花の種の作り方の違い。
異なる遺伝子を掛け合わせて……より良い遺伝子を残す為……
私も、先生の遺伝子が欲しい。
先生と私の染色体が、私のお腹の中で絡み合って、生まれる子ども。
先生は何もしないって、さっき約束しちゃったよね……だから私の好きにするね……
── ── ──
※2022年8月31日にpixivで投稿した作品と同じ内容となっています。
※先生は男性です。
当作品は、ブルーアーカイブにおけるメインストーリー「Vol.3 エデン条約編」の一部ネタバレ要素と作者の解釈が含まれます。
それらの要素を容認出来る方のみ、お進みください。
「先生、おはよう」
「おはよう、アツコ……と言っても、もうお昼だけどね」
「ううん……挨拶は大事、だから」
このやり取りも、先生と会って行う決まり文句になりつつあった。
私はシャーレにある屋外テラスを使って、先生と植物の種類や育て方を学ばせてもらってた。
あの時、ダメにしてしまった野花たちの分まで育てられるようにと、先生が私に協力してくれた。
──私は今まで、知らなくてはいけないことを、知らないままでいいとして済まされていた。
今日、シャーレにたどり着くまでに咲いている野花の名前を、今までは知らなかった。
正しい育て方を知らなかった。
……でも、それが終わりを迎えることだけは教えられて育ってきた。
形ある物が終わりを迎える事は教わった。
形を持てず終わる物がある事は教わった。
形ある物を終わらせる事は教わった。
『全ては虚しい。どこまで行こうとも、全てはただ虚しいものだ』
小さな命一つさえ、芽生えさせる事は教えてもらえなかった。
少し前に、花壇に移した野花をダメにしてしまった。
植物の育て方の聞き齧った知識は咀嚼されて、私の中で砕けて残っただけだった。
活用するための知識として、私の中に溶け込んでいなかった。
だから、移した小さな命を全て殺しちゃった。
知らないままだった。
失敗は許されなかったから。
失敗は終わりを意味してた。
だから、私の思考はそこで止まってしまってた。
脳裏に過ったのは今まで教えられた全ては虚しいということ。
どんなに希望に見えても、真実かもしれない虚しさはいつも傍にあって、もう花を育てるのもダメなんだって、そう思っていた時、目の前にいた先生は教えてくれた。
『──私と一緒に学ぼう? 花のことを少しずつ』
『学ぶ……そっか……学べばいいんだね……うん……先生、ありがとう』
失敗すれば、終わりだと思ってた。
目の前の大人の人は、それを否定してくれた。
失敗してもいい。間違ったら、また覚えればいいって。
……私は今まで知る以前に、学ぶ姿勢を、知らなくていいままにされていた。
だから、先生が教えてくれた。
そうして得られた知識で見て回る野花も、テラスに咲いた花の名前も、今の私は知っている。
私がシャーレの当番として呼ばれる日は、私と先生が植物の事について学ぶ日にもなっていた。
今まで私が学べなかったことの埋め合わせに付き合ってくれるみたいに、先生は私に時間を割いてくれた。
テラスで植物の手入れをして、それからオフィスに置いてある図書館で花の育て方や種類が書いてある資料を借りてから、居住区の自習室で先生と勉強。
生徒は私しかいない、先生と二人きりの授業だったけど、それが楽しかった。
追っ手から逃げ回って、時々先生とこうして勉強している方が、アリウスに居た時よりも、ずっと学生らしく過ごしている充実感があって、少し不思議な気分だった。
「んー……はいっ、『先生、今のところで気になることがありました』」
「あ……『はい、アツコさん』」
「……ふふっ」
「……? どうしたの?」
「ううん、こうしてると、本当に授業を受けてるみたいだから……つい嬉しくて」
如何にも授業を受けている生徒を演じていると、わざとらしく改まった話し方で先生に質問をすると、先生も私のノリに乗じて改まった喋り方で答えてくれた。
花によって、それぞれ種の実らせる為の構造が似ているのに、自分で実らせられる花と、実らせられない花に分かれてた。
「うーん……確かに育てるだけじゃなくて、種が出来る仕組みまで詳しく知ってた方が、育てる為の理解は深まるかも」
「借りてきた資料には載ってない?」
「目的としてる内容が違うから無いかな……教科書とか参考書の方が詳しく載ってるかも」
「……そうなんだ、オフィスに戻った時に、その資料を読んでみる」
「分からないことがあったら、また聞きに来て良いからね」
「ありがとう。でも、まずは自分で、なるべく調べてみたい……先生に頼りきりなのも、良くないと思うから」
「分かった。じゃあ、後で借りに行こっか」
「うん……!」
自習室は予約制だから、使える時間も限られてた。
終了時間を迎えると、借りてた資料を返して、先生の執務室へとついて行き、事務作業の手伝いをするのがいつもの流れだった。
今日はいつもと違って、さっき気になった部分の参考書を借りる為に、もう一度図書館の棚の前を先生と歩いていた。
追われている身だから、外を無闇に出歩けない私にとって、先生とこうして本棚に挟まれて出来た通り道や、シャーレオフィスの中を一緒に歩くことが、お忍びデートみたいに思えて楽しかった。
──生物……参考書? 遺伝子の基本的なことを学ぶことになるんだね……後、今日もこれを借りようかな……あ、えっと……教えないとダメ……?
本棚には色んな学園で使われてる教科書も並んでた。キヴォトスに所属する学園に介入出来る組織なだけあって、シャーレに招集された生徒が勉強できるように取り揃えられてるみたい。
そこには保健体育の教科書もあった。
私はトリニティでも使われてる物を一冊手に取ると、先生から何を取ったのか聞かれて少し戸惑ってしまった。
……別にえっちな物を借りてる訳でもないのに。
私はパラパラと教科書を捲って、伝わりやすそうなページを見つけると、開いたまま先生に差し出した。
所々のページに、挿し絵として体を動かしてる子たちの写真が使われてるページ。学校での体育の授業風景のイメージとして見ることが出来るから、違った意味でも楽しめる本として私は時々借りていたのだった。
ヒヨリから雑誌を借りて読むこともあったけど、こうして教科書で、学校生活のイメージ写真を目にして、スクワッドのみんなと普通の学校生活をしてたら、なんて考えたりしてたことを伝えた。
──先生……普通の学校だったら、体育祭っていうイベントをするんでしょ? ……うん、時々教科書の写真を見てると、私たちもこんな風に過ごせてたのかなって思うことがあるの。
サオリ、運動神経も良いし、それにカッコいいから、学校のみんなから人気者になってたりするのかな。
嬉しいかな……本当にそうだったら……うーん、そうかな? サオリが私たちに関わってくれてた時間が減ってたって思うと、今までの関係性まで変わっちゃいそう……
私たちを繋ぎ止めていたのは、あの過酷な環境だったから。
あの過酷な環境だったからこそ、私たちは強くなければいけなかった。
あそこにいた大人たちを納得させる為には、自分たちを『戦力として使える道具』だって証明するしかなかったから……
私が話してる途中、先生が普段は見せないような怖い顔をしてた。
私は知ってる。
先生は本当に優しい大人の人。
だから、こうして子どもを悪用したり、過酷な環境で過ごさせていた大人がいたという事実が、許せなくなるってことを。
いくらどんな相手にも温厚に振る舞う先生でも、私たち生徒の為なら、本気で怒ってくれる人だった。
……先生、暗い話をしちゃって、ごめん。今の私たちは、離れ離れで過ごすことが増えちゃったけど、先生のおかげで、みんなそれぞれ生きる為の目的を、探せるようになった。
道具として終わらない、人としての人生を。
今は大変だけど、きっと最後にはハッピーエンドが待ってると思う……それを先生が保証してくれたから……うん、そうだよ……今も頑張ってる……私だけじゃなくて、みんな頑張ってる……
あ、長話しちゃったかな……先生、時間は大丈夫?
