに。

 

 動いてくれてありがとう、先生。

 ……ん、大丈夫だから。もっと大胆になっても。私以外誰も見てないから。だから、先生……

 

 私といけないこと、しよ?

 

 首筋に鼻を密着させてた先生の顔が上を向いた。

 そして、間髪入れずにまだ濯いでもない私の口を塞ぐようにキスをしてきた。

 

 ダメ……まだちょっと精液の味、口の中に残ってるから……

 

 先生の肩を掴んで引き剥がそうとすると、先生の舌先が私の唇を掻き分けて、口の中に捩じ込んできた。

 私の耳を隠すほど伸びた灰色の髪を掻き分けるように手を差し込まれ、頬を両手で優しく掴まれた。

 それから、まるで私が味わった苦汁を一緒に口にしてくれるみたいに、先生は私の舌を絡めて、ちゅぅ、ちゅぅと舌を吸い上げ始めた。

 舌の付け根から湧き出る唾液が次々に先生に吸われてく。

 これが先生とのセックスなんだ。

 日頃、私たちの悩みを一緒に抱えてくれるみたいに、こうした裸の付き合いでも、先生は苦しい部分も一緒に感じてくれる。

 

 そんな先生が好き。

 

 私は先生とベッドの上に倒れ込んで、脚を絡めながら、舌を絡め合う長いキスを時間を忘れるほどし続けた。

 舌と舌が擦れ合う度に、どちらかの脚の挟む力が加わった。

 ベッドのシーツが擦れる音。

 お互いの体が火照り始めて、汗ばんだ肌と肌が引っ付き合う感触。

 私の柔らかい肌が、先生の男性特有の硬い体を受け入れるみたいにしっとり吸い付いてた。

 舌同士が行うナメクジのような交尾に興奮したのか、射精してべったりした感触のおちんちんが再び勃起させて私のお腹に張り付いてた。

 お腹に張り付いて、時折小刻みに脈を打ってた。まだ敏感な亀頭がお腹に擦れる度に、尿道の中で我慢汁で薄まった精液をどびゅっ、どびゅっと私のお腹にかけてマーキングを繰り返してた。

 後から分かったけど、先生は浴室で一度一人でこのおちんちんを慰めてたみたい。

 恥ずかしいけど、浴室に私の匂いが充満してたみたいで、その匂いに当てられた生殖本能が、私に種を残そうと興奮が中々収まらなかったって。

 でも、今も収まらないなら私で晴らすしかないよね。

 いっぱい気持ちよくなって、たくさん赤ちゃんの種、注ぎ込んで……?

 舌と舌で絡め合ってるせいで、先生の唾液も私の喉に流れ込んでくる。

 

 ──ごくっ……ごくっ……

 

 先生の唾液が私の喉を洗い流してくれた。

 たくさん舌を前後に動かして、空気を含ませ合うせいで、喉を通した唾液と一緒に空気を飲んだ。唾液の塊が喉で溶けて、私の喉がきゅるるっと恥ずかしい音を立ててた。

 

 ──ぷはっ……せ、先生……これ以上キスしたら……切なくて……愛液ずっと止まらないから……先生ので栓をして……止めて……? ──ん……!

 

 今度は先生が私の体に覆い被さった。

 私の両膝を掴んで開脚させられると、青筋を立てるほど硬く勃起したおちんちんの裏筋が、おまんこの割れ目に押し当てられた。

 今にもはち切れそうなおちんちん。

 反り返って、先端から湧き水みたいに止まることなく我慢汁を溢れさせてた。

 

 入るんだ……先生の……

 

 意識しなくても、鼓動が早くなってた。

 向けられたおちんちんを見つけてると、微かに潮気のある匂いが鼻に突いて、それが私の中に入ると想像しただけで、心臓がドクドクと早くなって、耳に伝わるほど音を立ててた。

 先生はおちんちんが入るように親指で押さえると、腰を引いて私の割れ目に……ちゅっ、と生殖器同士が吸い付き合うようにキスをした。

 先生……来て……? 先生のこと、もっと教えて……私の中を、先生のでいっぱいにして……

 

 ──ずぷぅ……!