先生は腕時計に目を落としてから、大袈裟に親指を立てて「大丈夫!」って元気に答えてくれた。
私が当番の日、先生の自室で寝泊まりをして、早朝のまだ暗い内に居住区を出て、みんなの居場所に合流するようにしてた。
先生の事務作業を手伝い終えた後、残りの先生にしか出来ない書類の片付けをしている間、私は図書館で借りた本を読むようにしてた。
執務室に戻ると、借りてきた本を当番用の生徒が使うデスクの上に置いて、いつも通り書類の仕分けや、室内の片付けを手伝っていた。
私は他の子たちと違って、学校にも通えていない。
寮の門限も無ければ、明日の授業を遅刻する心配さえも無い。
そんな私だからこそ、他の子たちが残れないような時間まで、先生に付き添って仕事の手伝いができていた。
執務室を片付けている間、デスクの上に置いていた教科書を横目に借りていた別の理由を思い返していた。
保健体育の教科書を借りたのは、挿し絵や写真を見るためだけじゃなかった。
前に先生に冗談半分で、子どもってどうやって出来るのか聞いたことがあった。
でも、私は男女で裸になって、えっちなことをするって抽象的なことしか、今まで知らなかった。
具体的に、お互いのどういった部位を実際にどうするのか、知りたくて読んでた。
これもちゃんとした勉強。いつか、ちゃんとした知識も、必要になると思うから。
こうして考え事をしてる間にも、執務室の片付けは終わってしまって、私は生物の教科書を取ってソファに腰をかけてた。
いつも通りのように過ごす、この一時は、何度過ごしても特別な時間のように感じられて胸が高揚して仕方なかった。
先生の仕事が終わるまでの数分間。この待ち時間が私の気持ちを高ぶらせていた。
教科書のページを捲って、目的の内容を探してた。
知らないことがいっぱい書いてる。
こうして、特に今は用の無いページも目にするだけでも楽しかった。まだ私の知らないことがすぐそこにあって、それを知ることもすぐに出来る。
今まで遮断されてた知見の広がる機会が、こうして目に見えるから、嬉しくて仕方なかった。
──えっと……菌……? 動物……? 違う……あ、植物……種子……これかな……遺伝子……? 多様性……ふーん……
ページに書いてある内容に目を通していたら、デスクから聞こえてたペンやキーボードを扱ってた音が、書類をまとめるような紙の擦れる音に変わって、私は教科書から顔を上げた。
……そろそろかな。
力量は私たちより無くても、逞しく見える先生の後ろ姿。
デスクワークに戦闘の指揮と、キヴォトスの至るところに出歩いているからか、少しくたびれたワイシャツ。
それを身に纏ってデスクに向かっている後ろ姿から見える広い背中は、例え力が無くても、日頃から私たちを支えて尽くしてくれていて、頼りにしてもいいという安心感を物語っていた。
書類の束を持って、トントンと軽くデスクの上で叩いて揃えると、先生は私の方へと振り返った。
「──お待たせ、アツコ。帰ろっか……」
「うんっ……」
* * * * * *
私は最後の書類に不備が無いか目を通して、重ねて整えるとアツコに私の自室に帰ることを伝えた。彼女は目に見えて嬉しそうに、一度前に両足を伸ばしてから、勢い良く立ち上がっていた。
彼女は両腕で、図書館で借りてきた教科書二冊を胸に抱えるように持っていた。
いつもは自室に向かう前に居住区のシャワー室で別々にシャワーを浴びてから、自室に向かい、殺風景にも思える自室に帰っていた。
普段は帰ってくることが殆ど無いに等しい自室。
そうなっていたのも書類作業が延々に終わらないのが原因だったのもあって、こうしてアツコが付きっきりで手伝ってくれることで帰って来れるようになっていた。
当番とはいえ、彼女に甘えてしまっている状況があまりにも申し訳なくなって、何かお礼が出来ないか聞いたところ、学校ごっこがしたいとのことだった。
それがアツコのしたいことならと、私も喜んで花の育て方や種類を学びやすいようにまとめて、自習室で授業形式で教えることにしていた。
──アツコが当番になるまで、ほとんど着る機会が無かった寝間着に着替えて、シャワー室の前で彼女を待っていた。
袖幅にゆとりのある前開きで襟付きのトップスに、足首まで丈のあるボトムス。
今まであまり着ていなかったせいか、折り畳んでいた時のシワ以外で、目立った癖が付いていなかった。
しばらく、するとアツコが戻ってきた。
シャワーを浴び終えた後のアツコの髪型は、普段大きなお下げを二つ作っていた結び目を解いて、肩に掛かっていた後ろ髪を背中に流していた。
服装はトリニティ指定に似た紺色の体操着を着ていた。
左胸の部分には校章ではなく、スポーツウェアブランドの「サーバル」のロゴが入った長袖の体操着。襟を立てて、ファスナーを首元まで閉めていた。
下は涼しそうに生足を殆ど露出させた、二分丈程のショートパンツ状の物を穿いていた。
前にアツコと話している時に「アズサが補修授業部でどういう活動をしていたのか聞かせてほしい」という話になり、合宿の時の話を聞いて買ったようだった。
学園生活での合宿等のイベント事にも興味があった彼女にとっては、お泊まり用の正装のような感覚で着ているらしい。
シャワーを浴び終えると私の自室へと向かい、そこで夜明けまで過ごすのだった。
彼女に自室だけ貸して、仕事が終わった私は休憩室で眠れば、私はそれで良いつもりだった。
私はスマホを取り出して、アツコが当番と決まった初日にサオリにそのことを伝えた時の返事を見直していた。
『そうか……』
『いくら安全なシャーレとはいえ、私たちスクワッドは追われてる身だ』
『先生、アツコをよろしく頼む』
『任せて!』と、返事をしたのはいいけど、日頃からアツコのことを「姫」と呼ぶサオリから「アツコ」と名前を出されているのを見ると、アリウス所属だった名残ではなく、友達を任せる形として送っているのだと伝わってくるのだった。
なるべくアツコから目を離さないように過ごすことを心がけなければいけない、責任感を私は感じていた。
「先生は今日もソファで寝るの?」
「そうだね。他に寝るところも無いし……」
「じゃあ、私と一緒にベッドで寝よ?」
「色んな意味でダメ」
「ふふっ、私は大丈夫だよ」
「私が大丈夫じゃないの」
私からアツコに手を出すことはまず無いとしても、もしそんな疑わしいことがあったとサオリたちにバレた時のことを考えると、そっちの方が怖いかもしれない。
アツコには私が使っていたベッドの枕やシーツ一式を彼女の為に新しく買った物と替えて貸していた。そして、私はベッドから離れた位置に置かれた三人掛け用のソファに、元々使っていた布団を掛けて眠っていたのだった。
「それって、先生は大人だけど、私のことをそういう目でも見てくれるってこと?」
「……年頃の女の子が無闇に異性の大人と同衾するのは良くないって話。仮に他の人に見られて、私の立場が危うくなったりしたら、アツコたちを守れなくなるでしょ」
「そっか……もしそうなったら、先生も一緒に逃げてくれる?」
「そうなったらね……ならないのが一番だけど」
「……わかった」
今でも寝起きの光景ながらハッキリと覚えていた。
精々入って横になるのが一人が限界のソファの上で、横向きから仰向けに寝返りを打てない程の窮屈さを感じて目が覚めたのだった。
胸元から漂うシャンプーとボディソープの香りの中に入り交じった別の甘い匂い。
私の腕の中から感じる私以外の温もり。
抱き締めるように腕の中にいた存在感ある感触のする方に視線を落とした。
『──あ……ふふっ、先生おはよう。眠れないから来ちゃった』
常夜灯で暖かいオレンジ色に染まった部屋の中。
深紅の瞳の少女と目が合うのだった。
寝惚け眼で視界に写った彼女の柔らかな微笑みに思わず私も頬を綻ばせてしまった。
日をあまり浴びていないと目に見えて分かるほどの色白い肌。
線が細く思えるほど、薄い身体。
手放してしまえば、すぐにでも目の前からいなくなってしまいそうな儚ささえ感じる抱き心地に釣られて、無意識に彼女の背中に手を回して抱き寄せてしまっていた。
私の身体に彼女の細い両腕が回されていた。
骨の感触が分かるほど細い身体つきながら、女性特有の薄く柔らかい脂肪の感触を持った肌。
『んっ……おはよう、アツコ……』
『先生、まだ眠い?』
『うん……』
『じゃあ、気が済むまで、私のこと抱き締めていいよ』
『うん……ありがと……──っ……ん? ……あれ?』
ぼんやりと、彼女が腕の中にいる事が当たり前であるかのように、私は受け答えをしていると、次第に意識が鮮明になっていき、事の違和感に気が付くのだった。
『あ……アツコ……?』
『うん』
『……え?』
『……? どうしたの? ──あっ……』
私は抱き締めていた身体を離して、もう一度目の前にいる彼女と目を合わせて自分の身に置かれた状況を再認識すると、慌てて身体を起こしてソファから離れたのだった。
体操着の手触りの良い生地越しに感じたアツコの柔肌と細い身体。
薄紫色の髪や頭皮から匂った甘い香り。
胸部に押し付けられた微かな膨らみ。
寝ている時の血液の循環からだと思いたかった。
寝間着越しに硬くなった愚息をアツコの太腿に押し付けていたのだった。
アツコはそれに気付いていたのか、いなかったのか。
彼女の微笑みは、その意図が汲み取れないような悪戯っぽい笑みにも見えたのだった。
後から聞いてみると、普段から廃墟とかで過ごしてるがこと多かったこともあって、いざしっかりとした寝具の上で寝ると落ち着かないとのことだった。
あの時のことを思い出すと今でも不安になっていた。
無邪気な様子のアツコ。
囁かれてる心地になる透き通るような声。
腕の中にいた彼女の声は、寝起きのボーッとした意識の中に溶け込ませ、まるで操られてしまいそうなほど心地良かったのだった。
もしあの時、アツコに抱くことを求められていたら、私はそれが当たり前であるかのように、彼女を壊れるくらい抱き締めていたかもしれない。
硬くした愚息で、彼女の事を……
「──先生?」
「……ん?」
「大丈夫? 凄く怖い顔してたけど」
「大丈夫、考え事してただけだから……」
アツコに声をかけられて、遠くに行っていたような意識が引き戻されていた。
あくまでも、あれは思い出の話。もう過ぎたことだから今は忘れよう。
「……? ふふっ、変な先生……そういえば、この服、着心地も良いし、動きやすいからミサキとヒヨリにも勧めてみたの……それに、みんなでお泊まりしてる雰囲気だけでも味わえそうだし」
「いいね、それ。二人の反応は?」
「うーん……ミサキはあまり乗り気じゃなかったかも……『眠れるなら格好なんて何でもいい』って」
「言いそうだなぁ……」
「ヒヨリは、興味はあるかもって言うから貸してみたんだけど……」
「うん」
「着てくれたのは良いけど、ファスナーが胸元まで締まらなかった……『高貴な方の服を、私なんかが着ようとするなんて、そんなおこがましい事が許されるはずがありませんよね……』って謝られちゃった……」
アツコは俯いて「本当は違うと思うんだけどな」と、少し不満そうに溢して、自分の胸を見つめていた。
アツコのなだらかな胸に比べて、ヒヨリの低身長ながら、手に収まりきらなさそうなほどの豊満な乳房は、確かに前を締めて着るのは大変かもしれない。
別に、アツコの胸を凝視するつもりはなかった。
けれども、服越しにしては胸の丸みに少し突出したような形状に見えて、無意識に長時間目線を向けてしまっていた。
「先生?」
「あっ……」
「……目線がいやらしい」
「ご、ごめん……そんなつもりじゃ……」
「ふふっ、分かってる……ヒヨリの方が私よりも大きいから、キツかったんだと思う」
アツコは持っていた教科書を抱き抱えるように持って、胸元を隠していた。
まさか、アツコが下着を着ていないはずが……
「先生も私の胸より、大きい方が好き……?」
「……えっと」
あまりにも質問に答えづらすぎて、完全にアツコから目線を逸らしてしまった。
「冗談だよ。困らせてごめん、また今度教えて」
「あまりからかわないで……」
「先生といると楽しいから、つい……あ、お部屋、着いちゃったね」
「そうだね……いらっしゃい、アツコ」
そうしてアツコと話している内に、私の自室の前に着いてしまった。
私が先にカードキーでドアを開け、アツコに入るように促したのだった。
* * * * * *
……お邪魔します。
私は、先生に招かれるままいつも通りに先生の自室の中に足を運んだ。
相変わらず殺風景なお部屋だった。
私は殆ど使われていないと思われるテーブルの上に借りてきた教科書を置いて、ベッドに腰をかけた。
先生の匂いがしないベッド。
私が使うときにいつも別に用意されてるシーツと枕に替えてるみたいだった。
私が当番の日を迎えるまで、先生は殆ど眠れないほど、仕事に振り回されてるみたい。
先生の仕事を手伝っている時に、私たちアリウススクワッドが出した被害に関する書類が混ざっていた。
先生は私の目に入らないように、書類の山の一番下の方に置いてたのかもしれない。
山のように積まれた書類が崩れ落ちて、それが私の目に入ってしまった。
犯してしまった罪を無かった事にすることはできない。それを突き付けられるように崩れ落ちる書類。
そっか、当然だよね。私たちのせいで増えてる仕事だってあったんだ。
先生はすぐにその書類を私よりも先に拾い上げたけど、ごめんね。もう見ちゃった後だよ。
なるべく私は……私たちは先生に頼らないようにしてた。
大人に命じられるまま生きてた私たちが、自分たちの生き方を見つけるために。
大人の誤った命令を信じて、私たちは罪を犯した。
先生がシャーレに届いた被害報告も、私たちスクワッドになるべく矛先が向かないように処理してくれてたみたい。
結局、私たちは知らない所で先生に頼り切ったままだった。
私が今持ってる物なんて、「彼女」から貰った保護機能のあるマスクと、生贄としてずっと綺麗に守られ続けたこの身体。儀式の為に結構傷付けられちゃったけど……後、先生がシャーレの当番として呼んでくれたことで、貰えたお給料の残りくらい。
何か先生に出来るお礼が無いか考えていたのに、細やかなお返しから、私がシたかったことまでの計画が、少しずつ、少しずつ、頭の中で練られてた。
先生が掛け布団を取り出そうとクローゼットを開けようとしたその時に、私は声をかけた。
──先生、私は布団以外で寝るくらいなら慣れてる。先生みたいな大人をソファで寝させ続けるのは、あまり身体に良くないと思うから、今日は交代しよ? ……うん、寝る場所の交換。ううん、私がソファで寝てみたいの、お願い。
先生は、最初は断ってきたけど、私もそうしたいからと伝えると、特に疑う様子もなく仕舞っていた、ベッドのシーツを取り出していた。
先生がいつも……時々、帰ってきた時に使ってるシーツ。
先生は知らないかも。
そのシーツには、私の匂いも付いてること。
先生がぐっすり眠りに就いたのを見計らって、私はクローゼットから先生が使ってた方のシーツを引っ張り出してた。
先生は私と何か間違いがないようにと距離を置いてくれてた。
先生は優しい。
でも、その優しさが、真夜中を迎えると私を寂しくさせてた。
先生にこれ以上迷惑かけちゃダメだから、最初は先生のシーツを抱き締めて眠ってた。
洗濯をかけて干されたシーツ。
クローゼットに仕舞って畳んであったそれを広げると洗剤や柔軟剤、それからとても心地良いお日様の香りがいっぱい広がっていた。
私は最初、心地いい温もりを求めてそれを抱いてた。
気持ちいい匂い。
知ってるのに知らない匂いがその中にずっと染み付いていた。
洗剤や柔軟剤の香りに慣れても、日頃から嗅ぎ慣れてる匂いが至近距離からして、急に胸がドキドキし始めてた。
安眠の為の睡眠薬だって、過剰に摂取すれば毒なのと一緒だった。
安らぎを求めて先生の匂いが染み付いてると思って取り出したのに、心臓が安眠を妨げるみたいにドクドクと音を立てて眠れなかった。