 

 中指一本入れるのも容易かったのに、指より太いおちんちんが入れられると、身体を切り裂かれるみたいな痛みが走った。

 先生の背中に手を回した。

「──っ……! あ……ぅ゛……せ、先生……!」

「はぁー……はぁー……シロコ……」

 処女膜を裂かれてる中、先生の囁く声が気持ちよく聞こえた。

 鼓膜を優しく撫でるような声。

 脳が蕩けそう。

 目線を繋がり合った生殖器に向けると、まだおまんこに亀頭しか入ってなかった。

 おまんこから青筋立って肉棒が出てるみたいな不思議な光景。

 処女膜を裂いた亀頭は、破瓜の痛みに痙攣する膣襞に圧迫されて、小刻みに脈打つ感触が伝わってきてた。

 

 私の中に……先生の一部が入ってる……

 

 その事実を実感出来るだけで、嬉しくて胸が張り裂けそうなほど心臓が高鳴った。

 子宮口からドロッと甘い甘い濃厚な愛液が溢れ出た。

 男性器を誘惑する潤滑油。

 生暖かい蜜が、挿入された亀頭を濡らしてた。

 両膝を掴むのを止め、先生は私の顔を胸板に埋めさせるように頭を包み込んで撫でてくれた。

「痛かったら……爪立てていいから……」

 ごめん、何とか耐えるから……

 耐えようとしても、粘膜が裂かれるような痛みの中におちんちんが入り込んでくる感触、私の意思とは関係なく体が強張った。

 ガリッ……と先生の背中から鈍く裂ける音がした。

 見上げると、先生の顔がおちんちんからの快楽と背中からの苦痛が入り交じって歪んだ表情をしてた。

 痛いはずなのに、先生は「シロコは大丈夫……?」って私のことを先に心配してくれた。

 痛い。

 痛いけど、先生と繋がれてることの悦びと、名前を囁かれる心地良さが、何よりの麻酔になってた。

 

 ──どびゅ……どぷぅ……

 

 結合部から、混ざり合った粘液が一回、二回と溢れ出してた。

 

 膣の中で、明らかに私の体温と違う温もりが広がってる感触がした。それはドロッとしてて、亀頭よりも先の膣奥にじわっと広がるように注がれてた。

 カリが膣襞を抉る快感におちんちんが耐えきれなかったみたいで、尿道に残った精液を漏らしてるようだった。

「先生……中出し、気持ちいい?」

「──っ……ごめん」

「謝らないで。こんなに気持ちよさそうに……私の中でどぴゅ、どぴゅって跳ねて……中、締めればいい? ──ん、っ……♡」

 腹筋に力を入れるつもりで力んでみると、どびゅぅっとまた私の中でおちんちんが跳ねた。

 漏らしてるみたいな射精、止まらないんだ?

 まだ入ってない肉棒部分が何本も青筋を立てたまま張り詰めて、ドクドクと小刻みに膨張を繰り返してた。

 

 このまま亀頭だけなのも苦しいでしょ?

 

 ……奥まで来て?

 

 おまんこの奥、とろとろで気持ちいいよ……──ん、ぅ……っ♡

 

 両膝を握ってた両手は、私を性玩具として扱うように腰を掴んで、自分の腰を仰け反らせて、おちんちんを奥まで差し込んできた。

 雌を逃がさないように確実に挿入するための雄の掴み方。

 これから本格的な種付けが始まることに、子宮がキュンと疼いて、全身にその興奮が駆け巡って身震いした。

 今日は安全日だけど、まるで交尾排卵でもさせるつもりのような腰の掴み方。

 もう逃げられない。

 先生が果てるまで、私は身体を揺さぶられた。

 子宮口にトン、トンと口を開くように亀頭が何度も叩き付けるようなノックをしてきた。

 先生の首筋からポタッと汗が滴ってくる。

 私も先生の背中に回してた腕に力を入れて、なるべく先生から離れないようにしがみついた。

 そうしてしがみつくと、先生の身体は私よりも大きいから、首筋や胸板辺りに顔を埋める形になった。

 息をするたび、石鹸の匂いが塗り潰されるほど濃くなった先生の体臭を嗅いで頭がクラクラする。

 先生も顔を下に向けて、私の頭部に鼻を押し当てて、頭部の獣耳にスリスリと擦って擽ったり、灰色の髪の中に顔を埋めて頭皮の匂いを嗅いできてた。

 