身体が熱くて……胸の奥が締め付けられてるみたい……
嫌に身体が汗ばむから、私は一番上まで上げてたファスナーを胸元まで下げた。籠っていた熱気がムワッと溢れ出して、自分でも分かるくらい、私の匂いが布団の中に充満した。
先生の名前を口にする度に、身体の火照りが増して、頭の中が幸せな物質で満たされてるような心地になってた。
それから、私ははしたなくズボンの中に手を入れて、下着の上から、いつか先生に捧げられるかもしれない大事な所を、指で何度も弄った。
幸せで満たされた頭の中が擽られてるみたい。
指を動かす度に、頭の中の理性がゆっくりかき混ぜられていく心地。
先生の自室に泊まる度に、私は病み付きにでもなるほど、その快楽を求めてた。
我慢できなくなって、ソファで横向きで寝てる先生の腕の中にこっそり入ったこともあった。流石にバレて逃げられちゃったけど。
常夜灯だけに照らされた暗がりだった。あの時、下に何も着ないまま体操着の胸元を開けてたことに、先生は気付いてたのかな。
凄くドキドキして、いっぱいえっちな匂いを出して、先生の身体を興奮させられてることに、私も興奮してたんだよ。
服越しに、大きくなったおちんちんを、ぐりぐりと押し付けられてたこと。
衣服の上からなのにとても熱かった。
寝惚けた先生に抱き締められながら、おちんちんを押し付けられて、私も大事な所を濡らしてた。太腿にえっちなお汁が伝うくらいとろっとろに。
そんな私のはしたない匂いも染み付いたシーツを敷いて、先生は眠る。
ヒヨリの集めてる雑誌に書いてあったけど、女性の方が嗅覚が優れてるんだって。
先生が私の匂いに気付かないまま寝ちゃうのかな。
……だったら、後でこっそり私が匂いを教えてあげなきゃいけないよね。
私はそう思いながらソファに腰をかけて、先生がシーツを取り替えている後ろ姿を見つめていたけど、取り替えも終わって私が使ってたシーツはクローゼットの中に仕舞れてた。
「じゃあ、電気消すよ?」
「うん……おやすみ、先生」
「おやすみ、アツコ」
「ねぇ、先生?」
「んっ……どうしたの?」
「こうして同じ部屋で、おやすみって言い合うの……同棲……してるみたいだよね」
「同棲してるみたい」これは、先生の自室に初めて入った時にも言った言葉だった。
廃ホテルとか廃墟の寝室らしき部屋の方が、まだ人が生活してた雰囲気を感じると思うくらい、先生の自室は殺風景だった。
キヴォトスに来てから、休憩室か執務室で寝泊まりを繰り返してたみたいだから、そうなってもおかしくないよね。
だから、これから私と先生の生活が始まりそうって、そんな意味で私は口にしたつもりだった。
「ふふっ、確かにね」
「……それだけ。おやすみ」
「おやすみ」
部屋の照明に向かってリモコンが向けられて、明るかった部屋が、暖かいオレンジ色に包まれる。
夕暮れ時を思わせるほど、優しくて暖かくて、影法師にも見える先生の姿が、切ない気持ちにさせる、柔らかい灯り。
一応、私もソファの上で横になって布団を被った。
ベッドと違って、先生が直で寝てるソファ。
深呼吸一つで、先生の匂いが胸いっぱいに広がった。
パブロフの犬みたいに、条件付けされた私は、先生の濃厚な匂いを嗅ぐだけで興奮しちゃう、いけない身体になってた。
──先生……先生……
すぐそこに先生がいる。
ちょっと歩けばすぐ抱き締められる距離に。
着ている体操着のファスナーをゆっくりと下ろしていた。
先生に見られちゃうかもしれなくて、ドキドキしながら、ジジッと音を立てて下がっていた。
ファスナーが全て開くと袖を抜いて、上半身を露出させた。
今日もシャワー室を出てから、誰ともすれ違わないのを良いことに、先生の前で、私は下着を着ないまま過ごしてた。
ズボンの紐も解いて立ち上がると、ストンと床に落ちてしまって、先生の自室の中で私は生まれたままの姿になっていた。
変な気分……着替えない限り服を着て過ごすのが当たり前の部屋で……裸になってる……
生まれたままの姿で先生の方へと近付いていた。
ペタペタ……
少し汗ばんだ私の素足がフローリングに引っ付いて音を立てていた。
ベッドの上に乗って、横向きに寝ていた先生の背中に引っ付くように布団に入り込んだ。
先生は寝たフリをしてたから、すぐに起き上がって、ベッドから出ようとした。
私は先生の寝間着の裾を掴んで引き留めた。
起き上がった先生が常夜灯に照らされて、私に向かって大きな影を作ってた。
「先生、待って……」
「……ダメって言ったでしょ」
先生は私の姿も確認しないまま、咄嗟の反応で離れようとしてたみたい。
「じゃあ、背中向けたままでいい……今じゃないとできないような話もしたい」
「……っ、私は何もしないからね」
「……うんっ」
私に大きな影を落としてた先生が、渋々布団の中に戻ってきてくれた。
「話したいことって……?」
私よりも頭一つ分も大きな身体。
シーツやソファの残り香よりもハッキリと伝わってくる先生の濃厚な匂い。
私は今にも破裂しちゃいそうなほど高鳴った胸の鼓動からの興奮を抑えながら、大きな背中に向かって話し始めた。
「お礼、まだちゃんと言えて無かったと思うから」
「お礼……?」
「うん、ずっと私たちのことを庇ってくれてたこと……今も回ってきてるスクワッドが関与してた調査の書類……私、あの時に見ちゃったんだ」
「ごめん、隠すつもりじゃなかったんだ……でも、見せてもあまり気分の良いものじゃないだろうし」
「私たちに捜査の矛先とか、向かないようにしてくれてたんでしょ」
「言い回しはね。補修授業部の顧問をしていたら、色々関わっただけだから、その時にあった事実を書いただけだよ」
「そういうとこ。私たちは、あれからてっきり、先生に頼ってないつもりで今日まで生きてた。でも、違った。知らないところで、先生に支えてもらってた」
「……っ」
「……生贄にされてた時、アリウスで聞いたことのない、キリエが流れてたのが聞こえたの。戸惑うみんなの声も」
「あれ、聞こえてたんだ?」
「うん、ぼんやりとだけどね……? それが許せなくて怒りで取り乱す『彼女』に、先生が言ってくれた言葉……」
「あっ……それも聞こえてたんだ……今思うと恥ずかしいな……生徒の前で言葉を荒らげるなんて……大人としてみっともないところ見せちゃったと思うし……」
「ううん、カッコ良かった……ハッキリと『彼女』を私たちから、突き放すように言ってくれた先生はカッコ良かった。先生のあの言葉のおかげで、晴れて私たちは、『彼女』の
「……アツコたちは私の生徒だよ。それはこれからも変わらないよ」
「ありがとう、先生……」
先生が助けてくれたこと、それだけじゃなかった。
「……先生は私の血筋……知ってるでしょ?」
「一応、ね……アリウスの生徒会長の血を引いてるんだよね?」
「うん……それが皆から尊敬される貴い存在だから、生贄にされてた……でも、先生は私のそんな運命すら、変えてくれた……」
「放っておけなかったからね……」
「キヴォトスの危機に、なってたかもしれないから?」
「キヴォトスの危機以前の話だよ。目の前の生徒が命の危機に晒されてるのに、放っておいて良い理由なんて無いでしょ……」
「……ふふっ、やっぱり。そう言うと思った」
「──っ……アツコ……?」
私は先生のお腹に両手を回して抱き付こうとした。左手がベッドと先生の身体に挟まって、通しづらかったから、仕方なく右手だけお腹の前に回して抱き付いた。
キヴォトスの危機に直面すると分かれば、キヴォトスを守る為に動くのが普通かもしれない。
でも、先生は違った。
儀式に使われる私を救うことを目的として動いてくれてた。
先生なら、血筋に縛られてた私の運命すら変えてくれた。
──先生、今日の授業での私の質問、覚えてる? ……うん、花の種の作り方の違い。ちゃんと調べたよ……
同種の他の花から花粉を貰わないと、種を作れない植物。近親で子どもを作らず、異なる遺伝子を掛け合わせて……より良い遺伝子を残す為……なんだよね……?