 せ、先生……これはいくらなんでも恥ずかしいんだけど……

 

 こうしてると、より私の匂いを取り込めて興奮するみたい。

 身体の匂いも感触も、余すことなく堪能しながら、私を感じたいって、快感に抗うように眉間に皺を寄せて、真剣な表情でそう言ってた。

 

 こんな変態みたいなプレイ……

 

 それなら私も変態みたいだった。

 こうして先生が身体を動かし、興奮のあまりに発散した雄のフェロモンたっぷりの体臭に、この人になら身体を許していいという安心感に脳を酔わされてたから。

 愛液が止まらない。

 腰と腰をぶつけ合う運動。

 ぶつけられる先生の腰がカクカクと、寒気を訴えるみたいに小刻みに震えてた。

 出るんだ……先生の雄として盛った精液、中に出すんだ……

 出して? 先生……私の中……奥に……!

 

 ──どびゅぅぅっ! びゅぅっ! びゅるぅっ!

 

 おちんちんが子宮口にぐいっと強引なキスをして、どぷどぷっと激しく精液が注ぎ込まれた。

 ガリ、ガリ……っと先生の背中に回してた手が、快楽の波に呑まれないように爪を立てて堪えた。

「はぁ゛ー……ぁ゛っ……し、シロコ……ぉ……! シロコ……!」

 愛しい人の名前を呼ぶような上擦った声。

 身体が熱い。

 注ぎ込まれる精液だけじゃなく、先生に求められることへの興奮で体温が上がってた。

 私の腰も震えてた。

 どぷっ、どぷっと精液一滴一滴が子宮に注ぎ込まれる度に身体が悦んでるみたいに跳ねてた。

 

 目の前、チカチカする……

 

 先生の腰の震えが収まって、長い射精が終わったことを感じ取ると、先生の顔の方を見上げた。

 

 先生、気持ちよかった?

 

 惚けた顔。

 先生は射精の余韻でボーッとしてる様子だった。

 先生の両手が私の腰から離された。

 種付けが終わった合図。

 先生の指先が、再び私の頬に回されて優しく撫でるから、私は目を細めた。

 先生の指先が少し冷たく感じるほど、私の身体は火照ってた。

 

「シロコと……まだ、こうしていたい……」

「ん……♡ 私も……」

 

 気付けば部屋を使う予定時間は過ぎてしまってた。延長とか大丈夫かなって不安に思ったけど、先生が気にしてない様子から自動でどうにかなるシステムなんだって察して、私は先生と身体を重ね続けた。

 腰をあれだけ振って、疲れてる先生に代わって私が腰を振る番だと思った。

「先生。腰、疲れたでしょ? 横になって……私が……シてあげる……」

「え……? ま、待っ──うおぉっ……!」

 先生を再び押し倒すと、ずるりと掻き分ける力もなくなったおちんちんが私の中からだらしなく抜け出した。

 水分補給は大事だから、ベッドの側に転がったボトルを取って口にした。

 エナジードリンクで喉を潤した。

 温くなったドリンク。

 先生と夢中になってセックスを始めて経過した時間を物語ってた。

 

 先生にも……んくっ……んん……っ……

 