合ってる……? ふふっ、なら良かった。
だからね……私、先生の遺伝子が欲しい。
私のお腹の中で、先生と私の遺伝子を混ぜ合わせて出来る子どもが欲しい。
先生の染色体も、私の染色体も、元の形が分からなくなるくらい絡み合って、新しい染色体を持って生まれる子ども。
先生との子ども、きっとかわいい子に育つと思う。
私の運命を変えてくれた先生の血も引いていれば、きっと私と同じような目に遭っても、乗り越えてくれるかも。
辛い境遇の子には、手を差し伸べられるような優しさを持ってくれるかも。
高貴な血筋の血縁者だからとか、そういった柵に囚われない子に育てたい。
先生、感触で分かるでしょ。
今の私、服着てないよ。
そっか……先生は何もしないって、約束しちゃったからね……じゃあ、私の好きにするね……
この距離感、私たちも花の作りみたいだよね。
私の大事な所に雌しべがあって……すぐ近くに先生の……ここ……ふふっ、ちょっと温かいね……ここに、先生の雄しべがある……
先生のお腹に乗せてた右手を、下の方にススッと撫でるように動かして、下腹部まで移すと、指よりも太くて長い管に触れた。
優しく揉み解すように触ると、ぐにぐにとした柔らかい感触がして、先生のどこの身体の部位よりも温かかった。
ぐにっと先っぽの丸みを帯びた部分を触っていると、先生が腰を引いたり体を捩らせたりした。
すぐにでも赤ちゃんを作れちゃう距離感。
切なくなって、お腹の奥がきゅんって疼いた。
空いてる左手を大事な所まで下ろして、先生のおちんちんを欲しがってる入り口に触れた。
──くちゅっ……ぬちゅっ……
少し粘り気のある音がした。
おちんちんを、気持ち良く受け入れられるように、愛液でたっぷり濡れたおまんこの音。
先生、今の聞こえた……? 私のおまんこの音……いつも、先生がソファで寝てる時に……こっそり、先生のシーツの匂い嗅いで、オナニーしてたの……ごめん……今敷いてるシーツも、私の匂い付いてるかも……
──ぬちゅぅっ……
んっ……ぁ……♡ はぁ……っ……♡
おまんこの中に、一番長い中指を差し込んだ。
指の付け根が溶けちゃいそうなくらい、中が熱くなってた。
先生の匂い嗅いでる内に……っ……♡ 段々、気持ちが高ぶるように……なっちゃったの……んぁ……は、ぁ……♡
今までに無かったくらい、指の付け根から、手のひらを伝うほど愛液が溢れてた。
今、先生が目の前に……ぃっ……♡ はぁ……はぁ……いるから……すぅぅっ……はぁー……♡ 匂い、濃くて……それに……先生の温もりも、身体の感触もあるから……お腹の中、キュンキュンしちゃう……先生の欲しくて……切なくなる……
先生は何もしないって言った。
でも、私の右手に包まれるように、衣服越しに触れられていたおちんちんが、衣服の中で、私の手を押し退けるほど、ムクムクと膨らんで硬くなってた。
先生のおちんちん……硬くなった……先生……先生も、私のおまんこ恋しい……? ふふっ、首は横に振ってるのに……おちんちんは、首をしたいって言ってるみたいに……ドクドクって縦に小刻みに震えてるよ……?
右手で衣服越しにおちんちんの感触を感じながら、左手でその動きを想像して、おまんこの中を中指で前後にかき混ぜた。
せ、せんせぇ……♡ ごめん、いつもより……緊張してるからかな……っ……ふぁ……ぁ……♡ い゛、イクっ……私、先に……ぃ……ぁ゛……──んぅっ……!
先生の身体に密着したまま、私はイッてしまった。
全身を駆け巡るような快感に、身を強ばらせて背中を丸めたから、先生の背中に頭を押し付けるような姿勢になってた。
──はぁー……♡ はぁー……♡ い、イッちゃった……ふふっ、先生のも、凄く反り返ってる……大きい……私が今挿れてる中指より長くて、太い……さす……さす……あ、跳ねた……っ……生き物みたい……♡
右手で撫でていたおちんちんが、先生のお腹に付くぐらい、衣服の中で反り返って、ドクドクと何度も脈動してた。
ねぇ、先生……これ、挿れたくない……? 排卵日が近くなければ、赤ちゃん出来る心配も無いんでしょ? そうでしょ……?
──ぐちゅっ、ぐちゅっ……ぐちゅっ……
指いっぱいに絡み付いてくるおまんこの中のヒダヒダを、掻き分けて、私はイッたばかりの中をかき混ぜ続けた。
あっ……♡ ぁ゛、ぁ……♡ はぁ、はぁ……♡ 先生が……ぁ、挿れやすいように……いっぱい解すから……シたくなったら……いつでも手を出してね……ふ、ぁ……♡ あ……おちんちんの先っぽ……ふふっ、濡れてるっ……
衣服越しのおちんちんの先っぽから、濡れてる感触がした。
衣服で濾されたお汁が、指先に纏わり付いてた。指を引くと、見なくても分かるくらい、ねとぉー……っと、衣服の濡れた部分から、粘液が糸を引いてるのが分かった。
先生っ……これ、なに……? 教えて? ふふっ、うん……知ってる……っ……♡ おちんちんが……赤ちゃんの種が出そうになってきたら……出てくるお汁でしょ……雌の体に赤ちゃんの種を、馴染みやすくする為の……潤滑油……先生も、子作りしたいでしょ……
私は先生のおちんちんから手を離して、自分の目の前に右手を持ってきた。
常夜灯に照らされて分かりづらかったけど、よく見ると人差し指の指先が、ぬらぬらと艶めいてた。
すんっ……すんっ……ふふっ、ちょっと臭い……これが先生の……雄としてのにおい……?
私は半開きにしていた口を開けて、指先を近付けた。
──あむっ……
先生の先走り汁を口に含んだ。
凄くしょっぱい味。
とても臭くて、頭がくらくらする。
そのまま飲み込まず、口の中に唾液を溜め始めた。
舌の付け根からいっぱい溢れてくる。
先生の早く飲みたくて、心臓がドキドキしてた。
唾液で薄まった先走り汁が口の中に溜まると、私は先生の背中に首筋を触れるように、顔を横に向けて密着させた。
──ごくっ……♡
んっ……はぁ……♡ 先生、聞こえた……? うん……先生のおちんちんの潤滑油……飲んじゃった……喉に少し絡み付く粘り気も……後味も……はぁ……はぁ……♡ 身体のゾクゾクが、止まらなくて……おまんこ、またきゅんってして……ふ、ぁっ──ぁ……!
中指をカクカクと小刻みに曲げながら、おまんこの中をかき混ぜてたら、中が圧迫するように指を締め付けた。
またイッちゃった……
先生……今日、赤ちゃんの卵……お留守の日だから……シても大丈夫だよ……
熱を出してるみたいに体が火照ってた。
興奮しすぎて、体がずっとポカポカしてる。
形がはっきり分かるくらい勃起したおちんちんを、右手で握って親指で先っぽを押し付けてグリグリと擦り付けた。
凄い……おちんちんが心臓みたいにドクドク脈打ってる……先生、これ苦しいでしょ……おまんこの中に挿れたら、きっと気持ちいいよ……中指がふやけるくらい熱くて、とろとろに、なってる……から……
──ぬちゃっ……
ゆっくりと左手を引いて中指を引き抜いた。
中指に絡み付くほど愛液が、粘り気のある音を立てていた。
興奮にあまり、色が濁る白濁とした愛液。
先生……──ひゃっ……ぁ……!
私の目の前で背中をずっと向けていた先生が、起き上がったと思うと、私の体に覆い被さってきた。
両腕を広げるように両手首を握られて、ベッドに押さえつけられた。
身動き、取れなくなっちゃった……──んっ……
そして、押さえつけられてた左手を持ち上げられて、先生は口を開けて私の中指を咥えてしまった。
せ……ぁ……♡ せ、先生? 何、してるの……っ……中指……舐めちゃ……汚いよ……んっ……ぅ……♡
常夜灯に背後から照らされてるせいで、覆い被さってる先生の身体が真っ黒な影に見えた。
先生の表情が読めない。
先生は黙って、私の指を吸い上げ続けてた。
ちゅう、ちゅうとわざとらしく音を立てて、まるで指の中身でも吸い上げるみたいに、指に纏わり付いてた愛液を一滴も残さないような吸い方。
指紋をなぞるような舌の這わせ方。
指を吸われて、舐められてるだけなのに、体がゾクゾクする……
──ちゅぅぅぅっ……ちゅぱっ……
私の指が先生の口から引き抜かれた。
先生の喉から微かに聞こえる喉越しの音。
本当に飲んじゃったんだ……いや、私も確かに先生の飲んだけど……それのお返しって……
恥ずかしかった。
私がさっき握ってた途中で起き上がったりしたから、脱げかけていた衣服を脱いで、先生は下半身を露出させた。
目の前に突き出されてる訳でもないのに、むわっと漂ってくるほど衣服の中に籠ってた牡臭が鼻に突いた。
凄くゴツゴツしてる……先っぽ真っ赤になるくらい膨らんで……
発情した獣に覆い被さられてるみたいだった。
露出した生殖器は、雌に容赦なく無理やり捩じ込む為の、グロテスクな形をしてた。
教科書で見た物よりも、張り詰めていて、表面に青筋をいくつも立てていた。
──びゅくっ……どろぉ……っ……
張り詰まったおちんちんが、一度ビクッと跳ねると、私のお腹にマーキングするみたいに、先走り汁をボタボタと溢してた。
「アツコ……」
「うん……」
覆い被さってた先生が、屈んで私の顔に近づいてきた。
黒い影に見えてた先生の表情が、やっと見えるようになって少し安心した。
ずっと快楽に堪えていたからか、とろんとした据わった目。
「約束して……後で体に何か異常を感じたらすぐに連絡すること。アツコだけの問題じゃなくて、私の責任でもあるから」
「うん……そのつもり……それに……」
分かってる。
今の私は境遇も知識も、母親になるには不十分なことを。
今は産めなくてもいい……産めるようになった時、すぐ先生の種をお迎えできるように、身体に教えてほしい……種付けされる感覚……私に教えて……──んっ……
先生に口を塞がれた。
それ以上の言葉はいらないと言うような、恋人同士のような口付け。
キスをしてる間、太腿や股内にポタポタと粘液が滴る感触がした。
私の愛撫で焦らされ続けていたおちんちんが、涎を垂らす獣のように、私の下半身に先走り汁をかけていた。
いいよ……先生ので、いっぱいマーキングして……私の純潔を奪って……今だけは姫じゃなくて、一人の女に……ううん、先生の女にして……?
私は先生が挿れやすいように、脚を広げてた。
こんな格好、スクワッドのみんなにも恥ずかしくて見せられない。
先生にだけ見せられる姿。
開脚した私の脚の間に入り込むように、先生は腰を落として、おちんちんの裏筋をおまんこの割れ目に乗せられた。
割れ目を覆うように、先走り汁でぬるぬるするおちんちんを、べったりと押し付けられてる。
先生が腰を小刻みに前後に揺らすだけで、愛液をおちんちんに絡ませようと、中からいっぱい分泌されて、ぬちゃぬちゃと粘り気のあるはしたない音を立ててた。
ぷはっ……ぁ……♡ 先生……舌……先生の舌も頂戴……先生の舌で、私の口の中も、ぐちゃぐちゃにして……んっ……れ、ぇ……ちゅぅぅ……っ……♡ ちゅぅ、れろっ……♡ は、ぁ……♡
私の両手首を握ってた先生の両手は、私の両頬に添えられた。
まるでキスをしてる私の顔を逃がさないようにと、押さえつけられてるみたいだった。
口の中に先生の舌が入り込んで、私の舌に絡み付いてきていた。
先生の吐息も、唾液も、全部無理やり注ぎ込まれて、それを舌でかき混ぜられて、脳をぐちゃぐちゃにされていく感覚。
私の口の中で、ねっとりとした水気のある音を立てながら舌が絡み合う音が、まるで私の脳がどろどろに溶かされてる音みたいに思えた。
──ごくっ……ごくっ……♡
先生の唾液が喉を通っていく。
舌にいっぱい擦り付けられて、舌の付け根まで流れ込んできて、私はそれで喉を潤した。
先生の口内で生成された、先生の遺伝子をほんの少し含んだ唾液。
興奮のあまりに身体がゾクッと震えて、おまんこからトロォ……と濃い粘液が溢れ出した。
私は手探りで手を下腹部へと移して、先生がおちんちんを挿れやすいように、片手でおまんこを広げて、逆手持ちになるような掴み方で、おちんちんを握って、誘導しようとした。
腰がさっきよりも引かれてたから、おちんちんの先っぽが、ぴとっと、おまんこの割れ目にキスをした。
でも、先生が腰を近付けてくれないから、性器も粘膜同士が何度も甘噛みするようなキスを繰り返すだけで、全然挿れてくれない。
私のおまんこにボタボタと溢されてる先走り汁にだって、先生の精子が含まれてるのは知ってた。
入り口に種子の味を念入りに覚えさせる為に、先走り汁のぬるっとした粘液の感触を刷り込まれてるみたいだった。
ぬちゅっ、ぬちゅって、粘膜同士がぴったりと吸い付き合うように引っ付いて、それを引き抜かれてを繰り返されてるせいで、入り口がジンジンとして、私は腰を小刻みに震わせてた。
カリ首を、擦るように触っていると、びゅくっと手の中でおちんちんが大きく跳ねてた。
先生の背中が、凍えるようにゾクゾクと震え上がって、私の口から舌を引き抜く為に顔を離された。
──じゅるるっ……ちゅぅ……♡
「ぷはぁ……」とどちらの物かも分からないほど、吐息多めの息継ぎをして、絡み合った舌が引き離されていた。
名残惜しそうに、透明の細い糸が引き合っていた。
ぷつりと宙で切れた唾液の糸が、私の顎に滴った。
酸欠状態で、脳がボーッとする。
目の前がボヤけて、ピントが合わなくなった視界になってた。
ポカポカと暖まった身体に、部屋の冷たい空気を肺に取り入れる感覚だけで、身体がゾクゾクと震え上がるほど、全身が敏感に思えるくらい気持ちを高められていた。
先生の顔が耳に近かった。
乱れた息が私の鼓膜を擽った。
その生暖かい吐息の心地よさに、全身を一瞬だけ駆け抜けた快感に身体を捩らせた。
「……アツコ」
先生に名前を呼ばれただけで、お腹の奥がきゅぅっ……と熱くなって、ドロッと粘り気の濃い愛液が割れ目から溢れ出した。
私の名前を呼ばれただけなのに、声色から、挿れられるって、先生に犯されるって分かってしまった。
だから、胸の高鳴りに反応して、おまんこが唾液を溢すように愛液を漏らしていた。
うん、先生……来て……? ……うっ゛、ぁ゛……んぅぅっ……!