 横たわった先生に直接飲ませるのは難しそうだったから、私はもう一度口にドリンクを含んだ。

 それを喉に通さず口に含んだまま、先生の唇に近付けてく。

 息切れしてるから口を半開きのままの先生の唇を重ね合わせると、そのまま私も口を半開きにしてドリンクを流し込んだ。

 口内に溜まってた人工甘味料の味がする液体を、先生の口に注ぎ込みながら舌を絡ませ合った。

 先生のふにゃふにゃになったおちんちんはぐったりと先生のお腹の上で倒れ込んでたから、その裏筋に向かっておまんこを押し付けた。

 先生とディープキスで繋がりながら、素股……で合ってるのかな? それでおちんちんを気持ちよくして、生殖器同士でもう一度繋がるように手伝った。

 混ざり合う舌先。

 お互いの口の中でうねり、擦れる度に舌の付け根から脳にぞわぞわと気持ちいい快感が込み上げてきた。

 エナジードリンクの味と唾液を混ぜ合わせて、舌と舌をかき混ぜて、かき混ぜて……口の中が先生の唾液の味だけになって……

 ドリンクの味を忘れるまで、先生の唾液を飲み続けた。

 

 ──ごくっ……れろ……れろ……んくっ……んっ……

 

 私も唾液が止まらないから、先生の口の中に流し込んで、唾液の交換をずっと繰り返して、脳が蕩ける心地に目を細めた。

 温い液体で中途半端に温まった口内が、先生との舌の絡め合いで熱くなっていく。

 

 腰を前後に動かすと、おまんこのしっとり濡れた入り口が擦れて、おちんちんが小刻みにびゅくっと跳ねて薄まった精液を自分のお腹に吐き出してた。

 

 ん……おちんちん、少しずつだけど硬くなってきた……

 

 ぐにゃっと軟体動物みたいに柔らかくへたり込んでたのに、骨が入ったみたいに硬くなって、私の中に入ろうとしてるみたい。

 手持ち無沙汰にしてた先生の両手を掴んで指を絡ませ合った。

 

 ──ぷはっ……先生のここ、大きくなってる……先生、よく見てて……また私と一つになるとこ……──ん……♡ あっ……は……ぁ……♡

 

 腰を浮かせると、押さえつけてたおちんちんは反り返って、浮かばせて離れたおまんこを恋しく求めるみたいに上を向いて勃起してた。

 

 ──ぽたっ……ぽたぽたっ……

 

 私も興奮してた。

 子宮が先生のおちんちんに恋い焦がれて、大量に分泌した愛液が、広げた膣口から滴ってた。

 亀頭に滴る愛液。

 中に出してもらったばかりなのもあって、愛液が精液を含んで少し白濁としてた。

 今こうしてる間にも、先生の遺伝子がお腹の中にあるって事実だけでも私の気持ちを昂らせてた。

 硬いおちんちんがおまんこにキスをすると、初めて触れ合ったときのような、粘膜同士が引っ付き合う感触はもうなかった。

 お互いの粘液が混ざり合っていたのもあって、ぬるぬるした表面がぬちゅっと粘り気のある音を立てて触れ合った。

 この姿勢、ライディングしてるときのに似てるかも。脚じゃなくて腰を使うところは違うけど……

 私は腰をゆっくりと下ろした。

 

 ──にゅるっ……ぬぷぷぅ……

 

 ん……♡ 先生の……戻ってきた……私の中、さっきよりも入りやすくなってるみたい……先生の形になってるのかな……でも、奥に向かって、ぐりぐりとカリで擦られると……ぁ……んっ……♡ 身体、強張って……動き、止まっちゃう……

 敏感なのに……中、きゅんって締まるから……おちんちんの形、はっきりと分かって……っ……先生、気持ちいい……? 抜かれて、閉じちゃったけど……すぐに先生の形になるから……先生だけの、おまんこだから……♡ ──んぁっ……♡

 

 ──どちゅっ……

 

 子宮口におちんちんがキスをした。

 先生に押し込まれるのと違って、自分の体重がそのままかかるから……結構深くまで、入ってくる……

 

 お腹の奥まで貫かれる感覚。

 子宮口がこじ開けられてそうな錯覚さえあった。

 先生のも敏感になってるのか、密着して絡み付く膣襞が微かに擦れる度に、どくっと小さく脈動してた。

 

 子宮口に、温かいのかかってる……先生も次の射精の準備してる? 我慢汁、子宮に口移しして、赤ちゃんの種……馴染みやすくしようとしてるでしょ……

 あ……っ……♡ また、びくって跳ねた……いいよ、空になるまで出して……先生の精液、いっぱい注ぎ込んで、私の中を満たして……?