──くちゅぅ……ずぷぷっ……!
おちんちんがおまんこに密着させられると、飴玉みたいに真っ赤な亀頭を、割れ目がそれを咥えるように、半開きで吸い付いた。
そして、先生はそのまま咥えてきた割れ目の中へと押し込むように、腰に体重をかけてきた。
表面に血管が浮き出るほど、暴力的な形状の物が、私の中へと入ってくる。
ふふっ、痛い……痛いよ、先生……
先生は、引き裂かれて元に戻ろうとする膣圧に堪えるように、歯を食い縛って、険しい顔をしてた。
先生も痛い……? それとも、気持ちいい……?
先生は私の質問には答えず、ただ、私に顔が見えないように俯いて「ごめん」と溢した。
まだ半分しか入ってないおちんちんが、私の中で、びゅくぅっと大きく跳ねた。
入ってきた時よりも、亀頭がぷくっと膨らんでた。
あぁ、そっか……気持ちいいんだ……
雄として得られる本能的な快感に敵わなくて、先生はその表情を見せないようにしてるみたいだった。
先生……いいよ、たくさん味わって。
先生が奪った処女の感触、おちんちんでたくさん感じて……
痛い……でも、この痛みは、先生に初めてを、捧げられてる証拠だから……
痛いはずなのに、胸の中がいっぱいになるくらい、幸せな気持ちで満たされちゃってる。
先生、遠慮しないで……私の中、おちんちんまだ入るはずだから……腰、ぐいって押し込んでも大丈夫……──ふぁっ……ぁ゛、ぅ゛ぅ……っ!
私に言われた通りに、先生の腰が、私の身体に密着するくらい押し込まれた。
ずぷぷぅ……っと、おまんこの中の空気が愛液と混ざって引き裂かれていくような音を立てて、おちんちんが私の中に全部入ってしまった。
はぁ゛ー……♡ はぁ……♡ せ、せんせぇ……そこ……コリコリしてる、感触──ん゛っ……ぁ……♡ うん……そこ……赤ちゃんのお部屋の入り口……みたい……教科書通りなら……だけど……
──ぐりっ……ぐりっ……ぐりぐりぃ……
私の中で膨らんだ亀頭が子宮口に押し込まれて、精液を注ぎやすいように、こじ開けようとしてるみたいだった。
腰を小刻みに前後に揺らして、少しずつ、少しずつ私の子宮に入り込もうとしてるみたいに、ゆさゆさと私の身体を揺らしてきた。
んぁ……っ……♡ そこに……びゅぅぅ……って出して……今は出来ないけど……精液の味、そこで覚えるから……先生の温もり……私の中に……出して……出して……先生っ……♡ ──んぅぅ……っ……!
──どびゅぅぅっ……! びゅぅっ……! どびゅぅっ……!
一気にお腹の中が熱くなった。
本当に注がれてるんだ。
先生のおちんちんが、私の中で気持ち良さそうに、種を蒔いていた。
いつか私と先生だけの花が芽生える為の種蒔き。
私は先生の衣服越しに、両肩を掴んで、身体を強ばらせて、ただ射精を受け止めていた。
先生の寝間着、ぐっしょり濡れてる。
寝る前にシャワーを浴びたのも意味が無いくらい、全身が汗ばんでた。
「あ゛ー……ぁ゛っ……はぁ……アツコ……っ……!」
「うん……先生……出てるの、分かる……」
おちんちんの激しい脈動が終わると、少しでも、私の中に精液残そうとするみたいに、柔らかくなったおちんちんを、腰を奥深くに押し込んで、精液の味を覚えさせようとしてるみたいだった。
先生は着ていた衣服を脱ぎ去って、私と同じように、生まれたままの姿になった。
柔らかくなってたはずの、おちんちんが私の中を押し広げるように膨らんでた。
「んっ……♡ 先生……?」
「ごめん……まだ……」
「ふふっ……いいよ……先生の気が済むまで……赤ちゃんの種、注ぎ込んで……先生も、私で子作りの練習、して……?」
「ふぅー……ふぅー……っ……はぁ……ぁ゛……」
「先生?」
先生のおちんちんが私の中でもう一度硬くなってた。
でも、私に覆い被さってベッドのシーツを握っている先生は肩で息をしていて、鼻息も荒くて、その表情は、快楽とは真逆で、苦しそうに歪ませてた。
ヒヨリから借りた雑誌に書いてあった気がする。
イッたばかりのおちんちんは、敏感だって。
身体はイッたばかりなのに、本能はもう一度種付けしようと身体を興奮させてるから、膨張するおちんちんが痛く感じてるのかな……
……先生、耳貸して? うん……そのままじっとして……──べぇ……れろっ……
先生は息を切らしながら、私に片耳を向けてくれた。
私は先生の耳介の内側に舌先を伸ばして、這わせると、苦しそうにしてた先生が気持ち良さそうに、吐息を漏らして背筋を震わせてた。
先生が時々ASMRっていうのを聞いてるって聞いたから、調べてみたんだけど……合ってるかな……でも、気持ち良さそうだから、今はこれで良いのかも……
「れろれろ……れぇ……れろっ……♡」
「あ゛……ぁっ……! はぁ、ぁ……っ……!」
「ふふっ♡」
耳介の形になぞって、なぞって、時折擽るように同じ場所を前後に舌先を動かす度に、獣みたいな荒い息継ぎをしてた先生が女の子みたいに可愛い声で喘いでた。
そして、舌先が耳の中に入ると、射精した時よりも、先生の身体が震え上がって背中を丸めてた。
先生の耳の中、暖かい。
舌が耳介にぴったり止められて、舌先を入れ込むにも限界があった。
ゆっくり舌を引き抜くと、私の唾液で湿った耳穴から唾液の糸が引いてた。
ぷつりと途中で切れた糸は、唾液でうっすらと湿った耳介に上乗せするように滴っていた。
そして、私は両手で耳介を包み込んで、耳打ちをするように顔を近付けた。
「はぁー……♡」
「う゛っ……! あ……ぁ゛……アツコ……それ……」
「先生……気持ち良い?」
「くぁ……っ……き、気持ち……いい……」
「んっ……♡ おちんちんが、中でびくびくしてる……──ふぁっ……んぅ……♡」
私の唾液で湿らせた耳に向かって、吐息を吹き掛けた。
濡れて敏感になった耳穴に、いっぱい私の温もりがこもった吐息を掛けられる度に、おまんこの襞に密着された勃起おちんちんが、暴れるように上下に震えてた。
私の奥を押し広げるように、頑張って伸びようと痙攣を繰り返すおちんちん。
はぁ……はぁ……先生、リラックス出来た?