 

 お腹やお尻に力を入れて、自分の腰を浮かせようとすると、ぐりゅっと膣襞をカリ首が抉るから、快感で震え上がってすぐに腰を落としてしまいそうになる。

 先生が私の手をキュッと握って、顎を震わせながら口を開いた。

「シロコ……」

「ん……」

「シロコ……っ……」

「ふふっ──ぁ♡ ん……♡ もっと……もっと言って……もっと呼んで……先生……♡」

 引き抜かれる快楽に悦ぶように少しずつ膨らんでいくおちんちん。

 先生は私を見つめながら名前を呼んで、手を握りしめて、生殖本能に意識が呑まれながらも私を感じてくれてた。

 先生の顎が緩んで唾液が口端から溢れてた。

 カリ首が出ないギリギリまで腰を引き抜くと、肉竿部分が混ざり合った粘液でドロッと汚れてた。

 今にもはち切れそうなほど膨らんで、脈動するおちんちん。

 私は腰の力を抜いて、一気におまんこがソレを奥まで咥え込んだ。

 

 ──どちゅっ……♡

 

 んっ……♡

 

 目の前が一瞬真っ白になった。

 頭がクラクラする。

 それなのに、腰が私の意識から手放されたみたいに上下に振り始めてた。

 雌としての本能が、先生の種子を搾り出せるようにおちんちんに奉仕をするための動きだった。

 

 先生、ごめん……♡ 腰……と、止まらないっ……♡ 何度も……先生の欲しくって……先生……せん、せい……♡

 

 ──ぽたっ……ぽたっ……ぽたたっ……

 

 髪で覆われた首回りが蒸れる感覚。

 汗ばんだ肌がぶつかり合い感触。

 混ざり合った粘液が溢れ出して、腰を上げる度に粘っこい糸が、先生の腰と私の股の間に何本も引いてはぶちぶちっとすぐに切れてた。

 先生も生殖器からの快感で目の焦点が合わなくなってた。先生からは、私もそう見えてるのかな。

 わからない。

 わからなくなるぐらい、私たちは混ざり合った。

 このまま腰が砕けそうになるほど、生殖器で身体を求めて、ドロドロに溶け合って一つになって……

 

 思い返すと、もう名前を呼ばれてるかもはっきりと思い出せなかった。

 汗ばんだ肌を重ねてくうちに、言葉もいらなくなってたから。

 

 少しずつ、おちんちんが擦れ合ってる内に膣奥を広げてた。

 もう出そうなんだ。

 私も、広げられる気持ちよさにおまんこの痙攣止まらなくなってるから……今出したら……きっと気持ちいいと思う……

 

 だから、先生……来て……っ……

 

 ──びゅぐぅっ……! びゅっ……びゅぅっ……!

 

 先生が私の下で身体を仰け反らせて、子宮口におちんちんを突き立てて射精した。

 膣襞に、滴ることもないほど濃くて粘り気のある、べったりした精液が注ぎ込まれた。

 体の残り少ない水分と作りたての精子を搾り出すような射精。

 きっとどんな麻薬でも代えが効かないほどの快楽物質が先生の脳から生成されてるように見えた。

 言葉にならない動物のような喘ぎ声混じりになりながらも、私の名前を口にして、身体をびくびくと震わせてた。

 肩をすくめてるように身体が強張って、精液を搾り出すのを止めず、吐き出される先生の精液一滴一滴を受け止めた。

 先生の射精が終わる頃には、私の身体から快楽の波は引いてしまってた。

 ボヤけた視界も晴れて、次はどんな体位でしようか先生の様子をよく見ると、まるで命がけの性行を終えたみたいにぐったりとしてしまってて、私は先生がこのまま死んじゃったんじゃないかと恐る恐る先生の左胸に耳を当てた。

 

 ──ドクッ……ドクッ……ドクッ……

 

 少し早い鼓動。

 勃起してた乳首も元の平たい豆のような形状に戻ってて、私よりも先に先生は射精と同時に余韻に浸る間もなく意識が飛んだんだって、この時理解できた頃にはもう遅かった。

 よく聞くと、先生の口から一定のリズムで寝息も聞こえる。

 

 良かった、生きてて……

 

 まるで小さなソーセージみたいに小さくなったおちんちんが、おまんこからずるりと抜け落ちた。

 柔らかくなったおちんちんと、ひくひくと交尾を終えた余韻で微かに痙攣してたおまんこからは、一本の細くて白い糸がねっとりと引かれてた。

 そこから続いて溢れ出すこともなく、おまんこは閉じてしまい、先生の精液が私の中でしっかり残ってることを物語ってた。

 

 じゃあ、私もこのまま寝ようかな。

 

 半開きになった先生の口にキスをした。

 さっきまで身体や脳を支配するような快感より弱いけど、十分な快感。

 胸の内が仄かに温まる心地がした。

 

 先生……おやすみ……

 

 先生に身体を預けて、私も生まれた姿のまま目を瞑った。

 

 ──お互いに目を覚ましたのは、夜明け前だった。

 寝惚け眼から次第に意識がはっきりと戻った先生は、私の身体を気遣うように色々心配してくれた。

 大丈夫なのか心配したのは、私も一緒なんだけどね。

 

 その後、先生と一緒にお風呂に入った。

 お風呂が沸くまでの間、私は先生が着てた方のバスローブを着て待ってた。

 

 ん……? 確かにブカブカだけど、今はこっちが良いから……「何で」って……うん、何ででも……っ……

 

 先生に注ぎ込まれた身体を、先生が使ってたバスローブで暖める。

 そこまで寒い訳ではなかったけど、交わった時間を終えた余韻には、これが心地よく思えたから。

 

 お風呂に入ってる時も、お互いに身体を直視することはないけど、目と目が合ったら、そうすることが当たり前のように唇を重ねるだけのキスもしたりした。

 先生が身体を洗ってる時、痛そうにしてた。

 背中を見ると、私の手の大きさと指先の位置を象るように真っ赤な線として何本もの引っ掻き傷が出来てた。

「……先生?」

「どうしたの?」

 湯船の中では、先生が先に入って、私が先生の膝上に腰掛ける形で一緒に入った。

 もう、先生のおちんちんが大きくなることもなかった。

「背中……その、ごめん……痛かったよね?」

「……シロコの方が痛い思いをしたと思うから、大したことじゃないよ」

「……先生は優しすぎだと思う」

「そうかな……?」

 そう言って、先生がこちらに顔を寄せてきたから、振り返るお互いに目が合って、自然と笑みが溢れた。

 私たちはそのまま目を瞑ってキスをした。これが最後だったと思う。

 浴室を出て着替え終えた頃には、私たちは先生と生徒の関係に戻ってた。

 ホテルを出た時、日の出も迎えてない早朝の風は、少し肌寒かった。

 私の隣で湯冷めしたみたいに先生が身震いしてた。

 

 ん、風邪ひいた? 大丈夫?

 ……なら、良かった。

 先生、今日のこと……うん、分かってる。

 誰にも知られなければ、大丈夫だよね。

 ……今ならそこまでひと気も無いだろうし、今のうちに市内からも出よう?

 電車……うーん、アビドスでの始発はまだなんだよね……

 D.U.に行くよりも、このまま学校に行く方が近かったりするけど……来る?

 ん……じゃあ、一緒に登校しよっか。

 

 それから、私たちは一緒に登校した。

 着いた後も電車はまだ動いて無かったから、始発の時間を迎えるまで一緒に校舎で仮眠を取って過ごした。

 もし誰かが来たとしても、私と先生から同じ石鹸の匂いがするのは二人だけの秘密だった。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。