私の問いかけに対して、先生は息を飲んで、一度大きく頷いた。
声も出せないくらい気持ち良かったんだ……?
私は最後に、先生にもう一度耳打ちをした。
目を見て伝えるより、快感に身を強ばらせて意識が朦朧としてそうな先生には、その方が気持ち良さそうだったから。
先生……私のおまんこ……先生のおちんちんの形、ぴったりになってる……動いたら、密着した粘膜を擦るから、凄く気持ちいいと思う……先生のしたいように動いて……ねえ、先生……?
大好きだよ……先生……♡
伝えたい気持ちは、伝えられる時に伝えなきゃいけないからね。
──まるで悪戯のように、先生の耳元で告白をした直後だった。私の意識は一瞬飛んでいた。
意識が戻った時には、ベッドのシーツを握り締めていた先生の手は、両手で私の腰をがっちりと掴んで、私の恥骨に向かって何度も腰を打ち付けてた。
素直な気持ちを伝えたら、壊れちゃった。
身体の内の骨と骨がゴツゴツとぶつかり合うくらい、獣の交尾みたいな腰の振り方。
先生の形ぴったりになったおまんこに、何度もおちんちんを出し入れされて、戻る暇もない敏感な膣襞が、ぐりゅっと何度も激しく擦られて、私は身体を仰け反らせてた。
おちんちんがおまんこの奥を伸ばすように、ぐいっと深く押し込まれるせいで、何度も意識が飛びそうなくらいの絶頂が私を襲った。
赤ちゃんの種が一度注がれたおまんこを、激しくかき混ぜられるような動きも、私の中に種を馴染ませる行為に思えた。
先生の腰が引かれる度に、どびゅって白濁とした粘液が、おちんちんのカリに掻き出されて、おまんことの結合部から溢れ出してた。
恥ずかしく思えるくらい白く濁るほどの愛液なのか、先生に出された精液なのか分からなくなっていた。
私のおまんこから掻き出されてる粘液は、どちらだったしても先生の精子が含まれてると思う。
私の愛液だったとしても、ペトリ皿に取って見てみれば、先生の精子が元気に泳いでる。
私の身体に、先生の遺伝子が溶けている証拠。
自分の薄紫色の髪が乱れて、私の視界の端で毛先が宙を舞うように見えるほど、激しく身体を揺さぶられていた。
先生に身体の中、かき混ぜられてる。
──どちゅっ……ぐちゅっ……どちゅっ……!
腰を打ち付けられる度に、粘り気の強い水音を立てていた。
「あっ……♡ はぁ……ぁ……っ……♡ くぁっ……ぁ……~~~っ……! あ、はぁー……♡ はぁー……♡」
先生の首の後ろに両手を回して、言葉を口にしようとする度に、気持ち良いのが身体中を駆け抜けて、私から言葉を奪ってた。
それでも、私のしたいことは先生には伝わってた。
先生は口を開けて、舌を伸ばして私の口に挿れ込んでくれた。
言葉が無くても通じ合えてる。
粘膜同士で引っ掛け合って、お互いの生殖器が分泌した潤滑油を混ぜ合って、味わう為の舌を絡ませ合っていた。
このまま、お互いの境目が分からなくなるくらい、どろどろに混ざり合いたい。
そう思っていると、お腹の奥に押し込まれる異物感が、大きくなっていた。
先生……出そう……? いいよ……出して……お腹の中、先生の精液でいっぱいにして……先生との赤ちゃん……欲しい……先生……先生……っ……
私は先生の腰の後ろに広げていた両足を回して、逃がさないように密着させた。
汗と生殖器からの粘液でべたべたになった下腹部を、どちゅっと押し付けると、先生の腰が、凍えているみたいにゾクゾクと震え上がった。
──どびゅぅ……! びぐゅぅっ……どびゅっ……びゅっ……びゅぅ……!
最初よりも長い射精。
膣越しで触るまで分からないはずなのに重たいから脈動に、注ぎ込んだ精液が、おまんこから漏れない程の、粘っこい物を吐き出してそうな感覚がした。
まるでディープキスで心中するつもりみたいに、酸欠になりそうなほど夢中で舌を絡み合わせてた。
先生の唇が口から離された時、深々と密着してたから、ちゅぽっと空気を含んだ恥ずかしい音を立てていた。
そして、私の身体に倒れ込んできた先生が、私の身体を抱き締めてくれた。
私よりも大きくて筋肉質な身体に包まれてた。
包まれた柔肌が、先生の筋肉質な身体を受け入れるようにぐにゅっと押し込まれてるみたいだった。
先生、そのまま暖めて……赤ちゃんの種、いっぱい注いでくれた私の身体を……今は出来なくても……出来ちゃうかもしれない錯覚だけでも、十分だから……ぎゅっ……って、して……
胸の中がいっぱいになっていた。
ぼーっとした、意識の中……私は先生の頬を指先でなぞっていた。
──おやすみなさい……先生……
先生の温もりに包まれた私は、そのまま眠りに就いてしまった。
────
カーテンの隙間から、朝日が一本の光の線のように部屋の中に射し込んでた。
部屋を出るタイミング、逃しちゃった。
いつもは、あんな激しい事をしないから。
ベッドの上で、何も衣服を着ていない私と先生が横になっている状況が、昨日の出来事が現実だったことを物語ってた。
振り返ると、気持ち良さそうな寝顔で寝息を吐いてる先生が、私を後ろから抱き締めていた。
先生に唇に人指し指にあてがった。
──先生……夕べのキスも、実は初めてじゃなかったんだよ。
いつも私は、夜明け前に目を覚まして、いつものようにアリウスの制服に着替えると、先生が眠っている間にシャーレを後にしてた。
その時、私はこっそり先生に行ってきますのキスをしてた。
私からの密かなアプローチ。
添い寝をしても逃げられたり、子どもの作り方を聞いて困らせてしまうだけで、はぐらかされちゃったりしてた。だからこうして、こっそり、先生の知らないところで私の唇の感触を先生に刷り込むような、密かなアプローチを日頃から行ってた。
まるで夕べの出来事は、日頃から先生の深層心理に刷り込まれた感情から動いてくれたようにも思えて、嬉しかった。
私が強引に先生を焚き付けたのが、主な原因かもしれないけど。
先生が眠っている間に少し考えてた。
本当なら、今すぐにでも先生との子どもが欲しかった。
でも、今の私は子どもを授かるには、あまりにも未熟だった。
だから、それまでの間、種から花を育てる為に、テラスの空いてるスペースを借りていいか先生に聞いてみようかな。
私と先生だけが育てる花。
花が咲くまで育て続けて、種を残して、枯れてしまっても、また増えて、花が咲いて……本当に先生との間に生まれた子どもにも、見せてあげたくなるような、たくさんの花を育てたい。
その時が来るまで、私と先生が育てる子どものような存在。
……それなら、きっと、先生も許してくれるよね。
私はいつものように先生の唇にキスをした。
──ちゅっ……
静かな部屋で、触れ合った唇が小さく音を立てた。
夕べのお互いを求め合うような、情熱的なキスとは違った、一方的な愛情表現。
それが伝わったみたいに、寝息を立てていたはずの先生がうっすらと目を開けていた。
挨拶は大事だから、今日もしないとね。
寝惚け眼でも、私を捉えてくれる愛しい人に。
「……おはよう、先生」